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特許7112209気体混合装置、およびインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】気体混合装置、およびインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20220727BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220727BHJP
   B41J 2/025 20060101ALI20220727BHJP
   B41J 2/185 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 301
B41J2/025
B41J2/185 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018034494
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019147340
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】溝口 翔
(72)【発明者】
【氏名】有馬 崇博
(72)【発明者】
【氏名】岡野 守
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-015972(JP,A)
【文献】特開平07-205448(JP,A)
【文献】特開2011-046062(JP,A)
【文献】特開2017-100415(JP,A)
【文献】特開2012-153053(JP,A)
【文献】特開2016-175306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を排気する排気経路を有するインクジェット記録装置のための気体混合装置であって、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と、
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記排気経路は、回収されたインクを保持するインク容器と接続し、前記インク容器は溶剤を供給する経路と接続していることを特徴とした気体混合装置。
【請求項2】
気体を排気する排気経路を有するインクジェット記録装置のための気体混合装置であって、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と、
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記混合部は、流入装置を有し、前記流入装置が動作することにより、前記空気を取り込み、
前記混合部は、前記流入装置からの前記空気を取り込む取込経路とチャンバを有し、前記取込経路と前記チャンバとの間に配置した開口部は、前記チャンバに突き出る構成としたことを特徴とした気体混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の気体混合装置において、
前記混合部は、流入装置を有し、前記流入装置が動作することにより、前記空気を取り込むことを特徴とした気体混合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の気体混合装置において、前記流入装置は、ファンであり、
前記混合部は、シャッタを有し、前記シャッタは、前記ファンが動作していないとき閉鎖されることを特徴とした気体混合装置。
【請求項5】
請求項3もしくは請求項4に記載の気体混合装置において、前記排気部は、前記排気気体に含まれるインク成分もしくは溶剤成分を除去するフィルタを有することを特徴とした気体混合装置。
【請求項6】
請求項に記載の気体混合装置において、前記混合部では、前記排気気体を前記チャンバに流入する流入気体経路と、前記チャンバから前記排気部へ前記気体を流出する流出気体排気経路とが、同軸にないように配置されたことを特徴とした気体混合装置。
【請求項7】
気体を排気する排気経路を有するインクジェット記録装置のための気体混合装置であって、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と、
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記混合部は、流入装置を有し、前記流入装置が動作することにより、前記空気を取り込み、
前記インクジェット記録装置は、前記排気経路と接続した、外部に延びるダクトを有し、前記排気気体取り込み部は、前記ダクトと固定するための固定部を有することを特徴とした気体混合装置。
【請求項8】
気体を排気する排気経路を有するインクジェット記録装置のための気体混合装置であって、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と、
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記インクジェット記録装置は、前記排気経路と接続した、外部に延びるダクトを有し、前記排気気体取り込み部は、前記ダクトの端部と接続していることを特徴とした気体混合装置。
【請求項9】
請求項に記載の気体混合装置において、前記インクジェット記録装置は、換気装置と、排気口を有し、前記換気装置を動作させて、前記排気口から前記空気を前記混合部に流入することを特徴とした気体混合装置。
【請求項10】
印字対象物に印字をするためのインクを保持するインク容器と、
前記インク容器と接続し、加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、
前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクが帯電される帯電電極と、
前記帯電電極で帯電されたインクを偏向する偏向電極と、
印字に使用されないインクを回収するガターと、
前記インク容器から吸引されたインクを前記インク容器に回収する回収経路と、
前記インク容器に接続され、前記インク容器からの気体を放出するための排気経路と、
前記排気経路と接続した気体混合装置とを有し、
前記気体混合装置は、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記排気経路は、回収されたインクを保持するインク容器と接続し、前記インク容器は溶剤を供給する経路と接続していることを特徴としたインクジェット記録装置。
【請求項11】
印字対象物に印字をするためのインクを保持するインク容器と、
前記インク容器と接続し、加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、
前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクが帯電される帯電電極と、
前記帯電電極で帯電されたインクを偏向する偏向電極と、
印字に使用されないインクを回収するガターと、
前記インク容器から吸引されたインクを前記インク容器に回収する回収経路と、
前記インク容器に接続され、前記インク容器からの気体を放出するための排気経路と、
前記排気経路と接続した気体混合装置とを有し、
前記気体混合装置は、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有し、
前記混合部は、流入装置を有し、前記流入装置が動作することにより、前記空気を取り込み、
前記混合部は、前記流入装置からの前記空気を取り込む取込経路とチャンバを有し、前記取込経路と前記チャンバとの間に配置した開口部は、前記チャンバに突き出る構成としたことを特徴としたインクジェット記録装置。
【請求項12】
印字対象物に印字をするためのインクを保持するインク容器と、
前記インク容器と接続し、加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、
前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクが帯電される帯電電極と、
前記帯電電極で帯電されたインクを偏向する偏向電極と、
印字に使用されないインクを回収するガターと、
前記インク容器から吸引されたインクを前記インク容器に回収する回収経路と、
前記インク容器に接続され、前記インク容器からの気体を放出するための排気経路と、
前記排気経路と接続した気体混合装置とを有し、
前記気体混合装置は、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部と
前記排気経路と接続した、外部に延びるダクトを有し、
前記混合部は、流入装置を有し、前記流入装置が動作することにより、前記空気を取り込み、
前記排気気体取り込み部は、前記ダクトと固定するための固定部を有することを特徴としたインクジェット記録装置。
【請求項13】
印字対象物に印字をするためのインクを保持するインク容器と、
前記インク容器と接続し、加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、
前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクが帯電される帯電電極と、
前記帯電電極で帯電されたインクを偏向する偏向電極と、
印字に使用されないインクを回収するガターと、
前記インク容器から吸引されたインクを前記インク容器に回収する回収経路と、
前記インク容器に接続され、前記インク容器からの気体を放出するための排気経路と、
前記排気経路と接続した気体混合装置とを有し、
前記気体混合装置は、
前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と
前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と空気とを混合する混合部と、
前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部と
前記排気経路と接続した、外部に延びるダクトを有し、
前記排気気体取り込み部は、前記ダクトの端部と接続していることを特徴としたインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルよりインクを噴出することで印字を行うインクジェット記録装置用の気体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるコンティニュアス方式のインクジェット記録装置の技術が開示されている。開示されたインクジェット記録装置は、ノズルよりインクを噴出させ、印字に用いるインク粒子にのみ帯電電極で帯電させ、帯電されたインク粒子を偏向電極で飛翔方向を偏向させて印字を行い、印字に用いないインク粒子はガターに吸引されて回収され、再度印字に用いる。また、ガターにおいては、インク粒子を吸引して回収する際に周囲の空気も同時に吸引する。吸引された空気は、インク容器内に送られ続けるため、インク容器内から機外へ排出する構成をとっていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-172932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット記録装置において、排気経路より排出される気体には、インク容器を経由するため、気体中には溶剤成分が飽和状態となっている。また、インクジェット記録装置の機内は装置が稼動することによる発熱により、インクジェット記録装置の機外よりも高い温度となっている。特許文献1のように、吸引された空気を排出する構成にすると、吸引された空気には溶剤成分を含み、溶剤成分を含む空気を機外に排出すると、機内と機外の温度差により飽和状態の溶剤成分が凝縮し、液体状態となって排気経路出口から滴下する可能性がある。
【0005】
本願の目的は、凝縮した溶剤成分が滴下することを防止する気体混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい一例は、気体を排気する排気経路を有するインクジェット記録装置用の気体混合装置であって、前記排気経路から溶剤を含む排気気体を取り込む排気気体取り込み部と、前記排気気体取り込み部と接続し、空気を取り込んで前記排気気体と前記空気とを混合する混合部と、前記混合部と接続し、前記混合部の気体を排気する排気部とを有する気体混合装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、凝縮した溶剤が滴下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の排気経路を示す図である。
図2】実施例1の気体混合装置の詳細図である。
図3】実施例2の気体混合装置を示す図である。
図4】実施例3の気体混合装置を示す図である。
図5】実施例3の気体混合装置の配置例を示す図である。
図6】実施例4の気体混合装置の接続方法を示す図である。
図7】実施例4の気体混合装置の異なる接続方法を示す図である。
図8】実施例5の気体混合装置の接続構成を示す図である。
図9】インクジェット記録装置の外観斜視図である。
図10】インクジェット記録装置の使用状態を示す斜視図である。
図11】インクジェット記録装置の動作原理を示す概略図である。
図12】インクジェット記録装置の経路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図9は、実施例1に係るインクジェット記録装置400の外観斜視図である。
図9において、1は、インクジェット記録装置本体(以下、本体という)、2は、印字ヘッド、3は、操作表示部、4は、導管である。インクジェット記録装置400は、本体1に、操作表示部3を備え、外部に印字ヘッド2を備え、本体1と印字ヘッド2は導管4にて接続されている。
【0011】
次に、このインクジェット記録装置400の使用状態について図10を用いて説明する。図10に示すように、インクジェット記録装置400は、例えば、食品や飲料などが生産される工場内の生産ラインに据え付けられる。本体1は、使用者が操作できる位置に設置される。印字ヘッド2は、ベルトコンベア15などの生産ライン上を給送される印字対象物13に近接できる位置に設置される。
【0012】
ベルトコンベア15などの生産ライン上には給送速度に係わらず同じ幅で印字するために、給送速度に応じた信号をインクジェット記録装置400に出力するエンコーダ16や、印字対象物13を検出してインクジェット記録装置400に印字を指示する信号を出力する印字センサ17が設置されていて、それぞれは本体1内の図示しない制御部に接続されている。エンコーダ16や印字センサ17からの信号に応じて制御部が、ノズル8から吐出されるインク粒子7Cへの帯電量や帯電タイミングを制御し、印字対象物13が印字ヘッド2近傍を通過する間に帯電、偏向されたインク粒子7Cを印字対象物13へ付着させて印字を行うようになっている。
【0013】
次に、インクジェット記録装置400の動作原理について図11を用いて説明する。
18は、主インク容器、7Aは、インク、24は、インク7Aを加圧し送り出すポンプ(供給用)、9は、電圧を印加すると所定の周波数で振動する電歪素子、8は、インク7Aを吐出するノズル、7Bは、インク柱である。10は、インク粒子に帯電させる帯電電極、7Cは、インク粒子で、11及び12は、偏向電極、13は、印字される印字対象物、14は、印字に使用されないインク粒子を回収するガターである。25は、ガター14で回収したインクを吸引して主インク容器18に送り出すポンプ(回収用)である。
【0014】
主インク容器18内のインク7Aは、ポンプ(供給用)24に吸引、加圧されてインク柱7Bとなってノズル8から吐出される。ノズル8には、電歪素子9が備えられており、インク7Aに所定の周波数で振動を加えてノズル8から吐出されるインク柱7Bを粒子化するようになっている。これにより生成されるインク粒子7Cの数は、電歪素子9に印加する励振電圧の周波数により決定され、その周波数と同数となる。インク粒子7Cは、印字情報に対応した大きさの電圧を偏向電極11及び12にて印加することで電荷を与えられるようになっている。
【0015】
帯電電極10で帯電させられたインク粒子7Cは、偏向電極11及び12間の電界中を飛翔する。偏向電界は、5~6kVの高電圧が印加された高圧電極と設置されたグランド電極との間に形成されており、帯電したインク粒子7Cは、その帯電量に比例した力を受けて偏向し、印字対象物13へ向かって飛翔して着弾する。その際、インク粒子7Cは帯電量に応じて偏向方向の着弾位置は変化し、さらに偏向方向と直交する方向に生産ラインが印字対象物13を移動させることで、偏向方向と直交した方向にも粒子を着弾させることが可能となり、複数の着弾粒子によって文字を構成し印字を行う。印字に使用されなかったインク粒子7Cは偏向電極11及び12間を直線的に飛翔して、ガター14により捕捉された後に、ポンプ(回収用)25により吸引され、主インク容器18に回収される。
【0016】
次に、インクジェット記録装置400の経路構成について、図12を用いて説明する。インクジェット記録装置400は、本体1と印字ヘッド2と、本体1と印字ヘッド2を接続している導管4で構成されている。
【0017】
まず、本実施例のインクジェット記録装置400のインク供給経路について説明する。本体1には、循環するインク7Aを保持する主インク容器18が備えられている。主インク容器18は、主インク容器18内のインク7Aの粘度を把握するために、経路200を介して粘度測定器33に接続されている。
【0018】
粘度測定器33は、経路201を介して経路の開閉を行う電磁弁(供給用)34に接続されており、電磁弁(供給用)34は、経路202、及び経路203を介してインク7Aを吸引、圧送するために使用されるポンプ(供給用)24に接続されている。
【0019】
そして、ポンプ(供給用)24は経路204を介してインク7A中に混入している異物を除去するフィルタ(供給用)28に接続されている。フィルタ(供給用)28は、経路205を介してポンプ(供給用)24から圧送されたインク7Aを印字するために適正な圧力に調整する減圧弁31に接続されている。減圧弁31は、経路206を介してノズル8に供給されるインク7Aの圧力を測定する圧力計32が備えられている。
【0020】
圧力計32は、導管4内を通る経路207を介して、印字ヘッド2内に備えられたヒーター40と接続されている。ヒーター40は、低温環境で使用する場合にインク7Aが適正なインク温度になるように加温制御を行っている。ヒーター40は、経路208を介して経路の開閉を行う封止弁41に接続されており、封止弁41は経路209を介してノズル8と接続されている。ノズル8は、インク7Aを吐出する吐出口を備えている。ノズル8の吐出口の直進方向には、印字に使用されないために帯電、偏向されずに直進的に飛翔するインク粒子7Cを捕捉するためのガター14が配置されている。
【0021】
次に、インクジェット記録装置400のインク補給経路について説明する。本体1には、補充用のインクを保持する補助インク容器19が備えられており、補助インク容器19は、経路221を介して経路の開閉を行う電磁弁(補給用)36に接続されている。そして、電磁弁(補給用)36は経路222を介して、経路203と接続された合流経路223に接続されている。
【0022】
次に、インクジェット記録装置400の溶剤補給経路について説明する。本体1には、溶剤補給用の溶剤を保持する溶剤容器20が備えられており、溶剤容器20は、経路231を介して溶剤を吸引、圧送するために使用されるポンプ(溶剤用)27に接続されている。ポンプ(溶剤用)27は、経路232を介して流路の開閉を行うために電磁弁(溶剤用)38に接続される。電磁弁(溶剤用)38は、経路233を介して主インク容器18と接続され、溶剤が溶剤容器20から主インク容器18に供給される。
【0023】
次に、インクジェット記録装置400のインク回収経路について説明する。ガター14は、導管4内を通る経路212を介して本体1内に配置されているインク中に混入している異物を除去するフィルタ(回収用)30と接続されており、フィルタ(回収用)30は、経路213を介して経路の開閉を行う電磁弁(回収用)35に接続されている。電磁弁(回収用)35は、経路214を介してガター14により捕捉されたインク粒子7Cを吸引するポンプ(回収用)25と接続されている。ポンプ(回収用)25は、経路215(インク回収)を介して主インク容器18と接続されている。
【0024】
次に、インクジェット記録装置400の溶剤蒸気が混合している空気の排出経路について説明する。インク7Aは揮発性の高い溶媒を用いているために、経路212~215を流れる空気は、飽和蒸気濃度に近い溶剤蒸気が混合している。主インク容器18において、経路215から流入した溶剤蒸気が混合している空気は、排気経路217から機外に排出されるようになっている。排気経路217は、ダクト410を介して本体1外部と連通した構成をとっている。
【0025】
次に、実施例の気体混合装置について、図1図8を用いて説明する。図1に示すように、気体混合装置500は、本体1内部にて排気経路217とダクト410の間に配置される。ダクト410は、インクジェット記録装置400を図示しない排気設備に接続するためのものである。なお、ダクト410は伸縮可能な構造とすることで、排気設備との接続をより容易にすることもできる。
【0026】
図2において、気体混合装置500の構成を示す。気体混合装置500は、接続部510、混合部520、排気部530によって構成されている。図中の矢印は、各気体の流れる向きを模式的に表している。混合部520は、排気気体取り込み部の一例としての接続部510によって排気経路217に接続される。
【0027】
さらに、混合部520は、排気部530と接続し、排気部530によってダクト410(図1に示す)に接続されている。電源と接続した電源コード521と、本体1と連動する電源によって動作する流入装置522と、シャッタ523とが、混合部520には、取り付けられている。流入装置522の動作によって気体混合装置500の周囲空気を取り込めるようになっている。
【0028】
流入装置522は、例えばファンのようなものがあげられる。取り込まれた周囲空気は、排気経路217を通ってきた飽和蒸気濃度に近い溶剤蒸気を含む気体とチャンバ524にて、混合される。シャッタ523は流入装置522が動作していないときは閉鎖することができ、チャンバ524と流入装置522を隔てることが出来る。チャンバ524の出口側には交換可能な排気フィルタ525があり、混合気体中に含まれるインク成分を除去できるようになっている。また、流入装置522は取り外し可能となっており、チャンバ524内部を清掃できる構造となっている。
【0029】
排気フィルタ525の先は、排気部530に接続されており、ダクト410を介してインクジェット記録装置400の機外へとつながっている。これら気体混合装置500は、溶剤成分を含む気体雰囲気に晒されるため、耐溶剤性の高い材質が用いられる。
【0030】
なお、流入装置522はシャッタ523により溶剤成分を含む気体に晒されるチャンバ524と隔てられるため、必ずしも耐溶剤性の高い材質を用いる必要はない。また、シャッタ523はフィルタのようなもので代用することも出来る。また、排気フィルタ525は、溶剤成分を除去できるようなものとしてもよい。
【0031】
実施例1によれば、排気経路217を通ってきた飽和蒸気濃度に近い溶剤成分を含む気体と周囲空気を混合させることで、インクジェット記録装置400の機外へ放出する前に溶剤成分の蒸気濃度を低下させることができ、ダクト410出口で溶剤成分が凝縮し、例えば、床などに滴下し床を汚したりすることを防ぐことが出来る。
【実施例2】
【0032】
次に、インクジェット記録装置400へ取り付けられる気体混合装置500のうち、混合部520の異なる形を図3に示す。本体1と連動する電源によって動作する流入装置522、電源と接続した電源コード521、およびシャッタ523が、混合部520には取り付けられている。流入装置522の動作によって周囲空気を取り込めるようになっている。
【0033】
流入装置522より取り込まれた周囲空気は、チャンバ524を覆うように配置されている取込経路526を通り、一端に設けられた開口部527よりチャンバ524へと流入する。このとき、流入する周囲空気は排気される気体と同じ向きで流れることになる。チャンバ524にて混合された周囲空気と排気される気体は、出口側に配置された交換可能な排気フィルタ525によって、混合された気体中に含まれるインク成分を除去され、排気部530を通って排気される構造になっている。
【0034】
また、チャンバ524を構成する壁面と、取込経路526を構成する外壁面は別々の構造体で構成されており、各々同一軸上で独立して回転することが可能となっている。また、開口部527は、混合空間であるチャンバ524側に突き出すような構造とすることで、チャンバ524内で凝縮し液体となった溶剤成分が、傾いても取込経路526や排気フィルタ525などに接触しないような構造となっている。
【0035】
実施例2によれば、流入装置522がチャンバ524から離れているため、溶剤成分を含む気体の影響を受けにくくすることが出来る。また、取り込んだ周囲空気が排気される気体を中心に周囲から流れるため、排気される溶剤成分を含む気体をより効率的に混合させることが出来る。また、チャンバ524と取込経路526の壁面を別々の構造体とすることで、流入装置522の向きを気にすることなく取り付けることが可能となり、チャンバ524内部で凝縮した溶剤成分を、チャンバ524外部へ流出させないようにすることができる。
【実施例3】
【0036】
次に、インクジェット記録装置400へ取り付けられる気体混合装置500のうち混合部520の異なる形を図4に示す。実施例2に示すような混合部520に加え、排気される気体が、チャンバ524へ流入するための気体流路543と、チャンバ524から排気部530へ流出するための気体流路544が、同軸上にない状態でチャンバ524内部に配置され、排気される気体が、蛇行して排気部530へ流出するようになっている。
【0037】
実施例3によれば、溶剤成分を含む気体の流れ方が、直線的でなくなるため、気体混合装置500を、水平方向だけでなく、図5(A)、図5(B)に示すように、垂直方向へ傾けて配置してよい。気体混合装置500を垂直方向に傾けても、チャンバ524へ流入するための気体流路543と、チャンバ524から排気部530へ流出するための気体流路544が、同軸上にないため、凝縮した溶剤成分が混合部520より流出することはない。従って、本体1内のスペースの関係で、気体混合装置500を垂直方向に配置したい場合に実施例3は有効である。
【実施例4】
【0038】
次に、インクジェット記録装置400へ取り付けられる気体混合装置500の異なる形を図6に示す。実施例1から実施例3の形態は、本体1の外部に配置することもできる。図6において、気体混合装置500は、接続部510と、混合部520と、排気部530と、図示は省略したが流入装置522とによって構成されている。排気部530は、ダクト420につながり、図示しない排気設備に接続される。なお、ダクト420は伸縮自在な構成とすることもできる。
【0039】
気体混合装置500は、本体1の外部に配置され、接続部510によって本体1の排気される気体の出口であるダクト410と接続される。なお、電源コード521は、流入装置522を動作させるための電源と接続している。電源は、本体1から独立した電源としてもよい。接続部510の形状として、外筒511および爪512を用いた固定部としてのコレットチャック形状があげられる。
【0040】
本形状であれば、外筒511および爪512を入れ替えることで、直径の異なるダクト410に、接続部510を固定することができる。あるいは、図7のように、ダクト410に突起状のガイド545およびOリング547が設けられ、接続部510にL字形状のガイド溝546が切られているような形状もある。
【0041】
本形状であれば、軸方向に沿わせて接続した後、円周方向に回転することで、引っ張られた場合に抜けることが無いようにできる。
【0042】
実施例4によれば、本体1と接続しやすく、引っ張られた場合にも抜けにくい。なお、ガイド545とガイド溝546を設ける部位は逆でもよい。さらに、簡易な形状として、接続部510を柔軟な管状物で構成し、ダクト410と接続した後、クリップ等で固定することもできる。
【実施例5】
【0043】
次に、インクジェット記録装置400へ取り付けられる気体混合装置500のうち、外部に取り付ける場合について、混合部520の別の実施例を図8に示す。図8(A)は、気体混合装置500を取り付ける前の本体1の簡略図である。図8(B)は、気体混合装置500を取り付けた後の簡略図である。排気経路217と接続し、本体1から外部に延びるダクト410から排気気体を取り込む開口部を備えた排気気体取り込み部と、流入装置522の代わりに気体経路528とを、混合部520は有している。本体1内部には、筐体内の空気を循環・排気するための本体ファン540と排気口541が設けられている。
【0044】
気体経路528は、本体1の排気口541を覆い隠せるだけの開口部を持ち、本体1と密着して固定できるようにフランジ529で本体1と固定できるようになっている。なお、本体1と密着し固定できるのであれば、フランジ529のようなものに限定されず、磁石やアタッチメントのような形状でもよい。本体ファン540により、排気口541から本体の外へ排出された空気は、気体経路528を通り、排気気体取り込み部としてのダクト410から流入する排気される気体とチャンバ524で混合される。
【0045】
チャンバ524の出口側には、交換可能な排気フィルタ525が配置され、混合される気体中に含まれるインク成分を除去された後、排気部530を通って排気される構造になっている。また、気体経路528には、逆止弁542が設けられており、本体ファン540が停止した場合に、溶剤成分を含む排気される気体が、本体1の内部に逆流しないような構成になっている。
【0046】
実施例5によれば、新たにファンを追加することなく、本体1内部の空気も循環させながら排気される気体と取り込まれた空気を混合することが出来る。
【符号の説明】
【0047】
1…本体、217…排気経路、400…インクジェット記録装置、500…気体混合装置、510…接続部、520…混合部、522…流入装置、524…チャンバ、525…排気フィルタ、526…取込経路、527…開口部、528…気体経路、530…排気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12