IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

特許7112016インバータ一体型モータの車両への搭載構造
<>
  • 特許-インバータ一体型モータの車両への搭載構造 図1
  • 特許-インバータ一体型モータの車両への搭載構造 図2
  • 特許-インバータ一体型モータの車両への搭載構造 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】インバータ一体型モータの車両への搭載構造
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220727BHJP
【FI】
H02M7/48 Z ZHV
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017244238
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019110736
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】元安 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中川 大路
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直紀
(72)【発明者】
【氏名】石田 栄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 敏弘
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-144888(JP,A)
【文献】特開2016-83951(JP,A)
【文献】特開2012-5245(JP,A)
【文献】特開2011-135649(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105353(WO,A1)
【文献】特開2009-279990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
B60L 1/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動用のモータ部と、前記モータ部を収容するハウジングと、前記ハウジングに固定されて直流電力を三相交流電力に変換して前記モータ部に給電するインバータ回路部と、を具備し、トランスミッションを介して車輪に連結されるインバータ一体型モータの車両への搭載構造であって、
前記車両のマフラー及び前記インバータ一体型モータは、前記車両の後部に配置されており、
前記モータ部が、前記車両の前後方向において前記インバータ回路部の前記マフラー側に当該インバータ回路部に近接して配置されていると共に、前記インバーター回路部が、前記モータ部の前記マフラーとは反対側に配置され、
前記マフラーは、前記車両の幅方向において前記モータ部の中央部よりも一方側にずれた位置に配置されていると共に、前記トランスミッションが、前記車両の幅方向において前記インバータ回路部の前記一方側の側方に当該インバータ回路部に近接して配置されている
ことを特徴とするインバータ一体型モータの車両への搭載構造。
【請求項2】
前記マフラーが前記モータ部よりも前記車両の後方側に配置されているのに対し、
前記インバータ回路部と高電圧線を介して接続されて前記モータ部に電力を供給するための走行用バッテリが、前記インバータ回路部よりも前記車両の前方側に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載のインバータ一体型モータの車両への搭載構造。
【請求項3】
前記インバータ回路部は、トランジスタとコンデンサとを具備し、
前記インバータ回路部の少なくとも前記トランジスタおよび前記コンデンサの鉛直下側には断熱層が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインバータ一体型モータの車両への搭載構造。
【請求項4】
前記インバータ回路部は、トランジスタとコンデンサとを具備し、
前記インバータ回路部の少なくとも前記トランジスタおよび前記コンデンサと前記モータ部との間には断熱層が設けられている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のインバータ一体型モータの車両への搭載構造。
【請求項5】
前記断熱層が、空気層である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のインバータ一体型モータの車両への搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ部とモータ部に三相交流電力を供給するインバータ回路部とが一体となったインバータ一体型モータの車両への搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて車両の駆動に用いられるモータとして、回転電動機であるモータ部と、モータ部に三相交流電力を供給するインバータ回路部と、が一体的に設けられたインバータ一体型モータが採用されている(例えば、特許文献1から3参照)。
【0003】
このようなインバータ一体型モータでは、筐体の表面積を減らして小型化することができると共に、モータ部とインバータ回路部とを繋ぐ三相線を短くできるため銅損や部品コストを減らすことができるという効果を奏する。
【0004】
また、インバータ一体型モータを車両に搭載する際には、モータ部の鉛直上側にインバータ回路部を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-170177号公報
【文献】特開2017-047698号公報
【文献】特開2003-324903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インバータ一体型モータを車両の後方に配置する場合、車両の後方には、マフラーが設けられているため、マフラーの熱によってインバータ回路部が加熱されてインバータ回路部の温度が上昇し、インバータ回路部の動作不良や寿命の低下などの不具合が生じてしまうという問題がある。
【0007】
また、車両の後方にインバータ一体型モータを配置する場合、車室や荷室によってインバータ一体型モータを設置するスペースの高さに制限があることから、小型のモータ部を有するインバータ一体型モータしか配置することができない。このため、小型のモータ部によって最大トルクが小さくなってしまうという問題がある。
【0008】
さらに、車両の後方にインバータ一体型モータを設置する場合、インバータ一体型モータの上部側からアクセスできないため、モータ部の上部にインバータ回路部が配置されていると、インバータ回路部に高電圧線を結線するのが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、インバータ回路部のマフラーによる温度上昇を抑制して動作不良や寿命の低下を抑制することができ、高さに制限があるスペースに比較的大きなモータ部を配置することができ、最大トルクを大きくすることができ、車両組み付け時の結線を容易に行うことができるインバータ一体型モータの車両への搭載構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、車両駆動用のモータ部と、前記モータ部を収容するハウジングと、前記ハウジングに固定されて直流電力を三相交流電力に変換して前記モータ部に給電するインバータ回路部と、を具備し、トランスミッションを介して車輪に連結されるインバータ一体型モータの車両への搭載構造であって、前記車両のマフラー及び前記インバータ一体型モータは、前記車両の後部に配置されており、前記モータ部が、前記車両の前後方向において前記インバータ回路部の前記マフラー側に当該インバータ回路部に近接して配置されていると共に、前記インバーター回路部が、前記モータ部の前記マフラーとは反対側に配置され、前記マフラーは、前記車両の幅方向において前記モータ部の中央部よりも一方側にずれた位置に配置されていると共に、前記トランスミッションが、前記車両の幅方向において前記インバータ回路部の前記一方側の側方に当該インバータ回路部に近接して配置されていることを特徴とするインバータ一体型モータの車両への搭載構造にある。
【0011】
かかる態様では、インバータ回路部とマフラーとの距離を離すことができると共に、インバータ回路部がマフラーに直接相対向するのを抑制して、インバータ回路部がマフラーによって加熱されるのを抑制することができる。また、高さに制限があるスペースにインバータ一体型モータを搭載することができ、比較的大型のモータ部を有するインバータ一体型モータを車両に搭載することができる。
また、前記マフラーが前記モータ部よりも前記車両の後方側に配置されているのに対し、前記インバータ回路部と高電圧線を介して接続されて前記モータ部に電力を供給するための走行用バッテリは、前記インバータ回路部よりも前記車両の前方側に配置されていることが好ましい。
【0012】
ここで、前記インバータ回路部は、トランジスタとコンデンサとを具備し、前記インバータ回路部の少なくとも前記トランジスタおよび前記コンデンサの鉛直下側には断熱層が設けられていることが好ましい。これによれば、道路の輻射熱によってインバータ回路部が加熱されるのを断熱層によって抑制することができ、インバータ回路部の温度上昇による不具合を抑制することができる。
【0013】
ここで、前記インバータ回路部は、トランジスタとコンデンサとを具備し、前記インバータ回路部の少なくとも前記トランジスタおよび前記コンデンサと前記モータ部との間には断熱層が設けられていることが好ましい。これによれば、モータ部の熱によってインバータ回路部が加熱されるのを断熱層によって抑制することができ、インバータ回路部の温度上昇による不具合を抑制することができる。
【0014】
また、前記断熱層が、空気層であることが好ましい。これによれば、高性能な断熱性を有する断熱層を部品点数を低減して低コストで設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、インバータ一体型モータを車両に搭載する際に、インバータ回路部をモータ部のマフラーとは反対側に配置することで、インバータ回路部がマフラーによって加熱されるのを低減して、インバータ回路部の温度上昇による動作不良や寿命の低下を抑制することができる。また、高さに制限があるスペースに比較的大型のモータ部を有するインバータ一体型モータを設置することができ、比較的大型のモータ部を配置することができると共に、インバータ回路部への高電圧線の結線を容易にして、車両への組付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係るモータの車両への搭載構造を説明する図である。
図2】本発明の実施形態1に係るモータの車両への搭載構造を説明する図およびモータの拡大図である。
図3】本発明の実施形態2に係るインバータ一体型モータの概略構成を説明する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインバータ一体型モータの車両への搭載構造を説明する車両の底面図であり、図2は、インバータ一体型モータの車両への搭載構造を説明する車両の側面図およびモータの拡大図である。
【0018】
図1に示すように、車両1は、内燃機関であるエンジン10と車両1の駆動輪を駆動する走行用のインバータ一体型モータ20とを有する、所謂、ハイブリッド自動車(HV)またはプラグインハイブリッド自動車(PHEV)である。
【0019】
車両1には、エンジン10に接続された排気管11と排気管11の途中に設けられたマフラー12とが設けられている。
【0020】
排気管11は、車両1の前方に搭載されたエンジン10から車両1の後方に延設されており、マフラー12は、車両1の後方に延設された排気管11の後端部側に配置されている。
【0021】
インバータ一体型モータ20は、車両1の後方の車軸2を駆動するために後方の車軸2近くに配置されたものであり、トランスミッション3および後方の車軸2を介して駆動輪である後輪4に連結されている。
【0022】
また、インバータ一体型モータ20は、図2に示すように、車両駆動用のモータ部21とインバータ回路部22とハウジング23とを具備する。
モータ部21は、回転軸211が車両1の後方の車軸2と平行となるように配置されている。また、モータ部21は、ハウジング23内に収容されている。
【0023】
インバータ回路部22は、走行用バッテリ5から高電圧線6を介して供給された直流電力を三相交流電力に変換してモータ部21に給電するものである。このようなインバータ回路部22は、モータ部21を収容したハウジング23に固定されることでモータ部21と一体化されている。すなわち、インバータ一体型モータ20とは、モータ部21が収容されたハウジング23にインバータ回路部22が固定されていることをいう。ちなみに、インバータ回路部22は、共通する1つのハウジング23内にモータ部21と共に収容されていてもよく、また、モータ部21を収容したハウジングとインバータ回路部22を収容したハウジングとが別体であっても互いに固定されていて実質的に一体化されていればよい。すなわち、ハウジングが複数の部材で構成されていても、互いに固定されて実質的に一体化されていればよい。
【0024】
このようにモータ部21とインバータ回路部22とを一体化することで、筐体であるハウジング23の表面積を減らして小型化を図ることができる。また、モータ部21とインバータ回路部22とを一体化することで、モータ部21とインバータ回路部22とを近接して設けることができるため、モータ部21とインバータ回路部22とを繋ぐ図示しない三相線を短くでき、三相線による銅損や部品コストを低減することができる。
また、インバータ回路部22は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などのトランジスタ221とコンデンサ222とを有する。
【0025】
このようなインバータ回路部22は、図1および図2に示すように、モータ部21のマフラー12とは反対側に設けられている。ここで、マフラー12は、インバータ一体型モータ20よりも車両1の後方に配置されており、インバータ回路部22は、モータ部21よりも車両1の前方側に配置されている。また、本実施形態では、モータ部21とインバータ回路部22とは、車両1の前後方向に向かって水平となる位置に配置されている。もちろん、モータ部21とインバータ回路部22との配置はこれに限定されるものではない。つまり、インバータ回路部22は、モータ部21に対してマフラー12とは反対側に配置されていればよく、例えば、インバータ回路部22は、モータ部21に対して水平方向から鉛直上下方向にずれた位置に配置されていてもよい。すなわち、インバータ回路部22が、モータ部21に対してマフラー12とは反対側に配置されているとは、インバータ回路部22の少なくとも一部がモータ部21とマフラー12との並設方向において、モータ部21よりもマフラー12とは反対側に位置していればよい。ちなみに、インバータ回路部22は、マフラー12と直接相対向せずに、モータ部21によって遮蔽されている位置であるのが好ましい。これにより、インバータ回路部22が直接、マフラー12に相対向することがなく、マフラー12の熱によってインバータ回路部22が直接熱せられるのを抑制することができる。したがって、インバータ回路部22のマフラー12からの熱による影響を抑制することができる。
【0026】
このように、インバータ一体型モータ20のインバータ回路部22をモータ部21のマフラー12とは反対側に配置することで、車両1の後方の車室や荷室によって高さが制限されるスペースに比較的大きなインバータ一体型モータ20を配置することができる。すなわち、インバータ一体型モータ20のインバータ回路部22が高さ方向で干渉しないことから、高さに制限されるスペースに比較的大きなモータ部21を有するインバータ一体型モータ20を配置することができ、最大トルクを向上することができる。これに対して、例えば、インバータ回路部22をモータ部21の鉛直上側に配置した場合、車両1の後方の高さが制限されるスペースではインバータ回路部22が干渉してしまうため、比較的小型のモータ部21を有するインバータ一体型モータ20しか配置することができず、最大トルクが小さくなってしまう。
【0027】
また、インバータ回路部22をモータ部21のマフラー12とは反対側に配置することで、インバータ回路部22への高電圧線の結線を車両1の下部から容易に行うことができ、インバータ一体型モータ20の車両1への組み付け作業を容易に行うことができる。これに対して、例えば、インバータ回路部22をモータ部21の鉛直上側に配置した場合、インバータ回路部22の鉛直上側には車室や荷室が存在するため、インバータ回路部22に鉛直上側から高電圧線を結線することができず、また、インバータ回路部22の鉛直下側にはモータ部21が存在するため、インバータ回路部22の鉛直下側からインバータ回路部22に高電圧線を結線することが困難である。このため、インバータ回路部22をモータ部21の鉛直上側に配置する場合には、インバータ一体型モータ20に結線する高電圧線を延長し、高電圧線をインバータ一体型モータ20が設置されるスペースから引き出した状態で、車両1の外部で高圧電線とインバータ回路部22とを結線しなくてはならず、高圧電線を延長することから高圧電線の電気抵抗の増加やコストの増加などが生じてしまう。また、延長した高圧電線を収納するスペースも必要となり、インバータ一体型モータ20を収容するスペースも減少してしまう。本実施形態では、インバータ一体型モータ20を車両1に設置してから車両1の下部から高電圧線をインバータ回路部22に容易に結線することができる。したがって、高電圧線をできるだけ短くして、電気抵抗の増加やコストの増加を抑制することができると共に、余分な高電圧線を収容するスペースを減少して、比較的大きなモータ部21を有するインバータ一体型モータ20を配置することができる。
【0028】
さらに、本実施形態では、インバータ回路部22をモータ部21とは反対側に配置することで、インバータ回路部22が直接マフラー12の熱によって加熱されるのを抑制することができる。すなわち、インバータ回路部22をモータ部21のマフラー12とは反対側に配置することで、マフラー12からインバータ回路部22までの距離を離すことができる。また、排気ガスによって加熱されたマフラー12の熱は、モータ部21によって遮られてインバータ回路部22が直接マフラー12の熱にさらされない。したがって、インバータ回路部22が直接マフラー12の熱で加熱されるのを抑制することができる。
【0029】
したがって、インバータ回路部22がマフラー12によって加熱されるのを抑制して、インバータ回路部22の温度上昇による動作不良や寿命の低下を抑制することができる。ちなみに、インバータ回路部22は、それ自身の発熱やモータ部21およびマフラー12などの外部からの熱によって加熱されて一定の温度以上となると動作が不安定となる。このためインバータ回路部22は、一定の温度以上になると温度上昇を抑えるために出力が抑えられて、モータ部21の性能を十分に引き出すことができなくなってしまう。本実施形態では、インバータ回路部22がマフラー12によって加熱されるのを抑制することができるため、インバータ回路部22の温度が上昇するのを抑制して、出力が抑えられるのを抑制してモータ部21の性能低下を低減することができる。
【0030】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態1に係るインバータ一体型モータの車両への搭載構造を示す概略構成を説明する拡大図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0031】
図3に示すように、車両1に搭載されたインバータ一体型モータ20は、インバータ回路部22の鉛直方向の下側、すなわち、道路と相対向する面側には、断熱層である第1の断熱層24が設けられている。
【0032】
第1の断熱層24は、ハウジング23よりも熱伝導率が低い断熱材が設けられたものである。このような第1の断熱層24に用いられる断熱材としては、例えば、ガラス繊維などの繊維材料、発泡スチロールなどの発泡材料、コルク質などが挙げられる。また、第1の断熱層24として、内部に空気が充填された空気層を有する断熱室、または、内部が真空状態となる断熱室を設けるようにしてもよい。本実施形態では、第1の断熱層24として、内部に空気が充填された断熱室を設けるようにした。このように第1の断熱層24として空気を用いることで、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0033】
このような第1の断熱層24は、インバータ回路部22の少なくともトランジスタ221およびコンデンサ222の鉛直方向下側に設けられていればよい。本実施形態では、第1の断熱層24は、インバータ回路部22の道路に相対向する面(鉛直方向下側の面)に亘って連続して設けるようにした。
【0034】
このように、インバータ回路部22の鉛直方向下側に第1の断熱層24を設けることで、道路の輻射熱によってインバータ回路部22の特にトランジスタ221およびコンデンサ222が加熱されるのを抑制することができる。したがって、インバータ回路部22の道路の輻射熱による温度上昇を抑制して、インバータ回路部22の温度上昇による動作不良や寿命の低下を抑制することができる。つまり、本実施形態では、インバータ回路部22をモータ部21のマフラー12とは反対側に配置することによって、インバータ回路部22は道路に相対向する位置に配置されるため、道路の輻射熱によってインバータ回路部22が加熱されてしまうが、第1の断熱層24を設けることで、インバータ回路部22をモータ部21のマフラー12とは反対側に配置しても、インバータ回路部22が道路からの輻射熱によって加熱されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、インバータ回路部22とモータ部21との間には、断熱層である第2の断熱層25が設けられている。
【0035】
第2の断熱層25は、ハウジング23よりも熱伝導率が低い断熱材が設けられたものである。断熱材としては、例えば、ガラス繊維などの繊維材料、発泡スチロールなどの発泡材料、コルク質などを用いることができる。また、第2の断熱層25として、内部に空気が充填された、または、内部が真空状態となる断熱室を設けるようにしてもよい。本実施形態では、第2の断熱層25として、内部に空気が充填された断熱室を設けるようにした。このように第2の断熱層25として空気を用いることで、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0036】
このような第2の断熱層25は、インバータ回路部22の少なくともトランジスタ221およびコンデンサ222とモータ部21との間に設けられていればよい。本実施形態では、第2の断熱層25は、インバータ回路部22のモータ部21に相対向する面に亘って連続して設けるようにした。
【0037】
このようにインバータ回路部22とモータ部21との間に第2の断熱層25を設けることで、モータ部21の熱によってインバータ回路部22の特にトランジスタ221およびコンデンサ222が加熱されるのを抑制することができる。したがって、インバータ回路部22のモータ部21の熱による温度上昇を抑制して、インバータ回路部22の温度上昇による動作不良や寿命の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1の断熱層24と第2の断熱層25とを設けるようにしたが、何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0038】
また、断熱層は、さらにインバータ回路部22のモータ部21とは反対面側にも設けるようにしてもよく、インバータ回路部22の鉛直上側に設けるようにしてもよい。つまり、インバータ回路部22は、全周を断熱層で覆われていてもよい。ただし、インバータ回路部22の全周を断熱層で覆うと、インバータ一体型モータ20が大型化してしまうため、本実施形態のように、インバータ回路部22の道路側とモータ部21側とに第1の断熱層24と第2の断熱層25とを設けることで、インバータ一体型モータ20を熱から保護すると共にインバータ一体型モータ20の小型化を図ることができる。
【0039】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、インバータ一体型モータ20を車両1の後方に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、インバータ一体型モータ20を車両1の後方に加えてさらに車両1の前方、すなわち、前輪に接続された車軸の近傍に配置するようにしてもよい。ちなみに、車両1の前方には、車室や荷室がないため、インバータ一体型モータは、インバータ回路部22がモータ部21の鉛直上側に配置されて車両1の前方に搭載されてもよい。もちろん、車両1の前方のインバータ一体型モータ20を搭載する場合においても、上述した実施形態1および2のインバータ一体型モータ20と同様に、インバータ回路部22をモータ部21と水平方向に並設されるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
2 車軸
3 トランスミッション
4 後輪
5 走行用バッテリ
6 高電圧線
10 エンジン
11 排気管
12 マフラー
20 インバータ一体型モータ
21 モータ部
211 回転軸
22 インバータ回路部
221 トランジスタ
222 コンデンサ
23 ハウジング
24 第1の断熱層
25 第2の断熱層
図1
図2
図3