(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】皮内注射装置用キャップハブインターフェイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/34 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A61M5/34 510
(21)【出願番号】P 2019566614
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2018000675
(87)【国際公開番号】W WO2018220441
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-03-30
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ズッケッリ
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-056009(JP,A)
【文献】特開2008-043388(JP,A)
【文献】特開2015-155020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0010433(US,A1)
【文献】特表2016-501061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および近位端を有する筒部と、筒部の遠位端に設けられる先端とを含むシリンジであって、筒部は、筒部の近位端から遠位端に至る内部ボアを画定するシリンジと;
近位端および遠位端を有する本体と、本体の近位端に設けられる縮径部と、本体の外面に設けられるネジ山とを含むルアーロックアダプターであって、縮径部はシリンジの先端を摩擦ばめで受容する開口部を画定するルアーロックアダプターと;
内部キャビティを画定する本体と、本体から遠位に向かって延びるニードル受容部と、内部キャビティ中へと内方に延びるスカートとを含むニードルハブであって、本体の内面は、ルアーロックアダプターのネジ山に対応して、ニードルハブに対してルアーロックアダプターを連結するネジ山を含み、ニードル受容部はシリンジの先端を受容する内腔を画定するニードルハブと
を含むことを特徴とする注射装置。
【請求項2】
前記開口部は、所定のシリンジタイプであるシリンジの先端にのみ適合するような寸法で作製されていることを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記開口部の直径は、前記シリンジの先端の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項4】
前記開口部は、星形の構成を有することを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項5】
前記開口部は不連続であり、中央開口部と共に形成される複数の凹部を含んで、前記開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項6】
前記開口部の端部は、面取り加工されていることを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項7】
前記先端は、その中に溝部を含み、前記開口部の端部は、面取り加工されて前記溝部と係合し、前記シリンジを前記ルアーロックアダプター内に保持していることを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項8】
前記ニードル受容部により画定される内腔は、前記ニードル受容部の遠位端から近位端に向かって次第に細くなる内面を有することを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項9】
前記内腔の遠位端の直径は、前記内腔の近位端の直径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の注射装置。
【請求項10】
前記内腔の近位端の直径は、前記シリンジの先端の遠位端と、前記ルアーロックアダプターの遠位端との間の距離を制限していることを特徴とする請求項9に記載の注射装置。
【請求項11】
所定の距離は2mmと2.5mmとの間であることを特徴とする請求項10に記載の注射装置。
【請求項12】
前記ニードルハブの本体は、本外の外面に画定され、かつルアーロックアダプターおよびニードルハブ中へのシリンジの連結の際に使用者がニードルハブを保持するのを補助する、複数の掴みリブを含むことを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に注射装置用のキャップハブインターフェイスを指向し、特に皮内注射装置用キャップハブインターフェイスを指向する。
【背景技術】
【0002】
現在、慣用のルアーロックシリンジが、いくつかの異なる種類およびスタイルのニードルとの連結を可能にしている。これら異なる種類のニードルは、広範な用途において用いられており、皮内用ニードル、皮下用ニードル、筋肉内用ニードルおよび静脈内用ニードルを含む。薬品会社は、唯一の特定用途(たとえば、皮内用途のみ)に適当である薬剤および薬品を開発してきている。世界のいくつかの地域における現地の規制は、特定の注射装置と所望されない製品または薬剤との誤連結の回避を要求する。したがって、現在、所望される薬剤または薬品を含む所望または所定のシリンジのみを受容するように設計された注射装置に関する要求が存在する。さらに、現在、所望される用途に特異的な所定または所望されるニードルのみと連結するように設計された注射装置に関する要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの例において、注射装置は:遠位端および近位端を有する筒部と、筒部の遠位端に設けられる先端とを含むシリンジであって、筒部は、筒部の近位端から遠位端に至る内部ボアを画定するシリンジと;近位端および遠位端を有する本体と、本体の近位端に設けられる縮径部と、本体の外面に設けられるネジ山とを含むルアーロックアダプターであって、縮径部はシリンジの先端を摩擦ばめで受容する開口部を画定するルアーロックアダプターと;内部キャビティを画定する本体と、本体から遠位に向かって延びるニードル受容部と、内部キャビティ中へと内方に延びるスカートとを含むニードルハブであって、本体の内面は、ルアーロックアダプターのネジ山に対応して、ニードルハブに対してルアーロックアダプターを連結するネジ山を含み、ニードル受容部はシリンジの先端を受容する内腔を画定するニードルハブとを含む。
【0004】
1つの構成において、開口部は、所定のシリンジタイプであるシリンジの先端にのみ適合するような寸法で作製されている。
【0005】
特定の構成において、開口部は、星形の構成を有する。別の構成において、開口部は不連続であり、中央開口部と共に形成される複数の凹部を含んで、開口部を形成する。
【0006】
先端は、その中に溝部を含んでもよく、開口部の端部(エッジ)を面取り加工して、溝部と係合してルアーロックアダプター内にシリンジを保持してもよい。ニードル受容部によって画定される内腔は、ニードル受容部の遠位端から近位端に向かって次第に細くなる内面を有してもよい。内腔の遠位端の直径は、内腔の近位端の直径よりも大きくてもよい。ある種の構成において、内腔の近位端の直径は、シリンジの先端の遠位端と、ルアーロックアダプターの遠位端との間の距離を制限する。所定の距離は、2mmと2.5mmとの間であってもよい。
【0007】
特定の構成において、ニードルハブの本体は、本外の外面に画定される複数の掴みリブを含んで、ルアーロックアダプターおよびニードルハブ中へのシリンジの連結の際に、使用者がニードルハブを保持するのを補助する。
【0008】
連結設備のこれらおよび他の特徴および特質、ならびに設備の関連する要素の操作および機能は、添付の図面(それら全ては本明細書の一部を構成する)を参照する以下の記載の考察により、より明らかになるであろう。種々の図において、類似の参照符号は対応する部分を指示する。しかしながら、図面が例示および説明の目的のためのみであり、本開示の限界を画定することを意図するものではないことを、はっきりと理解すべきである。文脈が特に明確に指示しない限りにおいて、本明細書で用いられる際に、「a」、「an」および「the」の単数形は、複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の1つの例にしたがう注射装置の透視図である。
【
図5】
図4の注射装置の遠位端の分解断面図である。
【
図6】本開示の1つの例にしたがうニードルハブおよびルアーロックアダプターの透視図である。
【
図7】
図4の注射装置の遠位端の分解透視図である。
【
図8】
図4の注射装置の遠位端の分解側面図である。
【
図9】
図4の注射装置の遠位端の分解側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以後の説明の目的のために、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」およびそれらの類語は、図中に配向されている通りに本発明に関連するであろう。しかしながら、特に相反することが明示されている場合を除いて、本発明が代替の変形および工程順序を想定してもよいことを理解すべきである。添付の図面に例示され、以下の明細書に記載される具体的なシステムおよびプロセスは、単に本発明の例示的な例であることも理解すべきである。したがって、本明細書に開示される例に関する具体的な寸法および他の物理的特性は、限定的に理解すべきではない。
【0011】
本発明は、一般的に注射装置10を指向し、特に、ニードルハブ16に対してシリンジ14を連結することを補助するように設計されたルアーロックアダプター12を指向する。
図1~
図9を参照して、注射装置10を記載する。
【0012】
図1~
図9を参照して、注射装置10は、シリンジ14、ルアーロックアダプター12およびニードルハブ16を含む。使用者が注射装置10を保持または把持することを補助するために、取り外し可能な把持ハンドル(不図示)をシリンジ14に設けてもよいことも考えられる。シリンジ14は、概円筒状のシリンジ筒部18と、その近位端に提供される一体型フランジ20と、その遠位端に提供される先端22とを含む。先端22は、シリンジ筒部18よりも小さい直径を有してもよい。先端22は、ニードル(不図示)との連結のために設計される。
図4に示すように、1つの例において、先端22は、以下により詳細に説明するように、ルアーロックアダプター12に対してシリンジ14を連結するのを補助するための溝部23を画定してもよい。1つの例において、シリンジ14はガラス製であってもよい。シリンジ14を透明な医療グレードのプラスチックで作製することも考えられる。シリンジ14は、シリンジ14の近位端から遠位端に向かって延びる内部ボア24を画定する。内部ボア24は患者に注射される薬剤を受容および保持するように設計される。
【0013】
図3および
図4に例示するように、本開示の1つの例において、ルアーロックアダプター12は、ニードルハブ16に対してネジにより連結され、シリンジ14の先端22に摩擦ばめされる。1つの例において、ルアーロックアダプター12は、変形可能なプラスチック製である。ルアーロックアダプター12は、本体部材26と、縮径内部突起28とを含む。本体部材26は、ニードルハブ16の一部およびシリンジ14の先端22を受容するように設計される内部キャビティ30を画定する。1つの例において、内部キャビティ30の直径は、一般的に6.5mm~7mmである。ニードルハブ16の一部は、ルアーロックアダプター12の遠位端に受容される。シリンジ14の先端22は、ルアーロックアダプター12の近位端に受容される。1つの例において、本体部材26は、概円筒状の形状である。
図3および
図4に示すように、本体部材26の外側円周面は、以下により詳細に説明するように、ニードルハブ16に対してルアーロックアダプター12を連結するためのネジ山32を含む。ピッチおよびネジ山の数のようなネジ山のネジ形状は、所望されるように適合および変更することができる。
【0014】
ルアーロックアダプター12の内部突起28は、ルアーロックアダプター12の近位端の開口部34を画定する。開口部34は、シリンジ14の先端22を受容するように設計される。異なる寸法のシリンジ先端に対応するために、開口部34の直径を変更または適合させることが考えられる。開口部34は、所望または所定のシリンジ14のみをルアーロックアダプター12内に受容できるような寸法で形成され、それによって、注射装置10内での所望されないシリンジ14の誤連結を回避する。1つの例において、開口部34の直径は、シリンジ14の先端22の外径よりもわずかに小さく、先端22を摩擦ばめにより開口部34内に保持する。スナップばめ連結、締まりばめ連結、接着剤、または他の連結方法を用いて先端22を開口部34内に保持することも考えられる。
図6に示すように、開口部34は星形の構成を有してもよい。開口部34は、不連続であってもよく、中央開口部38と共に形成されるいくつかの別個の凹部36を含んで、全体として開口部34を形成してもよい。開口部34の特定の端部(エッジ)40を面取り加工して、ルアーロックアダプター12中へのシリンジ先端22の挿入を補助してもよい。
図4を参照して、シリンジ14の先端22に溝部23が画定されている注射装置10の実施形態において、シリンジ先端22がルアーロックアダプター12中へと挿入されるにつれて、シリンジ先端22に画定された溝部23に対して端部40が係合して、ルアーロックアダプター12内にシリンジ14を保持する。
【0015】
図1~
図4を参照して、ニードルハブ16は、概円筒状の本体42と、ニードル受容部44と、内部スカート部材45とを有する。ニードル受容部44は、本体42の遠位端に設けられ、本体42よりも小さい直径を有する。ニードル受容部44は、シリンジ14の先端22との連結のために、ニードル(不図示)を受容するのに適合した内腔46を画定する。内腔46の内面は、ニードル受容部44の遠位端から近位端に向かって次第に細くなる。したがって、内腔46の遠位端の直径は、内腔46の近位端の直径よりも大きい。内腔46の近位端の縮小した直径により、シリンジ14の先端22は、ニードルハブ16との摩擦ばめにより保持される。1つの例において、内腔46の近位端の直径は、先端22の遠位端とルアーロックアダプター12の遠位端との間の所定の距離Aを維持するように設計される。1つの例において、距離Aは、一般的に2mmと2.5mmとの間であると測定される。この距離を維持して、特定の所定のニードル(不図示)のみをルアーロックアダプター12の内腔46内に受容できることを保証する。この距離が長すぎる場合、所望されるニードルは、接続のためのシリンジ14の先端まで到達できない可能性がある。この距離が短すぎる場合、特定の所定のニードルに加えて他のニードルも内腔46内に受容される可能性がある。ニードルハブ16とルアーロックアダプター12との間に特定のインターフェイスを提供することによって、1つのニードル、1種のニードル、または1つの長さのニードルのみを注射装置10に適合するように、所定の距離Aを維持することができる。たとえば、ニードルハブ16とルアーロックアダプター12との間に特定のインターフェイスを提供することによって、皮下用ニードル、筋肉内用ニードル、および静脈内用ニードルではなく、皮内用ニードルのみを注射装置10に適合させることができる。
【0016】
ニードルハブ16の本体42は、ルアーロックアダプター12と、シリンジ14の先端22とを受容する内部キャビティ48を画定する。本体42の内面は、ルアーロックアダプター12のネジ山32に対応するネジ山50を含む。ピッチおよびネジ山の数のようなネジ山50のネジ形状を、所望されるように適合および変更できることが考えられる。対応するネジ山32および50を互いに連結することにより、ルアーロックアダプター12をニードルハブ16の内部キャビティ48中にねじ込むことができる。このネジ接続は、ルアーロックアダプター12がニードルハブ16から近位端方向に動くことを防止する。本体42は、本体42の外側円周面に複数の掴みリブ52を画定してもよい。リブ52は、ルアーロックアダプター12およびニードルハブ16中へのシリンジ14の連結の際に、使用者がニードルハブ16を保持するのを補助する。
【0017】
注射装置のいくつかの例を、添付の図面中に示し、上記で詳細に記載したが、本開示の範囲および真意から解離することなしに、当業者にとって他の態様は自明であるし、当業者は容易に他の態様を作製することができるであろう。したがって、以上の記載は、限定的ではなく例示的であることを意図する。