(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】タッチパネル、アレイ基板、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220726BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220726BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20220726BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20220726BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220726BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220726BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 120
G02F1/1343
G02F1/1368
G02F1/1333
G09F9/30 338
G09F9/00 366A
(21)【出願番号】P 2019562611
(86)(22)【出願日】2018-02-12
(86)【国際出願番号】 CN2018076488
(87)【国際公開番号】W WO2019007078
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】201710539146.7
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ ▲興▼友
(72)【発明者】
【氏名】李 月
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 希
(72)【発明者】
【氏名】李 彦辰
(72)【発明者】
【氏名】李 金▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 大▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 宇
(72)【発明者】
【氏名】侯 少▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】王 冬
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ 明▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 旺
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104820532(CN,A)
【文献】特開2013-246695(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106783873(CN,A)
【文献】特開2015-106240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0246423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G02F 1/1343
G02F 1/1368
G02F 1/1333
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタッチ電極ユニットを備えるタッチパネルであって、前記複数のタッチ電極ユニットの各々は、互いに絶縁された第1の電極と第2の電極とを含み、双方が共通電極として用いられ、前記第2の電極は前記第1の電極の外側を囲んでいる、タッチパネルと、
前記共通電極の上または下に位置する画素電極と、
前記画素電極の1行のうちの奇数列の前記画素電極を駆動して表示する第1のスイッチ管と、
前記画素電極の1行のうちの偶数列の前記画素電極を駆動して表示する第2のスイッチ管と、
前記第1のスイッチ管のゲートに接続された第1のゲート線と、
前記第2のスイッチ管のゲートに接続された第2のゲート線と、
を備え、
前記画素電極の2列ごとにデータ線を1本設けて、前記データ線を挟む隣接する2列の前記画素電極はこれにそれぞれ接続された前記第1のスイッチ管及び前記第2のスイッチ管を介して前記データ線に接続され、
共通信号線は、前記データ線がその間に設けられていない隣接する2列の前記画素電極の間に分布し、前記データ線と同一の材料を用いて同一の層に設けられ、前記データ線と前記共通電極との間の絶縁層に設けられたビアを介して前記共通電極に接続され、
前記共通信号線は、表示時には共通電極線として用いられ、タッチ時には前記タッチパネルの駆動信号線及び誘導信号線として用いられ、
前記第1の電極は、正方形を呈し、
前記第2の電極は、正方形のリング形状の一体構造を呈し、その内側リングと外側リングとの間の間隔は等しく、
前記第1の電極の正方形の一辺の長さは、前記第2の電極の正方形のリング形状の前記内側リングと前記外側リングとの間の間隔の2倍に等しく、
前記第1の電極と前記第2の電極との間のギャップ幅は3μm~5μmであり、
前記共通信号線は、複数本あり、
異なる行及び同じ列にそれぞれ配置され、前記共通電極としても用いられる前記タッチ電極ユニットの、それぞれが正方形を呈する前記第1の電極は、対応する共通信号線に接続され、
異なる行及び同じ列にそれぞれ配置され、前記共通電極としても用いられる前記タッチ電極ユニットの、それぞれが正方形のリング形状の一体構造を呈する前記第2の電極は、対応する共通信号線に接続される、アレイ基板。
【請求項2】
異なる行
及び同じ列に
配置され、前記共通電極として多重化された
前記第1の電
極は、並列接続された複数の前記共通信号線のうちの相応の共通信号線
に接続され、
異なる行
及び同じ列に
配置され、前記共通電極として多重化された
前記第2の電
極は、並列接続された複数の前記共通信号線のうちの相応の共通信号線
に接続される
請求項
1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のアレイ基板を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年7月4日に提出された中国特許出願No. 201710539146.7の優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての公開内容を参照により援用する。
【0002】
本開示は、タッチ表示技術分野に関し、具体的にタッチパネル、アレイ基板、及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
タッチパネルは、その実現原理により抵抗式、静電容量式、表面弾性波式、赤外線式等に分類される。現在、広く用いられているのは静電容量式タッチ技術である。静電容量式タッチ技術には相互容量式と自己容量式とがあり、相互容量式タッチパネルのタッチ原理は、タッチ駆動電極(ライン)を介してタッチセンス電極(ライン)にタッチセンス電圧信号を印加し、タッチセンス電極(ライン)からフィードバックされる電圧信号を受信することにより、タッチイベントの発生及びタッチイベントが発生した位置を判断するというものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、互いに絶縁された第1の電極と第2の電極を含むタッチ電極ユニットを備え、前記第2の電極は前記第1の電極の外側を囲んでいるタッチパネルを提供する。
【0005】
任意選択で、第1の電極は矩形状を呈し、前記第2の電極は矩形のリング形状を呈する。
【0006】
任意選択で、前記第1の電極は正方形を呈し、前記第2の電極は正方形のリング形状を呈し、その内側リングと外側リングとの間の間隔は等しく、前記正方形の第1の電極の辺の長さは、前記正方形のリング形状の第2の電極の内側リングと外側リングとの間の間隔の2倍に等しい。
【0007】
任意選択で、前記第1の電極は「十」字の形状を呈し、前記第2の電極は、前記「十」字の形状の第1の電極に整合するリング状を呈し、その内側リングが「十」字の形状を呈し、その外側リングが矩形状を呈する。
【0008】
任意選択で、前記第1の電極は円形を呈し、前記第2の電極は、前記円形の第1の電極に整合するリング形状を呈し、その内側リングが円形を呈し、その外側リングが矩形状を呈する。
【0009】
任意選択で、前記第1の電極と前記第2の電極との間のギャップ幅は3μm~5μmである。
【0010】
任意選択で、前記タッチ電極ユニットは複数あり、複数の前記タッチ電極ユニットはアレイ状に分布している。
【0011】
任意選択で、2つのタッチ電極ユニット間のギャップ幅は3~5μmである。
【0012】
任意選択で、前記第1の電極は駆動電極であり、前記第2の電極は誘導電極である。あるいは、前記第1の電極は誘導電極であり、前記第2の電極は駆動電極である。
【0013】
任意選択で、前記タッチパネルはタッチ駆動回路をさらに備え、前記駆動電極の各々は駆動信号線に対応して接続され、前記誘導電極の各々は誘導信号線に対応して接続され、前記駆動信号線と前記誘導信号線はそれぞれ前記タッチ駆動回路に接続され、前記タッチ駆動回路は、前記駆動信号線を介して前記駆動電極にタッチ駆動信号を出力し、前記誘導信号線を介して前記誘導電極よりフィードバックされるタッチ誘導信号を受信する。
【0014】
本開示の他の態様によれば、上記タッチパネルを含むアレイ基板を提供する。
【0015】
任意選択で、前記アレイ基板は画素電極と共通電極をさらに含み、前記画素電極は、前記共通電極の上または下に位置し、前記タッチパネルの第1の電極と第2の電極は前記共通電極を多重化する。
【0016】
任意選択で、前記アレイ基板は、第1のスイッチ管、第2のスイッチ管、第1のゲート線、第2のゲート線、データ線、及び共通信号線をさらに含む。前記第1のスイッチ管は、前記画素電極の1行のうちの奇数の前記画素電極を駆動して表示し、前記第2のスイッチ管は、前記画素電極の1行のうちの偶数の前記画素電極を駆動して表示し、前記第1のゲート線は、前記第1のスイッチ管のゲートに接続され、前記第2のゲート線は、前記第2のスイッチ管のゲートに接続され、前記画素電極の2列ごとに前記データ線を1本設けて、前記データ線を挟む隣接する2列の前記画素電極はこれに接続された前記第1のスイッチ管及び前記第2のスイッチ管をそれぞれ介して当該前記データ線に接続され、前記共通信号線は、前記データ線がその間に設けられていない隣接する2列の前記画素電極の間に分布し、前記データ線と同一の材料を用いて同一の層に設けられ、前記データ線と前記共通電極との間の絶縁層に設けられたビアを介して前記共通電極に接続され、前記共通信号線は、表示時には前記共通電極として用いられ、タッチ時には前記タッチパネルの駆動信号線及び誘導信号線として用いられる。
【0017】
任意選択で、前記共通信号線は複数本あり、異なる行における前記共通電極として多重化された複数の第1の電極の各々は、対応する共通信号線にそれぞれ接続され、異なる行における前記共通電極として多重化された複数の第2の電極の各々は、対応する共通信号線に接続される。
【0018】
任意選択で、前記共通信号線は複数本あり、異なる行における前記共通電極として多重化された複数の第1の電極の各々は、並列接続された複数の前記共通信号線のうちの相応の共通信号線にそれぞれ接続され、異なる行における前記共通電極として多重化された複数の第2の電極の各々は、並列接続された複数の前記共通信号線のうちの相応の共通信号線にそれぞれ接続される。
【0019】
本開示の一態様によれば、上記アレイ基板を含む表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本開示の実施形態によるタッチパネルにおけるタッチ電極ユニットの構造上面図である。
【
図2a】
図2aは
図1の誘導電極にフィードバック電圧信号が感知されていないときの電圧信号波形図である。
【
図2b】
図2bは
図1の誘導電極にフィードバック電圧信号が感知されたときの電圧信号波形図である。
【
図3a】
図3aは、本開示の実施形態によるタッチパネルがタッチされたときのタッチ位置が、あるタッチ電極ユニットの真上に発生することを示す概略図である。
【
図3b】
図3bは、本開示の実施形態によるタッチパネルがタッチされたときのタッチ位置が、同一の行にあり、かつ列が隣接する2つのタッチ電極ユニットの間に発生することを示す概略図である。
【
図3c】
図3cは、本開示の実施形態によるタッチパネルがタッチされたときのタッチ位置が、同一の列にあり、かつ行が隣接する2つのタッチ電極ユニットの間に発生することを示す概略図である。
【
図3d】
図3dは、本開示の実施形態によるタッチパネルがタッチされたときのタッチ位置が、行及び列のいずれも隣接する4つのタッチ電極ユニットの間に発生することを示す概略図である。
【
図4】
図4は本開示の実施形態によるタッチパネルにおけるタッチ電極ユニットの構造上面図である。
【
図5】
図5は本開示の実施形態によるタッチパネルにおけるタッチ電極ユニットの構造上面図である。
【
図6】
図6は本開示の実施形態によるアレイ基板の構造上面図である。
【
図7】
図7は本開示の実施形態によるアレイ基板におけるタッチ電極ユニットの設置構造上面図である。
【
図8】
図8は本開示の実施形態によるアレイ基板におけるタッチ電極ユニットの設置構造上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の技術案を当業者によりよく理解させるために、以下では図面と具体的な実施形態を組み合わせて、本開示で提供されるタッチパネル、アレイ基板、及び表示装置に対しさらに詳細に説明する。
【0022】
現在のタッチ駆動電極とタッチセンス電極は、通常縦横に交差した駆動電極列とセンス電極列として設けられ、駆動電極列とセンス電極列とが交差する箇所は静電容量を形成し、即ち、駆動電極列とセンス電極列はそれぞれ静電容量の両極を構成し、指が静電容量スクリーンに触れると、タッチポイント近傍における2つの電極列間のカップリングに影響を与え、これにより2つの電極列間の静電容量が変化する。相互容量の大きさを検出する際には、横方向に設けられた駆動電極列が順次に励振信号を発し、縦方向のセンス電極列が同時にセンス信号を受信することにより、横方向及び縦方向の全ての電極列の交差点の静電容量値の大きさ、即ち、タッチスクリーン全体の2次元平面の静電容量の大きさを得ることができる。タッチスクリーンの2次元の静電容量の変化量データに基づいて、各タッチポイントの座標を算出することができる。
【0023】
駆動電極列の各々は、1本の駆動信号線を介してタッチ駆動チップに接続され、センス電極列の各々は、1本のセンス信号線を介してタッチ駆動チップに接続され、駆動電極列またはセンス電極列全体と、表示パネル上の隣接する金属膜層との間のカップリング容量が比較的大きいため、タッチ駆動チップが駆動信号線またはセンス信号線の各々に接続される時のチャネルインピーダンスが高くなる。このような横方向または縦方向に直列に接続された駆動電極とセンス電極の設計は、駆動および誘導のチャネルインピーダンスが高いため、タッチスクリーン全体の感度及び信号対雑音比が比較的低くなる。
【0024】
よって、タッチスクリーンの感度及び信号対雑音比を如何にして向上させるかというのは、現在早急に解決しなければならない問題となっている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態は、互いに絶縁された第1の電極11と第2の電極12を含むタッチ電極ユニット1を備え、第2の電極12は第1の電極11の外側を囲んでいるタッチパネルを提供する。
【0026】
タッチ電極ユニット1における第2の電極12が第1の電極11の外側を囲むように設置することにより、第1の電極11と第2の電極12がそれぞれ独立して設けられるため、タッチパネルがタッチされる時に、第1の電極11と第2の電極12に対してそれぞれタッチ駆動を行う。従来技術のタッチパネルにおける複数の駆動電極が接続されて形成される駆動電極列と複数のセンス電極が接続されて形成されるセンス電極列の設計に比べて、タッチパネルにおける第1の電極11と第2の電極12が駆動及び誘導を行う時のインピーダンスが低減され、タッチパネルの感度及び信号対雑音比が向上する。
【0027】
本実施形態において、第1の電極11は矩形状を呈し、第2の電極12は矩形のリング形状を呈する。矩形のリング形状の第2の電極12は矩形状の第1の電極11の外側を取り囲んでおり、第1の電極11は駆動電極であり、第2の電極12は誘導電極である。このように、駆動電極を誘導電極の中心部に位置させることにより、誘導電極が駆動電極を最大限に感知できるようになり、タッチ電極ユニット1のタッチ感度が向上する。また、このような設置は構造が簡単で、工程が簡略化され、製造も便利である。
【0028】
好ましくは、第1の電極11と第2の電極12との間のギャップ幅は3~5μmである。このギャップ幅では、タッチ電極ユニット1が指のタッチ制御を感度よく感知でき、指のタッチ制御に対する感知精度が高い。
【0029】
実施形態において、第1の電極11は正方形を呈し、第2の電極12は正方形のリング形状を呈し、その内側リングと外側リングとの間の間隔は等しく、正方形の第1の電極11の辺の長さは、正方形のリング形状の第2の電極12の内側リングと外側リングとの間の間隔の2倍に等しい。本実施形態において、第1の電極11は駆動電極であり、第2の電極12は誘導電極である。このように、駆動電極を誘導電極の中心部に位置させることにより、誘導電極が駆動電極を最大限に感知できるようになり、タッチ電極ユニット1のタッチ感度が向上する。
【0030】
好ましくは、第1の電極11と第2の電極12との間のギャップ幅は3~5μmである。このギャップ幅では、タッチ電極ユニット1が指のタッチ制御を感度よく感知でき、指のタッチ制御に対する感知精度が高い。
【0031】
本実施形態において、タッチ電極ユニット1は複数あり、複数のタッチ電極ユニット1はアレイ状に分布している。即ち、タッチパネルにおける第1の電極11と第2の電極12のいずれもアレイ状に分布しており、第2の電極12が第1の電極11の外側を囲むように設置することにより、タッチパネル全体のタッチ感度及び信号対雑音比を向上させることができる。また、このような設置は構造が簡単で、工程が簡略化され、製造も便利である。
【0032】
好ましくは、隣接する2つのタッチ電極ユニット1の間のギャップ幅は3~5μmである。このギャップ幅では、タッチ電極ユニット1が指のタッチ制御を感度よく感知でき、指のタッチ制御に対する感知精度が高い。
【0033】
本実施形態において、タッチパネルはタッチ駆動回路をさらに備え、駆動電極の各々は1本の駆動信号線に対応して接続され、誘導電極の各々は1本の誘導信号線に対応して接続され、駆動信号線と誘導信号線はそれぞれタッチ駆動回路に接続され、タッチ駆動回路は、駆動信号線を介して駆動電極にタッチ駆動信号を出力し、誘導信号線を介して誘導電極よりフィードバックされるタッチ誘導信号を受信する。1つの駆動電極列全体が1本の駆動信号線を介してタッチ駆動チップに接続され、1つのセンス電極列全体が1本の誘導信号線を介してタッチ駆動チップに接続されるという従来技術の設置と比較して、このような設置では、駆動電極及び誘導電極と、表示パネルにおける他の金属膜層との間のカップリング容量を大幅に低減することができ、タッチ駆動回路における各チャネルに対するインピーダンスの要求を低減することができ、さらに、タッチ駆動回路における、駆動電極及び誘導電極を接続する各チャネルに対する駆動能力の要求を低減することができる。同時に、自己容量タッチ原理によるタッチパネルとの比較において本実施形態におけるタッチパネルは、さらにマルチタッチを実現することができる上、タッチにはゴーストポイントがない。
【0034】
本実施形態におけるタッチパネルのタッチ原理は、通電している場合、駆動電極とセンス電極との間に相互容量が形成され、タッチ駆動電圧信号が駆動信号線を介して相応の駆動電極に送信されると、静電容量のカップリング作用により、その周囲の誘導電極が相応の電圧信号を感知して、相応の誘導信号線を介してタッチ駆動回路の受信端(受信チャネル)にフィードバックするというものである。指がタッチパネルに触れると、駆動電極と誘導電極との間のフリンジ電界の分布が変化し、誘導電極で感知されるフィードバック電圧信号が変化する。
【0035】
図2aは誘導電極にフィードバック電圧信号が感知されていないときの電圧信号波形図であり、
図2bは誘導電極にフィードバック電圧信号が感知されたときの電圧信号波形図である。駆動電極と誘導電極が位置する座標位置によって、指の具体的なタッチ位置を特定することができ、タッチパネルへのタッチが実現される。
【0036】
なお、第1の電極11は誘導電極であってもよく、第2の電極12は駆動電極であってもよい。第2の電極12が第1の電極11の外側を囲むように設置することにより、タッチパネルの感度及び信号対雑音比を向上させることができる。また、このような設置は構造が簡単で、工程が簡略化され、製造も便利である。
【0037】
本実施形態におけるタッチパネルの上記構造に基づいて、当該タッチパネルはタッチ時に、各駆動信号線を介して各駆動電極に同時にタッチ駆動信号を送信し、各誘導信号線を介して各誘導電極からフィードバックされたタッチ誘導信号を同時に受信することができ、これにより、タッチパネル全体に対するタッチを実現することができる。当該タッチパネル上の指のタッチ位置と、誘導電極によって感知されるフィードバック信号は、以下の4つの場合があり得る。
【0038】
1:タッチ駆動回路が、第i行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極によるタッチフィードバック信号のみを検出した場合、
図3aに示すように、指13のタッチ位置は、第i行第j列のタッチ電極ユニット1の真上にある。
【0039】
2:タッチ駆動回路が、第i行第j-1列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極と第i行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極によるタッチフィードバック信号を同時に検出した場合、
図3bに示すように、指13のタッチ位置は、第i行第j-1列のタッチ電極ユニット1と第i行第j列のタッチ電極ユニット1との間にある。
【0040】
3:タッチ駆動回路が、第i-1行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極と第i行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極によるタッチフィードバック信号を同時に検出した場合、
図3cに示すように、指13のタッチ位置は、第i-1行第j列のタッチ電極ユニット1と第i行第j列のタッチ電極ユニット1との間にある。
【0041】
4:タッチ駆動回路が、第i-1行第j-1列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極、第i-1行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極、第i行第j-1列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極及び第i行第j列(1≦i≦m、1≦j≦n)の誘導電極によるタッチフィードバック信号を同時に検出した場合、
図3dに示すように、指13のタッチ位置は、第i-1行と第i行のタッチ電極ユニット1と、第j-1列と第j列のタッチ電極ユニット1との間にある。
【0042】
タッチパネルにおけるタッチ電極ユニット1に対する上記のようなタッチにより、指のタッチ位置を高感度かつ精確に検出することを実現でき、当該タッチパネルのタッチ感度及び精度を高めることができる。
【0043】
なお、当該タッチパネルがタッチされる際に、タッチパネルにおけるタッチ電極ユニット1に対し行単位駆動又は列単位駆動を行うことも可能であり、同様に、当該タッチパネルの高感度かつ精確なタッチを実現でき、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態は、第1の電極11は「十」字の形状を呈し、第2の電極12は、「十」字の形状の第1の電極に整合するリング状を呈し、その内側リングが「十」字の形状を呈し、その外側リングが矩形状を呈するタッチパネルを提供する。
【0045】
本実施形態におけるタッチパネルの他の構造(例えば、第1の電極11と第2の電極12との間のギャップ幅など)及び当該タッチパネルに対する駆動は、上記実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態における、第1の電極11と第2の電極12の形状設置、及び第1の電極11に対する第2の電極12の取り囲み設置は、同様にタッチパネルの感度及び信号対雑音比を向上させることができる。また、このような設置は構造が簡単で、工程が簡略化され、製造も便利である。
【0047】
図5に示すように、本実施形態は、第1の電極11は円形を呈し、第2の電極12は、円形の第1の電極11に整合するリング形状を呈し、その内側リングが円形を呈し、その外側リングが矩形状を呈するタッチパネルを提供する。
【0048】
本実施形態におけるタッチパネルの他の構造(例えば、第1の電極11と第2の電極12との間のギャップ幅など)及び当該タッチパネルに対する駆動は、上記実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態において、第1の電極11と第2の電極12の形状設置、及び第1の電極11に対する第2の電極12の取り囲み設置は、同様にタッチパネルの感度及び信号対雑音比を向上させることができる。
【0050】
上記実施形態の有益な効果は、タッチパネルにおいて、タッチ電極ユニットにおける第2の電極が第1の電極の外側を囲むように設置することにより、第1の電極と第2の電極がそれぞれ独立して設けられるため、タッチパネルがタッチされる時に、第1の電極と第2の電極に対してそれぞれタッチ駆動と誘導を行い、従来技術のタッチパネルにおける複数の駆動電極が接続されて形成される駆動電極列と複数のセンス電極が接続されて形成されるセンス電極列の設計に比べて、タッチパネルにおける第1の電極と第2の電極が駆動及び誘導を行う時のインピーダンスが低減され、タッチパネルの感度及び信号対雑音比が向上する上、このような設置は構造が簡単で、工程が簡略化され、製造も便利であるというものである。
【0051】
本実施形態は、前述の実施形態のいずれかに記載のタッチパネルを含むアレイ基板を提供する。
【0052】
本実施形態において、
図6及び
図7に示すように、アレイ基板は画素電極2と共通電極3をさらに含み、画素電極2は共通電極3の上に位置し、タッチパネルの第1の電極11と第2の電極12は共通電極3を多重化する。即ち、第1の電極11と第2の電極12は、表示時には共通電極3として、タッチ時にはタッチ電極として、表示とタッチの時分割駆動により共通電極3とタッチ電極の切替を実現できる。これにより、インセル型タッチパネルが実現でき、アレイ基板の全体の厚さを薄くすることができるとともに、アレイ基板の製作コストを大幅に低減することができる。
【0053】
なお、画素電極は共通電極の下に位置してもよい。上に位置する画素電極又は共通電極はスリット状である。
【0054】
本実施形態において、
図6に示すように、アレイ基板は第1のスイッチ管4、第2のスイッチ管5、第2のゲート線6、第1のゲート線7、データ線8、及び共通信号線9をさらに含む。第1のスイッチ管4は、画素電極2の1行のうちの奇数の画素電極2を駆動して表示し、第2のスイッチ管5は、画素電極2の1行のうちの偶数の画素電極2を駆動して表示し、第2のゲート線6は、第2のスイッチ管5のゲートに接続され、第1のゲート線7は、第1のスイッチ管4のゲートに接続され、画素電極2の2列ごとにデータ線8を1本設けて、データ線8を挟む隣接する2列の画素電極2はこれに接続された第1のスイッチ管4及び第2のスイッチ管5をそれぞれ介して当該データ線8に接続される。当該アレイ基板は、ダブルゲート線を用いて画素電極2の1行のうちの奇数の画素電極2と偶数の画素電極2をそれぞれ駆動することにより、データ線8の数を半分にすることができ、データ駆動チップの使用数を減らしてコストを低減することができる。
【0055】
データ線8の数を半分にする実施形態は、ゲート線の数を増やすことにより、隣接する奇偶列の画素電極2が同一のデータ線8を共有するようにし、時分割駆動法で行毎の奇偶列の画素電極2を充電するというものである。第2のゲート線6は偶数列の画素電極2を駆動し、第1のゲート線7は奇数列の画素電極2を駆動する。各データ線8は、隣接する奇偶列の画素電極2によって共有される。第一のスイッチ管4は奇数列の画素電極2の充放電を制御し、第2のスイッチ管5は偶数列の画素電極2の充放電を制御する。
【0056】
図6及び
図7に示すように、共通信号線9は、データ線8がその間に設けられていない隣接する2列の画素電極2の間に分布し、データ線8と同一の材料を用いて同一の層に設けられ、データ線8と共通電極3との間の絶縁層に設けられたビア10を介して共通電極3に接続され、共通信号線9は、表示時には共通電極3として用いられ、タッチ時にはタッチパネルの駆動信号線及び誘導信号線として用いられる。このように、表示時に共通信号線9を共通電極3として用いることにより、画素電極2と共通電極3との間の蓄積容量を増大させることができ、当該アレイ基板を用いた表示パネルの表示効果をより向上させることができる。また、共通信号線9の設置は、アレイ基板の製造工程を余分に増やすことがないだけでなく、その設置位置がアレイ基板の画素開口率に影響を与えることもない。同時に、共通信号線9は、タッチパネルのタッチの高感度と高信号対雑音比を実現することができる。
【0057】
本実施形態において、
図7に示すように、共通信号線9は複数本あり、異なる行における共通電極として多重化された複数の第1の電極11の各々は、対応する1本の共通信号線9にそれぞれ接続され、異なる行における共通電極として多重化された複数の第2の電極12の各々は、対応する1本の共通信号線9にそれぞれ接続される。即ち、第1の電極11と第2の電極12の各々は、対応する1本の共通信号線9に接続され、これにより、タッチ段階では、タッチ駆動回路における、共通信号線9に接続される各チャネルに対するインピーダンスの要求を低減し、タッチ駆動回路における各チャネルに対する駆動能力の要求を低減することができ、表示段階では、共通信号線9を複数本設けることにより、画素電極と共通電極との間の蓄積容量を増大させることができ、当該アレイ基板を用いた表示パネルの表示効果をより向上させることができる。
【0058】
図8は本開示の実施形態によるアレイ基板におけるタッチ電極ユニットの設置構造上面図である。
図8に示すように、本実施形態は、共通信号線9が複数本あり、異なる行における共通電極として多重化された複数の第1の電極11の各々は、並列接続された複数の共通信号線のうちの相応の共通信号線にそれぞれ接続され、異なる行における共通電極として多重化された複数の第2の電極12の各々は、並列接続された複数の共通信号線のうちの相応の共通信号線にそれぞれ接続されるアレイ基板を提供する。
【0059】
並列接続された複数の共通信号線の各々は、各行における相応の第1の電極に接続され、第1の電極に接続された共通信号線の抵抗を低減する。並列接続された複数の共通信号線の各々は、異なる行における相応の第2の電極に接続され、第2の電極に接続された共通信号線の抵抗を低減する。これにより、タッチ段階では、タッチ駆動回路における、共通信号線に接続される各チャネルに対する駆動能力の要求をさらに低減し、タッチ駆動回路における各チャネルに対するインピーダンスの要求をさらに低減することができ、表示段階では、複数本の共通信号線の並列接続の設置により、画素電極と共通電極との間の蓄積容量をさらに増大させることができ、当該アレイ基板を用いた表示パネルの表示効果をより向上させることができる。
【0060】
なお、並列接続される共通信号線の数は具体的にアレイ基板に設けられた第1の電極と第2の電極の数に応じて決定され、第1の電極と第2の電極の各々は少なくとも1本の共通信号線に個別に接続されることを保証する。
【0061】
本実施形態におけるアレイ基板の他の構造は前述の実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0062】
本実施形態で提供されるアレイ基板は、前述の実施形態のいずれかにおけるタッチパネルを用いることにより、当該アレイ基板の高感度タッチとタッチ時の高信号対雑音比を実現できるだけでなく、当該アレイ基板のインセル式タッチも実現でき、アレイ基板の全体の厚さを薄くし、アレイ基板の製作コストを大幅に低減するとともに、アレイ基板の画素開口率に影響を与えることもない。
【0063】
本実施形態は、前述の実施形態によるアレイ基板を含む表示装置を提供する。
【0064】
アレイ基板を用いることにより、当該表示装置のタッチ感度とタッチ時の信号対雑音比が向上する。
【0065】
本開示で提供される表示装置は、携帯電話、ナビゲーション等のタッチ表示機能を有する任意の製品又は部品であり得る。
【0066】
以上の実施形態は本開示の原理を説明するために用いた例示的なものに過ぎず、本開示はこれに限定されない。当業者にとって、本開示の精神と実質的な状況を逸脱しない範囲で種々の変形と改良が可能であり、それらの変形と改良も本開示の請求範囲と見なされる。