(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】液切板及びそれを備える湿式集塵機
(51)【国際特許分類】
B01D 47/02 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B01D47/02 A
(21)【出願番号】P 2018168616
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】513092682
【氏名又は名称】株式会社AZUMA
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】富田 實
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-121923(JP,U)
【文献】特開2012-101225(JP,A)
【文献】特開2007-000736(JP,A)
【文献】米国特許第05296009(US,A)
【文献】特開昭49-093963(JP,A)
【文献】特開2010-060198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D45/00-51/10
B01J10/00-10/02
F24F13/08-13/32
F25B43/00-43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液分を含有する気体から液分を除去する液切板
と屈曲した断面形状を有する複数の屈曲部材とを備える湿式集塵機であり、
前記液切板は、第1板と、第1板に対して隙間を空けて配置される第2板と、第1板と第2板との間に配置され、第1板又は第2板に比して、平面視において面積が小さいガイド部材とを有しており、
ガイド部材は、第1板と第2板の隙間に侵入した液分を含有する気体の進路上に配置されており、気体の侵入方向に交差する方向に延びる形状であ
り、
前記屈曲した断面形状を有する複数の屈曲部材は、湿式集塵機の排気側の内壁に対して隙間を空けた状態で配置されている湿式集塵機。
【請求項2】
ガイド部材は、平面視において、第1板の下方に向けて傾斜した部分を有する形状である請求項1に記載の
湿式集塵機。
【請求項3】
第1板の端部には、液体を受ける樋が配された請求項1又は2に記載の
湿式集塵機。
【請求項4】
液切板は、伏角に傾斜した状態で、湿式集塵機の排気側の内壁に固定されている請求項
1に記載の湿式集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液切板及びそれを備える湿式集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料の粒子、金属の切削屑、又はヒュームなどの塵芥を集めて空気中から取り除く際に湿式集塵機が利用される。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、一次貯留槽と二次貯留槽とブロアとを備える湿式集塵機が記載されている。ブロアを作動させることにより、吸入口より吸引された塵芥を含む空気は、一次貯留槽と二次貯留槽を経て、ブロアより排気される。一次貯留槽及び二次貯留槽には、それぞれ、集塵用の液体が貯留されている。吸引した塵芥を含有する空気に含まれる塵芥のうち、比較的重いものは一次貯留槽に落下して捕集される。一次貯留槽の上の通過した空気は、二次貯留槽に貯留された液体と混合されて、ミストを発生させる。空気に含まれる塵芥のうち比較的軽いものは、二次貯留槽に貯留された液体と接触した際又は発生したミストと接触した際に、捕集される。
【0004】
また、特許文献2には、仕切板によって、塗装空間と回収空間に仕切られた塗装用ブースが記載されている。ブースの下部には、仕切板が設けられていない。塗装空間と回収空間は、仕切板が設けられていない下部において、相互に連通する。ブースの下部には、液槽が配されており、上部には、排気用のファンが配されている。ファンを作動させることにより、塗料のミストを含む空気は、塗装空間から回収空間へ移動する際に、液槽に貯留された液体に接触し、塗料が除去される。
【0005】
また、特許文献3には、装置の下部に配される水槽と、水槽の上部に配される複数の液切板と、液切板の上部に配されるメカニカルフィルタと、メカニカルフィルタの上に配されるブロアと備える湿式集塵機が記載されている。ブロアを作動させると、吸入口より塵芥を含む空気が吸引され、当該空気と水槽の水とが接触する際に、空気中の塵芥が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3171096号公報
【文献】特許第3919508号公報
【文献】特許第4925613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1ないし3のような湿式集塵機では、装置内部に配される邪魔板にミストなどの液分を含有する気体を接触させることにより液滴化させて、この液滴を二次貯水槽、液槽、又は水槽に滴下させることにより、液切りを行う。
【0008】
特許文献1ないし3のような湿式集塵機では、装置の集塵能力を向上させるためにブロアの単位時間当たりの排気量を上昇させると、装置内で液切りが十分になされず、ブロアから液分を含んだ空気が外気中に排出されたり、吸引された空気に押されて、塵芥を含む液体が湿式集塵機の内壁を這い上がるようにして、装置の排気口側へと移動することがある。
【0009】
排気口から塵芥を含有する液体を含んだまま空気が排出されると環境中に再び塵芥が放出されることとなり、集塵の効率が低下する原因となる。また、装置の内壁を這い上がるように移動した液体は、乾燥して、再び塵芥となり、当該塵芥が排気口から排出される。この場合もやはり、集塵の効率が低下する原因となる。
【0010】
本発明は、液分を含有する気体から液分を効率的に液切りすることができる液切板及びそれを備える湿式集塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
液分を含有する気体から液分を除去する液切板であり、液切板は、第1板と、第1板に対して隙間を空けて配置される第2板と、第1板と第2板との間に配置され、第1板又は第2板に比して、平面視において面積が小さいガイド部材とを有しており、ガイド部材は、第1板と第2板の隙間に侵入した液分を含有する気体の進路上に配置されており、気体の侵入方向に交差する方向に延びる形状である、液切板により、上記の課題を解決する。また、当該液切板を備える湿式集塵機により、上記の課題を解決する。
【0012】
上記の液切板又は湿式集塵機において、ガイド部材は、気体の侵入方向に交差する方向に延びる形状を備えており、第1板と第2板の隙間に侵入した液分を含有する気体の進路上に配されているため、液分を含有する気体又は液分を含有する気体が集合することによって形成された液滴は、ガイド部材によって移動する方向が規制され、所定の方向に導かれることになる。これにより、塵芥を含有する液滴が装置の内壁を這い上がるように移動することが防止される。また、上記の液切板は、表面積が大きく、液分を含有する気体が接触する面積を大きくすることができる。これによって、気体に含まれる液分を液切版に付着させて液滴化し、液切りを効率的に実施することが可能になる。また、上記の液切板は、板状であるので、邪魔板と同じように配置し使用することができる。
【0013】
上記の液切板及び湿式集塵機において、ガイド部材は、平面視において、第1板の下方に向けて傾斜した部分を有する形状とすることが好ましい。このガイド部材によって、液滴は、第1板の下方に向けて案内され、第1板の下方に向けて帰されるので、装置の動作にとって好ましくない液滴の挙動が制限される。
【0014】
上記の液切板及び湿式集塵機において、第1板の端部には、液体を受ける樋が配された形状とすることが好ましい。これによって、例えば、第1板の裏面から第1板の端部を伝って第1板の表面へと、吸引された空気に押されて、液滴が液切板を這い上がるように、移動することを防止することができる。
【0015】
上記の湿式集塵機において、液切板は、伏角に傾斜した状態で、湿式集塵機の排気側の内壁に固定されるものとすることが好ましい。液切板が伏角になる状態で固定することによって、液滴が液切板を這い上がるように移動する挙動を制限することができる。
【0016】
上記の湿式集塵機において、屈曲した断面形状を有する複数の屈曲部材が、湿式集塵機の排気側の内壁に対して隙間を空けた状態で配置されたものとすることが好ましい。これによって、所定の気流を発生させて、吸引された空気に押されて液滴が排気側の内壁に沿って這い上がろうとする挙動を制限することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液分を含有する気体から液分を効率的に液切りすることができる液切板及びそれを備える湿式集塵機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】湿式集塵機及び塵芥濾過機の一実施形態を示す図である。
【
図7】液切板の他の構成例を示す
図3相当の平面図である。
【
図8】液切板の他の構成例を示す
図3相当の平面図である。
【
図9】従来の邪魔板において、液滴が移動する様子を示す
図5に相当する部位における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の液切板の一実施形態、及び湿式集塵機の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に湿式集塵機の一実施形態を示す。この湿式集塵機(以下、単に集塵機と称する。)1は、後述するように、塵芥濾過機(以下、単に濾過機と称する。)5と組み合わせて使用される。以下では、まず集塵機1について説明し、その後、濾過機5について説明する。なお、以下で挙げる集塵機、濾過機、及び液切板は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
[集塵機]
図1に示したように、集塵機1は、塵芥を含有する気体を吸引する給入口を有するダクト11と、ダクト11の下方に設けられており、ダクト11から吸引された気体に含まれる塵芥を捕集する液体を貯留する第1捕集槽12と、第1捕集槽12を通過した気体に含まれる塵芥を捕集する第2捕集槽13と、集塵機1の内部の気体を吸引して、吸引した気体を装置の外部に排出するブロア14とを有する。
【0022】
第1捕集槽12では、ダクト11から吸引された塵芥のうち比重の大きい塵芥が捕集される。比重の大きい塵芥は、ダクト11の内壁に接触するなどして弾き飛ばされて第1捕集槽12に貯留された液中に沈降して捕集される。捕集槽に貯留される液体は、塵芥の比重に応じて選択すればよい。例えば、液体として水を使用することが可能である。第2捕集槽13に貯留される液体についても同様である。
【0023】
第1捕集槽12と第2捕集槽13とは、第1隔壁25によって仕切られており、第1捕集槽12に貯留された液体と、第2捕集槽13に貯留された液体とが混じり合わないようにされている。
【0024】
第1隔壁25の上方には、第2隔壁15が配されている。第1隔壁25と第2隔壁15との間には間隙16が設けられている。そして、間隙16には複数のアングル161が配されている。第1捕集槽12で比重の大きい塵芥が除去された気体は、間隙16に配された複数のアングル161の間を通って第2捕集槽13の上方へと進む。
【0025】
第2捕集槽13の上部には円弧状部17及び第3隔壁18と、複数のアングル191と、複数の液切板20とが記載した順に下方から上方へと設けられている。円弧状部17及び第3隔壁18は、隣り合う位置関係にある。最も下方に位置する液切板20と円弧状部17の上端部の間には隙間19が設けられており、当該隙間19に複数のアングル191が設けられる。円弧状部17の下端部は第2捕集槽13に貯留された液体21に浸かった状態となっている。
【0026】
円弧状部17に比重の大きい塵芥が除去された気体が円弧状部17に侵入すると、円弧状部17において気体と前記液体とが激しく撹拌されてミスト(液分を含有する気体)が発生する。第1捕集槽12で比重の大きい塵芥が除去された気体には、比重の小さい塵芥がまだ含まれている。円弧状部17で気体と液体とが激しく撹拌される際に、気体に含まれる比重の小さい塵芥の一部は、第2捕集槽13に貯留された液体によって直接に捕集される。さらに、比重の小さい塵芥の一部は、円弧状部17で発生したミストにも付着する。比重の小さい塵芥が付着したミストの一部は、円弧状部17の上方に移動して複数のアングル191に接触した際に、ミストに含まれる液部の微小な粒子が集合してより大きな液滴へと変わる。また、空気に溶け込んでいた液分の一部も複数のアングル191などに接触した際に凝集して液滴へと変わる。複数の液滴は集合しながら、第3隔壁18の上へと移動し、第3隔壁18に設けられた貫通孔から落下して、第2捕集槽13に貯留された液体と合流する。比重の小さい塵芥は上記のようにして第2捕集槽13に含まれる液体によって捕集される。
【0027】
上述の第2隔壁15の上端部は、第4隔壁24に接続される。第2隔壁15と、第4隔壁24により、集塵機の内部は、吸気側のチャンバーと、排気側のチャンバーに分けられている。吸気側のチャンバーと、排気側のチャンバーは、上記の隙間16によって連通する。第4隔壁24の先端部には、邪魔板22が設けられている。邪魔板22は、斜め下方に延びる板材と、板材の端部から下方に向かって突出する板材とを有する形状である。
【0028】
集塵機1において、単位時間あたりに捕集することができる量、すなわち集塵の効率を向上させることを意図する場合、ブロア14の単位時間当たりの排気量を上昇させて、給気口からの吸気量を上昇させればよい。単位時間当たりの吸気量を上昇させることによって、より粒径の小さい塵芥も集塵することが可能になる。しかしながら、ブロア14の排気量を上昇させた場合、
図9に示したように、吸気口から吸引された空気に押されて、湿式集塵機1の排気側の内壁や邪魔板81の上を、液滴8が這い上がるように移動して、湿式集塵機1の排気口側へと液滴が移動してしまう。液滴がブロア14と連通する排気口の近傍やブロア14の近傍などで乾燥すると、液滴8に含まれる塵芥が再び固形の状態となり、ブロア14から環境中に排出されてしまう。また、塵芥を含む液体そのものもブロア14から排出されるようになってしまう。このような事態が生じると、集塵の効率が低下してしまう。なお、排気側とは、吸気した気体を塵芥捕集用の液体と接触させた後、空気を排気口へ導く経路のことをいう。本実施形態の集塵機1では、第2捕集槽13の上部において液体を含んだ空気が通過する排気側のチャンバーのことをいう。
【0029】
本実施形態の集塵機1では、液分を含有する気体から液分を除去する液切板20を配することによって、ブロア14の排気量を上昇させても、環境中に塵芥が再び放出されないように対策されている。液切板20は、
図2ないし5に示したように、第1板201と、第1板201に対して間隙を空けて配置される第2板202と、第1板201と第2板202との間に配置され、第1板201又は第2板202に比して、平面視における面積が小さいガイド部材203とを有している。ガイド部材203は、第1板201と第2板202の隙間に侵入した液分を含有する気体の進路上に配置されており、気体の侵入方向に交差する方向に延びる形状を有している。このため、液分を含有する気体又は液分を含有する気体が集合することによって形成された液滴は、ガイド部材203によって移動する方向が規制され、所定の方向に導かれることになる。これにより、塵芥を含有する液滴が集塵機1の排気側の内壁や液切板の上を這い上がるように移動することが防止される。また、上記の液切板20は、第1板201と第2板202の間に隙間を設けることにより、表面積を大きくしている。これにより、液分を含有する気体が接触する面積を大きくし、気体に含まれる液分を効率的に液滴化し、液切りを効率的に実施することできるようにしている。なお、
図3においては、上向きの矢印で気体の進路を示す。また、下向きの矢印及び斜め下向きの矢印で液滴の進路を示す。
【0030】
図3に示したように、ガイド部材203は、平面視において、第1板201の下方に向けた傾斜した部分を有する形状とすることが好ましい。これによって、
図3において、斜め下向きの矢印で示したように、ガイド部材203の下方から流入した液分を含有する気体と気体に含まれる液分に由来する液滴は、ガイド部材203の下端を伝って、第1板201の下方に向かって導かれることになる。また、
図4及び
図5において矢印で示したように、第2板202の上面に付着した液分を含む気体に由来する液滴8は、吸引口から吸引された空気に押されて、第1板201と第2板202の隙間に第2板202の上端を伝って隙間へ侵入する。隙間に侵入した液滴8は、
図3において斜め下向きの矢印出示したように、ガイド部材203の上縁部を伝って第1板201の下方に向かって導かれる。第1板201の下方に向かって導かれた液滴は、
図5に示したように、第1板201の内側に樋204を設けている場合は、第1板201の端部から下方に垂れて、下方に戻される。なお、
図4のように、第1板201の外側に樋204を設けている場合は、液滴は、第1板201の端部に配された樋204にいったん流入して、樋204から溢れて第2捕集槽13へと戻される。
【0031】
図4及び
図5に示したように、第1板201の端部には、液体を受ける樋204を設けることが好ましい。
図9に示したように、従来の構造では、邪魔板81の裏面から邪魔板81の端部を伝って邪魔板81の表面へと、吸引された空気に押されて、液滴が這い上がるように、移動することがある。第1板201の端部に樋204を設けることによって、
図5において矢印で示したように、第1板201の裏面を伝って移動する液滴を樋204に導くことで、吸引口から吸引された空気に押されて液滴が排気側の内壁や液切板に沿って這い上がることを防止することができる。
図4及び
図5に示したように、樋204は、第1板201の端部の内側及び外側のいずれか一方に設ければよい。樋の形状は、液滴を受けることが可能であり、液滴が空気に押されて、液切板の裏面から表面へと移動すること防止できる溝状であればよい。溝の形状は、その断面形状において、角のある溝でもよいし、円弧状の溝であってもよい。
【0032】
図2に示したように、液切板20は、伏角に傾斜した状態で、湿式集塵機1の破棄側の内壁に対して固定された状態とすることが好ましい。伏角とは、水平を基準として、見下ろす角度のことをいう。液切板20が伏角になる状態で固定することによって、液滴が液切板20を這い上がるように移動する挙動を制限することができる。液切板20は、排気側の内壁に対して固定すればよい。
【0033】
液切板を固定する位置は、排気側の内壁であればいずれの場所に固定してもよい。本実施形態の集塵機1では、第2隔壁15と、第2隔壁15と向かい合う略垂直な内壁との両方に、それぞれ液切板20の上端部が固定されている。
【0034】
図5に示したように、湿式集塵機1の排気側の内壁には、屈曲した断面形状を有する複数の屈曲部材23が内壁に対して、隙間を空けた状態で配置されることが好ましい。
図5矢印で示したように、複数の屈曲部材23の突部が上を向くようにして上下方向に対して所定の間隔を空けて、複数の屈曲部材を配置することが好ましい。
【0035】
図9に示したように、排気側の内壁には、吸気口から吸引された空気に押されて液滴が這い上がるように移動する現象が生じる。
図5に示したように、複数の屈曲部材23を設けることによって、複数の屈曲部材23の間を空気が通過し、複数の屈曲部材23と内壁との間に下向きの気流を形成することができる。これにより、上記のような液滴の挙動を制限することが可能になる。屈曲部材の断面形状は、例えば、複数の直線の交点から形成される角状の凸部を備えるV字状としてもよいし、曲線で構成される円弧状としてもよい。
【0036】
複数の屈曲部材は、排気側の内壁であれば、いずれの場所に設けてもよいが、本実施形態の湿式集塵機では、第2捕集槽13と複数の液切板20との上方であり、第2捕集槽が位置する側における垂直な内壁に対して隙間を空けた状態で配置される。
【0037】
複数の屈曲部材23を、排気側の内壁に対して隙間を空けた状態で配置するには、例えば、
図6に示したように、複数の屈曲部材23をユニット化しておくことが好ましい。
図6の例では、複数の屈曲部材23に対応する貫通孔を形成した複数の支持具231と、複数の支持具231を固定する固定具232とによって、複数の屈曲部材23をユニット化している。
図6の例では、複数の支持具231は、屈曲部材23の形状に対応する貫通孔を備える複数の板材から構成される。また、固定具232は、一枚の板から構成される。複数の屈曲部材23は支持具に挿通された状態で固定されており、複数の支持具231の端部は、固定具232に固定されている。
【0038】
図2に示したように、本実施形態の集塵機1では、上記の実施形態に係る湿式集塵機1では、板材を曲げ加工して構成される円弧状部17の上方に2枚の液切板20が配される。液切板20を設ける枚数は特に制限されず、例えば、第4隔壁24に設けられる邪魔板22を液切板20に替えてもよい。
【0039】
液切板20は、第1板と第2板とを有する。第1板は、板状であればよく、その形状は特に制限されない。第1板として、例えば、湿式集塵機が備えている既存の邪魔板を第1板として利用して、当該邪魔板にガイド部材と第2板とを取り付けて液切板とすることもできる。
図3の例では、平面視において長方形のステンレス鋼板を第1板201として利用し、これの上端部を排気側の内壁に螺子止めによって固定している。ステンレス鋼板の端部は、3回の折り曲げ加工によって、第1板203の下方に突出する板材205の端部に樋204が配される形状とされている。
【0040】
第2板は、板状であればよく、その形状は特に制限されない。
図3の例では、第1板201と長辺が同程度の幅で、短辺が第1板201の短辺に比して短い、透明な長方形のアクリル板を第2板202として利用している。そして、第2板と排気側の内壁とは離隔した状態で第2板を配置している。これによって、第2板202の上方から液滴が第1板と第2板との間に侵入しやすいようにしている。その他、第2板としては、ステンレス鋼板、又はプラスチック板などの板材を使用することができる。
図3の例では、第2板202は、第1板201に対して、隙間を空けた状態で、略平行に配置されている。この際、ガイド部材203が第1板201と第2板202との隙間の大きさを規定するスペーサーとして機能している。ガイド部材203は、第1板201及び第2板202に対して接面する状態としてもよいし、その他の部材を介在させて、スペーサーとして機能させてもよい。
【0041】
第1板と第2板との間に形成される隙間の大きさは、空気中に含まれる液分の凝集や液分の集合が促される程度であることが好ましく、また、毛管現象により液滴が取り込まれやすくなる程度であることが好ましく、例えば、1~15mmであることが好ましく、3~5mmであることがより好ましい。
【0042】
ガイド部材の平面視における面積は、第1板と第2板との間に空気や液滴が侵入することができる隙間を形成する目的で、第1板又は第2板の面積に比して、小さくなるように構成されていればよい。また、ガイド部材は、液滴や空気を案内する目的から、第1板と第2板の隙間に侵入した液分を含有する気体の進路上に配置されており、気体の侵入方向に交差する方向に延びる形状とすればよい。
図3においては、上向きの矢印で気体の侵入方向を示す。ガイド部材203は、第2板の長手方向に延びており、気体の侵入方向に交差する方向に延びる長尺な形状となっている。また、
図3の例では、ガイド部材203は、第1板の下方から斜め上に傾斜する2本の長尺かつ扁平な板が交差して突部を形成する平面視V字状の形状とされている。V字状のガイド部材203は、第1板201の下方に向けた傾斜部分を有するため、液滴は、
図3において斜め下向きの矢印で示したように、ガイド部材203に沿って第1板201の下方へと案内される。
【0043】
図7に示したように、ガイド部材203は、平面視において、第1板材201の上方の一辺から下方の一辺に向けて直線的に傾斜する扁平な板で構成してもよい。このように構成した液切板20bでは、
図7において矢印で示したように、液分を含有する気体は、ガイド部材203bによって、進路を遮られて、斜め下方へと移動する。この際に、液滴もガイド部材203bの下縁に沿って案内され、第1板の下方へと移動する。第2板202の上面に付着した液滴は、
図5に示したように、吸引口から吸引された空気に押されて、第1板201と第2板202の隙間に第2板202の上端を伝って侵入する。侵入した液滴は、
図7において、斜め下向きの矢印で示したように、ガイド部材203bの上縁を伝って、第1板201の下方へと案内される。
図7においても、
図3と同様に、気体の侵入方向は、上向きの矢印で示す。また、下向きの矢印及び斜め下向きの矢印で液滴の進路を示す。
【0044】
図8に示したように、ガイド部材203cには、液切板の効果を損ねない範囲で貫通孔206を設けてもよい。この貫通孔は、ガイド部材203cの上縁と下縁との間を貫通する。このように構成した液切板20cにおいても、斜め下向きの矢印に示した方向に液滴や空気が案内される。
【0045】
上記の実施形態に係る湿式集塵機1は、上述の通り、濾過機5と組み合わせて使用される。以下、濾過機5の一実施形態の構成について説明する。
【0046】
[濾過機]
図1の濾過機5は、汚れていない濾材を貯めておく第1部分と、汚れた濾材を排出するための第2部分と、第1部分と第2部分との間に展延された濾材51と、濾材を移動させる駆動部52と、第1部分と第2部分との間に展延された濾材51に塵芥を含有する液体を供給する給液部53とを備える。濾材51が汚れた際には、駆動部52によって、第1部分から汚れていない濾材を供給し、汚れた濾材を第2部分に排出可能に構成されている。そして、給液部53は、濾材に対して塵芥を含有する液体71を放散する構成を有する。なお、給液部は、濾材に対して塵芥を含有する液体を含有するものであればよく、液体を放散する構成に限定されない。例えば、濾液を滴下したり、濾液を流したりするもであってもよい。
【0047】
濾材は、塵芥の粒子径にあわせて適切なものを使用すればよい。濾材としては、シート状のものを使用することが好ましく、例えばシート状の濾紙を使用すればよい。
【0048】
第1部分は、汚れていない濾材51を貯めておくことができるものであればよい。
図1の濾過機5では、第1部分は、濾材51を巻回して収納することができる第1ローラー54から構成される。第1ローラー54は、回転可能な状態で両端が後述する第1収納室55の内壁に支持されている。
【0049】
図1の濾過機5では、第1ローラー54は、第1収納室55に格納されている。第1収納室55は、扉551によって開閉可能に構成されている。扉551を開閉し、第1ローラー54に新しい濾材を巻回することによって、濾材を補充することが可能になっている。
【0050】
第1収納室55には、スリット552を有する隔壁が設けられている。この隔壁は、第1収納室55と、後述する濾過室57とを隔てる。第1ローラー54に巻回された濾材51は、スリット552を通って、後述する濾過室57へと供給される。
【0051】
第2部分は、汚れた濾材51を排出することができるものであればよい。
図1の濾過機5では、第2部分は、濾材51を貯めておくことができる第2収納室56から構成される。この構成に替えて、例えば、第2格納室56に汚れた濾紙を巻き上げる第2ローラー(図示略)を設けてもよい。第2ローラーは、回転可能な状態でその両端を第2収納室56の内壁に支持して、電動モーターなどの駆動源で回転させればよい。この場合は、電動モーターが濾材を移動させる駆動部として機能する。
【0052】
第2収納室56には、スリット561を有する隔壁が設けられている。この隔壁は、第2収納室56と、後述する濾過室57とを隔てる。濾過室57にて濾過によって汚れた濾材51は、スリット561を通って、第2収納室56へと供給される。濾過室57から供給された汚れた濾材51は、第2収納室56の底部に載置され、順次蓄積されていく。第2収納室56は、扉562によって開閉可能に構成されている。扉562を開閉することによって、第2収納室56の底部に蓄積された汚れた濾材51を濾過機5から排出することができる。
【0053】
第1収納室55と第2収納室56との間には、濾過室57が設けられる。濾過室57は、上記のスリット552、561を介して、第1収納室55と第2収納室56とそれぞれ連通している。濾過室57には、第3ローラー58と、第4ローラー59とが配されている。第3ローラー58及び第4ローラー59に濾材51を巻回することによって、濾材51が延びる方向を転換する。これによって、第1部分と第2部分との間に濾材51を展延する。第3ローラー58と第4ローラー59のそれぞれの両端は、濾過室57の壁面により回転可能な状態で支持されている。濾材51が延びる方向を転換するローラーの構成は特に限定されない。
【0054】
濾過室57の第3ローラー58の上方には、第1部分と第2部分との間に展延された濾材51に塵芥を含有する液体21を供給する給液部53が配されている。
図10の例では、給液部53は、複数の貫通孔531を有する中空の管から構成される。
図10において矢印で示したように、濾過前の液体を給液部53の内部に供給すると、複数の貫通孔531から濾過前の液体が噴出して、第3ローラー58に巻回された濾材51に対して濾過前の液体が供給される。
【0055】
本実施形態の濾過機5では、給液部53を中空な菅に複数の貫通孔を設けることによって構成したが、濾材に対して濾過前の液体を放散可能な構成であれば、他の構成を採用してもよい。例えば、放散用のノズルを利用する構成などが挙げられる。
【0056】
第3ローラー58の外径は、第4ローラー59の外径に対して、比較的に大きく構成されている。第3ローラー58の外径を大きくすることによって、濾過前の液体が濾材51に対して放散される領域が大きくなるように構成されている。これによって、短時間で濾材51が目詰まりしないようにされている。濾過室57の底面60は、複数の貫通孔が設けられており、濾過室57と後述する貯留槽63とは、複数の貫通孔を介して連通する。これによって、濾過前の液体が濾材51の上に多量に溜まらずに下に抜けるようになっている。濾過室57の底面は、例えば、パンチングメタルを使用することによって形成することができる。
【0057】
濾過室57の底面60の形状は、第3ローラー58と同様に円弧状となっており、第3ローラー58との間に隙間が形成されるものである。例えば、濾材51に目詰まりが生じた際には、濾材の上に濾過前の液体が溜まって、濾過前の液体の重みによって濾材51が下方に撓む。このときに円弧状の底面60が撓んだ濾材51を支えることによって、濾材51が濾過前の液体の重みで破断したりすることを防ぐことが可能になっている。
【0058】
濾過室57には、濾材が目詰まりしたことを検知するセンサー61が配されている。また、第2収納室56のスリット561の下には駆動部52が配される。センサー61が濾材51に目詰まりが生じたことを検知すると、センサー61が信号を図示しない制御部(図示略)に送信し、制御部によって駆動部52を駆動させて、第1部分から汚れていない濾材51を濾過室57に供給すると共に、汚れた濾材を第2部分に排出することができるように構成されている。
【0059】
センサーとしては、後述するポンプ62の吸引時の圧力を検知するセンサーを使用してもよいし、濾過前の液体の液位を検知するフローティングセンサーを使用してもよい。本実施形態の濾過機5では、センサーとして、濾過前の液体の液位を検知するフローティングセンサーを使用している。フローティングセンサーは、液位を検知して汚れた濾材51を排出することができるため、濾過前の液体の液位が過剰に上昇して濾過機5から溢れ出したり、駆動部52などが液体に浸かってしまう事態を直接的に防止することができる。
【0060】
フローティングセンサー61を設ける位置は、濾材51の上側に設けることが好ましく、駆動部52など電気系の部品が設けられる位置よりも下で液位が上限に達したことを検知するように配置することが好ましい。また、フローティングセンサー61を設ける位置は、汚れた濾材51を排出する際に過剰な液圧が濾材51に対してかからない程度の液位で上限に達したことを検知するように配置することが好ましい。
【0061】
上述の駆動部52は、
図10に示したように、例えば、第5ローラー521と第5ローラー522とから構成することができる。第5ローラー521と第5ローラー522とは、濾材51が通過できる程度の隙間を空けて配置されており、第5ローラー521及び第5ローラー522の内側(
図1において矢印を付した方向)に回転する。これによって、汚れた濾材51を巻き取って、第2収納室56に収納することができる。第5ローラー521及び/又は第5ローラー522は、電動モーターなどによって駆動すればよい。
【0062】
駆動部の構成は、特に限定されず、汚れた濾材を第2部分に排出し、汚れていない濾材を給液部に供給することが可能であればよい。そのため、上記のような第5ローラー521と第5ローラー522とから構成される駆動部52の構成に替えて、例えば、上述の通り、汚れた濾紙を巻き上げる第2ローラーを配するようにしてもよい。また、駆動部は、例えば、ハンドルを回転させることによってローラーを回転させて汚れた濾材を巻き取るようにしてもよい。
【0063】
本実施形態の濾過機5では、上述の濾過室57の下方には、濾過後の液体を貯留する貯留槽63が設けられている。貯留槽は、濾過後の液体を貯留することができる構成であればよい。上述の通り、貯留槽63は濾過室57と連通しており、濾材51によって濾過された液が溜まる構造となっている。貯留槽63は、上述の第2収納室56と隣り合う位置関係となっている。貯留槽63と第2収納室56とは、隔壁によって隔てられている。そして、第2収納室56及び貯留槽63と、濾過室57と、第1収納室55とは、記載した順に下方から上方に向けて配置され、略角柱状の筐体に内蔵されている。このため、本実施形態の濾過機5は、コンパクトであり、省スペースである。
【0064】
本実施形態の濾過機5の貯留槽63は、上方の部分に比べて下方の部分の容積が小さくなる形状である。具体的には、貯留槽63は、上方に幅広部を備えており、下方に狭小部を備えており、幅広部と狭小部とが連通する形状である。このような形状を備えているため、貯留槽に貯留される液体の量が小さいときには液位が高くなるようなっている。液量が小さいときにポンプで液を吸引する際にエアがポンプにかみにくいようになっている。上方は幅広部とすることによって、貯留槽33の容積が大きくなるようになっている。
【0065】
本実施形態の濾過機の貯留槽63の底部分には、貯留槽63に貯留された液体を吸引するポンプ62が接続される。ポンプ62には濾過後の液体が供給されるため、塵芥がポンプ62に混入することに起因するポンプ62の損耗や故障を防ぐことができる。
【0066】
本実施形態の濾過機5では、給液部53から濾材51に対してまんべんなく濾過前の液体が放散される。このため、濾材51の任意の箇所に濾過前の液体に含まれる塵芥が集中することが防がれる。すなわち、濾材に対する濾過前の液体の供給にむらができにくくなるため、濾材51の一部に濾過に貢献しない部分が生じることを防ぐことが可能になる。
【0067】
濾過前の液体を貯留する槽の底面に濾材を敷いて濾過を行う場合は、濾材に大きな液圧がかかるという問題がある。濾材に目詰まりが生じるとさらに液位が上昇して濾材に作用する液体の圧力はさらに上昇する。このような状態で汚れた濾材を巻き取って汚れていない濾材を供給しようとすると、液圧によって濾材が損傷するおそれがあるという問題がある。本実施形態の濾過機5では、濾材に対する濾過前の液体の放散は、気中で行われる。そして、濾過は、濾材を濾過前の液体に浸漬した状態で行うのではなく、濾材に対して濾過前の液体を放散しながら行う。このため、濾材に対してそれほど大きな液圧は作用しない。汚れた濾材を第2部分に排出する際に、濾材に対して大きな液圧が作用することが防止されているから、濾過室57への汚れていない濾材の供給と、第2部分への汚れた濾紙の排出を円滑に行うことができる。
【0068】
濾材51が目詰まりした際に液位が上昇しすぎないようにするために、フローティングセンサーが検知する液面の上限位置は、濾材にフローティングセンサーが干渉しない範囲で、濾材に対して近く設定することが好ましい。このようにすれば、液位が過剰に上昇する前に、汚れた濾材が第2収納室56に排出されるため、液位が過剰に上昇することを防ぐことが可能になる。
【0069】
濾過機5では、濾材51が目詰まりした際には、第1部分から汚れていない濾材が濾過室57へと供給され、塵芥で汚れた濾材51が第2部分へと搬送される。このとき、濾材51に液分が含まれていると、濾材51を第2部分へ搬送した際に第2部分が塵芥を含む液分で汚染されてしまう。従来の濾過機においても、第2部分へ濾材を排出する際に、スクレーパーなどで塵芥を書き落とす程度であり、液分の処理は必ずしも十分でなかった。そのような場合は、第2部分から塵芥を含む液体が漏れ出して、濾過機の外に塵芥を含む液体が漏れ出して環境を汚染するおそれがある。そこで、
図1に示す集塵機1と濾過機5とを組み合わせた装置(集塵濾過装置)では、以下のような構成を採用している。
【0070】
すなわち、塵芥を含有する空気に含まれる塵芥を捕集する捕集用の液体を貯留する捕集槽を有する集塵機と、捕集槽に貯留された塵芥を含有する液体を濾過する濾過機とを有する集塵濾過装置であって、濾過機は、汚れていない濾材を貯めておく第1部分と、汚れた濾材を排出するための第2部分と、第1部分と第2部分との間に展延された濾材に塵芥を含有する液体を供給する給液部と、濾過後の液体を貯留する貯留槽とを有しており、集塵機の貯留槽と濾過機の給液部は、第1経路94により、液密に接続されており、濾過機の貯留槽と集塵機の捕集槽とは、第2経路95により、液密に接続されており、第1経路94には、貯留槽からの液体の供給の有無を切り替える第1弁91と、第1経路への外気の供給の有無を切り替える第2弁92とが配されており、第2経路95には、ポンプ62が配されている集塵濾過装置である。なお、貯留槽は、
図1の例では、第2貯留槽13である。
【0071】
上記の集塵濾過装置では、第1弁91を操作して貯留槽から給液部への液体の供給を遮断し、第2弁92を操作して第1経路94へ外気が取り込まれるようにし、第2経路95のポンプを作動させることにより、濾材51に外気を供給することが可能になる。このようにすることで、濾過室57の汚れた濾材に外気を供給して濾材の液分を切ることができる。このようにして、濾材51の液切りを行うことによって、上記の第2部分が液体で汚染されることを防ぐことができるようになっている。なお、
図1の例では、第1経路94から分岐する第3経路96に第2弁92が設けられている。第2弁92を開閉することにより、第3経路96を経て第1経路94へと外気を供給したり遮断したりすることができる。
【0072】
第2経路95には、ポンプ62の下流、すなわち、ポンプ62と捕集槽との間に逆止弁93が配置されている。逆止弁93によって、捕集槽の液体が貯留槽63へと逆流しないように対策されている。
【0073】
第1弁又は第2弁としては、流体の供給の有無を切り替えることができる弁を使用することができる。供給の有無の切り替えは、手動又は自動により行うことができる。例えば、第1弁又は第2弁としては、電磁弁を使用することができる。
【0074】
第1経路、第2経路、又は第3経路は、液密又は気密に構成された経路であればよく、合成樹脂材料で構成した配管、弾性を有する合成樹脂材料で構成した弾性配管、金属製の配管などが挙げられる。
【0075】
以上のような濾過機5を、上記の集塵機1に組み合わせている。集塵機の稼働を続けると、第2捕集槽21に貯留された塵芥捕集用の液体に含まれる塵芥の濃度が上昇する。このまま放置すると、上述の通り、集塵機の排出口から塵芥が外気中に漏出する原因となる。しかし、濾過機5のポンプ62を作動させることによって、貯留槽63と第二貯留槽21とを接続する第2経路95を経て、貯留槽63に含まれる清浄な液体が集塵機2の第2捕集槽21に供給されると共に、第2捕集槽21と給液部53とを接続する第1経路94を経て、第2捕集槽21に貯留された液体が、給液部53から押し出されて濾材51で濾過される。濾過された液体は、貯留槽63へ移動し、上記経路を経て、再び第2捕集槽21へと搬送される。つまり、第2捕集槽21は、塵芥を捕集するための液体を循環させながら濾過できるように濾過機5と接続されており、第2捕集槽21の液体は集塵機1と濾過機5との間で循環させながら濾過されるため、第2貯留槽21の液体は塵芥の濃度が低い状態に維持される。これによって、排気口から塵芥が環境中に排出されることがより確実に防止される。これに加えて、上記の実施形態に係る集塵機1は、液切板20と屈曲部材とを備えるため、ブロアの流速を大きく上昇させても、塵芥や塵芥を含有する液分が排気口から排出されることを防ぐことができる。
【0076】
濾過機5が濾過を継続すると、濾材51が塵芥で目詰まりしてくる。その際には、第1部分から汚れていない濾材51を濾過室57へと供給することにより、濾過の効率の低下を防いで、第2貯留槽21の液体を清浄に維持することができる。これによっても、塵芥や塵芥を含有する液分が集塵機の排気口から排出されることを防ぐことができる。
【0077】
上記の実施形態に係る濾過機5では、液分を含む気体や塵芥が排気口から吐出されないように対策されているため、ブロアの流量を、例えば従来の3倍程度に増加させることが可能である。従来の気体の流量は、一例として、0.6m/秒が上限であったところ、1.8m/秒としても、排気口から液分を含む気体や塵芥が排気口から排出されるのを防止することができた。集塵機を小型化した場合でも、ブロアの流量を上げることにより、単位時間あたりに集塵機に取り込んで集塵することができる空気の量を増大することが可能になる。つまり、小型の集塵機でありながら、大型の集塵機と並ぶ程度の空気の処理量を稼ぐことが可能になる。