(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】重ね合わせ内装部品
(51)【国際特許分類】
B32B 3/30 20060101AFI20220726BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B32B3/30
B60R13/02 B
(21)【出願番号】P 2021511093
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2019043666
(87)【国際公開番号】W WO2020202626
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2019065860
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 研一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 長武
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 正盛
(72)【発明者】
【氏名】大沼 健二
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-58490(JP,A)
【文献】特開2014-113857(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018458(WO,A1)
【文献】特開2017-171158(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037144(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063598(WO,A1)
【文献】特開2010-253967(JP,A)
【文献】特開2000-177468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材を覆う表皮材と、軟質樹脂材料により形成され、前記基材と前記表皮材との間に設けられる中間部材と、を備え、前記基材、前記中間部材、及び前記表皮材が重ね合わされてなる重ね合わせ内装部品において、
前記中間部材は、
板状の本体と、
前記本体における前記基材に対向する第1面から突出する複数の第1突起と、
前記本体における前記表皮材に対向する第2面から突出する複数の第2突起と、を有する、
重ね合わせ内装部品。
【請求項2】
前記第1突起及び前記第2突起の突出方向は、前記本体に対して傾斜している、
請求項1に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項3】
前記本体、複数の前記第1突起、及び複数の前記第2突起は、一体成形されている、
請求項1または請求項2に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項4】
前記本体には、複数の収容孔が形成されており、
前記収容孔には、前記第1突起及び前記第2突起の少なくとも一方の突起が収容される、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項5】
前記第1突起の基端及び前記第2突起の基端は、前記本体を挟んで設けられており、
当該第1突起及び当該第2突起が同一の前記収容孔に収容される、
請求項4に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項6】
前記第1突起の基端及び前記第2突起の基端は、前記本体を挟んで設けられており、
当該第1突起と当該第2突起とが互いに異なる前記収容孔に収容される、
請求項4に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項7】
前記本体は、中空板状である、
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項8】
前記本体は、前記本体の一平面上に互いに間隔をおいて配置される複数の第1本体と、前記本体の一平面上に互いに間隔をおいて配置される複数の第2本体と、を含み、
前記第2本体は、前記第1本体同士の間であって、且つ前記第1本体よりも前記表皮材に近い位置に配置されており、
前記中間部材は、前記第1本体と前記第2本体とを連結する連結部を有する、
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の重ね合わせ内装部品。
【請求項9】
前記連結部は、前記第1本体、前記第2本体、前記第1突起、及び前記第2突起よりも脆弱である、
請求項8に記載の重ね合わせ内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせ内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の部材と、第1の部材に向かって突出するとともに撓み変形可能とされた先細状の複数の突起を有する第2部材とを備える内装部品が開示されている。
こうした内装部品によれば、第2の部材が第1の部材に向けて押し込まれると、複数の突起の一部または全体が第1の部材と接触するとともに撓み変形する。このため、使用者に対して、発泡ウレタンなどの発泡材が埋め込まれた内装部品に似た触感を提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第2の部材の押し込み量を大きくするために、突起の長さを長くすると、以下の不都合が生じるおそれがある。すなわち、上述したように、突起は先細状であることから、突起の長さを長くすると、これに伴って突起の基端部が太くなる。そのため、第2の部材の表皮部分のうち突起の基端部分とそれ以外の部分とで厚さの差が大きくなり、これに起因して熱収縮量の差が大きくなる。その結果、熱収縮に伴う成形不良、所謂ヒケが第2の部材の表皮部分に発生しやすくなり、意匠性が損なわれるおそれがある。
【0005】
これに対して、上記表皮部分を厚くすることでヒケの発生を抑えるようにすると、第2の部材を押し込む際の触感が硬くなるといった別の問題が生じる。
なお、上述したヒケの問題は、先細状の突起に限定されるものではなく、一定の太さの突起であっても、第2の部材の押し込み量を大きくするために突起を長くすることに伴って突起を太くした場合には同様にして生じることとなる。
【0006】
本発明の目的は、押し込み量の拡大と意匠性の向上との両立を図ることのできる重ね合わせ内装部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための重ね合わせ内装部品は、基材と、前記基材を覆う表皮材と、軟質樹脂材料により形成され、前記基材と前記表皮材との間に設けられる中間部材と、を備え、前記基材、前記中間部材、及び前記表皮材が重ね合わされてなる。前記中間部材は、板状の本体と、前記本体における前記基材に対向する第1面から突出する複数の第1突起と、前記本体における前記表皮材に対向する第2面から突出する複数の第2突起と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】重ね合わせ内装部品の一実施形態について、内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図2】同実施形態の中間部材の第2面側を示す斜視図。
【
図3】同実施形態の中間部材の第2面側を示す平面図。
【
図4】第2実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図5】第3実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図6】第4実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図7】(a)、(b)は、第5実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図8】第6実施形態の中間部材の第2面側を示す斜視図。
【
図9】同実施形態の中間部材の第2面側を示す平面図。
【
図10】(a)、(b)は、同実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図11】第7実施形態の中間部材の第2面側を示す平面図。
【
図12】(a)、(b)は、同実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図13】同実施形態の中間部材の成形装置を示す断面図。
【
図14】第8実施形態の中間部材の第2面側を示す平面図。
【
図15】(a)、(b)は、同実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図16】(a)~(c)は、第9実施形態の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【
図18】第10実施形態の中間部材の第2面側を示す斜視図。
【
図19】同実施形態の中間部材の第2面側を示す平面図。
【
図20】(a)~(c)は、同実施形態の中間部材の重ね合わせ内装部品の断面構造を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図3を参照して、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、重ね合わせ内装部品(以下、内装部品10)は、例えば自動車のドアトリムであり、基材11と、基材11を覆う薄板状の表皮材12と、軟質樹脂材料により形成され、基材11と表皮材12との間に設けられる中間部材13とを備えている。基材11、中間部材13、及び表皮材12が重ね合わされることで内装部品10が形成されている。
【0010】
基材11は、ポリプロピレンなどの硬質樹脂材料により形成されている。
表皮材12は、軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質樹脂材料により形成されている。
中間部材13は、軟質ポリ塩化ビニルなどの軟質樹脂材料により形成されている。
【0011】
図1、
図2及び
図3に示すように、中間部材13は、板状の本体20と、本体20における基材11に対向する第1面20aから突出する先細状の複数の第1突起21と、本体20における表皮材12に対向する第2面20bから突出する先細状の複数の第2突起22とを有しており、一体成形されている。なお、本実施形態の本体20は一定の厚さを有しており、第1面20a及び第2面20bは互いに平行である。
【0012】
図1に示すように、第1突起21は、第2突起22よりも短く、且つ太い形状を有している。
表皮材12に対して外力が作用していない状態において、各第1突起21の先端は基材11に接触している。また、上記状態において、各第2突起22の先端は表皮材12に接触している。
【0013】
図2及び
図3に示すように、第2突起22は、四角錐体であり、全ての角が丸められている。
また、図示は省略するが、第1突起21も第2突起22と同様な四角錐体であり、全ての角が丸められている。
【0014】
図1に示すように、第1突起21及び第2突起22の突出方向は、本体20に対して傾斜している。
すなわち、第1突起21の突出方向は、第1面20aの法線Oに対して所定角度αだけ傾斜している。また、第2突起22の突出方向は、本体20の上記第2面20bの法線Oに対して所定角度αだけ傾斜している。
【0015】
図2及び
図3に示すように、複数の第2突起22のうち互いに近接して配置される3つの第2突起22の基端部分は、正三角形の各頂点の位置に対応して設けられている。これら3つの第2突起22は、互いに異なる方向に突出するとともに、互いに間隔をおいて設けられている。
【0016】
なお、図示は省略するが、第1突起21の配置パターンは、上述した第2突起22の配置パターンと同一である。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0017】
(1)重ね合わせ内装部品10は、基材11と、基材11を覆う表皮材12と、軟質樹脂材料により形成され、基材11と表皮材12との間に設けられる中間部材13とを備え、基材11、中間部材13、及び表皮材12が重ね合わされることで形成されている。中間部材13は、板状の本体20と、本体20における基材11に対向する第1面20aから突出する複数の第1突起21と、本体20における表皮材12に対向する第2面20bから突出する複数の第2突起22とを有している。
【0018】
こうした構成によれば、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、中間部材13の本体20から突出する複数の第2突起22が表皮材12と接触するとともに撓み変形する。またこのとき、本体20から突出する複数の第1突起21が基材11と接触するとともに撓み変形する。このため、使用者に対して、発泡ウレタンなどの発泡材が埋め込まれた内装部品に似た触感を提示することができる。
【0019】
また、表皮材12自体に突起を設けなくて済むため、突起の成形に起因した表皮材12の成形不良の問題を回避できる。
また、表皮材12の厚さを薄くすることができるため、表皮材12を押し込む際の触感が硬くなることを抑制できる。
【0020】
したがって、重ね合わせ内装部品10の押し込み量の拡大と意匠性の向上との両立を図ることができる。
(2)第1突起21及び第2突起22の突出方向は、本体20に対して傾斜している。
【0021】
こうした構成によれば、表皮材12が基材11に向けて押し込まれる際に、第1突起21及び第2突起22が撓み変形しやすくなる。したがって、このため、使用者に対して、発泡ウレタンなどの発泡材が埋め込まれた内装部品に一層似た触感を提示することができる。
【0022】
(3)本体20、複数の第1突起21、及び複数の第2突起22は、一体成形されている。
こうした構成によれば、中間部材13を構成する本体20、複数の第1突起21、及び複数の第2突起22が一体成形されているため、中間部材13を設けることによる部品点数の増加を抑制できる。したがって、内装部品10の構成が複雑になることを抑制できる。
【0023】
(4)中間部材13は、軟質樹脂材料により成形されている。このため、発泡ウレタンなどの発泡材に比べて成形時間が短くて済む。
<第2実施形態>
以下、
図4を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0024】
図4に示すように、第1突起21及び第2突起22の長さは同一である。また、第1突起21及び第2突起22の太さは同一である。
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品10によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)と同様な効果を奏することができる。
【0025】
<第3実施形態>
以下、
図5を参照して、第3実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0026】
図5に示すように、中間部材13は、板状の本体20A及び本体20Aの第1面20aから突出する複数の第1突起21を有する第1部材14と、板状の本体20B及び本体20Bの第2面20bから突出する複数の第2突起22を有する第2部材15とに分割して構成されている。
【0027】
第1部材14の本体20Aの第1面20aとは反対側の面と、第2部材15の本体20Bの第2面20bとは反対側の面とが互いに当接している。
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品10によれば、第1実施形態の効果(1)、(2)、及び(4)と同様な効果を奏することができる。
【0028】
<第4実施形態>
以下、
図6を参照して、第4実施形態について第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0029】
図6に示すように、第1突起21及び第2突起22の双方の突出方向が本体20に対して直交している。
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)、(3)及び(4)と同様な効果を奏することができる。
【0030】
<第5実施形態>
以下、
図7(a)及び
図7(b)を参照して、第5実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0031】
図7(a)に示すように、基材11と中間部材13との間には、第1部材14が設けられている。また、表皮材12と中間部材13との間には、第2部材15が設けられている。
【0032】
第1部材14及び第2部材15は、第3実施形態において例示した第1部材14及び第2部材15とそれぞれ同様の構成である。すなわち、第1部材14は、板状の本体20A及び本体20Aにおける基材11に対向する第1面20aから突出する複数の突起21を有している。第2部材15は、板状の本体20B及び本体20Bにおける表皮材12に対向する第2面20bから突出する複数の突起22を有している。
【0033】
中間部材13の第1突起21の先端は、第1部材14の本体20Aに接触している。
中間部材13の第2突起22の先端は、第2部材15の本体20Bに接触している。
第1部材14の突起21の先端は、基材11に接触している。
【0034】
第2部材15の突起22の先端は、表皮材12に接触している。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、第2部材15の複数の突起22が表皮材12と接触するとともに撓み変形する。またこのとき、基材11に向かって変位する第2部材15によって押し込まれることで、中間部材13の第2突起22及び第1突起21が撓み変形する。さらに、基材11に向かって変位する中間部材13によって押し込まれることで、第1部材14の突起21が基材11に接触するとともに撓み変形する。
【0035】
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)に加えて、新たに以下の効果(5)を奏することができる。
(5)重ね合わせ内装部品10の押し込み量の更なる拡大を図ることができる。
【0036】
<第6実施形態>
以下、
図8~
図10(b)を参照して、第6実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0037】
図10(a)に示すように、中間部材13は、複数対の第1突起21及び第2突起22を有している。一対の第1突起21の基端21a及び第2突起22の基端22aは、本体20を挟んで設けられている。より詳しくは、一対の第1突起21及び第2突起22は、本体20に平行な仮想平面に対して対称な形状を有している。
【0038】
図8~
図10(a)に示すように、本体20には、複数の収容孔23が形成されている。収容孔23は、上記一対の第1突起21及び第2突起22の基端21a,22aから延びている。各突起21,22は、隣接する収容孔23に近づくように本体20に対して傾斜している。
【0039】
図10(b)に示すように、各収容孔23は、撓み変形した第1突起21及び第2突起22の双方を収容する。第1突起21の太さの最大値d1と第2突起22の太さの最大値d2との和は、本体20の厚さT以下に設定されている(d1+d2≦T)。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図10(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、中間部材13の複数の第2突起22が表皮材12と接触するとともに撓み変形する。これにより、第2突起22は、隣接する収容孔23に収容される。またこのとき、複数の第1突起21が基材11と接触するとともに撓み変形する。これにより、第1突起21は、隣接する上記収容孔23に収容される。すなわち、一対の第1突起21及び第2突起22は、同一の収容孔23に互いに重なり合って収容される。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)に加えて、新たに以下に示す効果(6)が得られるようになる。
(6)重ね合わせ内装部品10の押し込み量の更なる拡大を図ることができる。
【0042】
<第7実施形態>
以下、
図11~
図13を参照して、第7実施形態について第6実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第6実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0043】
図11及び
図12(a)に示すように、本体20には、各第1突起21を収容する第1収容孔24及び各第2突起22を収容する第2収容孔25が形成されている。
第1収容孔24及び第2収容孔25は、第1突起21及び第2突起22の基端21a,22aから互いに反対側に向かって延びている。より詳しくは、第1突起21は、第1収容孔24に近づくように本体20に対して傾斜している。また、第2突起22は、第2収容孔25に近づくように本体20に対して傾斜している。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図12(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、中間部材13の本体20から突出する複数の第2突起22が表皮材12と接触するとともに撓み変形する。これにより、各第2突起22は、隣接する第2収容孔25に収容される。またこのとき、本体20から突出する複数の第1突起21が基材11と接触するとともに撓み変形する。これにより、各第1突起21は、隣接する第1収容孔24に収容される。このように第1突起21と第2突起22とが互いに異なる収容孔24,25に収容される。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)に加えて、新たに以下に示す効果(7)が得られるようになる。
(7)第1突起21及び第2突起22の太さを小さくしなくてもよい。したがって、各突起21,22に求められる耐久性を確保しやすくなる。
【0046】
また、上記構成によれば、
図12(a)に示すように、第1突起21の突出方向と第2突起22の突出方向とを沿わせることができる。このため、
図13に示すように、第1金型50及び第2金型60によって中間部材13を成形する際に、第1金型50の凸部51によって第1突起21の第2収容孔25側の面、第2収容孔25、及び第2突起22の第2収容孔25側の面が成形される。また、第2金型60の凸部61によって第1突起21の第1収容孔24側の面、第1収容孔24、及び第2突起22の第1収容孔24側の面が成形される。このような第1金型50及び第2金型60によれば、アンダーカットが発生しにくくなり、中間部材13を容易に成形することができる。
【0047】
<第8実施形態>
以下、
図14、
図15(a)及び
図15(b)を参照して、第8実施形態について第7実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第7実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0048】
図14に示すように、本体20には、平面視正六角形状の複数の収容孔26が形成されている。各収容孔26は、互いに隣り合う収容孔26の辺同士が平行をなすとともに一定の距離となるように配置されている。
【0049】
図15(a)に示すように、本体20における互いに隣り合う収容孔26同士の間の部分には、一対の第1突起21及び第2突起22が設けられている。これら第1突起21及び第2突起22の基端21a,22aは、本体20を挟んで設けられている。一対の第1突起21及び第2突起22は、互いに隣り合う収容孔26に収容される。
【0050】
図14に示すように、収容孔26の各辺には、一対の第1突起21及び第2突起22が設けられている。すなわち、1つの収容孔26の周りには、都合六対の第1突起21及び第2突起22が設けられている。
【0051】
より詳しくは、本体20の第2面20bにおいて、収容孔26の6つの辺のうち一つ置きの3つの辺にそれぞれ設けられた3つの第2突起22は、当該収容孔26に近づくように本体20に対して傾斜しており、当該収容孔26に収容される。
【0052】
本体20の第1面20aにおいて、収容孔26の6つの辺のうち上記3つの第2突起22の設けられていない3つの辺にそれぞれ設けられた3つ第1突起21は、当該収容孔26に近づくように本体20に対して傾斜しており、当該収容孔26に収容される。
【0053】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図15(a)及び
図15(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、一対の第1突起21及び第2突起22は、互いに異なる収容孔26に収容される。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)、及び第7実施形態の効果(7)に加えて、新たに以下の効果(8)が得られるようになる。
【0055】
(8)収容孔26同士の距離が一定とされている。このため、中間部材13を成形する金型の型厚が局所的に薄くなることを回避でき、金型の強度を確保しやすくなる。
<第9実施形態>
図16(a)~
図16(c)及び
図17を参照して、第9実施形態について第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0056】
図16(a)に示すように、基材11と表皮材12とで中間部材13が挟まれている。この状態において、本体20は、中空板状をなしている。
図17に示すように、本体20は、基材11と表皮材12とによって挟まれておらず、外力を受けていない自然状態においては、円筒状をなしている。本体20の外周面には、複数の突起21,22が本体20の周方向及び軸線方向に互いに間隔をおいて設けられている。
【0057】
図16(a)に示すように、基材11と表皮材12とで中間部材13が挟まれている状態において、複数の突起21,22のうち、本体20の基材11と対向する第1面20aに位置するものが第1突起21を構成するとともに、本体20の表皮材12と対向する第2面20bに位置するものが第2突起22を構成する。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図16(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、本体20の中空部20cが潰れる。
【0059】
続いて、
図16(c)に示すように、表皮材12が基材11に向けてさらに押し込まれると、本体20から突出する第1突起21及び第2突起22が撓み変形する。
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)に加えて、新たに以下に示す効果(9)が得られるようになる。
【0060】
(9)本体20は、中空板状であるため、第1突起21及び第2突起22に加えて、本体20自体を厚さ方向に撓ませることが可能となる。したがって、重ね合わせ内装部品10の押し込み量を更に拡大できる。
【0061】
<第10実施形態>
図18~
図20(c)を参照して、第10実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一または対応する構成については、同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0062】
図18及び
図19に示すように、本体20は、本体20の一平面上に互いに間隔をおいて配置される複数の板状の第1本体20Aと、本体20の一平面上に互いに間隔をおいて配置される複数の板状の第2本体20Bとを有している。
【0063】
第1本体20Aは、平面視略正三角形状をなしている。
第2本体20Bは、平面視略正六角形状をなしている。
図20(a)に示すように、第2本体20Bは、第1本体20A同士の間であって、且つ第1本体20Aよりも表皮材12に近い位置に配置されている。
【0064】
図18~
図20(c)に示すように、中間部材13は、第1本体20Aと第2本体20Bとを連結する連結部27を有している。
より詳しくは、連結部27は、第2本体20Bの6つの頂角のうち1つ置きの3つの頂角の部分から外周側且つ基材11に向かって延びている。連結部27同士の間には、2つの第1本体20Aが設けられている。これら2つの第1本体20Aは、連結部27に連結されるとともに、各々の頂角を付き合わせた状態で互いに連結されている。
【0065】
互いに隣り合う2つの連結部27と、これら連結部27の間に位置する2つの第1本体20Aとの間には、肉抜き部28が形成されている。連結部27は、第1本体20A、第2本体20B、第1突起21、及び第2突起22よりも薄く形成されており、脆弱である。
【0066】
図20(a)に示すように、第1本体20Aの基材11に対向する第1面20a及び表皮材12に対向する第2面20bには、それぞれ第1突起21及び第2突起22が形成されている。第2本体20Bの基材11に対向する第1面20a及び表皮材12に対向する第2面20bには、それぞれ第1突起21及び第2突起22が形成されている。
【0067】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図20(b)に示すように、表皮材12が基材11に向けて押し込まれると、中間部材13の第2本体20Bから突出する複数の第2突起22が表皮材12と接触する。このとき、第1本体20A、第2本体20B、第1突起21、及び第2突起22に優先して、連結部27が撓み変形する。これにより、第2本体20Bが、第1本体20Aと同位置にまで押し込まれる。そして、第1本体20Aの第2突起22が表皮材12に接触するとともに、第2本体20Bの第1突起21が基材11に接触する。
【0068】
続いて、
図20(c)に示すように、表皮材12が基材11に向けてさらに押し込まれると、第1本体20A及び第2本体20Bの各突起21,22が、基材11及び表皮材12と接触するとともに撓み変形する。
【0069】
以上説明した本実施形態に係る重ね合わせ内装部品によれば、第1実施形態の効果(1)~(4)に加えて、新たに以下に示す効果(10)が得られるようになる。
(10)第1突起21及び第2突起22に加えて、連結部27を厚さ方向に撓ませることが可能となる。したがって、重ね合わせ内装部品10の押し込み量を更に拡大できる。
【0070】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0071】
・表皮材12の材料を、エラストマー(ショア硬度30D~40D程度)などの軟質ポリ塩化ビニル以外の軟質樹脂材料や、織布などの他の材料に変更することもできる。
・中間部材13の材料を、ポリエステル系エラストマーなどの軟質ポリ塩化ビニル以外の軟質樹脂材料に変更することもできる。
【0072】
・第1突起21及び第2突起22の配置パターンを適宜変更することもできる。
・第1突起21及び第2突起22の形状や大きさを適宜変更することもできる。例えば、第1突起21を、第2突起22よりも長く、且つ細い形状にすることもできる。
【0073】
・第1突起21の突出方向の法線Oに対する傾斜角度と、第2突起22の突出方向の法線Oに対する傾斜角度とを互いに異ならせることもできる。
・上記実施形態では、各第1突起の先端が基材11に接触しており、各第2突起の先端が表皮材12に接触している構成について説明したが、複数の第1突起のうちの一部または全部の先端が基材に接触していない構成や、複数の第2突起のうちの一部または全部の先端が表皮材に接触していない構成であってもよい。
【0074】
・上記第6実施形態~第8実施形態では、各突起21,22の全体が収容孔23,24,25,26に収容される構成について説明したが、各突起21,22の一部が収容孔にされる構成であってもよい。
【0075】
・上記第8実施形態の収容孔26の形状は、平面視正六角形状に限られるものではなく、例えば正面視四角形状であってもよい。
・上記第10実施形態では、連結部27が、第1本体20A、第2本体20B、第1突起21、及び第2突起22よりも脆弱である構成について例示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、連結部27に優先して第1突起21及び第2突起22が撓む構成であってもよい。
【0076】
・本発明に係る重ね合わせ内装部品は、ドアトリムに限定されず、車両のインストルメントパネルやグローブボックスなどの他の内装部品に対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
10…内装部品、11…基材、12…表皮材、13…中間部材、14…第1部材、15…第2部材、20…本体、20A…第1本体、20B…第2本体、20a…第1面、20b…第2面、20c…中空部、21…第1突起、22…第2突起、23,26…収容孔、24…第1収容孔、25…第2収容孔、27…連結部、28…肉抜き部。