(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/01 20060101AFI20220727BHJP
A01K 89/015 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A01K89/01 D
A01K89/01 101D
A01K89/015 D
(21)【出願番号】P 2018190253
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】池袋 哲史
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-005430(JP,A)
【文献】特開2017-216938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0006686(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358483(US,A1)
【文献】特開平10-214155(JP,A)
【文献】国際公開第2006/070741(WO,A1)
【文献】特開2008-193949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル軸線回りに回転可能なハンドルを有するリール本体と、
前記リール本体に取り付けられたセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットは、
前記ハンドル軸線と同軸に配置されたユニット本体と、
前記ユニット本体内に配置され、前記リール本体の使用時の挙動を検出する挙動センサと、
前記ユニット本体内に配置され、前記挙動センサで検出された前記挙動に基づく挙動データを外部に送信する通信部と、を備え
、
前記リール本体には、前記ハンドルを装着するための一対のハンドル装着部が、前記ハンドル軸線と同軸に外側に向けて開口するように形成され、
前記ユニット本体は、一方の前記ハンドル装着部を利用して前記リール本体に取り付けられ、
前記ハンドルは、他方の前記ハンドル装着部を利用して前記リール本体に取り付けられている、魚釣用リール。
【請求項2】
前記挙動センサ及び前記通信部は、前記ハンドル軸線に沿って並ぶように配置されている、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記センサユニットは、前記ユニット本体内に配置され、前記挙動データを記憶する記憶部を、さらに備えている、請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記ハンドルは、前記リール本体に前記ハンドル軸線回りに回転可能に支持されたハンドル軸を有し、
前記ユニット本体は、前記ハンドル軸に対して非接触状態で、一方の前記ハンドル装着部を介して前記リール本体に相対回転不能に取り付けられている、請求項
1に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記リール本体に前記ハンドル軸線回りに回転可能に支持されたハンドル軸を有し、
前記ユニット本体は、一方の前記ハンドル装着部を通じて前記ハンドル軸に対して連結される連結軸部を有し、前記リール本体に対して相対回転可能に取り付けられている、請求項
1に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
釣糸を前方に向けて繰り出す魚釣用リールとして、各種の情報を検出するセンサを具備するものが従来から知られている。この種のセンサは、例えば検出対象、センサ構造等に応じて取り付け位置が異なるが、一般的にはリール本体内に組み込まれる構造とされている。
【0003】
これに対してリール本体に取り付け可能な取付部品として、例えば下記特許文献1に示されるように、リール本体にハンドルを装着するためのハンドル装着部を利用して、リール本体に取り付け可能な魚釣用リールのリールスタンドが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リール本体にセンサ等を取り付ける技術は知られていない。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、リール本体に取り付けられたセンサユニットを具備する魚釣用リールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る魚釣用リールは、ハンドル軸線回りに回転可能なハンドルを有するリール本体と、前記リール本体に取り付けられたセンサユニットと、を備え、前記センサユニットは、前記ハンドル軸線と同軸に配置されたユニット本体と、前記ユニット本体内に配置され、前記リール本体の使用時の挙動を検出する挙動センサと、前記ユニット本体内に配置され、前記挙動センサで検出された前記挙動に基づく挙動データを外部に送信する通信部と、を備え、前記リール本体には、前記ハンドルを装着するための一対のハンドル装着部が、前記ハンドル軸線と同軸に外側に向けて開口するように形成され、前記ユニット本体は、一方の前記ハンドル装着部を利用して前記リール本体に取り付けられ、前記ハンドルは、他方の前記ハンドル装着部を利用して前記リール本体に取り付けられている。
【0008】
本発明に係る魚釣用リールによれば、センサユニットの通信部を通じて、挙動センサによって検出されたリール本体の挙動に基づく挙動データを外部に送信することが可能である。従って、例えば魚釣りを行いながら、挙動データをリアルタイムで外部装置等に送信することができる。従って、挙動データに基づいて、リール本体の挙動を客観的に把握することが可能となり、例えば次回の魚釣りに活用することができる。
特に、センサユニット自体をハンドル軸線上に配置できるので、例えばハンドル操作に伴う挙動を好適に検出でき、挙動データに基づいて例えば回転ムラ等を高精度に検出することが可能となる。
さらに、リール本体にハンドルを装着するためのハンドル装着部を利用してセンサユニットを取り付けることができるので、リール本体側に特別な構造を付加する必要がない。従って、例えば既存のリール本体を利用することが可能となり、利便性を向上することができると共に低コスト化を図り易い。
【0009】
(2)前記挙動センサ及び前記通信部は、前記ハンドル軸線に沿って並ぶように配置されても良い。
【0010】
この場合には、設置スペースが必要とされ易い挙動センサ及び通信部をハンドル軸線に沿って並ぶように配置するので、これらを収容するユニット本体がハンドル軸線に対して交差する方向に大型化してしまうことを抑制できる。従って、センサユニットが魚釣用リールの他の構成部品(ロータ等)に干渉してしまうことを防止し易い。
【0011】
(3)前記センサユニットは、前記ユニット本体内に配置され、前記挙動データを記憶する記憶部を、さらに備えても良い。
【0012】
この場合には、センサユニットの記憶部内にも挙動データを記憶できるので、例えば魚釣りを終えた後であっても、リール本体からセンサユニットを取り外して記憶部にアクセスすることで挙動データを外部装置等に取得することができる。
【0015】
(4)前記ハンドルは、前記リール本体に前記ハンドル軸線回りに回転可能に支持されたハンドル軸を有し、前記ユニット本体は、前記ハンドル軸に対して非接触状態で、一方の前記ハンドル装着部を介して前記リール本体に相対回転不能に取り付けられても良い。
【0016】
この場合には、リール本体に対してセンサユニットを相対回転不能に取り付けることができるので、センサユニットを気にすることなく魚釣りを行い易い。さらに、ユニット本体内の各部品にハンドル操作に伴う遠心力等の応力が作用し難いので、長期に亘って安定した作動信頼性を確保し易い。
【0017】
(5)前記ハンドルは、前記リール本体に前記ハンドル軸線回りに回転可能に支持されたハンドル軸を有し、前記ユニット本体は、一方の前記ハンドル装着部を通じて前記ハンドル軸に対して連結される連結軸部を有し、前記リール本体に対して相対回転可能に取り付けられても良い。
【0018】
この場合には、ハンドル操作に伴ってセンサユニット自体を回転させることができるので、ハンドル操作に伴う挙動を好適に検出し易い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リール本体に取り付けられたセンサユニットを具備する魚釣用リールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態を示すスピニングリール(魚釣用リール)の斜視図である。
【
図2】
図1に示すスピニングリールの側面図である。
【
図3】
図1に示すA-A線に沿ったスピニングリールの部分断面図である。
【
図4】
図3に示すセンサユニットの周辺を拡大した断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態を示すスピニングリールであって、センサユニットの周辺を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る魚釣用リールの第1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、魚釣用リールとしてスピニングリールを例に挙げて説明する。
【0022】
図1~
図3に示すように、本実施形態のスピニングリール1は、ハンドル軸線O1回りに回転可能なハンドル組立体(本発明に係るハンドル)2を有し、釣竿Rに装着可能とされたリール本体3と、リール本体3に対してスプール軸線O2回りに回転可能に組み合わされたロータ4と、リール本体3に対してスプール軸線O2に沿って往復移動可能に組み合わされ、図示しない釣糸が巻かれるスプール5と、リール本体3に対して離脱可能に取り付けられたセンサユニット6と、を主に備えている。
【0023】
なお、ハンドル軸線O1とスプール軸線O2とは、互いに略直交するように交差している。本実施形態では、ハンドル軸線O1に沿う方向を左右方向L1として定義すると共に、スプール軸線O2に沿う方向を前後方向L2として定義する。さらに、前後方向L2においてスプール5から釣糸が繰り出される方向を前方、その反対方向を後方と定義すると共に、スピニングリール1を後方側から見た視点(すなわち、図示しないユーザ側から見た視点)で左右を定義する。
さらに、ハンドル軸線O1方向から見た視点で、ハンドル軸線O1に交差する方向を径方向といい、ハンドル軸線O1回りに周回する方向を周方向という場合がある。さらに、径方向のうち、ハンドル軸線O1から釣竿Rに向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
【0024】
(リール本体)
リール本体3は、本体フレーム部10、蓋部11及びガード部材12を備えている。本体フレーム部10は、例えばマグネシウム合金、アルミニウム合金等の軽合金製の成形部品とされ、その内部には各種のリール構成部材を収容する収容空間13が形成されている。本体フレーム部10の上部には、上方に向けて延びるように脚部14が一体に形成されている。脚部14の上端部には、釣竿Rに装着される装着片15が釣竿Rに沿って延びるように形成されている。
なお、
図1~
図3に示す釣竿Rは、模式的に示したものであり、一般的に釣竿Rに設けられるリール取付台座(リールシート)等の構成については図示を省略している。
【0025】
蓋部11は、本体フレーム部10と同様に軽合金製の成形部品とされ、本体フレーム部10に対して取り外し可能に固定されている。収容空間13は、蓋部11によって例えば密(液密、気密等)に塞がれている。本体フレーム部10に対する蓋部11の固定方法としては、特に限定されるものではないが、例えば本体フレーム部10のうちロータ4の後方側に位置する部分に配置された固定ボルト16を含む、複数の固定ボルトを利用して固定されている。
【0026】
ガード部材12は、本体フレーム部10の後部及び蓋部11の後部を後方側から覆うカバー部品とされている。ただし、ガード部材12は必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。なお、ガード部材12は、図示しない固定ボルトによって、本体フレーム部10の後部に取り外し可能に固定されている。
【0027】
図3に示すように、リール本体3には、ハンドル組立体2を装着するための一対のハンドル装着部、すなわち第1ハンドル装着部20及び第2ハンドル装着部30が、ハンドル軸線O1と同軸に外側に向けて開口するように形成されている。第1ハンドル装着部20は本体フレーム部10の右側面に形成され、第2ハンドル装着部30は蓋部11の左側面に形成されている。
【0028】
図3及び
図4に示すように、第1ハンドル装着部20は、本体フレーム部10の右側面から該本体フレーム部10の右側に向けて突出するように形成され、ハンドル軸線O1と同軸に配置された円筒状の第1装着筒21と、第1装着筒21の内周面に形成された第1ねじ部22(例えば雄ねじ)と、を備えている。第1装着筒21の内側は、収容空間13内と外部とを連通する第1装着孔23とされている。
【0029】
さらに本体フレーム部10の右側面には、収容空間13の内側に向かって突出するように形成され、ハンドル軸線O1と同軸に配置された円筒状の第1保持筒24が形成されている。第1保持筒24の内側には、ハンドル軸線O1と同軸に配置された第1軸受25が取り付けられている。
第1軸受25は、例えば玉軸受とされ、第1保持筒24の内側に外輪25aが強固に嵌合されることで、第1保持筒24を介してリール本体3に保持されている。なお、第1軸受25は、左右方向L1に位置決めされた状態で第1保持筒24の内側に取り付けられている。
【0030】
図3に示すように、第2ハンドル装着部30は、蓋部11の左側面から該本体フレーム部10の左側に向けて突出するように形成され、ハンドル軸線O1と同軸に配置された円筒状の第2装着筒31と、第2装着筒31の内周面に形成された図示しない第2ねじ部(例えば雄ねじ)と、を備えている。第2装着筒31は、第1装着筒21と同径に形成されている。そのため、第1ねじ部22のねじ径と、第2ねじ部のねじ径とは、同一径とされている。
第2装着筒31の内側は、収容空間13内と外部とを連通する第2装着孔33とされている。なお、第1装着孔23及び第2装着孔33は、収容空間13を挟んで左右方向L1に向かい合うように配置されていると共にハンドル軸線O1と同軸上に配置されている。
【0031】
さらに蓋部11の左側面には、収容空間13の内側に向かって突出するように形成され、ハンドル軸線O1と同軸に配置された円筒状の第2保持筒34が形成されている。第2保持筒34の内側には、ハンドル軸線O1と同軸に配置された第2軸受35が取り付けられている。
第2軸受35は、例えば玉軸受とされ、第2保持筒34の内側に外輪35aが強固に嵌合されることで、第2保持筒34を介してリール本体3に保持されている。なお、第2軸受35は、左右方向L1に位置決めされた状態で第2保持筒34の内側に取り付けられている。
【0032】
ハンドル組立体2及びセンサユニット6は、上述した第1ハンドル装着部20及び第2ハンドル装着部30を利用してリール本体3に装着されている。具体的には、センサユニット6が第1ハンドル装着部20を利用してリール本体3の右側に装着され、ハンドル組立体2が第2ハンドル装着部30を利用してリール本体3の左側に装着されている。
従って、本実施形態のスピニングリール1は、左ハンドルの場合を例にしている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1ハンドル装着部20を利用してハンドル組立体2を装着し、第2ハンドル装着部30を利用してセンサユニット6を装着することで、右ハンドルの形態に変更することも可能とされている。
【0033】
(ハンドル組立体)
図3に示すように、ハンドル組立体2は、リール本体3に対してハンドル軸線O1回りに回転可能に支持されたハンドル軸40と、ハンドル軸40に連結され、ハンドル軸40を介してリール本体3に対してハンドル軸線O1回りに回転可能に取り付けられたハンドルアーム41と、ハンドルアーム41の先端部41aに固定されたノブ軸42と、ノブ軸42に回転可能に装着されたハンドルノブ43と、を備えている。
【0034】
ハンドルアーム41は、ハンドル軸線O1の径方向に延びるように形成され、その基端部41bは蓋部11よりも左側に配置されている。ハンドル軸40は、ハンドルアーム41の基端部41bに例えば連結ねじ44を介して一体的に連結され、ハンドル軸線O1と同軸に配置された状態で第2装着孔33を通じてリール本体3の内側に左側から挿入されている。ハンドル軸40は、ロータ駆動機構50を構成する円筒状のドライブ軸51の内側に例えば螺着されることで、ドライブ軸51に対して一体に連結されている。
【0035】
ドライブ軸51について説明する。
ドライブ軸51は、例えば冷間鍛造等によって成形された金属製の円筒部品であり、ハンドル軸線O1と同軸に配置され、その両端部は左右方向L1に開口している。ドライブ軸51の右側端部は、第1装着孔23内に配置されると共に、第1軸受25の内輪25bの内側に強固に嵌合されている。ドライブ軸51の左側端部は、第2装着孔33内に配置されると共に、第2軸受35の内輪35bの内側に強固に嵌合されている。
これにより、ドライブ軸51は、第1軸受25及び第2軸受35によってハンドル軸線O1回りに回転可能に支持されていると共に、第1軸受25及び第2軸受35を介してリール本体3に保持されている。
【0036】
ドライブ軸51における右側端部の内周面には、第3ねじ部52(例えば雌ねじ部)が形成されている。ドライブ軸51における左側端部の内周面には、第4ねじ部53(例えば雌ねじ部)が形成されている。第3ねじ部52のねじ径と、第4ねじ部53のねじ径とは、同一径とされている。
【0037】
上述のように構成されたドライブ軸51に対して、ハンドル軸40の外周面には、第3ねじ部52及び第4ねじ部53のいずれのねじ部に対しても螺合可能な第5ねじ部45(例えば雄ねじ部)が形成されている。
そしてハンドル軸40は、ドライブ軸51の第4ねじ部53に対して第5ねじ部45が螺合されることで、ドライブ軸51の内側に入り込んだ状態で該ドライブ軸51に対して螺着されている。これにより、ハンドル軸40はドライブ軸51に対して一体に組み合わされている。その結果、ハンドル組立体2はドライブ軸51を介してリール本体3に対してハンドル軸線O1回りに回転可能に取り付けられている。
【0038】
なお、ハンドルアーム41の基端部41bと蓋部11との間には、ハンドルつば46が配置されている。ハンドルつば46は、ハンドル軸40のうちハンドルアーム41の基端部41bと蓋部11との間に位置する部分、及び第2装着筒31を径方向の外側から覆う筒状に形成されている。ハンドルつば46は、ハンドルアーム41の基端部41bと共にハンドル軸線O1回りを回転可能とされている。
ノブ軸42は、ハンドルアーム41の先端部41aに、その軸線がハンドル軸線O1に対して略平行となるように固定されている。ハンドルノブ43は、ノブ軸42に回転可能に装着され、ノブ軸42を介してハンドルアーム41の先端部41aに取り付けられている。
【0039】
上述のように構成されたハンドル組立体2は、第4ねじ部53と第5ねじ部45との螺合を解除しながら、ハンドル軸40をドライブ軸51から引き抜くことで第2ハンドル装着部30から取り外すことが可能とされている。そして、ハンドル組立体2を第1ハンドル装着部20側に付け替えることで、右ハンドルの形態に変更することが可能である。
この場合には、第1装着孔23を通じてハンドル軸40をリール本体3内に右側から挿入すると共に、ドライブ軸51の第3ねじ部52に対して第5ねじ部45を螺合させれば良い。これにより、ハンドル軸40をドライブ軸51の内側に嵌め込むことができ、ハンドル軸40とドライブ軸51とを一体に組み合わせることができる。
さらに、第1ハンドル装着部20にハンドル組立体2を装着して右ハンドルの形態にした場合には、第2ハンドル装着部30を利用してセンサユニット6をリール本体3の左側に装着することが可能とされている。
【0040】
(ロータ)
図1及び
図2に示すように、ロータ4は、リール本体3の前部側にスプール軸線O2と同軸に配置され、有頂筒状に形成された円筒体60と、円筒体60に連結された第1アーム部61及び第2アーム部62と、を備えている。
【0041】
円筒体60は、後方に開口しており、リール本体3の前部側を径方向の外側から囲むようにリール本体3に対して前方側から組み合わされている。これにより、ロータ4はリール本体3に対して、スプール軸線O2回りに回転可能に組み合わされている。
【0042】
第1アーム部61及び第2アーム部62は、スプール軸線O2を挟んで径方向に互いに対向するように配置されている。第1アーム部61の前端部及び第2アーム部62の前端部には、ベールアーム63が回動可能(揺動可能)に取り付けられている。
ベールアーム63は、第1アーム部61の前端部に回動可能に取り付けられた第1ベール支持部材64と、第2アーム部62の前端部に回動可能に取り付けられた第2ベール支持部材65と、第1ベール支持部材64の前端部に回転可能に取り付けられたラインローラ66と、略U形状に湾曲形成され、第1ベール支持部材64と第2ベール支持部材65との間を繋ぐように配置されたベール67と、を備えている。
【0043】
ベール67は、その一端部がラインローラ66を介して第1ベール支持部材64の前端部に固定され、且つその他端部が第2ベール支持部材65の前端部に固定されている。ラインローラ66は、釣糸をスプール5に案内する。
【0044】
(スプール)
スプール5は、釣糸が巻かれる糸巻胴部70と、糸巻胴部70の後端部から後方に向けて延びるように形成され、ロータ4を径方向の外側から囲む円筒状のスカート部71と、を備え、ロータ4よりも前方側にスプール軸線O2と同軸に配置されている。
スプール5は、糸巻胴部70が第1アーム部61と第2アーム部62との間に位置するように配置され、オシレーティング機構80によってスプール軸線O2に沿って往復移動可能とされている。これにより、スプール5はリール本体3に対してスプール軸線O2に沿って往復移動可能とされている。
【0045】
図3に示すように、リール本体3の収容空間13内には、ハンドル組立体2の回転操作に基づいてロータ4をスプール軸線O2回りに回転させるロータ駆動機構50と、ハンドル組立体2の回転操作に基づいてスプール5をスプール軸線O2方向に往復移動(前後移動)させるオシレーティング機構80と、ロータ4の逆転を防止する図示しない逆転防止機構と、がさらに設けられている。
【0046】
(ロータ駆動機構)
ロータ駆動機構50は、上述したドライブ軸51と、ドライブ軸51に形成されたドライブギア51aと、ドライブギア51aに噛み合うと共にドライブ軸51の回転に伴ってスプール軸線O2回りに回転するピニオンギア54によって主に構成されている。
【0047】
ピニオンギア54は、スプール軸線O2と同軸に配置された図示しない円筒状のピニオン軸に一体に形成されている。ピニオン軸は、例えばドライブ軸51よりも下方で、且つ前方に位置するように配置され、ロータ4と一体に連結されている。これにより、ピニオンギア54及びピニオン軸を介してロータ4をスプール軸線O2回りに回転させることが可能とされている。
従って、ロータ駆動機構50は、ハンドル組立体2の回転操作で発生した回転力をロータ4に伝達することが可能とされている。なお、ピニオン軸の内側には、スプール軸55がスプール軸線O2方向に相対移動可能に挿通されている。
【0048】
(オシレーティング機構)
オシレーティング機構80は、ピニオンギア54に噛み合う図示しない中間ギアと、スプール軸55に平行に配置された螺軸81と、螺軸81の回転に伴って螺軸81に沿って往復移動するスライダ82と、を備えている。
【0049】
中間ギア及び螺軸81は、ピニオンギア54の回転に伴って回転可能とされている。スライダ82は、スプール軸55に対して相対回転不能に連結されている。そのため、螺軸81の回転に伴ってスライダ82を螺軸81に沿って往復移動させることができると共に、スライダ82に固定されたスプール軸55をスプール軸線O2に沿って往復移動させることが可能とされている。
従って、オシレーティング機構80は、ハンドル組立体2の回転操作で発生した回転力を直線の運動力に変換してスプール5に伝達することが可能とされている。
【0050】
(センサユニット)
センサユニット6は、第1ハンドル装着部20を利用して、リール本体3の右側に装着されている。ただし、先に述べたように、ハンドル組立体2を付け替えて右ハンドル形態にした場合には、第2ハンドル装着部30を利用してセンサユニット6をリール本体3の左側に装着することも可能である。
【0051】
図3及び
図4に示すように、センサユニット6は、リール本体3の使用時の挙動を検出する挙動センサを有している。リール本体3の使用時の挙動とは、魚釣りを行うにあたって、リール本体3に作用する外力或いはユーザ自身の操作に対応して変化する、リール本体3の動き(動作)を指す。具体的には、例えばキャスティングに伴ってリール本体3に作用する加速度、速度或いは振動、または、魚信によってリール本体3に作用する振動、またはハンドル操作に伴うハンドル回転数、ハンドル回転速度、ハンドル角速度等のハンドル回転情報が本発明に係る挙動に含まれる。
【0052】
本実施形態では、ハンドル操作に伴うハンドル回転情報を検出するロータリーエンコーダ90、及びリール本体3に作用する加速度を検出する3軸加速度センサ91の2つのセンサを挙動センサとして利用している場合を例にしている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、検出する挙動に対応して挙動センサを適宜選択して構わない。さらには、挙動センサの数は、2つに限定されるものではなく、1つ或いは3つ以上設けても構わない。
【0053】
センサユニット6は、ハンドル軸線O1と同軸に配置されたユニット本体92と、ユニット本体92内に配置された上記ロータリーエンコーダ90及び3軸加速度センサ91と、ユニット本体92内に配置され、ロータリーエンコーダ90及び3軸加速度センサ91でそれぞれ検出された挙動(ハンドル回転情報及び加速度)に基づく挙動データ(ハンドル回転データ及び加速度データ)を外部に送信する通信部93と、ユニット本体92内に配置され、ハンドル回転データ及び加速度データを記憶する記憶部94と、演算処理部である図示しないCPU等の制御部95が実装された制御基板96と、電源部97と、を主に備えている。
【0054】
ユニット本体92は、ユニットケース100及びユニットキャップ110を備えている。
ユニットケース100は、第1装着孔23を右側から塞ぐように、第1装着筒21の右側に配置された隔壁部101と、隔壁部101から右側に向かって延びた円筒状の周壁部102と、隔壁部101から左側に向かって延びると共に第1装着筒21の内側に螺着された連結筒103と、隔壁部101の外周縁部から左側に向かって延びると共に第1装着筒21を径方向の外側から囲む囲繞筒104と、を備え、ハンドル軸線O1と同軸に配置されている。
【0055】
隔壁部101は、第1装着筒21の外径よりも拡径した円板状に形成され、第1装着筒21の開口端縁に対して近接或いは接触している。図示の例では、隔壁部101は、第1装着筒21の開口端縁に対して近接している場合を例にしている。
【0056】
周壁部102は、隔壁部101側に配置された大径部102aと、大径部102aよりも右側に配置された小径部102bと、を備えた2段筒状に形成されている。なお、大径部102aの内径と小径部102bの内径とは、同径に形成されている。
小径部102bの外周面のうち、該小径部102bの開口端縁側に位置する部分には、第6ねじ部105(例えば雌ねじ部)が形成されている。さらに小径部102bの外周面のうち、第6ねじ部105よりも大径部102a側に位置する部分には、シールリング106が設けられている。
このように構成された周壁部102の内側は、各種の構成部品を収容する収容空間107とされている。
【0057】
連結筒103の外周面のうち、該連結筒103の開口端縁側に位置する部分には、第1装着筒21に形成された第1ねじ部22に螺合する第7ねじ部108(例えば雄ねじ部)が形成されている。第1ねじ部22と第7ねじ部108との螺合によって、連結筒103は第1装着筒21の内側に螺着によって一体に組み合わされている。
これにより、センサユニット6の全体は第1ハンドル装着部20を利用して、リール本体3に対して相対回転不能に取り付けられている。なお、連結筒103の外周面のうち第7ねじ部108よりも隔壁部101側に位置する部分には、シールリング109が設けられている。
【0058】
囲繞筒104は、例えば開口端縁が本体フレーム部10の右側面に対して接触した状態で第1装着筒21を径方向の外側から囲んでいる。なお、囲繞筒104の内周面は、第1装着筒21の外周面に対して近接或いは接触している。図示の例では、囲繞筒104の内周面が第1装着筒21の外周面に対して近接している場合を例にしている。
【0059】
ユニットキャップ110は、キャップ壁部111及びキャップ筒部112を備えた有頂筒状に形成され、ハンドル軸線O1と同軸に配置されている。
キャップ壁部111は、ユニットケース100の小径部102bよりも拡径した円板状に形成され、小径部102bの開口端縁に対して近接或いは接触している。図示の例では、キャップ壁部111は、小径部102bの開口端縁に対して近接している場合を例にしている。
【0060】
キャップ筒部112は、キャップ壁部111の外周縁部から左側に向かって延びた円筒状に形成され、小径部102bを径方向の外側から囲んでいる。キャップ筒部112の内周面には、小径部102bに形成された第6ねじ部105に螺合する第8ねじ部113(例えば雄ねじ部)が形成されている。第6ねじ部105と第8ねじ部113との螺合によって、ユニットキャップ110はユニットケース100に螺着によって一体に組み合わされている。なお、ユニットケース100に対するユニットキャップ110の螺着によって、収容空間107内は密閉された状態とされている。
【0061】
なお、キャップ筒部112の外径は、ユニットケース100の大径部102aの外径と同径とされている。これにより、ユニットケース100との間に段差をつけることなく、ユニットキャップ110を組み合わせることが可能とされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、キャップ筒部112の外径をユニットケース100の大径部102aの外径よりも大きく形成しても構わない。
【0062】
ユニット本体92の収容空間107内には、ロータリーエンコーダ90を構成するセンサ部90a、3軸加速度センサ91、通信部93、記憶部94、制御基板96及び電源部97が配置されている。このうち、設置スペースが主に必要とされ易いセンサ部90a、3軸加速度センサ91、通信部93、制御基板96及び電源部97は、ハンドル軸線O1に沿って一列に並ぶように配置されている。
【0063】
ロータリーエンコーダ90は、アブソリュートタイプの磁気式のエンコーダとされている。ロータリーエンコーダ90は、ハンドル軸40に伴って回転するドライブ軸51に取り付けられ、S極及びN極が周方向に交互に着磁された磁性体90bと、磁界の変化に対応して抵抗値が変化する磁気抵抗素子であるセンサ部90aと、を備えている。
【0064】
磁性体90bは、ドライブ軸51の右側端部の内側に螺着された連結軸部120を介してドライブ軸51に取り付けられている。連結軸部120は、ドライブ軸51に形成された第3ねじ部52に螺合する第9ねじ部121(例えば雄ねじ部)が外周面に形成され、ドライブ軸51の右側端部の内側に螺着された軸本体122と、軸本体122に一体に形成され、ドライブ軸51の右側端部よりも右側に配置されたヘッド部123と、を備えている。
連結軸部120は、ドライブ軸51の右側端部の内側に軸本体122が螺着されることで、ドライブ軸51と共にハンドル軸線O1回りに回転可能とされている。
【0065】
ヘッド部123は、隔壁部101に対して非接触状態で、連結筒103の内側に収容されている。そのため、ユニット本体92は、ハンドル軸40と共に回転するドライブ軸51及び連結軸部120に対して非接触状態でリール本体3に対して相対回転不能に取り付けられている。
磁性体90bはヘッド部123に例えば埋設されるように一体に固定されている。これにより、磁性体90bは、連結軸部120及びドライブ軸51を介して、ハンドル軸40と共にハンドル軸線O1回りを回転可能とされている。
【0066】
センサ部90aは、例えば一部が隔壁部101内に入り込んだ状態で収容空間107内に配置され、隔壁部101を通じて磁性体90bの回転に伴う磁界の変化に対応して抵抗値が変化する。従って、センサ部90aは、抵抗値変化に基づいて、例えばハンドル回転数、回転速度、角速度等のハンドル回転状態を検出することが可能とされている。
【0067】
3軸加速度センサ91は、例えばピエゾ抵抗型或いは静電容量型のセンサであり、ハンドル軸線O1方向、スプール軸線O2方向及び上下方向の3軸の加速度を検出することが可能とされている。3軸加速度センサ91は、ロータリーエンコーダ90のセンサ部90aよりも右側に配置された状態で収容空間107内に配置されている。
【0068】
制御部95が実装された制御基板96は、3軸加速度センサ91よりも右側に配置された状態で収容空間107内に配置されている。制御部95は、センサユニット6の作動を総合的に制御する機能を有していると共に、センサ部90a及び3軸加速度センサ91の検出結果に基づいて、ハンドル回転データ及び加速度データを生成する。
【0069】
通信部93は、例えば無線送信モジュールとされ、制御部95によって生成されたハンドル回転データ及び加速度データを外部に無線送信することが可能とされている。通信部93は、制御基板96と3軸加速度センサ91との間に配置された状態で収容空間107内に配置されている。
【0070】
記憶部94は、例えばフラッシュメモリ等であって、制御基板96に実装されている。記憶部94には、例えば制御部95に各種の演算処理を実行させるためのプログラム或いはテーブルが予め格納されている。さらに記憶部94は、制御部95によって生成されたハンドル回転データ及び加速度データを記憶する機能を有している。
なお、制御基板96には、図示しない外部接続端子が取り付けられており、外部接続端子を通じて記憶部94に外部からアクセス可能とされている。
【0071】
電源部97は、例えばボタン電池等の交換可能な一次電池、或いは充放電可能な二次電池97a、97b等とされている。本実施形態では、電源部97として、ボタン型(コイン型)の2つの二次電池97a、97bを備えている。
これら2つの二次電池97a、97bは、ハンドル軸線O1方向に並んで配置されることで、直列に電気接続されている。なお、これら2つの二次電池97a、97bは、図示しない端子板を介して制御基板96に電気接続されており、制御基板96を通じてセンサユニット6の各構成部品に電力を供給している。
【0072】
(スピニングリールの作用)
次に、上述のように構成されたスピニングリール1を利用する場合について説明する。
キャスティングを行う場合には、
図1及び
図2に示す状態からベールアーム63を糸開放姿勢に倒し、釣竿Rを前方に向けて振り出す。これにより、スプール5の糸巻胴部70に巻かれた釣糸を前方に向けて繰り出すことができる。
【0073】
その後、釣糸を巻き上げる場合には、ベールアーム63を
図1及び
図2に示すように糸案内姿勢に戻す。これにより、釣糸がベールアーム63によってラインローラ66に案内される。この状態で、ハンドルノブ43を握りながら、ハンドル組立体2をハンドル軸線O1回りに回転させて、ハンドル操作を行う。
【0074】
ハンドル組立体2の回転力は、ロータ駆動機構50によってロータ4に伝達されるので、該ロータ4をスプール軸線O2回りに回転させることができる。これと同時に、ハンドル組立体2の回転力は、オシレーティング機構80によってスプール5に伝達されるので、該スプール5をスプール軸線O2に沿って往復移動させることができる。
その結果、スプール5を前後方向L2に往復移動させながらロータ4を回転させることができ、ラインローラ66を介して釣糸をスプール5の糸巻胴部70に偏りなく巻き付けることができる。
【0075】
特に、本実施形態のスピニングリール1によれば、センサユニット6を具備しているので、ロータリーエンコーダ90及び3軸加速度センサ91によって、上述した魚釣り中におけるハンドル回転情報及び3軸の加速度を検出することができる。そして、ロータリーエンコーダ90及び3軸加速度センサ91の検出結果に基づいて、制御部95が生成したハンドル回転データ及び加速度データを、通信部93を通じて外部に送信することができる。これにより、魚釣りを行いながら、ハンドル回転データ及び加速度データを、携帯端末等の外部装置にリアルタイムで送信することができる。
【0076】
さらに、記憶部94内にもハンドル回転データ及び加速度データを記憶できるので、例えば魚釣りを終えた後であっても、リール本体3からセンサユニット6を取り外して記憶部94にアクセスすることで、ハンドル回転データ及び加速度データを外部装置に取得することが可能とされている。
なお、この場合には、例えばユニットキャップ110を取り外した後、2つの二次電池97a、97bを取り外すことで、外部接続端子を介して記憶部94にアクセスすることが可能となる。
【0077】
従って、例えば外部装置等を利用して、ハンドル回転データ及び加速度データを蓄積することができると共に、必要に応じて解析等を行うことで、リール本体3の挙動を客観的に把握することができる。
例えば、加速度データに基づいて、キャスティング時における釣糸の放出速度や、放出距離等を把握することが可能である。また、ハンドル回転データに基づいて、ハンドル回転操作に回転ムラがあったか否か等を把握することができ、ユーザのハンドル操作性の癖、操作傾向等を把握することが可能である。さらに、ハンドル回転データ及び加速度データに基づいて、どのようなハンドル操作を行ったときに魚信があったか等を把握することができ、魚信とハンドル操作との相関関係等を把握することも可能である。
【0078】
このように、リール本体3の挙動を客観的に把握することができるので、例えば次回の魚釣に活用することができる。なお、ハンドル回転データ及び加速度データの解析を行う場合には、例えば外部装置にインストールした専用のアプリケーション等で行うことも可能である。
【0079】
以上、説明したように、本実施形態のスピニングリール1によれば、リール本体3に取り付けられたセンサユニット6を具備するリールとすることができる。特に、センサユニット6自体を、ハンドル軸線O1上に配置できるので、ハンドル操作に伴う挙動を好適に検出することができ、回転ムラ等を高精度に検出し易い。
【0080】
さらに、設置スペースが主に必要とされ易いセンサ部90a、3軸加速度センサ91、通信部93、制御基板96及び電源部97をハンドル軸線O1に沿って一列に並ぶように配置しているので、これらを収容するユニット本体92がハンドル軸線O1に対して交差する径方向に大型化してしまうことを抑制することができる。
従って、
図1に示すように、センサユニット6がスピニングリール1の他の構成部品(ロータ4等)に干渉してしまうことを適切に防止することができる。
【0081】
さらに、リール本体3にハンドル組立体2を装着するためのハンドル装着部(第1ハンドル装着部20又は第2ハンドル装着部30)を利用してセンサユニット6を取り付けることができるので、リール本体3側に特別な構造を付加する必要がない。従って、例えば既存のリール本体を利用することも可能となり、利便性を向上することができると共に、低コスト化を図り易い。
【0082】
さらに、リール本体3に対してセンサユニット6を相対回転不能に取り付けることができるので、センサユニット6を気にすることなく魚釣りを行い易い。しかも、ユニット本体92内の各部品にハンドル操作に伴う遠心力等の応力が作用し難いので、長期に亘って安定した作動信頼性を確保し易い。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る魚釣用リールの第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、リール本体3に対してセンサユニット6が相対回転不能に取り付けられていたが、本実施形態ではリール本体3に対してセンサユニットが相対回転可能に取り付けられている。
【0084】
図5に示すように、本実施形態のスピニングリール1は、ドライブ軸51を介してハンドル軸40に対して連結されたセンサユニット130を備えている。
本実施形態のセンサユニット130では、連結軸部120のヘッド部123と隔壁部101とが一体に形成されていると共に、第1実施形態における連結筒103を具備していない。これにより、ドライブ軸51に形成された第3ねじ部52に対して連結軸部120の第9ねじ部121を螺合することで、センサユニット130の全体を、ドライブ軸51を介してハンドル軸40に一体に組み合わせることが可能とされている。つまり、リール本体3に対してセンサユニット130を相対回転可能に取り付けることが可能とされている。
【0085】
従って、ハンドル操作に伴って、ハンドル軸40及びドライブ軸51と共にセンサユニット130をハンドル軸線O1回りに回転させることが可能となる。なお、ヘッド部123には、外周縁部が第1装着筒21の内周面に密に接触する環状のシール板131が取り付けられている。
【0086】
センサユニット130の収容空間107内には、挙動センサとして6軸慣性センサ132が配置されている。6軸慣性センサ132は、通信部93よりも隔壁部101側に配置されている。従って、本実施形態の場合であっても、設置スペースが必要とされ易い6軸慣性センサ132、通信部93、制御基板96及び電源部97は、ハンドル軸線O1に沿って一列に並ぶように配置されている。
【0087】
6軸慣性センサ132は、例えばハンドル軸線O1方向、スプール軸線O2方向及び上下方向の3軸の加速度を検出することが可能な図示しない加速度センサと、センサユニット130の回転情報を検出する図示しないジャイロセンサと、が組み合わされたセンサとされている。
センサユニット130は、上述したようにハンドル軸40と共にハンドル軸線O1回りに回転するので、結果的にジャイロセンサは、ハンドル回転数、回転速度、角速度等のハンドル回転情報を検出することが可能とされている。
従って、本実施形態の場合であっても第1実施形態と同様に、6軸慣性センサ132を利用して、ハンドル回転情報及び加速度を検出することが可能とされている。
【0088】
(スピニングリールの作用)
上述のように構成された本実施形態のスピニングリール1の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、本実施形態の場合には、ハンドル操作に伴ってセンサユニット130自体を回転させることができるので、6軸慣性センサ132を利用して、ハンドル操作に伴う挙動を好適に検出し易い。
【0089】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0090】
例えば、上記各実施形態では、魚釣用リールとしてスピニングリールを例に挙げて説明したが、スピニングリールに限定されるものではなく、その他のリールであっても構わない。例えば、片軸受リール或いは両軸受リール(電動式リールを含む)に適用しても構わない。この際、センサユニットは、ハンドル軸線と同軸に配置できれば、リール本体に対してどのように取り付けても構わない。
ただし、上記各実施形態のようにスピニングリールにおけるハンドル装着部(第1ハンドル装着部及び第2ハンドル装着部)を利用してセンサユニットを取り付ける場合には、既存のリール本体3を利用することができるので、より好ましい。
【0091】
さらに、上記各実施形態では、ユニット本体内に、挙動センサ(ロータリーエンコーダ、3軸加速度センサ、6軸慣性センサ)及び通信部に加えて、記憶部及び電源部を設けたセンサユニットを例に挙げて説明したが、記憶部及び電源部は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
記憶部を具備しない場合であっても、通信部を利用して挙動データを外部に送信できるので、同様の作用効果を奏功することができる。また、電源部を具備しない場合であっても、例えばリール本体側が電力源を有している場合には、該電力源からセンサユニットが電力を供給されるように構成すれば良い。
【符号の説明】
【0092】
O1…ハンドル軸線
1…スピニングリール(魚釣用リール)
2…ハンドル組立体(ハンドル)
3…リール本体
6、130…センサユニット
20…第1ハンドル装着部(ハンドル装着部)
30…第2ハンドル装着部(ハンドル装着部)
40…ハンドル軸
92…ユニット本体
90…ロータリーエンコーダ(挙動センサ)
91…3軸加速度センサ(挙動センサ)
93…通信部
94…記憶部
132…6軸慣性センサ(挙動センサ)