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  • 特許-スロープ装置の取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】スロープ装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B60R3/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018089824
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2018188142
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2017092980
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】大竹 宏
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-217965(JP,A)
【文献】特開2003-226186(JP,A)
【文献】特開2006-123661(JP,A)
【文献】実開平07-013845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロープ装置の車両への取付構造であって、
車両側に固定する取付パネルと、前記スロープ装置の基部側に設けた連結パネルとを、両側のサイド端部にてそれぞれ連結した連結ブラケットを有し、
前記連結ブラケットは前記スロープ装置側の連結パネルに荷重が負荷されていない状態では、前記取付パネルよりも高い位置にある段差状態にあり、前記連結パネルに所定の荷重が負荷されると前記取付パネルと同じ高さに変位するように設定されていることを特徴とするスロープ装置の取付構造。
【請求項2】
前記スロープ装置側の連結パネルの断面形状は、前記取付パネル側が厚肉になっていることを特徴とする請求項1記載のスロープ装置の取付構造。
【請求項3】
前記連結パネルは荷重が負荷されると、それ以上下方に変位しないように前記取付パネルとの重なり部を有していることを特徴とする請求項1又は2記載のスロープ装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車椅子等の車両への乗り降りに使用されるスロープ装置の車両への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロアに車椅子が乗降しやすいように、この車両のフロアから路面側に展開するスロープ装置の搭載車が公知である。
例えば特許文献1に、第1スロープの車両側フロア部材が車室内フロア後端に固定されているヒンジとピン連結されている取付構造を開示する。
この取付構造を図5に示す。
このようにスロープ装置100の基部側のフロア部材101と、車両側の固定部材102とが相互にかみ合うように凹凸形状に切り欠き、ピン部材103を連通させる構造は、連結安定性に優れているものの、部材の加工に工数がかかり、組付け作業も大変であった。
そこで本発明者らは、ピン部材を廃止し、フロア部材と固定部材との左右両側のサイド端部をブラケットにて回動自在に連結することを試みた。
しかし、両側のサイド端部をブラケットに連結するだけではスロープ装置に車椅子や、この車椅子を操作する人の荷重が加わると、ブラケット部の遊びやたわみによりスロープ装置の基部側が下がり、固定部材との間に段差部が発生してしまう問題が発生した。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-226186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な構造でありながら車椅子等の乗降性に優れたスロープ装置の車両への取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るスロープ装置の取付構造は、スロープ装置の車両への取付構造であって、車両側に固定する取付パネルと、前記スロープ装置の基部側に設けた連結パネルとを、両側のサイド端部にてそれぞれ連結した連結ブラケットを有し、前記連結ブラケットは前記スロープ装置側の連結パネルに荷重が負荷されていない状態では、前記取付パネルよりも高い位置にある段差状態にあり、前記連結パネルに所定の荷重が負荷されると概ね同じ高さに変位するように設定されていることを特徴とする。
【0006】
本発明は、スロープ装置の基部の連結パネルの左右方向両側のサイド端部にて連結ブラケットを用いて車両のフロア端部の取付パネルと回動自在に連結することで、従来のピンを連通するための連結パネルと取付パネルとの、かみ合わせ凹凸切欠き加工が不要になる。
スロープ装置には車椅子を車両に乗せる際の荷重が負荷される。
また、車椅子をスロープ装置に沿って降りる際には車椅子を引き下ろす人の荷重がスロープ装置に負荷される。
そこで本発明は、ブラケット及び連結パネルに負荷される荷重を予め想定し、荷重が負荷される前の車両側の取付パネルの上面の高さよりもスロープ装置の基部側の連結パネルの上面の高さの方が高い位置にあるように段差状に設定した。
これによりスロープ装置に車椅子や操作者の自重が負荷されると、上記段差が解消されるように連結パネルが下降あるいはたわみ変位するようにしたものである。
【0007】
本発明において、前記スロープ装置側の連結パネルの断面形状は、前記取付パネル側が肉厚になっているのが好ましい。
このようにすると、連結パネルのたわみ変位を抑えることができる。
また、連結パネルは荷重が負荷されると、それ以上下方に変位しないように前記取付パネルとの重なり部を有しているようにしてもよい。
このようにすると、連結パネルが下方に変位すると取付パネルの上面に当接し、それ以上、下方に下がるのを防ぐ。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスロープ装置の取付構造は、スロープ装置に荷重が負荷されると連結部に段差が生じないようにスロープ装置の基部の固定パネルへの連結高さを設定したので、簡単な構造でありながら、車椅子等の乗降性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るスロープ装置の取付構造例を示す。
図2】ブラケット部の構造例をを示す。
図3】A-A線断面図にて連結パネルの変位を示し、(a)は変位前、(b)は変位後を示す。
図4】連結ブラケットの例を示す。
図5】従来の取付構造例を示す。
図6】取付構造の実施例2を示す。
図7】取付構造の実施例3を示す。
図8】取付構造の実施例4を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るスロープ装置の取付構造例を以下、図に基づいて説明する。
車両のフロア端部からスロープ装置10を、車外、例えば路面に向けて展開した状態を図1に示す。
車両のフロアの図示を省略したが、取付パネル14が締結孔14aを介して、フロア端部にボルト等にて固定してある。
スロープ装置10のベーススロープ11の基部側に設けた連結パネル11dと取付パネル14とが左右のサイド端部にて連結ブラケット15,16にて回動自在に連結されている。
図2に連結ブラケット部分の拡大図を示し、図4に連結ブラケット15の斜視図を示す。
連結ブラケット15,16の固定孔15a,16aをスロープ装置のレールの基部側に固定部材17aにて固定し、他端に設けた軸着孔15b,16bを用いて取付パネルに軸着部材17bで軸着してある。
【0011】
本実施例では、スロープ装置10はベーススロープ11に第1スライドスロープ12、さらに第2スライドスロープ13が順次伸縮可能に連結された例になっているが、これに限定されない。
ベーススロープ11はパネル部材11aの両側にサイドレール11b,11cを有し、このサイドレールに沿って第1スライドスロープ12の第1スライドパネル12aの両側に連結した第1スライドレール12b,12cがスライド伸縮する。
第2スライドスロープ13の第2スライドパネル13aの両側の第2スライドレール13b,13cが第1スライドレール12b,12cに沿ってスライドする。
スロープ装置10を使用しない時には、第2スライドスロープ及び第1スライドスロープをベーススロープ11側に収縮し、起立させて車内に格納する。
【0012】
図3図1のA-A線断面図(実施例1)を示す。
スロープ装置10に車椅子等の荷重が負荷されていない状態では、連結パネル11dの上面の高さが固定パネル14の上面よりdだけ高くなっている。
これに対してスロープ装置に所定の負荷が加わると連結パネル11dが下降するように変位し、高さが同一(d)になり段差が解消される。
この際にブラケットの取付部の遊びや、荷重によるたわみ変形を考慮し、連結パネル11は、固定パネル側が一般部11eより厚肉部11fになっている。
なお、連絡ブラケット15,16の他端の軸着孔15b,16bを用いて軸着部材17bを介して、取付パネルの軸孔14bと軸着されている。
【0013】
図6に実施例2を示す。
取付パネル14の連結パネル11d側に、上面から少し低くなるように、段差部14cを形成してある。
一方、連結パネル11d側は、上記取付パネル14に形成した段差部14cの上方に位置するように重なり部11gを形成してある。
連結パネル11dに荷重が負荷されていない状態では図6(a)に示すように、取付パネルの段差部14cの上面と、連結パネルの重なり部11gの下面との間に所定の隙間dを有するが、連結パネル11dに荷重が負荷されると、連結ブラケット15との間に有する遊びや撓み変形によりこの隙間dの値が小さくなるが、重なり部11gが連結パネルの段差部14cに当接するので、それ以上下方に変位するのを抑える。
この重なり部の形状や構造に制限はなく、例として実施例3を図7、実施例4を図8に示す。
実施例3は、取付パネル14の連結パネル側に下方に向けて傾斜した斜面部14dを有し、この斜面部14dに重なるように連結パネル11d側に下面が傾斜した重なり部11hを形成した例である。
連結パネル11dに荷重が負荷されていない場合には、隙間dを有する。
実施例4は、プレート状の重なり部(重なり部材)11iを連結パネル11dの上面に固定した例である。
この場合に、プレート状の重なり部と取付パネルとの間に隙間dを有するが、荷重が負荷されるとこの隙間dが無くなるとともに、それ以上の変位はプレート状の重なり部の撓みによって吸収することができる。
【符号の説明】
【0014】
11d 連結パネル
11g,11h,11i 重なり部
14 取付パネル
15 連結ブラケット
16 連結ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8