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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ノズル管理システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020556539
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2018042340
(87)【国際公開番号】W WO2020100266
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 元和
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/196002(WO,A1)
【文献】特開2017-191887(JP,A)
【文献】国際公開第2016/059694(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/068673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが吸着ノズルによって基板に部品を装着する複数の部品装着機の各々毎に、その各々が使用するいくつかの吸着ノズルをトレイにまとめて供給するためのノズル管理システムであって、
それぞれが、吸着ノズルを収容する収容部と、その収容部に収容されている吸着ノズルをトレイにセッティングするセッティング部とを有し、前記収容部に収容可能な吸着ノズルの種類が互いに異なる複数のノズル管理機を備え、
前記複数の部品装着機の各々が一時期において使用する吸着ノズルに関するデータである使用ノズル関連データに基づいて、その各々が使用する吸着ノズルを、前記複数のノズル管理機のいずれにおいてトレイにセッティングさせるかを決定するように構成され
前記複数のノズル管理機の各々が、自身のディスプレイに、自身のセッティング部の複数のトレイステージのいずれに、複数種類のトレイのうちのどの種類のトレイをセットすべきであるかを表示するように構成されたノズル管理システム。
【請求項2】
前記複数の部品装着機の各々が、ノズル保持部において吸着ノズルを保持するとともに、
前記複数のノズル管理機のうちの1つが、自身の前記収容部に、あるノズル保持部に保持可能な全ての種類の吸着ノズルを収容しているものの、別のあるノズル保持部に保持可能な全ての種類の吸着ノズルは収容しておらず、その一方で、
前記複数のノズル管理機のうちの別の1つが、前記別のあるノズル保持部に保持可能な全ての種類の吸着ノズルを収容しているものの、前記あるノズル保持部に保持可能な全ての種類の吸着ノズルは収容していないように構成された請求項1に記載のノズル管理システム。
【請求項3】
1の基板に前記複数の部品装着機の各々によって部品を装着する際のその1の基板についての装着作業データに基づいて作成された前記使用ノズル関連データに基づいて、前記複数の部品装着機の各々が使用する吸着ノズルを、前記複数のノズル管理機のいずれにおいてトレイにセッティングさせるかを決定するように構成された請求項1または請求項2に記載のノズル管理システム。
【請求項4】
当該ノズル管理システムが、前記複数のノズル管理機を統括して制御する制御装置を備え、その制御装置が、前記複数の部品装着機の各々が使用する吸着ノズルを、前記複数のノズル管理機のいずれにおいてトレイにセッティングさせるかを決定するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のノズル管理システム。
【請求項5】
前記複数のノズル管理機の各々が、前記収容部に収容される若しくは収容されている吸着ノズルに対して洗浄を行う洗浄部と検査を行う検査部との少なくとも一方を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のノズル管理システム。
【請求項6】
前記複数のノズル管理機のいずれかのものがセッティングを行っている場合には、そのいずれかのものに対しては、セッティングをさせる旨の決定を行わないように構成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のノズル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品装着機において使用される吸着ノズルを管理するノズル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献に記載されているように、複数のノズル管理機を備えたノズル管理システムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】再公表特許WO2014/196002号公報
【発明の概要】
【発明の解決しようとする課題】
【0004】
複数のノズル管理機を備えたノズル管理システムであっても、1つのノズル管理機には収容可能な吸着ノズルの数に限界があり、また、そのノズル管理機の構造上の問題等から、1つのノズル管理機に、すべての種類のノズルを収容することも困難な場合がある。そのような場合に、例えば、複数の部品装着機が一時期に部品の装着を行うときには、複数の部品装着機の各々ごとに、ノズルトレイに吸着ノズルをセッティングする必要があるが、複数のノズル管理機へのセッティングの振分を作業者に担わせると、その負担が大きくなってしまうことも予想される。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、複数のノズル管理機を備え、かつ、実用性の高いノズル管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のノズル管理システムは、
それぞれが吸着ノズルによって基板に部品を装着する複数の部品装着機の各々毎に、その各々が使用するいくつかの吸着ノズルをトレイにまとめて供給するためのノズル管理システムであって、
それぞれが、吸着ノズルを収容する収容部と、その収容部に収容されている吸着ノズルをトレイにセッティングするセッティング部とを有し、前記収容部に収容可能な吸着ノズルの種類が互いに異なる複数のノズル管理機を備え、
前記複数の部品装着機の各々が一時期において使用する吸着ノズルに関するデータである使用ノズル関連データに基づいて、その各々が使用する吸着ノズルを、前記複数のノズル管理機のいずれにおいてトレイにセッティングさせるかを決定するように構成され
前記複数のノズル管理機の各々が、自身のディスプレイに、自身のセッティング部の複数のトレイステージのいずれに、複数種類のトレイのうちのどの種類のトレイをセットすべきであるかを表示するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のノズル管理システムによれば、複数のノズル管理機が互いに異なる種類の吸着ノズルを収容していたとしても、上記使用ノズル関連データに基づいて、自動的に、複数のノズル管理機へのセッティング作業の振分を行うため、作業者の負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のノズル管理システムの全体、および、そのノズル管理システムが管理の対象とする吸着ノズルが使用される部品装着機を含んで構成される電子回路製造ラインを示す図である。
図2】部品装着機の全体構成を示す斜視図である。
図3】吸着ノズル、および、吸着ノズルが部品装着機において載置されるノズルトレイを示す図である。
図4】ノズル管理システムが備えるノズル管理機の外観を示す斜視図である。
図5】ノズル管理機の内部構造を示す斜視図である。
図6】ノズル管理機において吸着ノズルが載置されるノズルパレットを示す斜視図である。
図7】ノズル管理機において吸着ノズルを収容する収容部の構成を示す斜視図である。
図8】ノズルパレットがストッカに収容される様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【実施例
【0009】
図1に示す実施例のノズル管理システム(以下、単に「管理システム」という場合がある)10は、3つのノズル管理機(以下、単に「管理機」という場合がある)12と、それら管理機12を統括して制御する統括制御装置14とを含んで構成され、同図に示す部品装着機(以下、単に「装着機」という場合がある)20において使用される吸着ノズルを管理の対象とする。部品装着機20は、後に詳しく説明するが、吸着ノズルによって回路基板(以下、単に「基板」という場合がある)に電子部品(以下、単に「部品」という場合がある)を装着する。図には、6つの装着機20が、基板にクリームはんだを印刷するはんだ印刷機22、基板に装着された部品を固定するためのリフロー炉24、それらはんだ印刷機22,装着機20,リフロー炉24を統括して制御する統括制御装置26とともに、電子回路製造ライン28を構成している状態が示されている。以下に、装着機20および吸着ノズルの構成、管理機12の構成を説明した後に、当該管理システム10におけるセッティング作業の複数の管理機12への振分について説明する。
【0010】
[A]部品装着機および吸着ノズルの構成
図2に示すように、装着機20は、基板Sを搬送するとともに所定の位置に固定するコンベア型の基板搬送装置30と、それぞれが部品Pを供給する複数のフィーダ型の部品供給装置32と、それら部品供給装置32から供給される部品Pを固定された基板Sに装着するための装着ヘッド34と、その装着ヘッド34を部品供給装置32と固定された基板Sとの間で移動させるヘッド移動装置36とを含んで構成されている。装着ヘッド34は、下端部に上述の吸着ノズル(以下、「ノズル」と略す場合がある)Nが取り付けられた動作軸38と、その動作軸38を昇降および回転させる動作軸昇降回転装置(図示を省略)とを含んで構成されている。つまり、装着ヘッド34は、ノズルNを保持するノズル保持部として機能する。ちなみに、図に示す装着ヘッド34は、インデックス型の装着ヘッドであり、複数の動作軸38を有して、複数のノズルNを取り付け可能とされている。部品供給装置32から供給される部品Pは、ノズルNの先端(下端)において吸着保持され、保持された部品Pは、装着ヘッド34が基板Sの上方に移動させられた後、ノズルNによる吸着保持が解除されることで、基板S上に装着される。ちなみに、装着ヘッド34には、基板Sの表面の基準マークを撮像可能なマークカメラ40が設けられ、また、装着機20には、ノズルNに吸着保持された部品Pを下方から撮像する部品カメラ42が、設けられている。
【0011】
当該管理システム10の管理の対象であるノズルNは、斜め上方から見た図である図3(a)に示すように、筒状をなして当該ノズルNの本体部として機能する胴体筒50と、胴体筒50から下方に延び出す吸着管52と、胴体筒50の周囲に張り出すようにして同体筒50に固定されたフランジ54とを有する。胴体筒50の上端部が、当該ノズルNの基端部として機能し、その上端部において、上記動作軸38に保持される。吸着管52は、当該ノズルの先端部として機能し、比較的細いパイプ状のものとされている。なお、胴体筒50には、2本の掛止ピン56が延設されており、それら掛止ピン56を利用して、ノズルNは、動作軸38に取り付けられる。
【0012】
吸着管52には、装着ヘッド34から、胴体筒50を介して正圧および負圧が選択的に供給される。負圧の供給により、吸着管52の先端(下端)に部品Pが吸着保持され、正圧の供給により、吸着保持された部品Pが吸着管52から離脱させられる。図では内部構造を省略するが、吸着管52は、胴体筒50に対して進退可能とされている。詳しく言えば、部品Pの基板Sへの装着の際に部品Pに加わる衝撃を緩和するため、ノズルNの先端部は、胴体筒50から進出する方向にばねの力により付勢されており、その付勢力を超えた力が加わった場合に、後退可能に、つまり、胴体筒50に対して引き込み可能とされている。なお、フランジ54は、上述の部品カメラ42による部品Pの撮像の際、その撮像が鮮明に行われるための背面形成部材として機能する。フランジ54の上面には、当該ノズルNの固有情報を認識するための識別子としての2Dコード(2次元コード)58が付されている。この2Dコード58は、固有情報の一種としての当該ノズルNのIDを示すものとなっており、そのIDは、ノズルNの個別管理のために使用される。
【0013】
図では、一種類のものしか示していないが、ノズルNは、サイズおよび形状において互いに異なる複数種のものが存在し、装着機20も、サイズにおいて異なるいくつかの種類のノズルNを動作軸38に取り付け可能となっており、装着機20では、吸着保持する部品Pに応じて、それらいくつかの種類のノズルNを、自動で交換可能とされている。なお、製造する電子回路(基板Sに部品Pが装着されたもの)に応じて使用されるノズルNは異なる。また、装着機20は、異なる種類の装着ヘッド34を交換可能に取り付けられ、取り付けられる装着ヘッド34の種類によっても、取り付けられるノズルNの種類が異なる。
【0014】
装着機20において使用される複数のノズルNは、部品供給装置32の傍らに設けられたノズルステーション60に、ノズルトレイ(以下、単に「トレイ」と言う場合がある)NTに載置された状態で配置されている。トレイNTは、図3(b),(c)に示すように、概して板状をなしている。詳しく言えば、トレイNTは、ベースプレート62と、ベースプレート62の上面を覆うカバープレート64とを含んで構成されており、カバープレート64は、ベースプレート62に対してある程度の範囲で摺動可能とされている。図3(b)は、カバープレート64がベースプレート62に対してズレた状態(閉状態)を示しており、図3(c)は、カバープレート64がベースプレート62にちょうど重なった状態(開状態)を示している。
【0015】
カバープレート64はそれら2つの状態の各々における位置の間で摺動可能とされている。簡単に説明するが、ベースプレート62には、複数の載置穴66が設けられており、一方、カバープレート64にも、ベースプレート62の載置穴66に対応して、複数の抜穴68が設けられている。それら載置穴66,抜穴68が一致している図3(c)の開状態において、ノズルNの載置穴66への載置、載置穴66からの離脱を行うことができる。一方、ノズルNが載置穴66に載置されている場合に図3(b)の閉状態とすることで、フランジ54の上面の多くの部分が、カバープレート64によって蓋われ、ノズルNの載置穴66からの離脱が防止される。カバープレート64の摺動は、装着機20によって自動で行われる。
【0016】
トレイNTは、ノズルステーション60に着脱可能とされており、例えば、ある電子回路の製造を開始するにあたって、予めノズルNが載置されたトレイNTをノズルステーション60にセットすることができ、また、例えば、ある電子回路の製造を終了するにあたって、使用していたノズルNをトレイNTごとノズルステーション60から外すことができる。したがって、トレイNTは、装着機20の段取り替え等の迅速化に大きく貢献している。
【0017】
先に説明したように、例えば装着ヘッド34の種類に応じて、使用可能なノズルNの種類は異なり、載置可能なノズルNの種類に応じて複数種類のトレイNTが存在する。装着機20は、それら複数種類のトレイNTのいずれかを、ノズルステーション60に配置可能とされている。さらに、装着機20によって、使用されるトレイNTも異なる。
【0018】
トレイNTには、ベースプレート62の1つのコーナに、当該トレイNTの固有情報を認識するための識別子としての2Dコード70が付されている。この2Dコード70は、固有情報の一種としての当該トレイNTのIDを示すものとなっている。先に説明したマークカメラ40によって、トレイNTの2Dコード70、および、トレイNTに載置されたノズルNの2Dコード58を撮像可能とされており、その撮像によって取得した情報に基づいて、装着機20は、自身にどのようなトレイNTが配置されているか、トレイNTにどのようなノズルNが載置され、自身の装着ヘッド34にどのようなノズルNが装着されているかを、常に把握するようにされている。
【0019】
[B]ノズル管理機の構成
外観を図4に示す管理機12は、大まかに言えば、外装パネルを外した状態を示す図5に示すように、ノズルNを収容する収容部80と、収容部80に収容されているノズルNをトレイNTにセッティングするセッティング部82と、収容部80に収容される若しくは収容されているノズルNに対して洗浄を行う洗浄部84と、収容部82に収容される若しくは収容されているノズルNに対して検査を行う検査部86と、コンピュータを主要構成要素として含んでそれら各部を制御するコントローラ88とを含んで構成されている。
【0020】
収容部80は、図6に示すノズルパレット(以下、単に「パレット」という場合がある)NPを利用して、ノズルNを収容する。パレットNPには、それぞれにノズルNが載置される複数の載置穴90が設けられており、また、自身のIDを示す2Dコード92が付設されている。
【0021】
収容部80は、図7に示すように、複数の棚94が設けられたタワー型のストッカ96と、パレットNPを保持するキャリッジ98とそのキャリッジ98を上下前後に移動させるキャリッジ移動装置100とからなるパレットキャリア102とを含んで構成されている。図6は、キャリッジ98が後退位置かつ上昇端位置に位置して、パレットNPが後述する移載位置に位置する状態を示しており、図8は、キャリッジ98が前進させられてパレットNPが複数の棚94のうちの1つに収容される状態を示している。パレットNPがストッカ96の棚94に収容されることで、そのパレットNPに載置されているノズルNが当該管理機12の収容部80に収容されるのである。
【0022】
図5から解るように、セッティング部82には、それぞれに上述したトレイNTを定置させる3つのトレイステージ104が設けられている。また、3つのトレイステージ104のいずれかに定置されたトレイNTと、上述のパレットキャリア102によって移載位置に位置させられたパレットNPとの間で、ノズルNを移載するために、当該管理機12は、ノズル移載装置106を備えている。ノズル移載装置106は、セッティング部82を構成し、ノズルNを離脱可能に保持する移載ヘッド108と、その移載ヘッド108を移動させるヘッド移動装置110とを含んで構成されている。ノズル移載装置106によって、いずれかのパレットNPに載置されたノズルNのうちの必要なものをトレイNTに移載させることで、ノズルNのトレイNTへのセッティングが行われ、逆に、トレイNTに載置されているノズルNをいずれかのパレットNPに移載させることで、ノズルNのパレットNPへの収容が行われるのである。なお、移載ヘッド108には、セッティング,収容に際してパレットNPの2Dコード92,トレイNTの2Dコード70,ノズルNの2Dコード58を撮像可能なコードカメラ112が併設されており、コントローラ88は、そのコードカメラ112の撮像によって取得した情報に基づいて、どんなノズルNが、どのパレットNPに載置されて当該管理機12内に収容されているかを常に把握するようにされている。
【0023】
洗浄部84は、ノズル洗浄乾燥装置113を中心的な構成要素として構成されている。ノズル洗浄乾燥装置113は、洗浄用パレット114に載置されたノズルNを洗浄する。図5は、洗浄用パレット114がノズル洗浄乾燥装置113から前方に引き出された位置に位置した状態を示しており、洗浄用パレット114が図示しないパレット移動装置によってノズル洗浄乾燥装置113内まで後退させられて、洗浄,乾燥が行われる。ちなみに、洗浄は、洗浄水のノズルNへの噴射によって行われ、乾燥は、温風エアブローによって行われる。なお、洗浄用パレット114とパレットNP若しくはトレイNTとの間のノズルNの移載は、先に説明したノズル移載装置106によって行われる。
【0024】
検査部86は、移載ヘッド108によって保持されたノズルNを下方から撮像する検査用カメラ116と、上方から加わる荷重を測定する荷重測定器118と、移載ヘッド108によって保持されたノズルNにエアを供給してそのエア流量を測定するエア供給・流量測定器120とを含んで構成される。検査用カメラ116によってノズルNの先端部、すなわち、吸着管52の曲り,欠損等の検査が、荷重測定器118によって、吸着管52を後退させるのに必要な力の検査、すなわち、ノズルNへの異物の噛込み,ノズルNの破損等の検査が、エア供給・流量測定器120によって、ノズルNの詰り等の検査が、それぞれ行われる。
【0025】
[C]セッティング作業の複数のノズル管理機への振分
先に説明したように、電子回路製造ライン28には、複数の装着機20が存在しており、ある電子回路を製造する場合、つまり、1つの基板に複数の装着機20の各々によって部品Pを装着する際、装着される部品Pが、それら複数の装着機20に振り分けられる。つまり、部品装着作業が振り分けられて、いずれの装着機12がどのような部品Sを何個装着するかが決定され、電子回路製造ライン28によるその電子回路についての装着作業データが作成される。この振分および装着作業データの作成は、図1に示す生産管理機130(コンピュータである)によって行われる。そして、生産管理機130は、その装着作業データに基づいて、下記の表に模式的に示す使用ノズル関連データを作成する。使用ノズル関連データは、端的に言えば、装着機20ごとに、どの種類の装着ヘッド34を取り付け、その装着ヘッド34にどの種類のノズルNをいくつ装着するかを示すデータである。
【表1】
【0026】
生産管理機130は、LAN132を介して、管理システム10の統括制御装置14と通信可能に接続されている。使用ノズル関連データは、生産管理機130から統括制御装置14に送られる。ちなみに、図1では、1つの電子回路製造ライン28しか表してないが、当該事業所には、複数の電子回路製造ラインが存在し、それらのすべてを、当該管理システム10が管理するようにされている。
【0027】
管理機12は、ノズルNの収容数にも限界があり、また、例えば洗浄用パレット114の関係で、すべての種類のノズルNを収容することができない。そこで、本管理システム10では、当該事業所で使用されるノズルNを、取り付けられる装着ヘッド34の種類に関連付けて複数のグループに分け、各管理機12は、それら複数のグループのいずれか1つに属するノズルNのみを収容するようにされている。具体的には、例えば、3つの管理機12を、管理機12A,管理機12B,管理機12Cと区別すれば、管理機12Aには、グループAに属するノズルNが、管理機12Bには、グループBに属するノズルNが、管理機12Cには、グループCに属するノズルNが、それぞれ収容されている。つまり、複数の管理機12は、収容されるノズルNの種類において互いに異なっているのである。ちなみに、いくつかの種類のノズルNは、複数のグループに属するようにされており、同じ種類のノズルNが、3つの管理機12のうちの複数のものに収容されている。
【0028】
ここで、言い換えれば、本管理システム10は、複数の管理機12のうちの1つが、自身の収容部80に、ある装着ヘッド34に保持可能な全ての種類のノズルNを収容しているものの、別のある装着ヘッド34に保持可能な全ての種類のノズルNは収容しておらず、その一方で、複数の管理機12のうちの別の1つが、別のある装着ヘッド34に保持可能な全ての種類のノズルNを収容しているものの、上記ある装着ヘッド34に保持可能な全ての種類のノズルNは収容していないように構成されているのである。
【0029】
統括制御装置14は、管理機12A,管理機12B,管理機12Cの各々が、どのクループのノズルNを収容しているかを把握しており、上記使用ノズル関連データに基づいて、どの管理機12が、どの装着機20に対するノズルNを、どのトレイNTにセッティングを行うかを決定する。具体的には、下記表のように決定される。
【表2】
【0030】
統括制御装置14は、上記決定に基づいて、管理機12A,管理機12B,管理機12Cの各々に、その各々が行うセッティングに対する情報を送信する。この情報には、使用されるトレイNTの種類と、そのトレイNTに配置されるノズルNの種類と、そのトレイNTが載置される装着機20の番号とが含まれる。
【0031】
管理機12の各々のコントローラ88は、自身のディスプレイ134(図4図5参照)に、その各々のセッティング部82のいずれのトレイステージ104にどの種類のトレイNTをセットすべきであるかを表示する。その表示を見た作業者は、その指示されたトレイNTを、その指示されたトレイステージ104にセットすることで、それら管理機12の各々は、そのトレイNTに対して、適切なノズルNのセッティング作業を自動で行うようにされているのである。
【0032】
なお、詳しい説明は省略するが、管理機12A,管理機12B,管理機12Cのいずれかがセッティングを行っている場合には、そのいずれかに対しては、統括制御装置14は、セッティングを行う旨の決定を行わないようにされている。
【符号の説明】
【0033】
10:ノズル管理システム 12:ノズル管理機 14:統括制御装置 20:部品装着機 28:電子回路製造ライン 34:装着ヘッド 60:ノズルステーション 80:収容部 82:セッティング部 84:洗浄部 86:検査部 88:コントローラ S:基板 P:部品 N:吸着ノズル NT:ノズルトレイ NP:ノズルパレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8