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  • 特許-磁気ヘッド 図1
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  • 特許-磁気ヘッド 図3B
  • 特許-磁気ヘッド 図4A
  • 特許-磁気ヘッド 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】磁気ヘッド
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/008 20060101AFI20220727BHJP
   G11B 5/187 20060101ALI20220727BHJP
   G11B 5/325 20060101ALI20220727BHJP
   G11B 5/024 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G11B5/008 Z
G11B5/187 H
G11B5/325
G11B5/024 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018566912
(86)(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 GB2017051824
(87)【国際公開番号】W WO2017221014
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】1610940.7
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518448105
【氏名又は名称】インサーゴ メディア サービシーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スピラー,ロイ
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-230706(JP,A)
【文献】特開2013-004053(JP,A)
【文献】実開昭56-056018(JP,U)
【文献】特開平11-339206(JP,A)
【文献】特開2005-203036(JP,A)
【文献】特開2007-250112(JP,A)
【文献】登録実用新案第3021201(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/008
G11B 5/187
G11B 5/325
G11B 5/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープ上のデータを消去する磁気ヘッドであって、前記磁気ヘッドが、その上に取り付けられた細長い磁石を有する本体と、前記磁石と磁化可能につながった複数の離散磁化可能部と、を含み、前記複数の磁化可能部が、前記細長い磁石とアライメントされ、前記磁気ヘッドの実質的に平面の外面の少なくとも一部を形成し、かつ、前記複数の磁化可能部が、前記磁気ヘッドを通過する前記磁気テープの幅方向に沿って配置された、磁気ヘッド。
【請求項2】
前記磁石が、前記実質的な平面の下方に位置する、請求項1に記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記本体が非磁化可能材料を含む、請求項1又は2に記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
一片の細長い磁石を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記複数の磁化可能部が、全て同様の形状及びサイズを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記複数の磁化可能部が互いにアライメントされる、請求項1~5のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
各磁化可能部が、隣接するそれぞれの磁化可能部から等距離にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
前記複数の磁化可能部が、前記本体内に埋め込まれることによって、前記本体と共に、前記平面の少なくとも一部を形成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記複数のアライメントされた磁化可能部に隣接して配置される長手方向セラミックエッジ部をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
セラミックエッジ部が、前記アライメントされた複数の磁化可能部の各長手方向エッジに沿って配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項11】
前記磁化可能部がスチール材料を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
【請求項12】
磁気テープ上のデータを消去する方法であって、
a.請求項1~11のいずれか1項に記載の磁気ヘッドを設けるステップと、
b.前記磁気ヘッドの前記実質的に平面の外面を通り過ぎてテープを通過させるステップと、を含む方法。
【請求項13】
磁気テープ上のデータを消去するシステムであって、
a.請求項1~11のいずれか1項に記載の磁気ヘッドと、
b.テープを解除可能に保持するテープ位置付け手段と、
c.前記磁気ヘッドの前記実質的に平面の外面に隣接して、前記磁気ヘッドを通り過ぎて前記テープを駆動させる駆動手段と、を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ消去のための磁気ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
オープンリール、リール・トゥ・リール又は9トラックテープは、何年も前に呼ばれていたとおり、半インチのテープ上に9つの物理的データ/記録トラックを包含していた。現在のテープ技術は、最も圧倒的に使用される半インチテープ上で、1000を超えるデータトラックを提供するまで進歩している。さらに、テープは、いわゆる「サーボ」トラックを包含する。これは、各テープの全長に設置された磁気周波数ストリップであり、サーボトラックの目的は、ドライブヘッドを使用中にそれが書き込んでいるデータトラックと一直線に保つことである。
【0003】
多くの場合、テープに記録されたデータは、本質的に機密であり、従って、このデータが不要となった場合には、通常の廃棄物として、テープを単に廃棄することはできない。さらに、データ保護要件等により、データのプライバシーを保護するのに十分であるような埋め立て地への処分に依存するのではなく、テープの処分に先立って、テープ上のデータを消去することがより安全である。
【0004】
既に記録されたデータをテープから除去するためには、強磁場をテープに印加することが必要であり、これは、当業界で「消磁」として知られている。しかしながら、強磁場を使用したデータ除去のデメリットの1つは、それが、非トラック特定のものであり、サーボトラックが、記録されたデータと共に消去される点である。サーボトラックがテープの機能性に必須であるので、それは、テープを再使用不可能にする。これは、各記録動作が新しいテープの使用を必要とし、消去プロセスが生じた後にテープをリサイクルすることができない、費用のかかる状況を提示する。
【0005】
しかしながら、特に組織が、例えば、データ記録が規制された必須の機能である金融部門において、データ記録のためにテープを多く必要とする場合、新しいテープを購入する絶え間ない必要性は、非常に費用がかかる。テープを再使用することができるように、サーボトラックを損傷することなく、以前に記録されたデータを効果的に消去する効率的な消去プロセスに対する必要性がある。
【0006】
本発明は、先行技術の問題点に対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の第1の態様は、磁気テープ上のデータを消去する磁気ヘッドを提供し、磁気ヘッドは、上に取り付けられた細長い磁石を有する本体と、磁石と磁化可能につながった複数の磁化可能部と、を含み、複数の磁化可能部は、細長い磁石とアライメントされ、磁気ヘッドの実質的に平面の外面の少なくとも一部を形成する。
【0008】
本発明は、消去プロセス中に、上に磁気テープを通過させる磁気ヘッドの外面の少なくとも一部を形成する複数の磁化可能部を利用する。複数の磁化可能部を磁化するための細長い磁石の使用により、ヘッドの外面全体にわたって一貫した磁気強度が得られることが確実となる。個々の磁石は、それら自体の固有の磁気強度を有する。従って、磁気テープを上に通過させる磁化外面を生じさせるために複数の磁石を使用することは、ヘッド全体にわたって一貫性のない磁気強度を持つ外面をもたらす。しかしながら、複数の磁化可能部を磁気的にチャージする利点は、磁気ヘッド全体にわたって一貫した磁気チャージが得られる点である。
【0009】
サーボトラックは、磁化可能部間のギャップを通って磁気ヘッドを横切るように誘導される。つまり、消去プロセス全体を通して、トラックが磁化可能部に対して同じ位置を保持するように、テープ全体がドライブによって誘導される
【0010】
一実施形態では、磁石は、実質的な平面の下方に位置する。これにより、磁石自体からの磁気ヘッドの外面全体にわたる一貫した磁気チャージのあらゆる干渉が回避される。
【0011】
好ましくは、本体は、真鍮を包含する(ただし、これに限定されない)、当業者に公知の任意の適切な非磁化可能材料を含む。しかしながら、本体は、ステンレススチールを包含する(ただし、これに限定されない)、当業者に公知のその他の適切な材料を含んでいてもよい。
【0012】
磁石は、好ましくは、軟鉄磁化可能部と接触するネオジム磁石である。磁化可能部は、所定の大きさに作られ、磁化可能部の好適な材料の一例は、底面から先端まで磁石の強度の99%を伝達する低カービンスチール(ENlA)である。ただし、同様の効果を得るために、その他の任意の適切な磁気/スチール材料が使用されてもよいことが認識されるべきである。例えば、より強い磁石及びより高いグレードのスチールの使用が、同じ効果強度をもたらすであろう。
【0013】
一実施形態では、磁石は、一片の細長い磁石を含む。しかしながら、単一磁石及び関連の複数の磁化可能部が、磁気ヘッド全体にわたって反復され、磁石及び磁化可能部の各配置は、磁化可能部の表面全体にわたり一貫した磁気強度を有していてもよいことが認識されるべきである。
【0014】
好ましくは、複数の磁化可能部のそれぞれは、全て同様の形状及びサイズを有する。一実施形態では、複数の磁化可能部のそれぞれは互いにアライメントされる。各磁化可能部は、隣接するそれぞれの磁化可能部から等距離にあってもよい。これは、磁気ヘッド全体にわたる磁場の一貫性及びそれに続くデータトラックの消去の精度を向上させ、サーボトラックを損傷することなく、テープからデータを消去することを可能にする。
【0015】
好ましくは、複数の磁化可能部が、本体内に埋め込まれることによって、本体と共に、平面の少なくとも一部を形成する。これにより、磁化可能部の表面が、本体の表面と同一平面に位置付けられることが可能となり、その結果、使用時にテープを上に通過させる、平滑で一貫性のある表面が提供される。これは、効率的なテープからのデータ消去を容易にするだけでなく、テープが磁気ヘッド上を通過する際のテープの引っ掛かり(及びテープに対する潜在的損傷)も防止する。さらに、これは、磁化可能部が磁気ヘッドの表面上に積層された場合に受けるであろう、磁化可能部に対する望ましくない摩損も防止する。
【0016】
磁気ヘッドは、複数のアライメントされた磁化可能部に隣接して配置される長手方向セラミックエッジ部をさらに含んでもよい。さらなる実施形態では、セラミックエッジ部は、アライメントされた複数の磁化可能部の各長手方向エッジに沿って配置される。1つ又は複数のセラミックエッジ部は、使用時に上にテープが通過する磁気ヘッドの外面を保護し、それによって、使用時の磁気ヘッドのエッジの摩滅を防止し、すなわち、それによって、本体及び/又は磁化可能部の材料の摩滅を防止する。このような摩滅、及びそれに続く磁気ヘッドのプロファイルの変化は、磁気ヘッド全体にわたる磁場の一貫性、並びにそれに対応したテープからの日付の消去の効率及び精度に潜在的に影響を与える。
【0017】
本発明の第2の態様は、磁気テープ上のデータを消去する方法であって、
a.本発明の第1の態様による磁気ヘッドを設けるステップと、
b.磁気ヘッドの実質的に平面の外面を通り過ぎてテープを通過させるステップと、を含む方法を提供する。
【0018】
本発明の第3の態様は、磁気テープ上のデータを消去するシステムであって、
a.本発明の第1の態様による磁気ヘッドと、
b.テープを解除可能に保持するテープ位置付け手段と、
c.磁気ヘッドの実質的に平面の外面に隣接して、磁気ヘッドを通り過ぎてテープを駆動させる駆動手段と、を含むシステムを提供する。
【0019】
単なる例として、及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態をこれより説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の態様による磁気ヘッドの一実施形態の斜視図である。
図2図1の磁気ヘッドの上部からの図である。
図3a図1の磁気ヘッドの側面図である。
図3b図1の磁気ヘッドの正面図である。
図4A】主要な先行技術の磁気消去ヘッドを使用して得られた結果と比較した、図1の実施形態を使用することによって得られたデータバンド解析を示す。
図4B】主要な先行技術の磁気消去ヘッドを使用して得られた結果と比較した、図1の実施形態を使用することによって得られたデータバンド解析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
共通する特徴が共通する図面参照番号を使用して示される図面を参照して、本発明の一実施形態をこれより説明する。
【0022】
図1図3bは、磁気テープ12上のデータを消去するための磁気ヘッド10を示し、磁気ヘッド10は、本体14と、本体に取り付けられ、及び複数の磁化可能部18の下方に位置する磁石16と、を含む。図面から分かるように、磁石16は、細長い形状であり、複数の磁化可能部18は、互いにアライメントされ、且つ細長い磁石16の上方に位置する。磁化可能部18は、下方に位置する磁石16の長さを延長して、消去プロセス中にテープ12が上を通過する平面17を形成する真鍮ベッド20内に埋め込まれる。
【0023】
磁気ヘッド10が適所に取り付けられることを可能にするように、取り付け穴50が設けられる。
【0024】
隣接する磁化可能部18間の間隔は、消去プロセスが、重要なサーボトラックを消去することなく、テープ12からデータを消去するのに十分なほど正確となることを可能にするので、重要である。
【0025】
セラミックエッジング22が、真鍮ベッド20の両側に設けられ、真鍮ベッド20の長さに沿って延在する。
【0026】
図示した実施形態では、磁石は、ネオジムを含む。しかし、軟鉄(但し、これに限定されない)などの代替の磁性材料を代わりに使用してもよいことが認識されるべきである。
【0027】
図示した実施形態では、本体14及びベッド20は、非磁化可能材料である真鍮を含み、従って使用中に、磁気ヘッド10全体にわたり、磁場と干渉しない。
【0028】
図3Aは、磁気ヘッド10上を通過する磁気テープ12を示し、図示されるテープの進行方向は、矢印Aで示される。テープ12は、テープドライブ24によって磁気ヘッド10上で駆動される。
【0029】
セラミックエッジング22は、消去面17のエッジを保護するため、すなわち、消去プロセス中に消去面17のエッジを通過するテープ14による経時的な摩滅から真鍮ベッド20を保護するために、真鍮ベッド20の各長手方向エッジに沿って設けられる。セラミックエッジングを省くと、真鍮ベッド20のエッジ上に摩耗したプロファイルが生じる。この変化したプロファイルは、消去面17全体にわたる磁場の一貫性及び強度と、テープ14からのデータ消去の精度及び信頼性の結果として生じる損失とに影響を与え得る。
【0030】
使用時に、テープ14は、テープドライブ24と係合する。テープドライブ24は、消去面17のアライメントされた磁化可能部18上でテープ14を駆動させるように動作する。アライメントされた磁化可能部18を磁気的にチャージする単一磁石16が存在するので、消去面17全体にわたり一貫した磁場強度が存在する。磁化可能部18上でのテープ14の正確な通過により、テープ14からの日付の正確且つ完全な消去が達成されることが確実となる。
【0031】
消去プロセス中では、幅が半インチの標準テープ上のデータの消去には、幅が約2.5cmの1つの単一ヘッドで十分である。しかしながら、認識されるべきであり、並びに代替のヘッド幅及びテープ幅の組み合わせが企図されてもよい。
【0032】
図4A及び図4Bは、主要な先行技術の消去ヘッドを使用した場合と比較した、本発明の消去ヘッドを使用したテープ消去事象の結果を示す。明白に分かるように、本発明の消去ヘッドを使用した場合、データトラック100は、サーボトラック110への損傷なしに、より効率的に消去される。それに対して、先行技術の消去ヘッドを使用して消去されたテープは、サーボトラック110のそれぞれの側に、かなりのレベルのデータ100を依然として含有している。従って、本発明の構成は、先行技術に対して大幅な改善をもたらす。
【0033】
添付の図面に示す実施形態に関連して、本発明の態様を説明したが、本発明は、ここに示したとおりの実施形態に限定されず、さらなる発明的技能及び努力なしに、様々な変更及び修正を生じさせることができることが理解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B