IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エニーメディ インコーポレーテッドの特許一覧 ▶ ザ アサン ファウンデーションの特許一覧 ▶ ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイションの特許一覧

特許71118833D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法
<>
  • 特許-3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法 図1
  • 特許-3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法 図2
  • 特許-3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法 図3
  • 特許-3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法 図4
  • 特許-3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】3D模型用のコーティング液組成物及びこれを用いた3D模型の製造方法並びに3D模型用のコーティング液組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/04 20060101AFI20220726BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220726BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220726BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
C09D183/04
C09D7/61
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302T
B05D7/24 302H
B05D7/24 302J
B05D7/24 302Q
B05D7/24 302P
B05D7/24 302L
B05D7/24 303C
B05D3/12 Z
B05D3/00 D
B05D7/00 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021503683
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2018004097
(87)【国際公開番号】W WO2019194338
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0038113
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520385098
【氏名又は名称】エニーメディ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517155679
【氏名又は名称】ザ アサン ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】THE ASAN FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】88,Olympic-ro 43-gil Songpa-gu Seoul 05505,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】517301162
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ULSAN FOUNDATION FOR INDUSTRY COOPERATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】キム, グクベ
(72)【発明者】
【氏名】コ, キョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リム, ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ギム, ナムクグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン, テジン
(72)【発明者】
【氏名】パク, チョンス
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0027904(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246747(US,A1)
【文献】特開2016-117829(JP,A)
【文献】特表2017-519621(JP,A)
【文献】特開2014-021174(JP,A)
【文献】特開2005-263982(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3178889(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/093281(WO,A1)
【文献】国際公開第91/02607(WO,A1)
【文献】特開2006-225636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0293029(US,A1)
【文献】特表2016-532151(JP,A)
【文献】MSS-50 マスクゾル,日本,株式会社グッドスマイルカンパニー,2015年12月,[online]、[令和3年12月15日検索]、インターネット<https://www.goodsmile.info/ja/product/5299/MS+50+マスクゾル.html>,販売:2015年12月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00、
101/00-201/10
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム材料有機溶媒及びスズを含み、
前記ゴム材料はシリコンであり、
前記有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であり、
前記ゴム材料は、3D模型用のコーティング液組成物の総100重量%に対し、30~50重量%を含む3D模型用のコーティング液組成物。
【請求項2】
3D模型は、臓器模型であることを特徴とする請求項1に記載の3D模型用のコーティング液組成物。
【請求項3】
3D模型は、3Dプリンティングによって製造されたことを特徴とする請求項1に記載の3D模型用のコーティング液組成物。
【請求項4】
ゴム材料有機溶媒及びスズを混合する段階を含み、
前記ゴム材料はシリコンであり、
前記有機溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であり、
前記ゴム材料は、3D模型用のコーティング液組成物の総100重量%に対し、30~50重量%を含む3D模型用のコーティング液組成物の製造方法。
【請求項5】
3D模型は、臓器模型であることを特徴とする請求項に記載の3D模型用のコーティング液組成物の製造方法。
【請求項6】
3D模型は、3Dプリンティングによって製造されたことを特徴とする請求項に記載の3D模型用のコーティング液組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の3D模型用のコーティング液組成物で3Dプリンティング模型をコーティングする段階を含む3D模型の製造方法。
【請求項8】
0.5~10.0mmの厚さでコーティングすることを特徴とする請求項に記載の3D模型の製造方法。
【請求項9】
ディップコーティング、スプレーイング及びブラッシングで構成された群から選択された一つ以上の方法でコーティングすることを特徴とする請求項に記載の3D模型の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材料及び有機溶媒を含む3D模型用のコーティング液組成物及びその製造方法、これを用いた3D模型の製造方法に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、臓器と類似した弾性及び強度を有するようにした、手術シミュレーション及びこれによる手術の成功を可能にする、ゴム材料及び有機溶媒を含む3D模型用のコーティング液組成物及びその製造方法、これを用いた3D模型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
概して、新生児100人当り約4~5人の割合で身体的な奇形が発見され、100人当り1人の割合で先天性心臓奇形が発見され、これは国及び人種間でほぼ同頻度で発生する。出生時、原因不明の心臓の奇形及び機能障害を持って生まれる胎児の心臓形成は、妊娠3ヶ月以前に既に完了し、先天性心臓病は、胎児の心臓が形成される過程において異常が生じて妊娠初期に発生する。
【0004】
小児先天性心臓奇形疾患の手術は、一般的な造影剤の投与ができないため、CTなどの撮影時には必ず熟練した放射線科(radiology)の専門医が同伴して造影剤を投与し、撮影時期などを調整しなければならないだけでなく、装置や時間などの制約のために、成人の場合とは異なり、精度が低い医療画像しか得られないという問題点がある。実際の手術の際にも、約5cm×5cm程度の非常に小さい心臓を対象に手術をしなければならないので、難易度の高い技術を要する。
【0005】
従って、非常に小さく、関連疾患が様々で複雑な小児先天性心臓奇形疾患などの手術において、手術前のシミュレーションは、手術を成功に導くための非常に大きな役割を果たす。CT画像に基づいて製作した3Dプリンティングなどによって製造された3D模型を用いた手術前のシミュレーションが多く活用されている。
【0006】
しかし、3Dプリンティングなどによって製造された3D模型を用いて手術前のシミュレーションをする場合には、3D模型の質感が、心臓などの実際の臓器の質感と異なるのみならず、縫合の際に裂けるなどの問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明者は、小児の心臓などの手術前のシミュレーションによって、手術を成功に導くために、実際の臓器と同じ弾性及び強度を有する3D模型を提供できるよう鋭意努力した結果、シリコンなどのゴム材料及び有機溶媒を含むコーティング液組成物で3D模型をコーティングすることで、縫合の際に裂けず、実際の臓器と同じ質感を持つ3D模型を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ゴム材料及び有機溶媒を含む3D模型用のコーティング液組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ゴム材料及び有機溶媒を混合するステップを含む3D模型用のコーティング液組成物の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記3D模型用のコーティング液組成物で3Dプリンティング模型をコーティングするステップを含む3D模型の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、ゴム材料及び有機溶媒を含む3D模型用のコーティング液組成物を提供する。
【0012】
本発明は、ゴム材料及び有機溶媒を混合するステップを含む3D模型用のコーティング液組成物の製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、前記3Dプリンティング模型用のコーティング液組成物で3D模型をコーティングするステップを含む3D模型の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による3D模型用のコーティング液組成物を用いて3D模型をコーティングすると、コーティングされた3D模型は、臓器と類似した弾性及び強度を持つため、手術シミュレーションが可能であり、小児の心臓など、大きさが小さく、関連疾患の多様性及び複雑性によって手術シミュレーションが要求される手術に使用され、手術を成功に誘導することができ、医療産業分野において広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例4の縫合試験用の試験片模型である。
図2】実施例4の縫合試験過程の模式図である。
図3】実施例4の試験片縫合試験結果を示したものであり、(a)は本発明のコーティング液組成物でコーティングしていない場合、(b)は本発明のコーティング液組成物でコーティングした場合を示す。
図4】実施例4の縫合試験に使用された本発明の3D模型用のコーティング液組成物2でコーティングされた3D心臓の模型である。
図5】実施例4の縫合試験過程を示したものであり、(a)は血管縫合シミュレーション過程を示し、(b)は心室中隔欠損症(VSD)封鎖シミュレーション過程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
他の方式で定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的・科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者が通常理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用された命名法は、本技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0017】
本発明の実施例で提示される特定の構造乃至機能的説明は、単に本発明の概念による実施例を説明する目的で例示されたものであり、本発明の概念による実施例は、様々な形態で実施することができる。また、本明細書に説明された実施例に限定されるものと解釈されてはならず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更物、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0018】
本発明の一態様は、ゴム材料及び有機溶媒を含む3D模型用のコーティング液組成物に関する。
【0019】
前記ゴム材料は、シリコン、ウレタン、スチレンブタジエンゴム(styrene butadienerubber,SBR)、クロロプレンゴム(chloroprene rubber,CR)、塩素化ポリエチレン(chlorinated polyethylene,CPE)、ブタジエンゴム(butadiene ruber,BR)、スチレン-ブタジエン(styrene-butadiene,SB)共重合体ラテックス、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer,EPDM)、エチレン酢酸ビニル(ethylene vinyl acetate,EVA)、スチレンブタジエンスチレン(styrene butadienestyrene,SBS)、アクリルゴム(ACM/ANM)、硫化物重合体(sulfide polymer)、ニトリルゴム(nitrile rubber,NBR)、クロロプレンゴム(chloroprene rubber,CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(chlorosulfonated polyethylene rubber,CSM)、ブチルゴム(イソブチレンイソプレンゴム、isobutylene isoprene rubber,IIR)及びフッ素ゴム(FPM)で構成された群から選択された一つ以上であるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明において、前記有機溶媒は、アセトン、シクロヘキサン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、トリクロロエタン、トリクロロベンゼン、ベンゼン四塩化炭素、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)、キシレン、3次(tertiary)ブチルアセテート、ヘプタン、ヘキサン、ジメチルエーテル、2-ブタノン、メタノール、ブタノン及びナフサで構成された群から選択された一つ以上であるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明において、触媒としてスズ(tin)をさらに含むこととしてもよい。
【0022】
本発明において、3D模型用のコーティング液組成物の総100重量%に対し、ゴム材料を、好ましくは30~50重量%を含むこととしてもよいゴム材料の含量が50重量%を超える場合には、均一なコーティング厚さを形成することが困難であるため、作業の容易性が落ち、30重量%未満となる場合には、コーティングする際に心臓などの実際の臓器の物性を示すことができないため、好ましくない。
【0023】
本発明において、3D模型は、心臓などの臓器模型であることとしてもよく、3Dプリンティングなどの方法で製造されることとしてもよい。
【0024】
本発明の他の態様は、ゴム材料及び有機溶媒を混合するステップを含む3D模型用のコーティング液組成物の製造方法に関する。
【0025】
本発明において、前記ゴム材料は、シリコン、ウレタン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン(SB)共重合体ラテックス、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、アクリルゴム(ACM/ANM)、硫化物重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ブチルゴム(イソブチレンイソプレンゴム,IIR)及びフッ素ゴム(FPM)で構成された群から選択された一つ以上であるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明において、前記有機溶媒は、アセトン、シクロヘキサン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、トリクロロエタン、トリクロロベンゼン、ベンゼン四塩化炭素、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、キシレン、3次ブチルアセテート、ヘプタン、ヘキサン、ジメチルエーテル、2-ブタノン、メタノール、ブタノン及びナフサで構成された群から選択された一つ以上であるが、これに限定されない。
【0027】
本発明において、触媒としてスズ(tin)をさらに含むこととしてもよい。
【0028】
本発明において、ゴム材料及び有機溶媒の混合時に、3D模型用のコーティング液組成物の総100重量%に対し、ゴム材料が好ましくは30~50重量%含まれるように、コーティング液組成物の濃度を調節することとしてもよい。ゴム材料の含量が50重量%を超える場合には、均一なコーティング厚さを形成することが困難であるため、作業の容易性が落ち、30重量%未満となる場合には、コーティングする際に、心臓などの実際の臓器の物性を示すことができないため、好ましくない。
【0029】
本発明において、3D模型は、心臓などの臓器模型であることとしてもよく、3Dプリンティングなどの方法で製造されることとしてもよい。
【0030】
本発明のさらに他の態様は、前記3D模型用のコーティング液組成物で3Dプリンティング模型をコーティングするステップを含む3D模型の製造方法に関する。
【0031】
本発明において、好ましくは0.5~10.0mmの厚さでコーティングすることとしてもよい。コーティング液の濃度またはコーティング回数を調節して、コーティング厚さを調節することで、臓器模型の弾性と強度を微細に調節することができる。コーティング厚さが前記範囲を外れると、実際の臓器と質感などの特性が異なって、好ましくない。
【0032】
本発明において、ディップコーティング(Dip coating)、スプレーイング(Spraying)及びブラッシング(Brushing)で構成された群から選択された一つ以上の方法でコーティングすることとしてもよく、これに限定されるものではない。
【0033】
[実施例]
以下、実施例により発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。よって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求の範囲とそれらの等価物によって定義される。
実施例1:3D模型用のコーティング液組成物の製造
1-1:3D模型用のコーティング液組成物の製造
【0034】
シリコンゴム材料及びテトラヒドロフラン(THF)溶媒、そして触媒としてスズを混合して、3D模型用のコーティング液組成物を製造した。THF溶媒の含量に応じてシリコンゴム材料の濃度を調節した。コーティング液組成物の総100重量%に対し、シリコンゴム材料の濃度をそれぞれ30重量%及び50重量%に調節して、3D模型用のコーティング液組成物1及び2を製造した。
1-2:比較例の製造
【0035】
3D模型用のコーティング液組成物を用いていない、すなわちコーティングをしていないものを比較例1とした。
【0036】
前記実施例1-1と他の条件は同一であるが、THF溶媒の代わりにアセトンを混合して比較例2を製造した。
【0037】
前記実施例1-1と他の条件は同一であるが、スズの代わりに白金(Pt)を混合して比較例3を製造した。
実施例2:コーティングされた3D模型の製造
【0038】
患者の医療画像に基づいて、心臓模型モデリングの後、3Dプリンティング方法で出力されたアクリレート系共重合体3Dプリンティングの心臓模型を、前記実施例1で製造された3D模型用のコーティング液組成物1及び2と比較例1~3でディップコーティング方法によりコーティングして乾燥し、コーティングされた3D模型を製造した。
実施例3:特性確認
【0039】
前記実施例2で製造された3D模型用のコーティング液組成物1及び2と比較例1~3でコーティングされた3D模型の特性を確認した。
【0040】
比較例2の場合、有害な臭い、製造後、再使用不可能(1回限り)なため手術前のシミュレーションに活用するのに不適切であることを確認した。比較例3の場合、表面硬化が起こらないため、3Dプリンティングによって製造された模型にコーティングするときに、剥がれ(peel off)の問題があることが確認された。
【0041】
3D模型用のコーティング液組成物1及び2と比較例1の引張強度、引裂強度などの物性を確認した。その結果、コーティング液の濃度が高くなるほど(比較例1→3D模型用のコーティング液組成物1→3D模型用のコーティング液組成物2の順)コーティング厚は厚くなり、引張強度、引裂強度及び弾性係数は低くなり、伸び率は増加することが確認された。引裂強度及び引張強度は厚さに依存するため、コーティング液の濃度が高くなるほどコーティング厚さが厚くなり、引裂強度及び引張強度は低くなる。また、コーティング液の濃度が増すと、シリコン成分が増加し、3Dプリンティング模型の表面に非晶質(amorphous)部分が増加するため、引張強度は低くなり、伸び率は増加する。縫合試験のときに裂けることなく、実際の心臓などの臓器と同じ質感を示すため、弾性係数及び伸び率を考慮すると、コーティング液の濃度が30~50重量%である、3D模型用のコーティング液組成物1及び2が手術前のシミュレーションの使用に適切であることが確認された(表1)。
【表1】
【0042】
実施例4:縫合(suture)試験
【0043】
縫合試験のために、バー(bar)形態の基板(20.0mm×50.0mm×1.5mm、横×縦×厚)を製作した(図1)。基板を実施例1の3D模型用のコーティング液組成物2でディップコーティング方法によりコーティングした後、乾燥させてコーティングされた3D模型を製造し、バーサンプルの左側から10.0mmの地点の下側から30.0mmの地点まで切断した。切断された地点から両側1-2mm離れた地点を手術用の糸とはさみを用いて縫合した(図2)。
【0044】
血管縫合シミュレーション及び心室中隔欠損症(ventricular septal defect,VSD)の封鎖シミュレーションの結果、実施例1の3D模型用のコーティング液組成物2でコーティングしていない場合には、縫合時に糸が通過した部分から垂直に裂け、質感が実際の臓器と大きく異なることが確認された。実施例1の3D模型用のコーティング液組成物2でコーティングした場合には、縫合時に裂けず、実際の心臓などのような臓器と質感が類似していることが確認された(図3図5)。
【0045】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に好適な実施例に過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とこれらの等価物によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5