(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】油性クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20220727BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20220727BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220727BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220727BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220727BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2018091607
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2020-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】596024921
【氏名又は名称】株式会社ハーベス
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横塚 暁人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 沙耶香
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-005213(JP,A)
【文献】特開2009-249324(JP,A)
【文献】特開2009-035498(JP,A)
【文献】特開2012-214406(JP,A)
【文献】特開2016-044180(JP,A)
【文献】特開2014-152108(JP,A)
【文献】勝間田祐貴、他,クレンジングに付加価値を与える機能性エステル,FRAGRANCE JOURNAL,2016年07月,page.51-56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分
(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤
を6~11質量%、
(a-2)HLB値が13以上の非イオン性界面活性剤
を13~25質量%、
(b)炭化水素油
を10~30質量%、
(c)エステル油
を1~50質量%
並びに
(d)25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質
として、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよびコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種以上を0.1~20質量
%
含み、
前記成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が0.2~0.8であることを特徴とする油性クレンジング化粧料。
【請求項2】
さらに以下の成分
(e)水3~10質量%および
(f)一価アルコール0.1~8質量%
を含む請求項1に記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項3】
さらに以下の成分
(a-3)HLB値が8~12の非イオン性界面活性剤0.01~10質量%を含む請求項1または請求項2に記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分(a-1)および成分(a-2)がいずれもポリグリセリン系界面活性剤である請求項1~請求項3のいずれかに記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項5】
前記成分(b)が、炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素から選ばれる一種以上である請求項1~請求項4のいずれかに記載の油性クレンジング化粧料
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウォータープルーフタイプのマスカラ等のメーキャップ化粧料や長時間効果が持続するサンケア化粧品等の、使用時に落ち難く化粧持ちの良い化粧料ないし化粧品が数多く上市されている。一方、これらの化粧料ないし化粧品は使用時に落ち難く化粧持ちが良いという特性を有するために、使用後に除去する際も除去し難いことから、種々のクレンジング化粧料が提案されるようになっている(例えば、特許文献1(特開2010-013382号公報)参照)。
【0003】
このような化粧料や化粧品を使用後に除去する場合、さっぱり感の点で好まれる水を主体とする洗浄料を適用して化粧料や化粧品をクレンジング(化粧落とし)しようとすると、何回もこすらなければならず使用者の手間が大きいばかりか皮膚への負担も大きかった。一方、洗浄力が最も高いオイルタイプ(油性)の洗浄料を適用して除去しようとすると、化粧料や化粧品のクレンジング後に水や湯を用いて洗い流す際にオイルが残留してしまい洗い流し性が低下してしまう。
【0004】
このような状況下、化粧持ちの良好なメーキャップ化粧料や長時間効果の持続するサンケア化粧品等であっても素早くクレンジングし得るとともに、係る化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯でのすすぎ時に洗い流しが容易な、さっぱりした使用感が得られるメーク落としやクレンジングオイル等の油性クレンジング化粧料が求められるようになっている。
【0005】
特に、近年、メーク落としの場所が洗面台等から浴室等の水場へ変化したことに伴って、水が付着した濡れた部位であっても素早く馴染み、高いクレンジング力(化粧持ちの良好なメーキャップ化粧料や長時間効果の持続するサンケア化粧品等であっても素早く化粧落としし得る能力)を発揮することができるとともに、化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な油性クレンジング化粧料が求められるようになっているが、このような油性クレンジング化粧料が提案されるには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況下、本発明は、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な油性クレンジング化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術課題を解決するために、本発明者等は、化粧料や化粧品のクレンジング力を向上させるために、水性-親油性バランス(HLB)の低い界面活性剤およびHLBの高い界面活性剤を併用することを着想した。
しかしながら、本発明者等が検討したところ、上記HLBの低い界面活性剤とHLBの高い界面活性剤を併用した油性クレンジング化粧料は、界面活性剤/水/油が共存する系におけるクレンジング力、すなわち水が付着した濡れた部位におけるクレンジング力や、化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流し性が必ずしも十分でないことが判明した。
【0009】
本発明者等の検討によれば、これは、界面活性剤/水/油の共存する系において、油性クレンジング化粧料に高いクレンジング力を発揮させ得る界面活性剤の配合比と、化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な界面活性剤の配合比とが異なるためと考えられ、両者を両立させることは困難であると考えられた。
【0010】
係る知見に基づいて本発明者等がさらに検討したところ、驚くべきことに、特定の組成を有する油性クレンジング化粧料、すなわち、以下の成分(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤6~11質量%、(a-2)HLB値が13以上の非イオン性界面活性剤13~25質量%、(b)炭化水素油10~30質量%、(c)エステル油1~71質量%および(d)25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質0.1~20質量%を含み、前記成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が0.1~0.8である油性クレンジング化粧料により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)以下の成分
(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤を6~11質量%、
(a-2)HLB値が13以上の非イオン性界面活性剤を13~25質量%、
(b)炭化水素油を10~30質量%
(c)エステル油を1~50質量%並びに
(d)25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質として、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよびコハク酸ジエトキシエチルから選択される1種以上を0.1~20質量%
含み、
前記成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が0.2~0.8であることを特徴とする油性クレンジング化粧料、
(2)さらに以下の成分
(e)水3~10質量%および
(f)一価アルコール0.1~8質量%
を含む上記(1)に記載の油性クレンジング化粧料、
(3)さらに以下の成分
(a-3)HLB値が8~12の非イオン性界面活性剤0.01~10質量%を含む上記(1)または(2)に記載の油性クレンジング化粧料、および
(4)前記成分(a-1)および成分(a-2)がいずれもポリグリセリン系界面活性剤である上記(1)~(3)のいずれかに記載の油性クレンジング化粧料、
(5)前記成分(b)が、炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素から選ばれる一種以上である上記(1)~(4)のいずれかに記載の油性クレンジング化粧料
を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な油性クレンジング化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例および比較例における評価結果を示す図である(
図1(a)が洗浄力評価後における実施例3および比較例2のメーク落としを用いた評価後の状態図であり、
図1(b)が耐水性評価後における実施例3および比較例2のメーク落としを用いた評価後の状態図である)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、
以下の成分
(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤6~11質量%、
(a-2)HLB値が13以上の非イオン性界面活性剤13~25質量%、
(b)炭化水素油10~30質量%、
(c)エステル油1~71質量%および
(d)25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質0.1~20質量%
を含み、
前記成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が0.1~0.8であることを特徴とするものである。
【0015】
<(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤>
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、(a-1)HLB値が4.5以下の常温で液状の非イオン性界面活性剤を含む。
【0016】
成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤は、常温で液状である。
本明細書において「常温」とは、25℃を意味する。
従って、常温で液状の非イオン性界面活性剤とは、25℃において、液体の状態の非イオン性界面活性剤である。
本発明において、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤の融点は25℃未満にあるものと考えられ、常温で液状であることによって、油性クレンジング化粧料に好適に用いることができる。
【0017】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤のHLBは、4.5以下で常温で液体であり、4.2以下であることが好ましく、3.8以下であることがさらに好ましい。成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤のHLBの下限は特に制限されないが、2.0以上であることが好ましい。
成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤のHLBが4.5以下であることにより、親油性が高くなり、油性の化粧料ないし化粧品に対する馴染み性を容易に向上させることができる。
【0018】
なお、本出願書類において、非イオン性界面活性剤のHLBは、下記式に基づいてグリフィン法により計算されたものを意味する。
HLB=20×(親水部分の分子量/全体の分子量)
【0019】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン系界面活性剤であることが好ましい。
成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤として、具体的には、例えば、モノイソステアリン酸グリセリド(HLB:4.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB:4.0)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB:4.3)、ラウロイルグルタミン酸POE(2)オクチルドデシルエーテルジエステル(HLB:4.0)、ジイソステアリン酸グリセリド、ジオレイン酸グリセリド、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、(ステアリン酸/リンゴ酸)グリセリド、又はイソステアリン酸POE(3)ソルビット、ペンタイソステアリン酸デカグリセリン(HLB:3.5)、デカオレイン酸デカグリセリン等から選ばれる一種以上を挙げることができ、ペンタイソステアリン酸デカグリセリンが好ましい。
【0020】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤の含有量は、6~11質量%であり、6.5~10質量%であることが好ましく、7~9質量%であることがより好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤の含有量が上記範囲内にあることにより、水が付着した濡れた部位であっても、化粧持ちの良好なメーキャップ化粧料等に素早く馴染み、優れたクレンジング効果を容易に発揮することができる。
成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤の含有量が6%未満であるとメーキャップ化粧料またはサンケア化粧品の除去効率が低下し易くなり、成分(a-1)に係る非イオン性界面活性剤の含有量が11%を超えると濡れた部位における洗浄力(耐水性)や洗い流し性が低下し易くなる。
【0021】
<(a-2)HLB値が13以上の非イオン界面活性剤>
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、(a-2)HLB値が13以上の非イオン性界面活性剤を含む。
【0022】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)の非イオン性界面活性剤のHLBは13以上であり、13.5以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましい。成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤のHLBの上限は特に制限されないが、18以下であることが好ましい。
成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤のHLBが13以上であることにより、親水性が高くなり、洗い流し性およびさっぱりとした使用感を容易に向上させることができる。
【0023】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン系界面活性剤であることが好ましい。
成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤として、具体的には、例えば、PEG-60水添ヒマシ油(HLB:14.0)、イソステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB:13.2)、イソステアリン酸PEG-60グリセリル(HLB:16.4)、ステアリン酸PEG-45(HLB:18.0)、ポリソルベート40(HLB:16.0)、トリイソステアリン酸 PEG-120 メチルグルコース(HLB:17.3)、PEG-30フィトステロール(HLB:18.0)、オレス-20(HLB:17.0)、ラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB:14.5)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0024】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤の含有量は、13~25質量%であり、15~20質量%であることが好ましく、16~19質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)に係る非イオン性界面活性剤の含有量が上記範囲内にあることにより、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮しつつ、クレンジング後における水や湯での洗い流し性を容易に向上させることができる。
【0025】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は、0.1~0.8であり、0.2~0.7であることが好ましく、0.4~0.6であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が上記範囲内にあることにより、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流し性を容易に向上させることができる。
【0027】
(b)炭化水素油
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、(b)炭化水素油を含む。
【0028】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(b)に係る炭化水素油としては、化粧料に使用し得るものであれば特に制限されないが、水添ポリイソブテン、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、スクワレン、炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素から選ばれる一種以上等を挙げることができ、炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素から選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(b)に係る炭化水素油の含有量は、10~30質量%であり、11~25質量%であることが好ましく、12~20質量%であることがより好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(b)に係る炭化水素油の含有量が上記範囲内にあることにより、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮しつつ、クレンジング後における水や湯での洗い流し性を容易に向上させることができる。
成分(b)に係る炭化水素油の含有量が10質量%未満であると、クレンジング力が低下し易くなり、30質量%を超えると洗い流し性が低下し易くなる。
【0030】
(c)エステル油
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、(c)エステル油を含む。
【0031】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(c)に係るエステル油としては、化粧料に使用し得るものであれば特に制限されないが、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテル、又は酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンイソセチルエーテル、ラウリン酸メチルヘプチル等から選ばれる一種以上を挙げることができる。成分(c)に係るエステル油としては、ラウリン酸メチルヘプチルが好ましい。
【0032】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(c)に係るエステル油の含有量は、1~71質量%であり、10~50質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがより好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(c)に係るエステル油の含有量が上記範囲内にあることにより、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮しつつ、クレンジング後における水や湯での洗い流し性を容易に向上させることができる。
成分(c)に係るエステル油の含有量が1質量%未満であると、クレンジング後における洗い流し性が低下し易くなり、71質量%を超えると他の成分の含有量が減少してクレンジング力が低下し易くなる。
【0033】
(d)油分及び水と相溶可能な両親媒性物質
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、(d)25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質を含む。
【0034】
本出願書類において、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質とは、25℃において、水100gへの溶解性が1g以上であり、かつトリエチルヘキサノイン100gへの溶解性が10g以上である物質を意味する(但し、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよびイソブタノールは除く)。
【0035】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(d)に係る油分及び水と相溶可能な両親媒性物質としては、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシブチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンジメチルエーテル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル及びコハク酸ジエトキシエチルからなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0036】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(d)に係る油分及び水と相溶可能な両親媒性物質として、具体的には、ポリオキシプロピレン(9モル)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(14モル)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(8モル)ポリオキシプロピレン(5モル)ポリオキシブチレン(3モル)グリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(2モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(7モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ジメチルエーテル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル等から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0037】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(d)に係る油分及び水と相溶可能な両親媒性物質の含有量は、1~20質量%であり、3~15質量%であることが好ましく、6~12質量%であることがより好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(d)に係る油分及び水と相溶可能な両親媒性物質の含有量が上記範囲内にあることにより、濡れた部位でも使用可能な耐水性と洗い流し易さの両立を容易に図ることができる。
【0038】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、さらに、成分(a-3)HLB値が8~12の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0039】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-3)に係る非イオン性界面活性剤のHLB値は8~12であり、8.5~11.5であることが好ましく、9~11であることがより好ましい。
成分(a-3)に係る非イオン性界面活性剤のHLBが上記範囲内にあることにより、温度安定性を容易に向上させることができる。
【0040】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-3)に係る非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面活性剤およびソルビタン系界面活性剤から選ばれる一種以上であることが好ましい。
ポリグリセリン系界面活性剤として、具体的には、例えば、トリヤシ油脂肪酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-6、モノオレイン酸デカグリセリン、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
ポリオキシアルキレン系界面活性剤として、具体的には、例えば、ジラウリン酸PEG-8、ジイソステアリン酸PEG-12、ジオレイン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-5グリセリル、イソステアリン酸PEG-6グリセリル、イソステアリン酸PEG-6、オレイン酸PEG-6、ペンタオレイン酸ソルベス-40、PEG-20水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル、イソステアリン酸PEG-10BG、ラウリン酸PEG-30水添ヒマシ油、ラウレス-5、トリイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油、PPG-2-デセス-7、ステアリン酸PEG-15グリセリル、PEG-40水添ヒマシ油、ジラウリン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-9グリセリル、イソステアリン酸PEG-15グリセリル、ジイソステアリン酸PEG-30グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ジイソステアリン酸PEG-15BG、ラウリン酸PEG-20水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、ラウレス-3、トリイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-10BG等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
ソルビタン系界面活性剤として、イソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
さらに好ましいポリグリセリン系界面活性剤としてはジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を挙げることができ、さらに好ましいポリオキシアルキレン系界面活性剤としてはイソステアリン酸PEG-10BGを挙げることができる。
【0041】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-3)に係る非イオン性界面活性剤の含有量は、0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~7質量%であることがより好ましく、0.1~4質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(a-3)に係る非イオン性界面活性剤の含有量が上記範囲内にあることにより、温度安定性を容易に向上させることができる。
【0042】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、さらに、(e)水を含んでもよい。
(e)水としては、特に制限されないが、イオン交換水等であることが好ましい。
【0043】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(e)水の含有量は、3~10質量%であることが好ましく、4~9質量%であることがより好ましく、5~8質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(e)に係る水の含有量が上記範囲内にあることにより、良好な保存安定性を容易に発揮することができる。
【0044】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、さらに、(f)一価アルコールを含んでもよい。
【0045】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(f)に係る一価アルコールとしては、炭素数2~5の一価のアルコールが好ましく、具体的には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等から選ばれる一種以上が好ましい。
【0046】
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(f)に係る一価のアルコールの含有量は、0.1~8質量%であることが好ましく、0.5~6質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る油性クレンジング化粧料において、成分(f)に係る一価のアルコールの含有量が上記範囲内にあることにより、良好な保存安定性を容易に発揮することができる。
【0047】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、保湿剤(例えば、トリメチルグリシン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギ蛋白液、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は色素)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース)、乳化剤、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコールまたはジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)等を挙げることができる。
【0048】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、混合する順序によらず、常温で固体の原料については他の液状の成分等に一度溶解した後に、全成分を所望量均一に混合することにより、容易に製造することができる。
本発明に係る油性クレンジング化粧料が成分(e)(水)および成分(f)(一価アルコール)を含む場合は、先ず、成分(a-1)~成分(d)を加温しつつ溶解させた混合物を形成した後、さらに成分(e)および成分(f)を添加し可溶化して調製することが好ましい。
【0049】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、透明な液状のものであることが好ましい。
本出願書類において、透明とは、濁度計で波長530nmにおいて精製水をリファレンスにして測定した透過率が、0.001質量%酸化チタン懸濁水溶液の透過率より高く、かつ、常温で1日静置しても分離しない状態を意味する(色素や粉体等の配合があった場合は、それらを含まない状態で透明であれば、本発明の範囲に含まれるとする)。
【0050】
本発明に係る油性クレンジング化粧料は、例えば、メーク落とし、クレンジングオイルまたはアイメーク落とし等として好適に使用することができる。
【0051】
本発明によれば、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な油性クレンジング化粧料を提供することができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれ等の例により何ら限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
成分(a-1)としてHLB値が3.5の常温で液状の非イオン性界面活性剤であるペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(ペンタイソステアリン酸デカグリセリン)、成分(a-2)としてHLB値が14.5の非イオン性界面活性剤であるラウリン酸ポリグリセリル-6(ラウリン酸ヘキサグリセリル)、成分(b)として炭化水素油である炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素油(C13-15アルカン)の混合物を60℃で撹拌溶解し、得られた溶解物に対し、成分(c)としてエステル油であるラウリン酸メチルへプチルおよび成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを添加し、撹拌混合して、表1に示す組成を有するメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は0.5であった。
得られたメーク落としにおいて、以下に示す評価方法により、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
<洗浄力(クレンジング効果)評価a>
女性パネル20名により、各々素肌に塗布したメークに対しメーク箇所が乾燥した状態で(濡れていない状態で)メーク落としを適用してメークを落とした(クレンジングした)ときの感触を確認する官能試験を行い、以下の基準により評価した。
◎(とても良い):15~20名以上が、優れていると評価した。
○(良い) :10~14名が、優れていると評価した。
△(普通) :5~9名が、優れていると評価した。
×(悪い) :0~4名が、優れていると評価した。
【0055】
<耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)評価a>
女性パネル20名により、各々素肌に塗布したメークに対しメーク箇所が濡れた状態でメーク落としを適用してメークを落とした(クレンジングした)ときの感触を確認する官能試験を行い、以下の基準により評価した。
◎(とても良い):15~20名以上が、優れていると評価した。
○(良い) :10~14名が、優れていると評価した。
△(普通) :5~9名が、優れていると評価した。
×(悪い) :0~4名が、優れていると評価した。
【0056】
<洗い流し性評価a>
女性パネル20名により、各々素肌に塗布したメークに対しメーク箇所が濡れた状態でメーク落としを適用してメークを落とした(クレンジングした)後、洗い流す際の感触を確認する官能試験を行い、以下の基準により評価した。
◎(とても良い):15~20名以上が、優れていると評価した。
○(良い) :10~14名が、優れていると評価した。
△(普通) :5~9名が、優れていると評価した。
×(悪い) :0~4名が、優れていると評価した。
【0057】
(実施例2)
成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールに代えてコハク酸ジエトキシエチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、表1に示す組成を有するメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は0.5であった。
得られたメーク落としにおいて、実施例1と同様にして、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを加えず、表1に示す組成となるように各成分を加えた以外は、実施例1と同様にしてメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は0.5であった。
得られたメーク落としにおいて、実施例1と同様にして、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
(実施例3)
成分(a-1)としてHLB値が3.5の常温で液状の非イオン性界面活性剤であるペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(ペンタイソステアリン酸デカグリセリン)、成分(a-2)としてHLB値が14.5の非イオン性界面活性剤であるラウリン酸ポリグリセリル-6(ラウリン酸ヘキサグリセリル)、成分(b)として炭化水素油である炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素油(C13-15アルカン)の混合物を60℃で撹拌溶解した。得られた溶解物に対し、成分(c)としてエステル油であるラウリン酸メチルへプチルおよび成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを添加して撹拌混合し、次いで、得られた撹拌混合物に対し、さらに成分(e)としてイオン交換水を加えるとともに成分(f)としてエタノールを添加して撹拌混合することにより表1に示す組成を有する無色透明なメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は0.5であった。
得られたメーク落としにおいて、実施例1と同様にして、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表1に示す。
また、得られたメーク落としにおいて、以下の評価方法により温度安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
<温度安定性評価a>
得られたメーク落としを、0℃、25℃(室温)、40℃の各温度条件下において1ヶ月保存し、目視により外観変化、粘度変化または層分離等の有無を確認し、以下の基準にて評価した。なお、◎及び○と評価されたものは、実用上十分な安定性を示すものである。
◎:外観変化、粘度変化、又は層分離等の異常は全く認められない。
○:外観変化、粘度変化、又は層分離等の異常が僅かに認められる。
△:外観変化、粘度変化、又は層分離等の異常が認められる。
×:外観変化、粘度変化、又は層分離等の異常が著しい。
【0061】
(実施例4)
成分(a-1)としてHLB値が3.5の常温で液状の非イオン性界面活性剤であるペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(ペンタイソステアリン酸デカグリセリン)、成分(a-2)としてHLB値が14.5の非イオン性界面活性剤であるラウリン酸ポリグリセリル-6(ラウリン酸ヘキサグリセリル)、成分(a-3)としてジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、成分(b)として炭化水素油である炭素数13~15の鎖状飽和炭化水素油(C13-15アルカン)の混合物を60℃で撹拌溶解した。得られた溶解物に対し、成分(c)としてエステル油であるラウリン酸メチルへプチルおよび成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを添加して撹拌混合し、次いで、得られた撹拌混合物に対し、さらに成分(e)としてイオン交換水を加えるとともに成分(f)としてエタノールを添加して撹拌混合することにより表1に示す組成を有する無色透明なメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は0.5であった。
得られたメーク落としにおいて、実施例1と同様にして、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表1に示す。
また、得られたメーク落としにおいて、実施例3と同様にして温度安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
【0063】
(比較例2)
成分(a-1)としてHLB値が4.0の常温で液状の非イオン性界面活性剤であるセスキイソステアリン酸ソルビタン20.0質量%、成分(a-2)としてHLB値が14.0の非イオン性界面活性剤であるPEG-60水添ヒマシ油15.0質量%、成分(b)として炭化水素油であるイソドデカン23.0質量%、成分(c)としてエステル油であるエチルヘキサン酸セチル10.0質量%およびジカプリン酸ネオペンチルグリコール7.0質量%、成分(d)としてシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール10.0質量%、成分(e)としてイオン交換水5.0質量%、成分(f)として1,3ブチレングリコール10.0質量%という含有割合になるように室温にて混合、撹拌して、無色透明なメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は1.3であった。
【0064】
(比較例3)
実施例3において、成分(a-1)に相当するHLB値が3.5の常温で液状の非イオン性界面活性剤であるペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(ペンタイソステアリン酸デカグリセリン)の配合割合を10.1質量%から17.2質量%に変更し、成分(a-2)に相当するHLB値が14.5の非イオン性界面活性剤であるラウリン酸ポリグリセリル-6(ラウリン酸ヘキサグリセリル)の配合割合を20.4質量%から13.3質量%に変更した以外は、実施例3と同様にして無色透明なメーク落としを調製した。
このとき、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)は1.3であった。
【0065】
上記実施例3、比較例2および比較例3で得られたメーク落としにおいて、以下の評価方法により、洗浄力(クレンジング効果)、耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)、洗い流し性を評価した。結果を表2に示す。
また、上記実施例3および比較例2において、以下に示す洗浄力評価後および耐水性評価後における各試験片の状態を示す写真を
図1に示す(
図1(a)が洗浄力評価後における実施例3および比較例2のメーク落としを用いた評価後の状態図であり、
図1(b)が耐水性評価後における実施例3および比較例2のメーク落としを用いた評価後の状態図である)。
【0066】
<洗浄力(クレンジング効果)評価b>
人工皮膚に対しウォータープルーフマスカラを塗布して2時間乾燥させたメークに対しメーク箇所が乾燥した状態で(濡れていない状態で)メーク落としを適用して指で40回往復させてメークを落とす(クレンジングする)試験を行い、以下の基準により評価した。
○(良い) :擦過範囲全体に亘って、マスカラが良く落ちている。
△(普通) :擦過範囲の約半分において、マスカラが落ちている。
×(悪い) :擦過範囲においてマスカラが全く落ちていない。
【0067】
<耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)評価b>
人工皮膚に対しウォータープルーフマスカラを塗布して2時間乾燥させたメークに対しメーク箇所にイオン交換水を一滴垂らし濡らした状態でメーク落としを適用して指で40回往復させてメークを落とす(クレンジングする)試験を行い、以下の基準により評価した。
○(良い) :擦過範囲全体に亘って、マスカラが良く落ちている。
△(普通) :擦過範囲の約半分において、マスカラが落ちている。
×(悪い) :擦過範囲においてマスカラが全く落ちていない。
【0068】
<洗い流し性評価b>
素肌に塗布したメークに対しメーク箇所が濡れた状態でメーク落としを適用してメークを落とした(クレンジングした)後、洗い流す際の感触を確認する官能試験を行い、以下の基準により評価した。
○(良い) :流水により簡単に洗い落とすことができる。
△(普通) :流水とともに強くこすらないと洗い落すことができない。
×(悪い) :全く洗い流すことができない。
【0069】
【0070】
表1より、実施例1~実施例3で得られたメーク落としは、特性の成分(a-1)~成分(d)を特定の割合で含むものであることから、乾燥した部位はもちろん濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易であることが分かる。
一方、表1より、比較例1で得られたメーク落としは、成分(d)を含まないことから、特に耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)に劣ることが分かる。
【0071】
また、表2および
図1からも、実施例3で得られたメーク落としは、特性の成分(a-1)~成分(d)を特定の割合で含むものであることから、乾燥した部位はもちろん濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易であることが分かる。
一方、表2および
図1より、比較例2および比較例3で得られたメーク落としは、成分(a-2)に対する成分(a-1)の質量比(a-1)/(a-2)が1.3であり、0.1~0.8という特定の範囲外にあることから、洗浄力(クレンジング効果)や耐水性(濡れた部位におけるクレンジング効果)に劣ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、水が付着した濡れた部位であっても高いクレンジング力を発揮することができ、かつ化粧料や化粧品のクレンジング後における水や湯での洗い流しが容易な油性クレンジング化粧料を提供することができる。