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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】衣服用ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20220727BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20220727BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
F04D29/52 C
A41D13/002 105
F04D25/08 301Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018201616
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020067058
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野沢 真
(72)【発明者】
【氏名】神原 智久
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189982(JP,A)
【文献】特開2009-052718(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140926(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3221981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00-13/12
A41D 20/00
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服の開口部に装着される衣服用ファンであって、
電動のファンを内蔵し、前記開口部の周囲に接触するフランジ部を有するファン本体と、
前記ファン本体に係合され、前記衣服のうち前記開口部の周囲の部位を介して前記フランジ部に接触する固定部材と、を備え、
前記固定部材と前記フランジ部の少なくとも何れか一方は、何れか他方へ向かって形成されており、前記開口部の縁沿いに形成されている周縁部に係合する係合部を有し、
前記係合部は、離散配置された突起を含む、
衣服用ファン。
【請求項2】
衣服の開口部に装着される衣服用ファンであって、
電動のファンを内蔵し、前記開口部の周囲に接触するフランジ部を有するファン本体と、
前記ファン本体に係合され、前記衣服のうち前記開口部の周囲の部位を介して前記フランジ部に接触する固定部材と、を備え、
前記固定部材と前記フランジ部の少なくとも何れか一方は、何れか他方へ向かって形成されており、前記開口部の縁沿いに形成されている周縁部に係合する係合部を有し、
前記係合部は、微細な凹凸を含む、
衣服用ファン。
【請求項3】
衣服の開口部に装着される衣服用ファンであって、
電動のファンを内蔵し、前記開口部の周囲に接触するフランジ部を有するファン本体と、
前記ファン本体に係合され、前記衣服のうち前記開口部の周囲の部位を介して前記フランジ部に接触する固定部材と、を備え、
前記固定部材と前記フランジ部の少なくとも何れか一方は、何れか他方へ向かって形成されており、前記開口部の縁沿いに形成されている周縁部に係合する係合部を有し、
前記係合部は、ゴム製の滑り止めを含む、
衣服用ファン。
【請求項4】
前記係合部は、前記開口部の縁から所定距離にある位置において何れか他方へ向かって形成されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の衣服用ファン。
【請求項5】
前記周縁部は、前記開口部の縁から前記所定距離よりも内側の範囲に設けられており、前記衣服の生地よりも厚い部位である、
請求項1から4の何れか一項に記載の衣服用ファン。
【請求項6】
前記係合部は、少なくとも前記固定部材の外周縁沿いに設けられている、
請求項1からの何れか一項に記載の衣服用ファン。
【請求項7】
前記係合部は、少なくとも前記フランジ部の外周縁沿いに設けられている、
請求項1からの何れか一項に記載の衣服用ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服用ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、着用者に清涼感を与える目的で空気を送風するファンを備えた衣服が用いられている。ファンを備えた衣服は、高温環境下で作業を行う作業員が着用するため、主に作業着の形態で流通している。ファンを備えた衣服にはファンを取り付けるための開口部が設けられており、当該開口部に電動のファン(以下、「衣服用ファン」という)が装着される(例えば、特許文献1-2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4399765号公報
【文献】特許第6200606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衣服用ファンは、例えば、衣服に設けられた円形の開口部にファン本体を服の外側から嵌めた後、服の内側から環状の固定部材をファン本体の雄ネジに螺合することで、衣服の開口部の縁がファン本体のフランジと固定部材との間に挟まれ、衣服に固定される。このような形態で衣服に固定される衣服用ファンの場合、ファン本体に螺合される固定部材は、ファン本体と同等の外径を有し、ファン本体に設けられている雄ネジに螺合する雌ネジを内周面に有する形態となる。よって、衣服用ファンが衣服の開口部から脱落するのを防ぐには、開口部の縁がファン本体と固定部材との間から外れないようにすることが肝要である。
【0005】
しかし、着用者が作業を行う場合、作業に伴う着用者の姿勢の変化により、衣服には様々な方向に力が加わる。よって、このような力が衣服の開口部付近に加わると、開口部の縁がファン本体と固定部材との間から外れ、衣服用ファンが衣服の開口部から脱落する可能性がある。
【0006】
そこで、本願は、衣服の開口部から容易に脱落しない衣服用ファンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、衣服の開口部の縁沿いに形成されている周縁部に係合する係合部を衣服用ファンに設けることにした。
【0008】
詳細には、本発明は、衣服の開口部に装着される衣服用ファンであって、電動のファンを内蔵し、開口部の周囲に接触するフランジ部を有するファン本体と、ファン本体に係合され、衣服のうち開口部の周囲の部位を介してフランジ部に接触する固定部材と、を備え、固定部材とフランジ部の少なくとも何れか一方は、何れか他方へ向かって形成されており、開口部の縁沿いに形成されている周縁部に係合する係合部を有する。
【0009】
ここで、衣服の開口部とは、衣服用ファンを装着するために設けられた衣服の穴であり、開口部の縁沿いに、周囲よりも厚肉の周縁部が設けられたものである。この周縁部は、開口部における衣服の端から、例えば、数mm乃至十数mm程度の範囲内に形成されるた
め、周辺部とその外側(外周側)との間には段差が形成される。また、係合とは、部材同士が相対移動した場合に一方が他方へ接触する概念であり、部材同士を挟持することによる締結を含まない概念である。また、係合するとは、衣服の生地に引張方向の力が加わった場合に係合し得ることを含む概念であり、ファン本体に固定部材を螺合すると周縁部がただちに係合部に係合することを意図する概念ではない。
【0010】
上記の衣服用ファンでは、固定部材とフランジ部の少なくとも何れか一方に、何れか他方へ向かって形成される係合部が設けられているため、衣服の開口部の周囲に引張方向の力が加わっても、周縁部が係合部に係合する。このため、開口部の縁が固定部材とフランジ部との間から外れる可能性が低い。このため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0011】
なお、係合部は、開口部の縁から所定距離にある位置において何れか他方へ向かって形成されていてもよい。ここで、所定距離とは、衣服用ファンが開口部に固定された状態における、開口部の縁から係合部までの距離であり、例えば、開口部に設けられている周縁部の幅よりも大きい距離である。係合部がこのような位置に設けられていれば、開口部の周囲に引張方向の力が加わった際に係合部が周縁部と係合することになるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0012】
また、周縁部は、開口部の縁から所定距離よりも内側の範囲に設けられており、衣服の生地よりも厚い部位であってもよい。ここで、衣服の生地よりも厚いとは、開口部の周辺における相対的な厚みを規定する概念であり、例えば、開口部から遠く離れた衣服の袖口等における生地の厚みよりも周縁部が厚いことを規定する概念ではない。このような周縁部が形成されていれば、開口部の周囲に引張方向の力が加わった際に、係合部への周縁部の接触によって周縁部が係合部に係合することになるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0013】
また、係合部は、少なくとも固定部材の外周縁沿いに設けられていてもよい。係合部が固定部材の外周縁沿いに設けられていれば、周縁部の係合部へのより確実な係合が可能となるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0014】
また、係合部は、少なくともフランジ部の外周縁沿いに設けられていてもよい。係合部がフランジ部の外周縁沿いに設けられていれば、周縁部の係合部へのより確実な係合が可能となるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0015】
また、係合部は、離散配置された突起を含むものであってもよい。このような突起が設けられていれば、突起が周縁部に接触するので、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0016】
また、係合部は、微細な凹凸を含むものであってもよい。このような凹凸が設けられていれば、開口部の周囲に引張方向の力が加わった際に、凹凸への周縁部の接触によって周縁部が係合部に係合することになるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【0017】
また、係合部は、ゴム製の滑り止めを含むものであってもよい。このような係合部であれば、開口部の周囲に引張方向の力が加わった際に、ゴムの摩擦力で周縁部の動きが阻止されるため、衣服用ファンが衣服の開口部から容易に脱落しない。
【発明の効果】
【0018】
上記の衣服用ファンであれば、衣服の開口部から容易に脱落しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る衣服用ファンを示した斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る衣服用ファンを図1とは異なる方向から示した斜視図である。
図3図3は、固定部材の斜視図である。
図4図4は、衣服用ファンが衣服に固定された状態を示した図である。
図5図5は、衣服用ファンの第1変形例を示した斜視図である。
図6図6は、衣服用ファンの第2変形例を示した斜視図である。
図7図7は、衣服用ファンの第3変形例を示した斜視図である。
図8図8は、衣服用ファンの第4変形例を示した図である。
図9図9は、衣服用ファンの第5変形例を示した図である。
図10図10は、衣服用ファンの第6変形例を示した図である。
図11図11は、衣服用ファンの第7変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る衣服用ファンを示した斜視図である。衣服用ファン1は、衣服4を構成する生地41に設けられた円形の開口部42に装着される装置であり、電動のファンを内蔵するファン本体2と、ファン本体2に螺合される固定部材3とを備える。衣服用ファン1は、ファン本体2が開口部42に衣服4の外側から挿入され、固定部材3が衣服4の内側からファン本体2に螺合される。まず、ファン本体2について説明し、その後、固定部材3について説明する。
【0022】
ファン本体2は、内蔵されているファンの回転軸を中心に線対称の略半球体或いはドーム状の外観形状のハウジング21を有する。半球体において非球面部分に相当する略平坦な部位は、ハウジング21の前面となり、衣服用ファン1が開口部42に装着された状態において衣服4の外側を向く。そして、ハウジング21の前面部分の縁には、ハウジング21を前面から見た場合に最外周縁部分を形成するフランジ部27が設けられている。このフランジ部27は、開口部42の内径よりもやや大きい外径を有しているため、開口部42に衣服用ファン1が装着された状態において開口部42の周囲に衣服4の外側から接触することができる。
【0023】
また、ハウジング21は、半球体において球面の縁に相当する部位に雄ネジ24を有する。雄ネジ24の外径は、開口部42の内径よりも小さい。よって、雄ネジ24の部分は、衣服用ファン1が開口部42に装着されると開口部42の内側に収まる。
【0024】
また、ハウジング21は、内蔵されているファンによって発生される気流がハウジング21の内外を流通するように、全体的に格子状の構造体となっている。そして、ハウジング21に内蔵のファンは、衣服4の外側から内側へ空気を送風する。よって、ハウジング21の前面側を構成する格子の隙間は吸気口22となる。また、ハウジング21の後面側を構成する格子の隙間は排気口23となる。
【0025】
また、ファン本体2には、微細な凹凸による滑り止め28が設けられている。この滑り止め28は、衣服用ファン1を開口部42に取り付ける際、ファン本体2を保持する人の手が滑るのを抑制する。
【0026】
次に、固定部材3について説明する。固定部材3は、環状のリング部31と、リング部
31の外周面において周方向に離散配置される筋状の突起である滑り止め32と、リング部31の内周面に形成される雌ネジ33とを有する。雌ネジ33の内径は、雄ネジ24の外径にほぼ一致している。よって、雌ネジ33は、雄ネジ24に螺合することができる。そして、リング部31の外径は、開口部42の内径よりもやや大きい。よって、ファン本体2が開口部42に入った状態で雌ネジ33が雄ネジ24に螺合されると、リング部31は、開口部42の周囲の部分をファン本体2のフランジ部27側へ押圧することになる。
【0027】
次に、衣服用ファン1が固定される衣服4について説明する。衣服4には、開口部42の周縁沿いに周縁部43が設けられている。周縁部43は、生地41が開口部42の縁から裂けるのを防止する目的で設けられており、いわゆるバイアステープを縫い付けることにより周囲より厚くなっているため、実質的に環状の厚肉部を形成する。そして、厚肉部は、その周囲との間に段差を形成する。また、図1には図示されていないが、生地41には、生地41の伸びによる開口部42の拡径を防止するため、樹脂製の板材からなる補強材が開口部42の周囲に積層されている。なお、周縁部43は、バイアステープの代わりに、例えば、ゴム材、ワッペン、環状の樹脂或いは金属、その他各種の部材が適用されていてもよい。
【0028】
図2は、本実施形態に係る衣服用ファン1を図1とは異なる方向から示した斜視図である。図2では衣服4の図示が省略されている。図2を見ると判るように、固定部材3には、固定部材3の内周縁沿いに連続的に形成される環状の押圧面34と、固定部材3の外周縁沿いに離散配置された突起35(本願でいう「係合部」の一例である)が設けられている。図2を見ると判るように、押圧面34と突起35は、ファン本体2の雄ネジ24に固定部材3の雌ネジ33が螺合された状態においてフランジ部27に対向することになる位置に設けられている。そして、このフランジ部27が、開口部42の内径よりもやや大きい外径を有しており、開口部42に衣服用ファン1が装着された状態において開口部42の周囲に衣服4の外側から接触するものなので、ファン本体2の雄ネジ24に固定部材3の雌ネジ33が螺合されると、押圧面34は、開口部42の周囲をフランジ部27へ押圧し、突起35は、突端が生地41に接するか、又は、突端と生地41の隙間が周縁部43と生地41との間にある段差の高さ以下になる位置とする。すなわち、突起35の突端は、生地41を押圧するのではなく、生地41に触れる位置か、又は、生地41に触れる手前の位置となる。よって、突起35は生地41を傷めることが無い。
【0029】
図3は、固定部材3の斜視図である。図3を見ると判るように、突起35は、固定部材3の外周縁沿いの円周上に円の中心を基準点とし等角度ピッチで複数設けられている。突起35同士の角度ピッチは、生地41の強度にもよるが、例えば、開口部42の直径が90mm程度であれば、22.5度程度にすることが望ましく、その結果、突起35同士の間隔は20mm程度になる。
【0030】
図3の部分拡大図を見ると判るように、突起35は、ファン本体2の雄ネジ24に固定部材3の雌ネジ33が螺合された状態において固定部材3の中心寄りに斜めに突出する形態となっている。突起35は、このように形成されているため、ファン本体2が衣服4の開口部42にセットされた状態でファン本体2の雄ネジ24に固定部材3の雌ネジ33が適度な強度で螺合されると、開口部42の周囲に対して以下のように接触する。
【0031】
図4は、衣服用ファン1が衣服4に固定された状態を示した図である。ファン本体2が衣服4の開口部42にセットされた状態でファン本体2の雄ネジ24に固定部材3の雌ネジ33が適度な強度で螺合されると、突起35は、図4に示されるように、開口部42の縁から所定距離tにある位置においてフランジ部27の方へ突出する状態となる。この所定距離tとは、開口部42の縁から開口部42の径方向に向かう方向における周縁部43の長さよりも長い距離であり、例えば、周縁部43が開口部42の縁に7mmの幅で環状
に形成されていれば、7mmよりも長い距離(例えば8mm)となる。そして、突起35がこのような位置に設けられているため、突起35の突端は、開口部42の周囲のうち周縁部43よりも外側(外周側)の位置で生地41に接触している。そして、突起35は、固定部材3の中心寄りに斜めに突出形成されているため、突起35の突端が周縁部43の外側の位置において周縁部43の方を向いた状態となっている。
【0032】
衣服用ファン1は、上記のように構成されているため、衣服用ファン1の着用者の姿勢の変化により、衣服4の生地41に引張方向の力が加わって生地41がフランジ部27と固定部材3との間で相対移動しても、周縁部43が突起35に接触する。そして、周縁部43が突起35に接触すると、開口部42の周囲は引張方向にそれ以上広がることができない。よって、周縁部43が突起35に係合した状態となり、開口部42における引張方向への変形は突起35によって阻止された状態となる。この結果、開口部42の縁がファン本体2のフランジ部27と固定部材3との間から外れる可能性が可及的に抑制される。特に、突起35は、固定部材3の中心寄りに斜めに突出形成されることで、突起35の突端が周縁部43の外側の位置において周縁部43の方を向いた状態となっているため、生地41に引張方向の力が加わって周縁部43が突起35の突端に接触した際、突起35の突出方向と周縁部43の移動方向とが多少対向する状態となる。このため、周縁部43が突起35とフランジ部27との間を通り抜けにくく、開口部42の周囲が引張方向にそれ以上広がらない。開口部42の周囲が引張方向に広がらないため、衣服4の使用を繰り返すことによる生地41の劣化で開口部42が拡径することも無い。
【0033】
図5は、衣服用ファン1の第1変形例を示した斜視図である。上記実施形態では、突起35が固定部材3の中心寄りに斜めに突出形成されていたが、衣服用ファン1はこのような形態に限定されない。衣服用ファン1は、例えば、図5に示されるように、突起35がフランジ部27に対し斜めではなく真っ直ぐに突出形成されていてもよい。このような形態の突起35であっても、開口部42の周囲で生地41に引張方向の力が加わった際、周縁部43が突起35に係合した状態となり、開口部42における引張方向への変形が突起35に阻止される。
【0034】
図6は、衣服用ファン1の第2変形例を示した斜視図である。図3では、突端が一定の横幅を有する突起35が離散配置されている様子が図示されていたが、突起35はこのような形態に限定されるものではない。突起35は、例えば、図6に示されるように、固定部材3の外周縁沿いに半球状の形態で離散配置されていてもよい。突起35が半球状の形態であっても、突起35の突端が周縁部43に接触できるため、開口部42における引張方向への変形を突起35が阻止可能である。この結果、開口部42の縁がファン本体2のフランジ部27と固定部材3との間から外れる可能性が更に抑制される。
【0035】
図7は、衣服用ファン1の第3変形例を示した斜視図である。図3では、固定部材3の外周縁沿いに円弧状の突起35が、突端が平たい形態で図示されていたが、突起35はこのような形態に限定されるものではない。突起35は、例えば、図7に示されるように、突端が丸みを帯びた形態で形成されていてもよい。突起35の突端が丸みを帯びた形態であれば、固定部材3の雌ネジ33をファン本体2の雄ネジ24に螺合する際、突起35が生地41に接触した状態でも生地41の表面を滑りやすいため、螺合をスムーズに行うことができる。そして、このような形態の突起35であっても、開口部42における引張方向への力が加わった際、周縁部43が突起35に係合した状態となり、開口部42における引張方向への変形が突起35に阻止される。
【0036】
ところで、上記実施形態や変形例では、固定部材3に設けられた突起35が周縁部43に係合する形態となっていたが、周縁部43を係合する手段は、フランジ部27に設けられていてもよいし、固定部材3とフランジ部27の両方に設けられていてもよい。
【0037】
図8は、衣服用ファン1の第4変形例を示した図である。衣服用ファン1は、固定部材3に設けられた突起35の代わりに、フランジ部27に設けられた突起29を備えるものであってもよい。この場合、突起29は、突起35と同様、開口部42の縁から所定距離にある位置において固定部材3の方へ突出する形態である。このような突起29が設けられていれば、衣服用ファン1の着用者の姿勢の変化により、衣服4の生地41に引張方向の力が加わると、周縁部43が突起29に接触する。周縁部43が突起29に接触すると、開口部42の周囲は引張方向にそれ以上広がることができない。すなわち、周縁部43の突起29への係合により、開口部42における引張方向への変形が阻止される。
【0038】
図9は、衣服用ファン1の第5変形例を示した図である。衣服用ファン1は、固定部材3に設けられた突起35とフランジ部27に設けられた突起29の両方を備えるものであってもよい。突起35と突起29の両方が設けられていれば、衣服用ファン1の着用者の姿勢の変化により、衣服4の生地41に引張方向の力が加わると、周縁部43が突起35と突起29の両方に接触する。周縁部43が突起35と突起29の両方に接触すると、開口部42の周囲は引張方向にそれ以上広がることができない。よって、開口部42における引張方向への変形は突起35と突起29の両方によってより確実に阻止される。すなわち、周縁部43の突起29と突起35への係合により、開口部42における引張方向への変形が阻止される。この場合、突起29と突起35が対向する位置関係になるか否かは、突起29同士の間隔、突起35同士の間隔、螺合された状態におけるファン本体2と固定部材3との相対的な向きにもよるが、突起29と突起35が対向する位置関係にあると否とに関わり無く、開口部42における引張方向への変形を阻止する機能は発揮される。
【0039】
また、上記実施形態や変形例では、周縁部43に係合する手段として突起が例示されていたが、周縁部43に係合する手段としては、突起に限定されない。
【0040】
図10は、衣服用ファン1の第6変形例を示した図である。衣服用ファン1は、上述した突起29,35の代わりに、微細な凹凸29A,35A(本願でいう「係合部」の一例である)を備えるものであってもよい。凹凸29Aと凹凸35Aは、両方とも衣服用ファン1に設けられていてもよいし、或いは、何れか一方のみが設けられていてもよい。凹凸29Aと凹凸35Aのように微細な凹凸であっても、衣服用ファン1の着用者の姿勢の変化により、衣服4の生地41に引張方向の力が加わると、周縁部43の凹凸29A,35Aへの接触により、開口部42の周囲は引張方向にそれ以上広がることができない。すなわち、周縁部43の凹凸29Aと凹凸35Aへの係合により、開口部42における引張方向への変形が阻止される。
【0041】
図11は、衣服用ファン1の第7変形例を示した図である。衣服用ファン1は、上述した突起29,35の代わりに、樹脂よりも摩擦係数の高いゴム29B,35B(本願でいう「係合部」の一例である)を備えるものであってもよい。ゴム29Bとゴム35Bは、両方とも衣服用ファン1に設けられていてもよいし、或いは、何れか一方のみが設けられていてもよい。ゴム29Bとゴム35Bのように摩擦係数の比較的高い素材であっても、衣服用ファン1の着用者の姿勢の変化により、衣服4の生地41に引張方向の力が加わると、ゴム29Bとゴム35Bの摩擦力で周縁部43の動きが阻止され、開口部42の周囲は引張方向に広がることができない。すなわち、周縁部43のゴム29Bとゴム35Bへの係合により、開口部42における引張方向への変形が阻止される。
【0042】
また、上記実施形態では、本願でいう「係止部」に相当する突起29,35や凹凸29A,35A、ゴム29B,35Bが離散配置されていたが、これらはフランジ部27や固定部材3の外周縁沿いに環状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1・・衣服用ファン
2・・ファン本体
3・・固定部材
4・・衣服
21・・ハウジング
22・・吸気口
23・・排気口
24・・雄ネジ
27・・フランジ部
28・・滑り止め
29・・突起
29A・・凹凸
29B・・ゴム
31・・リング部
32・・滑り止め
33・・雌ネジ
34・・押圧面
35・・突起
35A・・凹凸
35B・・ゴム
41・・生地
42・・開口部
43・・周縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11