(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】作業機および作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 3/38 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
E02F3/38 A
(21)【出願番号】P 2018177219
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】真田 健司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 明信
(72)【発明者】
【氏名】吉原 幸秀
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-102849(JP,A)
【文献】実開昭54-111303(JP,U)
【文献】実開昭62-196248(JP,U)
【文献】特開2016-142117(JP,A)
【文献】特開2005-205439(JP,A)
【文献】特開2001-271371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームと、
前記アームの下面に固定された板状部材と、前記板状部材に固定され、前記アームの長手方向に沿って設けられたリブと、を有し、前記板状部材は貫通孔を有するプロテクタと、
前記板状部材の外周縁と前記アームの前記下面とが溶接された第1溶接部と、
前記貫通孔の周縁の少なくとも一部と前記アームの前記下面とが溶接された第2溶接部と、を備え
、
前記リブは複数設けられており、
前記貫通孔は、前記アームの幅方向において最も外側に配置されている前記リブと前記外周縁の間に形成されている、
作業機。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記アームの長手方向に沿って形成されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第2溶接部は、前記貫通孔の周縁の前記アームの長手方向に沿った部分に形成されている、
請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記第2溶接部は、前記アームの長手方向において、前記アームの断面形状が変化する部分に対応する位置に形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記リブの間に形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項6】
アームと、
前記アームの下面に固定された板状部材と、前記板状部材に固定され、前記アームの長手方向に沿って設けられたリブと、を有し、前記板状部材は貫通孔を有するプロテクタと、
前記板状部材の外周縁と前記アームの前記下面とが溶接された第1溶接部と、
前記貫通孔の周縁の少なくとも一部と前記アームの前記下面とが溶接された第2溶接部と、を備え、
前記貫通孔は、前記アームの幅方向に沿って形成されている、
作業機。
【請求項7】
アームと、
前記アームの下面に固定された複数の板状部材と、前記板状部材に固定され、前記アームの長手方向に沿って設けられたリブと、を有するプロテクタと、
各々の前記板状部材の外周縁と前記アームの前記下面とが溶接された第3溶接部と、
を備え、
前記複数の板状部材は、前記アームの長手方向に間隔を空けて配置されており、前記リブは、前記複数の板状部材に亘って固定されている、
作業機。
【請求項8】
前記複数の板状部材は、前記アームの幅方向に間隔を空けて配置されている、
請求項
7に記載の作業機。
【請求項9】
前記第3溶接部は、前記アームの長手方向において、前記アームの断面形状が変化する部分に対応する位置に設けられている、
請求項
7に記載の作業機。
【請求項10】
前記アームの側面に溶接され、前記アームの先端部に装着可能なアタッチメントに作動油を供給する配管またはホースが固定される固定部を更に備え、
前記固定部が配置されている前記アームの側面の部分が、前記アームの断面形状が変化する部分である、
請求項4または
9に記載の作業機。
【請求項11】
前記アームの側面に配置され、前記アームの先端部に装着可能なアタッチメントを回動可能に支持する支持部材を更に備え、
前記アームの側面は、前記支持部材の周囲に形成された補強部分と、前記補強部分よりも前記アームの基端側に配置された基端側部分と、を有し、
前記補強部分は、前記基端側部分よりも厚く形成されており、
前記補強部分と前記基端側部分との境界部分が、前記アームの断面形状が変化する部分である、
請求項4または
9に記載の作業機。
【請求項12】
少なくとも前記アームの長手方向に沿った前記板状部材の前記下面側の角は、面取り形状に形成されている、
請求項1~
11のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の作業機を備えた作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機および作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルは、一般的に、土砂や岩等の掘削作業に用いられる。例えば、アームの先端にバケットを装着することで土砂等を掘削でき、また、バケットの代わりにアームの先端にブレーカを装着することによって、岩の破砕を行うことができる。
このような油圧ショベルにおいて、岩の破砕時等にアームを保護するためのプロテクタが設けられた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブレーカ作業を行う際に、アームに横曲げや、ねじり方向の力が働き、アームとプロテクタが離れる方向に負荷が作用するため、プロテクタのアームへの溶接部に高応力が発生し、溶接部に亀裂が生じる場合があった。
本発明の目的は、プロテクタとアームの接合強度を向上することが可能な作業機および作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明に係る作業機は、アームと、プロテクタと、第1溶接部と、第2溶接部と、を備える。プロテクタは、板状部材と、リブと、を有する。板状部材は、アームの下面に固定されている。リブは、板状部材に固定され、アームの長手方向に沿って設けられている。板状部材は、貫通孔を有する。第1溶接部は、板状部材の外周縁とアームの下面とが溶接されている。第2溶接部は、貫通孔の周縁の少なくとも一部とアームの下面とが溶接されている。
【0006】
発明に係る作業機は、アームと、プロテクタと、第3溶接部と、を備える。プロテクタは、複数の板状部材と、リブと、を有する。複数の板状部材は、アームの下面に固定されている。リブは、板状部材に固定され、アームの長手方向に沿って設けられている。第3溶接部は、各々の板状部材の外周縁とアームの下面とが溶接されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プロテクタとアームの接合強度を向上することが可能な作業機および作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明にかかる実施の形態1における油圧ショベルの外観斜視図。
【
図2】
図1の油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す斜視図。
【
図7】本発明にかかる実施の形態2における油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す正面図。
【
図8】本発明にかかる実施の形態3における油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す正面図。
【
図9】本発明にかかる実施の形態4における油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す正面図。
【
図10】本発明にかかる実施の形態5における油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す斜視図。
【
図12】本発明にかかる実施の形態6における油圧ショベルのプロテクタ近傍を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る作業機および油圧ショベルについて、図面を参照しながら以下に説明する。
(1.実施の形態1)
以下に実施の形態1における作業機および油圧ショベルについて説明する。
(1-1.油圧ショベル1)
図1は、本実施の形態の油圧ショベル1の構成を示す図である。本実施の形態の油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4と、を有する。走行体2は、一対の走行装置20を有する。各々の走行装置20は、履帯21を有している。エンジンからの駆動力によって履帯21が駆動され、油圧ショベル1が走行する。
【0010】
旋回体3は、走行体2の上側に旋回可能に配置されている。旋回体3は、キャブ31と、エンジンルーム32と、を有する。キャブ31は、旋回体3の前部左側に設けられている。キャブ31には、運転席が配置されている。エンジンルーム32は、旋回体3の後部に配置されており、内側にエンジンなどが配置されている。エンジンルーム32の後側にはカウンタウェイト33が設けられている。
なお、本明細書の説明において、「上」「下」「前」「後」「左」「右」とは、キャブ31の運転席に着座したオペレータを基準とする用語である。
【0011】
(1-2.作業機4)
図2は、作業機4の先端近傍を示す斜視図である。
作業機4は、旋回体3の前部中央に配置されている。作業機4は、
図1および
図2に示すようにブーム41、アーム42、バケット43、ブームシリンダ44、アームシリンダ45およびバケットシリンダ46と、リンク機構47と、ホース接続部48と、固定部49と、プロテクタ50と、を有する。
【0012】
ブーム41の基端部は、旋回体3に回動可能に連結されている。また、アーム42の基端部は、ブーム41の先端部に回動可能に連結されている。バケット43は、アーム42の先端部に回動可能に連結されている。バケット43は、バケットピン43aにおいてアーム42と連結されており、バケットピン43aを中心に回動可能に設けられている。
ブームシリンダ44は、旋回体3とブーム41の間に設けられている。アームシリンダ45は、ブーム41とアーム42の間に設けられている。バケットシリンダ46は、アーム42とバケット43の間に設けられている。ブームシリンダ44、アームシリンダ45、およびバケットシリンダ46は、いずれも油圧シリンダである。これら油圧シリンダが駆動されることによってブーム41、アーム42およびバケット43が回動し、作業機4が駆動される。これにより、掘削等の作業が行われる。
【0013】
(1-3.リンク機構)
リンク機構47は、アーム42とバケット43に接続されている。また、リンク機構47には、バケットシリンダ46のロッドの先端46aが接続されている。
図2は、アーム42の先端近傍の斜視図である。
リンク機構47は、一対のバケット側リンク部材71と、一対のアーム側リンク部材72と、を有する。一対のバケット側リンク部材71は、アーム42の幅方向Yにおいて対向して配置されている。一対のアーム側リンク部材72は、アーム42の幅方向Yにおいて対向して配置されている。バケット側リンク部材71は、アーム側リンク部材72よりもバケット43側に配置されている。
【0014】
一対のバケット側リンク部材71とバケット43は、バケットピン73によって連結されている。一対のバケット側リンク部材71とバケット43は、バケットピン73を中心に互いに回転可能である。
一対のアーム側リンク部材72は、アーム42を挟むように、アーム42の左右両側に配置されている。各々のアーム側リンク部材72は、アーム42とアームピン74によって連結されている。各々のアーム側リンク部材72とアーム42は、アームピン74を中心に回転可能である。
【0015】
一対のバケット側リンク部材71と、一対のアーム側リンク部材72は、リンクピン75によって連結されている。アーム側リンク部材72とバケット側リンク部材71は、リンクピン75を中心に互いに回転可能である。
バケットシリンダ46のロッドの先端46aは、バケット側リンク部材71とアーム側リンク部材72との連結部に連結されている。バケットシリンダ46の伸縮によって、アーム42に対してバケット43が回転する。
【0016】
なお、
図2に示すように、アーム42の長手方向Xのうちブーム41側に向かう方向を基端方向X1とし、バケット43側に向かう方向を先端方向X2とする。また、幅方向Yのうち左方向をY1とし、右方向をY2とする。
アーム42の側面42bは、補強部分42b1と、基端側部分42b2と、を有している。補強部分42b1は、アームピン74の周囲に形成されている。基端側部分42b2は、補強部分42b1の基端方向X1側に配置されている。
バケット43の回動による力が作用するため、補強部分42b1の板厚は、基端側部分42b2の板厚よりも厚く形成されている。補強部分42b1と基端側部分42b2の境界部分42s1が、アーム42の断面形状が変化する部分に相当する。断面形状が変化する部分は、アーム42の断面強度の変化が大きい部分ともいえる。
【0017】
(1-4.ホース接続部48、固定部49)
ホース接続部48は、バケット43に代えてブレーカをアーム42の先端に装着した場合に、ブレーカに作動油を供給するためのホースが接続される。
図2に示すように、ホース接続部48は、アーム42の側面42bに固定部49を介して固定されている。ホース接続部48には、旋回体3に配置されている作動油ポンプに繋がるホース81が接続されている。
【0018】
固定部49は、ベース部材491と、ブロック492と、ブラケット493と、を有する。ベース部材491は、板状の部材であって、アーム42の側面42bに溶接によって固定されている。ブロック492は、ベース部材491上に溶接によって固定されている。ブラケット493は、アーム42の長手方向Xに沿って視て概ねL字形状の部材であって、側面42bと平行な面がボルトによってブロック492に固定されている。また、ブラケット493の側面42bに対して概ね垂直な面にボルトによってホース接続部48が固定されている。
【0019】
図2に示すホース接続部48は、バケット43側に接続口481を有しており、接続口481に、アタッチメントとしてのブレーカに設けられているホースが接続される。接続口481には、ホースに限らず配管が接続されても良い。
なお、側面42bのベース部材491が溶接されている溶接部分42s2が、アーム42の断面形状が変化する部分に相当する。断面形状が変化する部分は、アーム42の断面強度の変化が大きい部分ともいえる。
【0020】
(1-5.プロテクタ50)
プロテクタ50は、掘削時に岩石等がアーム42の下面42cに衝突することを防護する。プロテクタ50は、バケット43側の先端近傍におけるアーム42の下面42cに溶接によって固定されている。
図3は、プロテクタ50の正面図である。
図4は、
図3のAA´間の矢示断面図であり、アーム42の一部も示す図である。
図5は、プロテクタ50の側面図である。
プロテクタ50は、板状部材51と、複数のリブ52と、複数の貫通孔53と、を有する。
【0021】
(a.板状部材51)
板状部材51は、アーム42の下面42cに溶接によって固定されている。
板状部材51は、その外周縁51fが概ね五角形状であって、外周縁部分51a、51b、51c、51d、51eを有する。先端方向X2側の端の外周縁部分51aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分51aは、アーム42の先端42aの近傍に配置されている。外周縁部分51aの幅方向Yの両端から外周縁部分51b、51cが基端方向X1に向かって伸びている。外周縁部分51bは、アーム42の下面42cの左方向Y1側の縁の近傍であって、左方向Y1側の縁に沿って形成されている。外周縁部分51cは、アーム42の下面42cの右方向Y2側の縁の近傍であって、右方向Y2側の縁に沿って形成されている。外周縁部分51bの基端方向X1側の先端から外周縁部分51dが形成されており、外周縁部分51cの基端方向X1側の先端から外周縁部分51eが形成されている。外周縁部分51d、51eは、基端方向X1に向かうに従って間隔が狭くなり、幅方向Yの中央近傍で交わるように形成されている。このように、板状部材51は、基端方向X1側の端が基端方向X1に向かうに従って幅方向Yの幅が狭くなり、幅方向Yの中央近傍に先端を有するように形成されている。
【0022】
図4に示すように、外周縁部分51bの下面42c側の角51beは、面取り形状に形成されている。外周縁部分51cの下面42c側の角51ceは、面取り形状に形成されている。なお、本実施の形態では、面取り形状は、外周縁部分51b、51cの下面42c側の角にのみ形成されており、外周縁部分51a、51d、51eには形成されていないが、形成されていてもよい。
【0023】
板状部材51は、アーム42の下面42cに溶接によって固定されている。板状部材51の外周縁51fと下面42cとの間に溶接部61が形成されている。本実施の形態では、外周縁部分51bの角51beと外周縁部分51cの角51ceは面取り形状に形成されているため、溶接ののど厚の長さを確保することができる。なお、本実施の形態では、この面取り形状は、機械加工が必要ない程度の面取り形状となっているが、機械加工を用いて面取りを行ってもよい。
また、板状部材51は、アーム42の基端方向X1側に向かうに従って幅が狭くなるように形成されているため、長手方向Xに沿ったアーム42の下面42cの強度変化が除々に生じるようになり、応力集中を抑制することができる。
【0024】
(b.リブ52)
複数のリブ52は、板状部材51の下面42cとは反対側の表面に溶接によって固定されている。複数のリブ52は、アーム42の長手方向Xに沿って形成されている。なお、
図4では、リブ52と板状部材51の間の溶接部は図示を省略している。
【0025】
本実施の形態では、リブ52は3本設けられており、幅方向Yにおける中央のリブ52を52aと示し、左方向Y1側の端のリブ52を52bと示し、右方向Y2側の端のリブ52を52cと示す。
リブ52aは、
図3に示すように、板状部材51の幅方向Yの中央に配置されている。複数のリブ52のうちリブ52aは、アーム42の長手方向Xの長さが最も長く形成されており、リブ52bとリブ52cは、同じ長さであり、リブ52aよりも短く形成されている。
【0026】
リブ52bは、板状部材51の外周縁部分51bに沿って形成されている。リブ52cは、板状部材51の外周縁部分51cに沿って形成されている。
リブ52a、52b、52cの基端方向X1側の端部52a1、52b1、52c1は、
図5に示すように、基端方向X1に向かうに従って板状部材51からの高さが低くなるように傾斜している。また、リブ52a、52b、52cの先端方向X2側の端部52a2、52b2、52c2は、
図5に示すように、基端方向X1に向かうに従って板状部材51からの高さが低くなるように傾斜している。
【0027】
(c.貫通孔53)
複数の貫通孔53は、
図3に示すように、板状部材51に形成されている。本実施の形態では、複数の貫通孔53は、リブ52aとリブ52bの間と、リブ52aとリブ52cの間に設けられている。3つの貫通孔53が、リブ52aとリブ52bの間に長手方向Xに沿って並んで配置されている。また、3つの貫通孔53が、リブ52aとリブ52cの間に長手方向Xに沿って並んで配置されている。
【0028】
各々の貫通孔53は、長手方向Xに沿って形成された長孔形状であり、その縁53aは、2つの直線部分53b、53cと、2つの弧状部分53d、53eと、を有する。2つの直線部分53b、53cは、貫通孔53の縁53aのうち、長手方向Xに沿って形成されており、互いに略平行に設けられている。なお、直線部分53bは、左方向Y1側に形成され、直線部分53cは、右方向Y2側に形成されている。
【0029】
弧状部分53dは、2つの直線部分53b、53cの基端方向X1側の端同士を繋ぐように基端方向X1側に凸に円弧状に形成されている。弧状部分53eは、2つの直線部分53b、53cの先端方向X2側の端同士を繋ぐように先端方向X2側に凸に円弧状に形成されている。
各々の貫通孔53の縁53aの直線部分53b、53cと板状部材51とが溶接されており、
図4に示すように、直線部分53b、53cと板状部材51の間に溶接部62が形成されている。このように、板状部材51の外周縁51fの溶接部61だけでなく、外周縁51fの内側にも溶接部62を設けることによって、溶接箇所が多くなるため、プロテクタ50をアーム42の下面42cに強固に溶接することができる。
【0030】
図6は、プロテクタ50近傍の正面図である。
図6では、溶接部分(溶接部61、62)を太線で示している。
図6に示すように、溶接部61が、上述した境界部分42s1および溶接部分42s2の幅方向Yに沿った位置に形成されている。
詳しくは、境界部分42s1の幅方向Yに沿った延長線L1上に貫通孔53の縁53aの直線部分53b、53cと板状部材51の間の溶接部62が位置している。
【0031】
また、溶接部分42s2の幅方向Yに沿った延長線L2上に貫通孔53の縁53aの直線部分53b、53cと板状部材51の間の溶接部62が位置している。なお、
図6における溶接部分42s2の位置は、ベース部材491の長手方向Xにおける中央位置としている。
境界部分42s1や、溶接部分42s2のような断面形状が変化する部分に応力発生が集中し、溶接部分が離れ易くなるため、これらの部分の幅方向Yの延長線L1、L2上に溶接部62を設けることによって、プロテクタ50とアーム42との接合強度を向上することができる。
以上のように、プロテクタ50をアーム42に溶接によって固定することによって、溶接強度を向上することができ、バケット43に代えてブレーカをアーム42に装着した場合であっても、プロテクタ50がアーム42から離れ難く、亀裂の発生を抑制することができる。
【0032】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2における作業機4および油圧ショベル1について説明する。本実施の形態2の油圧ショベル1は、実施の形態1と比較してプロテクタの構成が異なっている。そのため、本実施の形態2では、実施の形態1と異なるプロテクタの構成を中心に説明する。以下の実施の形態3~6も同様である。
【0033】
図7は、本実施の形態2の作業機4のプロテクタ250近傍の正面図である。本実施の形態2のプロテクタ250は、板状部材51と、複数のリブ52(52a、52b、52c)と、複数の貫通孔253と、を有している。本実施の形態2のプロテクタ250は、実施の形態1のプロテクタ50と比較して、板状部材51およびリブ52の形状は同じであるが、形状の異なる貫通孔253を有している。
【0034】
本実施の形態2のプロテクタ250は、板状部材51に形成された2つの貫通孔253を有している。一方の貫通孔253は、リブ52aとリブ52bの間に形成されており、他方の貫通孔253は、リブ52aとリブ52cの間に形成されている。すなわち、実施の形態1では、リブ52aとリブ52bの間に長手方向Xに沿って3つの貫通孔53が形成されているが、本実施の形態1では1つの貫通孔253が形成されている。また、実施の形態1では、リブ52aとリブ52cの間に長手方向Xに沿って3つの貫通孔53が形成されているが、本実施の形態1では1つの貫通孔253が形成されている。
【0035】
2つの貫通孔253は、長孔形状であって、長手方向Xにおける長さが、概ねリブ52b、52cと同じ長さに形成されている。各々の貫通孔253の縁253aは、2つの直線部分253b、253cと、2つの弧状部分253d、253eと、を有する。2つの直線部分253b、253cは、長手方向Xに沿って形成されており、互いに略平行に設けられている。なお、直線部分253bは、左方向Y1側に形成され、直線部分253cは、右方向Y2側に形成されている。
【0036】
弧状部分253dは、2つの直線部分253b、253cの基端方向X1側の端同士を繋ぐように基端方向X1側に凸に円弧状に形成されている。弧状部分253eは、2つの直線部分253b、253cの先端方向X2側の端同士を繋ぐように先端方向X2側に凸に円弧状に形成されている。
直線部分253bと板状部材51の間と、直線部分253cと板状部材51の間に、溶接部262が形成されている。
図7では、溶接部61と溶接部262を太線で示している。
【0037】
このように、本実施の形態2のようにリブ52の間に2つの貫通孔253が形成された構成であってもよい。
なお、溶接部262は、
図6に示す延長線L1、L2上に形成されていることになるため、境界部分42s1および溶接部分42s2のような断面形状が変化する部分におけるプロテクタ50とアーム42との接合強度を向上することができる。
【0038】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3におけるプロテクタ350について説明する。
図8は、本実施の形態3の作業機4のプロテクタ350近傍の正面図である。本実施の形態3のプロテクタ350は、実施の形態2のプロテクタ250と比較して、リブと貫通孔の配置が異なっている。
【0039】
図8に示すように、本実施の形態のプロテクタ350は、板状部材51と、複数のリブ52(52a、52b、52c)と、複数の貫通孔253と、を有している。本実施の形態3では、貫通孔253は2つ形成されており、一方の貫通孔253は、リブ52bの左方向Y1側に形成されており、もう一方の貫通孔253は、リブ52cの右方向Y2側に形成されている。
【0040】
すなわち、リブ52a、52b、52cの間隔が実施の形態2より狭くなり、複数のリブ52a、52b、52cの幅方向Yの両端に貫通孔253が形成されている。この場合も直線部分253bと板状部材51の間と、直線部分253cと板状部材51の間に、溶接部362が形成されている。
これによって左方向Y1側の貫通孔253の直線部分253bと板状部材51の外周縁部分51bとの間の間隔が近くなり、溶接強度を確保することができる。また、右方向Y2側の貫通孔253の直線部分253cと板状部材51の外周縁部分51cとの間の間隔が近くなり、溶接強度を確保することができる。
なお、本実施の形態3の各々の貫通孔253に代えて、実施の形態1のような3つの貫通孔53が並んだ構成が用いられてもよい。
【0041】
(実施の形態4)
次に、本発明にかかる実施の形態4におけるプロテクタ450について説明する。
図9は、本実施の形態4の作業機4のプロテクタ450近傍の正面図である。本実施の形態4のプロテクタ450は、実施の形態2のプロテクタ250と比較して、貫通孔の構成が異なっている。
【0042】
本実施の形態4のプロテクタ250は、板状部材51と、複数のリブ52(52a、52b、52c)と、複数の貫通孔453とを有している。本実施の形態4では、2つの貫通孔453が板状部材51に形成されている。
貫通孔453は、幅方向Yに沿って長く形成された長孔である。リブ52a、52b、52cは、貫通孔453を跨ぐように配置されている。
【0043】
各々の貫通孔453の縁453aは、2つの直線部分453b、453cと、2つの弧状部分453d、453eとを有する。
2つの直線部分453b、453cは、幅方向Yに沿って形成されている。直線部分453bは、基端方向X1側に形成され、直線部分453cは、先端方向X2側に形成されている。弧状部分453dは、直線部分453bと直線部分453cの左方向Y1側の端を繋ぎ、左方向Y1側に凸に形成されている。弧状部分453dは、直線部分453bと直線部分453cの右方向Y2側の端を繋ぎ、右方向Y2側に凸に形成されている。
【0044】
各々の貫通孔453の直線部分453bと板状部材51との間と、直線部分453cと板状部材51との間に、溶接部462が形成されている。なお、
図9では、T部拡大図に溶接部462について太線で位置を示している。また、溶接部61については、上述した実施の形態と同様であるため、太線で示していない。
また、2つの貫通孔453のうち先端方向X2側の貫通孔453は、境界部分42s1の幅方向Yに沿った延長線L1上に形成されている。
また、2つの貫通孔453のうち基端方向X1側の貫通孔453は、溶接部分42s2の幅方向Yに沿った延長線L2上に形成されている。
【0045】
境界部分42s1や、溶接部分42s2のような断面形状が変化する部分に応力発生が集中し、溶接部分が離れ易くなる。そのため、これらの部分の幅方向Yの延長線L1、L2上に貫通孔453を形成することによって、延長線L1、L2の近傍に溶接部462を設けることができ、プロテクタ50とアーム42との接合強度を向上することができる。
なお、本実施の形態4では、溶接部462は、延長線L1、L2の上下近傍に形成されているが、延長線L1、L2上に溶接部462が配置されるように貫通孔453が形成されてもよい。
【0046】
(実施の形態5)
次に、本発明にかかる実施の形態5におけるプロテクタ550について説明する。本実施の形態5のプロテクタ550は、実施の形態1のような貫通孔53を設けない代わりに複数の板状部材を用いることによって溶接部分を増加し、プロテクタ550と下面42cとの接合強度を向上させている。
【0047】
図10は、本実施の形態5のプロテクタ550が装着された作業機4のアーム42近傍を示す図である。
図11は、本実施の形態5の作業機4のプロテクタ550近傍の正面図である。
本実施の形態5のプロテクタ550は、ベース部560と、複数のリブ52と、を備えている。ベース部560は、アーム42の下面42cに溶接によって固定されている。複数のリブ(52a、52b、52c)は、ベース部560に溶接によって固定されている。
【0048】
ベース部560の概略の外形形状は、実施の形態1の板状部材51と同様の外形形状となっている。すなわち、ベース部560は、実施の形態1の板状部材51を幅方向Yに沿った2つの分割線で3つの分割した形状となっている。
ベース部560は、複数の板状部材551、552、553を有する。板状部材551、552、553は、長手方向Xにおいて、所定の間隔を空けて下面42cに固定されている。板状部材551、552、553の順に基端方向X1側から先端方向X2側に向かって配置されている。
【0049】
詳細に説明すると、板状部材551は、概ね五角形状であって、板状部材551の外周縁551fは、外周縁部分551a、551b、551c、551d、551eを有する。先端方向X2側の端の外周縁部分551aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分551aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分551bが長手方向Xに沿って伸びている。外周縁部分551aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分551cが長手方向Xに沿って伸びている。外周縁部分551bの基端方向X1側の先端から外周縁部分551dが基端方向X1に向かって形成されており、外周縁部分551cの基端方向X1側の先端から外周縁部分551eが基端方向X1に向かって形成されている。外周縁部分551d、551eは、基端方向X1に向かうに従って間隔が狭くなり、幅方向Yの中央近傍で交わるように形成されている。このように、板状部材51は、基端方向X1側の端の幅が狭くなり幅方向Yの中央近傍に先端を有するように形成されている。
【0050】
板状部材552は、略四角形状であって、板状部材552の外周縁552fは、外周縁部分552a、552b、552c、552dを有する。先端方向X2側の外周縁部分552aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分552aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分552bが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分552aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分552cが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分552dは、外周縁部分552b、552cの基端方向X1側の先端を結ぶように、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分552dは、外周縁部分551aと所定の間隔W2を空けて対向するように配置されている。
【0051】
板状部材553は、略四角形状であって、板状部材553の外周縁553fは、外周縁部分553a、553b、553c、553dを有する。先端方向X2側の外周縁部分553aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分553aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分553bが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分553aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分553cが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分553dは、外周縁部分553b、553cの基端方向X1側の先端を結ぶように、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分553dは、外周縁部分552aと所定の間隔W1を空けて対向するように配置されている。
【0052】
上記外周縁部分551b、552b、553bは、直線上に配置されており、外周縁部分551c、552c、553cは、直線上に配置されている。
板状部材551の外周縁551f、板状部材552の外周縁552f、および板状部材553の外周縁553fと、アーム42の下面42cとの間に溶接部561が形成されている。
【0053】
また、外周縁部分551b、552b、553b、551c、552c、553cの下面42c側の角は、実施の形態1と同様に面取りされていてもよく、他の外周縁部分の下面42c側の角も面取りされていてもよい。
リブ52a、52b、52cは、アーム42の長手方向Xに沿って配置されており、間隔W1、W2を越え、3つの板状部材551、552、553に亘って固定されている。
【0054】
また、所定の間隔W1は、境界部分42s1の幅方向Yに沿った延長線L1上に形成されている。所定の間隔W2は、溶接部分42s2の幅方向Yに沿った延長線L2上に形成されている。
ここで、溶接部561のうち外周縁部分551a、552d、552a、553dに沿って形成された部分を溶接部561sとする。
【0055】
境界部分42s1や、溶接部分42s2のような断面形状が変化する部分に応力発生が集中し、溶接部分が離れ易くなる。そのため、これらの部分の幅方向Yの延長線L1、L2上に間隔W1、W2を設けることにより、断面形状が変化する部分に対応する位置に溶接部561sを設けることができ、プロテクタ50とアーム42との接合強度を向上することができる。
なお、本実施の形態5では、厳密には、溶接部561sは、延長線L1、L2の上下近傍に形成されているが、断面形状が変化する部分に対応する位置とは、その位置の近傍も含む。また、延長線L1、L2上に溶接部562が配置されるように間隔W1、W2の位置が基端方向X1または先端方向X2にズレて形成されてもよい。
【0056】
(実施の形態6)
次に、本発明にかかる実施の形態6におけるプロテクタ650について説明する。実施の形態5のプロテクタ550では、アーム42の長手方向Xに沿って複数の板状部材が設けられているが、本実施の形態6のプロテクタ650では、幅方向Yに沿って複数の板状部材が設けられている。
【0057】
図12は、本実施の形態6の作業機4のプロテクタ650近傍の正面図である。
図12に示すように、本実施の形態6のプロテクタ650は、ベース部660と、複数のリブ52(52a、52b、52c)と、を備える。
ベース部660は、アーム42の下面42cに溶接によって固定されている。複数のリブ(52a、52b、52c)は、ベース部660に溶接によって固定されている。
【0058】
ベース部660の概略の外形形状は、実施の形態1の板状部材51と同様の外形形状となっている。すなわち、ベース部60は、実施の形態1の板状部材51を長手方向Xに沿った2本の分割線で3つに分割した形状となっている。
ベース部660は、複数の板状部材651、652、653を有している。板状部材651、652、653は、幅方向Yに沿って並んで配置されている。
【0059】
板状部材651は、台形状であり、板状部材651の外周縁651fは、外周縁部分651a、651b、651c、651dを有する。先端方向X2側の端の外周縁部分651aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分651aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分651bが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分651aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分651cが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分651dは、外周縁部分651bの基端方向X1側の先端と外周縁部分651cの基端方向X1側の先端を結び、基端方向X1に向って左方向Y1から右方向Y2に傾斜するように形成されている。
【0060】
板状部材652は、概ね五角形状であって、板状部材652の外周縁652fは、外周縁部分652a、652b、652c、652d、652eを有する。先端方向X2側の端の外周縁部分652aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分652aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分652bが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分652aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分652cが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分652bの基端方向X1側の先端から基端方向X1に向かって外周縁部分652dが形成されており、外周縁部分652cの基端方向X1側の先端から基端方向X1に向かって外周縁部分652eが形成されている。外周縁部分652d、652eは、基端方向X1に向かうに従って間隔が狭くなり、幅方向Yの中央近傍で交わるように形成されている。このように、板状部材652は、基端方向X1側の端の幅が狭くなり幅方向Yの中央近傍に先端を有するように形成されている。
【0061】
外周縁部分652bは、外周縁部分651cと所定の間隔W3を空けて対向して配置されている。
板状部材653は、台形状であり、板状部材653の外周縁653fは、外周縁部分653a、653b、653c、653dを有する。先端方向X2側の端の外周縁部分653aは、幅方向Yに沿って形成されている。外周縁部分653aの左方向Y1側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分653bが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分653aの右方向Y2側の端から基端方向X1に向かって外周縁部分653cが長手方向Xに沿って形成されている。外周縁部分653dは、外周縁部分653bの基端方向X1側の先端と外周縁部分653cの基端方向X1側の先端を結び、基端方向X1に向って右方向Y2から左方向Y1に傾斜するように形成されている。
【0062】
外周縁部分653bは、外周縁部分652cと所定の間隔W4を空けて対向して配置されている。
板状部材652の先端方向X2側の端の位置は、板状部材651、653と同じであるが、板状部材652の基端方向X1側の端は、板状部材651、653よりも基端方向X1側に設けられている。また、板状部材652、653は、幅方向Yの中心を基準に対称に形成されている。
【0063】
また、外周縁部分651b、652b、653b、651c、652c、653cの下面42c側の角は、実施の形態1と同様に面取りされていてもよく、他の外周縁部分の下面42c側の角も面取りされていてもよい。
板状部材651の外周縁651f、板状部材652の外周縁652f、および板状部材653の外周縁653fと、アーム42の下面42cとの間に溶接部661が形成されている。
リブ52aは、板状部材652に溶接によって固定されており、リブ52bは、板状部材651に溶接によって固定されており、リブ52cは、板状部材653に溶接によって固定されている。
【0064】
(特徴等)
(1)
本実施の形態1~4に係る作業機4は、アーム42と、プロテクタ50、250、350、450と、溶接部61(第1溶接部の一例)と、溶接部62、262、362、462(第2溶接部の一例)と、を備える。プロテクタ50、250、350、450は、板状部材51と、リブ52と、を有する。板状部材51は、アーム42の下面42cに固定されている。リブ52は、板状部材51に固定され、アーム42の長手方向Xに沿って設けられている。板状部材51は、貫通孔53、253、453を有する。溶接部61は、板状部材51の外周縁51fとアーム42の下面42cとが溶接されて形成されている。溶接部62、262、362、462は、貫通孔53、253、453の縁53a、253a、453aの直線部分53b、53c、253b、253c、453b、453c(縁の一部の一例)とアーム42の下面42cとが溶接されて形成されている。
【0065】
このように、板状部材51の外周縁51fを溶接するだけでなく、板状部材51に貫通孔53、253、453を形成し、その貫通孔53、253、453の縁とアーム42とを溶接することにより、溶接箇所を増やすことができる。
そのため、プロテクタ50、250、350、450とアーム42の間の溶接による接合強度を向上することができる。
【0066】
(2)
本実施の形態1~3に係る作業機4では、貫通孔53、253は、アーム42の長手方向Xに沿って形成されている。
これにより、アーム42の長手方向Xに沿って長く溶接部62、262、362を形成することができる。
このようにアーム42の長手方向Xに沿って分割されて貫通孔53が形成されているほうが、距離が短いため貫通孔53の縁に沿って溶接を行いやすい。
【0067】
(3)
本実施の形態1~3に係る作業機4では、溶接部62、262、362(第2溶接部の一例)は、貫通孔53、253の縁53a、253aのアーム42の長手方向Xに沿った直線部分53b、53c、253b、253cに形成されている。
アーム42の長手方向Xに沿った部分を溶接してアーム42に固定することにより、溶接強度を向上することができる。
【0068】
(4)
本実施の形態1~4に係る作業機4では、溶接部62、262、362、462(第2溶接部の一例)は、アーム42の長手方向Xにおいて、アーム42の断面形状が変化する部分に対応する位置に形成されている。
【0069】
断面形状が変化する部分に対応する位置とは、例えば、本実施の形態では、境界部分42s1から幅方向Yに延ばした延長線L1上または溶接部分42s2から幅方向Yに延ばした延長線L2上である。
アーム42とプロテクタ50、250、350、450の溶接部分のうち、断面形状が変化する部分に対応する位置において応力発生が集中し、溶接部分が離れ易くなるため、溶接部62、262、362、462をアーム42の断面形状が変化する部分に対応する位置の近傍に形成することによって、プロテクタ50、250、350、450とアーム42との接合強度を向上することができる。
【0070】
(5)
本実施の形態1、2に係る作業機4では、リブ52(52a、52b、52c)は、複数設けられている。貫通孔53、253は、リブ52(52a、52b、52c)の間に形成されている。
これにより、例えば、板状部材51の外周縁部分51b、51cと貫通孔53、253の間にリブ52b、52cが配置されることになるため、アーム42の幅方向Yにおいて溶接部61と溶接部62、262の間隔が狭くなりすぎず、溶接歪みが生じにくい。
【0071】
(6)
本実施の形態3に係る作業機4では、リブ52(52a、52b、52c)は、複数設けられている。貫通孔53、253は、アーム42の幅方向Yにおいて最も外側に配置されているリブ52b、52cと外周縁51fの間に形成されている。
これにより、溶接部61と溶接部362の間隔が広くなりすぎず、強固に溶接することができる。
【0072】
(7)
本実施の形態4に係る作業機4では、貫通孔453は、アーム42の幅方向Yに沿って形成されている。
これにより、アーム42の幅方向Yに沿って長く溶接部462を形成することができる。
【0073】
(8)
本実施の形態5、6に係る作業機4では、アーム42と、プロテクタ550、650と、溶接部561、661(第3溶接部の一例)と、を備える。プロテクタ550、650は、複数の板状部材551、552、553、651、652、653と、リブ52と、を有する。複数の板状部材551、552、553、651、652、653は、アーム42の下面42cに固定されている。リブ52は、板状部材551、552、553、651、652、653に固定され、アーム42の長手方向Xに沿って設けられている。溶接部561、661は、各々の板状部材551、552、553、651、652、653の外周縁551f、552f、553f、651f、652f、653fとアーム42の下面42cとが溶接されている。
【0074】
1つの板状部材の外周縁とアーム42の下面42cとを溶接する場合よりも、このように、板状部材を分割して、各々の板状部材551、552、553、651、652、653の外周縁551f、552f、553f、651f、652f、653fとアーム42の下面42cとを溶接する方が、溶接部分を増やすことができる。
そのため、プロテクタ550、650とアーム42の間の接合強度を向上することができる。
【0075】
(9)
本実施の形態5に係る作業機4では、複数の板状部材551、552、553は、アーム42の長手方向Xに間隔W1、W2を空けて配置されており、リブ52は、複数の板状部材551、552、553に亘って固定されている。
これによって、アーム42の幅方向Yに沿った溶接部分が増加することになり、プロテクタ550とアーム42の間の接合強度を向上することができる。
【0076】
(10)
本実施の形態6に係る作業機4では、複数の板状部材651、652、653は、アーム42の幅方向Yに間隔W3、W4を空けて配置されている。
これによって、アーム42の長手方向Xに沿った溶接部分が増加することになり、プロテクタ650とアーム42の間の接合強度を向上することができる。
【0077】
(11)
本実施の形態5、6に係る作業機4では、溶接部561、661(第3溶接部の一例)は、アーム42の長手方向Xにおいて、アーム42の断面形状が変化する部分に対応する位置に設けられている。
断面形状が変化する部分に対応する位置とは、例えば、本実施の形態では、境界部分42s1から幅方向Yに延ばした延長線L1上または溶接部分42s2から幅方向Yに延ばした延長線L2上である。
【0078】
アーム42とプロテクタ550、650の溶接部分のうち、断面形状が変化する部分に対応する位置において応力発生が集中し、溶接部分が離れ易くなる。そのため、板状部材551、552、553、651、652、653の間隔の場所、すなわち溶接部分を、断面形状が変化する部分に対応する位置の近傍に設けることによって、プロテクタ550、650とアーム42との接合強度を向上することができる。
【0079】
(12)
本実施の形態1~6に係る作業機4では、固定部49を更に備える。固定部49は、アーム42の側面42bに溶接され、アーム42の先端部に装着可能なアタッチメントに作動油を供給する配管またはホースが固定される。固定部49が配置されているアーム42の側面42bの溶接部分42s2が、アーム42の断面形状が変化する部分である。
これにより、アーム42の断面形状が変化する部分の対応する位置の近傍に、溶接部62、262、362、462、561、661を設けることができるため、プロテクタ50、250、350、450、550、650とアーム42の接合強度を向上することができる。
【0080】
(13)
本実施の形態1~6に係る作業機4は、アームピン74(支持部材の一例)を更に備える。アームピン74は、アーム42の側面42bに配置され、アーム42の先端部に装着可能なアタッチメントを回動可能に支持する。アーム42の側面42bは、アームピン74の周囲に形成された補強部分42b1を有する。側面42bにおいて、補強部分42b1は、補強部分42b1よりもアーム42の基端側部分42b2よりも厚く形成されている。補強部分42b1と補強部分42b1の基端側部分42b2との境界部分42s1近傍が、アーム42の断面形状が変化する部分である。
これにより、アーム42の断面形状が変化する部分の対応する位置に、溶接部62、262、362、462、561、661を設けることができるため、プロテクタ50、250、350、450、550、650とアーム42の接合強度を向上することができる。
【0081】
(14)
本実施の形態1~6に係る作業機4では、少なくともアーム42の長手方向Xに沿った板状部材51、551、552、553、651、652、653の下面側の角は、面取り形状に形成されている。
これにより、溶接のど厚をかせぐことができ、たとえ亀裂が発生したとしても、亀裂が表面まで進展し難くすることができる。
【0082】
(15)
本実施の形態1~6の油圧ショベル(作業車両の一例)は、作業機4を備える。
これにより、プロテクタ50、250、350、450、550、650とアーム42の接合強度が向上した作業車両を提供することができる。
【0083】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態1~6では、3つのリブ52a、52b、52cが設けられているが、3つに限らなくてもよく、2つ以下若しくは4つ以上であってもよい。
【0084】
(B)
上記実施の形態1では、貫通孔53が所定の幅を有する長孔状に形成されているが、このような形状に限らず、貫通孔53が幅の狭いスリット状であってもよい。この場合、貫通孔の内側は、溶接部によって埋まってもよい。実施の形態2~4の貫通孔253、453の形状も長孔状に限らず、スリット状であってもよい。
【0085】
(C)
上記実施の形態1~4では、板状部材51は5角形状であるが、これに限られるものではないが、基端方向X1に向かうアーム42の下面42cの強度変化が除々に生じるような形状であるほうが好ましい。
【0086】
(D)
上記実施の形態5では、3つの板状部材551、552、553が設けられているが、2つであってもよいし、4つ以上の板状部材が、長手方向Xに沿って配置されていてもよい。
また、上記実施の形態6では、3つの板状部材651、652、653が設けられているが、2つであってもよいし、4つ以上の板状部材が、幅方向Yに沿って配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る作業機および作業車両は、プロテクタとアームの接合強度を向上することが可能な効果を有し、油圧ショベルのような各種作業車両に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
4 :作業機
42 :アーム
42c :下面
50 :プロテクタ
51 :板状部材
51f :外周縁
52、52a、52b、52c :リブ
53 :貫通孔
53a :縁
53b、53c :直線部分
61 :溶接部
62 :溶接部