(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】装置の位置特定のための幾何学的指紋法
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20220726BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220726BHJP
G01C 21/30 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
G01C21/30
(21)【出願番号】P 2020209216
(22)【出願日】2020-12-17
(62)【分割の表示】P 2020041754の分割
【原出願日】2015-12-18
【審査請求日】2021-01-15
(32)【優先日】2014-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517222096
【氏名又は名称】ヘーレ グローバル ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】レオ モディカ
(72)【発明者】
【氏名】レオン ステネス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ リンチ
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-127896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0153788(US,A1)
【文献】国際公開第2012/086029(WO,A1)
【文献】特開2005-326944(JP,A)
【文献】山田 大地 ほか5名,日本ロボット学会誌 [特集]つくばチャレンジ論文特集号,一般社団法人日本ロボット学会,2012年04月15日,第30巻第3号通巻221号,p.21-p.29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/14
G01C 21/26-21/36
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路ネットワークにおける場所であって前記経路ネットワーク内の場所は道路ネットワーク及び/又は通路ネットワーク内の場所について、前記場所の周りのデプス感知装置によって収集された三次元画像データと、前記三次元画像データに関連付けられた場所データを含む三次元デプスマップを受信することと、
前記三次元デプスマップ
を道路レベル及び/又は通路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割することと、
前記1つ以上の水平面から
、曲線、弧、又は、スプラインを含む二次元の特徴ジオメトリーを抽出することと
、
前記抽出された
二次元の特徴ジオメトリーの少なくとも一部分をデータベースにコード化するこ
とと、を含む、データベースをコード化するための方法。
【請求項2】
プロセッサを含みデプス感知カメラを備えたエンドユーザ装置を使用するための方法であって、
前記デプス感知カメラを用いて、経路ネットワークにおける場所であって前記経路ネットワーク内の場所は道路ネットワーク及び/又は通路ネットワーク内の場所において、前記場所の周りのデプス感知装置によって収集された三次元画像データと、前記三次元画像データに関連付けられた場所データとを含む三次元デプスマップを収集することと、
前記三次元デプスマップを前記三次元デプスマップ内の道路レベル及び/又は通路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割することと、
前記水平面か
ら二次元の特徴ジオメトリーを抽出することと
、
前記抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分と前記経路ネットワークに対する特徴ジオメトリーのデータベースを比較することで、前記エンドユーザ装置の地理的な場所を特定す
ることであって、前記
二次元の特徴ジオメトリーは曲線、弧、又は、スプラインを含み、特定することと、
を含む、方法。
【請求項3】
前記抽出された特徴ジオメトリーと特徴ジオメトリーの前記データベースを比較することで、前記エンドユーザ装置の地理的な方向付けを確認することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エンドユーザ装置は車両であり、前記デプス感知カメラは、LIDARカメラ、RADAR装置、超音波装置、構造化光カメラ、及び、移動型モノカメラよりなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エンドユーザ装置の前記地理的な場所は、(1)前記データベースにおける前記特徴ジオメトリーの選択された制御点の地理的属性、及び、(2)前記特徴ジオメトリーの各選択された制御点からの前記エンドユーザ装置の特定された距離を用いて特定され、
前記地理的属性は、各選択された制御点に対して、緯度、経度、及び、前記道路レベル及び/又は前記通路レベルから上方の高さを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記水平面は、0.1~2メートルの厚さを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各水平面は、定義され選択された高さのデータと、前記選択された高さの上下の範囲内に存在するデータとを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
二次元の特徴ジオメトリーを識別するため第1の高さで第1の水平面を解析することと、
前記第1の水平面内で有用な二次元の特徴ジオメトリーが識別されない場合には、第2の高さでの第2水平面から二次元の特徴ジオメトリーを抽出することと、
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
特徴ジオメトリーの抽出は、曲線回帰アルゴリズムを使用する、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部と前記経路ネットワークの特徴ジオメトリーのデータベースとの比較を通じて前記エンドユーザ装置の地理的な場所を決定すること、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記デプスマップ内の物理的構造物をプロセッサを用いて識別することを含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサと、
1つ以上のプログラムに対するコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備える装置であって、
前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に少なくとも、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法を実行させる、ように構成される、装置。
【請求項13】
1つ以上のプログラムのためのコンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサに請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法を少なくとも実行させるように構成される、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、指紋データベースの展開、並びに該データベースを用いてエンドユーザ装置(例えば、車両、携帯電話、スマートウォッチ等)の地理的な場所を、場合によっては、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)データがない状態で、特定することに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、ローカル・エリア無線技術(例えば、WiFi)、短波長電波(例えば、ブルートゥース(登録商標))を用いた車両の位置特定は不正確となり得る。GPSの場合、マルチパス機能により、車両によって受信される信号にタイミングの変動が生じ得る。WiFiやブルートゥース(登録商標)の場合、主に三次元(3D)空間における送信局の場所の閉塞性や正確さの欠如により、信号強度は、位置特定にとっては信頼性を欠く手段である。このような場合、マルチラテレーションが実施される際の基準は、車線レベル、又は、場合によっては、道路レベルの位置特定を行うのに十分な精度を持たない。
【発明の概要】
【0003】
指紋データベースを展開し、該データベースを用いて装置の地理的な場所を特定する、システム、装置、方法が提供される。一実施形態では、方法は、経路ネットワークにおける場所についてデプスマップ(depth map)を受信することを含む。方法は、更に、プロセッサを用いて、デプスマップ内の物理的構造物を識別することを含む。更に、方法は、各物理的構造物において、デプスマップを道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割することを含む。方法は、更に、水平面から二次元の特徴ジオメトリーを抽出することを含む。更に、方法は、抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分を指紋データベースにコード化することを含む。
【0004】
別の実施形態では、方法は、装置に取り付けられるデプス感知カメラを用いて、経路ネットワークにおける場所においてデプスマップを収集することを含む。方法は、更に、プロセッサを用いて、該場所において前記デプスマップ内の物理的構造物を識別することを含む。方法は、更に、各物理的構造物において、デプスマップを道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割することを含む。方法は、更に、水平面から二次元の素性ジオメトリーを抽出することを含む。方法は、更に、抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分と経路ネットワークに対する特徴ジオメトリーのデータベースを比較することで、装置の地理的な場所を特定することを含む。
【0005】
更なる別の実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、1つ以上のプログラムに対するコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備え、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、(1)経路ネットワークにおける場所についてデプスマップを受信させ、(2)場所においてデプスマップ内の物理的構造物を識別させ、(3)各物理的構造物において、デプスマップを道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割させ、(4)水平面から二次元の特徴ジオメトリーを抽出させ、(5)抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分をデータベースにコード化する、ように構成される。
【0006】
更なる別の実施形態では、装置は、少なくとも1つのプロセッサと、1つ以上のプログラムに対するコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、(1)経路ネットワークにおける装置についてデプスマップを収集させ、(2)場所においてデプスマップ内の物理的構造物を識別させ、(3)各物理的構造物において、デプスマップを道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面に分割させ、(4)水平面から二次元の特徴ジオメトリーを抽出させ、(5)抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分と経路ネットワークに対する特徴ジオメトリーのデータベースを比較することで装置の地理的な場所を特定させる、ように構成される。
【0007】
例示的な実施形態を、以下の図面の参照によりここに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】複数の高さで水平方向のスライスが抽出され、抽出されたスライスから二次元の画像が識別されるデプスマップ画像の例を示す図である。
【
図2】指紋データベースにおけるコード化された指紋の例を示す図である。
【
図3】
図2のコード化された指紋の線特徴ジオメトリーの例を示す図である。
【
図4】
図2のコード化された指紋の弧特徴ジオメトリーの例を示す図である。
【
図5】
図2のコード化された指紋のスプライン特徴ジオメトリーの例を示す。
【
図6】車両の地理的な場所を特定するために車両を囲む特徴ジオメトリーを車両が識別し抽出する例を示す図である。
【
図7A】装置の地理的な場所を特定するために装置周辺の特徴ジオメトリー及び制御点を装置が識別し抽出する追加的な例を示す図である。
【
図7B】装置の地理的な場所を特定するために装置周辺の特徴ジオメトリー及び制御点を装置が識別し抽出する追加的な例を示す図である。
【
図8】三つの制御点に基づくマルチラテレーション処理の別の例を示す図である。
【
図9】指紋データベースを展開するための例示的なフローチャートを示す図である。
【
図10】経路ネットワークにおける装置の場所を特定するための例示的なフローチャートを示す図である。
【
図11】例示的な地理的及び/又はナビゲーションデータシステムを示す図である。
【
図12】
図11の例示的なシステムで使用される装置の構成要素の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
エンドユーザ装置の場所又は位置特定は、経路(例えば、道路)ネットワークにおける実物体を表わす二次元(2D)特徴ジオメトリーから座標を導き出すことで特定されてもよい。エンドユーザ装置は、消費者によって動作される又は使用される装置を指してもよい。本願明細書で使用されるエンドユーザ装置の非制限的な例は、車両(例えば、車、トラック、バス、電車、オートバイ、ボート、船)、並びに、携帯電話、無線機能を有するラップトップコンピュータ、ビデオ記録装置、走査装置、メッセージング装置、携帯情報端末、及び、装着可能なコンピュータ(例えば、スマート装置)等の携帯用電子機器を含む。特徴ジオメトリーは、装置の周りの三次元構造物から抽出される線、弧、及び、スプライン(例えば、Bスプライン)のような二次元形状を指してもよい。例えば、2D特徴ジオメトリーは、建物の外観、道路標識、ポール、植物(例えば、木)、又は、経路ネットワークに存在する他の非一過性の構造物等の三次元構造物から抽出されてもよい。特定の道路区分における複数の特徴ジオメトリーは一緒に組み合わさって、周辺地域から特定の道路区分を識別する1つ以上の固有の指紋を提供してもよい。
【0010】
すなわち、装置(例えば、車両)の場所は、装置を囲む様々な特徴に対する指紋の識別に基づいて特定されてもよい。場所は、リアルタイムで特定されてもよく、このとき、装置によって識別される特徴は特徴ジオメトリー/指紋のデータベースと比較される。特定された場所の正確さは、経路ネットワークにおける装置の場所、及び、装置が位置される方法に基づいてもよい。
【0011】
このような位置特定処理により、GPS、WiFi、又は、ブルートゥース(登録商標)等の従来の地球位置決め技術よりも装置の改善された位置決めが可能となる。更に、特徴ベースの視覚位置決め技術により、どの利用可能な従来の地球位置決め技術(例えば、GPS)も無いときに、装置の位置決めが可能となる。追加的には、単純な2D特徴ジオメトリーを用いた特徴ベースの位置決め技術は、リアルタイムで装置の場所を特定することに関連する全体的な計算費用を減少し得る。これにより、リアルタイムで画像を処理するための高価なグラフィックス・プロセシング・ユニット(GPU)の必要性が排除され、低コストの視覚化技術を備えた車両は本願明細書記載の提案する特徴ベースの位置特定技術を利用することが可能となる。更に、益々多くの車両には高機能の視覚技術が組み込まれ、提案する地理参照処理を利用することができる。
【0012】
本願明細書に記載するように、二次元の特徴ジオメトリーのデータベースは、デプス感知装置(例えば、高精度光検知測距(LIDAR)装置)によって生成されるデプスマップの収集を通じて展開されてもよい。収集されたデプスマップから、建物、信号機、停止標識、植物(例えば、木)、及び、道路特性(例えば、幅、車線数)等の特徴ジオメトリーが抽出されてもよい。抽出された特徴は、特定の場所に対する指紋として表されるか、別個のデータベースにコード化されてもよい。エンドユーザ装置(例えば、車両)は、特徴ジオメトリーの装置独自の識別及び特徴ジオメトリーの指紋データベースとの比較に基づいてその場所を特定してもよく、このとき、場所は、特徴又は指紋の照合に基づいて特定される。
データの収集
【0013】
ある実施形態では、経路ネットワークに対する様々な特徴ジオメトリーを保管するデータベースは、経路ネットワークに対するデータの収集及び分析を通じて展開されてもよい。経路ネットワークは、大都市圏又は都市内の選択された数の道路区分を有する道路ネットワークでもよい。幾つかの実施形態では、データベースは、複数の大都市圏又は都市における複数の道路区分に対して展開されてもよい。
【0014】
本願明細書で使用されるように、「道路」又は「道路区分」は、監視することができる、又は、将来的に監視することができる(例えば、高速、街路、バス路線、電車路線、歩道/自転車道、水路)全ての走行車線又は通路を指してもよい。
【0015】
ある実施形態では、データベースは、(1)道路ネットワーク内の選択された道路区分に対する三次元データ、及び、(2)3Dデータと関連付けられる場所データ(例えば、GPSデータ)の収集を通じて展開される。3Dデータは、3D光学距離システム又は強度ベースの走査技術を用いて取得されるデプスマップ又は点群データでもよい。ある実施形態では、デプスマップ又は点群データは、デプス感知装置を用いて収集される。デプス感知装置は、任意のデプス感知立体又はステレオカメラ(例えば、LIDARカメラ)、電波探知測距(RADAR)装置、超音波装置、又は、構造化光カメラでもよい。デプス感知装置は、動きから三次元構造物を識別するように構成される移動型モノカメラを有してもよい。
【0016】
LiDAR、Lidar、又は、他の同様の表現でも知られるLIDARは、地域、例えば、道路又は歩道の周りの地域等を表わすデータ点を収集するために1つ以上のレーザー又はカメラを用いる三次元レーザー走査又は光学距離システムとも呼ばれる。
【0017】
データ取得システムにおけるLIDARカメラは、非金属製の対象物、石、雨、化合物、エアロゾル、雲、更に、単一分子さえも含む幅広い材料を対象とする対象物を撮像するために紫外線、可視光、近赤外線を用いてもよい。狭レーザービームは、高解像度で物理的特徴をマッピングし得る。
【0018】
ソフトウェアは、測定された距離、車等の移動するプラットホーム上に設けられ得る光学距離システムの場所、及び、レーザーの角度に基づいてデプスマップ又は点群を生成してもよい。他の光学距離システムは、立体カメラ、飛行時間型赤外線カメラ、及び、構造化光装置を含む。LIDARカメラは、各データ点が(x,y,z)のような局所座標に対応し、オン又はオフのいずれかになる点群にデータ点を集めてまとめる。代替的には、LIDARデータは、範囲の一方の端部が黒、他方の端部が白となる所定の範囲の値(例えば、0~255、0~65536)において各データ点に対する強度(反射を示す)を含むグレースケール点群でもよい。点群は、ASCII又はLIDAR交換フォーマット(例えば、米国写真測量法及び遠隔測定(ASPRS)協会;LASファイルフォーマット)で記憶されてもよい。1つ以上のレーザーが近赤外線スペクトル(例えば、約700nm~約5000nm又は約800nm~約2500nm)、又は、他の光スペクトルであってもよい。
【0019】
ある実施形態では、LIDARカメラは、データ収集装置(例えば、車両)に取り付けられるか、さもなければ、一体化されてもよい。LIDARシステムによって取得されたデータに対してベース基準を提供するよう、GPSのようなLIDAR車両システムと一体化される位置決めシステムが設けられてもよい。車両システムの移動性により、確立された位置を基準として用いて広い地理的地域にわたってデータを取得し、地理的地域を表わす点群に取得データを統合することが容易になり得る。
【0020】
指紋データベースの展開において、LIDARデータ取得システムは、地理的ポジショニング・システム(GPS)と組み合わさって、LIDARシステムによって取得されるデータに対するベース基準を提供してもよい。LIDARシステムとGPSの組み合わせにより、収集された3Dデータは属性緯度、経度、高度、及び、高さの測定とデータベースに保存されるかコード化され得る。
【0021】
車両システムの移動性により、確立された位置を基準として用いて広い地理的地域にわたってデータを取得し、地理的地域を表わす点群に取得データを統合することが容易になり得る。幾つかの実施形態では、データ収集装置が経路ネットワーク内の選択された道路区分に沿って移動するにつれて、デプスマップ又は点群データが連続的に収集されてもよい。他の実施形態では、データは、道路区分に沿って所定の間隔で(例えば、10~30メートル毎)収集されてもよい。
【0022】
ある実施形態では、一台以上のデータ収集車両からのデータが将来的な分析のためにマップ開発者データベースにアップロードされてもよい。幾つかの実施形態では、アップロード処理は、データ収集車両がデプスマップ又は点群データの収集を完了した後に行われてもよい。他の実施形態では、アップロード処理は、データが収集されるにつれて、データをマップ開発者データベースに接続されたネットワーク上で送信することを有してもよい。
特徴抽出
【0023】
デプスマップ又は点群データの収集及びマップ開発者データベースへのアップロードに続いて、データは、デプスマップ又は点群データ内の様々な特徴ジオメトリーについて分析されてもよい。すなわち、デプスマップデータにおける特定の二次元の特徴を探し、それら特徴を抽出するためにコンピュータアルゴリズムが実行されてもよい。二次元の特徴ジオメトリーは、デプスマップの物理的構造物内の線、接続された線や曲線の組み合わせ、弧、及び、スプラインを含んでもよい。ある実施形態では、物理的構造物は、点群データの建物の外観、道路標識、街路灯、及び、植物(例えば、木)を有する。
【0024】
二次元の特徴ジオメトリーは、デプスマップの物理的構造物を識別し、デプスマップを物理的構造物の異なる高さにおいて1つ以上の水平面に分割又はスライシングすることで、デプスマップから抽出されてもよい。続いて、各水平方向のスライス/区分内のデプスマップデータは、あるジオメトリーについて分析され得る。分割又はスライシング処理では、デプスマップデータは、定められた高さから抽出され、定められた高さの上及び下の範囲内にあるデータも抽出される。例えば、抽出は、定められた高さの0.1メートル、0.2メートル、0.5メートル、1メートル、又は、2メートル以内のデータの集合体を含む。すなわち、水平方向のスライス又は区分は、0.1メートル未満、0.2メートル未満、0.5メートル未満、1メートル未満、2メートル未満、0.1~2メートル、0.1~1メートル、0.1~0.5メートル、又は、0.1~0.2メートルの厚さを有する。幾つかの実施形態では、定められた高さの上及び下の範囲内のデプスマップデータは、一緒に融合されるか平均化される。
【0025】
デプスマップデータの分析は、動的又は反復処理でもよい。ある実施形態では、デプスマップ内の顕著な又は有用な特徴ジオメトリーを探すために、1つ以上の水平面が分析される。例えば、ある実施形態では、第一の高さが選択され、第一の高さでデプスマップが水平面にスライシングされる。該スライシング処理及び分析により、建物又は観察される構造物全体に対して複雑な三次元の特徴認識又は分類を実施する必要性が軽減される。
【0026】
水平面は、直線、接続された線又は曲線の組み合わせ、弧、又は、スプライン等の顕著な特徴ジオメトリーについて分析される。幾つかの実施形態では、水平面は、接続された線の組み合わせ等の顕著な特徴ジオメトリーについて分析される。例えば、接続された線の組み合わせは、正方形や長方形等の四角形、又は、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形等の他の多角形を含む二次元形状を有してもよい。他の実施形態では、水平面は、円又は楕円等の顕著な接続された曲線形状のジオメトリーについて分析されてもよい。該スライシング処理及び分析により、建物又は観察される構造物全体に対して複雑な三次元の特徴認識又は分類を実施する必要性が軽減される。
【0027】
第一の高さにおいて抽出された水平面に有用な特徴が識別されない程度では、第二の高さが選択され、データが第二の高さで抽出され分析される。処理は、少なくとも1つの顕著な又は有用な特徴ジオメトリーが識別されるまで複数の高さで繰り返され得る。幾つかの実施形態では、処理は、道路レベルからより高い高さから開始され、高さインクレメト(例えば、5メートル毎)で道路まで下方に進められる。開始される高さは、特定の道路区分地域に対する提供された地図製作データに基づいて特定されてもよく、このとき、道路区分に沿った建物のおおよその高さは知られている。地図製作データは、別のソースからマップデータベースに供給されてもよく、データ収集車両がLIDARデータをコンパイルして該データをデータベースに報告すると同時にコンパイルされる必要はない。
【0028】
ある実施形態では、抽出及び分析は、幾つかの所定の高さ(例えば、道路レベルから5メートル毎)で実施されてもよい。経路ネットワークにおける各道路区分に対する道路レベルから最も高い高さは固定値(例えば、道路レベルから50メートル又は100メートル上方)でもよく、又は、各道路区分の場所(例えば、道路区分の場所における最も高い建物又は構造物が20メートルの高さを有するため、1つの道路区分に対して分析される最高の高さは、道路レベルから20メートル上方でもよい)に対する既知の地図製作データに基づく変数値でもよい。複数の高さにおける抽出及び分析に続いて、抽出された幾何学的特徴の少なくとも一部分は、指紋データベースに記憶されるよう選択されてもよい。幾つかの実施形態では、抽出された特徴は、その形状、サイズ、高さ、及び、変化/不変性に基づいて仕分け或いはランク付けされる。特徴のランキング又は仕分けに対する決定は、以下により詳細に説明される。
【0029】
各水平方向のスライス又は面に対するジオメトリーの抽出は、様々なアルゴリズムを用いて実行されてもよく、スライスにおけるデプスマップデータは1つ以上の二次元ジオメトリーに変換される。ある実施形態では、アルゴリズムは、線形回帰アルゴリズム、曲線回帰アルゴリズム、機械学習アルゴリズム、又は、その組み合わせである。例えば、線形の幾何学的特徴がデプスマップのスライスで観察される程度では、デプスマップのスライスから線形特徴を抽出し、デプスマップデータを2D線又は接続された線の組み合わせに変換するために線形回帰アルゴリズムが使用される。弧又はスプラインがデプスマップのスライスで観察される程度では、デプスマップのスライスから弧又はスプライン特徴を抽出し、デプスマップデータを2D弧又はスプラインに変換するために曲線回帰アルゴリズムが使用される。幾つかの実施形態では、1つ以上のジオメトリー特徴がスライス内で観察され得る。このような場合には、スライスにおける線形及び曲線特徴を抽出し、データを線、選択された線又は曲線の組み合わせ、弧、スプライン等を含む2D表現に変換するために線形回帰及び曲線回帰アルゴリズムの両方が実施されてもよい。
【0030】
図1は、異なる高さに水平方向のスライスを有するデプスマップ画像10の1つの非制限的な例を示す。本図では、第一の高さ12及び第二の高さ14といった、2つの高さが特徴ジオメトリーについて分析される。線形回帰アルゴリズム、曲線回帰アルゴリズム、及び/又は、機械学習アルゴリズムを通じて、第一の高さ12のデプスマップデータにおける特徴が抽出され、接続された線及び弧の組み合わせを含む第一の2D表現16として表される。第二の高さ14では、抽出処理により、二本の線を有する第二の2D表現18が第二の高さにおいて生成される。
指紋データベースにおける特徴ジオメトリーのコード化
【0031】
ある実施形態では、抽出された特徴ジオメトリーは地理参照され将来的な使用のために指紋データベースにコード化されてもよい。つまり、コード化された特徴ジオメトリーを有する指紋データベースは、データベースと通信するデータ収集装置(例えば、車両)の場所を特定することを補助するためにアクセスされてもよい(以下により詳細に説明する)。
【0032】
ある実施形態では、抽出された特徴ジオメトリーは、ある情報、例えば、ジオメトリーの特定の特徴又は点の地理的な場所(例えば、緯度、経度、高さ、高度)等と地理参照されてもよい。これら二次元の特徴ジオメトリーは、緯度、経度、道路レベルからの高さ、及び、高度のうちの1つ以上に対する位置参照情報又は値と2Dジオメトリーの様々な点を照合するアルゴリズムを用いてマップ又は地理的場所に地理参照されてもよい。該処理は、分析及び抽出を実行するデプス感知カメラ(例えば、LIDARカメラ)が地理的場所(例えば、GPS又は別の地理参照装置を用いて)が既知のデータ収集車両と通信している場合に可能である。既知の車両の場所、及び、デプス感知システムによる抽出されたジオメトリーからの車両の既知の距離を用いて、地理的値は抽出されたジオメオトリーに割り当てられるか参照されてもよい。
【0033】
例えば、特徴ジオメトリーが線又は接続された線の組み合わせである場合、線又は接続された線の組み合わせに沿った点(線又は接続された線の組み合わせの端点を含む)は、線点の緯度、経度、道路からの高さ、及び、高度に関する位置参照情報と地理参照されてもよい。弧ジオメトリーに関して、弧に沿った点が地理参照されて、弧点の半径、緯度、経度、道路からの高さ、及び、高度に関する情報が提供されてもよい。スプラインに関して、スプラインに沿った点が地理参照されて、スプライン点のノット、緯度、経度、道路からの高さ、及び、高度に関する情報が提供されてもよい。
【0034】
抽出された特徴ジオメトリーの地理参照に続いて、地理参照された2Dジオメトリーが指紋データベースにコード化されてもよい。ある実施形態では、指紋データベースは、抽出の場所に基づいて特徴ジオメトリーを記憶してもよい。例えば、特徴は、車両基準(例えば、特徴ジオメトリーが識別され抽出された時の車両の地理的な場所)とリンク付けされてもよい。
【0035】
図2および
図5は、指紋データベース用のコード化システムの実施例を示す。
図2に示すように、データベースにコード化された各指紋は、特徴ジオメトリー(例えば、線特徴、弧特徴、及び、スプライン特徴)のリストを含む。ある実施形態では、指紋は、指紋が導き出された車両基準に対応する参照マップにおけるリンクを特定するマップ参照属性を含む。マップ参照は、リンク上のリンク識別子及び縦距離を有してもよい。
【0036】
追加的には、各指紋は、位置特定処理(以下に説明する)中に、データ収集装置又は車両に対して三次元基準点を提供する車両基準を含む。基準点は、該場所で抽出された特徴ジオメトリーの全てを固定し、データ収集装置(例えば、車両)とデータを捕捉/抽出する車両との間の焦点の違いを説明するよう位置特定中の特徴比較処理を容易にする。車両基準は、特徴ジオメトリーが抽出される緯度、経度、及び、高度の位置(例えば、抽出時の後輪の地面との接点の場所)を説明する。緯度、経度、及び、高度の測定は、WGS84等の世界測地システム(WGS)を用いて説明され得る。
【0037】
各指紋は、線特徴、弧特徴、及び、スプライン特徴等の複数の特徴ジオメトリーも含む(
図3~
図5において拡大詳細で示す)。特徴ジオメトリーは、要素の顕著さの順番で仕分け又はランク付けされてもよく、このとき、リストの上にある特徴ジオメトリーはリストの下にある特徴よりも地理的な場所に対してより顕著な又は識別可能な特徴を有する。特徴ジオメトリーをランク付けする方法は以下に詳細に説明され、指紋データベースにおける特徴ジオメトリーのコード化に適用されてもよい。ある実施形態では、特徴ジオメトリーのリストは、各場所に対して少なくとも5個、少なくとも10個、又は、少なくとも15個の異なる特徴ジオメトリーを有する。
【0038】
図3は、コード化された線特徴を詳細に示す。図示するように、線特徴は、2つの制御点(すなわち、2Dジオメトリー上の識別可能な抽出点)を含む2D線ジオメトリーを表わす。一実施形態では、線に対する2つの制御点は線の反対端であってもよい。線の制御点は、デプスマップから同じ水平面で抽出されるため、同じ高さ及び高度を共有する。このように、線特徴ジオメトリーに対する属性は、高さ及び高度の両方に対して普遍的な値を含む。高さは、車両基準の上方においてメートル単位で表わされてもよい。各制御点に対する別個の緯度及び経度が線特徴ジオメトリーに対してコード化され、WGS84座標で表わされてもよい。
【0039】
図4は、コード化された弧特徴を詳細に示す。図示するように、弧特徴は2つの制御点及び半径を有する2D弧ジオメトリーを表わす。一実施形態では、2つの制御点は弧の反対端であってもよい。弧の制御点は、デプスマップから同じ水平面で抽出されるため、同じ高さ及び高度を共有する。このように、弧特徴ジオメトリーに対する属性は、高さ及び高度の両方に対して普遍的な値を含む。各制御点に対する別個の緯度及び経度が弧特徴ジオメトリーに対してコード化され、WGS84座標で表されてもよい。
【0040】
図5は、コード化されたスプライン特徴を詳細に示す。図示するように、スプライン特徴は複数の制御点及びノットを有する2Dスプラインジオメトリー(例えば、Bスプライン)を表わす。スプラインの制御点は、デプスマップから同じ水平面で抽出されるため、同じ高さ及び高度を共有する。このように、スプライン特徴ジオメトリーに対する属性は、高さ及び高度の両方に対して普遍的な値を含む。各制御点に対する別個の緯度及び経度がスプライン特徴ジオメトリーに対してコード化され、WGS84座標で表わされてもよい。
指紋データベースを用いてエンドユーザ装置の場所を特定する
【0041】
経路ネットワークに対する確立されたコード化指紋データベースを用いて、デプス感知カメラ技術(例えば、LIDARカメラ)を具備するエンドユーザ装置(例えば、車両、携帯電話、スマートウォッチ等)は、経路ネットワーク内のその場所を特定することができる。エンドユーザ装置は、エンドユーザ装置/車両を囲む特徴ジオメトリーの装置独自の識別に基づいてその場所を特定し、ある特徴ジオメトリーを確立された指紋データベース(以下に説明する)と比較してもよく、このとき、該場所はデータベースに対する特徴や指紋の照合に基づいて特定される。幾つかの実施形態では、装置の場所は、特徴ジオメトリーの識別及びGPSデータの組み合わせを通じて特定されてもよい。他の実施形態では、どのGPSデータもない場合、装置の場所は特徴ジオメトリーの識別のみを通じて特定される。
【0042】
デプス感知装置(例えば、LIDARカメラ)を具備するエンドユーザ装置(例えば、車両、携帯電話、スマートウォッチ等)は、装置の場所を特定するために指紋データベースを構成する際にデータ収集装置に対して上述の方法と同様にして特徴ジオメトリーを抽出してもよい。指紋を定めるために幾つかの抽出された特徴ジオメトリーが選択されてもよく、定められた指紋が指紋データベースと照合されて、場所が特定されてもよい。幾つかの実施形態では、エンドユーザ装置は、抽出処理の前又は該処理と同時に指紋データベースと装置の収集したデプスマップの方向を合わせるよう各種パラメータを計算してもよい。これは、エンドユーザ装置の地理的な場所だけでなく、該場所での装置の方向付けを決定することを補助する。
【0043】
リアルタイムで装置の場所を識別するために、装置に対する指紋の決定は省略された処理でもよく(指紋データベースの構成と比較して)、このとき、一握りの特徴ジオメトリーだけが選択され、指紋データベースと比較される。例えば、各地理的場所は、指紋データベースに数千の特徴ジオメトリーが記憶されていてもよい。つまり、エンドユーザ装置(例えば、車両)が位置特定に利用可能な全ての2D特徴ジオメトリーを分析又は考慮することは非効率的となり得る。
【0044】
ジオメトリーは、2つの主な要素(以下により詳細に説明する)に基づいて選択される。第一の要素は、特徴ジオメトリーのランキングであり、第二の要素は、特徴ジオメトリーの精密度の幾何学的希釈である。ある実施形態では、経路ネットワークにおける装置に対する位置特定処理は、(1)装置を囲む特徴ジオメトリーを識別する、(2)各特徴ジオメトリーの特性(例えば、形状、サイズ、高さ、変化)及び場所(GDOP)を特定する、(3)それぞれの特性に応じて特徴ジオメトリーをランク付けする、及び、(4)高度に分散され(高GDOP)高いランキング値を有する特徴ジオメトリーの指紋を選択することを含む。
要素1:特徴ジオメトリーのGDOP
【0045】
GDOPは、車両の周りの構造物又は特徴ジオメトリーの地理的分布を表わす。つまり、1つの選択された特徴ジオメトリーの場所と各追加的な特徴ジオメトリーの間の関係は要素である。ある実施形態では、最良又は最高のGDOPは、装置を囲む最も均一に分散された構造物又は特徴ジオメトリーによって提供される。幾つかの実施形態では、最良又は最高のGDOPは、x-y面(すなわち、z軸における各構造物の高さを無視する)にプロットされる構造物の分散に基づいて特定される。
【0046】
例えば、車両を囲む構造物が三つある場合、最良のGDOPは、構造物が互いから120度分離又は離間されている所で生じ得る。つまり、第一の構造物は車両から0度(例えば、移動の方向又は道路の移動の方向から測定される)の所でx-y面に位置され、第二の構造物は車両から120度の所に位置され、第三の構造物は車両から240度の所に位置される。
【0047】
車両を囲む構造物が四つある場合、最良のGDOPは、各構造物が互いから90度離間される所で生ずる。構造物が五つある場合、最良のGDOPは各構造物が互いから72度離間される所で生ずる、等である。
要素2:特徴ジオメトリーのランク付け
【0048】
第二の要素に関して、特徴ジオメトリー(各セクタ内又は全体のデプスマップ内)は、次の特性のうちの1つ以上に基づいて比較される又はランク付けされてもよい。(1)特徴の形状、(2)特徴のサイズ、(3)特徴の高さ、及び、(4)特徴の変化(又は不変)(すなわち、特徴の形状がどれだけ時間と共に変化するか、又は、特徴がある時間において全く存在しないか否か)。幾つかの実施形態では、特徴ジオメトリー又は指紋の色等の追加的な要素が考慮されてもよい。LIDARカメラが色を識別しないため、色の識別にはデータ収集又はエンドユーザ装置(例えば、車両)に取り付けられる、さもなければ接続される追加的な機器が必要となり得る。
【0049】
形状特性に関して、線、弧、及び、スプラインの単純性により、より効率的な処理が可能となるため、線、弧、及び、スプラインのような単純化された形状を有する特徴ジオメトリーは、他のより複雑な形状よりも高くランク付けされ得る。つまり、
図6に示すように、高さ20メートル及び50メートルにおける建物上の直線を表わす特徴ジオメトリーは、木の枝を捕捉する特徴ジオメトリーよりも単純である。従って、建物上の線によって表わされる特徴ジオメトリーは、木の枝と関連付けられる特徴ジオメトリーよりも高くランク付けされてもよい。
【0050】
サイズ特性に関して、サイズが大きい特徴ジオメトリーは、サイズが小さい特徴ジオメトリーよりも高くランク付けされてもよい。例えば、
図6では、20メートル及び50メートルでの左の建物の特徴ジオメトリーは、20メートルでの右の建物の特徴ジオメトリーよりも高くランク付けされ得る。
【0051】
高さ特性に関して、道路レベルから高い高さにある特徴ジオメトリーは、道路レベルから低い高さにある特徴ジオメトリーよりも高くランク付けされてもよい。つまり、建物の高さは、特定の場所の識別を補助してもよく、従って、各場所に対する高い高さの特徴ジオメトリーは高くランク付けされてもよい。例えば、
図6では、高さ50メートルにおける特徴ジオメトリーは、高さ20メートルにおける特徴ジオメトリーよりも高くランク付けされてもよい。ある実施形態では、経路ネットワーク内の場所は、高い高さでは顕著な特徴を有さず、このとき、低い高さにおける特徴が選択される。これは、木又は他の季節的特徴を含んでもよい。
【0052】
変化特性に関して、変化が少ない特徴ジオメトリーには高いランクが与えられる。特徴ジオメトリーの変化は、特徴の季節性を考慮してもよい。例えば、秋又は冬には、木の葉がなくなり、LIDARカメラに葉のない枝が露出される。春又は夏になると、木の葉は再び現れる。従って、木の枝、葉等は、ジオメトリーの季節性に基づいて変化するため、建物の直線又は木の幹のような不変の特徴ジオメトリーよりも少ない重みが割り当てられ得る。幾つかの実施形態では、異なる季節の間に変化する特徴を正確に表すために、複数の指紋が指紋データベースに記憶されてもよい。特徴ジオメトリーの変化は、特徴ジオメトリーがある時に存在し、他の時に不在(すなわち、非静止対象物)であるか否かも考慮し得る。例えば、車両に搭載されるLIDARカメラは、隣りの車線で道路区分に沿って移動する別の車両(例えば、大型トラック)を識別してもよい。該特徴ジオメトリーには、その非静止の性質により、非常に低いランキングが与えられ得る。
【0053】
色特性に関して、鮮やかな又は非中間色(例えば、赤、ピンク、紫、オレンジ、緑、青、又は、黄)を含む特徴ジオメトリーには、中間色(例えば、グレー、黒、茶、ベージュ、又は、白)よりも高いランクが与えられ得る。例えば、都会又は大都市圏における鮮やかな又は非中間色は、都会又は大都市圏内に存在する鉄骨構造の大部分とは対照的に、固有の建物又は構造物の色を表わしてもよい。このような固有の建物の色を識別することで、装置は、より簡単に都市の経路ネットワーク内におけるその場所を識別することができる。
【0054】
ある実施形態では、特徴ジオメトリーは、上述の特性の組み合わせに基づいてランク付けされる。組み合わせは、重み付けアプローチによるものでもよく、このとき、各特性には場所及び時間当たりの重さが与えられる。つまり、各特性に対する重みは、空間的且つ時間的に変化してもよい(すなわち、重みは動的でもよい)。
【0055】
一実施形態では、特定の特徴ジオメトリーに対する全体的なランキング値は、特徴の形状のランク値(「形状」)、特徴のサイズのランク値(「サイズ」)、特徴の高さのランク値(「高さ」)、及び、特徴の変化のランク値(「変化」)を用いて計算される。各特徴ジオメトリーに対する全体的なランキング値は、以下の式を用いて計算されてもよい。
ランキング値=W1×形状+W2×サイズ+W3×高さ+W4×変化
このとき、W1+W2+W3+W4=1である。
【0056】
ある実施形態では、W1、W2、W3、及び、W4は等しい重みを有し、つまり、各特性の重要性が等しいことを示している。他の実施形態では、W2(特徴ジオメトリーのサイズと関連付けられる)及び/又はW3(ジオメトリーの高さと関連付けられる)には、W1(形状)及び/又はW4(変化)よりも高い重みが与えられる。ある実施形態では、W2には、四つの要素のうち最も高い重みが与えられる。他の実施形態では、W3には、四つの要素のうち最も高い重みが与えられる。1つの特定の実施形態では、最高から最低への重みの順番はW3、W2、W1、W4である。
【0057】
一実施例では、四つの特徴ジオメトリーが四つの要素に基づいて互いと比較される。本実施例では、各要素には同じ重み(W1=W2=W3=W4=0.25)が与えられる。要素は、真又は偽のブール値で定義され、このとき、真=1、偽=0である。真の値は、例えば、長さが10メートルより大きいサイズ、道路レベルから10メートルより高い高さ、線、接続された線又は曲線の組み合わせ、弧、又は、スプラインの形状、又は、不変のジオメトリーを有するジオメトリーのように、高いランキング特性を表わす。偽の値は、例えば、長さが10メートルより小さいサイズ、道路レベルから10メートル未満の高さ、線、接続された線又は曲線の組み合わせ、弧、又は、スプラインよりも複雑な形状、又は、変化のあるジオメトリーを有するジオメトリーのように、低いランク特性を表わしてもよい。ランキング値は各特徴について決定され、全体的なランクはランキング値に基づいて決定される。予言的な実施例の結果を以下の表に示す。
【表1】
【0058】
他の実施形態では、特徴ジオメトリーは、ブール値と組み合わせて、又は、その代わりに数値を用いてランク付けされてもよい。例えば、特徴を仕分けするために使用される値が、各特徴の実際の長さ又はサイズ、或いは、道路レベルからの各特徴の高さを含む一方、各特徴の形状又は各構造物の変化はブール真偽特徴を用いて定められてもよい。
GDOP及び特徴ランキングの組み合わせ
【0059】
ある実施形態では、複数の特徴ジオメトリーを有する指紋は、車両を囲む様々な位置や区画からの特徴ジオメトリーの組み合わせによるものでもよい。幾つかの実施形態では、処理は、高度に分散され(すなわち、高GDOPを有する)、且つ、高いランキング値を有する特徴ジオメトリーを選択することを含む。ある実施形態では、処理は、デプスマップを複数の区間又は区画(例えば、少なくとも三つ、四つ、又は、五つの区間又は区画)に分割することを含んでもよく、このとき、構造物はデプスマップの各区間において識別され、これら構造物の特徴ジオメトリーは互いに対してランク付けされる。ある実施形態では、各区間又は区画は、デプスマップの等しい体積を有する。全体的な指紋は、デプスマップの各区間内で最も高いランキングの特徴ジオメトリーを選択することを有する。幾つかの実施形態では、どの構造物もデプスマップの区間内で識別されない程度では、追加的な構造物(すなわち、1つ以上の構造物)又は1つの構造物内の追加的な特徴ジオメトリーが近隣の区間において識別されてもよい。
【0060】
ある実施形態では、処理は、装置の場所を特定するために考慮すべき特徴ジオメトリーの最上数を選択する。幾つかの実施形態では、選択は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも5個、少なくとも10個、又は、少なくとも15個の特徴ジオメトリーを有する。
経路ネットワークにおける位置決めの決定
【0061】
複数の特徴ジオメトリーを有する指紋のエンドユーザ装置又は車両の選択に続いて、装置は、接続されたネットワーク上で指紋データを指紋データベースに送信してもよい。次に、指紋データベースは、送信された特徴ジオメトリーを記憶された特徴ジオメトリーデータと比較してもよい。
【0062】
比較処理では、選択され送信された特徴ジオメトリーの固有性に基づき、データベースは選択され送信された特徴ジオメトリーを指紋データベースに記憶された特徴ジオメトリーと照合することができる。この照合処理を通じて、指紋データベースは、特徴ジオメトリーの場所データを装置に送信して返す。該場所データは、特徴ジオメトリーに対する制御点データのような特徴ジオメトリー(上述)のコード化データを含んでもよい。つまり、制御点に対するコード化データの送信は、制御点の緯度、経度、及び、高度の送信を含む。
【0063】
送信された制御点データを用い、各制御点からの装置の測定された距離を知ることで、装置の地理的な場所が特定され得る。加えて、幾つかの実施形態では、装置の地理的方向付け(例えば、移動の方向)が決定されてもよい。つまり、特徴ジオメトリーを照合し、デプス感知装置の位置決めに対する特徴ジオメトリーの位置決めが知られている場合、装置及びデプス感知装置の方向付け(例えば、ヘッディング)を示すために特徴ジオメトリーを最もよく整列させる方向付けが決定され得る。
【0064】
ある実施形態では、地理的な場所は、送信された制御点データ及び制御点からの測定された距離(すなわち、制御点からの半径)を用いて、マルチラテレーション処理により特定される。
【0065】
ある実施形態では、装置の地理的な場所は、少なくとも三つの制御点(及び、各制御点と関連付けられる、関連する緯度、経度、及び、高度データ)を用いてマルチラテレーション処理により特定される。他の実施形態では、少なくとも四つの制御点が使用される。更なる他の実施形態では、五つ以上の制御点が車の地理的な場所を計算するために使用される。変形例では、エンドユーザ装置又は車両の地理的な場所を特定するために、GPSデータと共に2つの制御点だけが使用されてもよい。
【0066】
装置の地理的な場所は、グラウンドトゥルース又はトゥルーの場所(すなわち、装置に対する実際の緯度/経度、及び、任意には、高度、座標)の1メートル以内で計算されてもよい。幾つかの実施形態では、地理的な場所は、グラウンドトゥルース又はトゥルーの場所の0.5メートル、0.1メートル、50センチメートル、20センチメートル、10センチメートル、5センチメートル、3センチメートル、2センチメートル、又は、1センチメートル以内で計算されてもよい。
【0067】
図6は、マルチラテレーション処理の1つの非制限的な例を提供する。本例では、車両20(すなわち、車両のプロセッサ)は、場所に対する指紋を表わすために車両を囲う四つの特徴ジオメトリーを識別し、選択する。つまり、車両20は、第一の建物24上で2つの線特徴ジオメトリーを識別し、選択し、該特徴ジオメトリーは道路レベルから20メートル及び50メートル上方の高さで現われる。車両20は、20メートルの高さで第二の建物26上に現れる追加的な直線特徴ジオメトリーも識別し、選択する。更には、車両20は、2メートルの高さで信号機の柱28に対する特徴ジオメトリーを識別し、選択する。
【0068】
これらの特徴ジオメトリーが指紋データベースに送信され、照合された後、指紋データベースはこれらジオメトリーそれぞれに対する制御点データを返す。例えば、
図6に示すように、制御点は、直線22a、22b、22c、22d、22f、及び、22gの端点、並びに、信号機の柱を表わす1つの点22eとして識別される。制御点22a~22gそれぞれは、緯度、経度、及び、高度情報を含む。該制御点情報は、車両20と各制御点との間の識別された距離と共に、マルチラテレーション計算により車両20の場所を特定するために使用されてもよい。
【0069】
図7A及び
図7Bは、本処理の別の例を提供し、車両の場所は特徴ジオメトリーの抽出、指紋データベースとのジオメトリーの照合、及び、マルチラテレーション処理を通じて特定される。例えば、
図7Aでは、四つの直線特徴が車両の周りの三つの建物32、34、及び、36から抽出される。指紋データベースとの照合処理により、特徴ジオメトリーに対する制御点情報は処理のために車両に中継して戻される。
図7Bに示されるように、四つの直線特徴は、七つの制御点を含み、d1~d7は、車両から各制御点への識別された距離を示す。これらの距離及び制御点情報(例えば、緯度、経度、及び、高度)を用いて、車両の地理的な場所が特定される。
【0070】
図8は、三つの制御点P1、P2、P3に基づくマルチラテレーション処理の別の例を提供する。三つの制御点に対する地理的座標は(0,0)、(d,0)、及び、(i,j)として識別される。車両から制御点までの距離は、半径r1、r2、r3によって識別される。これらの既知の距離及び指紋データベースからの制御点の地理的な場所に基づき、車両のおおよその地理的な場所が計算される。例えば、この場合、車両の場所に対するx、y、及び、z座標は、以下の式を用いて計算されてもよい。
【数1】
【0071】
図8に示すように、おおよその場所は、三つの円の共通部分内にある。
【0072】
幾つかの実施形態では、例えば、自律走行車又はHAD車両の場合、車両の地理的な場所又は方向付けの処理及び特定に続いて、車両は、報告されたデータを処理して、オペレータに警告を発するか対応策を取るかの判断をし得る。ある実施形態では、車両におけるナビゲーション装置又はナビゲーション装置と通信する別のコンピュータシステムは、車両の経路指定を行う指示を含んでもよく、又は、報告された場所又は方向付けデータに基づいて、車両を操縦する、ギアをシフトする、スロットルを増減する、及び、ブレーキをかける運転コマンドを生成してもよい。
フローチャートの実施形態
【0073】
図9は、経路ネットワークに対する指紋データベースを展開する模範的なフローチャートを示す。フローチャートの処理は、
図11及び
図12に示し説明するナビゲーションデータシステム100又は装置201によって実施されてもよい。代替的には、別の装置が以下の動作のうちの1つ以上を実施するように構成されてもよい。追加の、より少ない、又は、異なる動作が含まれてもよい。
【0074】
動作S101では、経路ネットワークにおける場所についてデプスマップが受信される。デプスマップは、LIDARカメラのようなデプス感知装置を用いて収集されてもよい。デプスマップは、保存されるか、更なる分析のために接続されたネットワーク上でプロセッサに送信されてもよい。
【0075】
動作S103では、デプスマップデータを収集するデータ収集装置(例えば、車両)に取り付けられるプロセッサ、又は、外部マップデータベースと関連付けられる別個のプロセッサプロセッサのいずれかを用いて、デプスマップ内の物理的構造物が識別される。物理的構造物の例として、建物の外観、道路標識、ポール、植物(例えば、木)、又は、経路ネットワーク上に存在する他の非一過性の構造物が挙げられる。
【0076】
動作S105では、デプスマップは、各物理的構造物に対して、道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面又はスライスに分割されてもよい。分割又はスライシング処理において、デプスマップデータは、定められ選択された高さで識別され、更に、選択された高さの上及び下の範囲内にあるデータも識別される。例えば、水平面は、定められた高さの0.1メートル、0.2メートル、0.5メートル、1メートル、又は、2メートル以内のデータの集合体を含んでもよい。
【0077】
動作S107では、水平面から二次元の特徴ジオメトリーが抽出される。各水平方向のスライス又は面に対するジオメトリーの抽出は、様々なアルゴリズムを用いて実行されてもよく、このとき、スライスにおけるデプスマップデータは1つ以上の二次元ジオメトリーに変換される。
【0078】
動作S109では、抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分は、指紋データベースにコード化される。幾つかの実施形態では、高いランキングの特徴ジオメトリーだけがデータベースにコード化されるか、保存される。
【0079】
図10は、車両の地理的な場所を特定する模範的なフローチャートを示す。フローチャートの処理は、
図11及び
図12に示し、説明するナビゲーションデータシステム100又は装置201によって実施されてもよい。代替的には、別の装置が以下の動作のうち1つ以上を実施するように構成されてもよい。追加の、より少ない、又は、異なる動作が含まれてもよい。
【0080】
動作S201では、エンドユーザ装置に取り付けられるデプス感知カメラを用いて、経路ネットワークにおける場所についてデプスマップが収集される。動作S203では、デプスマップ内の物理的構造物がエンドユーザ装置のプロセッサを用いて識別される。動作S205では、デプスマップは、各物理的構造物に対して、道路レベルから1つ以上の高さにおいて1つ以上の水平面又はスライスに分割されてもよい。動作S207では、水平面から二次元の特徴ジオメトリーが抽出される。
【0081】
動作S209では、経路ネットワークにおけるエンドユーザ装置の地理的な場所が特定される。場所は、抽出された特徴ジオメトリーの少なくとも一部分と、経路ネットワークの特徴ジオメトリーのデータベースを比較することで特定される。幾つかの実施形態では、高いランキングの特徴ジオメトリーだけがデータベースとの比較のために選択される。幾つかの実施形態では、地理的な場所における装置の方向付けも決定される。
ナビゲーション及びネットワークシステム
【0082】
図11は、デプスマップデータを収集し、経路ネットワークにおける装置の場所を特定するに有用な地理的及び/又はナビゲーションデータシステム100の一実施形態を示す。地理的データ又はナビゲーションシステム100は、地理的領域地域112における経路ネットワーク108上を移動するデータ収集又はエンドユーザ装置104、装置116、処理装置128、ワークステーション又はコンピュータ132、及び/又は、データベース136を有するが、これらに制限されない。追加の、より少ない、又は、異なる構成要素が設けられてもよい。例えば、プロキシサーバー、名前サーバー、マップサーバー、キャッシュサーバー又はキャッシュネットワーク、ルーター、スイッチ又はインテリジェントスイッチ、追加のコンピュータ又はワークステーション、ユーザインターフェイス、管理ワークステーションのような管理構成要素、ゲートウェイ装置、バックボーン、ポート、ネットワーク接続、及び/又は、ネットワークインターフェイスが設けられてもよい。
図11の構成要素は互いと別々に示されるが、これら構成要素のうちの1つ以上が組み合わされてもよい。
【0083】
データ収集又はエンドユーザ装置104は、車、トラック、オートバイ、自転車、セグウェイ、又は、経路ネットワーク108上を移動するために使用される他の移送装置又は機械的装置等の車両である。代替的には、データ収集又はエンドユーザ装置104は、経路ネットワーク108に沿って歩く又は移動する人間や動物のような歩行者を表わしてもよい。経路ネットワーク108は、道路ネットワーク及び/又は他の通路の集まりでもよい。例えば、経路ネットワーク108は、様々な道路よりなる道路ネットワークである。道路は、一般道路や近隣道路並びに高速道路等、その上を車両が走るために使用されてもよい。更に、従来の道の代わりに或いは加えて、経路ネットワーク108は自転車道又は経路、歩道、又は、他の移動路を含んでもよい。代替的には、経路ネットワーク108は、どの特定の経路又は移動制約もない開かれた地域空間でもよい。経路ネットワーク108は、都市、郊外、州、国、及び/又は、他の地理的領域等の地理的領域112にある。
【0084】
ある実施形態では、データ収集又はエンドユーザ装置104は、自律走行車又は高度自動運転(HAD)車両である。本願明細書に記載するように、「自律走行車」は、車両を操作するために乗客が乗る必要がない自動運転又はドライバレスモードを意味する。自律走行車は、ロボット車両又は自動化車両を意味してもよい。自律走行車は、乗客を乗せてもよいが、ドライバは必要ない。これら自律走行車は、自身で駐車してもよく、また、人間オペレータを必要とすることなく場所間で荷物を移動してもよい。自律走行車は、複数のモード及びモード間の移行を含んでもよい。
【0085】
本願明細書に記載するように、「高度自動運転(HAD)車両」は、人間オペレータを完全に置き換えることのない車両を意味してもよい。その代りに、高度自動運転モードでは、車両が幾つかの運転機能を実施し、人間オペレータが幾つかの運転機能を実施してもよい。車両は、人間オペレータが車両の動きに対してある程度の制御を行う手動モードで運転されてもよい。車両は、完全なドライバレスモードを含んでもよい。他のレベルの自動化も可能である。
【0086】
データ収集又はエンドユーザ装置104は、データを収集するために経路ネットワーク108に沿って移動するか経路ネットワークについて移動する。支持装置又は筐体116は、装置104に取り付けられる、接続される、又は、運ばれる。支持筐体116は、道路或いは経路についての又はその周りの地域、又は、他の地域を表わすデータを収集するための機器でもよく、或いは、該機器を含んでもよい。例えば、収集されたデータは、レーザー、LIDAR、画像、及び/又は、ビデオ/カメラデータ(例えば、可視スペクトル又は他のスペクトルにおける)でもよい。場所データ、GPSデータ、及び/又は、他の地理的データ等の他のデータが収集されてもよい。
【0087】
一実施形態では、支持筐体116は、歩行者(データ収集又はエンドユーザ装置104)に取り付けられるか運ばれる筐体又は容器であり、歩行者が経路、歩道、又は、他の地域にいる及び/又はその上を移動すると、支持筐体116におけるLIDARシステム及び/カメラのような機器がデータを収集する。別の実施形態では、支持筐体116は車両に取り付けられる筐体又は容器であり、車両が道路又は経路にいる及び/又はその上を移動すると、支持筐体116におけるLIDAR装置及び/又はカメラのような機器が周辺地域に対応するデータを集める又はまとめる。代替的には、支持筐体116は、LIDAR装置又はカメラ装置自体又はその一部でもよい。支持筐体116は、装置(例えば、車両)の後端に位置決めされてもよく、また、収集を向上させるために角度が付けられてもよい。他の実施形態では、支持筐体116は、車両、歩行者、又は、装置の任意の場所に任意の方向で位置決めされてもよい。
【0088】
収集されたデータは、CD-ROM、DVD、フラッシュドライブ、ハードドライブ、又は、データを記憶するに好適な他の有形媒体等の1つ以上の非一過性コンピュータ読み取り可能媒体120に記憶される。異なるタイプのデータが同じ媒体120に記憶されてもよい。代替的には、別個の非一過性媒体120が別個の或いは異なるタイプのデータを記憶するために使用されてもよい。一実施形態では、LIDAR又はレーザーデータ、写真(例えば、デジタル或いは電子写真)、ビデオ画像、及び/又は、装置104及び/又は筐体116によって収集された他の画像データは1つ以上の非一過性媒体120に記憶される。代替的には、非一過性媒体120は、データを含む又は有する信号でもよい。収集されたLIDAR又は画像データは、経路、道路、又は他の地域についての又はその周りの地域又は領域を表わしてもよい。収集されたレーザー又はLIDARデータ及び/又は画像は、空特徴、地形或いは周辺特徴、道路或いは経路(例えば、歩道)、路面又は経路の表示(例えば、横断歩道又は車線区分線)、道路或いは経路標識、建物、公園、博物館等の名所(「POI」)、及び/又は、他の特徴や対象物等の地理的特徴を含んでもよい。
【0089】
1つ以上の非一過性媒体120を介して、収集されたデータは、マップ、地理的及び/又はナビゲーションデータ開発者124、例えば、HERE又はノキア株式会社に送られる。例えば、非一過性媒体120は、マップ開発者124に郵送されるか持ち込まれる。代替的には、収集されたデータの幾らか又は全ては、無線及び/又は有線ネットワークを介してマップ開発者124に送信されてもよい。例えば、ネットワークは、インターネット、イントラネット、ローカル・エリア・ネットワー(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、仮想プライベート・ネットワーク(「VPN」)、サーバーネットワーク、セルラーネットワーク、衛生ネットワーク、放送ネットワーク、無線又は有線接続、及び/又は、全ての既知の或いは将来的なネットワーク又は接続を含み得る。「マップ開発者」といった用語は、第三者の契約者も含み得る。
【0090】
マップ開発者124によって維持される処理装置128は、収集されたデータを受信する。処理装置128は、1つ以上のサーバー、コンピュータ(例えば、デスクトップタワー又はラップトップ処理ユニット)、プロセッサ、及び/又は、他の電子処理システム又は装置である。処理装置128は、プロセッサ140、メモリ144、及び、画像ソフトウェアアプリケーション148を含むが、これらに制限されない。追加の、より少ない、又は、異なる構成要素が設けられてもよい。
【0091】
処理装置128は、ワークステーション又はコンピュータ132を含むか、これらと通信される。例えば、ワークステーション132は、ユーザインターフェイス、電子的コンソール、及び/又は、処理装置128或いはその構成要素にアクセスする、制御する、及び/又は、通信するために使用され得る1つ以上の入力装置を有するコンピュータである。
【0092】
プロセッサ140は、一般的なプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、デジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)、デジタル回路、アナログ回路、又は、その組み合わせである。一実施形態では、プロセッサ140は、処理装置128の様々な電子機器や論理を制御及び/又はそれらと通信するよう動作可能な1つ以上のプロセッサである。メモリ144は、全ての既知の又は未来の記憶装置である。メモリ144は、ランダム・アクセス・メモリ「RAM」(電子機器)、読み取り専用メモリ「ROM」(電子機器)、又は、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)等の不揮発性及び/又は揮発性メモリである。メモリネットワークが設けられてもよい。メモリ144は、プロセッサ140の一部でもよい。メモリ144は、レーザー、LIDAR、及び/又は、画像データ又は他のデータを記憶するよう動作可能である又は構成される。
【0093】
プロセッサ140又は他のプロセッサは、メモリ144又は他のメモリに記憶され得る画像ソフトウェアアプリケーション148を実行するように構成される又は適応される。例えば、画像ソフトウェアアプリケーション148は、地理的地域に対応する三次元モデルデータのようなモデルデータに基づいて多層画像(例えば、二次元スケーラブル・ベクトル・グラフィックス(「SVG」)多層画像)を生成する。一実施形態では、アプリケーション148は、収集された三次元LIDAR点群データのような三次元モデルデータを識別及び/又は受信し、以下に詳細に説明する処理又はレンダリングシーケンスを実施して地理的地域の多層グラフィックス画像を生成する。生成された多層グラフィックス画像は、ナビゲーション又は地理的システム、並びに、様々なユーザインターフェイス、装置、又は、システムにおいて使用されてもよい。更に、生成された多層グラフィックス画像は、構成目的のためにこのようなシステム及び/又は装置の開発者に提供されてもよい。
【0094】
一実施形態では、1つ以上の生成された多層グラフィックス画像は、処理装置128と通信するデータベース136に記憶され、リンク付けされ、インデックス付けされ、及び/又は、関連付けられる。代替的には、1つ以上の生成された多層グラフィックス画像は、データベース136又はそのデータと関連付けられても関連付けられなくてもよい、1つ以上の別個の又は異なるデータベースに記憶される。一実施形態では、地理データベース136は、ナビゲーション関連及び/又は地理関連サービスに使用されるデータを含む。例えば、地理データベース136は、経路ネットワーク108のような道路ネットワークを表わす道路区分/リンク及びノードデータ記録を含む。ノードは、道路区分の端点及び/又は交点を表わす。道路区分及びノードは、地理的座標、街路名、住所範囲、速度制限、交差点での方向転換制約等の属性、及び、他の車両ナビゲーション属性並びにガソリンスタンド、ホテル、レストラン、博物館、スタジアム、事務所、自動車販売店、自動車修理工場、建物、店等のPOIと関連付けられてもよい。代替的には、地理データベース136は、経路区分/リンク及びノードデータ記録、又は、車両道路記録データに加えて或いはその代わりに歩道を表わす他のデータを含む。
【0095】
地理データベース136は、更新、メンテナンス、及び、展開を容易にするフォーマットで記憶されるマスター地理データベースでもよい。例えば、マスター地理データベース136又はマスター地理データベース136のデータは、開発又は生産目的等のためにオラクル空間フォーマットにある。オラクル空間フォーマット又は開発/生産データベースは、GDFフォーマットのような配信フォーマットにコンパイルされてもよい。
【0096】
生産及び/又は配信フォーマットのデータは、コンパイルされるか、エンドユーザナビゲーション装置或いはシステム、又は、他のシステム或いは装置において使用され得る地理データベース製品又はデータベース152を構成するよう更にコンパイルされてもよい。例えば、マップ開発者124(例えば、ナビゲーション装置又はシステムの開発者)の消費者は、生成された多層グラフィックス画像並びに他の地理的データを配信フォーマットで受信し、エンドユーザ装置のために該データをコンパイル及び/又は構成してもよい。一実施形態では、地理的データは、コンパイルされ(例えば、PSFフォーマットに)、ナビゲーション装置によりルート計算、ルート案内、マップ表示、速度計算、距離及び移動時間機能及び他の機能等のナビゲーション関連機能及び/又はサービスが実施されるよう、データ(例えば、区分/リンク、ノード、多層グラフィックス画像、及び/又は、他のデータ又は属性)が整理及び/又は構成される。ナビゲーション関連機能は、車両ナビゲーション、歩行者ナビゲーション、又は、他のタイプのナビゲーションに対応してもよい。
【0097】
図12は、装置201の構成要素の実施形態を示す。例えば、装置201は、車両のようなデータ収集又はエンドユーザ装置104の実施形態でもよく、或いは、支持装置116と同じようでもよい。一実施形態では、装置201は、データを収集するための機器を含む支持部又は筐体である。例えば、装置201は、車両に着脱可能に或いは一体的に取り付けられ或いは接続される。装置201は、車両の上後端に位置決めされる。代替的には、装置201は、任意の角度で車両に又は車両の任意の部分に位置決めされてもよい。別の実施形態では、装置201は、歩行者に取り付けられるか、歩行者によって運ばれる。例えば、装置201は、LIDAR装置、又は、三次元データを収集する他の装置でもよい。
【0098】
装置201は、プロセッサ205、メモリ209、位置決めシステム213、データ収集又はエンドユーザ装置217、及び、カメラ或いはカメラ装置221を含むが、これらに制限されない。追加の、より少ない、又は、異なる構成要素が設けられてもよい。例えば、入力装置が設けられてもよい。入力装置は、1つ以上のボタン、キーパッド、キーボード、マウス、スタイリストペン、トラックボール、ロッカースイッチ、タッチパッド、音声認識回路、又は、装置201の構成要素のうちの1つ以上を制御又はそれらにデータを入力する他の装置又は構成要素でもよい。
図12の構成要素は互いから分離して示されるが、1つ以上のこれら構成要素が組み合わされてもよい。更に、幾つかの構成要素は装置201の外部に設けられてもよい。例えば、装置201が車両に取り付けられる筐体の場合、位置決めシステム213、プロセッサ205、メモリ209、入力装置、及び/又は、他のコンポーネントが車両又は車両の別の部分に設けられ、データ収集又はエンドユーザ装置217及びカメラ221が装置201に設けられてもよい。データ収集又はエンドユーザ装置217及びカメラ221は、異なるエンクロージャ又は支持部に分離されてもよい。
【0099】
プロセッサ205は、プロセッサ140と同様か異なる。プロセッサ205は、位置決めシステム213、データ収集又はエンドユーザ装置217、及び、カメラシステム221のような収集機器を動作するように構成される。例えば、プロセッサ205は、データを収集するよう様々な収集装置にコマンドを送り、異なる構成要素を同期又は管理する。更に、プロセッサ205は、収集装置からのデータをメモリ209に記憶するように構成される。メモリ209はメモリ144と同様か異なる。メモリ209は、収集された光、レーザー、LIDAR、画像、及び/又は、位置データ又は他のデータを記憶するよう動作可能又は構成される。メモリ209は、非一過性コンピュータ読み取り可能媒体120の一部でもよく、又は、別個のメモリでもよい。
【0100】
位置決めシステム213は、GPSシステム、1つ以上の機械的及び/又は電気的センサ、1つ以上のジャイロスコープ、局所的位置決めシステム、1つ以上の方向センサ、又は、装置201、その構成要素、又は、車両のような取り付けられた装置の場所データ(例えば、緯度、経度、及び/又は、高度)、及び/又は方向データのような位置データを提供する他のシステム又は装置である。
【0101】
カメラ221は、周辺地域の写真やビデオを撮るために使用される1つ以上のカメラである。例えば、カメラシステム221は、車両が道路又は経路に沿って駆動されると、道路又は経路の或いはそれについての地理的特徴を表すビデオデータ(例えば、可視光スペクトルにおける)を記録するビデオカメラを含む。カメラ221は、ビデオデータとは別に静止画像も捕捉し得る。カメラ221は、地理的特徴の異なる色や関連するテキストを捕捉することができる。
【0102】
データ収集又はエンドユーザ装置217は、光データ収集装置を有する。例えば、装置又はシステム217は、光源及び光受信器を含み得る。一実施形態では、データ収集又はエンドユーザ装置217は、LIDAR装置又はセンサ、レーザー装置、及び/又は、光を送受信することで三次元データのようなデータ点を収集する他の装置を有する。
【0103】
上述の実施形態では、通信ネットワークは有線ネットワーク、無線ネットワーク、又は、その組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、セルラー電話ネットワーク、802.11、802.16、802.20、又は、WiMaxネットワークでもよい。更に、ネットワークは、インターネットのような公衆ネットワーク、イントラネットワークのようなプライベート・ネットワーク、又は、その組み合わせでもよく、TCP/IPベースのネットワークプロトコルを含むがこれに制限されない現在入手可能な又は後に開発される様々なネットワークプロトコルを利用してもよい。
【0104】
非一過性コンピュータ読み取り可能媒体は1つの媒体として説明されているが、「コンピュータ読み取り可能媒体」といった用語は、集中型又は分散型データベース、及び/又は、一組以上の指示を記憶する関連するキャッシュ及びサーバーのような1つの媒体又は複数の媒体を含む。「コンピュータ読み取り可能媒体」といった用語は、プロセッサによって実行される、或いは、本願明細書に開示する方法又は動作のいずれか1つ以上をコンピュータシステムに実施させる指示のセットを記憶する、コード化する、又は、有することができる任意の媒体も含む。
【0105】
特定の非制限的な模範的な実施形態では、コンピュータ読み取り可能媒体は、メモリカード、又は、1つ以上の不揮発性読み取り専用メモリを収容する他のパッケージのようなソリッドステートメモリを含み得る。更に、コンピュータ読み取り可能媒体は、ランダム・アクセス・メモリ、又は、他の揮発性書き換え可能メモリでもよい。追加的には、コンピュータ読み取り可能媒体は、伝送媒体上を通信される信号のような搬送波信号を捕捉するよう、ディスク、テープ、又は、他の記憶装置のような光磁気又は光学媒体を含み得る。電子メールへのデジタルファイル添付又は他の内蔵型情報アーカイブ又はアーカイブの組は、有形媒体である配布媒体として考えられてもよい。従って、本開示は、データ又は指示が記憶され得る、コンピュータ読み取り可能媒体又は配布媒体、及び、他の等価物及び後続媒体のいずれかを1つ以上含むことが考えられる。
【0106】
変形例では、特定用途向け集積回路、プログラマブル・ロジック・アレイ、及び、他のハードウェア装置のような専用のハードウェア実装は、本願明細書記載の方法のうちの1つ以上を実施するように構成され得る。様々な実施形態の装置及びシステムを含み得るアプリケーションは、様々な電子及びコンピュータシステムを広く含み得る。本願明細書記載の1つ以上の実施形態は、モジュール間及びモジュールを通じて通信され得る、関連制御及びデータ信号を含む2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュール又は装置を用いて、又は、特定用途向け集積回路の一部分として機能を実施してもよい。従って、本システムは、ソフトウェア、ファームウェア、及び、ハードウェア実装を包含する。
【0107】
本開示の様々な実施形態によると、本願明細書記載の方法はコンピュータシステムによって実行可能なソフトウェアプログラムによって実施されてもよい。更に、模範的な非制限的な実施形態では、実施は、分散処理、構成要素/対象物分散処理、及び、並行処理を含み得る。代替的には、仮想コンピュータシステム処理は、本願明細書に記載する方法又は機能のうちの1つ以上を実施するように構成され得る。
【0108】
本明細書は、特定の規格及びプロトコルを参照して特定の実施形態で実施されてもよい構成要素及び機能を説明するが、本発明は、このような規格やプロトコルに制限されない。例えば、インターネットや他のパケット交換ネットワーク伝送(例えば、TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTP、HTTPS)に対する規格は、最新技術の例を表わす。このような規格は、同じ機能を本質的に有する、より迅速な又はより効率的な等価物によって定期的に取って代わられる。従って、本願明細書記載の機能と同じ又は同様の機能を有する代わりとなる規格及びプロトコルはその等価物として考えられる。
【0109】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又は、コードとしても知られている)は、コンパイラ型又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又は、計算環境において使用するに好適な他のユニットを含む任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに必ずしも対応しない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書で記憶される1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分、当該プログラム専用の1つのファイル、又は、複数の連携されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又は、コードの一部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つの現場に位置されるか複数の現場にわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続される、1つのコンピュータ又は複数のコンピュータで実行されるよう展開され得る。
【0110】
本明細書に説明する処理及び論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行し、入力データで動作し出力を生成することで機能を実施する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施され得る。処理及び論理フローは、特定目的論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されてもよく、且つ、装置も該回路として実施されてもよい。
【0111】
本願明細書で使用するように、「回路(circuitry)」又は「回路(circuit)」といった用語は、次の全てを指している(a)ハードウェア専用回路実装(例えば、アナログ及び/デジタル回路のみでの実装)、及び、(b)回路及びソフトウェア(及び/又は、ファームウェア)の組み合わせ、例えば(適用できる場合には):(i)プロセッサの組み合わせ、又は(ii)携帯電話やサーバー等の装置に様々な機能を実施させるよう一緒に動作するプロセッサの一部分/ソフトウェア(デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア及びメモリ、及び、(c)ソフトウェア又はファームウェアが物理的に存在しない場合でも動作の為にソフトウェア又はファームウェアを必要とするマイクロプロセッサのような回路又はマイクロプロセッサの一部分。
【0112】
「回路」の定義は、全ての請求項を含む本願明細書における該用語の全ての使用に適用される。更なる例として、本願明細書で使用されるように、「回路」といった用語は、単にプロセッサ(又は、複数のプロセッサ)又はプロセッサの一部分、及び、その(それらの)付随するソフトウェア及び/又はファームウェアの実装も網羅する。「回路」といった用語は、例えば、特定の請求項の要素に適用可能であれば、携帯電話に対するベースバンド集積回路又はアプリケーションプロセッサ集積回路、又は、サーバー、セルラーネットワーク装置、又は、他のネットワーク装置における同様の集積回路も網羅し得る。
【0113】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサは、例として、汎用の及び特殊用途向けのマイクロプロセッサの両方、及び、任意の種類のデジタルコンピュータのいずれか1つ以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダム・アクセス・メモリ、或いは、その両方から指示やデータを受信する。コンピュータの必要要素は、指示を実施するプロセッサ、及び、指示及びデータを記憶する1つ以上のメモリ装置である。一般的に、コンピュータは、データを記憶する1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は、光学ディスクを含むか、それらからデータを受信する、それらにデータを転送する、又は、その両方を行うよう動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、このような装置を有する必要はない。更に、コンピュータは、別の装置、例えば、幾つか例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯型オーディオプレーヤー、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)受信器に埋め込まれ得る。コンピュータプログラム指示及びデータを記憶するに好適なコンピュータ読み取り可能媒体は、例として、半導体メモリ装置、例えば、EPROM、EEPROM,及び、フラッシュメモリ装置、磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、及び、CDROMやDVD-ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体、及び、メモリ装置を含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路によって補完される又は該論理回路に組み込まれ得る。
【0114】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載する技術的内容の実施形態は、ユーザに情報を表示するディスプレイ、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、及び、ユーザがコンピュータに入力を与えるためのキーボード及びポインティング装置、例えば、マウス又はトラックボールを有する装置で実施され得る。他の種類の装置もユーザとの対話を提供するために使用され得、例えば、ユーザに供給されるフィードバックはどの形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は、触覚フィードバックでもよく、ユーザからの入力は音響、音声、又は、触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。
【0115】
本明細書に記載する技術的内容の実施形態は、例えば、データサーバーのようなバックエンドコンポーネント、例えば、アプリケーションサーバーのようなミドルウェアコンポーネント、又は、例えば、本明細書に記載する技術的内容の実施でユーザが対話できるようにするグラフィカル・ユーザ・インターフェイス又はウェブブラウザを有するクライエントコンピュータのようなフロントエンドコンポーネント、又は、1つ以上のこのようなバックエンド、ミドルウェア、又は、フロントエンドコンポーネントの全ての組み合わせを含む計算システムで実施され得る。システムのコンポーネントは、例えば、通信ネットワークのような任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、及び、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、例えば、インターネットを含む。
【0116】
計算システムは、クライアントとサーバーを含み得る。クライアントとサーバーは、一般的に互いから遠く離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互に作用する。クライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピュータで実行され、互いとクライアント-サーバーの関係を有するコンピュータプログラムにより生ずる。
【0117】
本願明細書記載の実施形態の例示は、様々な実施形態の構造物の一般的な理解を提供することが意図される。例示は、本願明細書記載の構造物又は方法を利用する装置及びシステムの要素及び特徴の全ての完全な説明となることが意図されない。本開示を検討することで当業者には多数の他の実施形態が明らかとなるであろう。他の実施形態は、構造的且つ論理的置換及び変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされ得るよう、利用され本開示から導かれてもよい。追加的には、例示は、再現描写に過ぎず、一定の縮尺で描かれていない場合もある。例示内のある比率が誇張され、他の比率が最小化されてもよい。従って、本開示及び図面は、制限的でなく例示的として考えられるべきである。
【0118】
本明細書は多くの詳細を含むが、これら詳細は本発明の範囲或いは請求される範囲を制限するものとして解釈されてはならず、本発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として考えられるべきである。別個の実施形態との関連で本明細書に記載するある特徴は、1つの実施形態において組み合わせて実施されてもよい。反対に、1つの実施形態との関連で説明される様々な特徴は別々に又は任意の適当な副次的組み合わせで複数の実施形態で実施されてもよい。更に、特徴は、一定の組み合わせで作用し、そのように当初請求されるが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴が、幾つかの場合では、組み合わせから排除され、請求される組み合わせは、副次的組み合わせ又は副次的組み合わせのバリエーションを対象としてもよい。
【0119】
同様にして、動作は特定の順番で図面に示され、本願明細書で説明されるが、望ましい結果を実現するために、このような動作が図示される特定の順番又は順次的な順番で実施される、又は、例示される動作が全て実施されることが必要と理解されてはならない。ある状況では、マルタスキング及び並列処理が有利となり得る。更に、上述の実施形態における様々なシステム・コンポーネントの分離は、このような分離が全ての実施形態で必要とされると理解されてはならず、説明するプログラム・コンポーネント及びシステムが一般的に、1つのソフトウェアプロダクトに一体化されるか複数のソフトウェアプロダクトにパッケージ化され得ることが理解されるであろう。
【0120】
本開示の1つ以上の実施形態は、ここでは、単に便宜上、且つ、本願明細書の範囲をどの特定の発明又は発明の概念にも自発的に制限することを意図しないよう「発明」といった用語によって個別的及び/又は集合的に参照されてもよい。更に、特定の実施形態が例示され本願明細書で説明されたが、同じ又は同様の目的を達成するために設計される全ての後続配置も図示する特定の実施形態を置き換えることができることが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態の任意の且つ全ての後の適応又は変化を網羅することが意図される。当業者には、説明を検討することで、上述の実施形態の組み合わせ及び本願明細書で具体的に説明しない他の実施形態も明らかとなるであろう。
【0121】
要約書は、37C.F.R.1.72(b)に従うよう提供され、請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないといった理解の下で提出される。更に、先の詳細な説明では、本開示を合理化する目的で様々な特徴が1つの実施形態で一緒にグループ化されるか説明される。本開示は、請求される実施形態が各請求項に明示される以上の特徴を必要とするといった意図を反映するものとして解釈されてはならない。むしろ、添付の請求項が反映するように、本発明の技術的内容は開示する実施形態のいずれかの特徴全てより少ない特徴を対象としてもよい。そのため、添付の請求項は、「詳細な説明」に組み込まれ、各請求項は単独で別々に請求される技術的内容を定義する。
【0122】
前述の詳細な説明は制限的でなく例示的として考えられることが意図され、全ての等価物を含む添付の請求項は本発明の範囲を定めることを意図していることが理解されるであろう。請求項は、その旨の記載がない限り、説明した順番又は要素に制限されるとして読まれてはならない。従って、添付の請求項の範囲及び精神内の全ての実施形態、及び、その等価物は発明として請求される。