(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6582 20110101AFI20220727BHJP
【FI】
H01R13/6582
(21)【出願番号】P 2018023719
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】細山田 剛
(72)【発明者】
【氏名】筒井 隆史
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0041257(US,A1)
【文献】特開平10-289760(JP,A)
【文献】登録実用新案第3104327(JP,U)
【文献】特開2001-155824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0087172(US,A1)
【文献】米国特許第9356404(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトと、前記コンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングに保持され、電磁波を遮蔽するとともに内側に前記コンタクトが配置されるシールド部材と、前記シールド部材を接地するための接地バネ部材と、を備え、
前記ハウジングは、前記シールド部材の外側に設けられる外側ハウジング、及び前記コンタクトを保持するとともに前記シールド部材の内側に設けられる内側ハウジングを有し、
前記外側ハウジングには、前記接地バネ部材が装着されるための部分である接地バネ装着部が設けられ、
前記接地バネ部材は、前記接地バネ装着部に装着された状態で、前記シールド部材と外部の接地部材とを電気的に接続するように構成され
、
前記接地バネ部材は、前記外側ハウジングに装着される板状の部分を有する本体部と、当該本体部に対して一体に設けられ、外部の前記接地部材に対して接触する板バネ部と、を有し、
前記本体部は、前記シールド部材に接触し、
前記板バネ部は、一端側が前記本体部と一体に設けられるとともに他端側の先端に向かうに従って前記本体部と離間して前記本体部に対して斜めに延びるように設けられることで、前記外側ハウジングの外部へ突出して延びるように設けられており、
前記外側ハウジングの外部へ突出して延びた前記板バネ部が、外部の前記接地部材に対して接触することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
請求項
1に記載の電気コネクタであって、
前記接地バネ装着部には、前記本体部が圧入される圧入溝が設けられていることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2に記載の電気コネクタであって、
前記本体部は、前記板状の部分として構成される板状部と、前記板状部から片持ち状に延びるとともに前記シールド部材に接触する接触バネ部と、を有していることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項4】
請求項1に記載の電気コネクタであって、
前記外側ハウジングは、前記本体部を支持する平坦な面が設けられた支持部を有することを特徴とする、電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用電子機器の映像通信においては、高速での伝送に適した差動伝送の方式が用いられている。そして、差動伝送に使用されるケーブルとして、例えば、シールドツイストペアケーブルが使用されている。しかし、近年、ケーブルの重量及びコストを削減する観点から、同軸ケーブルが着目されている。
【0003】
同軸ケーブルは、映像通信において、高い耐ノイズ性能が要求されるため、外部の接地部材に接地させる必要がある。例えば、特許文献1及び特許文献2においては、外部の接地部材に対して接地するための機能を備える電気コネクタが開示されている。尚、同軸ケーブル用の電気コネクタに限らず、高い耐ノイズ性能が要求される場合には、電気コネクタには、外部の接地部材に対して接地するための機能を有していることが望ましい。
【0004】
特許文献1では、コンタクトと、内部ハウジングと、内部シールドケースと、外部ハウジングと、外部シールドケースと、外部シールドケースに設けられている弾性切片と、を備える電気コネクタが開示されている。内部ハウジングは、絶縁性の樹脂材料で構成されており、複数のコンタクトを内部に保持している。内部シールドケースは、内部ハウジングの外周面を被覆しており、外部シールドケースに接続されている。外部ハウジングは、絶縁性の樹脂材料で構成されており、内部シールドケースの外周面に配置されている。外部シールドケースは、外部ハウジングを覆っている。そして、外部シールドケースの上面には、外部の接地部材と接続するための弾性切片が設けられている。
【0005】
特許文献2では、信号端子と、ハウジングと、上段グランド端子と、下段グランド端子と、シェルと、シェルの上面に形成されるシェル側グランド接続部と、を備える電気コネクタが開示されている。ハウジングは、絶縁性の樹脂材料で構成されており、信号端子を保持している。上段グランド端子は、金属製の導電部材であって、信号端子の上方においてハウジングに保持されている。また、上段グランド端子は、シェルに接触するための接触部を有している。下段グランド端子は、上段グランド端子に対向するように、信号端子の下方においてハウジングに保持されている。また、下段グランド端子は、基板に接地されている。シェルは、金属製の導電部材であって、ハウジングを覆っている。そして、シェル側グランド接続部は、切り起こして形成されており、外部の接地部材と接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4476311号公報
【文献】特開2016-207411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている電気コネクタは、弾性切片を形成するために、外部シールドケースの上面が切り欠かれた状態となっている。即ち、外部シールドケースには空間が形成され、十分なシールド性能が確保できない。そこで、外部シールドケースに加えて、内部シールドケースを設けることで、シールド性能の低下を防いでいる。
【0008】
また、特許文献2に開示されている電気コネクタにおいても、シェル側グランド接続部を形成するために、シェルの上面の一部が切り起こされている。そのため、シェルには空間が形成され、十分なシールド性能が確保できない。そこで、シェルの内部に、上段グランド端子及び下段グランド端子を設け、シールド性能の低下を防いでいる。
【0009】
しかしながら、これらの電気コネクタでは、切り起こしによって形成された空間を塞ぐために、電磁波を遮蔽するための部材が複数内部に設けられている。また、これらの複数の部材は、電磁波を遮蔽するためにその部材同士を接地させてグランドラインを形成させる必要があるため、構造が複雑化している。また、これらの複数の部材を有することで、電気コネクタを小型化することが困難であるという問題がある。
【0010】
また、電気コネクタにおいて、高い耐ノイズ性能が要求される場合、上述のように、外部の接地部材に接地するための機能である接地機能が必要となる。一方、接地機能を発揮できるように構成された電気コネクタであっても、高い耐ノイズ性能が要求されることなく接地機能が不要な場合にも容易に使用できるように構成されることで、電気コネクタとしての汎用性及び利便性を向上させることができる。よって、必要に応じて接地機能の有無を選択できるように構成された電気コネクタの実現が望まれる。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、シールド性能を低下させることなく、必要に応じて接地機能の有無を選択できるとともに構造の簡素化及び小型化が可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る電気コネクタは、コンタクトと、前記コンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングに保持され、電磁波を遮蔽するとともに内側に前記コンタクトが配置されるシールド部材と、前記シールド部材を接地するための接地バネ部材と、を備え、前記ハウジングには、前記接地バネ部材が装着されるための部分である接地バネ装着部が設けられ、前記接地バネ部材は、前記接地バネ装着部に装着された状態で、前記シールド部材と外部の接地部材とを電気的に接続するように構成されている。
【0013】
この構成によると、電気コネクタにおいては、接地バネ装着部がハウジングに設けられており、接地バネ装着部に装着された接地バネ部材は、シールド部材と外部の接地部材とを電気的に接続することができる。即ち、シールド部材は、別体の接地バネ部材が装着されていないときは外部の接地部材に接地されないのに対し、別体の接地バネ部材が装着されているときは外部の接地部材に接地される。従って、接地バネ部材が装着されずに接地機能を有しない電気コネクタとするか、接地バネ部材が装着され接地機能を有する電気コネクタとするかについて、必要に応じて選択することができる。また、接地バネ部材を取り付ける工程以外においては、必要とされる製造設備等を共用できるため、製造コストの削減を図ることができる。
【0014】
また、接地バネ部材は、別体とされるため、シールド部材を切り起こして接地するための部材を設ける必要がなく、シールド部材に電磁波が侵入できる空間が形成されることもない。よって、コンタクトの周りを囲む領域には電磁波が侵入する隙間がない状態となり、シールド部材の内部に侵入する電磁波が、より確実に遮蔽される。これにより、電気コネクタのシールド性能の低下を防ぐことができる。
【0015】
更に、シールド部材は、上述の通り電磁波が侵入する空間が形成されないため、空間を塞ぐための機構を必要としない。即ち、シールド部材を複数設ける必要もなく、電気コネクタの構造を簡素化することが可能である。そして、電気コネクタをより小型化することが可能となる。
【0016】
従って、上記の構成によると、シールド性能を低下させることなく、必要に応じて接地機能の有無を選択できるとともに構造の簡素化及び小型化が可能な電気コネクタを提供することができる。
【0017】
(2)前記接地バネ部材は、前記ハウジングに装着される板状の部分を有する本体部と、当該本体部に対して一体に設けられ、外部の前記接地部材に対して接触する板バネ部と、を有し、前記本体部は、前記シールド部材に接触してもよい。
【0018】
この構成によると、電気コネクタにおいては、接地バネ部材は、ハウジングに装着された際に外部の接地部材と接触するとともに本体部に一体化された板バネ部を有している。このため、接地バネ部材が外部の接地部材に接続された状態で電気コネクタが使用されている際には、接地バネ部材の板バネ部と外部の接地部材とは、板バネ部の弾性力によって接触している。これにより、電気コネクタ及び外部の接地部材において振動が発生しても、接地している状態を安定して維持することができる。そして、上記の構成によると、振動発生時も接地している状態を安定して維持することができる接地バネ部材の構造を、本体部に板バネ部を一体に設けた簡素な構造で実現することができる。
【0019】
(3)前記接地バネ装着部には、前記本体部が圧入される圧入溝が設けられていてもよい。
【0020】
この構成によると、電気コネクタにおいては、本体部は、圧入溝に圧入される構成となっている。そのため、接地バネ部材がハウジングに設けられた接地バネ装着部に装着される際においては、装着作業を行う作業者は、接地バネ装着部に対して接地バネ部材を単に押し込むだけでよく、容易に接地バネ部材を装着することができる。また、接地バネ部材は、圧入されることによって接地バネ装着部に確実に保持されるため、振動等が原因で外れてしまうことも防止できる。
【0021】
(4)前記本体部は、前記板状の部分として構成される板状部と、前記板状部から片持ち状に延びるとともに前記シールド部材に接触する接触バネ部と、を有していてもよい。
【0022】
この構成によると、接地バネ部材の本体部において、板状部から片持ち状に延びるとともにシールド部材に接触する接触バネ部が設けられている。このため、接地バネ部材は、接触バネ部のバネ力によってシールド部材に押し付けられた状態となり、シールド部材に接触した状態を安定して維持することができる。また、上記の構成によると、シールド部材に接触した状態を安定して維持することができる接地バネ部材の構造を、本体部において板状部から片持ち状に延びる部分を設けた簡素な構造で実現することができる。
【0023】
(5)前記ハウジングは、前記本体部を支持する平坦な面が設けられた支持部を有していてもよい。
【0024】
この構成によると、接地バネ部材の本体部は、ハウジングに設けられた支持部の平坦な面によって支持される。これにより、本体部は、面接触によってハウジングに対して安定した状態で確実に支持される。そして、面接触によって安定して支持された本体部は、振動等の外力の影響を受けにくくなり、外部の接地部材及びシールド部材と安定して接地している状態を容易に維持することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、シールド性能を低下させることなく、必要に応じて接地機能の有無を選択できるとともに構造の簡素化及び小型化が可能な電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電気コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気コネクタを後ろ側から視た状態で示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す電気コネクタを分解した状態で示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す電気コネクタの正面図であって、
図4(A)は、外部の接地部材に接地する前の状態を示し、
図4(B)は、外部の接地部材に接地している状態を示す図である。
【
図6】
図5に示す電気コネクタのA-A線矢視位置における断面を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す電気コネクタの断面図であって、接地バネ部材が装着される前の状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る電気コネクタを示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す電気コネクタの高さ方向に沿った断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
(第1実施形態)
[電気コネクタの概略]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタ1を示す斜視図であって、これと接続される相手方コネクタ100とともに示す図である。また、
図1は、電気コネクタ1と相手方コネクタ100との接続前の状態を示している。
図2は、電気コネクタ1を後ろ側から視た状態で示す斜視図である。
図3は、電気コネクタ1を分解した状態で示す斜視図である。
【0029】
尚、
図1、
図2、及び
図3並びに後述の各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後ろ側又は後方と称する。尚、電気コネクタ1における上下方向が、電気コネクタ1の高さ方向であり、電気コネクタ1における左右方向が、電気コネクタ1の幅方向である。また、本実施形態においては、相手方コネクタ100が電気コネクタ1に対して嵌合する際の方向(嵌合方向)は、電気コネクタ1の前側から後ろ側に向かう方向となる。そして、相手方コネクタ100が電気コネクタ1から抜去される際の方向(抜去方向)は、電気コネクタ1の後ろ側から前側に向かう方向となる。
【0030】
図1に示す電気コネクタ1は、いわゆるサイドタイプのコネクタであり、下方において基板と接続され、前方において、相手方コネクタ100を介して電気ケーブル101に接続される。尚、図面における基板の図示は省略されている。電気コネクタ1は、コンタクト2と、コンタクト2を保持するハウジング5と、ハウジング5に保持され、電磁波を遮蔽するとともに内側にコンタクト2が配置されるシールド部材3と、シールド部材3を接地するための接地バネ部材4と、を備える。
【0031】
電気コネクタ1は、下側が基板に接続され、前側において相手方コネクタ100と接続され、上側において外部の接地部材110に接地される。尚、
図4は、電気コネクタ1の正面図であって、
図4(A)は、外部の接地部材110に接地する前の状態を示し、
図4(B)は、外部の接地部材110に接地している状態を示す図である。外部の接地部材110は、図示が省略された筐体の一部として設けられている。接地部材110が設けられる筐体は、例えば、基板に取り付けられ、基板に接続される電気コネクタ1を含む基板上の部品を内側に収容する収容ケースとして設けられている。尚、
図4では、筐体に設けられた接地部材110の一部が図示されている。電気コネクタ1が電気的及び機械的に接続された基板に対して筐体が取り付けられることで、筐体に設けられた接地部材110が、電気コネクタ1のハウジング5の上側に装着された接地バネ部材4に対して接触するように配置される。また、基板に接続された電気コネクタ1に対して、相手方コネクタ100が接続される。
【0032】
尚、相手方コネクタ100は、例えば同軸ケーブルとして構成された電気ケーブル101と接続される。そして、相手方コネクタ100は、相手方シールド部材102と、相手方ハウジング103と、相手方コンタクトとを有している。尚、相手方コンタクトは、図面には表れていない。電気ケーブル101は、導体とその周囲を覆う絶縁被覆とを備えて構成されている。尚、電気ケーブル101は、同軸ケーブルとして構成される場合は、内部導体、内部導体の周囲の絶縁体、絶縁体の周囲の外部導体、及び、外部導体の周囲の絶縁被覆を備えて構成される。相手方シールド部材102は、金属製の導電部材で構成されており外部からの電磁波を遮蔽している。相手方ハウジング103は、絶縁性の樹脂材料で構成されており、一端側に相手方シールド部材102が設けられている。そして、相手方ハウジング103は、他端側において電気ケーブル101が接続されるように構成されている。相手方コンタクトは、相手方シールド部材102の内側に設けられており、電気コネクタ1のコンタクト2と嵌合により接続されるように構成されている。尚、相手方シールド部材102は、後述するシールド部材3の係合孔部34に係合する係合突部102aと、後述するシールド部材3の弾性接触片35の弾性力を受けて接触する壁面部102bと、を有している。
【0033】
[コンタクト]
図5は、電気コネクタ1の正面図(前面図)である。
図6は、
図5に示す電気コネクタ1のA-A線矢視位置における断面を示す断面図である。
図7は、
図6に示す電気コネクタ1の断面図であって、接地バネ部材4が装着される前の状態を示す図である。
【0034】
図3乃至
図7に示すコンタクト2は、平板状の金属製の導電部材で構成されており、コンタクト本体部20と、接点部21と、屈曲部22と、延長部23と、基板接続部24と、を有している。
【0035】
本実施形態に係るコンタクト本体部20は、左右方向に膨らんだ部分を有する形状に形成されており、後述する内側ハウジング51にインサート成形によって取り付けられている。接点部21は、コンタクト本体部20の前側に設けられており、シールド部材3の長手方向に沿って前後方向に延びている。
【0036】
屈曲部22は、コンタクト本体部20の後ろ側において、下側に向かって屈曲して延びている。延長部23は、屈曲部22から下側に延びている。基板接続部24は、延長部23の下端において、後ろ側に向かって屈曲しており、電気コネクタ1が基板に接続された状態において基板に対して略平行に延びるように設けられている。基板接続部24は、はんだ付けによって電気的及び機械的に基板に対して接続されるように構成されている。尚、本実施形態に係るコンタクト2は、平板状のピンで構成されているが、その他の形状であってもよく、例えば筒状のものあってもよい。
【0037】
[シールド部材]
図2乃至
図7に示すシールド部材3は、平板状の金属製の導電部材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工等が施されることによって形成されている。シールド部材3は、コンタクト2の周りを囲むように形成されており、外部からの電磁波を遮蔽することができるように構成されている。即ち、シールド部材3は、外部から内部への電磁波の侵入を防ぐことができ、シールド部材3の内側に配置されたコンタクト2は、電磁波の影響を受けない状態となっている。また、シールド部材3は、ハウジング5に保持されている。シールド部材3は、相手方コネクタ100において電磁波を遮蔽する相手方シールド部材102を、当該シールド部材3の内側に挿入可能に構成されている。
【0038】
シールド部材3は、コンタクト2の上側を覆う上壁部30と、右側を覆う右壁部31と、左側を覆う左壁部32と、後ろ側を覆う後壁部33と、を有している。なお、シールド部材3の前側及び下側は開放されている。
【0039】
上壁部30は、右側端部において右壁部31と一体に形成されており、左側端部において左壁部32と一体に形成されている。また、上壁部30は、後ろ側において後壁部33と一体に形成されている。上壁部30は、前側において、相手方シールド部材102の係合突部102aと係合する係合孔部34を有しており、相手方シールド部材102と係合可能に構成されている。更に、上壁部30は、前後方向の中央部よりも前方寄りの位置において、一対の片持ち状の弾性接触片35を有している
【0040】
右壁部31は、下側の端部において外方に向けて湾曲し、電気コネクタ1が基板に接続された状態で基板に対して略平行に延びる右壁下部36を有している。また、右壁部31は、下側の前方寄りの部分において外方に向けて湾曲し、右方に延びる右壁前部37を有している。右壁部31は、略中央部において相手方シールド部材102の壁面部102bに接触する片持ち状の弾性接触片35を有している。尚、右壁部31は、後ろ側において、後述する内側ハウジング51の固定具61が挿入される固定孔38が設けられている。
【0041】
左壁部32は、右壁部31と同様に、下側の端部において外方に向けて湾曲し、電気コネクタ1が基板に接続された状態で基板に対して略平行に延びる左壁下部36を有している。また、左壁部32は、下側の前方寄りの部分において外方に向けて湾曲し、左方に延びる左壁前部37を有している。尚、左壁部32は図示が省略されている。また、左壁部32は、略中央部において相手方シールド部材102の壁面部102bに接触する片持ち状の弾性接触片35を有している。
【0042】
後壁部33は、コンタクト2の後ろ側を囲むように設けられている。また、後壁部33の左右方向の両端部は、前側に屈曲して形成されており、右壁部31及び左壁部32の後ろ側を覆っている。即ち、曲げ加工前の後壁部33における左右方向の寸法は、曲げ加工後のシールド部材3の右壁部31と左壁部32との間隔よりも大きいものとされている。そして、曲げ加工後の後壁部33は、両端部が、右壁部31及び左壁部32の後ろ側に重なるように、前方に屈曲して形成されている。
【0043】
[接地バネ部材]
図1乃至
図7に示す接地バネ部材4は、後述する接地バネ装着部53に装着された状態で、シールド部材3と外部の接地部材110とを電気的に接続するように構成されている。接地バネ部材4は、平板状の金属製の導電部材を曲げ加工することで形成されている。接地バネ部材4は、ハウジング5に装着される板状の部分を有する本体部40と、本体部40に対して一体に設けられ、外部の接地部材110に対して接触する板バネ部41と、を有している。なお、接地バネ部材4は、シールド部材3と別体であるため、シールド部材3とは別の材料を使用することができる。
【0044】
図3、
図6及び
図7に示す接地バネ部材4の本体部40は、略平板状に形成されており、シールド部材3に接触する。本体部40は、左右の端面において、ハウジング5に圧入された際にハウジングと係合する係合突起42がそれぞれ設けられている。また、本体部40は、ハウジング5に装着される板状の部分として構成される板状部43と、板状部43から片持ち状に延びるとともにシールド部材3に接触する接触バネ部44と、を有している。
【0045】
図1乃至
図7に示す板バネ部41は、一端側が本体部40と一体に形成されており、先端に向かうに従って本体部40と離間するように斜め上方に延びている。板バネ部41は、前後方向の略中央部から先端側において、基端側に比べて幅が狭くなっている。板バネ部41の先端部分は、本体部40側に向かって曲げ加工されている。
【0046】
また、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、本実施形態に係る電気コネクタ1は、板バネ部41に向かって外部の接地部材110が上方から近接して接地される。板バネ部41と外部の接地部材110とが接地した状態では、板バネ部41は、その弾性力によって外部の接地部材110に接触している。これにより、電気コネクタ1及び外部の接地部材110において振動が発生しても、接地している状態を安定して維持することができる。
【0047】
図3に示す係合突起42は、本体部40の左右の端面における略中央部にそれぞれ設けられている。本体部40の係合突起42は、本体部40が後述するハウジング5の圧入溝59に圧入されることで、圧入溝59に設けられた係合溝(図示省略)に係合される。そして、圧入によりハウジング5に固定された接地バネ部材4は、シールド部材3の上側及びハウジング5の上側に配置される。ハウジング5に固定された接地バネ部材4は、接地バネ部材4の本体部40が、シールド部材3の上壁部30と略平行になるように上壁部30の上側にハウジング5を隔てて配置される。
【0048】
図2、
図3、
図6及び
図7に示す接触バネ部44は、本体部40の後ろ側における左右方向の略中央部に切り込み処理が施されることで片持ち状に形成されている。接触バネ部44は、根元において、シールド部材3側に向かって曲げ加工されており、先端部分は、シールド部材3の逆側に曲げ加工されている。このため、外部の接地部材110に接地可能な接地バネ部材4は、ハウジング5に装着されている状態において、シールド部材3に対して接続される。即ち、シールド部材3は、切り込み処理を施す必要がなく、接地バネ部材4を介して外部の接地部材110と接続できるため、シールド部材3に空間が形成されることもない。尚、以下の説明において、ハウジング5に接地バネ部材4が装着され、接地バネ部材4がシールド部材3と接続している状態の時については、接地バネ部材4の装着時と称する。
【0049】
[ハウジング]
図1乃至
図7に示すハウジング5は、シールド部材3の外側に設けられる外側ハウジング50と、コンタクト2を保持するとともにシールド部材3の内側に設けられる内側ハウジング51と、を備えて構成されている。
【0050】
ハウジング5における外側ハウジング50には、シールド部材3を収容する外側ハウジング本体部52と、接地バネ部材4が装着されるための部分である接地バネ装着部53とが設けられている。
【0051】
外側ハウジング本体部52は、上側において設けられている第1壁部54と、右側において設けられている第2壁部55と、左側において設けられている第3壁部56と、下側において設けられている第4壁部57と、を備えている。ハウジング本体部52は、シールド部材3を覆うように構成されている。
【0052】
第1壁部54には、接地バネ部材3の接触バネ44が配置される開口部が後ろ側に形成されている。第2壁部55には、シールド部材3の右壁下部36及び右壁前部37が配置される切り欠き領域58が下側において形成されている。第3壁部56には、第2壁部55と同様に、シールド部材3の左壁下部36及び左壁前部37が配置される切り欠き領域58が下側において形成されている。第4壁部57は、前側の左右端部において第2壁部55及び第3壁部56と一体に形成されており、後ろ側においてシールド部材3の下側を塞ぐように前後方向に延びている。
【0053】
接地バネ装着部53は、ハウジング5の第1壁部54の上側の左右両端において上方に対を成して突出するようにそれぞれ設けられており、向かい合う内側の面において、対向する一対の圧入溝59を有している。即ち、一対の接地バネ装着部53のそれぞれに、圧入溝59が設けられている。そして、この構成により、接地バネ装着部53を含むハウジング5は、接地バネ部材4の本体部40が圧入される圧入溝59が設けられた構成となっている。尚、接地バネ部材4の本体部40は、圧入溝59に圧入によって固定される。
【0054】
圧入溝59は、一対の対向する接地バネ装着部53同士の内側の下方において設けられている。本実施形態に係る圧入溝59は、板状の本体部40の左右端部の形状に対応して形成されている。圧入溝59は、圧入溝59に圧入された板状の本体部40がシールド部材3と平行に配置されるように形成されている。また、圧入溝59は、後ろ側において開口しているため、接地バネ部材4を後ろ側から抜き差し可能であり、前側において閉塞しているため、所定の位置で接地バネ部材4を固定できる。尚、圧入溝59は、前側が閉塞しておらず、前側及び後ろ側のいずれからでも抜き差しが可能な形態であってもよい。
【0055】
圧入溝59の深さは、接地バネ部材4の左右方向の寸法に対応しており、一定の深さで形成されている。そのため、接地バネ部材4は、接地バネ部材4が圧入溝59に対して挿入される方向が
図6及び
図7に示す方向とは逆向きに設定されて、圧入溝59に挿入されるように構成されてもよい。尚、この場合、第1壁部54に設けられて接地バネ部材3の接触バネ44が配置される開口部が、より大きく形成される必要がある。
【0056】
また、外側ハウジング50は、圧入溝59を有する接地バネ装着部53が左右両端に設けられているとともに平坦な面を有する第1壁部54の一部として構成された支持部60を有している。そして、第1壁部54の一部として構成された支持部60には、接地バネ部材4の本体部40を支持する平坦な面が設けられている。よって、本実施形態では、ハウジング5は、本体部40を支持する平坦な面が設けられた支持部60を有している。尚、本体部40は、支持部60における平坦な面に対して面接触した状態で、支持部60に支持されている。
【0057】
内側ハウジング51は、電気コネクタ1においてコンタクト2を保持するとともにシールド部材3の内側の後方において設けられている。内部ハウジング51は、シールド部材3に固定するための固定部61を側面において有している。本実施形態に係るハウジング5は、外側ハウジング50及び内側ハウジング51の2部品で構成されているが、1部品で構成されるハウジング5の形態が実施されてもよい。
【0058】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、電気コネクタ1において、接地バネ装着部53がハウジング5に設けられており、接地バネ装着部53に装着された接地バネ部材4は、シールド部材3と外部の接地部材110とを電気的に接続することができる。即ち、シールド部材3は、別体の接地バネ部材4が装着されていないときは外部の接地部材110に接地されないのに対し、別体の接地バネ部材110が装着されているときは外部の接地部材110に接地される。従って、接地バネ部材4が装着されずに接地機能を有しない電気コネクタ1とするか、接地バネ部材4が装着され接地機能を有する電気コネクタ1とするかについて、必要に応じて選択することができる。また、接地バネ部材4を取り付ける工程以外においては、必要とされる製造設備等を共用できるため、製造コストの削減を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態によると、接地バネ部材4が別体とされるため、シールド部材を切り起こして接地するための部材を設ける必要がなく、シールド部材3に、電磁波が侵入できる空間が形成されることもない。よって、コンタクト2の周りを囲む領域には電磁波が侵入する隙間がない状態となり、シールド部材3の内部に侵入する電磁波が、より確実に遮蔽される。これにより、電気コネクタ1のシールド性能の低下を防ぐことができる。
【0060】
更に、本実施形態によると、シールド部材3は、上述の通り電磁波が侵入する空間が形成されないため、空間を塞ぐための機構を必要としない。即ち、シールド部材3を複数設ける必要もなく、電気コネクタ1の構造を簡素化することが可能である。そして、電気コネクタ1を、より小型化することが可能となる。
【0061】
従って、本実施形態によると、シールド性能を低下させることなく、必要に応じて接地機能の有無を選択できるとともに構造の簡素化及び小型化が可能な電気コネクタ1を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態によると、電気コネクタ1においては、接地バネ部材4は、ハウジング5に装着された際に外部の接地部材110と接触するとともに本体部40に一体化された板バネ部41を有している。このため、接地バネ部材4が外部の接地部材110に接続された状態で電気コネクタ1が使用されている際には、接地バネ部材4の板バネ部41と外部の接地部材110とは、板バネ部41の弾性力によって接触している。これにより、電気コネクタ1及び外部の接地部材110において振動が発生しても、接地している状態を安定して維持することができる。そして、本実施形態によると、振動発生時も接地している状態を安定して維持することができる接地バネ部材4の構造を、本体部40に板バネ部41を一体に設けた簡素な構造で実現することができる。
【0063】
また、本実施形態によると、電気コネクタ1においては、本体部40は、圧入溝59に圧入される構成となっている。そのため、接地バネ部材4がハウジング5に設けられた接地バネ装着部53に装着される際においては、装着作業を行う作業者は、接地バネ装着部53に対して接地バネ部材4を単に押し込むだけでよく、容易に接地バネ部材4を装着することができる。また、接地バネ部材4は、圧入されることによって接地バネ装着部53に確実に保持されるため、振動等が原因で外れてしまうことも防止できる。
【0064】
また、本実施形態によると、接地バネ部材4の本体部40において、板状部43から片持ち状に延びるとともにシールド部材3に接触する接触バネ部44が設けられている。このため、接地バネ部材4は、接触バネ部44のバネ力によってシールド部材3に押し付けられた状態となり、シールド部材3に接触した状態を安定して維持することができる。また、本実施形態によると、シールド部材3に接触した状態を安定して維持することができる接地バネ部材4の構造を、本体部40において板状部43から片持ち状に延びる部分を設けた簡素な構造で実現することができる。
【0065】
また、本実施形態によると、電気コネクタ1においては、接地バネ部材4の本体部40は、ハウジング5に設けられた支持部60の平坦な面によって支持される。これにより、本体部40は、面接触によってハウジング5に対して安定した状態で確実に支持される。そして、面接触によって安定して支持された本体部40は、振動等の外力の影響を受けにくくなり、外部の接地部材110及びシールド部材3と安定して接地している状態を容易に維持できる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述の第1実施形態においては、左右方向に嵌合するいわゆるサイドタイプの電気コネクタ1について例示したが、本実施形態においては、上下方向に嵌合するいわゆるトップタイプの電気コネクタ1Aについて説明する。尚、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様の構成については図面において同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
本実施形態において、図示が省略された相手方コネクタが電気コネクタ1Aに対して嵌合する際の方向(嵌合方向)は、電気コネクタ1Aの上側から下側に向かう方向となる。そして、相手方コネクタが電気コネクタ1Aから抜去される際の方向(抜去方向)は、電気コネクタ1の下側から上側に向かう方向となる。
【0068】
まずは、電気コネクタ1Aの概略について説明する。
図8は、第2実施形態に係る電気コネクタ1Aを示す斜視図である。
図9は、第2実施形態に係る電気コネクタ1Aの高さ方向に沿った断面を示す断面図である。
【0069】
図8及び
図9に示す電気コネクタ1Aは、下方において基板(図示省略)と接続され、上方において、相手方コネクタを介して電気ケーブル(図示省略)に接続される。
【0070】
本実施形態に係る電気コネクタ1Aは、ハウジング5Aの右側及び左側において配置されているタブ7Aを介して基板に固定される。尚、図面には表れていないが、電気コネクタ1Aは、上側において相手方コネクタと接続される。
【0071】
図9に示すコンタクト2Aは、コンタクト本体部20Aと、接点部21Aと、屈曲部22Aと、延長部23Aと、基板接続部24Aと、を有している。
【0072】
本実施形態に係るコンタクト本体部20Aは、シールド部材3Aの内部において、後述する内側ハウジング部51Aに圧入されている。接点部21Aは、コンタクト本体部20Aの上側に設けられており、シールド部材3Aの中心軸と略平行に延びている。
【0073】
屈曲部22Aは、コンタクト本体部20Aの下端において、前側に屈曲している。延長部23Aは、屈曲部22Aから前側に延びている。基板接続部24Aは、延長部23Aから前方に延びており、且つ、電気コネクタ2Aが基板に接続された状態において基板に対して略平行に延びている。
【0074】
図8及び
図9に示すシールド部材3Aは、略角筒状に形成されている。シールド部材3Aは、相手方シールド部材と接触する片持ち状の弾性接触片35Aを有している。シールド部材3Aの下側においては、シールド部材3Aを基板に固定するための基板固定部39Aと、シールド部材3Aを基板に接地するための基板接地部(図示省略)が設けられている。
【0075】
シールド部材3Aの上側においては、相手方シールド部材の係合突部と係合する係合孔部34Aが設けられている。弾性接触片35Aは、シールド部材3Aにおいて切り込み処理が施されることで片持ち状に形成される。
【0076】
基板固定部39Aは、基板に対してはんだ付けによって電気的及び機械的に接続される。基板固定部39Aが基板に接続されることで、電気コネクタ1Aが基板に固定される。
【0077】
基板接地部は、シールド部材3Aから前方に延びており、且つ、電気コネクタ2Aが基板に接続された状態で基板に対して略平行に延びている。基板接地部は、基板と半田付けによって電気的に接続されている。
【0078】
図8乃至
図9に示す接地バネ部材4Aは、本体部40Aと、板バネ部41Aとを備えている。そして、本体部40には、接触バネ部44Aと、接地バネ部材4Aをハウジング5Aに係止するための係止部45Aとが、設けられている。
【0079】
接触バネ部44Aは、本体部40Aの略中央部に切り込み処理が施されることで片持ちの板状に形成されている。接触バネ部44Aは、本体部40Aの端部側から板バネ部41Aが本体部40Aと接続されている側に向かって延びるとともに、シールド部材3A側に傾斜している。即ち、接触バネ部44Aは、上側から下側に向かって延びるとともに、前側に傾斜している。また、接触バネ部44Aは、先端部分においてシールド部材の反対側に向かって曲げ加工されている。
【0080】
係止部45Aは、接触バネ部44Aに対して左右方向に隣接して設けられており、本体部40Aに切込み処理を施すことによって片持ち状に形成されている。係止部45Aは、本体部40Aの端部側から板バネ部41Aが本体部40Aと接続されている側に向かって延びている。即ち、係止部45Aは、上側から下側に向かって延びている。また、係止部45Aは、根元において、後ろ側に向かって曲げ加工されている。係止部45Aは、先端部分において、本体部40と平行になるように曲げ加工されている。
【0081】
図8及び
図9に示すハウジング5Aは、所定の厚みを有する略筒状の部分を含んで構成されている。また、ハウジング5Aは、後ろ側に接地バネ部材4Aが装着される接地バネ装着部53Aを有している。そして、ハウジング5Aは、右側及び左側に略平板状のタブ7Aを収容するためのタブ収容部62Aを有している。ハウジング5Aは、タブ収容部62Aに収容されたタブ7Aを介して、基板に固定される。
【0082】
ハウジング5Aは、シールド部材3Aの外部に配置される外側ハウジング部50Aを有している。また、ハウジング5Aは、シールド部材3Aの内部に配置される内側ハウジング部51Aを有している。更に、ハウジング5Aは、相手方コネクタと嵌合により接続される端部側において外側ハウジング部50A及び内側ハウジング部51Aを一体に連結する連結部63Aを有している。
【0083】
図8及び
図9に示す外側ハウジング部50Aは、上下方向に延びる略筒状に形成されており、より具体的には、略角筒状に形成されている。外側ハウジング部50Aは、第1壁部54Aと、第2壁部55Aと、第3壁部56Aと、第4壁部57Aとが設けられており、これらの壁部(54A、55A、56A、57A)が周方向に連続して一体化されて構成されている。
【0084】
第1壁部54Aは、外側ハウジング部50Aにおいて上側の部分に設けられている。第2壁部55Aは、外側ハウジング部50Aにおいて右側の部分に設けられている。第3壁部56Aは、外側ハウジング部50Aにおいて左側の部分に設けられている。第4壁部57Aは、外側ハウジング部50Aにおいて右側の部分に設けられている。尚、それぞれの壁部(54A、55A、56A、57A)は、ハウジング5Aにおける前側から第4壁部57A、第2壁部55A、第1壁部54A、第3壁部56Aの順番で周方向に連続して並んでいる。
【0085】
第1壁部54Aは所定の厚みを有する略板状の部分として形成されており、左右方向の中央部において下側に向かって開口する開口部64Aが設けられている。第1壁部54Aの下側において開口部64Aが形成されていることで、シールド部材3Aの後ろ側は、一部が外側ハウジング部50Aによって覆われない状態となっている。また、第1壁部54Aは、連結部63Aを介して内側ハウジング部51Aと一体に連結されている。第2壁部55A、第3壁部56A、及び第4壁部57Aは、それぞれ、所定の厚みを有して上下方向に延びる略板状の部分として構成されている。
【0086】
図8及び
図9に示す連結部63Aは、ハウジング5Aの上側、且つ後ろ側において配置されており、第1壁部54Aと内側ハウジング部51Aとを、一体に連結している。
【0087】
接地バネ装着部53Aは、第1壁部54Aの後ろ側において、開口部64Aを覆うように設けられている。また、接地バネ装着部53Aは、振動等によって接地バネ部材4Aが下方に抜けないように、接地バネ部材4Aの係止部45Aが係止される被係止部65Aを有している。被係止部65Aは、接地バネ装着部53Aの下側であって、電気コネクタ1Aに相手方コネクタが接続された状態において、本体部40Aと対向する面に設けられている。より具体的には、被係止部65Aは、接地バネ装着部53Aの内側における本体部40Aに対向する側の面において、上下方向に延びる溝の端部として構成されている。
【0088】
上述したように、ハウジング5Aに対して接地バネ部材4Aを確実に係止させることで、板バネ部41Aが上方から大きな負荷を受けても、接地バネ部材4Aは確実に保持され、安定した接地が実現できる。
【0089】
本実施形態においても、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、本実施形態によると、シールド性能を低下させることなく、必要に応じて接地機能の有無を選択できるとともに構造の簡素化及び小型化が可能な電気コネクタ1Aを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、外部の接地部材に接地するための接地機能を有する電気コネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 電気コネクタ
2 コンタクト
3 シールド部材
4 接地バネ部材
40 本体部
41 板バネ部
44 接触バネ部
5 ハウジング
59 圧入溝
60 支持部
110 外部の接地部材