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  • 特許-展開式脊椎骨拡張装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】展開式脊椎骨拡張装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/58 20060101AFI20220727BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61B17/58
A61B17/70
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020209647
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2021094404
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】108146387
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】520446344
【氏名又は名称】柏力科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 立生
(72)【発明者】
【氏名】趙 哲揚
(72)【発明者】
【氏名】高 立寰
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258600(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0070911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - A61B 17/92
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端と後端を有する軸心と、
前記前端から前記後端に向かうにしたがって厚みが増す複数の展開プレートと、前記軸心の軸方向において展開部の前記軸心との相対位置を固定し且つ前記軸心の径方向において前記展開部に対して固定部の内部で前記軸心を回転可能とする前記固定部と、各前記展開プレートを前記固定部に連結する連結部とを有する前記展開部と、
前記軸心に外嵌され、前記軸心の径方向において前記軸心と前記展開プレートの内面との間に位置して前記軸心と前記内面に接しており、前記内面は前記展開プレートの厚み方向に垂直であり、前記展開部に対して前記後端に向かって移動すると前記展開プレートが展開されて脊椎骨の高さと形状を回復させ、また前記展開部に対して前記後端に向かって移動するときに前記軸心上の複数の位置のうちのいずれの位置でも停止でき、かつ停止した位置で前記展開プレートに接しながら安定に固定されることにより、前記展開部が前記いずれの位置まで展開でき、かつ前記展開した位置で安定に固定される展開リングとを備える展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項2】
前記軸心は本体を有し、前記本体の外面にねじ山が設けられ、前記展開リングの内面には当該ねじ山に対応するねじ山が設けられている請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項3】
前記軸心の前記後端は専用工具によって前記軸心を前記固定部の内部で前記展開プレートに対して回転可能なようにされた操作端である請求項2に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項4】
前記操作端は六角形である請求項3に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項5】
前記展開リングは前記展開プレートが展開されると形成される隙間に挿入されて少なくとも1つの前記展開プレートの側面に接するようにされた少なくとも1つの突起部を含む請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項6】
前記軸心はフランジを有し、前記固定部は前記フランジに外嵌されている請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項7】
前記軸心の前記前端に接続されるナットをさらに備える請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項8】
前記軸心の内部は中空であり、充填材を人体に注入するための注入開口部および少なくとも1つの流出開口部が設けられている請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項9】
前記軸心には前記少なくとも1つの前記流出開口部が前記軸心の径方向に設けられている請求項8に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【請求項10】
各前記展開プレートは幅Dを有し、前記連結部は幅dを有し且つ各前記展開プレートに連結しており、d<(1/2)Dである請求項1に記載の展開式脊椎骨拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開式脊椎骨拡張装置に関し、特に、人体に移植された後、径方向に拡張して脊椎骨を拡張し、復位治療効果を達成することができる脊椎骨拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の脊椎骨(例えば頸椎、胸椎、腰椎、)が圧迫骨折(compression fracture)を受けたり、骨密度が良くないため陥没したりした場合、脊椎骨拡張装置を使用し、人体の脊椎骨に移植し、脊椎椎体を上下両方向に拡張し、復位治療の効果を達成する必要がある。脊椎骨拡張装置に関する先行技術は、例えば特許文献1、特許文献2、および特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】US 7,846,206 B2
【文献】US 9,414,933 B2
【文献】TW I 589266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の先行技術とは異なる展開式機械構造を採用して、先行技術の部品数を削減させることにより、その製造及び組立をずっと容易にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その一つの観点について、本発明は、軸心と、展開部と、展開リングとを備える展開式脊椎骨拡張装置である。前記軸心は前端と後端を有する。前記展開部は、前記前端から前記後端に向かうにしたがって厚みが増す複数の展開プレートと、前記軸心の軸方向において前記展開部の前記軸心との相対位置を固定し且つ前記軸心の径方向において前記展開部に対して固定部の内部で前記軸心を回転可能とする前記固定部と、各前記展開プレートを前記固定部に連結する連結部とを有する。前記展開リングは前記軸心に外嵌され、前記軸心の径方向において前記軸心と前記展開プレートの内面との間に位置して前記軸心と前記内面に接しており、前記内面は前記展開プレートの厚み方向に垂直であり、前記展開部に対して前記後端に向かって移動すると前記展開プレートが展開されて脊椎骨の高さと形状を回復させ、また前記展開部に対して前記後端に向かって移動するときに前記軸心上の複数の位置のうちのいずれの位置でも停止でき、かつ停止した位置で前記展開プレートに接しながら安定に固定されることにより、前記展開部が前記いずれの位置まで展開でき、かつ前記展開した位置で安定に固定される。
【0006】
好ましくは、前記軸心は本体を有し、前記本体の外面にねじ山が設けられ、前記展開リングの内面には当該ねじ山に対応するねじ山が設けられている。
【0007】
好ましくは、前記軸心の前記後端は専用工具によって前記軸心を前記固定部の内部で前記展開プレートに対して回転可能なようにされた操作端である。
【0008】
好ましくは、前記操作端は六角形である。
【0009】
好ましくは、前記展開リングは前記展開プレートが展開されると形成される隙間に挿入されて少なくとも1つの前記展開プレートの側面に接するようにされた少なくとも1つの突起部を含む。
【0010】
好ましくは、前記軸心はフランジを有し、前記固定部は前記フランジに外嵌されている。
【0011】
好ましくは、本発明の展開式脊椎骨拡張装置は、前記軸心の前記前端に接続されるナットをさらに備える。
【0012】
好ましくは、前記軸心の内部は中空であり、注入開口部および流出開口部を備えている。
【0013】
好ましくは、前記軸心には前記少なくとも1つの前記流出開口部が前記軸心の径方向に設けられている。
【0014】
好ましくは、各前記展開プレートは幅Dを有し、前記連結部は幅dを有し且つ各前記展開プレートに連結しており、d<(1/2)Dである。
【0015】
本発明の目的、技術的内容、特徴、および達成される効果がより容易に理解されるように、以下では具体的実施形態により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態の拡張状態を示す斜視図。
図2図1の部品分解斜視図。
図3】本発明の第1実施形態の収納状態を示す斜視図。
図4】本発明の第2実施形態の拡張状態を示す斜視図。
図5図4の部品分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における図面は概略図であり、専ら各構造部分の役割とその間の相互関係を表すことを意図している。形状、厚さ及び幅などは、実施時に調整変更することができる。
【0018】
<第1実施形態>
図1図3に本発明の展開式脊椎骨拡張装置100の第1実施形態を示す。図1は本発明の第1実施形態の拡張状態を示す斜視図、図2は本発明の第1実施形態の部品分解斜視図、図3は本発明の第1実施形態の収納状態を示す斜視図である。これらの図では展開式脊椎骨拡張装置100の(図に向かって)右端を前端、左端を後端とする。展開式脊椎骨拡張装置100を人体内に移植するための手術(例えば低侵襲手術)を実施する場合、最初に展開式脊椎骨拡張装置100の右端が挿入される。
【0019】
本発明の展開式脊椎骨拡張装置100は、軸心101と、拡張部102と、展開リング103とを備える。展開部102と展開リング103は軸心101に外嵌されている。展開リング103は、軸心101の径方向において軸心101と展開部102との間に位置している。軸心101の本体の外面にはねじ山が設けられており、展開リング103の内部には対応するねじ山が設けられている。
【0020】
軸心101の後端(左端)は操作端101Aであり、執刀医が操作端101Aを回転させると、軸心101が展開リング103の内側で回転(すなわち軸心に相対する展開リング103が軸心101の本体の外面で回転)する。これにより、軸心101が展開リング103の内側を通って直線移動(すなわち軸心101に相対する展開リング103が軸心101の軸方向に移動)する。本実施形態では操作端101Aは六角形であり、執刀医は六角形の専用ツールを使用してこれを回転させることができる。しかし本発明はこれに限定されない。操作端101Aは執刀医が対応する専用器具を使用して回転させられるように、任意の制御可能な回転形態に設計することができる。
【0021】
展開部102は、展開プレート102Aと、固定部102Bと、連結部102Cとを有する。展開プレート102Aは複数の展開プレート102Aを有しており、展開プレート102Aの厚さ102A1は(図面に向かって)右から左に向かって徐々に厚くなっている。この部分の機能については後述する。展開プレート102Aの形状はこれに限定されない。本実施形態では軸心101の軸方向の平面上に投影される展開プレート102Aは矩形であり、軸心101の径方向の平面上に投影される展開プレート102Aは円弧状であるが、これはあくまで好ましい実施形態の一例である。
【0022】
固定部102Bは、展開部102と軸心101との(軸心101の軸方向における)相対位置を固定するためのものである。固定状態はどのような方法で実施されてもよく、本実施形態はその一例に過ぎない。本実施形態では、軸心101はフランジ101Bを有し、固定部102Bはフランジ101Bに外嵌されて操作端101Aに当接している。これにより軸心101の軸方向における軸心101との展開部102の位置が固定される。ただし、軸心101の径方向においては、軸心101は固定部102Bの内側で展開部102に対して回転可能である。連結部102Cは展開プレート102Aと固定部102Bとを連結するためのものである。
【0023】
執刀医が軸心101を展開リング103に対して(展開部102に対しても)回転させ、展開リング103の内側を通して軸心101を右方向に移動させると、展開リング103は展開部102に対して左方向に移動することになる。展開プレート102Aの厚さ102A1は(図面に向かって)右側から左側に向かって徐々に厚くなっているので、展開部102に対して展開リング103が左側に移動すると展開プレート102Aが展開され、脊椎体が展開されるという効果が得られる。
【0024】
図2を参照する。本実施形態では、展開リング103は少なくとも1つの突起部103Aを有し、好ましくは、展開プレート102Aの数に等しい数の突起部103Aを有する。突起部103Aは、展開プレートが拡張された後に生じた隙間に挿入されて展開プレート102Aの側面に当接可能なため、展開プレート102Aが人体の抵抗力を受けて内向きに引っ込もうとする場合は突起部103Aが展開プレート102Aの側面に当接するので、展開リング103が容易に右方に後退することはなく、位置決めされた状態に保持される。
【0025】
別の実施形態では、軸心101は中空であり、注入開口部および流出開口部を備えており、人体への移植後に注入開口部から軸心101の中空部を介して骨セメントまたは骨補填材などの充填物を注入して流出開口部から流出させることを容易にする。例えば、充填材は軸心101の左端(操作端101Aに注入開口部が設けられている)から軸心101の内部を通って、軸心101の右端(流出開口部が設けられている)から人体に注入されてもよい。
【0026】
図1図2を参照する。別の実施形態では、充填物は軸心101の左端の注入開口部から軸心101の内部を通して注入され、軸心101の右端から人体へ移植される。さらに軸心101に径方向に流出開口部を設け、充填物の放出経路を増加させることができる。図1図2には開口部101Cを1つの例として示す。なお開口部101Cの数及び寸法形状は一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
図2を参照する。本実施形態では、各展開プレート102Aの幅(すなわち半径方向平面上の円周長)はDであり、各展開プレート102Aの接続部102C幅はdであり、展開プレート102Aを広げるのに必要な力を低減するため、d<Dとしている。別の実施形態ではd<(1/2)Dである。
【0028】
別の実施形態では、軸心101の右端部にナット109を巻き戻すか、またはナット109を固定して配置して、展開リング103が軸心101から完全に外れるのを防止することができる。しかし、このような懸念がない場合、ナット109は必須ではなく、省略可能である。
【0029】
<第2実施形態>
図4図5を参照する。本発明の第2実施形態による展開式脊椎骨拡張装置200の拡張状態を示す斜視図および部品分解斜視図を示す。本実施形態では、展開プレート102Aの数は2個に限られず、もっと多くすることもできる。また、展開リング103の突起部103Aの数についても同様である。
【0030】
図5を参照する。固定部102B及び接続部102Cも、図1図3に示した外形及び構造に限定されることなく変更可能である。固定部102Bは、軸心101の軸方向におおける軸心101と展開部102との相対的な位置の固定を助け、連結部102Cが展開プレート102Aを展開することを許容する限り、本発明の趣旨に合致する。
【0031】
<その他の実施形態>
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、以上の実施形態は、当業者が本発明の内容を容易に理解できるようにするためにのみ示したものであって、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。本発明と同じ趣旨の下で、当業者は様々な等価的な変形を設計できる。
【0032】
例えば、主な機能に影響しない条件の下で、他の部品を付加することができる。または、上記の実施形態で各分離し、独立した部品が組み合わされた部品として示されているもの、例えば展開部102の固定部102Bと連結部102Cなどは、一体成形されてもよい。
【0033】
また、例えば軸心101への展開プレート102Aの軸方向の平面上に投影される形状は矩形である必要はなく、また軸心101への半径方向の平面上に投影される形状は円弧である必要はなく、展開可能という効果を達成可能であればどのような形状であってもよい。
【0034】
これらは本発明の開示内容から類推することができる。よって本発明の範囲は、上記、及び、他のすべての同等範囲の変更を含むものとする。
【符号の説明】
【0035】
100、200 展開式脊椎骨拡張装置
101 軸心
101A 操作端
101B フランジ
101C 開口部
102 展開部
102A 展開プレート
102A1 展開プレートの厚さ
102B 固定部
102C 連結部
103 展開リング
103A 突起部
109 ナット
D 展開プレートの幅
d 接続部の幅
図1
図2
図3
図4
図5