(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】プロジェクト管理装置、プロジェクト管理方法、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220726BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20220726BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2021550823
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019038809
(87)【国際公開番号】W WO2021064876
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519355493
【氏名又は名称】日揮グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】小島 和之
(72)【発明者】
【氏名】小原 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】余 明
(72)【発明者】
【氏名】大里 英理雄
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026548(JP,A)
【文献】特開2005-018673(JP,A)
【文献】特開2013-164681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0171790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217640(US,A1)
【文献】嘉納 成男,作業の活動を中心とした施工モデルの表現方法,日本建築学会計画系論文集,2017年06月30日,Vol.82 No.736,pp.1569-1579
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象物を構築するプロジェクトを管理するプロジェクト管理装置であって、
前記施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させる表示制御部と、
ユーザの操作を受け付ける受付部と、
前記シミュレーションモデルに対する前記ユーザの操作に基づいて、前記施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定する設定部と、
前記順序に基づいて、前記プロジェクトのスケジュールを生成する生成部と、
を備えるプロジェクト管理装置。
【請求項2】
前記シミュレーションモデルに対する前記ユーザの操作に基づいて、前記複数のワークパッケージのそれぞれに、前記施工対象物を構成する複数のコンポーネントのうちの1以上のコンポーネントを登録する登録部をさらに備える、請求項1に記載のプロジェクト管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記順序を識別可能な態様で前記シミュレーションモデルを前記表示装置に表示させる、請求項2に記載のプロジェクト管理装置。
【請求項4】
前記スケジュールを調整する調整部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記スケジュールを前記表示装置に表示させ、
前記調整部は、前記ユーザの操作に基づいて前記スケジュールを調整する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクト管理装置。
【請求項5】
前記スケジュールに基づいて作業量を計算する計算部をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクト管理装置。
【請求項6】
前記シミュレーションモデルは、前記施工対象物の3次元モデルである、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のプロジェクト管理装置。
【請求項7】
施工対象物を構築するプロジェクトを管理するプロジェクト管理方法であって、
前記施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させ、
前記シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、前記施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定し、
前記順序に基づいて、前記プロジェクトのスケジュールを生成する、プロジェクト管理方法。
【請求項8】
施工対象物を構築するプロジェクトを管理するようにコンピュータを動作させるプロジェクト管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プロジェクト管理プログラムは、
前記施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させ、
前記シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、前記施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定し、
前記順序に基づいて、前記プロジェクトのスケジュールを生成する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロジェクト管理装置、プロジェクト管理方法、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラフィカルユーザインターフェースを用いて、施工対象物を構築するプロジェクトを管理するプロジェクト管理方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/040078号
【文献】米国特許出願公開第2017/0068933号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなプロジェクト管理方法では、作業単位であるワークパッケージを用いてプロジェクトが管理されることがある。あるワークパッケージが完了した後でなければ開始することができないワークパッケージが存在するので、ワークパッケージ間の関係を考慮して、プロジェクトのスケジュールを作成することが求められる。しかしながら、施工対象物が複雑化するにつれて、複数のワークパッケージ間の関係も複雑化するので、複数のワークパッケージ間の関係を考慮して、プロジェクトのスケジュールを作成することには多大な時間が掛かるおそれがある。
【0005】
本開示は、プロジェクトのスケジュール生成を簡易化することが可能なプロジェクト管理装置、プロジェクト管理方法、及び記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るプロジェクト管理装置は、施工対象物を構築するプロジェクトを管理する装置である。このプロジェクト管理装置は、施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させる表示制御部と、ユーザの操作を受け付ける受付部と、シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定する設定部と、順序に基づいて、プロジェクトのスケジュールを生成する生成部と、を備える。
【0007】
本開示の別の側面に係るプロジェクト管理方法は、施工対象物を構築するプロジェクトを管理する方法である。このプロジェクト管理方法は、施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させ、シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定し、順序に基づいて、プロジェクトのスケジュールを生成する。
【0008】
本開示のさらに別の側面に係る記録媒体は、施工対象物を構築するプロジェクトを管理するようにコンピュータを動作させるプロジェクト管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。プロジェクト管理プログラムは、施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させ、シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、施工対象物を構築するための作業単位である複数のワークパッケージの順序を設定し、順序に基づいて、プロジェクトのスケジュールを生成する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
これらのプロジェクト管理装置、プロジェクト管理方法、及び記録媒体では、施工対象物のシミュレーションモデルが表示装置に表示されるので、ユーザは、シミュレーションモデルで複数のワークパッケージ間の関係を確認することができる。例えば、あるワークパッケージよりも先に行うべきワークパッケージを容易に判別することが可能となる。このように、ユーザは、シミュレーションモデルで複数のワークパッケージ間の関係を確認しながら、複数のワークパッケージの順序を設定することができる。このようにして設定された順序に基づいてプロジェクトのスケジュールが生成されるので、プロジェクトのスケジュール生成を簡易化することが可能となる。
【0010】
上記プロジェクト管理装置は、シミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、複数のワークパッケージのそれぞれに、施工対象物を構成する複数のコンポーネントのうちの1以上のコンポーネントを登録する登録部をさらに備えてもよい。この場合、ユーザは、施工対象物を構成する複数のコンポーネント間の関係をシミュレーションモデルで確認することができる。例えば、同じ種類で、かつ、互いに近接している複数のコンポーネントを1つのワークパッケージに登録することができる。このように、シミュレーションモデルを用いることによって、視覚的な情報に基づいて、ワークパッケージにコンポーネントを登録することができるので、ワークパッケージにコンポーネントを登録する作業を効率化することが可能となる。
【0011】
表示制御部は、順序を識別可能な態様でシミュレーションモデルを表示装置に表示させてもよい。この場合、複数のワークパッケージの順序を視覚的に把握することが可能となる。
【0012】
上記プロジェクト管理装置は、スケジュールを調整する調整部をさらに備えてもよい。表示制御部は、スケジュールを表示装置に表示させてもよい。調整部は、ユーザの操作に基づいてスケジュールを調整してもよい。この場合、必要に応じてスケジュールを微調整することができる。
【0013】
上記プロジェクト管理装置は、スケジュールに基づいて作業量を計算する計算部をさらに備えてもよい。この場合、先行すべきワークパッケージを考慮して、作業量が算出されるので、実際に実施可能な作業量が得られる。このため、作業量の算出精度が向上するので、作業量に基づいて、作業員等のリソースを効率的に割り当てることが可能となる。
【0014】
シミュレーションモデルは、施工対象物の3次元モデルであってもよい。この場合、ユーザは、施工対象物の立体的形状を確認することができるので、複数のワークパッケージ間の関係をさらに明確に把握することができる。その結果、ユーザは複数のワークパッケージの順序を適切に設定することができるので、プロジェクトのスケジュール生成をさらに簡易化することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の各側面及び各実施形態によれば、プロジェクトのスケジュール生成を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るプロジェクト管理装置を含むプロジェクト管理システムを概略的に示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるプロジェクト管理装置のハードウェア構成図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されるワークパッケージDBの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される作業量DBの構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される図面DBの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示されるプロジェクト管理装置が行うプロジェクト管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ワークパッケージにコンポーネントを登録する処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、ワークパッケージにコンポーネントを登録する処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、ワークパッケージにコンポーネントを登録する処理を説明するための図である。
【
図10】
図10は、ワークパッケージにコンポーネントを登録する処理を説明するための図である。
【
図11】
図11は、ワークパッケージの順序を設定する処理を説明するための図である。
【
図12】
図12は、ワークパッケージの順序を設定する処理を説明するための図である。
【
図13】
図13は、ワークパッケージの順序を設定する処理を説明するための図である。
【
図14】
図14は、ワークパッケージの順序を設定する処理を説明するための図である。
【
図15】
図15は、スケジュールを調整する処理を説明するための図である。
【
図17】
図17は、作業量の計算結果の比較例を示す図である。
【
図18】
図18は、記録媒体に記録されたプロジェクト管理プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0018】
図1は、一実施形態に係るプロジェクト管理装置を含むプロジェクト管理システムを概略的に示す構成図である。
図1に示されるプロジェクト管理システム1は、施工対象物を構築するプロジェクトを管理するシステムである。施工対象物の例としては、オイル・ガス分野のプラント、及びインフラストラクチャー分野のプラントが挙げられる。オイル・ガス分野のプラントの例としては、石油精製プラント、ガス処理プラント、天然ガス液化プラント、石油化学プラント、及びケミカル品製造プラントが挙げられる。インフラストラクチャー分野のプラントの例としては、火力発電プラント、原子力発電プラント、及び再生可能エネルギー発電プラントが挙げられる。プロジェクトは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、及び建設(Construction)という3つのフェーズを含み得る。
【0019】
プロジェクト管理システム1は、例えば、AWP(Advanced Work Packaging)によってプロジェクトを管理する。AWPは、ワークパッケージを用いてプロジェクトを管理する手法である。ワークパッケージとは、施工対象物を構築するための作業単位である。ワークパッケージには、作業内容、工数、コスト、リソース、及びスケジュール等が割り当てられる。ワークパッケージの例としては、設計の作業単位であるEWP(Engineering Work Package)、調達の作業単位であるPWP(Procurement Work Package)、建設の作業単位であるCWP(Construction Work Package)、及びCWPを細分化したIWP(Installation Work Package)が挙げられる。IWPは、作業監督者が現場作業を管理するための作業単位であり、例えば、4週間以内で完了できる作業である。
【0020】
プロジェクト管理システム1は、1又は複数のプロジェクト管理装置10と、サーバ装置20と、を備えている。以下の説明では、プロジェクト管理システム1が1台のプロジェクト管理装置10を含む構成を例示する。プロジェクト管理装置10と、サーバ装置20とは、ネットワークNWによって互いに通信可能に接続されている。ネットワークNWは、有線及び無線のいずれで構成されてもよい。ネットワークNWの例としては、インターネット、移動体通信網、及びWAN(Wide Area Network)が挙げられる。
【0021】
プロジェクト管理装置10は、施工対象物を構築するプロジェクトを管理する装置である。プロジェクト管理装置10は、ユーザによって用いられ、ユーザの操作に基づいて各種処理を行う。プロジェクト管理装置10の例としては、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、及びスマートフォンが挙げられる。
【0022】
図2は、
図1に示されるプロジェクト管理装置のハードウェア構成図である。
図2に示されるように、プロジェクト管理装置10は、物理的には、1又は複数のプロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、通信装置104、入力装置105、及び出力装置106等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成され得る。プロセッサ101の例としては、CPU(Central Processing Unit)が挙げられる。主記憶装置102は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成される。補助記憶装置103の例としては、半導体メモリ、及びハードディスク装置が挙げられる。補助記憶装置103は、プロジェクト管理プログラムP(
図18参照)を格納している。
【0023】
通信装置104は、ネットワークNWを介して他の装置とデータの送受信を行う装置である。通信装置104は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)又は無線通信モジュールで構成される。ネットワークNWを介したデータの送受信には、暗号化が用いられてもよい。入力装置105は、ユーザがプロジェクト管理装置10を操作する際に用いられる装置である。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、及びマウスで構成される。出力装置106は、各種情報をプロジェクト管理装置10のユーザに出力する装置である。出力装置106は、例えば、ディスプレイ、及びスピーカで構成される。
【0024】
プロセッサ101が、補助記憶装置103に格納されているプロジェクト管理プログラムPを、主記憶装置102に読み出して実行することにより、プロセッサ101の制御のもとで各ハードウェアが動作し、主記憶装置102及び補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みが行われる。これにより、プロジェクト管理装置10の
図1に示される各機能部が実現される。
【0025】
サーバ装置20は、各種情報を記憶するデータベースとして機能する装置である。サーバ装置20は、プロジェクト管理装置10と同様のハードウェア構成を有している。なお、サーバ装置20は、入力装置105及び出力装置106を備えていなくてもよい。
図1に示されるように、サーバ装置20は、機能的には、モデルDB21と、ワークパッケージDB22と、作業量DB23と、図面DB24と、を備えている。
【0026】
モデルDB21は、複数のモデル情報を格納している。モデル情報は、コンポーネントごとに設定されている。コンポーネントとは、施工対象物を構成する要素である。コンポーネントの例としては、基礎、鉄骨、配管、機器、塗装、保温材、電気、計装、及び地下構造物が挙げられる。各モデル情報は、コンポーネントID(identifier)と、シミュレーションモデルデータと、エリアIDと、位置情報と、を含む。
【0027】
コンポーネントIDは、コンポーネントを一意に識別可能な情報である。シミュレーションモデルデータは、コンポーネントIDによって識別されるコンポーネントのシミュレーションモデルデータである。本実施形態では、シミュレーションモデルデータとして、3次元モデルデータが用いられる。エリアIDは、コンポーネントIDによって識別されるコンポーネントが属するエリアを一意に識別可能な情報である。なお、プロジェクトが実施されるエリアは、複数のエリアに分割されている。位置情報は、コンポーネントIDによって識別されるコンポーネントの位置(配置場所)を示す情報である。
【0028】
ワークパッケージDB22は、複数のワークパッケージ情報を格納している。ワークパッケージ情報は、ワークパッケージごとに設定されている。
図3に示されるように、各ワークパッケージ情報は、ワークパッケージIDと、コンポーネントIDと、予定スケジュール情報と、実スケジュール情報と、順序情報と、ワークパッケージ作業量情報と、を含む。
【0029】
ワークパッケージIDは、ワークパッケージを一意に識別可能な情報である。コンポーネントIDは、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージに登録されたコンポーネントの識別情報である。予定スケジュール情報は、予定開始日と、予定終了日と、予定期間と、を含む。予定開始日は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業を開始する予定の日付である。予定終了日は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業を終了する予定の日付である。予定期間は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業に要する予定の日数である。
【0030】
実スケジュール情報は、作業開始日と、作業終了日と、作業期間と、を含む。作業開始日は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業を開始した実際の日付である。作業終了日は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業を終了した実際の日付である。作業期間は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業に要した実際の日数である。
【0031】
順序情報は、ワークパッケージを行う順序を規定するための情報である。本実施形態では、順序情報として、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージよりも先行して行われるワークパッケージを特定するための情報が用いられる。
図3に示される例では、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの直前に行われるワークパッケージのワークパッケージIDが、順序情報として用いられる。ワークパッケージ作業量情報は、ワークパッケージIDによって識別されるワークパッケージの作業量を示す情報である。
【0032】
作業量DB23は、複数の作業量情報を格納している。作業量情報は、コンポーネントごとに設定されている。
図4に示されるように、各作業量情報は、コンポーネントIDと、作業量と、予定歩掛情報と、を含む。作業量は、コンポーネントIDによって識別されるコンポーネントの作業量である。コンポーネントが配管である場合、作業量は、例えば溶接量である。溶接量の単位としては、ID(Inch・Dia)が用いられる。1IDは、直径1インチの配管を全周溶接する場合の溶接量を意味する。コンポーネントが鉄骨である場合、作業量は、例えば鉄骨の重さである。鉄骨の重さの単位としては、トン(Ton)が用いられる。コンポーネントが基礎である場合、作業量は、例えば基礎の体積である。基礎の体積の単位としては、立方メートル(m
3)が用いられる。このように、コンポーネントの種類に応じた単位が用いられる。
【0033】
予定歩掛情報は、単位作業量当たりに必要な作業時間数を示す情報である。例えば、鉄骨の予定歩掛情報の単位としては、MH/Tonが用いられる。「MH」は、マンアワーであり、1人の作業者が作業した場合に掛かる時間である。基礎の予定歩掛情報の単位としては、MH/m3が用いられる。本実施形態では、予定歩掛情報は、各コンポーネントに設定されているが、作業種別ごとに設定されてもよい。なお、作業量情報は、予定歩掛情報を含んでいなくてもよい。この場合、必要に応じてユーザが予定歩掛情報を設定する。
【0034】
図面DB24は、複数の図面情報を格納している。図面情報は、コンポーネントごとに設定されている。
図5に示されるように、各図面情報は、コンポーネントIDと、図面データと、を含む。図面データは、コンポーネントIDによって識別されるコンポーネントの図面を表すデータである。図面データは、寸法等のレイアウト情報、材料に関する情報、サポートに関する情報、及びスプールに関する情報を含む。なお、図面データは、PDFファイルに限られず、メタデータ等であってもよい。
【0035】
図1に示されるように、プロジェクト管理装置10は、機能的には、受付部11と、表示制御部12と、登録部13と、設定部14と、生成部15と、調整部16と、計算部17と、を備えている。
【0036】
受付部11は、ユーザの操作を受け付ける機能部である。受付部11は、ユーザの操作内容を示す操作情報を表示制御部12、登録部13、設定部14、生成部15、調整部16、及び計算部17に出力する。
【0037】
表示制御部12は、施工対象物のシミュレーションモデルを出力装置106の表示装置(ディスプレイ)に表示させる機能部である。シミュレーションモデルは、例えば、施工対象物の3次元モデルである。表示制御部12は、所定の情報を表示させるための表示情報を表示装置に出力し、表示装置は表示情報に基づいて所定の情報を表示する。表示制御部12は、ユーザの操作に基づいてモデルDB21からモデル情報を読み出し、モデル情報に基づいてシミュレーションモデルを表示装置に表示させる。設定部14によって複数のワークパッケージの順序が設定されている場合、表示制御部12は、順序を識別可能な態様でシミュレーションモデルを表示装置に表示させてもよい。例えば、表示制御部12は、シミュレーションモデルにおいて、複数のワークパッケージのそれぞれに対応付けられた1以上のコンポーネントの表示態様を、ワークパッケージごとに変更することで、上記順序を視覚的に表現するように、表示装置に表示させる。表示制御部12は、ユーザの操作に基づいて、ワークパッケージDB22からワークパッケージ情報を読み出し、ワークパッケージ情報の予定スケジュール情報に基づいて、生成部15によって生成されたプロジェクトのスケジュールを表示装置に表示させ得る。
【0038】
登録部13は、複数のワークパッケージのそれぞれに、1以上のコンポーネントを登録する機能部である。登録部13は、表示装置に表示されているシミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、各ワークパッケージにコンポーネントを登録する。コンポーネントの登録方法の詳細は後述する。登録部13は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、コンポーネントの登録を行ったワークパッケージのワークパッケージ情報に、登録したコンポーネントのコンポーネントIDを設定又は追加する。
【0039】
設定部14は、複数のワークパッケージの順序を設定する機能部である。設定部14は、表示装置に表示されているシミュレーションモデルに対するユーザの操作に基づいて、上記順序を設定する。順序の設定方法の詳細は後述する。設定部14は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、順序が設定されたワークパッケージのワークパッケージ情報に順序情報を設定する。ワークパッケージ情報に順序情報が既に設定されている場合には、設定部14は、順序情報を更新する。
【0040】
生成部15は、プロジェクトのスケジュールを生成する機能部である。生成部15は、設定部14によって設定された順序に基づいて、スケジュールを生成する。スケジュールの生成方法の詳細は後述する。生成部15は、スケジュールに基づいて、ワークパッケージDB22に格納されている各ワークパッケージのワークパッケージ情報に予定スケジュール情報を設定する。
【0041】
調整部16は、プロジェクトのスケジュールを調整する機能部である。調整部16は、ユーザの操作に基づいてスケジュールを調整する。調整部16は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、スケジュールが調整(変更)されたワークパッケージのワークパッケージ情報の予定スケジュール情報を、調整後の予定スケジュール情報に変更する。
【0042】
計算部17は、作業量を計算する機能部である。計算部17は、ワークパッケージDB22からワークパッケージ情報を読み出し、ワークパッケージ情報に基づいて、予定作業量及び実作業量を計算する。予定作業量は、予定終了日に基づいて計算される作業量である。実作業量は、作業終了日に基づいて計算される作業量である。作業量の計算方法については後述する。
【0043】
次に、プロジェクト管理装置10が行うプロジェクト管理方法を説明する。
図6は、
図1に示されるプロジェクト管理装置が行うプロジェクト管理方法の一連の処理を示すフローチャートである。
図7~
図10は、ワークパッケージにコンポーネントを登録する処理を説明するための図である。
図11~
図14は、ワークパッケージの順序を設定する処理を説明するための図である。
【0044】
まず、プロジェクト管理装置10において、ワークパッケージに関する操作を行うためのアプリケーションが起動される。このアプリケーションにおいて、ユーザはエリアマップを表示させ、エリアIDによって識別されるエリアの位置を把握する。そして、ユーザは、施工対象物のシミュレーションモデルを表示装置に表示させる。このとき、施工対象物の一部が拡大表示される。そこで、ユーザは、マウス等を用いて、シミュレーションモデル上のエリアIDによって示されるエリアに移動する。
図7に示される例では、エリアID「D10U」で示されるエリアに移動する。
【0045】
これにより、
図7に示されるように、表示制御部12は、シミュレーションモデルMを表示装置に表示させる(ステップS11)。このシミュレーションモデルMは、4つの基礎Fと、4つの鉄骨PRと、2つの配管PPと、を含む。なお、4つの基礎Fのそれぞれには、互いに異なるコンポーネントIDが予め割り当てられている。4つの鉄骨PRには、共通のコンポーネントIDが予め割り当てられている。2つの配管PPのそれぞれには、互いに異なるコンポーネントIDが割り当てられている。
【0046】
なお、この例では、CWPは、CWP1とCWP2とに細分化されている。CWP2は、CWP1の対象エリアを分割したエリアを対象としている。IWPは、CWP2をさらに細かく分割した作業単位である。「CWP1-」から始まるワークパッケージIDは、CWP1を示し、「CWP2-」から始まるワークパッケージIDは、CWP2を示し、「IWP-」から始まるワークパッケージIDは、IWPを示している。CWP1及びCWP2は、エリアと作業種別とによって構成されるグループである。CWP1及びCWP2には、エリアIDと作業種別を示す作業種コードとを用いて、コンポーネントが事前に登録されている。
【0047】
例えば、ワークパッケージID「CWP1-D10U-HD232」で示されるワークパッケージは、エリアID「D10U」で示されるエリアの、作業種コード「HD232」で示される基礎の建設作業を示す。ワークパッケージID「CWP2-D11U-HD232」で示されるワークパッケージは、エリアID「D11U」で示されるエリアの、作業種コード「HD232」で示される基礎の建設作業を示す。エリアID「D10U」で示されるエリアは、エリアID「D11U」で示されるエリアと、エリアID「D12U」で示されるエリアと、エリアID「D13U」で示されるエリアとによって構成される。ワークパッケージID「CWP2-D11U-HD232」で示されるワークパッケージは、ワークパッケージID「IWP-2320-D11U-001」~「IWP-2320-D11U-008」で示される8つのワークパッケージ(IWP)に分割される。
【0048】
画面には、シミュレーションモデルMを表示する領域R1と、ワークパッケージの階層構造を表示する領域R2と、ワークパッケージに関する操作を行うための領域R3と、が含まれている。領域R3には、タブT1~T3及びボックスBが表示される。タブT1、タブT2、及びタブT3は、その順で画面の幅方向に配列されている。タブT1~T3の下にボックスBが配置されている。タブT1は、CWP1のリストを表示するためのタブである。タブT2は、CWP2のリストを表示するためのタブである。タブT3は、IWPに関する操作を行うためのタブである。
【0049】
ユーザがタブT1を押下すると、CWP1(ワークパッケージID)のリストがボックスBに表示される。ユーザがリストから1つのCWP1を選択し、タブT2を押下すると、選択されているCWP1に含まれるCWP2(ワークパッケージID)のリストがボックスBに表示される。さらに、ユーザがリストから1つのCWP2を選択し、タブT3を押下すると、タブT31~T33がタブT1~T3とボックスBとの間に表示される。タブT31は、IWPのリストを表示するためのタブである。タブT32は、IWPの詳細情報を表示するためのタブである。タブT33は、IWPを新規に作成するためのタブである。
【0050】
ユーザがタブT31を押下すると、
図7に示されるように、選択されているCWP2に含まれるIWP(ワークパッケージID)のリストがボックスBに表示される。ユーザがタブT32を押下すると、
図8に示されるように、タブT34~T36がタブT31~T33とボックスBとの間にさらに表示される。タブT34は、IWPに登録されているコンポーネント(コンポーネントID)のリストを表示するためのタブである。タブT35は、先行IWPを登録及び表示するためのタブである。先行IWPは、選択されているIWP(対象IWP)よりも先に行われるIWPであり、先行IWPが終了するまで対象IWPを開始できない。タブT36は、後続IWPを登録及び表示するためのタブである。後続IWPは、対象IWPよりも後に行われるIWPであり、対象IWPが終了するまで後続IWPを開始できない。
【0051】
ユーザは、この画面を用いて、IWPを作成し、ワークパッケージにコンポーネントを登録する操作を行う。まず、ユーザは、シミュレーションモデルMからエリアIDによって識別されるエリアに存在するコンポーネントを把握し、その作業種別を認識する。
図7に示される例では、エリアID「D10U」で示されるエリアには、4つの基礎Fと、4つの鉄骨PRと、2つの配管PPと、が存在する。例えば、ユーザは、基礎のIWPを作成するために、ワークパッケージID「CWP1-D10U-HD232」で示されるCWP1を選択し、さらにワークパッケージID「CWP2-D11U-HD232」で示されるCWP2を選択し、タブT33を押下することによってIWPを新規に作成する。この段階では、コンポーネントID、予定スケジュール情報、実スケジュール情報、順序情報、及び作業量情報は、登録されていない。ユーザは、各コンポーネントについて、同様にIWPを新規に作成する。
【0052】
その後、ユーザは、上述のようにCWP1及びCWP2を順に選択した後、タブT31を押下することによって表示されるIWPのリストから、1つのIWPを対象IWPとして選択し、対象IWPに登録したいコンポーネントをシミュレーションモデルMにおいて、例えばポインタAを用いて選択する。これにより、登録部13は、対象IWPに、選択されたコンポーネントを登録する(ステップS12)。
【0053】
なお、本実施形態では、登録部13は、プロジェクト管理装置10において、IWPのワークパッケージIDとコンポーネントのコンポーネントIDとを対応付けることによって、IWPにコンポーネントを登録する。そして、登録部13は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、コンポーネントの登録を行ったIWPのワークパッケージ情報に、登録したコンポーネントのコンポーネントIDを設定又は追加する。
【0054】
図8に示される例では、ワークパッケージID「IWP-2320-D11U-008」で示されるIWPに、コンポーネントID「D11P08-33AB-D11AB-F1」、「D11P08-34AB-D11AB-F2」、「D11P08-35AB-D11AB-F3」、及び「D11P08-36AB-D11CD-F4」で示される4つの基礎Fが登録されている。
【0055】
同様に、
図9に示されるように、ワークパッケージID「IWP-3100-D110-D11P08」で示されるIWPに、コンポーネントID「D11P08」で示される4つの鉄骨PRが登録される。
図10に示されるように、ワークパッケージID「IWP-6210-D110-040」で示されるIWPに、コンポーネントID「D110-306-VC-996201」及び「D110-306-VW-996101」で示される2つの配管PPが登録される。
【0056】
同種の作業を狭いエリア内で並行して行うことによって、建機の稼働率及び作業員の効率が向上し得る。このため、上述のように、狭いエリアにおける、複数の同種類の作業(コンポーネント)が1つのIWPに登録される。1つの作業グループが実施する作業(コンポーネント)が1つのIWPに登録されてもよい。
【0057】
続いて、上述のように、ユーザは、CWP1、CWP2、及びIWPを順に選択した後、タブT32を押下し、さらにタブT35を押下する。これにより、ボックスBには、対象IWPの先行IWPが表示される。
図11に示される例では、ボックスBには何も表示されていない。つまり、ワークパッケージID「IWP-3100-D110-D11P08」で示されるIWPには、先行IWPが登録されていない。
【0058】
シミュレーションモデルMのうち、対象IWPに登録されたコンポーネントが識別可能な態様で表示されている。この例では、当該コンポーネントに例えば緑色が付されている。そこで、ユーザは、シミュレーションモデルMから、対象IWPのコンポーネントよりも先に完成すべきコンポーネントを視覚的に判別し、ポインタAを用いて、そのコンポーネントを選択する。すると、選択されたコンポーネントが含まれるIWPが、先行IWPとしてボックスBに表示され、登録される(ステップS13)。
図12の例では、ワークパッケージID「IWP-2320-D11U-008」で示されるIWPが、先行IWPとして登録されている。
【0059】
なお、本実施形態では、設定部14は、プロジェクト管理装置10において、対象IWPのワークパッケージIDに、先行IWPのワークパッケージIDを対応付けることによって、対象IWPに先行IWPを登録する。そして、設定部14は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、対象IWPのワークパッケージ情報に順序情報を設定する。ここでは、順序情報として、先行IWPのワークパッケージIDが設定される。
【0060】
ユーザは、CWP1、CWP2、及びIWPを順に選択した後、タブT32を押下し、さらにタブT36を押下してもよい。この場合、ボックスBには、対象IWPの後続IWPが表示される。
図13に示される例では、ボックスBには何も表示されていない。つまり、ワークパッケージID「IWP-3100-D110-D11P08」で示されるIWPには、後続IWPが登録されていない。
【0061】
上述のように、シミュレーションモデルMのうち、対象IWPに登録されたコンポーネントが識別可能な態様で表示されている。そこで、ユーザは、シミュレーションモデルMから、対象IWPのコンポーネントが完成した後でなければ作業を開始できないコンポーネントを視覚的に判別し、ポインタAを用いて、そのコンポーネントを選択する。すると、選択されたコンポーネントが含まれるIWPが、後続IWPとしてボックスBに表示され、登録される(ステップS13)。
図14の例では、ワークパッケージID「IWP-6210-D110-040」で示されるIWPが、後続IWPとして登録されている。
【0062】
なお、本実施形態では、設定部14は、プロジェクト管理装置10において、後続IWPのワークパッケージIDに、対象IWPのワークパッケージIDを先行IWPとして対応付けることによって、後続IWPに先行IWPを登録する。そして、設定部14は、ワークパッケージDB22に格納されている複数のワークパッケージ情報のうち、後続IWPのワークパッケージ情報に順序情報を設定する。ここでは、順序情報として、対象IWP(先行IWP)のワークパッケージIDが設定される。
【0063】
ユーザが各IWPに対して、先行IWP及び後続IWPの登録を必要に応じて行うことによって、複数のIWPの順序が設定される。表示制御部12は、順序を識別可能な態様でシミュレーションモデルMを表示装置に表示させている。本実施形態では、表示装置は、シミュレーションモデルMにおいて、複数のIWPのそれぞれに対応付けられたコンポーネントの表示態様(例えば、色)を、IWPごとに変更することで、上記順序を視覚的に表現している。例えば、対象IWPのコンポーネントには緑色が付され、先行IWPのコンポーネントにはピンク色が付され、後続IWPのコンポーネントには水色が付されてもよい。
【0064】
続いて、生成部15は、プロジェクトのスケジュールを生成する(ステップS14)。ステップS14では、まず、CWP1及びCWP2のスケジュール(予定開始日及び予定終了日)が、プロジェクト全体のスケジュールに基づき決定される。CWP1及びCWP2のスケジュールは、例えば、ユーザによって設定される。なお、CWP1及びCWP2のスケジュールは、予め設定されていてもよい。そして、生成部15は、CWP2の予定開始日及び予定終了日の間で、CWP2に含まれる複数のIWPのそれぞれのスケジュールを決定する。
【0065】
具体的に説明すると、生成部15は、ワークパッケージDB22からワークパッケージ情報を読み出すとともに、作業量DB23から作業量情報を読み出す。そして、生成部15は、ワークパッケージ情報及び作業量情報に基づいて各IWPのスケジュール(予定開始日及び予定終了日)を生成する。例えば、生成部15は、順序情報に基づいて、複数のIWPの実施順序を決定する。そして、生成部15は、作業量情報に基づいて、各IWPに含まれるコンポーネントの作業量と予定歩掛情報とから、各IWPの予定期間を算出する。
【0066】
具体的には、生成部15は、作業量と、予定歩掛情報によって示される単位作業量当たりに必要な作業時間数とを掛け合わせることによって、作業時間(MH)を算出する。そして、生成部15は、作業時間から作業者の人数と予定期間との組み合わせを算出する。例えば、作業時間が100MHである場合、1人の作業者が1日当たり10時間働いたとすると10日掛かるが、10人の作業者が1日当たり10時間働いたとすると1日掛かる。
【0067】
生成部15は、IWPの実施順序と、各IWPの予定期間と、に基づいて、スケジュールを生成する。例えば、生成部15は、CWP1及びCWP2のスケジュールに収まるように、各IWPの作業人数と予定期間との組み合わせから、最適な組み合わせを選択する。生成部15は、各CWP2に含まれる複数のIWPのスケジュールを生成することによって、プロジェクト全体のスケジュールを生成する。そして、生成部15は、各IWPの予定開始日、予定終了日、及び予定期間を、当該IWPのワークパッケージ情報に設定する。
【0068】
以上により、プロジェクト管理方法の一連の処理が終了する。
【0069】
なお、生成部15によって生成されたスケジュールをユーザが微調整してもよい。
図15は、スケジュールを調整する処理を説明するための図である。スケジュール調整処理は、ユーザが所望のIWPを選択することによって、開始される。
【0070】
まず、表示制御部12が、ユーザによって選択されたIWP、その先行IWP、及び後続IWPのワークパッケージ情報をワークパッケージDB22から読み出し、ワークパッケージ情報に基づいて、各IWPのスケジュールを表示装置に表示させる。
図15に示される例では、各IWPのスケジュールがガントチャートで示されている。この例では、各IWPの予定開始日から予定終了日までがバーで表示されており、IWP間の順序(先行後続関係)が矢印線によって示されている。
【0071】
ユーザは、例えば、ポインタHを用いて、スケジュールを調整したいIWPのバーをドラッグすることで、IWPの予定開始日及び予定終了日を変更する。そして、調整部16は、各IWPの予定開始日、予定終了日、及び予定期間を用いて、当該IWPのワークパッケージ情報を更新する。このとき、調整部16は、変更された情報のみを更新してもよい。
【0072】
次に、作業量の計算方法を詳細に説明する。
図16は、作業量の計算結果の一例を示す図である。
図17は、作業量の計算結果の比較例を示す図である。一例として、配管の作業量を用いて説明する。配管の作業量は、工場での溶接量(Shop溶接量)と、現場での溶接量(Field溶接量)と、から構成される。ここで、819.75Inch・Diaの作業量(現場での溶接量)を有するIWPを用いて具体的に説明する。
【0073】
このIWPを開始するために、工場でスプール及びサポートが製作され、先行IWPが完了する必要があると仮定する。この例では、スプール製作の予定終了日が2019年4月であり、作業完了日が2019年5月である。スプール製作の作業量が、2000Inch・Dia(Shop溶接量)である。サポート製作の予定終了日が2019年5月であり、作業終了日が2019年5月である。サポート製作の作業量が、10Tonである。先行IWPの予定終了日が2019年6月であり、作業終了日が2019年7月である。先行IWP(鉄骨)の作業量が、50Tonである。
【0074】
計算部17は、まず、これら3つの先行作業の作業量を、現場での溶接量に変換する。具体的には、3つの先行作業が完了することによって、819.75Inch・Diaの作業量を有する後続のIWPを開始することができるので、計算部17は、スプール製作の作業量、サポート製作の作業量、及び先行IWPの作業量をそれぞれ後続IWPの作業量(819.75Inch・Dia)に変換する。
【0075】
そして、計算部17は、3つの先行作業の予定終了日のうちの最も遅い予定終了日に、後続IWPの作業量を予定作業量として計上する。この例では、2019年6月に819.75Inch・Diaが計上される。同様に、計算部17は、3つの先行作業の作業終了日のうちの最も遅い作業終了日に、後続IWPの作業量を実作業量として計上する。上述のようにして、計算部17は、すべての作業について予定作業量及び実作業量を計算する。
【0076】
図16には、このようにして計算した予定作業量及び実作業量が、グラフGwf1_plan及びグラフGwf1_actとしてそれぞれ示されている。先行IWPを考慮することによって、実際の現場において理想的な予定作業量が算出される。このため、予定作業量に基づいて、作業員等のリソースを効率的に割り当てることが可能となる。
【0077】
なお、グラフGspl_planは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPに関連する1以上のスプールの到着予定日(予定終了日)のうち最も遅い到着予定日(予定終了日)に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。グラフGspl_actは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPに関連する1以上のスプールの実到着日(作業終了日)のうち最も遅い実到着日(作業終了日)に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。グラフGspt_planは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPに関連する1以上のサポートの到着予定日(予定終了日)のうち最も遅い到着予定日(予定終了日)に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。グラフGspt_actは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPに関連する1以上のサポートの実到着日(作業終了日)のうち最も遅い実到着日(作業終了日)に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。
【0078】
グラフGp_planは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPの1以上の先行IWPの予定終了日のうち、最も遅い予定終了日に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。グラフGp_actは、すべてのIWPのそれぞれについて、当該IWPの1以上の先行IWPの作業終了日のうち、最も遅い作業終了日に、当該IWPの作業量を計上することによって得られたグラフである。グラフGwは、月間予定作業量を累積することによって得られたグラフである。月間予定作業量は、プロジェクト全体のスケジュール通りに作業を完了するために月ごとに達成しなければならない作業量である。月間実作業量は、実際に現場で実施された作業量のうち、検査結果に問題が無かった作業量を月ごとに足し合わせることによって得られた作業量である。
【0079】
一方、
図17に示されるように、先行IWPを考慮しなかった場合には、実施できないIWPの作業量が予定作業量として計上され得る。このようにして計算された予定作業量及び実作業量が、グラフGwf2として示されている。このため、不正確な予定作業量が算出されるので、作業員等のリソースを効率的に割り当てることができない。
【0080】
次に、
図18を参照しながら、コンピュータをプロジェクト管理装置10として機能させるためのプロジェクト管理プログラムP及びプロジェクト管理プログラムPを記録する記録媒体MDを説明する。
図18は、記録媒体に記録されたプロジェクト管理プログラムの構成を示す図である。
【0081】
図18に示されるように、プロジェクト管理プログラムPは、メインモジュールP10、受付モジュールP11、表示制御モジュールP12、登録モジュールP13、設定モジュールP14、生成モジュールP15、調整モジュールP16、及び計算モジュールP17を備える。メインモジュールP10は、プロジェクト管理に係る処理を統括的に制御する部分である。受付モジュールP11、表示制御モジュールP12、登録モジュールP13、設定モジュールP14、生成モジュールP15、調整モジュールP16、及び計算モジュールP17を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記実施形態における受付部11、表示制御部12、登録部13、設定部14、生成部15、調整部16、及び計算部17の機能と同様である。
【0082】
プロジェクト管理プログラムPは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及び半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体MDによって提供される。プロジェクト管理プログラムPは、データ信号としてネットワークNWを介して提供されてもよい。
【0083】
以上説明したプロジェクト管理装置10、プロジェクト管理方法、及びプロジェクト管理プログラムを記録した記録媒体では、施工対象物のシミュレーションモデルが表示装置に表示されるので、ユーザは、シミュレーションモデルで複数のワークパッケージ(IWP)間の関係を確認することができる。例えば、先行IWPを容易に判別することが可能となる。このように、ユーザは、シミュレーションモデルで複数のIWP間の関係を確認しながら、複数のIWPの順序を設定することができる。このようにして設定された順序に基づいてプロジェクトのスケジュールが生成されるので、プロジェクトのスケジュール生成を簡易化することが可能となる。
【0084】
ユーザは、施工対象物を構成する複数のコンポーネント間の関係をシミュレーションモデルで確認することができる。例えば、同じ種類で、かつ、互いに近接している複数のコンポーネントを1つのIWPに登録することができる。このように、シミュレーションモデルを用いることによって、視覚的な情報に基づいて、IWPにコンポーネントを登録することができるので、IWPにコンポーネントを登録する作業を効率化することが可能となる。
【0085】
表示制御部12は、IWPの順序を識別可能な態様でシミュレーションモデルを表示装置に表示させるので、ユーザはIWPの順序を視覚的に把握することが可能となる。
【0086】
調整部16は、ユーザの操作に基づいてスケジュールを調整する。このため、ユーザは必要に応じてスケジュールを微調整することができる。
【0087】
先行IWPを考慮して、予定作業量が算出されるので、現場において実際に実施可能な作業量が得られる。このため、予定作業量の算出精度が向上するので、予定作業量に基づいて、作業員等のリソースを効率的に割り当てることが可能となる。
【0088】
シミュレーションモデルは、施工対象物の3次元モデルであるので、ユーザは、施工対象物の立体的形状を確認することができる。このため、複数のIWP間の関係をさらに明確に把握することができる。その結果、ユーザは複数のIWPの順序を適切に設定することができるので、プロジェクトのスケジュール生成をさらに簡易化することが可能となる。
【0089】
なお、本開示に係るプロジェクト管理装置、プロジェクト管理方法、及び記録媒体は上記実施形態に限定されない。
【0090】
例えば、プロジェクト管理装置10及びサーバ装置20のそれぞれは、物理的又は論理的に結合した1つの装置によって構成されていてもよく、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、プロジェクト管理装置10及びサーバ装置20のそれぞれは、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散された複数のコンピュータによって実現されてもよい。
【0091】
プロジェクト管理装置10は、調整部16及び計算部17を備えていなくてもよい。この構成においても、プロジェクトのスケジュール生成を簡易化することができる。
【0092】
プロジェクト管理装置10は、1以上のコンポーネントが予め登録されたワークパッケージ情報を用いて、スケジュールを作成してもよい。この場合、プロジェクト管理装置10は、登録部13を備えていなくてもよい。
【0093】
プロジェクト管理装置10は、モデルDB21、ワークパッケージDB22、及び作業量DB23の少なくとも1つを備えていてもよい。また、プロジェクト管理装置10がモデルDB21、ワークパッケージDB22、及び作業量DB23と同様のデータベースを備え、サーバ装置20のモデルDB21、ワークパッケージDB22、及び作業量DB23と同期させてもよい。
【0094】
表示装置によって表示されるシミュレーションモデルは、2次元モデルであってもよい。
【0095】
プロジェクト管理装置10は、表示装置を備えていなくてもよい。この場合、表示制御部12は、外部の表示装置に表示情報を送信することによって、所定の情報を表示装置に表示させる。
【0096】
モデルDB21、ワークパッケージDB22、作業量DB23、及び図面DB24の構成は、上記実施形態の構成に限られない。各データベースの構成は、公知の手法により変更され得る。
【符号の説明】
【0097】
1…プロジェクト管理システム、10…プロジェクト管理装置、11…受付部、12…表示制御部、13…登録部、14…設定部、15…生成部、16…調整部、17…計算部、20…サーバ装置、21…モデルDB、22…ワークパッケージDB、23…作業量DB、24…図面DB、106…出力装置(表示装置)。