(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】締結装置
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
B65H75/38 N
(21)【出願番号】P 2020560490
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019095132
(87)【国際公開番号】W WO2020087976
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】201811275429.6
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510299178
【氏名又は名称】陳 金柱
【氏名又は名称原語表記】CHEN,Chin-Chu
【住所又は居所原語表記】No.11-1,Lane 188,Gougye Rd.,Zhonghe Village,Longjing District Taichung,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 金柱
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513679(JP,A)
【文献】国際公開第2018/086068(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3159620(JP,U)
【文献】登録実用新案第3202821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/38
A43B 1/00-23/30
A43C 1/00-19/00
A43D 1/00-999/00
B29D 35/00-35/14
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向及び軸方向を有し、且つ内部空間を取り囲む環状壁
、及び、前記環状壁と着脱可能に組み立てられたベースを含むハウジングユニットと、
大径部、及び前記軸方向に沿って前記大径部に接続される小径部を有する軸心空間を含み、前記内部空間に位置するコイルと、
前記軸方向に沿って前記コイルの上方に設けられ、前記コイルの放出方向への回転を選択的に遮断する制動ユニットと、
前記軸方向に沿って前記制動ユニットの上方に設けられ、且つ前記制動ユニットに結合されるノブと、
前記ノブに接続される第1の部品群と、前記第1の部品群に接続されるように、前記軸心空間に貫設され且つ前記大径部により位置決めされる第2の部品群と、を含む接続ユニットと、
を備え
、
前記接続ユニットは前記ベースに直接結合されていないことを特徴とする締結装置。
【請求項2】
前記第1の部品群は、スクリューを含み、
前記第2の部品群は、接続スリーブを含み、該接続スリーブは、前記大径部に位置決めされる頂上部と、前記頂上部に接続され、前記小径部を通過し且つ前記スクリューがロックされる筒部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
前記ノブは、前記軸方向に沿って前記内部空間へ突出するボスを含み、前記接続スリーブが前記ノブと連動するように、前記筒部が前記ボスに嵌合されることを特徴とする請求項2に記載の締結装置。
【請求項4】
前記第1の部品群は、ロック軸スリーブを含み、
前記第2の部品群は、前記大径部に位置決めされるストッパリングと、前記ストッパリング及び前記小径部を通過して前記ロック軸スリーブにロックされるスクリューと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項5】
前記ロック軸スリーブは、下嵌合部を含み、
前記ストッパリングは、前記下嵌合部に嵌合される内嵌合溝を含むことを特徴とする請求項4に記載の締結装置。
【請求項6】
前記ノブは、前記軸方向に沿って前記内部空間へ突出するボスを含み、
前記ロック軸スリーブは、前記下嵌合部に接続され且つ前記ボスに嵌合される上嵌合部を含むことを特徴とする請求項5に記載の締結装置。
【請求項7】
前記ロック軸スリーブは下端面を含み、前記スクリューが前記ロック軸スリーブにロックされた状態で、前記ストッパリングが前記下端面に当接することを特徴とする請求項4に記載の締結装置。
【請求項8】
前記第1の部品群は、ロック軸スリーブを含み、
前記第2の部品群は、スクリューを含み、該スクリューは、前記大径部により位置決めされる頭部と、前記頭部に接続され且つ前記ロック軸スリーブにロックされるように、前記軸心空間に貫設されるロッド部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項9】
前記ハウジングユニットは、前記環状壁の下端に凹設される内環凹部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項10】
前記ハウジングユニットは、
前記径方向に沿って前記内部空間へ突出するように前記環状壁に位置するストッパ部を更に含み、
前記コイルが、前記ストッパ部の下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項11】
径方向及び軸方向を有し、且つ内部空間を取り囲む環状壁
、及び、前記環状壁と着脱可能に組み立てられたベースを含むハウジングユニットと、
大径部、及び前記軸方向に沿って前記大径部に接続される小径部を有する軸心空間を含み、前記内部空間に位置するコイルと、
前記軸方向に沿って前記コイルの上方に設けられ、前記コイルの放出方向への回転を選択的に遮断する制動ユニットと、
前記制動ユニットに結合されるように前記軸方向に沿って前記制動ユニットの上方に設けられ、前記放出方向へ回転して前記制動ユニットが前記軸方向に沿って上昇するように連動させて、前記制動ユニットと前記コイルとを分離させるノブと、
前記ノブに接続され、且つ前記軸心空間に貫設されて前記大径部により位置決めされる接続ユニットと、
を備え
、
前記接続ユニットは前記ベースに直接結合されていないことを特徴とする締結装置。
【請求項12】
前記接続ユニットは、
前記ノブに接続される第1の部品群と、
前記第1の部品群に接続されるように、前記軸心空間に貫設され、且つ前記大径部により位置決めされる第2の部品群と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の締結装置。
【請求項13】
前記第1の部品群は、スクリューを含み、
前記第2の部品群は、接続スリーブを含み、該接続スリーブは、前記大径部に位置決めされる頂上部と、前記頂上部に接続され、前記小径部を通過し且つ前記スクリューがロックされる筒部と、を有することを特徴とする請求項12に記載の締結装置。
【請求項14】
前記ノブは、前記軸方向に沿って前記内部空間へ突出するボスを含み、前記接続スリーブが前記ノブと連動するように、前記筒部が前記ボスに嵌合されることを特徴とする請求項13に記載の締結装置。
【請求項15】
前記第1の部品群は、ロック軸スリーブを含み、
前記第2の部品群は、前記大径部に位置決めされるストッパリングと、前記ストッパリング及び前記小径部を通過して前記ロック軸スリーブにロックされるスクリューと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の締結装置。
【請求項16】
前記ロック軸スリーブは、下嵌合部を含み、
前記ストッパリングは、前記下嵌合部に嵌合される内嵌合溝を含むことを特徴とする請求項15に記載の締結装置。
【請求項17】
前記ノブは、前記軸方向に沿って前記内部空間へ突出するボスを含み、
前記ロック軸スリーブは、前記下嵌合部に接続され且つ前記ボスに嵌合される上嵌合部を含むことを特徴とする請求項16に記載の締結装置。
【請求項18】
前記ロック軸スリーブは下端面を含み、前記スクリューが前記ロック軸スリーブにロックされた状態で、前記ストッパリングが前記下端面に当接することを特徴とする請求項15に記載の締結装置。
【請求項19】
前記第1の部品群は、ロック軸スリーブを含み、
前記第2の部品群は、スクリューを含み、該スクリューは、前記大径部により位置決めされる頭部と、前記頭部に接続され且つ前記ロック軸スリーブにロックされるように、前記軸心空間に貫設されるロッド部と、を有することを特徴とする請求項12に記載の締結装置。
【請求項20】
前記ハウジングユニットは、
前記径方向に沿って前記内部空間へ突出するように前記環状壁に位置するストッパ部を更に備え、
前記コイルが前記ストッパ部の下方に位置することを特徴とする請求項11に記載の締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結装置に関し、特に、糸を回収・放出可能な締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、常に紐やベルト等の糸体によって物品を収束するが、最もよく見られる収束手段としては、例えば、ひも靴等のように、糸体を物品における穴から往復して通り抜けさせて、また結び目によって固定することがある。しかしながら、このような収束手段では、外力の要因により結び目が緩みやすく、結び目を再び結ばなければならず、物品をしっかりと収束できないことで大きな障害をもたらす。
【0003】
このような問題を解決するために、業者により、糸体を通過させるための貫通穴を有するケースと、制動ユニットと、バネと、を備え、バネと制動ユニットとの間の作用力によって糸体を制動ユニットとケースとの間に挟んで締結効果を達成させ、バネを押圧して制動ユニットの位置を変えることで、糸体を引いてその長さを変えることができる簡易束線機構が発展される。しかし、このような束線機構は、バネの復帰力によって締結力を提供するものであり、依然として振動や外力の要因により糸体が緩みやすく、且つこのような束線機構に糸体を収納する空間はないため、糸体の露出により危険をもたらしやすい。
【0004】
従って、他の業者により、ベルトを旋回するように収束して固定することのできる別の留め具が発展され、糸体が留め具の内部に容置されることができ、且つ内部部材の機械力の干渉によって糸体の長さを調整可能にすると共に、収束の締め付け度を調整する。しかしながら、このような留め具の構造が複雑であるので、製造コストが向上すると共に、組立やメンテナンスが困難であるという問題がある。
【0005】
そのため、業者は、引き続いて留め具の内部の構造に調整や改善を加えている。何れの調整や改善も構造を簡単化する前提で、留め具の締結能力を保持し、構造の信頼度を向上させ、短命化を避けるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、如何に留め具等の締結装置の構造を効果的に改善するかは、当業者の努力する目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コイルと接続ユニットの構造配置によって、構造の信頼度を向上させることのできる締結装置を提供する。
【0008】
本発明の一態様の一実施形態によると、径方向及び軸方向を有し、且つ内部空間を取り囲む環状壁、及び、環状壁と着脱可能に組み立てられたベースを含むハウジングユニットと、大径部、及び軸方向に沿って大径部に接続される小径部を有する軸心空間を含み、内部空間に位置するコイルと、軸方向に沿ってコイルの上方に設けられ、コイルの放出方向への回転を選択的に遮断する制動ユニットと、軸方向に沿って制動ユニットの上方に設けられ、且つ制動ユニットに結合されるノブと、ノブに接続される第1の部品群と、第1の部品群に接続されるように、軸心空間に貫設され且つ大径部により位置決めされる第2の部品群と、を含む接続ユニットと、を備え、接続ユニットはベースに直接結合されていない締結装置を提供する。
【0009】
これにより、コイルの軸心空間に大径部及び小径部を持たせることで、接続ユニットを大径部に位置決めして、ハウジングユニット、コイル、制動ユニット及びノブが回転中に緩んで分離することを避け、構造の信頼度の向上に寄与することができる。
【0010】
前記の締結装置の複数の実施例によると、第1の部品群は、スクリューを含んでもよい。第2の部品群は、接続スリーブを含んでよく、接続スリーブは、大径部に位置決めされる頂上部と、頂上部に接続され、小径部を通過し且つスクリューがロックされる筒部と、を有してもよい。又は、ノブは、軸方向に沿って内部空間へ突出するボスを含んでもよい、接続スリーブがノブと連動するように、筒部がボスに嵌合される。
【0011】
前記の締結装置の複数の実施例によると、第1の部品群は、ロック軸スリーブを含んでもよい。第2の部品群は、大径部に位置決めされるストッパリングと、ストッパリング及び小径部を通過してロック軸スリーブにロックされるスクリューと、を含んでもよい。又は、ロック軸スリーブは、下嵌合部を含んでよく、ストッパリングは、下嵌合部に嵌合される内嵌合溝を含む。又は、ノブは、軸方向に沿って内部空間へ突出するボスを含んでよく、ロック軸スリーブは、下嵌合部に接続され且つボスに嵌合される上嵌合部を含む。又は、ロック軸スリーブは下端面を含んでよく、スクリューがロック軸スリーブにロックされた状態で、ストッパリングが下端面に当接する。
【0012】
前記の締結装置の複数の実施例によると、第1の部品群は、ロック軸スリーブを含んでもよい。第2の部品群は、スクリューを含み、該スクリューは、大径部により位置決めされる頭部と、頭部に接続され且つロック軸スリーブにロックされるように、軸心空間に貫設されるロッド部と、を有してもよい。
【0013】
前記の締結装置の複数の実施例によると、ハウジングユニットは、環状壁の下端に凹設される内環凹部を更に含んでもよい。又は、ハウジングユニットは、径方向に沿って内部空間へ突出するように環状壁に位置するストッパ部を更に含み、コイルはストッパ部の下方に位置していてもよい。
【0014】
本発明の一態様の別の実施形態によると、径方向及び軸方向を有し、且つ内部空間を取り囲む環状壁、及び、環状壁と着脱可能に組み立てられたベースを含むハウジングユニットと、大径部、及び軸方向に沿って大径部に接続される小径部を有する軸心空間を含み、内部空間に位置するコイルと、軸方向に沿ってコイルの上方に設けられ、コイルの放出方向への回転を選択的に遮断する制動ユニットと、制動ユニットに結合されるように軸方向に沿って制動ユニットの上方に設けられ、放出方向へ回転して制動ユニットが軸方向に沿って上昇するように連動させて、制動ユニットとコイルとを分離させるノブと、ノブに接続され、且つ軸心空間に貫設されて大径部により位置決めされる接続ユニットと、を備え、接続ユニットはベースに直接結合されていない締結装置を提供する。
【0015】
前記の締結装置の複数の実施例によると、接続ユニットは、ノブに接続される第1の部品群と、第1の部品群に接続されるように、軸心空間に貫設され且つ大径部により位置決めされる第2の部品群と、を含む。又は、第1の部品群は、スクリューを含んでもよい。第2の部品群は、接続スリーブを含み、接続スリーブは、大径部に位置決めされる頂上部と、頂上部に接続され、小径部を通過し且つスクリューがロックされる筒部と、を有してもよい。又は、ノブは、軸方向に沿って内部空間へ突出するボスを含み、接続スリーブがノブと連動するように、筒部がボスに嵌合されてもよい。
【0016】
前記の締結装置の複数の実施例によると、第1の部品群は、ロック軸スリーブを含んでもよい。第2の部品群は、大径部に位置決めされるストッパリングと、ストッパリング及び小径部を通過してロック軸スリーブにロックされるスクリューと、を含んでもよい。又は、ロック軸スリーブは、下嵌合部を含み、ストッパリングは、下嵌合部に嵌合される内嵌合溝を含んでもよい。又は、ノブは、軸方向に沿って内部空間へ突出するボスを含み、ロック軸スリーブは、下嵌合部に接続され且つボスに嵌合される上嵌合部を含んでもよい。又は、ロック軸スリーブは下端面を含んでよく、スクリューがロック軸スリーブにロックされた状態で、ストッパリングが下端面に当接する。
【0017】
前記の締結装置の複数の実施例によると、第1の部品群は、ロック軸スリーブを含んでもよい。第2の部品群は、大径部により位置決めされる頭部と、頭部に接続され且つロック軸スリーブにロックされるように、軸心空間に貫設されるロッド部と、を有するスクリューを含んでもよい。又は、ハウジングユニットは、径方向に沿って内部空間へ突出するように環状壁に位置するストッパ部を更に含み、コイルはストッパ部の下方に位置していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施例による締結装置を示す斜視模式図である。
【
図3】
図1の締結装置を示す別の分解模式図である。
【
図5】
図1の締結装置を示す別の断面模式図である。
【
図6】本発明の第2の実施例による締結装置を示す斜視分解模式図である。
【
図8】本発明の第3の実施例による締結装置を示す斜視分解模式図である。
【
図10】本発明の第4の実施例による締結装置を示す斜視分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に合わせて、本発明の実施例を説明する。明確に説明するために、多くの実際的な細部を下記叙述で合わせて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実際的な細部は本発明を限定するためのものではない。つまり、本発明の実施形態の一部において、これらの実際的な細部は、必要としない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び要素は、図面において簡単で模式的に示される。また、繰り返される要素は、同一又は類似の番号で示されることがある。
【0020】
また、本明細書において、ある要素(又は機構やモジュール等)が別の要素に「接続」、「設置」又は「結合」される場合、前記要素が別の要素に直接接続、直接設置又は直接結合されることを指してもよいし、ある要素が別の要素に間接接続、間接設置又は間接結合されることを指してもよい。つまり、他の要素が前記要素と別の要素との間に介在することがある。ある要素が別の要素に「直接接続」、「直接設置」又は「直接結合」されることが明示される場合しか、他の要素が前記要素と別の要素との間に介在することはないことを表す。「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は、単に異なる要素や成分を記述するためのものであり、要素/成分そのものを制限しないため、第1の要素/成分は、第2の要素/成分と言い換えられてもよい。且つ本明細書における要素/成分/機構/モジュールの組み合わせは、この分野における一般に周知、常規又は既知の組み合わせではない。要素/成分/機構/モジュールそのものが既知であるかによって、その組み合わせ関係が当業者により容易に完成されるかを判定することはできない。
【0021】
(第1の実施例)
図1、
図2、
図3、
図4及び
図5を参照する。
図1は本発明の第1の実施例による締結装置100を示す斜視模式図であり、
図2は
図1の締結装置100を示す分解模式図であり、
図3は
図1の締結装置100を示す別の分解模式図であり、
図4は
図1の締結装置100を示す断面模式図であり、
図5は
図1の締結装置100を示す別の断面模式図である。締結装置100は、ハウジングユニット200と、コイル300と、制動ユニット400と、ノブ500と、接続ユニット600と、を備える。
【0022】
ハウジングユニット200は、径方向(図示せず)及び軸方向I1を有し、且つ内部空間240を取り囲む環状壁220を含む。コイル300は、大径部342、及び軸方向I1に沿って大径部342に接続される小径部341を有する軸心空間340を含み、内部空間240に位置する。制動ユニット400は、軸方向I1に沿ってコイル300の上方に設けられ、コイル300の放出方向A1への回転を選択的に遮断する。ノブ500は、軸方向I1に沿って制動ユニット400の上方に設けられ、且つ制動ユニット400に結合される。接続ユニット600は、ノブ500に接続され、且つ軸心空間340に貫設されて大径部342により位置決めされる。
【0023】
これにより、コイル300の軸心空間340に大径部342及び小径部341を持たせることで、接続ユニット600を大径部342に位置決めして、ハウジングユニット200、コイル300、制動ユニット400及びノブ500が回転中に緩んで分離することを避け、構造の信頼度の向上に寄与することができる。以下、締結装置100の細部構造を詳しく説明する。
【0024】
ハウジングユニット200は、径方向に沿って内部空間240へ突出するように環状壁220に位置するストッパ部250を更に含み、コイル300は、ストッパ部250の下方に位置してもよい。ハウジングユニット200は、環状壁220を設けるためのベース210と、複数の係合ギヤ230と、内環凹部260と、を更に含む。環状壁220をベース210に設けるために、環状壁220はベース210に係合可能に設けられてもよい。複数の係合ギヤ230は、内部空間240に向かうように環状壁220に位置し、環状壁220の上端に位置し、内環凹部260は環状壁220の下端に凹設され、ストッパ部250は、凸型リング状構造を有し、且つ係合ギヤ230に近接する。つまり、環状壁220の内径の変化によって内環凹部260及びストッパ部250を形成することができる。
【0025】
コイル300は、中空軸柱380、上環部360及び下環部370を含み、上環部360及び下環部370がそれぞれ中空軸柱380から径方向に沿って外方へ突出し、且つ上環部360が軸方向I1に沿って下環部370の上方に位置するため、上環部360と下環部370との間に、糸(図示せず)により巻き取られることのできる環状軌道310が形成される。コイル300は、軸方向I1に沿って上環部360の上方に位置する複数の嵌合歯部320を更に含み、且つ中空軸柱380の内周面350が周回して軸心空間340を形成し、中空軸柱380の内径の変化によって互いに連通する大径部342及び小径部341を形成することができ、大径部342が小径部341の下方に位置してもよい。中空軸柱380の内周面350は、何れも大径部342に位置する外方拡張領域351及び垂直面領域352を含み、コイル300は、軸心空間340に連通する下開口330を更に含んでもよい。
【0026】
制動ユニット400は、環状本体440、第1の保持部410、第2の保持部420、3つの案内部430、3つのクリック式係合アーム450、3つの係止部460、複数の嵌合係合歯470、中心孔480及び2つのバンプ491、492を含む。中心孔480は環状本体440の中央に位置し、案内部430は環状本体440から外向きに突出する傾斜した歯構造であり、且つノブ500に結合されることに用いられる。第1の保持部410及び第2の保持部420は、環状本体440から内側に突出し、且つ各々自由端411、421を含み、自由端411、421が力を受けると径方向に沿って移動することができ、外力が解放された後で復帰することができる。2つのバンプ491、492は、環状本体440から内側に突出し、且つ2つの自由端411、421との間に間隔を有する。クリック式係合アーム450は、環状本体440の外面に接続される近位端451と、係合ギヤ230に分離可能に噛み合うための遠位端452と、を含む。3つの係止部460は、それぞれ3つのクリック式係合アーム450に位置する。嵌合係合歯470は、環状本体440の下方に位置し、コイル300の嵌合歯部320に選択的に噛み合うことができる。
【0027】
ノブ500は、ノブ500の内壁に設けられる案内軌道510と、軸方向I1に沿って内部空間240へ突出するボス520と、ボス520を貫通する貫通穴530と、径方向に沿ってボス520の外側に対称に設けられる2つの位置決めブロック540と、を含む。ここで特に説明すべきなのは、
図3では、視野角の要因によって位置決めブロック540のみがみられるが、当業者であれば、視野角の見えない側に、他方の位置決めブロック540があることがわかる。
【0028】
接続ユニット600は、ノブ500に接続される第1の部品群(図示せず)と、第1の部品群に接続されるように、軸心空間340に貫設され且つ大径部342により位置決めされる第2の部品群(図示せず)と、を含む。第1の実施例において、接続ユニット600の第1の部品群は、スクリュー610を含み、第2の部品群は、接続スリーブ620を含む。接続スリーブ620は、大径部342に位置決めされる頂上部622と、頂上部622に接続され、小径部341を通過し且つスクリュー610がロックされる筒部621と、を含む。
【0029】
より詳しくは、コイル300が環状壁220の下方から内部空間240に配置された状態で、
図4に示すように、上環部360及び下環部370は、それぞれストッパ部250及び内環凹部260により位置決めされて、コイル300が環状壁220の上方から脱離できないようにする。案内部430(
図3参照)は、ノブ500と制動ユニット400を接続するように、案内軌道510に結合され、ノブ500のボス520は制動ユニット400の中心孔480(
図2参照)に突き出る。
【0030】
接続スリーブ620は、コイル300の下開口330(
図3参照)を介して下から上へと軸心空間340に配置されることができ、小径部341、大径部342、頂上部622及び筒部621の直径の原因で、筒部621が小径部341を通過することができるが、頂上部622が大径部342に残される。この場合、スクリュー610を筒部621にロックするだけで、ノブ500及び制動ユニット400とコイル300とを組み合わせることができる。且つストッパ部250の原因で、スクリュー610が筒部621にロックされた状態で、ノブ500、制動ユニット400、コイル300及び環状壁220は分離できなくなり、組立が終了する。他の実施例において、コイルが環状壁の上方から脱離することを阻止するように、ストッパ部を設けずに、係合ギヤを内部空間へ突出させてもよい。或いは、ストッパ部及び内環凹部の一方が環状壁に設けられてもよいが、上記開示に限定されない。
【0031】
好ましくは、筒部621は、接続スリーブ620がノブ500と連動するように、ボス520に嵌合されることができる。筒部621がボス520に嵌合されることができるように、筒部621の外壁形状は貫通穴530の内壁に合わせてよく、好ましくは、筒部621の外壁の断面及び貫通穴530の内壁の断面の何れも非円形である。糸を引いてコイル300を放出方向A1へ回転させる場合、コイル300が第2の部品群に摩擦する可能性があるので、第2の部品群の筒部621をボス520に嵌合させると、第2の部品群が摩擦により旋回することを防止することに寄与し、更に第1の部品群とのロックの分離を避けることができる。
【0032】
図4に示すように、制動ユニット400は第1の位置にあり、制動ユニット400の嵌合係合歯470がコイル300の嵌合歯部320に噛み合い、且つクリック式係合アーム450の遠位端452(
図2参照)が放出方向A1(
図2参照)において係合ギヤ230に噛み合い、クリック式係合アーム450の遠位端452が束ね方向A2(
図2参照)において係合ギヤ230から絶えずに分離し、係止部460は、位置が係合ギヤ230よりも相対的に低いので、係合ギヤ230に噛み合わない。そのため、束ね方向A2へノブ500を回転させると、制動ユニット400を駆動させてコイル300が糸を回収するように連動することができるが、且つノブ500が作動しない場合、クリック式係合アーム450の遠位端452は、コイル300の放出方向A1への回転を防止するように係合ギヤ230に当接し、糸が放出されることを防止することができる。
【0033】
また、ノブ500の放出方向A1への回転によって、制動ユニット400が軸方向I1に沿って上昇するように連動させて、制動ユニット400とコイル300とを分離させることができる。より詳しくは、制動ユニット400が第1の位置にある場合、案内部430とノブ500の案内軌道510とは噛み合い、その一方の位置決めブロック540は第1の保持部410の自由端411とバンプ491との間に位置するが、他方の位置決めブロック540は第2の保持部420の自由端421とバンプ492との間に位置する。ノブ500が放出方向A1へ回転する場合、制動ユニット400は、クリック式係合アーム450と係合ギヤ230との噛み合い関係により限定されて共に回転できないため、2つの位置決めブロック540がそれぞれ2つの自由端411、421に押し付けられ、2つの自由端411、421が径方向に沿って変形することで、ノブ500は、制動ユニット400に対して回転できるようになる。案内部430は、案内軌道510により案内されて案内軌道510に対して軸方向I1に沿って上昇し、制動ユニット400が第2の位置にあるように切り替える。この場合、前記その一方の位置決めブロック540は第1の保持部410の自由端411とバンプ492との間に位置するようになり、前記他方の位置決めブロック540は第2の保持部420の自由端421とバンプ491との間に位置するようになる。
【0034】
そのため、
図5に示すように、制動ユニット400が第2の位置にあり、その嵌合係合歯470がコイル300の嵌合歯部320から分離するため、この場合、コイル300は、制動ユニット400により影響されず、放出方向A1へ回転することができ、糸を引くことで放出することができる。
【0035】
(第2の実施例)
図6及び
図7を参照する。
図6は本発明の第2の実施例による締結装置100aを示す斜視分解模式図であり、
図7は
図6の締結装置100aを示す断面模式図である。締結装置100aは、ハウジングユニット(図示せず)と、コイル300aと、制動ユニット400aと、ノブ500aと、接続ユニット600aと、を備える。ハウジングユニット、コイル300a、制動ユニット400a及びノブ500aの構造と関係は第1の実施例のハウジングユニット200、コイル300、制動ユニット400及びノブ500と類似であるが、接続ユニット600aの構造は第1の実施例の接続ユニット600と異なる。
【0036】
接続ユニット600aは、ロック軸スリーブ610aを含む第1の部品群と、大径部(図示せず)に位置決めされるストッパリング621aと、ストッパリング621a及び小径部(図示せず)を通過してロック軸スリーブ610aにロックされるスクリュー622aと、を有する第2の部品群620aと、を含む。ロック軸スリーブ610aは、下嵌合部611aを含み、ストッパリング621aは、下嵌合部611aに嵌合される内嵌合溝6211aを含む。ノブ500aは、軸方向に沿って内部空間(図示せず)へ突出するボス(図示せず)を含み、ロック軸スリーブ610aは、下嵌合部611aに接続され且つボスに嵌合される上嵌合部612aを更に含む。
【0037】
詳しくは、ストッパリング621aは、底部6213aと、底部6213aに接続される本体部6212aと、を更に含み、且つ内嵌合溝6211aが本体部6212aに位置する。ロック軸スリーブ610aの上嵌合部612a形状がボス内に位置する貫通穴(図示せず)に合い、下嵌合部611aの形状が内嵌合溝6211aに合う。そのため、ロック軸スリーブ610aが貫通穴に引き込まれる場合、上嵌合部612aはボスに嵌合され、下嵌合部611aはボスから露出して小径部内に突き出る。
【0038】
また、
図7に示すように、ストッパリング621aの本体部6212aが小径部に入り、内嵌合溝6211aが下嵌合部611aに嵌合され、底部6213aが大径部に残されて大径部により位置決めされ、スクリュー622aが軸方向に沿って下から上へとロック軸スリーブ610a内にロックされて、ノブ500a、制動ユニット400a、コイル300a及び環状壁220aの組み合わせを完成することができる。糸を引いてコイル300aを放出方向へ回転させる場合、コイル300aが第2の部品群620aに摩擦する可能性がある。第2の部品群620aのストッパリング621aがロック軸スリーブ610aによってボスに嵌合されるので、第2の部品群620aが摩擦により旋回することを防止することに寄与し、更に第1の部品群とのロックの分離を避けることができる。
【0039】
(第3の実施例)
図8及び
図9を参照する。
図8は本発明の第3の実施例による締結装置100bを示す斜視分解模式図であり、
図9は
図8の締結装置100bを示す断面模式図である。締結装置100bは、ハウジングユニット(図示せず)と、コイル300bと、制動ユニット400bと、ノブ500bと、接続ユニット600bと、を備える。ハウジングユニット、コイル300b、制動ユニット400b及びノブ500bの構造と関係は第2の実施例のハウジングユニット、コイル300a、制動ユニット400a及びノブ500aと類似であるが、接続ユニット600bの構造は第2の実施例の接続ユニット600aと異なる。
【0040】
より詳しくは、接続ユニット600bの第1の部品群はロック軸スリーブ610bを含み、第2の部品群620bはストッパリング621b及びスクリュー622bを含む。ロック軸スリーブ610bの構造は第2の実施例のロック軸スリーブ610aと同じであってもよいが、上嵌合部の軸方向に沿った長さを大きくして、小径部に突き出るように、下嵌合部を含まなくてもよい。上記開示を含むがそれに限定されない。第3の実施例において、ストッパリング621bは環状構造を有する。ロック軸スリーブ610bは下端面611bを含み、スクリュー622bがロック軸スリーブ610bにロックされた状態で、ストッパリング621bが下端面611bに当接して、ノブ500b、制動ユニット400b、コイル300b及び環状壁220bの組立を完成することができる。糸を引いてコイル300bを放出方向へ回転させる場合、コイル300bが第2の部品群620bに摩擦する可能性がある。ストッパリング621bがスクリュー622bにより迫られて下端面611bに当接するため、ストッパリング621b、スクリュー622bと下端面611bとの間の摩擦力はコイル300bのストッパリング621bに対する摩擦力よりも大きい。これにより、第2の部品群620bが摩擦により旋回することを防止することに寄与し、更に第1の部品群とのロックの分離を避けることができる。
【0041】
(第4の実施例)
図10及び
図11を参照する。
図10は本発明の第4の実施例による締結装置100cを示す斜視分解模式図であり、
図11は
図10の締結装置100cを示す断面模式図である。
【0042】
締結装置100cは、ハウジングユニット(図示せず)と、コイル300cと、制動ユニット400cと、ノブ500cと、接続ユニット600cと、を備える。ハウジングユニット、コイル300c、制動ユニット400c及びノブ500cの構造と関係は第3の実施例のハウジングユニット、コイル300b、制動ユニット400b及びノブ500bと類似であるが、接続ユニット600cの構造は第3の実施例の接続ユニット600bと異なる。
【0043】
より詳しくは、接続ユニット600cの第1の部品群は、ロック軸スリーブ610cを含み、第2の部品群は、スクリュー620cを含む。スクリュー620cは、大径部により位置決めされる頭部622cと、頭部622cに接続され、且つロック軸スリーブ610cにロックされるように軸心空間に貫設されるロッド部621cと、を含む。構造的配置では、スクリュー620cが大径部により位置決めされるように、頭部622cの直径が小径部の直径よりも大きく、またスクリュー620cの直径が大径部の直径よりも小さくてもよい。これにより、ノブ500c、制動ユニット400c、コイル300c及び環状壁220cの組立を完成する。糸を引いてコイル300cを放出方向へ回転させる場合、コイル300cが第2の部品群に摩擦する可能性があるので、スクリュー620cをロックする場合に、例えば、ねじ山の拡大、ディスペンス等の形態で、スクリュー620cとロック軸スリーブ610cとの間のロック力を強化して、スクリュー620cとロック軸スリーブ610cとの間のロック力がコイル300cのスクリュー620cに対する摩擦力よりも大きくなるようにする。これにより、第2の部品群が摩擦により旋回することを防止することに寄与し、更に第1の部品群とのロックの分離を避けることができる。
【0044】
(他の実施例)
他の実施例において、接続ユニットは、軸心空間へ突き出るようにノブに一体的に接続され、或いは接着によりノブに固定されるボス構造であってもよい。接続ユニットは、下フランジを含んでよく、接続ユニットの上端をノブに接続させ且つ下フランジを大径部によって位置決めすることにより、ノブ、制動ユニット、コイル及び環状壁の組立を完成することができる。
【0045】
本発明は、実施例で前述の通りに開示されたが、それらに限定されず、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えてもよい。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0046】
100、100a、100b、100c 締結装置
200 ハウジングユニット
210 ベース
220、220a、220b、220c 環状壁
230 係合ギヤ
240 内部空間
250 ストッパ部
260 内環凹部
300、300a、300b、300c コイル
310 環状軌道
320 嵌合歯部
330 下開口
340 軸心空間
341 小径部
342 大径部
350 内周面
351 外方拡張領域
352 垂直面領域
360 上環部
370 下環部
380 中空軸柱
A1 放出方向
A2 束ね方向
I1 軸方向
400、400a、400b、400c 制動ユニット
411、421 自由端
410 第1の保持部
420 第2の保持部
430 案内部
440 環状本体
450 クリック式係合アーム
451 近位端
452 遠位端
460 係止部
470 嵌合係合歯
480 中心孔
491、492 バンプ
500、500a、500b、500c ノブ
510 案内軌道
520 ボス
530 貫通穴
540 位置決めブロック
600、600a、600b、600c 接続ユニット
610、622a、622b、620c スクリュー
610a、610b、610c ロック軸スリーブ
611a 下嵌合部
611b 下端面
612a 上嵌合部
620 接続スリーブ
620a、620b 第2の部品群
621 筒部
621a、621b、 ストッパリング
621c ロッド部
6211a 内嵌合溝
6212a 本体部
6213a 底部
622 頂上部
622c 頭部