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特許7112366アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種の生産方法、並びに、飲食品の製造方法及び飲食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種の生産方法、並びに、飲食品の製造方法及び飲食品
(51)【国際特許分類】
   A01G 22/15 20180101AFI20220727BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220727BHJP
   A01H 6/20 20180101ALN20220727BHJP
【FI】
A01G22/15
A23L33/105
A01H6/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019065131
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020162460
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-211945(JP,A)
【文献】芹澤啓明・矢ヶ崎和弘,機能性成分グルコラファニンを多く含むケール新品種’ハイパール’の育成,長野県野菜花き試験場報告,2017年,第16号,第24頁~第30頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 22/15
A01G 22/25
A01H 6/20
A23L 33/10
A61K 36/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種の生産方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である:
栽培:ここで栽培されるのは、前記属間雑種であり、その栽培期間は、定植日から60日以上であり、それによって得られる属間雑種のグルコシノレート濃度は、定植日のグルコシノレート濃度の2.0倍以上であり、
前記属間雑種は、ケールを花粉親、ダイコンを柱頭親とした属間雑種である。
【請求項2】
請求項1の生産方法であって、
前記栽培期間は、定植日から150日以内である。
【請求項3】
請求項1乃至2の何れかの生産方法であって、
前記属間雑種が有する葉の長さは、10乃至15cmであり、かつ、
前記葉の先端部におけるグルコシノレート濃度は、100mg/100g以上である。
【請求項4】
請求項3の生産方法であって、
前記グルコシノレートは、SGSである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関係するのは、アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種の生産方法、並びに、飲食品の製造方法及び飲食品である。
【背景技術】
【0002】
近年、市場で求められているのは、健康価値をもった野菜である。特許文献1に開示されているのは、十字花科(アブラナ科)植物の新芽であり、例示すると、ブロッコリースプラウトである。この新芽に多く含まれているのは、スルフォラファングルコシノレート(以下、「SGS」という。)である。SGSが代謝されると、スルフォラファンになる。特許文献2乃至5に開示されているのは、スルフォラファンの作用であり、具体的には、抗酸化作用、解毒作用、脂肪蓄積抑制作用、抗菌作用等である。
【0003】
そのような価値ある野菜の候補の一つは、アブラナ科野菜である。なぜなら、多くのアブラナ科野菜に含まれているのは、グルコシノレートだからである。前述のとおり、グルコシノレートの代謝物が奏するのは、様々な健康作用である。
【0004】
アブラナ科野菜中のグルコシノレートの含有量を高める方法は、僅かに開示されている。引用文献6に開示されているのは、スプラウトの栽培方法であり、そこで採用されているのは、発光ダイオードである。引用文献7に開示されているのは、野菜の生産方法であり、そこで採用されているのは、人工照明下での水耕栽培である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開WO97/09889
【文献】特開2006-109754号
【文献】国際公開WO01/045661
【文献】特開2010-126489号
【文献】国際公開WO2002/015722
【文献】特開2007-075073号
【文献】特開2015-192682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種(以下、「属間雑種」ともいう。)中のグルコシノレート濃度の高位安定化である。すなわち、属間雑種に求められるのは、グルコシノレート濃度は、高く、かつ、安定している(ばらつきが小さい)ことである。グルコシノレート濃度が低く、或いは、高くても、ばらついていれば、当該属間雑種の健康価値は、訴求できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、栽培期間における当該属間雑種中のグルコシノレート濃度の推移である。すなわち、グルコシノレート濃度が経過するのは、3つの期間である。3つの期間を構成するのは、低濃度期、変動期、及び高濃度期である。属間雑種の収穫日が高濃度期であれば、グルコシノレート濃度が高く、かつ、ばらつきが小さい。この観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
【0008】
本発明に係るアブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種の生産方法を構成するのは、栽培である。栽培において、当該属間雑種が栽培される。その栽培期間は、20日以上である。
【0009】
本発明に係る飲食品の製造方法を構成するのは、少なくとも、選別及び加工である。選別において、アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種が選別される。加工において、選別された属間雑種が加工される。選別された属間雑種は、10乃至15cmの葉を有し、かつ、当該葉の先端部のグルコシノレート濃度は、100mg/100g以上である。
【0010】
本発明に係る飲食品が含有するのは、アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種であり、ここで、当該属間雑種の葉長は、10乃至15cmであり、かつ、当該葉の先端部におけるグルコシノレート濃度は、100mg/100g以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明が可能にするのは、属間雑種のグルコシノレート濃度の高位安定化である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】属間雑種の葉の概略図
図2】属間雑種の葉の写真
図3】グルコシノレート濃度の推移図
図4】本実施の形態に係る生産方法の流れ図
図5】本実施の形態に係る製造方法の流れ図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種>
アブラナ属の野菜とダイコン属の野菜との属間雑種とは、アブラナ属に属する野菜とダイコン属に属する野菜とを交雑して得られる雑種である。アブラナ属に属する野菜を例示すると、ハクサイ、カブ、チンゲンサイ、コマツナ、タカナ、ミズナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツ、コールラビ、ケール等である。ダイコン属に属する野菜を例示すると、ダイコン等である。好ましくは、ケールとダイコンの属間雑種であり、最も好ましくは、農林水産省品種登録出願番号第33291号(出願品種の名称:サンテヴェール48)である。
【0014】
<グルコシノレート>
グルコシノレートとは、グルコースおよびアミノ酸の誘導体であり、硫黄と窒素を含む有機化合物の一群である。化1で示されるのは、グルコシノレートの構造式である。本発明におけるグルコシノレートは、特に限定されないが、例示すると、SGS(グルコラファニンとも呼ばれる)、シニグリン、グルコエルシン、グルコブラシシン、グルコラフェニン、グルコラファサティン、フェネチルグルコシノレート等であり、本発明においては、特にSGSであることが好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】
<属間雑種のグルコシノレート濃度>
属間雑種のグルコシノレート濃度とは、属間雑種に含まれるグルコシノレートの濃度をいう。ここで、属間雑種中のグルコシノレート濃度は、別段の記載がない限り、新鮮重量(100g)あたりの含有量(mg)を指す。図1で示すのは、属間雑種の葉の概略である。図2で示すのは、属間雑種の葉の写真である。別段の記載がない限り、グルコシノレート濃度を測定する部位は、属間雑種の葉の先端部Pであり、この葉の長さ(葉長)Lは、10~15cmである。先端部とは、葉の先端l1から葉長Lのおおよそ4分の1までを指す。
【0017】
<グルコシノレート濃度の推移>
図3で示すのは、グルコシノレート濃度の推移である。栽培期間中、このグルコシノレート濃度は、推移する。すなわち、当該グルコシノレート濃度が経過するのは、大まかに、3つの期間である。3つの期間を構成するのは、低濃度期A、変動期B及び高濃度期Cである。それぞれの詳細な説明は、後述する。
【0018】
<低濃度期A>
低濃度期とは、栽培期間のうち属間雑種中のグルコシノレート濃度が、低い期間を指す。低濃度期の始期(t0)は、属間雑種の苗の定植日(栽培開始日でもある。)である。低濃度期におけるグルコシノレート濃度は、栽培される属間雑種の種類によって異なるものの、大まかには、定植日を基準として、1.2倍以下である。
【0019】
<変動期B>
変動期とは、栽培期間のうち属間雑種中のグルコシノレート濃度が大きく増加する期間を指す。変動期におけるグルコシノレート濃度は、大きくばらつく。変動期におけるグルコシノレート濃度の平均値[A]に対するグルコシノレート濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.4以上である。ここで、グルコシノレート濃度の標準偏差[B]は、変動期におけるグルコシノレート濃度を母集団とみなし、マイクロソフト社の表計算ソフトExcelを用いて算出する。
【0020】
<高濃度期C>
高濃度期とは、栽培期間のうち属間雑種中のグルコシノレート濃度が、高く、かつ、安定している期間を指す。高濃度期は、属間雑種が収穫されるまで続く。高濃度期におけるグルコシノレート濃度は、栽培される属間雑種の種類によって異なるものの、大まかには、定植日を基準として、2.0倍以上である。好ましくは、高濃度期におけるグルコシノレート濃度の平均値[A]に対するグルコシノレート濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.1未満である。ここで、グルコシノレート濃度の標準偏差[B]は、高濃度期におけるグルコシノレート濃度を母集団とみなし、マイクロソフト社の表計算ソフトExcelを用いて算出する。さらに好ましくは、以下のとおりである。高濃度期において高い状態でかつ安定しているのは、SGS濃度である。SGS濃度は、好ましくは、100mg/100g以上であり、より好ましくは、200mg/100g以上であり、さらに好ましくは、300mg/100g以上である。
【0021】
<本発明に係る生産方法>
図4が示すのは、本発明に係る生産方法(以下、「本生産方法」という。)の流れである。本生産方法を構成するのは、主に、定植(S10)、栽培(S20)、収穫(S30)である。
【0022】
<定植(S10)>
属間雑種の苗を、定植する。属間雑種の苗を得る手段は特に限定されず、苗の状態で流通しているものであってもよく、種子の状態で流通しているものから得られるものであってもよく、組織培養や挿し芽等の栄養繁殖によって得られるものであってもよい。定植日は、定植後収穫までの期間において属間雑種の栽培が可能となる時期であれば特に限定されないが、好ましくは、5月~10月である。
【0023】
<栽培(S20)>
栽培において、属間雑種を栽培する。属間雑種の栽培を行う場所は、野菜の栽培が可能な場所であれば特に限定されず、例示すると、圃場、ビニールハウス、植物工場等である。栽培を行う手段は特に限定されず、露地栽培であっても施設栽培であってもよく、土耕栽培であっても水耕栽培であってもよい。本工程が排除しないのは、植物の栽培において一般的に行われる作業の実施である。例示すると、施肥、農薬散布、病虫害の防除、葉かき、芽かき等である。
【0024】
<収穫(S30)>
収穫において、属間雑種を収穫する。属間雑種を収穫する手段は、公知のものであればよく特に限定されない。通常、収穫日は、属間雑種の大きさによって決まる。しかしながら、本生産方法において、収穫日は、グルコシノレート濃度の推移によって決まる。具体的には、収穫日は、高濃度期である。すなわち、属間雑種の大きさが、通常収穫する大きさまで達していない場合であっても、高濃度期に達していれば、収穫を行ってよく、逆に、通常収穫する大きさまで達している場合であっても、高濃度期に達していなければ、収穫は行わない。必要に応じて、グルコシノレート濃度を把握するために、グルコシノレート濃度の測定を行ってもよい。ただし、当該グルコシノレート濃度の測定は、栽培の都度行う必要はなく、本格的な栽培に先立って行う試験栽培や、栽培に供する品種の評価等において行ってもよく、栽培における代表的な地点においてのみ行ってもよい。すなわち、高濃度期に達してさえいれば、必ずしもグルコシノレート濃度の測定を行う必要はない。
【0025】
収穫日は、属間雑種の種類によって異なるため特に限定されないが、好ましくは、定植日から20日以上経過した後であり、より好ましくは、定植日から40日以上経過した後であり、さらに好ましくは、定植日から60日以上経過した後である。定植日から150日を超えると、属間雑種の茎が木質化して硬くなるため、好ましくない。
【0026】
<本発明に係る製造方法>
図5が示すのは、本発明に係る製造方法(以下、「本製造方法」という。)の流れである。本製造方法を構成するのは、主に、選別(S10)及び加工(S20)である。
【0027】
<選別(S10)>
選別において、属間雑種が選別される。属間雑種を選別する目的は、グルコシノレート濃度が、相対的に高く、かつ、安定している原料を得ることである。すなわち、選別を行う場所は、飲食品の製造を行う場所に限られず、属間雑種の生産地等で行ってもよい。選別の手段は、公知のものであればよく、特に限定されない。選別された属間雑種が有するのは、葉長が10乃至15cmの葉であり、前記葉の先端部におけるグルコシノレート濃度は、100mg/100g以上である。
【0028】
<加工(S20)>
加工において、属間雑種が加工される。加工の手段は、公知のものであれば特に限定されず、例示すると、加熱、細断、破砕、粉砕、搾汁、固液分離、乾燥、抽出、配合、混合等である。属間雑種が加工されて得られるのは、飲食品である。飲食品を例示すると、飲料、食品又はサプリメント等である。好ましくは、飲食品は、グルコシノレートを含有している旨を訴求するものである。
【実施例
【0029】
<定植>
ケールを花粉親、ダイコンを柱頭親とした属間雑種(品種登録出願番号第33291号、出願品種の名称:サンテヴェール48)の培養苗を、栃木県那須塩原市のカゴメ株式会社所有の圃場に定植した。実施例1は、2017年6月19日に定植し、2017年11月2日まで栽培した。実施例2は、2017年8月25日に定植し、2017年12月12日まで栽培した。栽植設定は、天面70cm、株間80cm、畝間120cmとした。試験規模は、30株とした。
【0030】
<栽培>
定植した苗を土耕にて栽培した。施肥設計は、基肥を窒素16kg/10a、リン酸18.8kg/a、カリウム16kg/aとし、追肥を窒素10kg/a、リン酸5.0kg/a、カリウム5.0kg/aとした。
【0031】
<SGS濃度の測定>
定植日におけるグルコシノレート濃度を把握するため、同じ培養方法で得た培養苗のSGS濃度を測定した。測定サンプルは、葉長5cmの葉の全量を用いた。任意の2株分について測定し、その平均値を算出した。
【0032】
栽培期間中のグルコシノレート濃度の挙動を把握するため、複数日においてSGS濃度を測定した。測定サンプルは、葉長15cmの葉の先端部約0.5gとし、任意の3株分を混合したものについて測定した。
【0033】
測定は、以下の方法で行った。測定サンプルを熱水で処理して酵素(ミロシナーゼ)を失活させてからペースト状になるまで破砕し、100℃に設定したウォーターバスで30分間抽出を行った後、10,000×g、10分間、4℃で遠心分離を行った。遠心分離後の上澄みを0.2μmのフィルターで濾過し、HPLCで定量した。HPLCの詳細な測定条件は、以下のとおりである。
【0034】
<HPLC測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H-Classシステム(Waters社製)
カラム:ACQUITYCSH C18(Φ2.1×100mm, 1.7μm)(Waters社製)
カラム温度:30℃
サンプル注入量:10μL
移動相A:超純水:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
移動相B:メタノール:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
グラジエント:5分間 移動相B割合0%を維持
10分間で移動相B割合0→10%のリニアグラジエント
5分間で移動相B割合10→100%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合100%を維持
2分間で移動相B割合100→0%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合0%を維持
流速:0.1mL/min
検出波長:235nm
【0035】
【表1】
【0036】
SGS濃度の推移を表1に示す。表1からわかることは、以下のとおりである。実施例1におけるSGS濃度は、定植日から8月10日は低い状態であり、8月10日から9月19日は低い状態から高い状態へ大きく変動しており、9月19日以降は高い状態で安定している。このことから、低濃度期から変動期への変曲点は8月10日と8月30日の間に存在し、変動期から高濃度期への変化点は9月7日と9月19日の間に存在するものと推察される。
【0037】
実施例2におけるSGS濃度は、定植日から9月7日までは低い状態であり、9月7日から11月2日までは低い状態から高い状態へ大きく変動しており、11月2日以降は高い状態で安定している。このことから、低濃度期から変動期への変曲点は9月7日と9月19日の間に存在し、変動期から高濃度期への変化点は10月18日と11月2日の間に存在するものと推察される。
【0038】
【表2】
【0039】
SGS濃度の平均値と標準偏差を表2に示す。表2からわかることは、以下のとおりである。実施例1においては、定植日から8月10日の間におけるSGS濃度は低い。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]は、定植日を基準として1.2倍以下である。8月10日から9月19日の間におけるSGS濃度のばらつきは大きい。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]に対するSGS濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.4以上である。当該期間におけるSGS濃度の標準偏差[B]は、8月10日から9月19日までのSGS濃度を母集団として、MicrosoftExcel2010を用い、STDEV.Pという名称の関数にて算出した。9月19日から11月2日の間におけるSGS濃度は高く、ばらつきは小さい。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]は、定植日を基準として2.0倍以上であり、かつ、SGS濃度の平均値[A]に対するSGS濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.1未満である。当該期間におけるSGS濃度の標準偏差[B]は、9月19日から11月2日までのSGS濃度を母集団として、MicrosoftExcel2010を用い、STDEV.Pという名称の関数にて算出した。以上のことから、9月19日以降に収穫することで、SGS濃度が高く、かつ、安定した属間雑種が生産可能となる。
【0040】
実施例2においては、定植日から9月7日の間におけるSGS濃度は低い。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]は、定植日を基準として1.2倍以下である。9月7日から11月2日の間におけるSGS濃度のばらつきは大きい。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]に対するSGS濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.4以上である。当該期間におけるSGS濃度の標準偏差[B]は、9月7日から11月2日までのSGS濃度を母集団として、MicrosoftExcel2010を用い、STDEV.Pという名称の関数にて算出した。11月2日から12月12日の間におけるSGS濃度は高く、ばらつきは小さい。具体的には、当該期間におけるSGS濃度の平均値[A]は、定植日を基準として2.0倍以上であり、かつ、SGS濃度の平均値[A]に対するSGS濃度の標準偏差[B]の比[B]/[A]の値は、0.1未満である。当該期間におけるSGS濃度の標準偏差[B]は、11月2日から12月12日までのSGS濃度を母集団として、MicrosoftExcel2010を用い、STDEV.Pという名称の関数にて算出した。以上のことから、11月2日以降に収穫することで、SGS濃度が高く、かつ、安定した属間雑種が生産可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明が有用な分野は、野菜の生産である。
図1
図2
図3
図4
図5