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  • 特許-静電容量タッチスイッチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】静電容量タッチスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
H01H36/00 L
H01H36/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019067922
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167074
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】000117940
【氏名又は名称】ノリタケ伊勢電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(72)【発明者】
【氏名】辻 翔希
(72)【発明者】
【氏名】中西 浩
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-258382(JP,A)
【文献】国際公開第2017/099208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ面と反対側の面にセンサー部を有するガラス基板と、スイッチデザイン部が形成された意匠層と、光源が搭載された回路基板とが順に積層された静電容量タッチスイッチであって、
前記意匠層と前記回路基板との間に導光板が設けられており、該導光板は、前記光源からの光が入射する入射面と、該入射面と交差し、前記スイッチデザイン部に向けて光が出射する出射面を有しており、
前記導光板は、前記出射面と反対側であり前記回路基板と対向する面に、白色の反射層を有し、
前記センサー部は、所定の配線パターンで形成され、前記スイッチデザイン部および前記導光板と積層方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする静電容量タッチスイッチ。
【請求項2】
前記導光板の表面には光を拡散させるための凹凸部が形成されていないことを特徴とする請求項1記載の静電容量タッチスイッチ。
【請求項3】
前記導光板は、積層方向において、前記スイッチデザイン部の形状に対応した位置に前記白色の反射層を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の静電容量タッチスイッチ。
【請求項4】
前記導光板と対向する前記回路基板の表面が黒色であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の静電容量タッチスイッチ。
【請求項5】
前記スイッチデザイン部と接触する位置に光を拡散する拡散層が設けられていないことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の静電容量タッチスイッチ。
【請求項6】
前記静電容量タッチスイッチは、屋外用表示装置に使用されることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の静電容量タッチスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量タッチスイッチに関し、特に、LEDバックライトを有する静電容量タッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、AV機器、PC/OA機器、産業機械、その他の電子デバイスにおいて、各機器への入力手段の1つとして静電容量方式のタッチスイッチが使用されている(例えば、特許文献1参照)。この静電容量方式のタッチスイッチは、センサー電極の静電容量の変化によって指の接触が判断されている。
【0003】
従来の静電容量タッチスイッチの一例を図4に示す。図4は該タッチスイッチの側断面図である。タッチスイッチ21は、タッチ面と反対側の面にセンサー部23を有するガラス基板22と、スイッチデザイン部24aが形成された意匠層24と、光を拡散させる拡散層28と、LED25が搭載された回路基板26とが順に積層されている。センサー部23は、センサー配線30およびフレキシブルプリント配線板(FPC)27によって回路基板26と接続されている。回路基板26にはコントロール部(図示参照)が実装されている。
【0004】
図4のタッチスイッチ21では、スイッチが動作したことをより明確に示すために、スイッチデザイン部24aの背面にLED25が搭載されている。スイッチの状態をLEDバックライト(いわゆるトップ型バックライト)で面発光させ、ピクトグラムや文字を発光させる構造となっている。LED25は、拡散層28から厚み3mm~6mm程のスペーサ29を介して設けられている。拡散層28は、例えば光拡散インクを印刷することなどにより形成され、意匠層24に隣接して設けられる。
【0005】
図4の構成のタッチスイッチにおいて、ガラス基板22のタッチ面22aを指で触れると、センサー部23のセンサー電極と指との間で静電結合が起きて電極の静電容量が変化する。回路基板26のコントロール部では、静電容量の変化量が数値化され、その数値が所定の閾値をこえるときに指が接触したと判定される。指の接触が判定されると、LED25の点灯、非点灯などが行われ、ユーザはスイッチが押されたことが認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-65429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、タッチスイッチの使用用途が広がり、屋内だけでなく屋外でも使用されるようになってきている。屋外の使用では、太陽光がタッチスイッチに入射することによってスイッチの状態が見えにくくなる場合がある。例えば、図4の構成では、外側からスイッチデザイン(ピクトグラムや文字)に光が照射されると、拡散層28で光が反射してしまい、LED25の点灯・非点灯の区別が困難となってしまう。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、視認性に優れるとともに、外部から光が照射された場合でも光源の点灯・非点灯が容易に判別可能なタッチスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の静電容量タッチスイッチは、タッチ面と反対側の面にセンサー部を有するガラス基板と、スイッチデザイン部が形成された意匠層と、光源が搭載された回路基板とが順に積層された静電容量タッチスイッチであって、上記意匠層と上記回路基板との間に導光板が設けられており、該導光板は、上記光源からの光が入射する入射面と、該入射面と交差し、上記スイッチデザイン部に向けて光が出射する出射面を有しており、上記導光板は、上記出射面と反対側であり上記回路基板と対向する面に、白色の反射層を有することを特徴とする。
【0010】
上記センサー部は、所定の配線パターンで形成され、上記スイッチデザイン部および上記導光板と積層方向で重なる位置に配置されており、上記導光板の表面には光を拡散させるための凹凸部が形成されていないことを特徴とする。
【0011】
上記導光板は、積層方向において、上記スイッチデザイン部の形状に対応した位置に上記白色の反射層を有することを特徴とする。
【0012】
上記導光板と対向する上記回路基板の表面が黒色であることを特徴とする。
【0013】
上記スイッチデザイン部と接触する位置に光を拡散する拡散層が設けられていないことを特徴とする。
【0014】
上記静電容量タッチスイッチは屋外用表示装置に使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の静電容量タッチスイッチは、センサー部が形成されたガラス基板と、スイッチデザイン部が形成された意匠層と、光源が搭載された回路基板とが順に積層された構造であり、意匠層と回路基板との間に導光板が設けられているので、外部から光が照射された場合でも導光板によって光の反射が抑制され、外部光の影響を受けにくくなる。その結果、スイッチの点灯・非点灯を容易に判別できる。また、導光板は、出射面と反対側であり回路基板と対向する面に白色の反射層を有するので、光源からの光の反射率を上げ、均一な面発光を実現できる。また、回路基板側へは光が透過しにくいため、回路基板のパターンやスルーホールの影響を受けずに明るさのムラを防ぐことができる。
【0016】
所定の配線パターンで形成されたセンサー部が、スイッチデザイン部および導光板と積層方向で重なるように配置される構成では、導光板の表面に光拡散用の凹凸部(スリットやドットなど)を設けると、センサー部の配線パターンと導光板の凹凸パターンが干渉してモアレが発生するおそれがある。これに対して、上記タッチスイッチは、導光板の表面に光を拡散させるための凹凸部が形成されていないので、モアレの発生を防止でき、視認性を向上できる。また、センサー部の配線パターンを設計する上での制約がなくなる。
【0017】
導光板は、積層方向において、スイッチデザイン部の形状に対応した位置に白色の反射層を有するので、ピクトグラムや文字などのスイッチデザイン部の発光させたい場所だけに上記反射層が設けられ、より明るい導光板となる。
【0018】
導光板と対向する回路基板の表面が黒色であるので、スイッチデザインのコントラストを向上できる。また、導光板に入射された光が、白色の反射層以外の部分から、または白色の反射層を透過して漏れた場合であっても、その光の拡散を防止できる。
【0019】
上記スイッチデザイン部と接触する位置に光を拡散する拡散層が設けられていないので、外部光の照射により拡散層で光が反射されて、隣接するスイッチデザイン部が照射され、該デザインが表示されることを抑制できる。
【0020】
本発明の静電容量タッチスイッチは、屋外用表示装置に使用され、タッチ面から太陽光が照射された場合でも導光板によって太陽光の反射が抑制され、光源の状態が容易に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の静電容量スイッチパネルの一例を示す側断面図である。
図2図1のセンサー部の拡大模式断面図などである。
図3】実施例と比較例のLED非点灯時の視認性を示す写真である。
図4】従来の静電容量スイッチパネルの一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の静電容量タッチスイッチの一例を図1に基づいて説明する。図1は、静電容量タッチスイッチの側断面図である。図1に示すように、タッチスイッチ1は、ガラス基板2と、スイッチデザイン部4aが形成された意匠層4と、導光板8と、光源としてのLED5が搭載された回路基板6とが、順に積層されている。ガラス基板2は、タッチ面2aの反対面2b側に形成されたセンサー部3を備えている。センサー部3は、センサー配線10およびFPC7により、回路基板6と接続されている。
【0023】
本発明のタッチスイッチでは、拡散層(図4参照)の代わりに導光板8を設けることで、外部から光が照射された場合でも導光板8により光の反射が抑制され、外部光の影響を受けにくくなる。タッチスイッチ1では、スイッチデザイン部4aに接触する位置に光を拡散する拡散層が設けられていない。また、タッチスイッチ1では、LED5が導光板8の側面から照射する、いわゆるサイド型バックライトが採用されている。これにより、スペーサ(図4参照)が不要となり、タッチスイッチの全体的な厚さを薄くでき、コンパクトにできる。
【0024】
ガラス基板2は、透光性の絶縁基板であり、ソーダライムガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラス、アルカリ成分を含まない無アルカリガラスなどを採用できる。高い透過率を有し、かつ、一般建材の窓ガラスに使用され非常に安価であることから、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。 また、ガラス基板2の厚みは、それぞれ0.5~5mm程度、好ましくは1.8~3.0mm程度である。また、ガラス基板2の前面に、アクリル板などの透明部材を配置してもよい。
【0025】
図2(a)にはセンサー部3の拡大模式断面図を示す。図2(a)では説明のためにセンサー電極などの厚さを実際よりも誇張して表現してある。図2(a)に示すように、センサー部3は導電膜からなるセンサー電極3aを有する。導電膜としては、金属薄膜、酸化錫やITOなどの導電性無機薄膜、バナジン酸塩系、ビスマス系、または鉛系を主体とした導電性低融点ガラスなどが挙げられる。金属薄膜としては、薄膜形成方法により作製される金属薄膜、銅箔、金箔などの金属箔からなる金属薄膜が挙げられる。
【0026】
薄膜形成方法により作製される金属薄膜は、アルミニウム(Al)、Al合金、ニオビウム、モリブデン、金、銀、銅などの材料を用いて、公知の薄膜成形方法により形成される。これらの中でも、耐環境特性に優れ、低コストであることから、Al薄膜を採用することが好ましい。具体例としては、Alの固体ターゲット(蒸着材)を用いて、真空プロセスである、スパッタリングまたは真空蒸着によりAl薄膜が形成される。なお、Al薄膜の膜厚は、500nm~5000nmが適当である。
【0027】
図2(a)では、センサー電極3aとガラス基板2との間に中間層3bが形成されている。中間層3bは、(1)Cr、Mo、Wから選ばれる少なくとも1つの金属を含む薄膜である。また、中間層3bは、可視光の干渉により入射光を吸収して黒色に見える層(黒色層)である。タッチ面2aからは、スイッチ部は黒色に見え、反射を抑制できる。中間層3bは、上述のAl薄膜の形成と同様に、スパッタリングなどにより形成できる。また、中間層3bには、(2)Alの酸化物(Alなど)およびTiの酸化物(TiOなど)から選ばれる少なくとも1つの酸化物を所定量含むことが好ましい。これら酸化物を所定量含むことで、反射率の更なる低減が図れる。中間層3bとして、より好ましくはMoとAlの混合層である。中間層の膜厚は、5nm~500nmが適当であり、より好ましくは50nm~200nmである。この膜厚は、中間層材料の屈折率に応じて材料毎に決められる。
【0028】
図2(b)には、センサー部の部分拡大図を示す。センサー部は所定の配線パターンで形成されており、図2(b)では、センサー電極3aおよび中間層3bが重なった格子状に形成される。該格子間が開口部3cである。ここでの開口部3cとは、センサー電極3aと中間層3bとの2層部分における開口部である。この格子状は、微細格子状であり、各スイッチ形状の部分(上記2層部分)は一見して目視で透明に見える透光部となる。格子状(単位格子が正方形)とする場合、通常、線幅Wとして3μm~100μm、ピッチ幅Pとして0.2mm~1mm程度とする。また、連続した細線を用いた形状であれば、六角や縦長の長方形ひし形、台形などの任意のパターンにできる。
【0029】
なお、センサー電極3aおよび中間層3bをハーフミラーパターンに形成してもよい。具体的には、センサー電極3aおよび中間層3bを格子間の内部領域に設けるとともに、格子状に開口部を設ける。この構成では、センサー電極の導通経路の確保のため、各格子間の内部領域を導通させた構造とする。
【0030】
図1において、意匠層4は、スイッチデザイン部が形成された層である。意匠層4は、スイッチデザインをガラス基板2(のセンサー部上)に直接印刷した層や、スイッチデザインを印刷したフィルム基板の層(ガラス基板とは別部材)とできる。印刷方法は、特に制限されず、例えば、スクリーン印刷、カラー印刷、ガラスビーズを含ませた塗料による加飾性を持たせた印刷などを採用できる。スイッチデザイン部4aは、センサー部3と積層方向で重なる位置に配置される。
【0031】
スイッチデザインは、タッチスイッチの使用用途や使用目的などによって適宜選択され、例えばピクトグラムや文字を採用できる。意匠層4は、透光性を有していればよく、透明でも半透明でもよい。フィルムを用いる場合の材質としては、合成樹脂やセラミックを用いることができる。合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。フィルムを用いる場合、意匠層4は1枚のフィルムで構成されてもよく、複数のフィルムが積層された積層体で構成されてもよい。
【0032】
図1に示すように、意匠層4と回路基板6との間に導光板8が設けられる。導光板8は、LED5からの光が入射する入射面8aと、該入射面8aと交差し、スイッチデザイン部4a側に向けて光が出射する出射面8bを有する。タッチスイッチ1では、導光板8が、出射面8bの反対側であり回路基板6との対向面8cに白色の反射層9を有することを特徴としている。ここでの白色は、可視光線領域において高い反射率を有する色であればよく、乳白色を含む色である。導光板8の対向面8cに白色の反射層9が形成されることで、LED5から入射された光が回路基板6などに吸収されることを抑制し、光の反射率を向上させることができる。その結果、LED5の発する光を有効に利用でき、従来構成のような拡散層28(図4参照)や、別途の拡散シート、偏光シートを設けなくても均一な面発光を実現できる。
【0033】
導光板8は、光を透過させる透光性樹脂で形成された略直方体の板状部材である。透光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。積層方向における導光板8の厚みは、例えば1~3mmである。外部から照射される光が、白色の反射層9に反射されることも考えられるが、センサー部3の端面から白色の反射面9までの距離Dをある程度確保することで、外部光の反射を抑えることができる。例えば、距離Dは2~10mmであり、好ましくは2~5mmである。
【0034】
また、図1の構成では、センサー部3は、スイッチデザイン部4aおよび導光板8と積層方向で重なる位置に配置されている。そのため、導光板8の表面(特に出射面8b)に光を拡散させるためのスリットやドットなどの凹凸部があると、センサー部3の配線パターンと干渉して表示画面上にモアレが発生するおそれがある。これを考慮して、導光板8の表面(特に出射面8b)には凹凸部が形成されていないので、視認性を向上できる。
【0035】
白色の反射層9は、例えば、白色系の塗装膜や白色系の樹脂シート材から構成される。例えば、白色系の塗装膜は、白色系を呈する顔料成分を含む塗料を導光板8の対向面8cの表面に塗布することで得られる。顔料成分としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ粉末などが用いられる。これらは単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。上記の中でも、酸化亜鉛および酸化チタンを用いることが好ましい。また、白色系の樹脂シート材として、具体的には、アクリル材などが使用できる。
【0036】
白色の反射層9の厚みは、5~300μmであり、好ましくは5~30μmである。5μm未満であると、光の反射率が低下するおそれがある。また、白色の反射層9は、導光板8の対向面8cの全体に設けることができるが、図1に示すように、積層方向において、スイッチデザイン部4aの領域と重なる位置に形成することが好ましい。さらに、スイッチデザイン部4aの形状、例えば光を透過させたい形状に対応した位置にのみ白色の反射層9を設けることがより好ましい。具体的には、後述の実施例のように、スイッチデザインが所定の文字で形成される場合には、その文字の形状に沿って白色の反射層9を設けることができる。
【0037】
一方、導光板8と対向する回路基板6の表面は、白色や黒色で形成される。回路基板6よりも上方に導光板8の白色の反射層9が設けられるので、回路基板6の回路パターンやスルーホールが干渉して、明るさにムラが生じることがない。なお、スイッチデザインのコントラストを向上でき、導光板8から漏れた光の拡散を防止できるという点で、回路基板6が黒地であることが好ましい。
【0038】
回路基板6には、LED5およびコントロール部(図示参照)が実装されている。ユーザがガラス基板2のタッチ面2aを指で触れると、センサー部3のセンサー電極と指との間で静電結合が起きて電極の静電容量が変化する。回路基板6のコントロール部では、静電容量の変化量が数値化され、その数値が所定の閾値をこえるときに指が接触したと判定される。指の接触が判定されると、例えば、LED5が点灯されて、スイッチデザインが表示される。これにより、ユーザはスイッチが押されたこと(信号がONになったこと)を認識できる。
【0039】
本発明の静電容量タッチスイッチは、家電機器、AV機器、PC/OA機器、産業機械、その他の電子デバイスのタッチスイッチとして利用される。特に、屋外で使用される屋外用表示装置のタッチスイッチとして利用されることが好ましい。屋外用表示装置としては、歩行者用横断歩道信号の表示装置などが挙げられる。
【0040】
上記図1の構成では、ガラス基板2として透光性のガラス基板を用いたが、これに代えて、ハーフミラー型ガラス基板を用いてもよい。このガラス基板は、ガラス基板の片面全体にAl薄膜などを蒸着して形成される。この構成では、スイッチデザイン部が配置される領域は、背面からのバックライト点灯時には、そのスイッチデザインが表示面(ハーフミラー型ガラス基板の表面)に表示され、通常時(バックライト非点灯時)には鏡面となる。これにより、表示面を鏡面またはデザイン表示面として切り替えて使用でき、意匠性を向上できる。
【実施例
【0041】
実施例
図1に示す形状の静電容量タッチスイッチを作製した。具体的には、ソーダライムガラス基板(厚み1.0mm)に、MoとAlとの混合物(Alが10重量%含まれる)のターゲットを用いてスパッタリングで中間層(厚み100nm)を形成し、その上に、純度99%のAl薄膜(厚み1000nm)をスパッタリングで形成した。その後、湿式エッチングして格子形状のセンサー電極と中間層を有するセンサー部を形成した。このセンサー部上にスクリーン印刷で文字「ください」を形成した。導光板には、アクリル板(厚み2mm)を用いた。該アクリル板の一方の表面にスクリーン印刷によって白色の反射層を得た。これらを接着剤で相互に張り合わせて、各部材が積層した静電容量タッチスイッチを得た。
【0042】
得られた静電容量タッチスイッチを用いて、LEDが非点灯の状態で、太陽光を照射した際の写真を図3(a)に示す。
【0043】
比較例
図4に示す形状の静電容量タッチスイッチを作製した。ガラス基板およびセンサー部は、実施例と同じ構成のものを用いた。また、拡散層は、ガラス基板上にスクリーン印刷によって形成した。得られた静電容量タッチスイッチを用いて、LEDが非点灯の状態で、太陽光を照射した際の写真を図3(b)に示す。
【0044】
図3に示すように、実施例(図3(a))の静電容量タッチスイッチでは「ください」の文字がほとんど確認されなかった。つまり、ユーザはLEDが非点灯であると認識できる。これに対して、比較例(図3(b))では文字がはっきりと確認でき、LEDが非点灯であるにもかかわらず、あたかもLEDが点灯しているかように認識できる。このように本発明に係る静電容量タッチスイッチは、外部光が照射された状態でもLEDが非点灯であることを容易に判別できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の静電容量タッチスイッチは、視認性に優れるとともに、外部から光が照射された場合でも光源の状態が容易に判別可能であるので、静電容量タッチスイッチとして広く利用できる。特に、太陽光が照射される屋外での使用に好適である。
【符号の説明】
【0046】
1 タッチスイッチ(静電容量タッチスイッチ)
2 ガラス基板
3 センサー部
4 意匠層
4a スイッチデザイン部
5 LED(光源)
6 回路基板
7 FPC
8 導光板
8a 入射面
8b 出射面
8c 対向面
9 反射層
10 センサー配線
図1
図2
図3
図4