(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】まつ毛エクステンション人工毛及びその装着方法
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
A41G5/02
(21)【出願番号】P 2021088620
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2021-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516274944
【氏名又は名称】小西 空
(74)【代理人】
【識別番号】100112988
【氏名又は名称】瀬戸 一宏
(72)【発明者】
【氏名】小西 空
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109220(JP,A)
【文献】特開2019-094588(JP,A)
【文献】特開2020-133017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026913(US,A1)
【文献】特開2016-033270(JP,A)
【文献】特表2006-506127(JP,A)
【文献】[画像解説&練習方法付き]多ければ持つとは限らない!!「グルーの適量」とは?,2020年09月27日,https://web.archive.org/web/20200927060203/https://www.beaute-p.com/eyelist/3445/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本のエクステンション用人工毛と一本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、
前記エクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、
前記エクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方から前記まつ毛の付け根の略中央に固定する第三のステップと、
前記支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、
前記エクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に
一回接着剤を付ける第五のステップと、
前記まつ毛の略真下に前記支持用人工毛を回り込ませ、前記支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根に前記支持用人工毛の付け根を固定する第六のステップ
を含
み、
前記第五のステップにおいて、前記支持用人工毛の付け根に付けられた接着剤を斜め上方から前記まつ毛の付け根に付け、これにより前記支持用人工毛の仮置きを行う、
まつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項2】
一本のエクステンション用人工毛と二本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、
前記エクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、
接着剤が付けられた前記エクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方からまつ毛の付け根の略中央に固定する第三のステップと、
前記支持用人工毛のうちの第一の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、
前記エクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に
一回接着剤を付ける第五のステップと、
前記まつ毛の略真下に前記第一の支持用人工毛を回り込ませ、前記第一の支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根の左右いずれか寄りに、前記第一の支持用人工毛の付け根を固定する第六のステップ
を含
み、
前記第五のステップにおいて、前記支持用人工毛の付け根に付けられた接着剤を斜め上方から前記まつ毛の付け根に付け、これにより前記支持用人工毛の仮置きを行う、
まつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項3】
前記支持用人工毛のうち第二の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第七のステップと、
前記まつ毛の略真下に前記第二の支持用人工毛を回り込ませ、前記第二の支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根の左右いずれか寄り(前記第一の支持用人工毛が固定されていない側)に、前記第二の支持用人工毛の付け根を固定する第八のステップ
をさらに含む、請求項2に記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項4】
前記第六のステップにおいて、前記まつ毛の左側と右側のうち、前記まつ毛以外の他のまつ毛の本数が他方に比べて少ないと目視にて判断される側から前記支持用人工毛を前記まつ毛に接近させる、請求項1乃至
3のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項5】
少なくとも二本のエクステンション用人工毛と一本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、
前記少なくとも二本のエクステンション用人工毛のうちの第一のエクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、
前記第一のエクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方からまつ毛の付け根の左右いずれか寄りに固定する第三のステップと、
前記少なくとも二本のエクステンション用人工毛のうちの第二のエクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、
前記第二のエクステンション用人工毛の付け根を前記まつ毛の上方から前記第一のエクステンション用人工毛が固定されていない左右いずれか寄りに固定する第五のステップと、
前記一本の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第六のステップと、
前記第一のエクステンション用人工毛と前記第二のエクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に
一回接着剤を付ける第七のステップと、
前記まつ毛の略真下に前記一本の支持用人工毛を回り込ませ、前記支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根に前記支持用人工毛の付け根を固定する第八のステップ
を含
み、
前記第七のステップにおいて、前記支持用人工毛の付け根に付けられた接着剤を斜め上方から前記まつ毛の付け根に付け、これにより前記支持用人工毛の仮置きを行う、
まつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項6】
前記第八のステップにおいて、前記まつ毛の左側と右側のうち、前記まつ毛以外の他のまつ毛の本数が他方に比べて少ないと目視にて判断される側から前記支持用人工毛を前記まつ毛に接近させる、請求項
5に記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項7】
前記エクステンション用人工毛は、それぞれその最大径部の直径がまつ毛より細径に形成されており、
前記支持用人工毛はそれぞれまつ毛
と略同一の幅を備えており、前記支持用人工毛の付け根の付近には前記まつ毛に接着させるための凹面が設けられている、
請求項1乃至
6のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項8】
前記各ステップにおいて前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付ける際に、
前記接着剤をドーム状に盛り、
ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛を、その付け根を先端として側方又は斜め上方から差し込み、ドーム状に盛られた前記接着剤の一部を前記付け根によりすくい上げる、
請求項1乃至
7のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項9】
前記各ステップにおいて前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付ける際に、
前記接着剤をドーム状に盛り、
ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛を、その付け根を先端として上方から差し込んだ後に引き上げる
ことにより、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付ける、請求項1乃至
7のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項10】
前記支持用人工毛が扁平な断面を有し、
前記支持用人工毛の断面の高さが最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、
前記支持用人工毛の断面の幅が最大0.10~0.20mmの範囲内にある、
請求項1乃至
9のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項11】
前記エクステンション用人工毛が扁平な断面を有し、
前記エクステンション用人工毛の断面の高さが最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、
前記エクステンション用人工毛の断面の幅が最大0.10~0.20mmの範囲内にある、
請求項1乃至
10のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項12】
前記支持用人工毛の中央から先端寄りの部分を引き上げることにより、前記支持用人工毛を前記まつ毛に略密着させる最終ステップ
をさらに含む、請求項1乃至
11のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【請求項13】
前記各ステップの結果、接着剤が前記まつ毛、前記少なくとも一本のエクステンション用人工毛、前記少なくとも一本の支持用人工毛の全ての付け根の周囲を覆う、請求項1乃至
12のいずれかに記載のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛に装着するためのまつ毛エクステンション人工毛に関し、特にまつ毛エクステンション人工毛の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より美容の一分野として、まつ毛に人工毛を装着することによりまつ毛の長さを延長して、まつ毛のボリューム感を増大させることにより目を大きく見せることがわが国においても広く行われている。このまつ毛に装着するための人工毛は、髪の長さを延長するために髪に装着する人工毛と同様にエクステンションと呼ばれており、まつ毛の太さよりも細径のものが使用されることが多い。
【0003】
上記のようなまつ毛エクステンション人工毛の装着方法としては、一本のまつ毛に対して一本の人工毛をグルー(接着剤)により順次接着していくことが一般的であるが、装着効率や装着の容易性を向上させるための工夫も種々考案されている。例えば特開2016-33270号公報は、まつ毛の太さよりも細径のエクステンション人工毛を、まつ毛に対して所定の角度を有するように順次固定していく方法を開示している。また、特許第6130571号公報は、複数のエクステンション人工毛を予め接着剤により連結しておき、これを中間用人工毛を介してまつ毛に固定する方法を開示している。
【0004】
しかしながらこれらの先行技術に係る方法は、いずれも施術に掛かる時間や安定性等において欠点がある。例えば特開2016-33270号公報に開示される方法の場合には、エクステンション用人工毛を一本ずつ特定の角度で固定していくことは施術者の高い熟練度と長い施術時間を要する。また、特許第6130571号公報に開示される方法の場合には、まつ毛に固定される全ての人工毛が上方から接着されているため安定性に欠け、例えば人工毛に対して側方から力が加わる場合に人工毛が外れる現象が起きやすい。
【0005】
これらの先行技術における欠点を解決して、施術に掛かる時間を短縮して安定性をもたらしたのが、出願人が発明した特開2020-109220号公報に開示された方法である。この方法では、まつ毛の中心から360度いずれの角度の力が掛かる場合においても比較的均一な安定性をもたらしながら、平均的な施術者であれば十分施術可能な装着方法を提供している。
【0006】
一方で、まつ毛エクステンションに用いられる扁平な形状の人工毛(フラット人工毛又はフラットラッシュ)は、従来、幅0.15mm、高さ0.06mmの断面を有するものが最小である。
【文献】特開2016-33270号公報
【文献】特許第6130571号公報
【文献】特開2020-109220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法における人工毛の安定性の問題を解決しながらも、人工毛の装着に掛かる時間を許容可能な範囲に抑えることである。また、本発明が解決しようとするさらなる課題は、前述のような安定性及び装着時間のメリットを維持しながら、施術が容易かつ確実な装着方法及び新たな装着パターン、並びによりきめ細かい施術を可能とする新たな人工毛を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるまつ毛エクステンション人工毛の装着方法は、一本のエクステンション用人工毛と一本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、前記エクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、前記エクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方から前記まつ毛の付け根の略中央に固定する第三のステップと、前記支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、前記エクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に軽く一回接着剤を付ける第五のステップと、前記まつ毛の略真下に前記支持用人工毛を回り込ませ、前記支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根に前記支持用人工毛の付け根を固定する第六のステップを含み、これにより上記課題を解決する。
【0009】
本発明による別のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法は、一本のエクステンション用人工毛と二本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、前記エクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、接着剤が付けられた前記エクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方からまつ毛の付け根の略中央に固定する第三のステップと、前記支持用人工毛のうちの第一の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、前記エクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に軽く一回接着剤を付ける第五のステップと、前記まつ毛の略真下に前記第一の支持用人工毛を回り込ませ、前記第一の支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根の左右いずれか寄りに、前記第一の支持用人工毛の付け根を固定する第六のステップを含み、これにより上記課題を解決する。
【0010】
前記まつ毛エクステンション人工毛の装着方法は、前記支持用人工毛のうち第二の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第七のステップと、前記まつ毛の略真下に前記第二の支持用人工毛を回り込ませ、前記第二の支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根の左右いずれか寄り(前記第一の支持用人工毛が固定されていない側)に、前記第二の支持用人工毛の付け根を固定する第八のステップをさらに含んでいてもよい。
【0011】
前記第五のステップにおいて、前記支持用人工毛の付け根に付けられた接着剤を斜め上方から前記まつ毛の付け根に付け、これにより前記支持用人工毛の仮置きを行ってもよい。また、前記第六のステップにおいて、前記まつ毛の左側と右側のうち、前記まつ毛以外の他のまつ毛の本数が他方に比べて少ないと目視にて判断される側から前記支持用人工毛を前記まつ毛に接近させてもよい。
【0012】
本発明による別のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法は、少なくとも二本のエクステンション用人工毛と一本の支持用人工毛を用意する第一のステップと、前記少なくとも二本のエクステンション用人工毛のうちの第一のエクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第二のステップと、前記第一のエクステンション用人工毛の付け根をまつ毛の上方からまつ毛の付け根の左右いずれか寄りに固定する第三のステップと、前記少なくとも二本のエクステンション用人工毛のうちの第二のエクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第四のステップと、前記第二のエクステンション用人工毛の付け根を前記まつ毛の上方から前記第一のエクステンション用人工毛が固定されていない左右いずれか寄りに固定する第五のステップと、前記一本の支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付ける第六のステップと、前記第一のエクステンション用人工毛と前記第二のエクステンション用人工毛が固定された前記まつ毛の上方から、前記まつ毛の付け根に軽く一回接着剤を付ける第七のステップと、前記まつ毛の略真下に前記一本の支持用人工毛を回り込ませ、前記支持用人工毛の水平面との角度を前記まつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、前記まつ毛の下方から前記まつ毛の付け根に前記支持用人工毛の付け根を固定する第八のステップを含み、これにより上記課題を解決する。
【0013】
前記第七のステップにおいて、前記支持用人工毛の付け根に付けられた接着剤を斜め上方から前記まつ毛の付け根に付け、これにより前記支持用人工毛の仮置きを行ってもよい。また、前記第八のステップにおいて、前記まつ毛の左側と右側のうち、前記まつ毛以外の他のまつ毛の本数が他方に比べて少ないと目視にて判断される側から前記支持用人工毛を前記まつ毛に接近させてもよい。
【0014】
前記エクステンション用人工毛は、それぞれその最大径部の直径がまつ毛より細径に形成されており、前記支持用人工毛はそれぞれまつ毛に近い幅を備えており、前記支持用人工毛の付け根の付近には前記まつ毛に接着させるための凹面が設けられていてもよい。
【0015】
前記各ステップにおいて前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付ける際に、前記接着剤をドーム状に盛り、ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛を、その付け根を先端として側方又は斜め上方から差し込み、ドーム状に盛られた前記接着剤の一部を前記付け根によりすくい上げてもよい。
【0016】
前記各ステップにおいて前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付ける際に、前記接着剤をドーム状に盛り、ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛を、その付け根を先端として上方から差し込んだ後に引き上げることにより、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付けてもよい。
【0017】
前記まつ毛エクステンション人工毛の装着方法において、前記支持用人工毛は扁平な断面を有し、前記支持用人工毛の断面の高さは最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、 前記支持用人工毛の断面の幅は最大0.10~0.20mmの範囲内にあってもよい。
【0018】
前記まつ毛エクステンション人工毛の装着方法において、前記エクステンション用人工毛は扁平な断面を有し、前記エクステンション用人工毛の断面の高さは最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、前記エクステンション用人工毛の断面の幅は最大0.10~0.20mmの範囲内にあってもよい。
【0019】
前記まつ毛エクステンション人工毛の装着方法は、前記支持用人工毛の中央から先端寄りの部分を引き上げることにより、前記支持用人工毛を前記まつ毛に略密着させる最終ステップをさらに含んでいてもよい。また、前記各ステップの結果、接着剤が前記まつ毛、前記少なくとも一本のエクステンション用人工毛、前記少なくとも一本の支持用人工毛の全ての付け根の周囲を覆ってもよい。
【0020】
本発明によるまつ毛エクステンション人工毛の装着準備方法は、接着剤をドーム状に盛り、ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、まつ毛に固定するためのエクステンション用人工毛又は支持用人工毛を、その付け根を先端として側方又は斜め上方から差し込み、ドーム状に盛られた前記接着剤の一部を前記付け根によりすくい上げることにより、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付け、これにより上記課題を解決する。
【0021】
本発明による別のまつ毛エクステンション人工毛の装着準備方法は、接着剤をドーム状に盛り、ドーム状に盛られた前記接着剤の中に、まつ毛に固定するためのエクステンション用人工毛又は支持用人工毛を、その付け根を先端として側方又は斜め上方から差し込み、ドーム状に盛られた前記接着剤の一部を前記付け根によりすくい上げることにより、前記エクステンション用人工毛又は前記支持用人工毛の前記付け根に前記接着剤を付け、これにより上記課題を解決する。
【0022】
本発明による支持用人工毛は、扁平な断面を有し、断面の高さが最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、断面の幅が最大0.10~0.20mmの範囲内にある、まつ毛エクステンション施術においてまつ毛の下方に固定するためのものであり、これにより上記課題を解決する。
【0023】
本発明によるエクステンション用人工毛は、扁平な断面を有し、断面の高さが最大0.01~0.05mmの範囲内にあり、断面の幅が最大0.10~0.20mmの範囲内にある、まつ毛エクステンション施術においてまつ毛の上方に固定するためのものであり、これにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のまつ毛エクステンション人工毛及びその装着方法によれば、比較的短い施術時間にて高い安定性の装着を行うことが可能である。特に、まつ毛の付け根の上下から接着剤が付けられた後に下方の支持用人工毛が引き上げられることにより、まつ毛の付け根と人工毛の付け根が接着剤により包まれる(360°ラッピング)ことにより、まつ毛の付け根と人工毛の付け根の間の固定が安定したものとなる。また、まつ毛の直下に支持用のフラット人工毛があることにより、エクステンション人工毛の装着の安定性が増加する。
【0025】
また、本発明のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法によれば、まつ毛の上方又は下方に二本のエクステンション用人工毛又は支持用人工毛を装着する際に、二本目の人工毛の装着前にその付け根に接着剤を塗布することにより、施術を容易にしてまつ毛の付け根と人工毛の付け根の間の固定をより安定したものにすることが可能である。
【0026】
さらに、本発明のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法によれば、支持用人工毛の装着前に支持用人工毛の仮置きを行って斜め上方からまつ毛に接着剤を付けることにより、支持用人工毛の装着時に支持用人工毛の付け根に接着剤を引き寄せることを容易ならしめている。
【0027】
さらに、本発明のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法及び装着準備方法によれば、接着剤をドーム状に出すことにより、接着剤を平坦に出す場合より接着剤が空気に触れる面積を少なくすることが可能である。また、人工毛の付け根によって接着剤をすくい上げることにより、人工毛を水平に取り出した場合より接着剤の中に空気が含まれないようにすることが可能である。これらの特徴により、接着剤が十分な接着力を有した状態で人工毛をまつ毛に装着することが可能である。
【0028】
さらに、本発明のまつ毛エクステンション人工毛及びその装着方法によれば、エクステンション用人工毛及び支持用人工毛が比較的小さい断面寸法を有することにより、優れた美観をもたらす、よりきめ細かいまつ毛エクステンションの施術を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本実施例によりまつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
図1には、エクステンション人工毛11と、まつ毛14と、フラット人工毛15が示されている。
【0031】
エクステンション人工毛11は、通常ポリエステル、ナイロン等の化学繊維から構成されており、その最大幅がまつ毛14の直径より小さくなるように形成されている。まつ毛14は、通常まつ毛エクステンション人工毛を装着する対象となる人間のまつ毛であるが、例えば犬、馬等、人間以外の動物がまつ毛エクステンション人工毛装着の対象となる場合には当該動物のまつ毛である。
【0032】
フラット人工毛15は、まつ毛14の直径とほぼ同じ幅を有する人工毛であり、その材質は通常エクステンション人工毛11と同様に化学繊維である。フラット人工毛15の付け根には二つの凹面が設けられているため、フラット人工毛15の付け根は比較的扁平な断面を有する(
図4参照)。前記凹面の一つは、フラット人工毛15をまつ毛14に接着するための凹面15aである。なお、一般に「付け根」は天然毛の毛根やこれに相当する人工毛の終端を指すものと考えられるが、説明の便宜上、本明細書においては「付け根」は厳密な終端を指さず、天然毛及び人工毛の終端付近の領域を指す。
【0033】
本発明の方法によるまつ毛エクステンション人工毛の装着に先立っては、まずエクステンション人工毛11の付け根に球状に接着剤12を付ける作業を行う。接着剤12は、まつ毛エクステンション人工毛の施術を行う美容業界において一般に「グルー」と呼ばれており、通常シアノアクリレート系の接着剤が用いられる。しかしながら、接着剤12の材質は前記に限られず、ゴム等の天然物又は各種合成樹脂等の任意の材質が用いられてもよい。特にエチルシアノアクリレートに対するアレルギーを有する被施術者に対しては、ブチルシアノアクリレートが接着剤12として使用される。エクステンション人工毛11の付け根に球状に接着剤12を付ける作業の詳細については後述する。
【0034】
次に
図2は、まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、フラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。まつ毛エクステンション人工毛11の付け根がまつ毛14の付け根に固定された後に、上方からまつ毛14の付け根に接着剤16が付けられる。ここでの接着剤16の付加は、好適には真上からではなく左上又は右上からの付加が望ましく、ポンと一回付けるような軽い付加が望ましい。一方、
図2の下方に示されるように、フラット人工毛15の凹面15aの上には、球状に接着剤17が付けられる。接着剤16,17の付加の順序は上述の通りであっても良いし、接着剤17の付加を先に行ってもよい。
【0035】
上記手順により接着剤16,17の付加が行われた後に、フラット人工毛15の凹面15aを下方からまつ毛14の付け根に付加し、その後フラット人工毛15の向き(付け根から先端への向き)をまつ毛14の向き(付け根から先端への向き)に略一致させる。換言すれば、ここでフラット人工毛15の水平面との角度をまつ毛14の水平面との角度に略一致させることになる。フラット人工毛15の凹面15aを下方からまつ毛14の付け根に付加する際には、左右のうち他のまつ毛が薄い(まつ毛の本数が少ない)と思われる側からフラット人工毛15をまつ毛14に接近させることが望ましい。これにより、施術がより容易になり後に説明する360°ラッピングの効果を得られやすいからである。
【0036】
また、フラット人工毛15の凹面15aを下方からまつ毛14の付け根に付加する前に、フラット人工毛15の接着剤17が付けられた部分をまつ毛エクステンション人工毛11及びまつ毛14の付け根の上に仮置きしてもよい。このとき、フラット人工毛15を真上から置くよりもやや斜め方向から置いた方が、後でフラット人工毛15をまつ毛に付加する際に接着剤が引き寄せられやすい。
【0037】
さらに、フラット人工毛15の先端寄りの部分がエクステンション人工毛11の各先端の向きに略一致するように、フラット人工毛15の先端寄りの部分を上方に引き上げる。この手順により、フラット人工毛15の凹面15aに付けられた接着剤17(
図3参照)がまつ毛14の付け根に対して上方に持ち上げられることとなり、上方からまつ毛14の付け根に付けられた接着剤16と相俟って、エクステンション人工毛11、まつ毛14及びフラット人工毛15の付け根を接着剤により包むような効果(360°ラッピング)が得られる。
【0038】
図3は、まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらにフラット人工毛の付け根(凹面)が下方から固定された状態を示す斜視図である。
図3に示される時点においては、エクステンション人工毛11、まつ毛14及びフラット人工毛15の付け根は接着剤により包まれることとなるが、図示の簡略化及び明確化のため、
図3においては接着剤の図示を省略している。
【0039】
図4は、
図3のA‐A´断面の状態を示す概略断面図である。
図4に示されるように、エクステンション人工毛11、まつ毛14及びフラット人工毛15の付け根は接着剤層18により包まれている。これにより、まつ毛14へのエクステンション人工毛11及びフラット人工毛15の固定の安定性が確保され、従来のエクステンション人工毛の装着方法と比較して良好な安定性を得ることができる。なお、接着剤層18は上述の施術手順を通じて接着剤12,16,17が融合して生じたものであることに留意されるべきである。
【0040】
本実施例においては、例えば特開2020-109220号公報に記載された実施形態と比較して施術の手順が簡略化されているため、より容易かつ確実にまつ毛の付け根と人工毛の付け根が接着剤により包まれる(360°ラッピング)を得ることが可能である。また、被施術者の要望に応じてまつ毛エクステンションのボリュームを抑えたい場合に、特開2020-109220号公報に記載された実施形態と比較して自まつ毛の上のエクステンション用まつ毛の本数を減らすことも可能である。
【実施例2】
【0041】
図5は、本実施例によりまつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
図5には、エクステンション人工毛21と、まつ毛24と、二本のフラット人工毛25,29が示されている。エクステンション人工毛及びフラット人工毛の材質、寸法等は実施例1と同様であるが、本実施例においてはまつ毛24の下に二本のフラット人工毛25,29を装着する必要から、フラット人工毛25,26の寸法が比較的小さいことが望ましい。
【0042】
本実施例によるまつ毛エクステンション人工毛の装着に先立っては、まずエクステンション人工毛21の付け根に球状に接着剤22を付ける作業を行う点については、実施例1においてエクステンション人工毛11の付け根に球状に接着剤12を付ける作業を行うことと同様である。その後、まつ毛エクステンション人工毛21の付け根がまつ毛24の付け根に上方から固定される。
【0043】
次に
図6は、まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。まつ毛エクステンション人工毛21の付け根がまつ毛24の付け根に上方から固定された後に、上方からまつ毛24の付け根に接着剤26が付けられる。ここでの接着剤26の付加は、好適には真上からではなく左上又は右上からの付加が望ましく、ポンと一回付けるような軽い付加が望ましい。
【0044】
一方、
図6の下方に示されるように、フラット人工毛25の凹面25aの上には、球状に接着剤27が付けられる。接着剤26,27の付加の順序は上述の通りであっても良いし、接着剤27の付加を先に行ってもよい。前記手順により接着剤26,27の付加が行われた後に、フラット人工毛25の凹面25aが下方からまつ毛24の付け根の左右いずれか寄りに付加される。
【0045】
次に
図7は、一本のフラット人工毛の付け根が下方から固定され、他の一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。フラット人工毛25の凹面25aがまつ毛24の付け根に下方から付加された後に、フラット人工毛29の凹面29aに接着剤23が付けられる。フラット人工毛29の凹面29aに接着剤23が付けられる手順の詳細については後述する。その後、フラット人工毛29の凹面29aが、下方からまつ毛24の付け根の左右いずれか寄り(フラット人工毛25が付加されていない側)に付加される。
【0046】
フラット人工毛25,29の凹面25a,29aを下方からまつ毛24の付け根に付加する際には、左右のうち他のまつ毛が薄いと思われる側からフラット人工毛25,29をまつ毛24に接近させることが望ましいことは、実施例1と同様である。また、フラット人工毛25,29の凹面25a,29aを下方からまつ毛24の付け根に付加する前に、フラット人工毛25,29の接着剤27,23が付けられた部分をまつ毛エクステンション人工毛21及びまつ毛24の付け根の上に仮置きしてもよいことも、実施例1と同様である。
【0047】
図8は、まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらに二本のフラット人工毛の付け根(凹面)が下方から固定された状態を示す斜視図である。
図8に示される時点においては、エクステンション人工毛21、まつ毛24及びフラット人工毛25,29の付け根は接着剤により包まれることとなるが、図示の簡略化及び明確化のため、
図8においては接着剤の図示を省略している。
【0048】
図9は、
図8の人工毛及びまつ毛の付け根の断面の状態を示す概略断面図である。
図9に示されるように、エクステンション人工毛21、まつ毛24及びフラット人工毛25,29の付け根は接着剤層28により包まれている。これにより、まつ毛24へのエクステンション人工毛21及びフラット人工毛25の固定の安定性が確保され、従来のエクステンション人工毛の装着方法と比較して良好な安定性を得ることができる。なお、接着剤層28は上述の施術手順を通じて接着剤22,26,27が融合して生じたものであることに留意されるべきである。
【実施例3】
【0049】
図10は、本実施例によりまつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
図10には、二本のエクステンション人工毛31,33と、まつ毛34と、フラット人工毛35が示されている。本実施例は、特開2020-109220号公報の明細書段落0013~0026に記載された実施例と概ね同様であるが、主に第二のエクステンション人工毛33の装着前に第二のエクステンション人工毛33の付け根に接着剤を追加する点において異なる。なお、エクステンション人工毛及びフラット人工毛の材質、寸法等は実施例1と同様である。
【0050】
本実施例によるまつ毛エクステンション人工毛の装着に先立っては、まずエクステンション人工毛31の付け根に球状に接着剤32を付ける作業を行う点については、実施例1においてエクステンション人工毛11の付け根に球状に接着剤12を付ける作業を行うことと同様である。その後、まつ毛エクステンション人工毛31の付け根がまつ毛34の付け根の左右いずれか寄りに上方から固定される。以下本実施例においては、まつ毛エクステンション人工毛31の付け根がまつ毛34の付け根の左寄りに固定されたものとして説明する。
【0051】
次に
図11は、二本のまつ毛エクステンション人工毛のうちの一本の付け根が上方からまつ毛に固定された状態を示す斜視図である。最初にエクステンション人工毛31の付け根が、
図10に示される接着剤32の作用により、
図11に示される位置関係の通り、まつ毛34の付け根の左寄りに固定される。ここで言う「左寄り」とは、まつ毛の先端からまつ毛の付け根方向に伸びるまつ毛の中心軸(不図示)を中央とした場合に、上方から見て左方に寄っていることを指す。また、まつ毛のエクステンション人工毛31の付け根は、まつ毛34の付け根の上方からまつ毛34の付け根に付加されて固定される。その後、エクステンション人工毛33の付け根に球状に接着剤39を付ける作業を行う。
【0052】
次に
図12は、二本のまつ毛エクステンション人工毛の両方の付け根が上方からまつ毛に固定された状態を示す斜視図である。エクステンション人工毛33の付け根は球状に接着剤39が付けられた後に、
図12に示される位置関係の通り、まつ毛14の付け根の右寄りに固定される。ここで言う「右寄り」とは、まつ毛の先端からまつ毛の付け根方向に伸びるまつ毛の中心軸(不図示)を中央とした場合に、上方から見て右方に寄っていることを指す。また、エクステンション人工毛33の付け根は、エクステンション人工毛31と同様に、まつ毛34の付け根の上方からまつ毛34の付け根に付加されて固定される。
【0053】
本実施例においては、第二のエクステンション人工毛33の装着前に第二のエクステンション人工毛33の付け根に接着剤が追加されているため、特開2020-109220号公報に記載された実施形態と比較してより安定したエクステンション人工毛の装着を行うことが可能である。なお、施術の都合によっては、最初に固定されるエクステンション人工毛31の付け根はまつ毛34の付け根の右寄りに固定されても良い。この場合には、次に固定されるエクステンション人工毛33の付け根はまつ毛34の付け根の左寄りに固定される。
【0054】
次に
図13は、二本のまつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。上述の手順によりまつ毛エクステンション人工毛31,33の付け根がそれぞれまつ毛34の付け根に固定された後に、上方からまつ毛34の付け根に接着剤36が付けられる。ここでの接着剤36の付加は、好適には真上からではなく左上又は右上からの付加が望ましく、ポンと一回付けるような軽い付加が望ましい。一方、
図3の下方に示されるように、フラット人工毛35の凹面35aの上には、球状に接着剤37が付けられる。接着剤36,37の付加の順序は上述の通りであっても良いし、接着剤37の付加を先に行ってもよい。
【0055】
上記手順により接着剤36,37の付加が行われた後に、フラット人工毛35の凹面35aを下方からまつ毛34の付け根に付加し、その後フラット人工毛35の向き(付け根から先端への向き)をまつ毛34の向き(付け根から先端への向き)に略一致させる。換言すれば、ここでフラット人工毛35の水平面との角度をまつ毛34の水平面との角度に略一致させることになる。
【0056】
フラット人工毛35の凹面35aを下方からまつ毛34の付け根に付加する際には、左右のうち他のまつ毛が薄いと思われる側からフラット人工毛35をまつ毛24に接近させることが望ましいことは、実施例1,2と同様である。また、フラット人工毛35の凹面35aを下方からまつ毛34の付け根に付加する前に、フラット人工毛35の接着剤37が付けられた部分をまつ毛エクステンション人工毛31,33及びまつ毛34の付け根の上に仮置きしてもよいことも、実施例1,2と同様である。
【0057】
さらに、フラット人工毛35の先端寄りの部分がエクステンション人工毛31,33の各先端の間に入るように、フラット人工毛35の先端寄りの部分を上方に引き上げる。この手順により、フラット人工毛35の凹面35aに付けられた接着剤37(
図3参照)がまつ毛34の付け根に対して上方に持ち上げられることとなり、上方からまつ毛34の付け根に付けられた接着剤36と相俟って、エクステンション人工毛31,33、まつ毛34及びフラット人工毛35の付け根を接着剤により包むような効果(360°ラッピング)が得られる。
【0058】
図14は、二本のまつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらにフラット人工毛の付け根が下方から固定された状態を示す斜視図である。
図14に示される時点においては、エクステンション人工毛31,33、まつ毛34及びフラット人工毛35の付け根は接着剤により包まれることとなるが、図示の簡略化及び明確化のため、
図14においては接着剤の図示を省略している。
【0059】
図15は、
図14のC‐C´断面の状態を示す概略断面図である。
図15に示されるように、エクステンション人工毛31,33、まつ毛34及びフラット人工毛35の付け根は接着剤層38により包まれている。これにより、まつ毛34へのエクステンション人工毛31,33及びフラット人工毛35の固定の安定性が確保され、従来のエクステンション人工毛の装着方法と比較して良好な安定性を得ることができる。なお、接着剤層38は上述の施術手順を通じて接着剤32,36,37,39が融合して生じたものであることに留意されるべきである。
【実施例4】
【0060】
図16は、本発明によるエクステンション人工毛又はフラット人工毛の付け根に接着剤を付ける手順を示す図である。
図16(a)に示されるように、エクステンション人工毛又はフラット人工毛(以下本実施例において「人工毛」とする。)の付け根に接着剤を付ける際には、最初に平坦なプレート41上に接着剤42をドーム状に出す。接着剤をドーム状に出すことにより、接着剤を平坦に出すよりも接着剤の空気に触れる表面積を小さくすることができる。
【0061】
次に、
図16(b)に示されるように、側方又は斜め上方からドーム状に出された接着剤42の内部に人工毛43の付け根44を差し込む。その後
図16(c)中の矢印に示される通り、人工毛43の付け根44によって接着剤45を球状にすくい取ることができるように、付け根44が若干持ち上がるようにして人工毛43を斜め上方に引き抜いて取り出す。この際に人工毛43を単に側方にスライドさせると、接着剤が人工毛43の付け根44に溜まらないので望ましくない。
図16(a)~(c)の手順により、空気に余り触れていない新鮮な接着剤45を人工毛43の付け根44の上方寄りに球状に付けることが可能である。
【0062】
接着剤を人工毛の付け根に付ける手順としては、
図16(a)に示される手順の後の
図16(b),(c)に示される手順を同図(d),(e)に示される手順に代えることもできる。この場合には
図16(d)に示されるように、ドーム状に出された接着剤42の内部に上方から人工毛43の付け根44を差し込む。その後同図(e)に示されるように、接着剤45を付着させる方向に付け根44を若干動かしながら人工毛43を上方に引き上げると人工毛43の付け根44に球状に接着剤45を付けることができる。
図16(a),(d),(e)の手順によっても、空気に余り触れていない新鮮な接着剤を人工毛の付け根上方寄りに球状に付けることが可能である。
【0063】
本実施例の手順は、実施例1~3においてエクステンション人工毛又はフラット人工毛の付け根に接着剤を付ける際に用いられ得る。実施例1~3においては、図示の簡略化及び説明の都合上、人工毛の付け根の一面(例:
図6の凹面25a)のみに接着剤が付けられているが、当該面を主としてその周りにも接着剤が付けられる本実施例の手順を用いても実施可能である。また本実施例の手順は、実施例1~3以外のまつ毛エクステンション装着方法においても利用可能である。
【実施例5】
【0064】
図17は、本発明において使用されるフラット人工毛の寸法例を示す図である。
図17のフラット人工毛51~53は、図示される通り、それぞれの付け根51b,52b,53bにおいて高さ0.01mm幅0.10mm、高さ0.03mm幅0.15mm、高さ0.05mm幅0.20mmの扁平な断面をそれぞれ有する。フラット人工毛51~53は、二つに分かれた反対側の終端から付け根に向かって徐々に太くなる形状を有しているため、付け根51b,52b,53bの断面寸法がフラット人工毛51~53のそれぞれの最大断面寸法である。
【0065】
先述の通り、従来の最小のフラット人工毛の最大断面寸法は高さ0.06mm、幅0.15mmであるため、本発明によるフラット人工毛51~53は従来品にない高さ0.01~0.05mm、幅0.10~0.20mmの最大断面寸法を有しており、これにより従来品では難しいきめ細かいまつ毛エクステンションの施術を可能にしている。なお、フラット人工毛51~53の付け根51b,52b,53bの断面寸法は例示であり、実際には高さ0.01~0.05mm、幅0.10~0.20mmの範囲内であれば他の寸法のフラット人工毛を製造することも可能である。
【0066】
本実施例のフラット人工毛は実施例1~4において利用されることが可能であるが、実施例1~4以外のまつ毛エクステンション装着方法及び同装着準備方法においても利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
人間のまつ毛を対象とするまつ毛エクステンション人工毛の装着に適用することができる。その他、人間以外のまつ毛を有する動物に対するまつ毛エクステンションの装着や、人間の髪の毛及び体毛へのエクステンション人工毛の装着に適用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】まつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
【
図2】まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、フラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。
【
図3】まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらにフラット人工毛の付け根(凹面)が下方から固定された状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3のA‐A´断面の状態を示す概略断面図である。
【
図5】まつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
【
図6】まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。
【
図7】一本のフラット人工毛の付け根が下方から固定され、他の一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。
【
図8】まつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらに二本のフラット人工毛の付け根(凹面)が下方から固定された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8の人工毛及び付け根の断面の状態を示す概略断面図である。
【
図10】まつ毛エクステンション人工毛が装着される前における、まつ毛及び人工毛の概略斜視図である。
【
図11】二本のまつ毛エクステンション人工毛のうちの一本の付け根が上方からまつ毛に固定された状態を示す斜視図である。
【
図12】二本のまつ毛エクステンション人工毛の両方の付け根が上方からまつ毛に固定された状態を示す斜視図である。
【
図13】二本のまつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に接着剤が付けられ、一本のフラット人工毛の付け根に球状に接着剤が付けられた状態を示す斜視図である。
【
図14】二本のまつ毛エクステンション人工毛の付け根が上方から固定されたまつ毛の付け根に対し、さらにフラット人工毛の付け根が下方から固定された状態を示す斜視図である。
【
図15】
図14のC‐C´断面の状態を示す概略断面図である。
【
図16】本発明によるエクステンション人工毛又はフラット人工毛の付け根に接着剤を付ける手順を示す図である。
【
図17】本発明において使用されるフラット人工毛の寸法例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
11,21,23,31,33 エクステンション用人工毛
12,16,17,22,26,27,32,36,37,39,42,45 接着剤
14,24,34 まつ毛
15,25,29,35,51,52,53 フラット人工毛
15a,25a,29a,35a 凹面
18,28,38 接着剤層
41 プレート
43 人工毛
44 付け根
A‐A´,C‐C´ 切断線
【要約】 (修正有)
【課題】従来のまつ毛エクステンション人工毛の装着方法における人工毛の安定性の問題を解決しながらも、人工毛の装着に掛かる時間を許容可能な範囲に抑える。
【解決手段】一本のエクステンション用人工毛11と一本の支持用人工毛15を用意するステップと、エクステンション用人工毛の付け根に球状に接着剤12を付けるステップと、接着剤が付けられたエクステンション用人工毛の付け根をまつ毛14の上方からまつ毛の付け根の略中央に固定するステップと、支持用人工毛の付け根に球状に接着剤を付けるステップと、エクステンション用人工毛が固定されたまつ毛の上方から、まつ毛の付け根に軽く一回接着剤を付けるステップと、まつ毛の略真下に支持用人工毛を回り込ませ、支持用人工毛の水平面との角度をまつ毛の水平面との角度に略一致させた状態にて、まつ毛の下方からまつ毛の付け根に支持用人工毛の付け根を固定するステップを含む。
【選択図】
図1