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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】積層体の製造方法及び反転装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 38/18 20060101AFI20220727BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20220727BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B32B38/18 A
B32B37/00
B23P19/00 304H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018117169
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019217697
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】北川 翔
(72)【発明者】
【氏名】田中 義男
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0363886(US,A1)
【文献】特開2016-008985(JP,A)
【文献】特開2009-253045(JP,A)
【文献】特開2014-017455(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030168(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105492962(CN,A)
【文献】登録実用新案第3200307(JP,U)
【文献】特開2012-223858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B23P 19/00-21/00
A21B 3/00-3/18
B81B 1/00-7/04
B81C 1/00-99/00
B23Q 39/00-39/04
B65H 9/00-9/20
13/00-15/02
B65G 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を製造する方法において、
複数の構成部材を積層してなる第一積層体を準備する第一積層工程と、
前記第一積層体を反転装置により反転させる反転工程と、
前記第一積層体に追加の構成部材を積層して第二積層体を構成する第二積層工程と、
前記複数の構成部材及び前記追加の構成部材を接合することにより前記積層体を形成する接合工程と、を備え、
前記反転装置は、前記第一積層体を支持する支持テーブルと、前記支持テーブルを支持する支持枠と、前記支持枠に設けられるとともに前記支持テーブルの位置を変更する位置変更機構と、前記支持テーブルを旋回させる旋回機構とを備え、
前記支持テーブルは、前記旋回機構の動作によって、水平状の第一姿勢と、前記第一姿勢から上下反転した水平状の第二姿勢とに姿勢を変更するように構成され、
前記位置変更機構は、前記第一姿勢にある前記支持テーブルを水平方向に移動させることで、前記支持テーブルを、前記第一積層体を載置することが可能な第一の位置と、前記第一姿勢から前記第二姿勢へと姿勢を変更することが可能な第二の位置と、に変更するように構成され、
前記旋回機構は、前記第一姿勢と前記第二姿勢とに前記支持テーブルの姿勢を変更するように、前記支持枠を旋回させる軸部を備え、
前記反転工程では、前記第一の位置にある前記支持テーブルに前記第一積層体を載置した後に前記支持テーブルを前記第一の位置から前記第二の位置へと移動させ、前記第二の位置において前記第一積層体を支持する前記支持テーブルの姿勢を前記旋回機構の動作によって前記第一姿勢から前記第二姿勢へと変更することで、前記第一積層体を上下反転させることを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記支持テーブルは、開口部を有する請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記開口部は、前記第一積層体を前記支持テーブルに載置し又は前記支持テーブルから取り出す際に、作業者の手を通すことが可能な開口部である請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記支持テーブルは、相互に対向する第一支持テーブル及び第二支持テーブルを含む請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記反転装置は、前記第一積層体を前記支持テーブルに固定する固定機構を備える請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記支持テーブルは、並設される複数の支持テーブルを含む請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記反転装置は、前記並設される前記複数の支持テーブルを連結する連結部材を備える請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項8】
前記反転装置は、前記支持テーブルを旋回不能に固定する旋回ロック機構を備える請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記反転装置は、前記支持テーブルを水平姿勢に位置決めするストッパ部を備える請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記位置変更機構は、スライドレール機構により構成される請求項1からのいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
複数の構成部材を積層してなる第一積層体に対し、追加の構成部材を積層して第二積層体を構成するために、前記第一積層体を上下反転させる反転装置であって、
前記第一積層体を支持する支持テーブルと、前記支持テーブルを支持する支持枠と、前記支持枠に設けられるとともに前記支持テーブルの位置を変更する位置変更機構と、前記支持テーブルを旋回させる旋回機構とを備え
前記支持テーブルは、前記旋回機構の動作によって、水平状の第一姿勢と、前記第一姿勢から上下反転した水平状の第二姿勢とに姿勢を変更するように構成され、
前記位置変更機構は、前記第一姿勢にある前記支持テーブルを水平方向に移動させることで、前記支持テーブルを、前記第一積層体を載置することが可能な第一の位置と、前記第一姿勢から前記第二姿勢へと姿勢を変更することが可能な第二の位置と、に変更するように構成され、
前記旋回機構は、前記第一姿勢と前記第二姿勢とに前記支持テーブルの姿勢を変更するように、前記支持枠を旋回させる軸部を備え、
前記第一の位置にある前記支持テーブルに前記第一積層体を載置した後に前記支持テーブルを前記第一の位置から前記第二の位置へと移動させ、前記第二の位置において前記第一積層体を支持する前記支持テーブルの姿勢を前記旋回機構の動作によって前記第一姿勢から前記第二姿勢へと変更することで、前記第一積層体を上下反転させることを特徴とする反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構成部材を積層してなる積層体を製造する方法及び積層体を反転させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、多機能性、強度向上、取り扱い性向上等の目的に対応するように、複数の構成部材を積層してなる積層体が各種技術分野で用いられている。例えば、特許文献1には、ガラスフィルムと反射膜とを交互に積層してなる光学結像用部材用のガラス積層体が開示されている。また、特許文献2には、ガラスフィルムと支持ガラスとを積層させることで取り扱い性を向上させたガラス積層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-90387号公報
【文献】特開2015-63427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の積層体を構成する過程において、積層体を反転させる工程が必要となる場合がある。従来、この反転工程は、作業者により行われていたため、特に大型の積層体を大量生産する場合には、作業者の負担や人員の増大を招き、作業性の低下を招いていた。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、積層体の反転作業を効率良く行うことが可能な積層体の製造方法および反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、積層体を製造する方法において、複数の構成部材を積層してなる第一積層体を準備する第一積層工程と、前記第一積層体を反転装置により反転させる反転工程と、前記第一積層体に追加の構成部材を積層して第二積層体を構成する第二積層工程と、前記複数の構成部材及び前記追加の構成部材を接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、反転装置によって第一積層体を反転させることにより、反転工程を効率良く実行できる。
【0008】
前記反転装置は、前記第一積層体を支持する支持テーブルと、前記支持テーブルの位置を変更する位置変更機構と、前記支持テーブルを旋回させる旋回機構とを備え、前記位置変更機構は、前記支持テーブルを、前記第一積層体を載置し又は取り出すことが可能な第一の位置と、前記第一積層体を反転させることが可能な第二の位置と、に変更することができる。
【0009】
かかる構成によれば、支持テーブルを第一の位置に配することで、支持テーブルに対して第一積層体を載置する作業、及び反転工程後に支持テーブルから第一積層体を取り出す作業を容易に行うことができる。
【0010】
前記支持テーブルには、開口部が形成されていてもよい。これにより、支持テーブルを軽量化できる。また、前記開口部は、前記第一積層体を前記支持テーブルに載置し又は前記支持テーブルから取り出す際に、作業者の手を通すことが可能な開口部として利用できる。これにより、支持テーブルに第一積層体を載置する作業、及び支持テーブルから第一積層体を取り出す作業を効率良く行うことができる。
【0011】
前記支持テーブルは、相互に対向する第一支持テーブル及び第二支持テーブルを含んでいてもよい。反転工程において第一支持テーブルと第二支持テーブルを交互に使用することで、多数の第一積層体を効率良く反転させることができる。
【0012】
前記反転装置は、前記第一積層体を前記支持テーブルに固定する固定機構を備え得る。かかる構成によれば、固定装置によって第一積層体を支持テーブルに固定することで、第一積層体を損傷させることなく支持テーブルを旋回させることができる。
【0013】
前記支持テーブルは、並設される複数の支持テーブルを含んでもよい。これによれば、反転工程において多数の第一積層体を効率良く反転させることができる。
【0014】
前記反転装置は、前記並設される複数の支持テーブルを連結する連結部材を備え得る。並設される支持テーブルを連結部材によって連結することで、より大型の第一積層体を反転させることが可能になる。
【0015】
前記反転装置は、前記支持テーブルを旋回不能に固定する旋回ロック機構を備え得る。かかる構成によれば、旋回ロック機構によって支持テーブルを固定することで、第一積層体を支持テーブルに載置する作業、及び支持テーブルから第一積層体を取り出す作業を容易に行うことができる。
【0016】
前記反転装置は、前記支持テーブルを水平姿勢に位置決めするストッパ部を備え得る。かかる構成によれば、ストッパ部によって支持テーブルを水平姿勢に維持することで、第一積層体を支持テーブルに載置する作業、及び支持テーブルから第一積層体を取り出す作業を容易に行うことができる。
【0017】
前記旋回機構は、前記支持テーブルを前記水平姿勢から180°旋回させる構成を備え得る。かかる構成によれば、第一積層体は、水平状態で支持テーブルに支持され、反転後も水平状態で支持テーブルに支持されることになる。したがって、反転工程後に支持テーブルから第一積層体を容易に取り出すことができ、後の第二積層工程への移行も効率良く実行できる。
【0018】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、積層体を支持する支持テーブルと、前記支持テーブルの位置を変更する位置変更機構と、前記支持テーブルを旋回させる旋回機構とを備える反転装置であって、前記位置変更機構は、前記支持テーブルを、前記積層体を載置し又は取り出すことが可能な第一の位置と、前記積層体を反転させることが可能な第二の位置とに変更することを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、積層体を支持する支持テーブルを旋回機構によって旋回させることで、積層体の反転作業を効率良く行うことが可能になる。また、位置変更機構によって支持テーブルを第一の位置に配することで、支持テーブルに対して積層体を載置する作業、及び反転後に支持テーブルから積層体を取り出す作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、積層体の反転作業を効率良く行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る積層体の製造方法を示すフローチャートである。
図2】第一積層工程を示す側面図である。
図3】第一実施形態に係る反転装置の正面図である。
図4】反転装置の左側面図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6】支持テーブルの平面図である。
図7】反転工程を示すフローチャートである。
図8】支持テーブルが第一の位置に配置された状態の反転装置を示す断面図である。
図9】支持テーブルが第二の位置に配置された状態を示す反転装置の断面図である。
図10】第一積層体が支持テーブルに固定された状態を示す反転装置の断面図である。
図11】第一積層体が支持テーブルに固定された状態を示す反転装置の正面図である。
図12】支持枠の固定を解除した状態を示す反転装置の正面図である。
図13】旋回工程を示す反転装置の左側面図である。
図14】旋回工程を示す反転装置の左側面図である。
図15】支持枠の旋回が終了した状態を示す反転装置の左側面図である。
図16】支持枠の旋回が終了した状態を示す反転装置の正面図である。
図17】支持枠が旋回不能に固定された状態を示す反転装置の正面図である。
図18】第二積層工程を側面図である。
図19】接合工程を示す断面図である。
図20】第二実施形態に係る反転装置を示す正面図である。
図21】第三実施形態に係る反転装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図1乃至図19は、本発明に係る積層体の製造方法及び反転装置の第一実施形態を示す。
【0023】
図1に示すように、積層体の製造方法は、複数の構成部材により構成される第一積層体を準備する第一積層工程S1と、第一積層体を反転させる反転工程S2と、反転させた第一積層体に追加の構成部材を積層して第二積層体を構成する第二積層工程S3と、第二積層体における各構成部材を接合する接合工程S4とを備える。
【0024】
図2に示すように、第一積層工程S1では、複数の構成部材1~4が第一作業台5上で積層される。本実施形態では、第一構成部材1、第二構成部材2、第三構成部材3及び第四構成部材4を積層することにより、四層構造の第一積層体L1が形成される。各構成部材1~4は、ガラス、樹脂、金属等の各種材料により板状に構成される。第一積層体L1の外層を構成する第一構成部材1及び第四構成部材4は、第一被覆部材6及び第二被覆部材7によって覆われている。本実施形態に係る第一積層体L1は、第一構成部材1が下側に位置し、第四構成部材4が上側に位置するように第一作業台5上で形成される。
【0025】
反転工程S2では、下側に位置する第一構成部材1が上側に位置し、上側に位置する第四構成部材4が下側に位置するように、第一積層体L1を反転装置によって反転させる。以下、反転工程S2に使用される反転装置の構成について説明する。
【0026】
図3乃至図5に示すように、本実施形態に係る反転装置8は、基台9と、基台9に支持されるとともに第一積層体L1を支持する支持枠10と、支持枠10を旋回させる旋回機構11と、所定の操作を行うための制御部12とを備える。
【0027】
基台9は、支持枠10を旋回可能に支持する第一支柱13A,13Bと、支持枠10の位置決め及び支持を行う第二支柱14A,14B及び第三支柱15A,15Bと、を備える。
【0028】
第一支柱13A,13Bは、支持枠10の一端部と他端部を支持するために一対の支柱により構成される。一対の第一支柱13A,13Bのうち、一方の第一支柱13Aは、旋回機構11を支持している。第一支柱13A,13Bは、間隔をおいて設けられる第二支柱14A,14Bと第三支柱15A,15Bとの間に配置される。
【0029】
第二支柱14A,14Bは、支持枠10の一端部側と他端部側とに配置される一対の支柱により構成される。一対の第二支柱14A,14Bのうち、一方の第二支柱14Aは、その上部において制御部12の一部を支持している。
【0030】
第二支柱14A,14Bは、支持枠10の一部に接触可能なストッパ部16を備える。ストッパ部16は、第二支柱14A,14Bから水平方向に突出する支持部17と、支持枠10が支持部17に接触したことを検出するスイッチ18とを備える。
【0031】
支持部17の上面は、支持枠10に接触可能な水平面として構成される。支持部17の上面には緩衝部材19が設けられている。緩衝部材19は、ゴム等の弾性部材により構成される。
【0032】
スイッチ18は接触式であり、支持枠10の一部が支持部17に接触したときに、当該支持枠10の一部に同時に接触する。スイッチ18は、制御部12に接続されている。
【0033】
第三支柱15A,15Bは、第二支柱14A,14Bと同様に、支持枠10の一端部側と他端部側とに配される一対の支柱により構成される。第三支柱15A,15Bは、支持枠10の一部に接触可能なストッパ部20と、支持枠10を旋回不能に固定する旋回ロック機構21とを備える。
【0034】
第三支柱15A,15Bのストッパ部20は、第二支柱14A,14Bのストッパ部16と同様に、第三支柱15A,15Bから水平方向に突出する支持部22と、支持枠10が支持部22に接触したことを検出するスイッチ23とを備える。支持部22は、その上面に緩衝部材24を備える。スイッチ23は、第二支柱14A,14Bのスイッチ18と同じ構成を有する。スイッチ23は、制御部12に接続されている。
【0035】
旋回ロック機構21は、空気圧式のアクチュエータであり、例えばエアシリンダ機構により構成される。旋回ロック機構21は、ピストン25が水平方向を向くように第三支柱15A,15Bに支持されている。ピストン25は支持枠10に対して接近・離反するように構成される。
【0036】
支持枠10は、第二支柱14A,14Bのストッパ部16又は第三支柱15A,15Bのストッパ部20に接触する突起部26と、複数の支持テーブル27,28と、支持テーブル27,28の位置を変更するための位置変更機構29と、支持テーブル27,28を固定するテーブルロック機構30,31と、第一積層体L1を支持テーブル27に押さえ付ける固定機構32と、旋回ロック機構21のピストン25が係合する受け部33,34と、を主に備える。
【0037】
突起部26は、各ストッパ部16,20に接触することで、支持枠10の旋回範囲を規制する。突起部26がストッパ部16,20に接触した状態では、支持枠10及びこの支持枠10に支持される各支持テーブル27,28は、水平姿勢に維持される。支持枠10及び支持テーブル27,28は、突起部26が第二支柱14A,14Bのストッパ部16に接触した状態で水平となる第一姿勢と、突起部26が第三支柱15A,15Bのストッパ部20に接触した状態で水平となる第二姿勢とに姿勢を変更できる。
【0038】
突起部26は、各ストッパ部16,20に接触したときに、各スイッチ18,23にも接触する。各スイッチ18,23は、突起部26が接触したときにオンになり、突起部26が離れたときにオフになるように構成される。各スイッチ18,23がオンになると、旋回ロック機構21の操作が可能になる。各スイッチ18,23がオフになると、旋回ロック機構21の操作が不能になる。すなわち、各スイッチ18,23は、支持枠10及び支持テーブル27,28が水平姿勢となったこと(旋回完了)を検出する水平姿勢検出部として機能する。
【0039】
支持テーブル27,28は、相互に対向する第一支持テーブル27及び第二支持テーブル28を含む。本実施形態では、二台の第一支持テーブル27が支持枠10内に並設され、二台の第二支持テーブル28が支持枠10内に並設されているが、各支持テーブル27,28の数は、これに限定されない。
【0040】
図3図5及び図6に示すように、各支持テーブル27,28は、第一積層体L1を支持する支持面35,36と、厚さ方向に貫通する開口部37,38と、位置変更機構29に支持される係合部39とを備える。
【0041】
支持枠10及び各支持テーブル27,28が第一姿勢である場合、第一支持テーブル27が下方に位置し、第二支持テーブル28が第一支持テーブル27の上方に位置する(図3及び図5参照)。この場合、第一支持テーブル27の支持面35は、上方を向いた状態となる。一方、第二支持テーブル28の支持面36は、下方を向いた状態となる。
【0042】
支持枠10が第一姿勢から第二姿勢に変更されると、第一支持テーブル27と第二支持テーブル28との位置関係が上記と逆になる。すなわち、第二姿勢では、第二支持テーブル28が下方に位置し、第一支持テーブル27は第二支持テーブル28の上方に位置する。この場合、第一支持テーブル27の支持面35は下方を向き、第二支持テーブル28の支持面36は上方を向いた状態となる。
【0043】
図6に示すように、開口部37,38は、複数の第一開口部37と、複数の第二開口部38とを含む。第一開口部37は、固定機構32の一部を挿通させるためのものである。第一開口部37は、二つの平行な長孔により構成される。
【0044】
第二開口部38は、第一開口部37の周辺に形成される円形状の孔により構成される。第二開口部38は、各支持テーブル27,28に第一積層体L1を載置し、又は取り出す際に、作業者の手又は指を通すことが可能な大きさを有する。第一積層体L1の載置又は取り出しの作業を行う場合において、第二開口部38に手を入れながらこの作業を行うと、第一積層体L1の位置の微調整や持ち上げ等の行為を容易に行うことができる。
【0045】
係合部39は、各支持テーブル27,28の幅方向両端部に形成される。係合部39は、各支持テーブル27,28の幅方向外方に突出する突条部として構成される。
【0046】
位置変更機構29は、各支持テーブル27,28を第一の位置と第二の位置とに変更する。第一の位置において、支持テーブル27,28は、支持枠10から突出した状態となる。第一の位置では、支持テーブル27,28に第一積層体L1を載置し又は支持テーブル27,28から第一積層体L1を取り出すことができる。第二の位置において、支持テーブル27,28は、支持枠10の内部に収容される。
【0047】
位置変更機構29は、例えばスライドレール機構により構成される。位置変更機構29は、支持枠10に固定される固定レール40と、固定レール40にスライド可能に支持されるスライドレール41とを有する(図3及び図5参照)。スライドレール41は、各支持テーブル27,28の係合部39をスライド可能に支持している。位置変更機構29は、スライドレール41等を案内するガイドローラを備えたものであってもよい。
【0048】
各テーブルロック機構30,31は、空気圧式のアクチュエータであり、例えばエアシリンダ機構により構成される。テーブルロック機構30,31は、第一支持テーブル27を固定する第一テーブルロック機構30と、第二支持テーブル28を固定する第二テーブルロック機構31とを含む。各テーブルロック機構30,31は、支持枠10が水平状態(第一姿勢又は第二姿勢)とされた場合に、ピストン42を上下方向に出退させるように、当該支持枠10に固定されている。ピストン42は、待機位置から進出し、正面視において支持テーブル27,28に重なるように位置することで、各支持テーブル27,28を第二の位置に固定する。なお、支持枠10には、各テーブルロック機構30,31が支持テーブル27,28を第二の位置に固定した場合に、ピストン42とともに各支持テーブル27,28を固定する係止部10aが設けられている(図5参照、図3において図示省略)。
【0049】
テーブルロック機構30,31は、ピストン42の動作に応じて操作される複数(図例では四個)のスイッチ43を有する。スイッチ43は、ピストン42に対向するように、支持枠10に支持されている。スイッチ43は接触式であり、ピストン42が待機位置から接触した場合にオンとなり、ピストン42が待機位置に戻る際にオフとなる。すなわち、スイッチ43は、テーブルロック機構30,31による各支持テーブル27,28の固定が完了したことを検出するテーブル固定検出部として機能する。また、スイッチ43は制御部12に接続されており、旋回ロック機構21の動作を制御できる。
【0050】
固定機構32は、空気圧式のアクチュエータであり、例えばエアシリンダ機構により構成される。固定機構32は、ピストン44が第一支持テーブル27の支持面35に対向するように、支持枠10に固定されている。ピストン44は、テーブルロック機構30,31のピストン42と平行に移動するように配置される。
【0051】
固定機構32は、ピストン44の先端部に、第一積層体L1に接触する押圧部45を有する。押圧部45は、長尺状の板部材により構成される。押圧部45の大きさ(面積)は、各支持テーブル27,28の第一開口部37の開口面積よりも小さい。押圧部45は、ピストン44の動作により、支持テーブル27,28から離れた待機位置と、第一積層体L1に接触する押圧位置とに位置を変更できる。
【0052】
受け部33,34は、支持枠10が第一姿勢にある場合に、旋回ロック機構21に係合する第一受け部33と、支持枠10が第二姿勢にある場合に、旋回ロック機構21に係合する第二受け部34とを含む。第一受け部33は、支持枠10が第一姿勢にある場合に、旋回ロック機構21のピストン25に対向する位置に配される。第二受け部34は、支持枠10が第二姿勢にある場合に、旋回ロック機構21のピストン25に対向する位置に配される。第一受け部33は、旋回ロック機構21のピストン25が挿入される第一凹部46を有する。第二受け部34は、ピストン25が挿入される第二凹部47を有する。
【0053】
旋回機構11は、操作ハンドル48と、支持枠10に設けられる軸部49A,49Bと、動力伝達部50とを備える。
【0054】
操作ハンドル48は、円板状の本体部51と、本体部51の中心に設けられる入力軸52と、本体部51の一方の面に設けられるグリップ部53とを備える。支持枠10の軸部49A,49Bは、当該支持枠10の一端部側と他端部側を支持する一対の軸部により構成される。一方の軸部49Aは一方の第一支柱13Aに回転可能に支持され、他方の軸部49Bは他方の第一支柱13Bに回転可能に支持されている。動力伝達部50は、歯車機構等の各種伝達機構により構成される。動力伝達部50は、支持枠10の一方の軸部49Aと操作ハンドル48の入力軸52とを連結する。
【0055】
制御部12は、一台のコンプレッサ(図示せず)と、コンプレッサの圧縮エアを作動エア及び信号エアとして旋回ロック機構21、テーブルロック機構30,31及び固定機構32等の各アクチュエータに供給するエア回路(図示せず)と、手動で操作される操作部54,55とを備える。
【0056】
コンプレッサは、エア回路を介して旋回ロック機構21、各テーブルロック機構30,31、固定機構32、各スイッチ18,23,43及び各操作部54,55に接続されている。
【0057】
エア回路は、各スイッチ18,23,43を含み、各スイッチ18,23,43がオン又はオフとなった場合に、旋回ロック機構21、テーブルロック機構30,31及び固定機構32における所定の動作を可能にする。なお、各スイッチ18,23,43は、エア回路の構成要素として、例えばメカニカルバルブにより構成され得る。
【0058】
操作部54,55は、テーブルロック機構30,31及び固定機構32を作動させる第一操作部54と、旋回ロック機構21を作動させる第二操作部55とを含む。各操作部54,55は、レバー操作により、信号エア(パイロット圧)を各アクチュエータに供給可能なハンドバルブにより構成される。
【0059】
以下、上記構成の反転装置8による反転工程S2の具体的態様について説明する。
【0060】
上記のように第一積層工程S1が終了すると、第一積層体L1は、第一姿勢とされた支持枠10に収容される。第一姿勢では、支持枠10の突起部26が第二支柱14A,14Bに係るストッパ部16に接触している。したがって、ストッパ部16のスイッチ18はオンの状態である。また、制御部12の第二操作部55がオンの状態になっており、旋回ロック機構21のピストン25が第一受け部33の第一凹部46に嵌合している(図3参照)。これにより、支持枠10は、旋回不能に固定され、各支持テーブル27,28を水平姿勢で支持している。なお、制御部12の制御によって、第二操作部55には作動エアが供給されておらず、当該第二操作部55がオフとなるように操作されても旋回ロック機構21が作動しない状態(ピストン25を後退させない状態)となっている。
【0061】
第一操作部54はオフの状態にあり、各テーブルロック機構30,31及び固定機構32は待機状態にある。各テーブルロック機構30,31のピストン42はスイッチ43に接触しておらず、したがってスイッチ43はオフの状態である。
【0062】
上記のように第二操作部55がオン(スイッチ18がオン)となっている場合、制御部12のエア回路は、第一操作部54に作動エアを供給している。このため、第一操作部54がオンとなるように操作されると、テーブルロック機構30,31が作動する状態となっている。なお、制御部12の制御により、固定機構32は、テーブルロック機構30,31における全て(四個)のスイッチ43がオンにならないと作動しないように設定されている。
【0063】
図7に示すように、反転工程S2は、第一支持テーブル27を支持枠10から引き出す第一引出工程S211と、第一積層体L1を第一支持テーブル27に載置する載置工程S212と、第一積層体L1が載置された第一支持テーブル27を支持枠10に収容する第一収容工程S213と、支持テーブル27,28を第二の位置に固定するテーブル固定工程S214と、を備える。
【0064】
第一引出工程S211では、第二の位置にある第一支持テーブル27が支持枠10から引き出される。これにより、第一支持テーブル27は、第二の位置から第一の位置に移動する(図8参照)。
【0065】
載置工程S212において、第一積層体L1は、第一作業台5から作業者により運ばれ、この第一支持テーブル27の支持面35に載置される。第一積層体L1は、第一被覆部材6、第二被覆部材7に覆われた状態で載置される。この場合、第一被覆部材6が第一支持テーブル27の支持面35に接触する。
【0066】
第一収容工程S213において、第一積層体L1が載置された第一支持テーブル27は、作業者によって支持枠10の内側に向かって押され、第一の位置から第二の位置へと移動する(図9参照)。
【0067】
テーブル固定工程S214では、作業者によって制御部12の第一操作部54がオンとなるように操作される。制御部12は、第一テーブルロック機構30を作動させ、待機位置にあるピストン42を上昇させる。また、制御部12は、第二テーブルロック機構31を作動させ、待機位置にあるピストン42を下降させる。これにより、各支持テーブル27,28は、第一の位置に移動できないように、第二の位置で固定される(図10及び図11参照)。
【0068】
また、反転工程S2は、第一積層体L1を第一支持テーブル27に固定する積層体固定工程S215と、旋回ロック機構21による支持枠10の固定を解除する旋回ロック解除工程S216と、支持枠10及び支持テーブル27,28を旋回させる旋回工程S217と、支持枠10及び支持テーブル27,28を旋回不能に固定する旋回ロック工程S218とを備える(図7参照)。
【0069】
積層体固定工程S215では、固定機構32が作動して第一積層体L1を第一支持テーブル27に固定する。以下、積層体固定工程S215の具体的態様について説明する。
【0070】
上記のテーブル固定工程S214の終了時に、各テーブルロック機構30,31のピストン42はスイッチ43に接触する。全て(四個)のスイッチ43がオンになると、制御部12のエア回路は、固定機構32に作動エアを供給する。換言すると、一部のピストン42がスイッチ43に接触していない場合には、テーブル固定工程S214が終了していないものと見做される。この場合、固定機構32には作動エアが供給されず、固定機構32は作動しない。
【0071】
作動エアが供給されると、固定機構32は、ピストン44を下方に進出させる。これにより、押圧部45は、第二支持テーブル28の第一開口部37を通過して、第一積層体L1の上面(第二被覆部材7)に接触する(図10及び図11参照)。以上により、第一積層体L1は第一支持テーブル27に固定される。
【0072】
旋回ロック解除工程S216では、旋回ロック機構21を作動させて支持枠10の固定(旋回ロック)を解除する。制御部12は、上記のように全てのスイッチ43がオンとなった場合に、第二操作部55及び旋回ロック機構21に作動エアを供給する。第二操作部55がオフとなるように操作されると、旋回ロック機構21は、ピストン25を後退させて待機位置へと戻す(図12参照)。ピストン25が第一受け部33の第一凹部46から抜けることにより、支持枠10(支持テーブル27,28)は旋回可能な状態となる。
【0073】
旋回工程S217では、支持枠10及び支持テーブル27,28を旋回させて第一姿勢から第二姿勢へと姿勢を変更させる。作業者によって旋回機構11の操作ハンドル48が操作されると、操作ハンドル48の回転動作が動力伝達部50を介して支持枠10の軸部49Aに伝わり、支持枠10は旋回を開始する。
【0074】
このとき、支持枠10の突起部26が第二支柱14A,14Bのストッパ部16から離れ、スイッチ18がオフとなる。これに応じて、制御部12は、第二操作部55及び旋回ロック機構21への作動エアの供給を遮断する。したがって、旋回工程S217では、第二操作部55及び旋回ロック機構21が動作不能となり、オフの状態(ピストン25が待機位置にある状態)が維持される。
【0075】
また、制御部12は、第一操作部54への作動エアの供給を遮断する。これにより、旋回工程S217では、第一操作部54が動作不能となり、テーブルロック機構30,31による支持テーブル27,28の固定及び固定機構32による第一積層体L1の固定(オンの状態)が維持される。
【0076】
図13及び図14に示すように、操作ハンドル48を時計回りに回転させることで、支持枠10は第一姿勢から第二姿勢となるように軸部49A,49Bを中心として時計回りに回転する。
【0077】
支持枠10は、突起部26が第三支柱15A,15Bのストッパ部20に接触するまで、旋回し続ける。支持枠10(各支持テーブル27,28)が第一姿勢から180°旋回すると、突起部26が第三支柱15A,15Bのストッパ部20に接触する(図15及び図16参照)。このとき、第二受け部34が旋回ロック機構21のピストン25と対向する位置に配される。
【0078】
図16に示すように、支持枠10が第二姿勢になると、第一支持テーブル27が上方に位置し、第二支持テーブル28が下方に位置した状態となる。このとき、固定機構32の押圧部45は、第一支持テーブル27の下方に位置する。押圧部45は、第一積層体L1の下面(第二被覆部材7)を下方から支持する。以上により旋回工程S217が終了する。
【0079】
旋回ロック工程S218では、旋回ロック機構21を作動させて支持枠10を旋回不能に固定(旋回ロック)する。上記のように、支持枠10の突起部26が第三支柱15A,15Bのストッパ部20に接触すると、スイッチ23がオンとなる。これにより、制御部12は、作動エアを第二操作部55及び旋回ロック機構21に供給する。
【0080】
作業者が第二操作部55をオンとなるように操作すると、旋回ロック機構21が作動し、待機位置にあるピストン25を進出させる。ピストン25が第二受け部34の第二凹部47に嵌合することで、支持枠10は、旋回不能に固定される(図17参照)。なお、制御部12は、第二操作部55がオンになるまで、第一操作部54に作動エアを供給しない。したがって、旋回ロック工程S218が終了しない限り、第一積層体L1及び支持テーブル27,28の固定状態が維持される。
【0081】
さらに、反転工程S2は、旋回ロック工程S218後に、テーブルロック機構30,31による支持テーブル27,28の固定解除、及び固定機構32による第一積層体L1の固定解除を行う固定解除工程S219と、第一積層体L1を支持する第二支持テーブル28を支持枠10から引き出す第二引出工程S220と、第二支持テーブル28から第一積層体L1を取り出す取出工程S221と、第二支持テーブル28を支持枠10に収容する第二収容工程S222と、を備える(図7参照)。
【0082】
固定解除工程S219では、制御部12によって第一操作部54に作動エアが供給される。作業者が第一操作部54をオフとなるように操作することで、テーブルロック機構30,31及び固定機構32が作動する。テーブルロック機構30,31は、ピストン42を後退させて待機位置へと戻す。このとき、テーブルロック機構30,31のスイッチ43はオフとなる。
【0083】
固定機構32は、ピストン44を作動させて押圧部45を待機位置へと戻す。第一積層体L1は、押圧部45に支持された状態で当該押圧部45と共に下降する。押圧部45は、第二支持テーブル28の第一開口部37を通過して第二支持テーブル28の下方に移動する。押圧部45は、支持していた第一積層体L1を第二支持テーブル28に載置し、当該第一積層体L1から離れる。これにより、第一積層体L1は、反転された状態で第一支持テーブル27から第二支持テーブル28へと移載される(図17参照)。
【0084】
第二引出工程S220では、第二支持テーブル28が作業者によって支持枠10から引き出され、第二の位置から第一の位置へと移動する。
【0085】
取出工程S221では、第一の位置に移動した第二支持テーブル28から、反転された第一積層体L1が取り出される。第二支持テーブル28から第一積層体L1を取り出す際、作業者は、第二支持テーブル28の第二開口部38に下から手を入れることで、当該第一積層体L1を容易に持ち上げることができる。取り出された第一積層体L1は、次の第二積層工程S3へと運ばれる。
【0086】
第二収容工程S222では、第一積層体L1が取り出された第二支持テーブル28を第一の位置から第二の位置へと移動させる。反転装置8は、この状態で、次回に行われる反転工程S2まで待機する。以上によって反転工程S2が終了する。反転工程S2は規定の着工数に達するまで繰り返し実行される。
【0087】
次回に行われる反転工程S2では、上記の例とは逆に、第二姿勢にある支持枠10に第一積層体L1を収容し、当該支持枠10を第一姿勢に変更することになる。
【0088】
具体的には、第二支持テーブル28に対して第一引出工程S211、載置工程S212、第一収容工程S213が実行される。その後、各支持テーブル27,28に対してテーブル固定工程S214が実行される。
【0089】
積層体固定工程S215では、第一積層体L1を固定する態様が上記の場合と異なる。すなわち、この積層体固定工程S215では、第二支持テーブル28の下方に位置する固定機構32の押圧部45が当該第二支持テーブル28の第一開口部37を通過して第一積層体L1の下面に接触する。
【0090】
このとき、押圧部45は、第二支持テーブル28から第一積層体L1を持ち上げる。押圧部45は、さらに上昇して第一積層体L1を上方に位置する第一支持テーブル27の支持面35に接触させる。このように、支持枠10及び各支持テーブル27,28を第二姿勢から第一姿勢する場合には、積層体固定工程S215において第一積層体L1が第二支持テーブル28から第一支持テーブル27へと移載される。また、積層体固定工程S215では、上方に位置する第一支持テーブル27の支持面35と、下方に位置する押圧部45とによって第一積層体L1を挟むことで、当該第一積層体L1を第一支持テーブル27に固定する。この固定状態は、図16に示す状態と同じになる(但し、支持枠10は旋回ロック機構21により旋回不能に固定されている状態である)。
【0091】
その後、旋回ロック解除工程S216、旋回工程S217が順に実行される。旋回工程S217では、旋回機構11の操作ハンドル48を反時計回りに回転させることで、支持枠10及び支持テーブル27,28を軸部49A,49Bを中心として反時計回りに回転(旋回)させる。
【0092】
支持枠10及び支持テーブル27,28が第二姿勢から180°旋回すると、突起部26が第二支柱14A,14Bのストッパ部16に接触する。これにより、反転装置8は、図11と同じ状態(第一姿勢)になる。その後、旋回ロック工程S218から第二収容工程S222までの各工程が順に実行される。
【0093】
次に、第二積層工程S3について説明する。図18に示すように、第二積層工程S3では、反転工程S2で反転された第一積層体L1が第二作業台56に載置される。具体的には、第一積層体L1は、第一被覆部材6が取り除かれた状態で第二作業台56に載置される。したがって、第一積層体L1は、その上層に位置する第一構成部材1が露出した状態となっている。
【0094】
第二積層工程S3では、この第一構成部材1に、追加の第五構成部材57が積層される。これにより、第一構成部材1乃至第五構成部材57による五層構造を有する第二積層体L2が形成される。第二積層体L2は、第二被覆部材7が取り除かれ、次の接合工程S4へと送られる。
【0095】
図19に示すように、接合工程S4では、例えばオートクレーブ法により、第二積層体L2の各構成部材1~4,57を接合する。本実施形態において、第一構成部材1は、第二構成部材2と第五構成部材57とを接着する接合層である。また、第三構成部材3は、第二構成部材2と第四構成部材4とを接着する接合層である。
【0096】
接合工程S4では、第二積層体L2を袋部材58に収容し、当該袋部材58をオートクレーブ内に収容する。その後、袋部材58に真空ポンプ59を接続し、オートクレーブによる加熱・加圧処理を行いながら、真空ポンプ59によって袋部材58の真空引きを行う。これにより、第二構成部材2と第五構成部材57とが第一構成部材1によって接合され、第二構成部材2と第四構成部材4とが第三構成部材3によって接合される。以上により、各構成部材1~4,57が接合一体化されてなる積層体が完成する。
【0097】
以上説明した本実施形態に係る積層体の製造方法及び反転装置8によれば、反転工程S2において支持テーブル27,28に第一積層体L1を固定し(積層体固定工程S215)、旋回機構11によって支持テーブル27,28を旋回させることで(旋回工程S217)、第一積層体L1の反転作業を効率良く行うことが可能になる。
【0098】
図20は、反転装置の第二実施形態を示す。本実施形態に係る反転装置8では、並設される各支持テーブル27,28を連結することにより、より大型の第一積層体L1を反転させることが可能である。
【0099】
反転装置8は、並設される二台の第一支持テーブル27を連結する第一連結部材60と、並設される二台の第二支持テーブル28を連結する第二連結部材61とを備える。
【0100】
各連結部材60,61は、長尺状の板部材により構成される。各連結部材60,61は、ボルト等の固定部材により、各支持テーブル27,28に着脱自在に固定される。本実施形態では、並設される各支持テーブル27,28は、連結部材60,61によって連結された状態で第一の位置と第二の位置とに移動できる。これにより、大型の第一積層体L1に対する反転工程S2を効率良く行うことができる。本実施形態におけるその他の構成は、第一実施形態の構成と同じである。本実施形態において第一実施形態と共通の構成要素には、共通の符号を付している。
【0101】
図21は、反転装置の第三実施形態を示す。本実施形態に係る反転装置8は、第一支持テーブル27に載置された第一積層体L1を固定する第一固定機構32Aと、第二支持テーブル28に載置された第一積層体L1を固定する第二固定機構32Bとを備える。各固定機構32A,32Bの構成は、第一実施形態に係る固定機構32の構成と同じである。
【0102】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0103】
上記の実施形態では、コンプレッサ及びエア回路を介して旋回ロック機構21、テーブルロック機構30,31及び固定機構32を駆動する反転装置8を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。反転装置8は、油圧ポンプによって各機構を駆動する油圧式のものであってもよい。また、反転装置8は、電動タイプの旋回ロック機構21、テーブルロック機構及び固定機構32を備え、電源によって駆動されるものであってもよい。
【0104】
上記の実施形態では、四層構造の第一積層体L1、及び五層構造の第二積層体L2を例示したが、各積層体L1,L2における層(構成部材)の数は、これに限定されない。
【0105】
上記の実施形態では、位置変更機構29としてスライドレール機構を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。位置変更機構29としては、ボールねじ機構、LMガイド(登録商標)等の各種送り機構又はアクチュエータを採用できる。
【符号の説明】
【0106】
1 第一構成部材
2 第二構成部材
3 第三構成部材
4 第四構成部材
8 反転装置
11 旋回機構
16 ストッパ部
20 ストッパ部
21 旋回ロック機構
27 第一支持テーブル
28 第二支持テーブル
29 位置変更機構
32 固定機構
37 第一開口部
38 第二開口部
57 第五構成部材
60 第一連結部材
61 第二連結部材
L1 第一積層体
L2 第二積層体
S1 第一積層工程
S2 反転工程
S3 第二積層工程
S4 接合工程

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21