(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】ポンプユニット
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20220727BHJP
F04B 23/02 20060101ALI20220727BHJP
F04B 1/22 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F04B23/02 E
F04B1/22
(21)【出願番号】P 2018150643
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】593056543
【氏名又は名称】株式会社タカコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻井 喜勝
(72)【発明者】
【氏名】河野 義彦
(72)【発明者】
【氏名】辻田 友貴
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-141703(JP,U)
【文献】特開平11-082411(JP,A)
【文献】特開平10-281106(JP,A)
【文献】特開平10-082377(JP,A)
【文献】特開2001-020890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
F04B 23/02
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧アクチュエータに作動流体を供給するポンプユニットであって、
作動流体を貯留するタンクと、
前記タンク内に配置され駆動源により回転軸が回転駆動されることで前記タンク内の作動流体を吐出可能なポンプと、
前記駆動源と前記ポンプと前記タンクが組み付けられるバルブブロックと、
前記バルブブロックに形成され前記ポンプと前記流体圧アクチュエータとを接続し前記ポンプから吐出された作動流体が流れるアクチュエータ流路と、
前記バルブブロックに形成され前記流体圧アクチュエータと前記タンクとを連通し前記
流体圧アクチュエータから排出された作動流体を前記タンクへと導く排出流路と、
前記バルブブロックに形成され前記アクチュエータ流路から分岐し前記タンクと連通するリリーフ流路と、
前記リリーフ流路に設けられ前記アクチュエータ流路内の作動流体の圧力が所定の圧力に達したときに開弁するリリーフ弁と、
前記アクチュエータ流路に設けられ前記アクチュエータ流路内の作動流体が前記ポンプ側へ逆流することを防止する逆止弁と、
前記排出流路内の作動流体を前記タンクへ排出可能な排出弁と、
を備え、
前記バルブブロックは、前記タンク内に臨む第1端面を有し、
前記第1端面には、
前記回転軸の軸方向における前記ポンプの位置決めを行うための第1組付面と、
前記リリーフ弁が組み付けられる第2組付面と、が形成され、
前記第1組付面が形成される部分の前記バルブブロックの前記回転軸の軸方向における厚さは、前記第2組付面が形成される部分の前記バルブブロックの前記回転軸の軸方向における厚さよりも薄く形成され
、
前記逆止弁及び前記排出弁は、前記回転軸の軸方向から見て、前記ポンプと重ならない位置に配置されることを特徴とするポンプユニット。
【請求項2】
前記リリーフ弁は、前記回転軸の軸方向から見て、前記逆止弁及び前記排出弁の何れか一方と少なくとも一部分が重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項3】
前記排出流路に設けられ前記排出弁を通じて排出された作動流体が流れる
フィルタをさらに備え、
前記第1端面には、前記フィルタが組み付けられる第3組付面が形成され、
前記第3組付面が形成される部分の前記バルブブロックの前記回転軸の軸方向における厚さは、前記第2組付面が形成される部分の前記バルブブロックの前記回転軸の軸方向における厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする請求項
1または2に記載のポンプユニット。
【請求項4】
前記ポンプは、ピストンと、前記ピストンを往復動させる斜板と、を有する斜板式ピストンポンプであり、
前記回転軸は、前記駆動源と連結される連結部を有し、
前記連結部は、前記ピストンを挟んで前記斜板とは反対側に設けられることを特徴とする請求項
1から3の何れか1つに記載のポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンク内に収容されタンク内の作動流体を吐出するポンプと、ポンプから吐出された作動流体の圧力に応じて開弁するリリーフバルブと、ポンプから吐出された作動流体が流れる通路が形成されるとともにタンクの開口端を閉塞するバルブブロックと、を備えたポンプユニットが開示されている。このポンプユニットに対しては、ポンプを駆動するモータがバルブブロックを介して組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のポンプユニットでは、ポンプの回転軸の軸方向におけるバルブブロックの厚さは、バルブブロック内に形成される流路と当該流路に接続されるリリーフバルブの配置に応じて設定され、モータの取付面とポンプの取付面との間のバルブブロックの厚さは、モータの取付面とリリーフバルブの取付面との間のバルブブロックの厚さと同じ厚さである。
【0005】
このため、バルブブロックの厚さが厚くなるにつれて、ポンプとモータとを接続する軸部の長さも長くなる。ポンプとモータとを接続する軸部の長さが長くなると高速回転時や高負荷時に軸部が偏心し易くなり、軸部が偏心するとオイルシールやベアリングが損傷するおそれがある。このような状況を回避するにはポンプユニットの作動許容範囲を制限すればよいが、ポンプユニットの作動許容範囲を制限すると、ポンプユニットの吐出性能は低下することとなる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプユニットの作動許容範囲を拡大し、ポンプユニットの吐出性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポンプユニットが、作動流体を貯留するタンクと、タンク内に配置され駆動源により回転軸が回転駆動されることでタンク内の作動流体を吐出可能なポンプと、駆動源とポンプとタンクが組み付けられるバルブブロックと、バルブブロックに形成されポンプと流体圧アクチュエータとを接続しポンプから吐出された作動流体が流れるアクチュエータ流路と、バルブブロックに形成され流体圧アクチュエータとタンクとを連通し流体圧アクチュエータから排出された作動流体をタンクへと導く排出流路と、バルブブロックに形成されアクチュエータ流路から分岐しタンクと連通するリリーフ流路と、リリーフ流路に設けられ前記アクチュエータ流路内の作動流体の圧力が所定の圧力に達したときに開弁するリリーフ弁と、アクチュエータ流路に設けられアクチュエータ流路内の作動流体がポンプ側へ逆流することを防止する逆止弁と、排出流路内の作動流体をタンクへ排出可能な排出弁と、を備え、バルブブロックは、タンク内に臨む第1端面を有し、第1端面には、回転軸の軸方向におけるポンプの位置決めを行うための第1組付面と、リリーフ弁が組み付けられる第2組付面と、が形成され、第1組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さは、第2組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さよりも薄く形成され、逆止弁及び排出弁は、回転軸の軸方向から見て、ポンプと重ならない位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
この発明では、ポンプの位置決めを行うための第1組付面におけるバルブブロックの厚さが、リリーフ弁が組み付けられる第2組付面におけるバルブブロックの厚さよりも薄く形成されている。このため、バルブブロック内に形成される流路や当該流路に接続される弁装置の有無に関わらず、ポンプと駆動源とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。このように、ポンプと駆動源とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受やオイルシールが損傷することを防止することができる。また、この発明では、逆止弁及び排出弁が、回転軸の軸方向から見て、ポンプと重ならない位置に配置される。このように、回転軸の軸方向から見てポンプと重なる位置に逆止弁や排出弁を配置しないことによって、第1組付面におけるバルブブロックの厚さをさらに薄くすることが可能である。
【0009】
本発明は、リリーフ弁が、回転軸の軸方向から見て、逆止弁及び排出弁の何れか一方と少なくとも一部分が重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
この発明では、リリーフ弁が、回転軸の軸方向から見て、逆止弁及び排出弁の何れか一方と少なくとも一部分が重なるように配置される。このように、リリーフ弁を逆止弁や排出弁と重なるように配置することで、回転軸の軸方向から見てこれらが全く重ならないように配置した場合と比較し、ポンプユニットを小型化することができる。
【0013】
本発明は、ポンプユニットが、排出流路に設けられ排出弁を通じて排出された作動流体が流れるフィルタをさらに備え、第1端面には、フィルタが組み付けられる第3組付面が形成され、第3組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さは、第2組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さと同じ厚さに形成されることを特徴とする。
【0014】
この発明では、第3組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さが、第2組付面が形成される部分のバルブブロックの回転軸の軸方向における厚さと同じ厚さに形成される。このように、リリーフ弁が組み付けられる第2組付面と、フィルタが組み付けられる第3組付面と、を同一面上に設けることで、バルブブロックの形状が簡素化され、結果として、バルブブロックの製造コストを低減させることができる。
【0015】
本発明は、ポンプが、ピストンと、ピストンを往復動させる斜板と、を有する斜板式ピストンポンプであり、回転軸が、駆動源と連結される連結部を有し、連結部が、ピストンを挟んで斜板とは反対側に設けられることを特徴とする。
【0016】
この発明では、駆動源と連結される斜板式ピストンポンプの回転軸の連結部がピストンを挟んで斜板とは反対側に設けられる。つまり、バルブブロックと斜板との間にピストンが配置されている。このため、ポンプから吐出された作動流体をバルブブロックに向けて導く通路を容易に形成することが可能となるとともに、バルブブロックにポンプを組み付けるだけでポンプ側に形成された通路とバルブブロック側に形成された通路とを容易に接続させることが可能となる。この結果、ポンプユニットの製造コストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポンプユニットの作動許容範囲を拡大し、ポンプユニットの吐出性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプユニットが適用されるシリンダ制御装置の油圧回路である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るポンプユニットの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るポンプユニットの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るポンプユニット100について説明する。
【0020】
ポンプユニット100は、流体圧アクチュエータとしての油圧シリンダ10の駆動を制御するシリンダ制御装置1に適用される。まず、
図1を参照して、シリンダ制御装置1の油圧回路について説明する。
図1のうち点線で囲った範囲がポンプユニット100である。
【0021】
シリンダ制御装置1は、供給される作動油(作動流体)によって伸縮する油圧シリンダ10と、油圧シリンダ10へ作動油を供給可能なポンプユニット100と、ポンプユニット100のポンプ30を駆動する駆動源としての電動モータ20と、を備える。
【0022】
油圧シリンダ10は、シリンダチューブ11と、シリンダチューブ11内に摺動自在に挿入され、シリンダチューブ11内をピストン側室11aとロッド側室11bに区画するピストン12と、一端がピストン12に連結され他端がシリンダチューブ11の外部へと突出するピストンロッド13と、を有する片ロッド型シリンダである。なお、油圧シリンダ10は、片ロッド型シリンダに限定されず、両ロッド型シリンダであってもよい。また、作動油が供給されるアクチュエータとしては、油圧シリンダ10に限定されず、作動油によって駆動するアクチュエータであればどのような形式のものであってもよく、例えば、油圧モータであってもよい。
【0023】
ポンプユニット100は、電動モータ20に結合され電動モータ20の回転に伴って回転するポンプ30と、作動油が貯留されたタンク50と、を備える。
【0024】
ポンプ30は、電動モータ20によって正方向R1に駆動される場合には、第2ポンプポート30bから作動油を吸込み、第1ポンプポート30aから作動油を吐出し、電動モータ20によって逆方向R2に駆動される場合には、第1ポンプポート30aから作動油を吸込み、第2ポンプポート30bから作動油を吐出する。このように、ポンプ30の吐出方向は、電動モータ20の回転方向に応じて切り換えられる。ポンプ30の具体的な構成については後述する。
【0025】
また、ポンプユニット100は、油圧シリンダ10のピストン側室11aとポンプ30の第1ポンプポート30aとを接続するアクチュエータ流路としての第1通路61と、油圧シリンダ10のロッド側室11bとポンプ30の第2ポンプポート30bとを接続するアクチュエータ流路としての第2通路62と、第1及び第2通路61,62にそれぞれ設けられる第1及び第2逆止弁71,72と、を備える。
【0026】
第1逆止弁71は、第1通路61を通じて第1ポンプポート30aから油圧シリンダ10のピストン側室11aへと流れる作動油の流れのみを許容し、ピストン側室11aから第1ポンプポート30aへ向かう作動油の流れを遮断する逆止弁である。
【0027】
第2逆止弁72は、第2通路62を通じて第2ポンプポート30bから油圧シリンダ10のロッド側室11bへと流れる作動油の流れのみを許容し、ロッド側室11bから第2ポンプポート30bへ向かう作動油の流れを遮断する逆止弁である。
【0028】
また、ポンプユニット100は、第2逆止弁72の上流側において第2通路62とタンク50とを接続する第1吸入通路63と、第1逆止弁71の上流側において第1通路61とタンク50とを接続する第2吸入通路64と、第1及び第2吸入通路63,64にそれぞれ設けられる第1及び第2吸入チェック弁73,74と、を備える。
【0029】
第1吸入チェック弁73は、タンク50から第2ポンプポート30bへの作動油の流れのみを許容し、第2吸入チェック弁74は、タンク50から第1ポンプポート30aへの作動油の流れのみを許容する。
【0030】
第2ポンプポート30bから作動油が吸い込まれ第1ポンプポート30aから作動油が吐出されるときには、第1吸入チェック弁73が開弁する一方で第2吸入チェック弁74は閉弁し、第1ポンプポート30aから作動油が吸い込まれ第2ポンプポート30bから作動油が吐出されるときには、第2吸入チェック弁74が開弁する一方で第1吸入チェック弁73は閉弁する。なお、電動モータ20が停止し、何れのポンプポート30a,30bからも作動油が吸い込まれないときは、第1吸入チェック弁73及び第2吸入チェック弁74は閉弁し、第1通路61及び第2通路62の圧力はそれぞれ保持される。
【0031】
また、ポンプユニット100は、第1逆止弁71の下流側において第1通路61から分岐し第1通路61とタンク50とを接続する排出流路としての第1排出通路65と、第2逆止弁72の下流側において第2通路62から分岐し第2通路62とタンク50とを接続する排出流路としての第2排出通路66と、第1及び第2排出通路65,66にそれぞれ設けられる排出弁としての第1及び第2パイロットチェック弁75,76を備える。
【0032】
第1パイロットチェック弁75は、第2ポンプポート30bから吐出される作動油の圧力によって開弁し、第1逆止弁71の下流側の第1通路61とタンク50とを連通させることにより、ピストン側室11aの作動油をタンク50へと排出させる、いわゆる排出弁である。また、第1パイロットチェック弁75は、第2ポンプポート30bから作動油が吐出されていないときには、第1通路61とタンク50との連通を遮断し、第1逆止弁71の下流側における第1通路61内の圧力、すなわち、ピストン側室11a内の作動油の圧力を保持する圧力保持弁としても機能する。
【0033】
第2パイロットチェック弁76は、第1ポンプポート30aから吐出される作動油の圧力によって開弁し、第2逆止弁72の下流側の第2通路62とタンク50とを連通させることにより、ロッド側室11bの作動油をタンク50へと排出させる、いわゆる排出弁である。また、第2パイロットチェック弁76は、第1ポンプポート30aから作動油が吐出されていないときには、第2通路62とタンク50との連通を遮断し、第2逆止弁72の下流側における第2通路62内の圧力、すなわち、ロッド側室11b内の作動油の圧力を保持する圧力保持弁としても機能する。
【0034】
なお、第1パイロットチェック弁75は、第2ポンプポート30bから作動油が吐出されているときには開弁し、第2ポンプポート30bから作動油が吐出されていないときには閉弁するように電気的に制御される電磁弁であってもよく、第2パイロットチェック弁76は、第1ポンプポート30aから作動油が吐出されているときには開弁し、第1ポンプポート30aから作動油が吐出されていないときには閉弁するように電気的に制御される電磁弁であってもよい。また、第1及び第2パイロットチェック弁75,76は、ポンプ30の吐出状態に応じて、第1逆止弁71の下流側の第1通路61とタンク50との連通を許容又は遮断することが可能であるとともに、第2逆止弁72の下流側の第2通路62とタンク50との連通を許容又は遮断することが可能な単一の切換弁であってもよい。
【0035】
また、ポンプユニット100は、第1及び第2パイロットチェック弁75,76の下流側において第1及び第2排出通路65,66が合流する排出流路としての第3排出通路67と、第3排出通路67に設けられるフィルタ77と、フィルタ77に並列して設けられる排出チェック弁78と、を備える。
【0036】
フィルタ77は、作動油に含まれる金属粉等のコンタミを除去する。排出チェック弁78は、フィルタ77が目詰まりを生じ、フィルタ77の上流側の第3排出通路67の圧力が所定の圧力に達したときに開弁することでフィルタ77を迂回して作動油をタンク50に排出する、いわゆる安全弁である。
【0037】
また、ポンプユニット100は、第1逆止弁71の下流側において第1通路61から分岐し第1通路61とタンク50とを接続するリリーフ流路としての第1リリーフ通路68と、第2逆止弁72の下流側において第2通路62から分岐し第2通路62とタンク50とを接続するリリーフ流路としての第2リリーフ通路69と、第1及び第2リリーフ通路68,69にそれぞれ設けられるリリーフ弁としての第1及び第2リリーフ弁79,80と、を備える。
【0038】
第1リリーフ弁79は、第1逆止弁71の下流側の第1通路61内の作動油の圧力、すなわち、ピストン側室11a内の作動油の圧力が所定の圧力に達したときに開弁し、第1逆止弁71の下流側の第1通路61内の作動油をタンク50へと排出する、いわゆる安全弁である。
【0039】
第2リリーフ弁80は、第2逆止弁72の下流側の第2通路62内の作動油の圧力、すなわち、ロッド側室11b内の作動油の圧力が所定の圧力に達したときに開弁し、第2逆止弁72の下流側の第2通路62内の作動油をタンク50へと排出する、いわゆる安全弁である。
【0040】
次に上述の油圧回路を有するシリンダ制御装置1による油圧シリンダ10の制御について説明する。
【0041】
シリンダ制御装置1は、作業者や外部の制御装置から油圧シリンダ10を伸長させる指示を受けると、電動モータ20を正方向R1に駆動させる。電動モータ20が正方向R1に駆動するとポンプ30は、第1吸入チェック弁73を通じて作動油を吸込み第1ポンプポート30aから作動油を吐出する。第1ポンプポート30aから吐出された作動油は、第1逆止弁71を通じてピストン側室11aへと供給される。
【0042】
また、このとき、第1ポンプポート30aから吐出された作動油により、第2パイロットチェック弁76が開弁状態となる。このため、ロッド側室11b内の作動油は、第2パイロットチェック弁76及びフィルタ77を通じてタンク50へと排出される。なお、このときロッド側室11b内の作動油をタンク50へと導くことになるロッド側室11bと第2排出通路66とを接続する部分の第2通路62と、第2排出通路66と、第3排出通路67と、が排出流路に相当する。
【0043】
このようにピストン側室11aへ作動油を供給するとともにロッド側室11b内の作動油を排出することで油圧シリンダ10は伸長する。
【0044】
一方、シリンダ制御装置1は、作業者や外部の制御装置から油圧シリンダ10を収縮させる指示を受けると、電動モータ20を逆方向R2に駆動させる。電動モータ20が逆方向R2に駆動するとポンプ30は、第2吸入チェック弁74を通じて作動油を吸込み第2ポンプポート30bから作動油を吐出する。第2ポンプポート30bから吐出された作動油は、第2逆止弁72を通じてロッド側室11bへと供給される。
【0045】
また、このとき、第2ポンプポート30bから吐出された作動油により、第1パイロットチェック弁75が開弁状態となる。このため、ピストン側室11a内の作動油は、第1パイロットチェック弁75及びフィルタ77を通じてタンク50へと排出される。なお、このときピストン側室11a内の作動油をタンク50へと導くことになるピストン側室11aと第1排出通路65とを接続する部分の第1通路61と、第1排出通路65と、第3排出通路67と、が排出流路に相当する。
【0046】
このようにロッド側室11bへ作動油を供給するとともにピストン側室11a内の作動油を排出することで油圧シリンダ10は収縮する。
【0047】
また、シリンダ制御装置1は、作業者や外部の制御装置から油圧シリンダ10を停止させる指示を受けると、電動モータ20の駆動を停止させる。電動モータ20が停止するとポンプ30も作動油の吐出を停止する。このとき、ピストン側室11a内の作動油がポンプ30やタンク50に向かって流れることは、第1逆止弁71及び第1パイロットチェック弁75によって阻止される。また、ロッド側室11b内の作動油がポンプ30やタンク50に向かって流れることは、第2逆止弁72及び第2パイロットチェック弁76によって阻止される。
【0048】
このようにピストン側室11a及びロッド側室11b内の作動油の流出が阻止されることで油圧シリンダ10は停止し、その位置が保持される。
【0049】
なお、油圧シリンダ10への負荷が増大し、ピストン側室11aまたはロッド側室11b内の作動油の圧力が油圧シリンダ10の許容値を超えた場合には、第1リリーフ弁79または第2リリーフ弁80が開弁することで油圧シリンダ10内の圧力上昇が抑制され、油圧シリンダ10が破損することが防止される。
【0050】
次に、
図2から
図5を参照して、ポンプユニット100の具体的な構造について説明する。
図2は、ポンプユニット100の断面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う断面図であり、
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図であり、
図5は、
図2のV-V線に沿う断面図である。
【0051】
図2に示すように、ポンプユニット100のポンプ30は、斜板型ピストンポンプである。ポンプ30は、電動モータ20に連結される回転軸としてのシャフト31と、シャフト31に連結されシャフト31の回転に伴って回転するシリンダブロック32と、シリンダブロック32を収容すると共に軸受34を介してシャフト31を回転自在に支持するケース33と、ケース33の開口部を封止するとともにシャフト31が挿通する挿通孔35aを有するベースブロック35と、を有する。
【0052】
シャフト31はベースブロック35を挿通して設けられ、ベースブロック35から外部に突出する連結部としての端部31aに電動モータ20が連結される。シャフト31の端部31a側は、挿通孔35aに設けられた軸受36aを介して回転自在に支持される。また、シャフト31とベースブロック35との間の隙間を通じて外部に作動油が漏れることは、挿通孔35aに設けられたオイルシール36bにより防止される。
【0053】
シリンダブロック32には、一方の端面に開口部を有する複数のシリンダ37がシャフト31と平行に形成される。複数のシリンダ37は、シリンダブロック32の周方向に所定の間隔をもって形成される。シリンダ37には、容積室37aを画成する円柱状のピストン38が往復動自在に挿入される。ピストン38の先端側はシリンダ37の開口部から突出し、その先端部には球面座38aが形成される。
【0054】
ポンプ30は、さらに、ピストン38の球面座38aと回動自在に連結されるシュー39と、シャフト31の回転に伴ってシュー39が摺接する斜板40と、すべてのシュー39を保持する環状のリテーナプレート41と、リテーナプレート41を軸方向に押圧するリテーナホルダ42と、リテーナホルダ42をリテーナプレート41側に付勢するスプリング43と、を有する。
【0055】
斜板40は、ケース33の内壁に固定され、シャフト31の軸に垂直な方向から傾斜した摺接面40aを有する。シュー39の平板部は、摺接面40aに対して面接触する。
【0056】
ベースブロック35には、シリンダブロック32の基端面が摺接するバルブプレート45が固定される。バルブプレート45には、ベースブロック35に形成された第1及び第2通路61,62に連通する図示しない第1及び第2ポンプポート30a,30bが形成される。また、ベースブロック35には、
図4に示すように、タンク50から第2ポンプポート30bへの作動油の流れのみを許容する第1吸入チェック弁73と、タンク50から第1ポンプポート30aへの作動油の流れのみを許容する第2吸入チェック弁74と、が組み付けられている。
【0057】
第1及び第2吸入チェック弁73,74の一端は、ベースブロック35の外周面において開口しており、タンク50内の作動油を、第1及び第2吸入通路63,64と第1及び第2通路61,62とを通じて第1及び第2ポンプポート30a,30bへと導いている。また、
図4に示すように、第1及び第2吸入通路63,64をベースブロック35の同一面において開口させた場合、第1及び第2吸入通路63,64が開口するベースブロック35の面が鉛直方向下方となるようにポンプユニット100を配置することで、第1及び第2吸入通路63,64から作動油をスムーズに吸込むことが可能となる。なお、第1及び第2吸入通路63,64は、それぞれ別々にタンク50に対して開口しているが、第1及び第2吸入通路63,64がタンク50に開口する開口端は、単一の通路に統合されていてもよい。
【0058】
電動モータ20の動力によりシャフト31が回転駆動され、シリンダブロック32が回転すると、各シュー39の平板部が斜板40に対して摺接し、各ピストン38が斜板40の傾斜角度に応じたストローク量でシリンダ37内を往復動する。各ピストン38の往復動により、各容積室37aの容積が増減する。
【0059】
そして、電動モータ20の回転に伴ってシリンダブロック32が一方の方向に回転すると、容積が拡大する容積室37aに第2ポンプポート30bを通じて作動油が吸い込まれ、容積が縮小する容積室37aから第1ポンプポート30aを通じて作動油が吐出される。一方、シリンダブロック32が他方の方向に回転すると、容積が拡大する容積室37aに第1ポンプポート30aを通じて作動油が吸い込まれ、容積が縮小する容積室37aから第2ポンプポート30bを通じて作動油が吐出される。このように、ポンプ30では、シリンダブロック32の回転に伴って、作動油の吸込と吐出が連続的に行われる。また、シリンダブロック32の回転方向に応じて、第1及び第2ポンプポート30a,30bの吸込と吐出が切り換わる。
【0060】
ポンプユニット100は、
図2に示すように、上記構成のポンプ30が組み付けられるバルブブロック90と、バルブブロック90により開口端が閉塞される有底筒状のタンクケース51と、をさらに備える。タンクケース51とバルブブロック90とによって作動油が貯留されるタンク50が形成され、ポンプ30はこのタンク50内に配置される。つまり、バルブブロック90には、ポンプ30とタンク50とが組み付けられる。
【0061】
バルブブロック90は、上述の各通路61~69が内部に形成されるとともに上述の逆止弁等の弁装置71~80が組み付けられる直方体状のブロック体である。バルブブロック90は、
図2及び
図3に示すように、タンク50に臨む第1端面91と、第1端面91の反対側に位置する第2端面92と、第1通路61の開口端である第1給排ポート61aが開口する第3端面94と、第3端面94の反対側に位置し第2通路62の開口端である第2給排ポート62aが開口する第4端面95と、第1及び第2パイロットチェック弁75,76が組み付けられる第5端面96と、第5端面96の反対側に位置する第6端面97と、の6つの端面を有する。
【0062】
また、バルブブロック90には、第1端面91及び第2端面92に直交する方向に貫通して形成される挿通孔93が設けられる。挿通孔93には、ポンプ30のシャフト31の端部31aが挿通される。また、図示しない電動モータ20が第2端面92に組み付けられることで、挿通孔93には、電動モータ20の図示しない駆動軸が挿通される。つまり、挿通孔93内では、ポンプ30のシャフト31と電動モータ20の駆動軸とが図示しない軸継手を介して連結される。軸継手が挿通孔93内に収容されるようにするため、挿通孔93の内径は、軸継手の外径よりも大きく設定される。
【0063】
バルブブロック90の第1端面91は、
図2及び
図5に示すように、ポンプ30のシャフト31の軸方向における位置決めを行うための第1組付面91aと、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bと、フィルタ77が組み付けられる第3組付面91cと、を有する。
【0064】
第1組付面91aは、ポンプ30の図示しない第1及び第2ポンプポート30a,30bと、バルブブロック90に形成された第1及び第2通路61,62と、が接続される接続面であり、ポンプ30のベースブロック35がバルブブロック90に当接する面である。このように第1組付面91aにポンプ30が組み付けられることにより、ポンプ30のシャフト31の軸方向における位置が決まる。
【0065】
第2組付面91bには、第1及び第2リリーフ弁79,80をバルブブロック90に保持するための保持穴91dが開口しており、保持穴91dには、雌ネジ等が加工されている。第1及び第2リリーフ弁79,80は、保持穴91dに螺合されることでバルブブロック90に組み付けられる。なお、第1及び第2リリーフ弁79,80は、圧入によりバルブブロック90に組み付けられるものであってもよい。また、第1及び第2リリーフ弁79,80の軸方向における位置決めは、第2組付面91bにより行われてもよいし、バルブブロック90内に形成された面により行われてもよい。
【0066】
第3組付面91cには、フィルタ77をバルブブロック90に保持するための保持穴91eが開口しており、保持穴91eには、雌ネジ等が加工されている。フィルタ77は、保持穴91eに螺合されることでバルブブロック90に組み付けられる。なお、フィルタ77は、圧入によりバルブブロック90に組み付けられるものであってもよい。また、フィルタ77の軸方向における位置決めは、第3組付面91cにより行われてもよいし、バルブブロック90内に形成された面により行われてもよい。
【0067】
ここで、第1組付面91aにおけるバルブブロック90のシャフト31の軸方向における厚さである第1厚さT1は、第2組付面91bにおけるバルブブロック90のシャフト31の軸方向における厚さである第2厚さT2及び第3組付面91cにおけるバルブブロック90のシャフト31の軸方向における厚さである第3厚さT3よりも薄く形成されている。換言すると、電動モータ20が組み付けられる第2端面92と第1組付面91aとの間の距離は、第2端面92と第2組付面91bとの間の距離及び第2端面92と第3組付面91cとの間の距離よりも短く設定されている。
【0068】
第1厚さT1を第2厚さT2及び第3厚さT3と同じ厚さにした方が、バルブブロック90の形状が簡素になるため、製造コストの点からは有利である。しかしながら、第2厚さT2及び第3厚さT3の厚さは、バルブブロック90内に形成される流路の径の大きさや当該流路に接続される第1及び第2リリーフ弁79,80やフィルタ77の組付ねじ部の長さによって決定されるため、比較的厚くなりやすい。
【0069】
比較的厚くなる第2厚さT2及び第3厚さT3と同じ厚さに第1厚さT1をしてしまうと、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さは長くなる。ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さが長くなると高速回転時や高負荷時に軸部が偏心し易くなり、軸部が偏心すると軸受36aやオイルシール36bが損傷するおそれがある。このような状況を回避するにはポンプユニット100の作動許容範囲を制限すればよいが、安易にポンプユニット100の作動許容範囲を制限してしまうと、ポンプユニット100の吐出性能が低下することとなる。
【0070】
これに対して、本実施形態に係るポンプユニット100では、上述のように、第1厚さT1を第2厚さT2及び第3厚さT3よりも薄くしている。このため、バルブブロック90内に形成される流路や当該流路に接続される弁装置の有無に関わらず、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。
【0071】
このように、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受36aやオイルシール36bが損傷することを防止することができる。また、軸部の偏心が抑制されることでポンプユニット100の作動許容範囲を拡大することが可能となり、ポンプユニット100の最高回転や最大負荷を高めることでポンプユニット100の吐出性能を向上させることができる。
【0072】
また、第1厚さT1を第2厚さT2及び第3厚さT3よりも薄くすることで、ポンプ30の一部はバルブブロック90内に収容される。このようにポンプ30の一部をバルブブロック90内に収容することでタンクケース51とバルブブロック90とによって形成されるタンク50の容量を大きくすることができる。
【0073】
また、第2厚さT2及び第3厚さT3を第1厚さT1よりも厚くすることが可能となることで、第1及び第2リリーフ弁79,80やフィルタ77を組み付けるためのバルブブロック90の厚さを確保するとともに、第1及び第2リリーフ弁79,80やフィルタ77が接続される流路を形成するためバルブブロック90の厚さを確保することができる。
【0074】
また、ポンプユニット100では、上述のように、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bにおけるバルブブロック90の第2厚さT2を、第1厚さT1よりも厚くすることが可能であることから、
図3に示すように、第1及び第2リリーフ弁79,80を、シャフト31の軸方向から見て、第1及び第2パイロットチェック弁75,76と重なる位置に配置している。
【0075】
このように、第1及び第2リリーフ弁79,80を、シャフト31の軸方向から見て、第1及び第2パイロットチェック弁75,76と重なるように配置することで、シャフト31の軸方向から見てこれらが全く重ならないように配置した場合と比較し、ポンプユニット100を容易に小型化することができる。なお、第1及び第2リリーフ弁79,80は、シャフト31の軸方向から見て、第1及び第2逆止弁71,72と重なる位置に配置されてもよい。この場合も、ポンプユニット100を容易に小型化することができる。
【0076】
また、ポンプユニット100では、第1及び第2パイロットチェック弁75,76と第1及び第2逆止弁71,72とが、シャフト31の軸方向から見て、ポンプ30と重ならない位置に配置されている。このため、第1厚さT1をより薄くすることが可能である。この結果、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さをさらに短くすることが可能となる。
【0077】
なお、第1及び第2パイロットチェック弁75,76と第1及び第2逆止弁71,72とは、その一部分が、シャフト31の軸方向から見て、ポンプ30と重なる位置に配置されてもよい。このように、ポンプ30寄りに第1及び第2パイロットチェック弁75,76や第1及び第2逆止弁71,72を配置することでポンプユニット100を小型化することができる。
【0078】
また、ポンプユニット100では、第2組付面91bにおけるバルブブロック90の第2厚さT2と第3組付面91cにおける第3厚さT3とを同じ厚さとしている。このように、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bと、フィルタ77が組み付けられる第3組付面91cと、を同一面上に設けることで、バルブブロック90の形状が簡素化され、結果として、バルブブロック90の製造コストを低減させることができる。
【0079】
また、ポンプ30の斜板40がベースブロック35側に配置され、ピストン38及びシリンダブロック32が斜板40を挟んでシャフト31の端部31aとは反対側に配置された構成である場合、シリンダブロック32内の容積室37aから吐出された作動油をバルブブロック90へと導くには、例えばシリンダブロック32の外側に配管を配索する必要がある。したがって、ポンプ30の構成を、ベースブロック35側に斜板40が配置された構成とした場合、ポンプユニット100が径方向に大型化してしまうことになる。
【0080】
これに対して、上記ポンプユニット100のポンプ30の斜板40は、ピストン38及びシリンダブロック32を挟んでベースブロック35とは反対側に配置されている。つまり、バルブブロック90と斜板40との間にベースブロック35、ピストン38及びシリンダブロック32が配置されている。このため、容積室37aに作動油を導く通路や容積室37aから吐出される作動油を導く通路をベースブロック35内に形成することが可能となり、斜板40を避けてこれらの通路を設ける必要がない。また、バルブブロック90にポンプ30を組み付けるだけで、ベースブロック35内に形成された通路とバルブブロック90に形成された通路とを容易に接続させることが可能である。
【0081】
このように、ポンプ30の構成を、バルブブロック90の挿通孔93に挿通されるシャフト31の端部31aがピストン38及びシリンダブロック32を挟んで斜板40とは反対側に設けられた構成とすることによって、ポンプユニット100が径方向に大型化してしまうことを避けることができるとともに、ポンプ30とバルブブロック90とを接続する通路の加工及び通路の接続作業を容易とすることができる。この結果、ポンプユニット100の製造コストを低減させることができる。
【0082】
また、バルブブロック90の挿通孔93内にポンプ30と電動モータ20とを接続する軸継手を収容させることによって、軸継手がバルブブロック90の外に配置される場合と比較し、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。このように、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受36aやオイルシール36bが損傷することを防止することができる。
【0083】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0084】
本実施形態に係るポンプユニット100では、ポンプ30の位置決めを行うための第1組付面91aにおけるバルブブロック90の第1厚さT1が、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bにおけるバルブブロック90の第2厚さT2及びフィルタ77が組み付けられる第3組付面91cにおけるバルブブロック90の第3厚さT3よりも薄く形成されている。
【0085】
このため、バルブブロック90内に形成される流路や当該流路に接続される弁装置の有無に関わらず、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。このように、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受36aやオイルシール36bが損傷することを防止することができる。また、軸部の偏心が抑制されることでポンプユニット100の作動許容範囲を拡大することが可能となり、ポンプユニット100の最高回転や最大負荷を高めることでポンプユニット100の吐出性能を向上させることができる。
【0086】
次に、上記実施形態に係るポンプユニット100の変形例について説明する。
【0087】
図6に示す変形例では、ポンプ30の位置決めを行うための第1組付面91aと第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bとが同一面上に設けられる一方で、電動モータ20が組み付けられる組付面92aが第2端面92のうち第1組付面91aと対向する部分に形成されている。
【0088】
この変形例においても、第1組付面91aにおけるバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第1厚さT1は、第2組付面91bにおけるバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第2厚さT2よりも薄く形成されている。換言すると、電動モータ20が組み付けられる組付面92aと第1組付面91aとの間の距離は、第2端面92と第2組付面91bとの間の距離よりも短く設定されている。
【0089】
このため、上記実施形態と同様に、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。そして、このようにポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受36aやオイルシール36bが損傷することを防止することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、ポンプ30が斜板型ピストンポンプである場合について説明した。しかし、ポンプ30は斜板型ピストンポンプに限定されるものではなく、回転駆動されることで作動油を吐出可能な容積型ポンプであればどのような形式のものであってもよく、例えば、ギヤポンプやベーンポンプであってもよい。
【0091】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0092】
ポンプユニット100は、作動油を貯留するタンク50と、タンク50内に配置され電動モータ20によりシャフト31が回転駆動されることでタンク50内の作動油を吐出可能なポンプ30と、電動モータ20とポンプ30とタンク50が組み付けられるバルブブロック90と、バルブブロック90に形成されポンプ30と油圧シリンダ10とを接続しポンプ30から吐出された作動油が流れる第1及び第2通路61,62と、バルブブロック90に形成され油圧シリンダ10とタンク50とを連通し油圧シリンダ10から排出された作動油をタンク50へと導く第1,第2及び第3排出通路65,66,67と、バルブブロック90に形成され第1及び第2通路61,62から分岐しタンク50と連通する第1及び第2リリーフ通路68,69と、第1及び第2リリーフ通路68,69に設けられ第1及び第2通路61,62内の作動油の圧力が所定の圧力に達したときに開弁する第1及び第2リリーフ弁79,80と、を備え、バルブブロック90は、タンク50内に臨む第1端面91を有し、第1端面91には、シャフト31の軸方向におけるポンプ30の位置決めを行うための第1組付面91aと、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bと、が形成され、第1組付面91aが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第1厚さT1は、第2組付面91bが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第2厚さT2よりも薄く形成される。
【0093】
この構成では、ポンプ30の位置決めを行うための第1組付面91aにおけるバルブブロック90の第1厚さT1が、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bにおけるバルブブロック90の第2厚さT2よりも薄く形成されている。このため、バルブブロック90内に形成される流路や当該流路に接続される弁装置の有無に関わらず、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることが可能となる。このように、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さを短くすることによって高速回転時や高負荷時に軸部が偏心することが抑制され、軸受36aやオイルシール36bが損傷することを防止することができる。また、軸部の偏心が抑制されることでポンプユニット100の作動許容範囲を拡大することが可能となり、ポンプユニット100の最高回転や最大負荷を高めることでポンプユニット100の吐出性能を向上させることができる。
【0094】
また、ポンプユニット100は、第1及び第2通路61,62に設けられ第1及び第2通路61,62内の作動油がポンプ30側へ逆流することを防止する第1及び第2逆止弁71,72と、第1及び第2排出通路65,66内の作動油をタンク50へ排出可能な第1及び第2パイロットチェック弁75,76と、をさらに備え、第1及び第2リリーフ弁79,80は、シャフト31の軸方向から見て、第1及び第2逆止弁71,72及び第1及び第2パイロットチェック弁75,76の何れか一方と少なくとも一部分が重なる位置に配置される。
【0095】
この構成では、第1及び第2リリーフ弁79,80が、シャフト31の軸方向から見て、第1及び第2逆止弁71,72及び第1及び第2パイロットチェック弁75,76の何れか一方と少なくとも一部分が重なるように配置される。このように、第1及び第2リリーフ弁79,80を第1及び第2逆止弁71,72や第1及び第2パイロットチェック弁75,76と重なるように配置することで、シャフト31の軸方向から見てこれらが全く重ならないように配置した場合と比較し、ポンプユニット100を容易に小型化することができる。
【0096】
また、ポンプユニット100は、第1及び第2通路61,62に設けられ第1及び第2通路61,62内の作動油がポンプ30側へ逆流することを防止する第1及び第2逆止弁71,72と、第1及び第2排出通路65,66内の作動油をタンク50へ排出可能な第1及び第2パイロットチェック弁75,76と、をさらに備え、第1及び第2逆止弁71,72及び第1及び第2パイロットチェック弁75,76は、シャフト31の軸方向から見て、ポンプ30と重ならない位置に配置される。
【0097】
この構成では、第1及び第2逆止弁71,72及び第1及び第2パイロットチェック弁75,76が、シャフト31の軸方向から見て、ポンプ30と重ならない位置に配置される。このように、シャフト31の軸方向から見てポンプ30と重なる位置に第1及び第2逆止弁71,72や第1及び第2パイロットチェック弁75,76を配置しないことによって、第1厚さT1をさらに薄くすることが可能である。この結果、ポンプ30と電動モータ20とを接続する軸部の長さをさらに短くすることができる。
【0098】
また、ポンプユニット100は、第1及び第2排出通路65,66内の作動油をタンク50へ排出可能な第1及び第2パイロットチェック弁75,76と、第3排出通路67に設けられ第1及び第2パイロットチェック弁75,76を通じて排出された作動油が流れるフィルタ77と、をさらに備え、第1端面91には、フィルタ77が組み付けられる第3組付面91cが形成され、第3組付面91cが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第3厚さT3は、第2組付面91bが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第2厚さT2と同じ厚さに形成される。
【0099】
この構成では、第3組付面91cが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第3厚さT3が、第2組付面91bが形成される部分のバルブブロック90のシャフト31の軸方向における第2厚さT2と同じ厚さに形成される。このように、第1及び第2リリーフ弁79,80が組み付けられる第2組付面91bと、フィルタ77が組み付けられる第3組付面91cと、を同一面上に設けることで、バルブブロック90の形状が簡素化され、結果として、バルブブロック90の製造コストを低減させることができる。
【0100】
また、ポンプ30は、ピストン38と、ピストンを往復動させる斜板40と、を有する斜板式ピストンポンプであり、シャフト31は、電動モータ20と連結される端部31aを有し、端部31aは、ピストン38を挟んで斜板40とは反対側に設けられる。
【0101】
この構成では、電動モータ20と連結されるポンプ30のシャフト31の端部31aがピストン38を挟んで斜板40とは反対側に設けられる。つまり、バルブブロック90と斜板40との間にピストン38及びシリンダブロック32が配置されている。このため、ポンプ30から吐出された作動油をバルブブロック90に向けて導く通路を容易に形成することが可能となるとともに、バルブブロック90にポンプ30を組み付けるだけでポンプ30側に形成された通路とバルブブロック90側に形成された通路とを容易に接続させることが可能となる。この結果、ポンプユニット100の製造コストを低減させることができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0103】
100・・・ポンプユニット、10・・・油圧シリンダ(流体圧アクチュエータ)、20・・・電動モータ(駆動源)、30・・・ポンプ、31・・・シャフト(回転軸)、31a・・・端部(連結部)、38・・・ピストン、40・・・斜板、50・・・タンク、61・・・第1通路(アクチュエータ流路)、62・・・第2通路(アクチュエータ流路)、65・・・第1排出通路(排出流路)、66・・・第2排出通路(排出流路)、67・・・第3排出通路(排出流路)、68・・・第1リリーフ通路(リリーフ流路)、69・・・第2リリーフ通路(リリーフ流路)、71・・・第1逆止弁(逆止弁)、72・・・第2逆止弁(逆止弁)、75・・・第1パイロットチェック弁(排出弁)、76・・・第2パイロットチェック弁(排出弁)、77・・・フィルタ、79・・・第1リリーフ弁(リリーフ弁)、80・・・第2リリーフ弁(リリーフ弁)、90・・・バルブブロック、91・・・第1端面、91a・・・第1組付面、91b・・・第2組付面、91c・・・第3組付面、T1・・・第1厚さ、T2・・・第2厚さ、T3・・・第3厚さ