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  • 特許-体液収集袋 図1
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  • 特許-体液収集袋 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】体液収集袋
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
A61M1/00 111
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020042134
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021142056
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502131442
【氏名又は名称】トクソー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】徳永 修一
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-509866(JP,A)
【文献】特開2016-030014(JP,A)
【文献】特開2011-024616(JP,A)
【文献】特開2014-147436(JP,A)
【文献】国際公開第88/010124(WO,A1)
【文献】特開2004-285191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液吸引装置の吸引チューブと吸引ポンプとの間に着脱自在に設けられ、吸引ポンプの吸引力によって吸引チューブから吸引した体液を収集するための体液収集袋において、
密閉された袋状の本体の内部を、体液を貯留するための貯留部と、吸引チューブに連結される連結管の先端を被覆する被覆部とに区画し、本体の内部に収容した連結管で貯留部と被覆部とを連通するとともに、連結管とは別に貯留部と被覆部とを連通する連通路を形成したことを特徴とする体液収集袋。
【請求項2】
前記連通路に、吸引ポンプの吸引力に抗する抵抗体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の体液収集袋。
【請求項3】
前記貯留部の上部に、体液の付着によって着色する着色体を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体液収集袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液吸引装置の吸引チューブと吸引ポンプとの間に着脱自在に設けられ、吸引ポンプの吸引力によって吸引チューブから吸引した体液を収集するための体液収集袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療用途や介護用途等において患者の痰や唾液などの体液を吸引除去するために体液吸引装置が広く利用されている。
【0003】
この体液吸引装置は、吸引ポンプに吸引チューブを間に体液収集容器を介して接続した構成となっている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、体液吸引装置では、吸引チューブで体液を呼気とともに吸引し、吸引した体液を体液収集容器に収集し、収集した体液を使用者や介護者等が廃棄するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-307185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の体液吸引装置では、体液収集容器で収集した体液を廃棄する際に体液が付着してしまったり、体液収集容器に菌や塵などが付着してしまうおそれがあり、衛生上での安全性が低減するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、体液吸引装置の吸引チューブと吸引ポンプとの間に着脱自在に設けられ、吸引ポンプの吸引力によって吸引チューブから吸引した体液を収集するための体液収集袋において、密閉された袋状の本体の内部を、体液を貯留するための貯留部と、吸引チューブに連結される連結管の先端を被覆する被覆部とに区画し、本体の内部に収容した連結管で貯留部と被覆部とを連通するとともに、連結管とは別に貯留部と被覆部とを連通する連通路を形成することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記連通路に、吸引ポンプの吸引力に抗する抵抗体を設けることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記貯留部の上部に、体液の付着によって着色する着色体を設けることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、体液吸引装置の吸引チューブと吸引ポンプとの間に着脱自在に設けられ、吸引ポンプの吸引力によって吸引チューブから吸引した体液を収集するための体液収集袋において、密閉された袋状の本体の内部を、体液を貯留するための貯留部と、吸引チューブに連結される連結管の先端を被覆する被覆部とに区画し、本体の内部に収容した連結管で貯留部と被覆部とを連通するとともに、連結管とは別に貯留部と被覆部とを連通する連通路を形成することにしているために、連結管に菌や塵などが付着してしまうのを防止することができるとともに、収集した体液を体液収集袋ごと廃棄することができ、衛生上での安全性を向上させることができる。
【0012】
特に、連通路に、吸引ポンプの吸引力に抗する抵抗体を設けた場合には、吸引ポンプの吸引力で体液収集袋を膨らませることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0013】
また、貯留部の上部に、体液の付着によって着色する着色体を設けた場合には、体液収集袋の交換時期を目視により確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】体液吸引装置を示す説明図。
図2】体液収集袋を示す正面図。
図3】同斜視説明図。
図4】他の体液収集袋を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る体液収集袋の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、体液収集袋1は、患者の痰や唾液などの体液を吸引除去するための体液吸引装置2で使用される。体液吸引装置2は、吸引ポンプ3に吸引パイプ4の基端部を接続し、吸引パイプ4の先端部に体液収集容器5を接続し、体液収集容器5に吸引チューブ6の基端部を接続している。体液収集容器5の内部には、体液収集袋1が着脱自在に収容されており、吸引チューブ6の基端部に体液収集袋1を着脱自在に接続されている。
【0017】
そして、体液吸引装置2は、吸引ポンプ3を吸引駆動させることで、吸引チューブ6の先端から看者の体液を吸引し、吸引した体液を体液収集袋1に貯留するようになっている。体液収集袋1は、使用前に吸引チューブ6の基端部に接続して体液収集容器5の内部に収容し、体液がある程度貯留された後に体液収集袋1ごと廃棄するとともに新たな体液収集袋1に交換して使用される。
【0018】
体液収集袋1は、図2及び図3に示すように、透明で可撓性を有する2枚のシート7,8の周囲(上側のシート7の下面周囲と下側のシート8の上面周囲)をシール剤9で接着して密閉された袋状の本体10を形成している。
【0019】
本体10は、中途上部(上側のシート7の下面中途上部と下側のシート8の上面中途上部)をシール剤11で接着することによって、シール剤11によるシール部よりも下側に形成される体液を貯留するための貯留部12と、その貯留部12よりも上方側に形成される被覆部13とに区画している。
【0020】
貯留部12と被覆部13とは、連結管14によって連通されている。この連結管14は、基端部が貯留部12に収容されるとともに、先端部が被覆部13に収容されている。これにより、体液収集袋1の使用前においては、連結管14の先端部が被覆部13で被覆されている。体液収集袋1の使用時には、被覆部13を開封(破断)して連結管14の先端部に吸引チューブ6の基端部を接続する。なお、被覆部13の開封を容易にするために、上下に伸延する連結管14の直上方側の本体10にV字の切込などを形成してもよい。
【0021】
また、貯留部12と被覆部13とは、連結管14とは別に連通管15によって形成される連通路によっても連通されている。連通管15も基端部が貯留部12に収容されるとともに、先端部が被覆部13に収容されている。
【0022】
連通管(連通路)15の内部には、吸引ポンプ3の吸引力に抗する抵抗体16を設けている。この抵抗体16は、フィルターでもよく、また、体液の付着によって着色(変色)する材料で形成したものでもよい。なお、抵抗体16を体液の付着によって着色する着色体とする場合に限られず、本体10の貯留部12の上部側に抵抗体16とは別に着色体を設けてもよい。
【0023】
なお、連結管14と連通管15は、上側のシート7と下側のシート8とに挟まれてシール剤11で接着されている。
【0024】
体液収集袋1は、体液吸引装置2の使用前に被覆部13を開封して連結管14の先端部に吸引チューブ6の基端部を接続して体液収集容器5の内部に収容すると、貯留部12と吸引チューブ6とが連結管14を介して連通されるとともに、貯留部12と吸引ポンプ3(吸引パイプ4)とが連通管15や被覆部13の開封部分を介して連通される。そして、体液収集袋1は、体液吸引装置2の使用時に吸引ポンプ3の吸引力によって吸引チューブ6から吸引された体液が貯留部12に貯留される。その使用直前には、連通管(連通路)15の内部に抵抗体16が設けられているために、吸引チューブ6によって大気開放された連通管(連通路)15の基端側の貯留部12の内部圧力の方が連通管(連通路)15の先端側よりも高くなり、体液収集袋1の貯留部12を体液収集容器5の内部で膨らませることができる。
【0025】
上記体液収集袋1では、連通管15によって貯留部12と被覆部13とを連通する連通路を形成しているが、これに限られず、図4に示す体液収集袋17のように、貯留部12と被覆部13とを一部切欠させた状態でシール剤11で接着することによって連通路18を形成してもよい。
【0026】
また、体液収集袋17のように、被覆部13の開封作業を容易なものとするために、被覆部13の連結管14の先端部分に対応する位置に開口19を形成するとともに、その開口19を封止シート20で封止した構成としてもよい。
【0027】
また、体液収集袋17のように、貯留部12の内部に、体液を吸収して固化させる固化材21などを収容してもよい。
【0028】
以上に説明したように、上記体液収集袋1は、体液吸引装置2の吸引チューブ6と吸引ポンプ3との間に着脱自在に設けられ、吸引ポンプ3の吸引力によって吸引チューブ6から吸引した体液を収集するために使用される。
【0029】
そして、上記体液収集袋1では、密閉された袋状の本体10の内部を、体液を貯留するための貯留部12と、吸引チューブ6に連結される連結管14の先端を被覆する被覆部13とに区画し、本体10の内部に収容した連結管14で貯留部12と被覆部13とを連通するとともに、連結管14とは別に貯留部12と被覆部13とを連通する連通路(連通管15や連通路18)を形成した構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の体液収集袋1では、使用前に連結管14を被覆部13で被覆しておくことができるので、使用者が誤って連結管14の先端部や先端開口部に接触してしまい連結管14の先端部や先端開口部が汚損してしまうのを防止することができる。
【0031】
また、上記構成の体液収集袋1では、使用後に連結管14を被覆部13で被覆しながら吸引チューブ6から取外して体液を体液収集袋1ごと廃棄することができるので、使用者(看護者や介護者や患者など)に誤って体液が付着してしまうのを防止することができる。
【0032】
このように、上記構成の体液収集袋1では、衛生上での安全性を向上させることができる。しかも、上記構成の体液収集袋1では、従来のように体液収集容器5から体液を廃棄するとともに体液収集容器5を洗浄するといった作業を省くことができ、使用者の負担を軽減することができる。
【0033】
また、上記体液収集袋1は、連通路(連通管15)に、吸引ポンプ3の吸引力に抗する抵抗体16を設けた構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成の体液収集袋1では、吸引ポンプ3の吸引力で体液収集袋1を膨らませることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0035】
また、上記体液収集袋1は、貯留部12の上部(たとえば、抵抗体16)に、体液の付着によって着色する着色体を設けることで、体液収集袋1の交換時期を目視により容易に確認することができるようになる。
【符号の説明】
【0036】
1 体液収集袋 2 体液吸引装置
3 吸引ポンプ 4 吸引パイプ
5 体液収集容器 6 吸引チューブ
7,8 シート 9 シール剤
10 本体 11 シール剤
12 貯留部 13 被覆部
14 連結管 15 連通管
16 抵抗体 17 体液収集袋
18 連通路 19 開口
20 封止シート 21 固化材
図1
図2
図3
図4