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特許7111728複数のプリントヘッドを有するプリンタ用のローラ送り機構
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  • 特許-複数のプリントヘッドを有するプリンタ用のローラ送り機構 図1
  • 特許-複数のプリントヘッドを有するプリンタ用のローラ送り機構 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】複数のプリントヘッドを有するプリンタ用のローラ送り機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20220726BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20220726BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20220726BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20220726BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B65H5/06 H
B41J13/00
B41J11/02
B41J11/42
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019540638
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018051137
(87)【国際公開番号】W WO2018141550
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】62/453,960
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512193425
【氏名又は名称】メムジェット テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】バララ,ロメル
(72)【発明者】
【氏名】バテルナ,ダン
(72)【発明者】
【氏名】シイ,ビリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒバード,クリストファー
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0206550(US,A1)
【文献】特開2009-298027(JP,A)
【文献】特開2013-028132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0027465(US,A1)
【文献】特開2011-121223(JP,A)
【文献】特開2009-137091(JP,A)
【文献】特開2000-211762(JP,A)
【文献】特開2010-089499(JP,A)
【文献】特開2012-166891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
B41J 11/00-11/70
B41J 13/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの第1の印刷領域を有する第1の固定プリントヘッドと、
媒体送り方向に関して前記第1の固定プリントヘッドの下流に配置され、それぞれの第2の印刷領域を有する第2の固定プリントヘッドと、
前記第1および第2の印刷領域において印刷媒体を支持するための少なくとも1つの固定プラテンと、
前記第1の固定プリントヘッドの上流に配置された入力ローラ組立体であって、第1のニップ力Nをそれらの間に有する入力ローラの対を備えた入力ローラ組立体と、
前記第2の固定プリントヘッドの下流に配置された出力ローラ組立体であって、第2のニップ力Nをそれらの間に有する出力ローラの対を備えた出力ローラ組立体と、
前記第1および第2の固定プリントヘッドの間に配置された中間ローラ組立体であって、第3のニップ力Nをそれらの間に有する中間ローラの対を備えた中間ローラ組立体とを備え、
>N>Nであり、
>(N+N)であることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、前記第1および第2の固定プリントヘッドが、前記媒体送り方向に関して重なり合う配置で配置されることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタにおいて、前記固定プラテンが前記第1および第2の固定プリントヘッド間に延在し、前記第1および第2の印刷領域において印刷媒体を支持するための共通の表面を画定することを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、前記入力ローラ組立体が前記固定プラテンの上流に配置され、前記出力ローラ組立体が前記固定プラテンの下流に配置され、前記中間ローラ組立体が前記固定プラテンに埋め込まれた1つの中間ローラを有することを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3に記載のプリンタにおいて、前記固定プラテンが、前記第1および第2の印刷領域を通過する印刷媒体のための平面的な軌道を提供することを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項1に記載のプリンタにおいて、前記固定プラテンが吸引プラテンであることを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項1に記載のプリンタにおいて、前記入力、出力および中間ローラ組立体が、共通の駆動機構に動作可能に接続されたそれぞれの駆動ローラを有することを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項1に記載のプリンタにおいて、N>2Nであることを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項1に記載のプリンタにおいて、N>2Nであることを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
が10~60ニュートンの範囲にあり、
が1~5ニュートンの範囲内にあり、および
が0.3~2ニュートンの範囲内にある
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項11】
請求項1に記載のプリンタにおいて、N、N、およびNのうちの1つまたは複数が、印刷に使用される印刷媒体の硬さに応じて可変であることを特徴とするプリンタ。
【請求項12】
請求項1に記載のプリンタにおいて、所定の媒体種を、N、N、およびNに関して所定のニップ力と関連付けるように構成可能であることを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタ用のローラ送り機構に関する。それは主に複数の固定プリントヘッドを通過するように高速で印刷媒体のシートを送るために開発された。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2011/143700号パンフレット、国際公開第2011/143699号パンフレットおよび国際公開第2009/089567号パンフレットに記載されているような様々なMemjet(登録商標)インクジェットプリンタを開発してきた。Memjet(登録商標)プリンタは、印刷媒体を単一パスでプリントヘッドを通過するように送る送り機構と組み合わせて静止型プリントヘッドを使用する。したがって、Memjet(登録商標)プリンタは、従来の走査型インクジェットプリンタよりもはるかに高い印刷速度を実現する。
【0003】
高速の単一パスインクジェット印刷は、許容可能な印刷品質を提供するために、特にプリントヘッドの印刷領域において正確な媒体処理を必要とする。所与の長さの固定プリントヘッドを用いて、印刷領域を横切って千鳥状の重なり合う配列においてプリントヘッドを配置することによって、比較的広い印刷領域を構成することができる。例えば、A3印刷領域は、A4プリントヘッドの対を千鳥状の重なり合う配置に配置することによって構成することができる。
【0004】
比較的狭い印刷領域(例えば、A4サイズ以下)については、固定媒体プラテンと組み合わせた入口および出口ローラのシステムが、一般に、許容できる印刷品質のために印刷領域において十分な安定性を提供する(例えば、米国特許第8,523,316号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)参照のこと)。
【0005】
しかしながら、より広い媒体幅および/またはより速い印刷速度については、より複雑な媒体送り機構が通常必要とされる。例えば、米国特許第8,540,361号明細書は、固定吸引プラテン、上流駆動ローラおよび下流吸引ベルト機構の組み合わせを含むワイドフォーマット印刷に適した送り機構を記載している。米国特許第8,540,361号明細書に記載されているプリンタは、印刷領域を横切って千鳥状の重なり合う配列に配置された5つのプリントヘッドモジュールを採用している。
【0006】
他の高速プリンタでは、印刷領域を通して印刷媒体を前進させるために吸引ベルト機構を採用することができる。しかしながら、吸引ベルト機構は、印刷領域を通して媒体を搬送するので、インクジェット印刷には問題がある。それというのも、ベルトが印刷中にインク(例えば、高速印刷中に発生する付随的なインクミストまたは紙粉)で汚れる可能性があるからである。さらに、インクジェットプリントヘッドは典型的に、メンテナンス介入の頻度を減らすために多数のページ間スピッティングを実行し、エンドレスベルトは、インクがベルトを汚すのでページ間スピッティングに適していない。
【0007】
複数の重なり合うプリントヘッドによって画定された印刷領域を通して印刷媒体のシートを送るのに適した送り機構を有するプリンタを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様において、
それぞれの第1の印刷領域を有する第1の固定プリントヘッドと、
媒体送り方向に関して第1のプリントヘッドの下流に配置され、それぞれの第2の印刷領域を有する第2の固定プリントヘッドと、
第1および第2の印刷領域において印刷媒体を支持するための少なくとも1つの固定プラテンと、
第1のプリントヘッドの上流に配置された入力ローラ組立体であって、第1のニップ力Nをそれらの間に有する入力ローラの対を備えた入力ローラ組立体と、
第2のプリントヘッドの下流に配置された出力ローラ組立体であって、第2のニップ力Nをそれらの間に有する出力ローラの対を備えた出力ローラ組立体と、
第1および第2のプリントヘッドの間に配置された中間ローラ組立体であって、第3のニップ力Nをそれらの間に有する中間ローラの対を備えた中間ローラ組立体とを備え、
>N>Nである、
プリンタが提供される。
【0009】
第1の態様によるプリンタは、媒体送り方向に整列された複数のプリントヘッドを通過するように印刷媒体を送るためのローラ送り機構を有利に提供する。特に、ニップ力N、N、およびNの間の関係性により、望ましくない速度変動が最小限に抑えられる。
【0010】
好ましくは、第1および第2のプリントヘッドは、媒体送り方向に関して重なり合う配置で配置される。好ましくは、プリントヘッドはインクジェットプリントヘッドであり、ページワイド印刷技術に基づいて複数のプリントヘッドチップを含み得る。
【0011】
好ましくは、プラテンは、第1および第2のプリントヘッド間に延在し、第1および第2の印刷領域において印刷媒体を支持するための共通の表面を画定する。
【0012】
好ましくは、入力ローラ組立体はプラテンの上流に配置され、出力ローラ組立体はプラテンの下流に配置され、中間ローラ組立体はプラテンに埋め込まれた1つの中間ローラを有する。
【0013】
好ましくは、プラテンは、第1および第2の印刷領域を通過する印刷媒体のための平面的な軌道を提供する。例えば、軌道は水平であり得る。
【0014】
好ましくは、プラテンは吸引プラテンである。
【0015】
好ましくは、入力、出力および中間ローラ組立体は、共通の駆動機構に動作可能に接続されたそれぞれの駆動ローラを有する。
【0016】
好ましくは、プリンタは以下のうちの1つまたは複数を満たす:
>(N+N);
>2N
>5N
>10N
>2N
は10~60ニュートンの範囲にある;
は1~5ニュートンの範囲内にある;および
は0.3~2ニュートンの範囲内にある。
【0017】
一実施形態では、N、N、およびNのうちの1つまたは複数は、プリンタの所定の動作パラメータ内で可変である。例えば、N、N、およびNのうちの1つまたは複数のニップ力は、少なくとも部分的に、印刷に使用される印刷媒体の硬さに依存し得る。さらに、プリンタは、所定の媒体種を、N、N、およびNの所定のニップ力と関連付けるように構成可能であり得る。
【0018】
一実施形態では、相対的により硬い印刷媒体には、Nおよび/またはNに関して相対的により高いニップ力が採用される。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「プリンタ」という用語は、従来のデスクトッププリンタ、ラベルプリンタ、複写機、コピー機およびそれらに類するものなど、印刷媒体をマーキングするためのいかなる印刷装置も指す。一実施形態では、プリンタは枚葉印刷機である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
次に本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単に例として記載する。
【0021】
図1図1は、第1の態様によるプリントヘッドとローラ組立体とを備えたプリンタの概略側面図である。
図2図2は、図1に示すプリンタの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、第1の固定プリントヘッド3と、媒体送り方向Fに関して第1のプリントヘッドの下流に配置された第2の固定プリントヘッド5とを備えるプリンタ1が示されている。固定吸引プラテン7は、第1および第2のプリントヘッド3および5のそれぞれの印刷領域を通して送られる印刷媒体(例えば紙)のシート9を支持するために配置される。プラテン7は、印刷媒体が第1および第2のプリントヘッド3および5を通過して水平の軌道で送られるように平坦な上面を有する。吸引プラテン7は、プラテン上を通過する印刷媒体に吸引力を提供する。したがって、印刷媒体は、媒体がそれぞれのプリントヘッドプリントヘッドの間隔を置いて配置された印刷領域を通って移動するとき、吸引プラテン7に対して安定して平らに支持される。吸引プラテンは当業者には周知であり、例えば、吸引源に接続された内部吸引プレナムと、吸引プレナムと連通する開口上面(図示せず)とを備える。
【0023】
図2に示すように、第1のプリントヘッド3および第2のプリントヘッド5は、媒体送り方向Fにおいて部分的に重なり合い、各プリントヘッドは画像(図示せず)の約半分を印刷する。当技術分野で知られている技法を使用して、2つのプリントヘッド間のステッチアーティファクトをマスキングするために適切なアルゴリズムを使用することができる(例えば、米国特許第6,394,573号明細書(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。したがって、例えば、重なり合うA4サイズのプリントヘッドの対を、A3シートに印刷するために使用することができる。
【0024】
入力ローラ組立体15が、吸引プラテン7の上流に配置された入力ローラ対から構成される。入力ローラ組立体15は、媒体シート9の前縁を受け取り、媒体シートを媒体送り方向Fに沿って第1のプリントヘッド3の印刷領域に向けて送るように構成される。入力ローラ組立体15は、下部入力駆動ローラ16Bと係合する上部入力アイドラローラ16Aの間に第1のニップ17を画定する。第1のニップは対応する第1のニップ力Nを有する。
【0025】
出力ローラ組立体21が、媒体送り方向Fに関してプラテン7の下流側に配置された出力ローラの対から構成される。出力ローラ組立体21は、吸引プラテン7から媒体シート9を受け取り、そのシートをプリンタ1の出口トレー(図示せず)へ搬送するように構成されている。出力ローラ組立体21は、下部入力駆動ローラ22Bと係合する上部出力アイドラローラ22Aの間に第2のニップ23を画定する。第2のニップは対応する第1のニップ力Nを有する。
【0026】
中間ローラ組立体25が、少なくとも部分的に吸引プラテン7内に埋め込まれ、第1のプリントヘッド3と第2のプリントヘッド5との間に配置された中間ローラ(例えば星形車)の対から構成される。中間ローラ組立体25は、第1の入力ローラ組立体15から媒体シート9を受け取り、シートを第2のプリントヘッド5を越えて出力ローラ組立体21に向けて送るように構成される。中間ローラ組立体25は、プラテン7に埋め込まれた下部中間駆動ローラ24B(点線の輪郭で示される)と係合する上部中間アイドラローラ24Aの間に第3のニップ27を画定する。第3のニップ27は、対応する第1のニップ力Nを有する。
【0027】
入力ローラ組立体15、中間ローラ組立体25、および出力ローラ組立体21は共に、プリンタ1の媒体送り機構の一部を形成する。媒体送り機構は、当技術分野で知られているように、媒体ピッカー(図示せず)などの他の構成要素を含み得る。さらに、各ローラ組立体は、媒体幅を横切って延びる単一のローラ、または媒体幅を横切って離間した複数のローラを含むことができる。
【0028】
吸引プラテン7は、媒体シートを第1および第2のプリントヘッド3および5の印刷領域を通して平坦に維持するのを助けるが、吸引力を加えると媒体シートがプラテンを横切って進むのが比較的より困難になる。したがって、第3のニップ27を有する中間ローラ組立体25は、媒体シート9を第1のニップ17から第2のニップ23に向かって進むのを助ける。
【0029】
好ましくは、ローラ組立体15、25および21のそれぞれは、矢印Dで示される共通の駆動機構に動作可能に接続されたそれぞれの駆動ローラ(駆動ローラ16B、24Bおよび22B)を含む。例えば、エンドレスベルト(図示せず)が、全ての駆動ローラを名目上一定の速度で駆動するための共通の駆動機構として採用され得る。
【0030】
駆動ローラ16B、24B、および22Bのそれぞれに共通の駆動機構を使用しているにもかかわらず、中間駆動ローラ24Bを送り機構に導入することによって、媒体シート9が種々のローラ組立体の間で引き渡されるときに、わずかな速度変動が生じる可能性がある。わずかな速度の変動も印刷物のアーティファクトを引き起こすので、非常に望ましくない。
【0031】
したがって、駆動ローラ組立体15は、第1のニップ力Nが第3のニップ力Nおよび第2のニップ力Nの両方よりも大きくなるように構成される。したがって、印刷媒体のいずれかの部分が第1のニップ17に係合しているとき、第1の駆動ローラ16Bが印刷媒体9の速度を支配し、制御する。例えば、第1のニップ17が第3のニップ27よりも速く移動している場合、第1のニップは単に第3のニップを通して印刷媒体9を押すことができる。一方、第3のニップが第1のニップ17よりも速く移動している場合、第3のニップ17は印刷媒体9に張力をかけるが、第1のニップの速度より速く印刷媒体を引っ張ることはできない。
【0032】
出力ローラ組立体21の第2のニップ23と第3のニップ27との間にも同様の関係が存在する。したがって、第2のニップ力Nは、第3のニップ力Nよりも大きいが第1のニップ力Nよりも小さくなるように構成される。したがって、印刷媒体9が第1のニップ17と係合しているとき、第1のニップ速度が吸引プラテン7上の印刷媒体の速度を制御する。しかしながら、印刷媒体9の後縁が第1のニップ17から外れると、第2のニップ速度が印刷媒体の速度を制御する。このようにして、中間ローラ組立体25は、吸引プラテン7上での印刷媒体9の搬送を助けるが、入力ローラ組立体15と出力ローラ組立体21との間の関係に影響を及ぼさない。
【0033】
好ましくは、最適な印刷結果を達成するために、NはNとNの合計よりも大きい。1つの設定において、N=56N;N=3.1N;およびN=0.8Nである。しかしながら、最適な印刷結果を達成するために、N、N、およびNの値は当業者によって調整されてもよいことが理解されるであろう。理想的には、印刷媒体9は各印刷領域の下で剛体として作用するべきであり、この剛性は、例えば、印刷媒体の硬さ、吸引プラテンからの吸引力の量、送り機構における相対的なニップ力、ニップ間の距離、その他に依存する。本発明の範囲内で印刷条件を最適化するために、入力ローラ、出力ローラおよび中間ローラの1つまたは複数をばねで取り付けてばね張力を適切に調整することができる。
【0034】
特に、印刷媒体9が入力ローラ組立体15の制御下にあるときに座屈の可能性を最小限に抑えるために、ニップ力NおよびNは可能な限り最小にされるべきである。しかしながら、吸引プラテン7を横切って印刷媒体9を前進させるために、少なくともある程度のニップ力は維持されなければならない。いくつかの実施形態では、ニップ力N、N、およびNは、異なる硬さを有する異なる媒体種について印刷条件を最適化するために変化させることができる。例えば、所定の媒体種は、必要に応じて(例えば、ユーザインターフェースを介した媒体種の手動入力、媒体または媒体パッケージングのバーコード検知などを介して)プリンタ内の所定のニップ力設定を呼び出すことができる。典型的には、相対的により硬い媒体種は、より硬い印刷媒体の座屈の傾向が少ないために、より高い値のNおよびNを許容する。対照的に、相対的により硬くない印刷媒体は、そのような印刷媒体の座屈の傾向がより大きいため、より低い値のNおよびNを必要とする。
【0035】
吸引プラテン7は、必要に応じてキャッピングおよび/またはメンテナンス介入を可能にするため、あるいは紙詰まりを解消するために、プリントヘッド3および5に向かっておよびそこから離れるように昇降可能であり得る。メンテナンスおよび/またはキャッピング介入を可能にするためにプラテンを昇降して並進させるための適切な構成は、米国特許第8,523,316号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。追加的にまたは代替的に、各プリントヘッド3および5はプラテン7に向かっておよびプラテン7から離れるように昇降可能である。メンテナンスおよび/またはキャッピング介入を可能にするためにプリントヘッドを昇降および並進させるための適切な構成は米国特許第9,061,531号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
本発明を2つの重なり合う固定プリントヘッドに関して記載してきたが、当然のことながら、本発明は、プリントヘッドが重なり合っている、重なり合っていない、または整列されているかどうかに関係なく、媒体送り経路に沿って配置された任意の数のプリントヘッド(例えば3つ以上)に適用可能であり得ることが理解されるであろう。例えば、追加の第3および第4のプリントヘッドを第1および第2のプリントヘッドの間に配置し、中間ローラを各プリントヘッドの間に順番に配置することができる。3つ以上のプリントヘッドを有するこれらおよび他の構成は本発明の範囲内である。
【0037】
当然のことながら、本発明は例として記載されているに過ぎず、詳細の変更は添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内でなされ得ることが理解されるであろう。
図1
図2