(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】2次元画像を3次元画像に変換する方法、装置、画像処理機器、記憶媒体及び3次元イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220727BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220727BHJP
G06V 20/64 20220101ALI20220727BHJP
H04N 13/128 20180101ALI20220727BHJP
H04N 13/261 20180101ALI20220727BHJP
【FI】
G06T7/00 C
G06T1/00 500A
G06V20/64
H04N13/128
H04N13/261
(21)【出願番号】P 2020564472
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2019085688
(87)【国際公開番号】W WO2019218887
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】201810456740.4
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520442106
【氏名又は名称】蘇州新光維医療科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 一
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
G06V 20/64
H04N 13/128
H04N 13/261
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元画像を3次元画像に変換する方法であって、
処理対象の2次元画像を取得するステップと、
前記処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得るステップであって、前記透視変換は、予め設定された規則に従って前記処理対象の2次元画像をマッピングすることであるステップと、
前記透視変換の結果に基づいて前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するステップと、
距離調整後の前記左眼画像及び前記右眼画像を合成するステップと、
を含
み、
前記処理対象の2次元画像を透視変換するステップは、
前記処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、前記処理対象の2次元画像のサイズを抽出するステップと、
前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得るステップと、
前記第1の画像をミラーリングして第2の画像を得るステップと、を含み、
前記第1の画像は、前記左眼画像であり、前記第2の画像は、前記右眼画像であり、又は、前記第1の画像は、前記右眼画像であり、前記第2の画像は、前記左眼画像であり、
前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングするステップは、
前記処理対象の2次元画像を1行ずつ走査するステップと、
各行の画像に対して前記線形スケーリングを順次行うステップと、
を含むことを特徴とする2次元画像を3次元画像に変換する方法。
【請求項2】
前記透視変換の結果に基づいて前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するステップは、
前記左眼画像と前記右眼画像を同時に前記画像テンプレートに整列するステップと、
前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離が予め設定された距離となるように、前記左眼画像又は右眼画像を第1の方向に沿って平行移動するステップと、
を含むことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理対象の2次元画像は、ビデオストリーム内の1フレーム画像であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2次元画像を3次元画像に変換する装置であって、
処理対象の2次元画像を取得するための取得モジュールと、
前記処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得るための透視変換モジュールであって、前記透視変換は、予め設定された規則に従って前記処理対象の2次元画像をマッピングすることである透視変換モジュールと、
前記透視変換の結果に基づいて、前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するための調整モジュールと、
距離調整後の前記左眼画像及び前記右眼画像を合成するための合成モジュールと、
を含
み、
透視変換モジュールは、
前記処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、前記処理対象の2次元画像のサイズを抽出するための抽出ユニットと、
前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得るための線形スケーリングユニットと、
前記第1の画像をミラーリングして第2の画像を得るためのミラーリングユニットと、を備え、
前記第1の画像は、前記左眼画像であり、前記第2の画像は、前記右眼画像であり、又は、前記第1の画像は、前記右眼画像であり、前記第2の画像は、前記左眼画像であり、
前記線形スケーリングユニットは、前記処理対象の2次元画像を1行ずつ走査し、各行の画像に対して前記線形スケーリングを順次行うことを特徴とする2次元画像を3次元画像に変換する装置。
【請求項5】
画像処理機器であって、
メモリとプロセッサとを含み、
前記メモリと前記プロセッサとの間は、互いに通信接続され、
前記メモリには、コンピュータ命令が記憶されており、
前記プロセッサは、前記コンピュータ命令を実行することで、請求項1~
3のいずれか1項に記載の2次元画像を3次元画像に変換する方法を実行することを特徴とする画像処理機器。
【請求項6】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の2次元画像を3次元画像に変換する方法を
コンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項7】
3次元イメージングシステムであって、
画像を採集するレンズがシングルレンズで構成される画像採集機器と、
前記画像採集機器に電気的に接続され、2次元画像を3次元画像に変換するための請求項
5に記載の画像処理機器と、
前記画像処理機器に電気的に接続され、前記3次元画像を表示するための画像表示機器と、
を備えることを特徴とする3次元イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術分野に関し、具体的には、2次元画像を3次元画像に変換する方法、装置及び3次元イメージングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体視、即ち両眼で物を見る場合、主観的には被視物体の厚み及び空間の深さや距離などの感覚を生じさせることができる。これは、同一の被視物体でも両眼の網膜上の像が全く同じではなく、左眼では物体の左側面が左方から多く見え、右眼では物体の右側面が右方から多く見えることが主な原因であり、両眼からの画像情報は、視覚的に高度の中枢処理を受けることにより、立体的な物体のイメージを生成する。
【0003】
表示技術やデジタル技術の発展に伴い、電子製品を用いて人間の眼を模倣した立体視が研究のホットスポットになっている。従来技術では、3次元(3D)カメラを使用する場合にのみユーザが3D画像を見ることができる。従来の3Dカメラの大部分は、人間の眼を模倣した構成であり、両カメラから構成され、一方のカメラが採集した画像は、人間の眼の左眼画像に対応し、他方のカメラが採集した画像は、人間の眼の右眼画像に対応し、画像処理機器により左眼画像及び右眼画像を合成することで、3D画像を形成することができる。
【0004】
このうち、従来技術では、3Dカメラで画像を採集する場合、左眼用画像及び右眼用画像を得るために、カメラのレンズ前方には、互いに偏光方向が直交する2枚の偏光板を設けるのが一般的であった。各カメラは、1つの偏光方向の画像のみ採集するため、画像全体の解像度、鮮明度が実際の画像の半分になり、さらに3Dイメージングの効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明の実施例は、3Dイメージングの効果が低いという問題を解決するための2次元画像を3次元画像に変換する方法、装置及び3次元イメージングシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明の実施例に係る2次元画像を3次元画像に変換する方法は、
処理対象の2次元画像を取得するステップと、
前記処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得るステップであって、前記透視変換は予め設定された規則に従って前記処理対象の2次元画像をマッピングすることであるステップと、
前記透視変換の結果に基づいて前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するステップと、
距離調整後の前記左眼画像及び前記右眼画像を合成するステップと、を含む。
【0007】
本発明の実施例は、処理対象の2次元画像を透視変換することにより、両眼視差画像を作り出し、立体視を実現し、また透視変換された左眼画像及び右眼画像を距離調整し、両眼視差を形成し、輻輳角を作り、肉眼で観察した画像が異なる深さに位置するようにすることで、異なる立体効果を見ることができる。即ち、2次元画像を画像変換することにより、画像の解像度や鮮明度に関係なく、さらに3Dイメージングされた画像は、元の2次元画像と同じ画質であり、3Dイメージングの効果に影響を与えない。
【0008】
第1の態様のうえで、第1の態様の第1の実施形態では、前記処理対象の2次元画像を透視変換するステップは、
前記処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、前記処理対象の2次元画像のサイズを抽出するステップと、
前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得るステップと、
前記第1の画像をミラーリングして第2の画像を得るステップと、含み、
前記第1の画像は、前記左眼画像であり、前記第2の画像は、前記右眼画像であり、又は、前記第1の画像は、前記右眼画像であり、前記第2の画像は、前記左眼画像であるステップと、を含む。
【0009】
本発明の実施例は、2次元画像を線形スケーリングすることにより左右眼に対応する2枚の画像に変換し、即ち、視差のない2D画像を視差のある左眼画像と右眼画像に変換し、この変換プロセスは、画質に関係なく画像サイズのみに関わり、したがって、線形スケーリングによって形成された左眼画像及び右眼画像は、元の2次元画像と同じ品質である。本発明の実施例に係る変換方法は、画質を維持したまま、左眼画像及び右眼画像を形成することができる。
【0010】
第1の態様の第1の実施形態のうえで、第1の態様の第2の実施形態では、前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングするステップは、
前記処理対象の2次元画像を1行ずつ走査するステップと、
各行の画像に対して前記線形スケーリングを順次行うステップと、を含む。
【0011】
本発明の実施例は、処理対象の2次元画像を1行ずつ走査し、即ち各行に対して線形スケーリングを順次行うことで、処理するデータ量を減らし、2次元画像のリアルタイム変換を図ることができる。
【0012】
第1の態様の第1の実施形態のうえで、第1の態様の第3の実施形態では、前記透視変換の結果に基づいて前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するステップは、
前記左眼画像と前記右眼画像を同時に前記画像テンプレートに整列するステップと、
前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離が予め設定された距離となるように、前記左眼画像又は右眼画像を第1の方向に沿って平行移動するステップと、を含む。
【0013】
本発明の実施例は、同一の画像テンプレートを用いて左眼画像と右眼画像を形成し、左眼画像と右眼画像を平行移動することにより、両眼視差及び輻輳角を作り出し、変換効率を向上させる。
【0014】
第1の態様のうえで、第1の態様の第4の実施形態では、前記処理対象の2次元画像は、ビデオストリーム内の1フレーム画像である。
【0015】
本発明の実施例に係る2次元画像を3次元画像に変換する方法は、ビデオストリーム内の1フレーム画像や単一の2次元画像を変換することができ、幅広い用途を有する。
【0016】
第2の態様によれば、本発明の実施例に係る2次元画像を3次元画像に変換する装置は、
処理対象の2次元画像を取得するための取得モジュールと、
前記処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得るための透視変換モジュールであって、前記透視変換は、予め設定された規則に従って前記処理対象の2次元画像をマッピングすることである透視変換モジュールと、
前記透視変換の結果に基づいて前記左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整するための調整モジュールと、
距離調整後の前記左眼画像及び前記右眼画像を合成するための合成モジュールと、を備える。
【0017】
本発明の実施例は、処理対象の2次元画像を透視変換することにより、両眼視差画像を作り出し、立体視を実現し、また透視変換された左眼画像及び右眼画像を距離調整し、両眼視差を形成し、輻輳角を作り、肉眼で観察した画像が異なる深さに位置するようにすることで、異なる立体効果を見ることができる。即ち、2次元画像を画像変換することにより、画像の解像度や鮮明度に関係なく、さらに3Dイメージングされた画像は元の2次元画像と同じ画質であり、3Dイメージングの効果に影響を与えない。
【0018】
第2の態様のうえで、第2の態様の第1の実施形態では、透視変換モジュールは、
前記処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、前記処理対象の2次元画像のサイズを抽出するための抽出ユニットと、
前記予め設定された規則に従って各辺の前記サイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得るための線形スケーリングユニットと、
前記第1の画像をミラーリングして第2の画像を得るためのミラーリングユニットと、を備え、
前記第1の画像は、前記左眼画像であり、前記第2の画像は、前記右眼画像であり、又は、前記第1の画像は、前記右眼画像であり、前記第2の画像は、前記左眼画像である。
【0019】
第3の態様によれば、本発明の実施例に係る画像処理機器は、
メモリとプロセッサとを含み、前記メモリと前記プロセッサとの間は、互いに通信接続され、
前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、
前記プロセッサは、前記コンピュータ命令を実行することで、本発明の第1の態様、又は第1の態様の実施形態のいずれかに記載の2次元画像を3次元画像に変換する方法を実行する。
【0020】
第4の態様によれば、本発明の実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、
本発明の第1の態様、又は第1の態様の実施形態のいずれかに記載の2次元画像を3次元画像に変換する方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶する。
【0021】
第5の態様によれば、本発明の実施例に係る3次元イメージングシステムは、
画像を採集するレンズがシングルレンズで構成される画像採集機器と、
前記画像採集機器に電気的に接続され、2次元画像を3次元画像に変換するための本発明の第3の態様に記載の画像処理機器と、
前記画像処理機器に電気的に接続され、前記3次元画像を表示するための画像表示機器と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例に係る3次元イメージングシステムは、画像採集機器のレンズがシングルレンズで構成され、画像採集機器全体の体積を減少させ、また、シングルレンズの画像採集機器は、採集した画像を伝送するためのデータ線が1本だけでよいため、画像採集機器と画像処理機器とを結ぶ線の内径を小さくすることができ、この3次元イメージングシステムをサイズの小さい人体器官内に適用されて人体器官を3次元的にイメージングすることができ、3次元イメージングシステムの使用範囲をさらに拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の特徴と利点は、添付の図面を参照してより明確に理解され、図面は概略的なものであり、本発明を任意に限定するものとして解釈してはいけない。
【
図1】本発明の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する方法の特定の概略的な方法の流れ図を示す。
【
図2】本発明の実施例における輻輳角と左右眼の画像との間の距離の関係の概略図を示す。
【
図3】本発明の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する方法の別の特定の概略的な方法の流れ図を示す。
【
図4】本発明の実施例における線形スケーリングの原理の概略図を示す。
【
図5】本発明の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する方法の別の特定の概略的な方法の流れ図を示す。
【
図6】本発明の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する装置の特定の概略構成図を示す。
【
図7】本発明の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する装置の別の特定の概略構成図を示す。
【
図8】本発明の実施例における画像処理機器の特定の概略構成図を示す。
【
図9】本発明の実施例における3次元イメージングシステムの特定の概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確且つ完全に説明するが、明らかに、説明された実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な労力を付与せずに当業者が相当できる他のすべての実施例も本発明の保護範囲に含まれる。
【0025】
本発明に係る2次元画像を3次元画像に変換する方法は、2次元画像を透視変換することにより、両眼視差画像、即ち左眼画像及び右眼画像を作成し、立体視を実現し、また、左眼画像と右眼画像との間の距離を調整することで、輻輳角を作り出し、両眼視差画像と輻輳角とを組み合わせることで、3D画像を形成することができる。
【0026】
本発明の実施例は、2次元画像を3次元画像に変換する方法を提供し、
図1に示すように、該方法は、ステップS11乃至ステップS14を含む。
【0027】
ステップS11では、処理対象の2次元画像を取得する。
【0028】
2次元画像を3次元画像に変換する装置によって取得された処理対象の2次元画像は、2次元の画像であってもよく、ビデオストリーム内の1フレーム画像であってもよく、ビデオをリアルタイムで採集し、そのうちからフレーム毎の画像を抽出してもよく、この2次元画像を3次元画像に変換する装置が処理対象の2次元画像を取得できることを確保すればよい。
【0029】
ステップS12では、処理対象の2次元画像を透視変換して、左眼画像と右眼画像をそれぞれ得る。
【0030】
ここで、透視変換は、予め設定された規則に従って処理対象の2次元画像をマッピングするのである。2次元画像を3次元画像に変換する装置は、予め設定された規則に従って処理対象の2次元画像をマッピングし、即ち処理対象の2次元画像に加えて、透視変換に基づいて、画像処理により左眼画像及び右眼画像を形成する。ここで、予め設定された規則は、例えば、変換後の画像の近端が大きく、遠端が小さくなるような透視変換の方法を表現するために用いられ、透視変換後の画像を式により算出するなどであってもよい。
【0031】
ステップS13では、透視変換の結果に基づいて、左眼画像と右眼画像との間の距離を調整する。
【0032】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、透視変換後に形成される左眼画像と右眼画像との間の距離を調整して輻輳角を作り出す。
【0033】
発明者は、複数の実験を行った結果、画像の間の距離が変化すると、対応する輻輳角が変化することを見出した。例えば、
図2に示すように、輻輳角と左右眼の画像との間の距離との関係を説明し、
図2のa)に示すように、輻輳角がα1である場合には、左右眼の間の距離が小さく、
図2のb)に示すように、輻輳角がα2である場合には、左右眼の間の距離が大きく、即ち、左右眼の間の距離が変化すると、それに応じて輻輳角も変化する。そこで、本発明では、左右眼の間の距離を調整することで、輻輳角を作り出す。
【0034】
ステップS14では、距離調整後の左眼画像及び右眼画像を合成する。
【0035】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、調整後の左眼画像及び右眼画像を合成し、即ち画像変換によって作り出された両眼視差及び輻輳角を利用して、そして距離調整された左眼画像及び右眼画像を合成した後に、後続の3次元画像表示のために画像表示機器に出力する。ここで、後続の画像表示機器は、左眼画像と右眼画像の偏光方向を調整することで、2枚の画像の偏光方向が互いに直交するようになり、ユーザの使用時、3Dメガネを着用すれば3D画像の視聴を実現することができ、他の方法で偏光方向の調整を実現することもでき、人間の両眼でそれぞれ見える2枚の画像の偏光方向が互いに直交することを確保すればよい。
【0036】
本発明の実施例は、処理対象の2次元画像を透視変換することにより、両眼視差画像を作り出し、立体視を実現し、また透視変換された左眼画像及び右眼画像を距離調整し、両眼視差を形成し、輻輳角を作り、肉眼で観察した画像が異なる深さに位置するようにすることで、異なる立体効果を見ることができる。即ち、2次元画像を画像変換することにより、画像の解像度や鮮明度に関係なく、さらに3Dイメージングされた画像は、元の2次元画像と同じ画質であり、3Dイメージングの効果に影響を与えない。
【0037】
本発明の実施例は、2次元画像を3次元画像に変換する方法をさらに提供し、
図3に示すように、該方法は、ステップS21乃至ステップS24を含む。
【0038】
ステップS21では、処理対象の2次元画像を取得する。
【0039】
本実施例における処理対象の2次元画像は、ビデオストリーム内の1フレーム画像であり、2次元画像を3次元画像に変換する装置は、ビデオストリームから各フレームの画像を順次抽出して、処理対象の2次元画像とする。したがって、本実施例に係る方法は、この装置によって採集されたビデオストリームをリアルタイムで3Dビデオに変換することができる。
【0040】
によって提供S22では、処理対象の2次元画像を透視変換して、左眼画像と右眼画像をそれぞれ得る。
【0041】
ここで、透視変換は、予め設定された規則に従って処理対象の2次元画像をマッピングすることである。本実施例における2次元画像を3次元画像に変換する装置には、処理対象の2次元画像に対して正規化処理を行うための画像テンプレートが設けられている。
【0042】
具体的には、ステップS221乃至ステップS223を含む。
【0043】
ステップS221では、処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、処理対象の2次元画像のサイズを抽出する。
【0044】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、処理対象の2次元画像を取得した後、処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、処理対象の2次元画像を等比例でスケーリングして、処理対象の2次元画像がこの画像テンプレートの範囲を超えないようにするためである。
【0045】
処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列した後、処理対象の2次元画像の各辺のサイズを表すための処理対象の2次元画像のサイズを抽出する。
【0046】
ステップS222では、予め設定された規則に従ってサイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得る。
【0047】
このうち、線形スケーリングの原理は
図4に示され、元画像の左側の辺を回転軸として、所定の角度でスクリーン内部へ反転させ、及び同じ角度をスクリーン外へ回転させて、
図4の中央及び一番右にそれぞれ形成される画像に透視変換される。本実施例では、処理対象の2次元画像のサイズを線形スケーリングすることで、スケーリングされた左右眼画像が
図4に示す効果を得る。具体的には以下のステップを含んでもよい。
【0048】
(1)処理対象の2次元画像を1行ずつ走査する。
【0049】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、画像テンプレートに整列された処理対象の2次元画像を1行ずつ走査し、処理対象の2次元画像の各行のサイズを取得する。
【0050】
(2)各行の画像を順次線形スケーリングする。
【0051】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、一端が大きく、他端が小さくなるように、処理対象の2次元画像の各行のサイズを線形スケーリングし、サイズがスケーリングされた第1の画像を得る。各行に対して線形スケーリングを順次行うことで、処理するデータ量を減らし、2次元画像のリアルタイム変換を図ることができる。
【0052】
ステップS223では、第1の画像をミラーリングして第2の画像を得る。
【0053】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、第1の画像をミラーリングして第2の画像を得る。即ち、第1の画像を垂直方向にミラーリングして第2の画像を得る。
【0054】
このうち、第1の画像は、左眼画像であり、第2の画像は、右眼画像であり、又は、第1の画像は、右眼画像であり、第2の画像は、左眼画像である。
【0055】
ステップS23では、透視変換の結果に基づいて左眼画像と右眼画像との間の距離を調整する。
【0056】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、左眼画像及び右眼画像を形成した後、左眼画像及び右眼画像を重ね合わせた後、左眼画像と右眼画像との間の距離を調整することで、2枚の画像にゴーストを発生させる。
【0057】
ステップS24では、距離調整後の左眼画像及び右眼画像を合成する。
【0058】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、画像表示機器に3D画像の表示を行うために、距離調整後の左眼画像及び右眼画像のゴーストを再び重ね合わせる。
【0059】
図1に示す実施例の2次元画像を3次元画像に変換する方法と比較して、本実施例では、2次元画像を線形スケーリングすることにより左右眼に対応する2枚の画像に変換し、即ち、視差のない2D画像を視差のある左眼画像と右眼画像に変換し、この変換プロセスは、画質に関係なく画像サイズのみに関わり、したがって、線形スケーリングによって形成された左眼画像及び右眼画像は、元の2次元画像と同じ品質である。本発明の実施例に係る変換方法は、画質を維持したまま、左眼画像及び右眼画像を形成することができる。
【0060】
本実施例は、2次元画像を3次元画像に変換する方法をさらに提供し、
図5に示すように、該方法は、ステップS31乃至ステップS34を含む。
【0061】
ステップS31では、処理対象の2次元画像を取得する。
図3に示す実施例のS21と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0062】
ステップS32では、処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得る。
図3に示す実施例のS22と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
ステップS33では、透視変換の結果に基づいて左眼画像と前記右眼画像との間の距離を調整する。
【0064】
本実施例では、処理対象の2次元画像を正規化処理する画像テンプレートを用いて、左眼画像及び右眼画像間の距離の調整を行う。具体的には、ステップS331乃至S332を含む。
【0065】
ステップS331では、左眼画像と右眼画像を同時に画像テンプレートに整列する。
【0066】
2次元画像を3次元画像に変換する装置は、左眼画像及び右眼画像を同時に画像テンプレートに整列し、即ち画像テンプレートを基準として左右眼画像を平行移動し、データ処理量を増加させることなく、良好な平行移動効果を確保し、2次元画像の変換効率を向上させることができる。
【0067】
ステップS332では、左眼画像と右眼画像との間の距離が予め設定された距離となるように、左眼画像又は右眼画像を第1の方向に沿って平行移動する。
【0068】
本実施例では、第1の方向を水平方向とし、画像テンプレートに整列された左右眼画像のうちの一方の画像を、左右眼画像間の距離が予め設定された距離となるように水平方向に平行移動し、又は左右眼画像を同時に逆方向に移動する。ここで、予め設定された距離は、実際の表示機器のサイズに応じて具体的に設定することができる。
【0069】
ステップS34では、距離調整後の左眼画像及び右眼画像を合成する。
図3に示す実施例のS24と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0070】
図3に示す実施例の2次元画像を3次元画像に変換する方法と比較して、本実施例では、同一の画像テンプレートを用いて左眼画像と右眼画像を形成し、左眼画像と右眼画像を平行移動することにより、両眼視差及び輻輳角を作り出し、変換効率を向上させる。
【0071】
本発明の実施例は、2次元画像を3次元画像に変換する装置をさらに提供し、
図6に示すように、該装置は、
処理対象の2次元画像を取得するための取得モジュール41と、
処理対象の2次元画像を透視変換して左眼画像と右眼画像をそれぞれ得るための透視変換モジュールであって、透視変換は予め設定された規則に従って処理対象の2次元画像をマッピングすることである透視変換モジュール42と、
透視変換の結果に基づいて左眼画像と右眼画像との間の距離を調整するための調整モジュール43と、
距離調整後の左眼画像及び右眼画像を合成するための合成モジュール44と、を備える。
【0072】
本発明の実施例に係る2次元画像を3次元画像に変換する装置は、処理対象の2次元画像を透視変換することにより、両眼視差画像を作り出し、立体視を実現し、また透視変換された左眼画像及び右眼画像を距離調整し、両眼視差を形成し、輻輳角を作り、肉眼で観察した画像が異なる深さに位置するようにすることで、異なる立体効果を見ることができる。即ち、2次元画像を画像変換することにより、画像の解像度や鮮明度に関係なく、さらに3Dイメージングされた画像は、元の2次元画像と同じ画質であり、3Dイメージングの効果に影響を与えない。
【0073】
本実施例のある好ましい実施形態では、
図7に示すように、透視変換モジュール42は、
処理対象の2次元画像を画像テンプレートに整列し、処理対象の2次元画像のサイズを抽出するための抽出ユニット421と、
予め設定された規則に従ってサイズを順次線形スケーリングして第1の画像を得るための線形スケーリングユニット422と、
第1の画像をミラーリングして第2の画像を得るためのミラーリングユニット423と、を備え、第1の画像は、左眼画像であり、第2の画像は、右眼画像であり、又は、第1の画像は、前記右眼画像であり、第2の画像は、左眼画像である。
【0074】
本発明の実施例は、画像処理機器をさらに提供し、
図8に示すように、該画像処理機器は、プロセッサ51とメモリ52とを含み、ここで、プロセッサ51とメモリ52は、バス又は他の方式で接続されてもよく、
図8では、バスを介して接続されることを例とする。
【0075】
プロセッサ51は、中央処理器(Central Processing Unit、CPU)であってもよい。プロセッサ51は、他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェア構成要素などのチップ、又は上記の種々のチップの組み合わせであってもよい。
【0076】
メモリ52は、本発明の実施例に係る2次元画像を3次元画像に変換する方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、
図6に示す取得モジュール41、透視変換モジュール42、調整モジュール43及び合成モジュール44)のような、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラム、及びモジュールを記憶するための非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。プロセッサ51は、メモリ52に記憶された非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することで、プロセッサの各種の機能アプリケーションやデータ処理を実行し、上記の方法の実施例における2次元画像を3次元画像に変換する方法を実現する。
【0077】
メモリ52は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションを記憶可能なプログラム記憶領域と、プロセッサ51によって作成されたデータなどを記憶可能なデータ記憶領域とを含んでもよい。さらに、メモリ52は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、また、少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的な固体記憶デバイスなどの非一時的なメモリを含んでもよい。ある実施例では、メモリ52は、オプションとして、プロセッサ51に対して遠隔に配置されたメモリを含み、これらの遠隔のメモリは、ネットワークを介してプロセッサ51に接続されてもよい。上記のネットワークの例としては、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
上記の1つ以上のモジュールは、前記メモリ52に記憶され、前記プロセッサ51によって実行されると、
図1、
図3、及び
図5に示す実施例における2次元画像を3次元画像に変換する方法を実行する。
【0079】
上記の画像処理機器の具体的な細部は、
図1、
図3及び
図5に示す実施例における対応する関連説明及び効果を参照して理解することができるので、ここでは説明を省略する。
【0080】
本発明の実施例は、3次元イメージングシステムをさらに提供し、
図9に示すように、該システムは、画像採集機器61と、画像処理機器62と、画像表示機器63とを含む。
【0081】
このうち、画像採集機器61では、画像を採集するためのレンズは、シングルレンズで構成される。画像処理機器62は、画像採集機器61に電気的に接続され、画像採集機器61から出力された処理対象の2次元画像を3次元画像に変換するためのものである。画像表示機器63は、画像処理機器62に電気的に接続され、画像処理機器62から出力された3次元画像を表示するためのものである。
【0082】
本発明の実施例に係る3次元イメージングシステムは、画像採集機器61のレンズがシングルレンズで構成され、画像採集機器61全体の体積を減少させ、また、シングルレンズの画像採集機器は、採集された画像を伝送するためのデータ線が1本だけでよいため、画像採集機器61と画像処理機器62とを結ぶ線の内径を小さくすることができ、この3次元イメージングシステムをサイズの小さい物体内部、例えば、人体器官内に適用されて人体器官を3次元的にイメージングすることができ、3次元イメージングシステムの使用範囲をさらに拡大する。
【0083】
当業者であれば、上記の実施例の方法を実現するための流れの全部又は一部が、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって関連するハードウェアに命令することによって実現され、このプログラムが実行されると、上記の各方法の実施例の流れを含んでもよいことを理解することができる。ここで、前記記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク(Hard Disk Drive、略語:HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、SSD)などであってもよく、前記記憶媒体は、上記の種類のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0084】
本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨や範囲を逸脱しない限り、様々な修正及び変形を行うことができ、そのような修正及び変形は、いずれも添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内に含まれる。