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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】操作レバー
(51)【国際特許分類】
   G05G 25/00 20060101AFI20220727BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20220727BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20220727BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20220727BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G05G25/00 C
G05G9/047
H01H25/04 F
G01B7/00 101H
E02F9/24 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019502873
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2018005518
(87)【国際公開番号】W WO2018159330
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2017037130
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 雅人
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 裕毅
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大剛
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/056595(WO,A1)
【文献】特開2007-107696(JP,A)
【文献】特開平06-26805(JP,A)
【文献】特表2008-536145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 25/00
G05G 9/047
H01H 25/04
G01B 7/00
E02F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作軸に対して第1方向及び当該第1方向と反対側の第2方向に点対称位置に配される一対のロッドと、前記操作軸に対して前記1方向及び前記第2方向に直交する第3方向及び当該第3方向と反対側の第4方向に点対称位置に配される一対のロッドとを含む4つのロッドと、
前記各ロッドに配される磁石と、
前記操作軸に垂直な平面上にあり、前記磁石の磁界を検出する磁気センサと
前記磁気センサの出力信号に基づいて、前記各磁石の相対位置の変化についての検出信号を出力する処理部と、を備え
前記ロッドは、前記操作軸に対して前記第1方向に配置される第1ロッドと、前記第2方向に配置される第2ロッドと、前記第3方向に配置される第3ロッドと、前記第4方向に配置される第4ロッドと、を含み、
前記磁石は、前記第1ロッドに配される第1磁石と、前記第2ロッドに配置される第2磁石と、前記第3ロッドに配される第3磁石と、前記第4ロッドに配置される第4磁石と、を含み、
前記磁気センサは、
前記第1磁石に対して、前記第1磁石と前記第2磁石との中心を結ぶ第1直線の垂直二等分線である第2直線に平行な方向に並んで配置される第1磁気センサと、
前記第2磁石に対して、前記第2直線に平行な方向に並んで配置され、且つ、前記第2直線に対して前記第1磁気センサと線対称となる位置に配置される第2磁気センサと、
前記第3磁石に対して、前記第3磁石と前記第4磁石との中心同士を結ぶ第3直線の垂直二等分線である第4直線に平行な方向に並んで配置される第3磁気センサと、
前記第4磁石に対して、前記第4直線に平行な方向に並んで配置され、且つ、前記第4直線に対して前記第3磁気センサと線対称となる位置に配置される第4磁気センサと、を含む、
操作レバー。
【請求項2】
前記処理部は、一方の前記磁石を検出する前記磁気センサの出力信号から、他方の前記磁石を検出する前記磁気センサの出力信号を減算した算出結果に基づいて前記検出信号を出力する
請求項に記載の操作レバー。
【請求項3】
前記処理部は、一方の前記磁石を検出する前記磁気センサの出力信号と、他方の前記磁石を検出する前記磁気センサの出力信号とを加算した算出結果に基づいて前記検出信号を出力する
請求項に記載の操作レバー。
【請求項4】
前記操作軸を中心とした同一円周上に前記各ロッドが等間隔となるように前記一対のロッドが2組配置され、
前記各ロッドは、前記操作軸の軸線方向に沿って移動可能であり、
前記各磁石は、前記各ロッドと一体で移動する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の操作レバー。
【請求項5】
前記磁気センサは、検出対象となる前記磁石に対して前記第2直線に平行な方向に並んで配置される
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の操作レバー。
【請求項6】
前記磁気センサは、1つの前記磁石に対して2つ設けられる
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の操作レバー。
【請求項7】
2つの前記磁気センサは、検出対象となる1つの前記磁石に対して前記第2直線に平行な方向の両側に配置される
請求項に記載の操作レバー。
【請求項8】
2つの前記磁気センサは、検出対象となる1つの前記磁石からそれぞれ等しい距離を空けて配置される
請求項に記載の操作レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザ等の作業機械を操作する操作レバーは、傾動可能な操作レバーと、当該操作レバーの操作状態に応じて検出信号を出力するストローク検出装置とを備えている。操作レバーは、例えばユニバーサルジョイント等の伝達装置を介してストローク検出装置に取り付けられる。操作レバーは、ストローク検出装置に対して任意の方向に傾動させることが可能である。操作レバーには、ストローク検出装置に対向するようにディスクが取り付けられる。ディスクは、操作レバーと一体で姿勢が変動する。
【0003】
ストローク検出装置は、ディスクに対向する部分に4本のロッドが配置される。4本のロッドは、所定の中心軸を中心とした同一円周上に周方向に等間隔となる位置に配置される。4本のロッドは、ディスクの姿勢が変動することにより、ディスクによって中心軸の軸線方向に押されて移動する。各ロッドには、ロッドと一体で移動する磁石が設けられる。各磁石は、ロッドと一体で移動する。また、ストローク検出装置は、各磁石の磁界を検出する磁気センサを有する。磁気センサは、検出した磁界の大きさに応じた電気信号を出力する。
【0004】
上記のように構成された操作レバーは、操作レバーが中立位置に配置される状態では、ストローク検出装置の各ロッドが基準位置に配置される。この状態から操作レバーを傾動させると、ディスクの姿勢が変動し、ディスクによってロッドが押され、基準位置に対して中心軸の軸線方向にストロークする。ロッドがストロークすると、磁気センサに対する磁石の位置が軸線方向に変化するため、磁気センサが検出する磁界が変化する。ストローク検出装置は、磁気センサの検出結果を電気信号として出力する。ロッドのストローク量は、操作レバーの傾動方向や傾動量といった操作状態に対応している。したがって、ストローク検出装置は、操作レバーの操作状態に応じた電気信号を出力可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-107696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような操作レバーは、作業機械を高精度に操作するため誤検出を低減することが求められる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、誤検出を低減することが可能な操作レバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に従えば、操作軸に対して点対称位置に配される一対のロッドと、前記各ロッドに配される磁石と、前記操作軸に垂直な平面上にあり一の前記ロッドと他の前記ロッドの中心を結ぶ第1直線に垂直な第2直線について線対称の位置に配される一対の磁気センサとを備える操作レバーが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誤検出を低減することが可能なストローク検出装置及び操作レバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る操作レバーの一例を示す斜視図である。
図2図2は、操作レバーの一例を示す断面図である。
図3図3は、伝達装置及びストローク検出装置の一例を示す斜視図である。
図4図4は、中心軸の軸線方向から回路基板を見た場合の構成例を示す図である。
図5図5は、回路基板の1つの磁石について拡大して示す斜視図である。
図6図6は、中心軸の軸線方向から見た場合の磁石と磁気センサとの位置関係の一例を模式的に示す図である。
図7図7は、磁気センサ及び処理部の一例を示すブロック図である。
図8図8は、演算部の一例を示す回路図である。
図9図9は、操作レバーにおいてレバー部を傾動させた状態の一例を示す断面図である。
図10図10は、処理部における処理内容の一例を示すブロック図である。
図11図11は、第2実施形態に係るストローク検出装置の磁気センサ及び処理部の一例を示すブロック図である。
図12図12は、演算部の一例を示す回路図である。
図13図13は、処理部における処理内容の一例を示すブロック図である。
図14図14は、中心軸の軸線方向から見た場合の磁石と磁気センサとの位置関係の変形例を模式的に示す図である。
図15図15は、中心軸の軸線方向から見た場合の磁石と磁気センサとの位置関係の変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る操作レバーの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る操作レバー100の一例を示す斜視図である。操作レバー100は、レバー部1と、伝達装置2と、ストローク検出装置3とを備える。操作レバー100は、レバー部1が操作された場合に、伝達装置2を介してストローク検出装置3に操作状態を伝達し、ストローク検出装置3から操作状態を検出する検出信号を出力する。本実施形態において、操作レバー100は、建設機械に設置される。このような建設機械としては、例えばICT(Information and Communication Technology)ブルドーザ等のICT建設機械が挙げられる。操作レバー100は、ICTブルドーザに設置される場合、例えばブレードの昇降動作及びチルト動作を行う際に用いることができる。
【0013】
レバー部1は、例えば中立位置に配置された場合に直立姿勢で設けられる。レバー部1は、作業者が不図示の作業機械の運転席に着座した状態で、中立位置から例えば前方である第1方向D1、後方である第2方向D2、左方である第3方向D3、及び右方である第4方向D4のそれぞれの方向に傾動させることで操作される。第1方向D1と第2方向D2とは、中立位置を基準とした反対の方向である。第3方向D3と第4方向D4とは、中立位置を基準とした反対の方向である。第1方向D1及び第2方向D2と、第3方向D3及び第4方向D4とは、互いに直交する方向である。
【0014】
レバー部1は、円筒状の連結部材8の一端側に挿入される。連結部材8は、ブーツ9に取り付けられる。ブーツ9は、伝達装置2を覆うようにレバー部1とストローク検出装置3との間を接続する。ブーツ9は、例えば蛇腹状に形成される。ブーツ9は、レバー部1の姿勢に応じて変形可能である。
【0015】
図2は、操作レバー100の一例を示す断面図である。図2は、レバー部1が中立位置に配置された場合の一例を示している。図2は、中立位置に配置されたレバー部1の操作軸AX1を通り、かつ第1方向D1及び第2方向D2に平行な平面で操作レバー100を切断した場合の一例を示している。図3は、伝達装置2及びストローク検出装置3の一例を示す斜視図である。
【0016】
図2及び図3に示すように、伝達装置2は、連結軸4と、支持軸5と、ユニバーサルジョイント6と、ディスク7とを有する。連結軸4は、連結部材8の他端側に挿入される。連結軸4は、連結部材8によりレバー部1に連結され、レバー部1と一体となって傾動する。連結軸4の中心軸AX2は、レバー部1の操作軸AX1に一致する。支持軸5は、不図示の固定部材によりストローク検出装置3のプレート12(後述)に固定される。レバー部1が中立位置に配置される場合、支持軸5の操作軸AX3は、レバー部1の操作軸AX1及び連結軸4の中心軸AX2に一致する。
【0017】
ユニバーサルジョイント6は、連結軸4と支持軸5とを連結する。ユニバーサルジョイント6は、第1軸部材6aと、回動部材6bと、第2軸部材6cとを有する。第1軸部材6aは、例えば円柱状に形成され、支持軸5に固定される。第1軸部材6aは、支持軸5の操作軸AX3の軸線方向に直交して配置される。本実施形態では、第1軸部材6aは、例えば第3方向D3及び第4方向D4に平行な方向に配置される。回動部材6bは、例えば四角柱状に形成され、第1軸部材6aの軸線周りに回転可能に支持される。回動部材6bは、対向する平面同士が第1軸部材6aによって貫通された状態で配置される。
【0018】
第2軸部材6cは、例えば円柱状に形成され、連結軸4に固定される。第2軸部材6cは、支持軸5の操作軸AX3の軸線方向に直交し、かつ、第1軸部材6aの軸線方向に直交して配置される。本実施形態では、第2軸部材6cは、例えば第1方向D1及び第2方向D2に平行な方向に配置される。第2軸部材6cは、回動部材6bにより、当該第2軸部材6cの軸線周りに回転可能に支持される。
【0019】
第1軸部材6aと第2軸部材6cとは、支持軸5の操作軸AX3の軸線方向に垂直な同一平面上に配置される。第1軸部材6aの軸線と第2軸部材6bの軸線とは、操作軸AX3において交差する。このため、第1軸部材6a及び第2軸部材6cの一方は軸線方向の中央部を貫いた状態で配置され、他方は軸線方向の中央部を空けた状態で配置される。
【0020】
レバー部1は、ユニバーサルジョイント6により、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3及び第4方向D4の任意の方向に傾動可能となっている。
【0021】
ディスク7は、連結軸4の外周に固定される。ディスク7は、例えば円板状である。ディスク7は、ストローク検出装置3において後述の4つのピストン25の突出部25bに対向する対向面7aを有する。対向面7aは、レバー部1が直立姿勢となる場合、4つの突出部25bの先端に当接する。対向面7aは、レバー部1が傾動操作される場合、レバー部1の動作に連動して、操作軸AX3に垂直な平面に対して傾動する。
【0022】
ストローク検出装置3は、装置本体10と、ロッド20と、磁石30と、磁気センサ40と、回路基板50とを備える。なお、図3では、装置本体10の図示を省略している。
【0023】
装置本体10は、筐体11と、プレート12とを有する。筐体11は、例えば円筒状であり、ロッド20、磁石30、磁気センサ40及び回路基板50を収容する。本実施形態において、筐体11の中心軸は、例えば支持軸5の操作軸AX3に一致するが、これに限定されない。プレート12は、筐体11において中心軸の軸線方向のレバー部1側の端部を塞ぐように配置される。プレート12は、伝達装置2の支持軸5が固定される。プレート12は、支持軸5を貫通する貫通孔と、後述のピストン25を貫通する貫通孔とを有する。
【0024】
ロッド20は、例えば4つ設けられる。4つのロッド20は、装置本体10において所定の中心軸である筐体11の中心軸(支持軸5の操作軸AX3)を中心とした同一円周上に配置される。4つのロッド20は、操作軸AX3の軸線周りの方向に等しい間隔を空けて配置される。以下、4つのロッド20を区別しないで説明する場合にはロッド20と表記して説明し、4つのロッド20を区別して説明する場合には「ロッド21、22、23、24」と異なる符号を付して説明する。4つのロッド20を区別する場合、例えば、ロッド21は、中心軸AXに対して第1方向D1側に配置される。ロッド22は、中心軸AXに対して第2方向D2側に配置される。ロッド23は、中心軸AXに対して第3方向D3側に配置される。ロッド24は、中心軸AXに対して第4方向D4側に配置される。各ロッド20は、中心軸AXの軸線方向に沿って移動可能に設けられる。
【0025】
各ロッド20は、フランジ部20aと、磁石保持部20bとを有する。フランジ部20aは、操作軸AX3の軸線方向においてレバー部1側に配置され、バネ部材26の一端が当接される。磁石保持部20bは、操作軸AX3の軸線方向において回路基板50側に配置され、それぞれ後述の磁石30を保持する。磁石保持部20bは、操作軸AX3の軸線方向に平行な方向に回路基板50を貫通して移動可能である。
【0026】
各ロッド20は、ピストン25と、バネ部材26と、バネ受部材27とを介して筐体11に取り付けられている。ピストン25は、筒部25aと、突出部25bとを有する。筒部25aは、例えば円筒状であり、筐体11の内側に配置される。突出部25bは、筒部25aの端部25cからプレート12の貫通孔を貫通してレバー部1側に突出する。突出部25bの先端は、例えば半球状である。なお、突出部25bの先端は、半球状に限定するものではなく、他の形状であってもよい。突出部25bは、先端がディスク7の対向面7aに向けて配置される。レバー部1が中立位置に配置される場合、4つのピストン25は、それぞれ突出部25bの先端が操作軸AX3に垂直な同一平面上に配置される。この場合、各突出部25bの先端は、ディスク7の対向面7aに当接される。
【0027】
筒部25aの端部25cには、凹部25dが設けられる。凹部25dは、ロッド20のレバー部1側の端部が挿入される。各ロッド20の当該端部が凹部25dに挿入されることにより、ロッド20と各ピストン25とが一体となっている。
【0028】
バネ部材26は、各ロッド20のフランジ部20aと、バネ受部材27との間に弾性変形された状態で配置される。バネ受部材27は、筐体11に固定される。したがって、各バネ部材26は、弾性力により、フランジ部20aをレバー部1側に押し付けた状態で配置される。したがって、上記のピストン25は、バネ部材26によりレバー部1側に押された状態で配置される。ピストン25は、例えばディスク7から力が加えられない場合、筒部25aの端部25cがプレート12に当接し、レバー部1側への移動が規制された状態で配置される。
【0029】
磁石30は、4本のロッド20の磁石保持部20bにそれぞれ配置される。磁石30は、それぞれ操作軸AX3の軸線方向に着磁されている。磁石30は、ロッド20が操作軸AX3の軸線方向に移動することにより、ロッド20と一体で移動する。例えば、ロッド20の磁石保持部20bが回路基板50を貫通して移動することにより、磁石30は、ロッド20と一体で、回路基板50を貫通して移動する。以下、4つの磁石30を区別しないで説明する場合には磁石30と表記して説明する。また、4つの磁石30を区別して説明する場合には、ロッド21に保持される磁石30を「磁石31」と表記し、ロッド22に保持される磁石30を「磁石32」と表記し、ロッド23に保持される磁石30を「磁石33」と表記し、ロッド24に保持される磁石30を「磁石34」と表記する。
【0030】
図4は、操作軸AX3の軸線方向から回路基板50を見た場合の構成例を示す図である。図5は、回路基板50の1つの磁石30(磁石33)について拡大して示す斜視図である。図5では、ロッド20の磁石保持部20b以外の部分の図示を省略している。図4及び図5に示すように、回路基板50には、貫通孔50a、50b、50c、50dが形成される。貫通孔50aは、ロッド21を貫通させる。貫通孔50bは、ロッド22を貫通させる。貫通孔50cは、ロッド23を貫通させる。貫通孔50cは、ロッド24を貫通させる。
【0031】
回路基板50には、磁気ガイド35が配置される。磁気ガイド35は、例えば磁性体を用いて円筒状に形成され、貫通孔50a、50b、50c、50dを囲う位置に配置される。したがって、磁気ガイド35は、各磁石30が移動する部分の周囲に配置される。ロッド20が中心軸AXの軸線方向に移動する場合、各磁石30は、磁気ガイド35の内側を移動する。磁気ガイド35は、内側の磁石30の磁界を案内することで、磁石30の磁界が磁気ガイド35の外側に漏れ出すことを抑制する。
【0032】
図6は、操作軸AX3の軸線方向から見た場合の磁石30と磁気センサ40との位置関係の一例を模式的に示す図である。図6に示すように、4つの磁石30のうち、磁石31と磁石32とは、操作軸AX3に直交する方向に対向して配置される。また、磁石33と磁石34とは、操作軸AX3に直交する方向に対向して配置される。
【0033】
磁気センサ40は、例えば8個配置される。8つの磁気センサ40は、回路基板50に実装される。8つの磁気センサ40は、4つの磁石30の磁界を検出する。8つの磁気センサ40としては、例えばホール素子等が用いられる。磁気センサ40は、磁石30の変位による磁界の向きの変化を検出し、検出結果を出力信号として出力する。以下、8つの磁気センサ40を区別しないで説明する場合には磁気センサ40と表記して説明する。8つの磁気センサ40を区別して説明する場合には、「磁気センサ41、42、43、44、45、46、47、48」と異なる符号を付して表記する。
【0034】
8つの磁気センサ40のうち、磁気センサ41、45は、磁石31の磁界を検出する。磁気センサ42、46は、磁石32の磁界を検出する。磁気センサ43、47は、磁石33の磁界を検出する。磁気センサ44、48は、磁石34の磁界を検出する。例えば、磁気センサ41、42、43、44は通常時に使用され、磁気センサ45、46、47、48は磁気センサ44に不具合が生じた場合等、バックアップとして使用される。この場合、例えば磁気センサ41、42の一方に不具合が生じた場合には、磁気センサ41、42の双方の使用を停止し、磁気センサ45、46の使用に切り替える。同様に、例えば磁気センサ43、44の一方に不具合が生じた場合には、磁気センサ43、44の双方の使用を停止し、磁気センサ47、48の使用に切り替える。
【0035】
回路基板50を操作軸AX3の軸線方向から見た場合、磁気センサ41は、磁石31に対して、磁石31と磁石32との中心同士を結ぶ線分(第1直線)L1の垂直二等分線(第2直線)L2に平行な方向に並んで配置される。線分L1及び垂直二等分線L2は、仮想線である。磁気センサ42は、磁石32に対して、当該垂直二等分線L2に平行な方向に並んで配置される。また、磁気センサ41と磁気センサ42とは、当該垂直二等分線L2に対して線対称となる位置に配置される。
【0036】
磁気センサ43は、磁石33に対して、磁石33と磁石34との中心同士を結ぶ線分(第1直線)L3の垂直二等分線(第2直線)L4に平行な方向に並んで配置される。線分L3及び垂直二等分線L4は、仮想線である。磁気センサ44は、磁石34に対して、当該垂直二等分線L4に平行な方向に並んで配置される。また、磁気センサ43と磁気センサ44とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置される。なお、本実施形態では、線分L1と垂直二等分線L4の一部とが一致している。また、線分L3と垂直二等分線L2の一部とが一致している。
【0037】
また、磁気センサ45は、磁石31に対して、垂直二等分線L2に平行な方向であって磁気センサ41とは反対側に並んで配置される。したがって、1つの磁石31に対して、磁気センサ41と磁気センサ45とが垂直二等分線L2に平行な方向の両側に配置される。磁気センサ46は、磁石32に対して、当該垂直二等分線L2に平行であって磁気センサ42とは反対側に並んで配置される。したがって、1つの磁石32に対して、磁気センサ42と磁気センサ46とが垂直二等分線L2に平行な方向の両側に配置される。また、磁気センサ45と磁気センサ46とは、当該垂直二等分線L2に対して線対称となる位置に配置される。
【0038】
磁気センサ47は、磁石33に対して、垂直二等分線L4に平行な方向であって磁気センサ43とは反対側に並んで配置される。したがって、1つの磁石33に対して、磁気センサ43と磁気センサ47とが垂直二等分線L2に平行な方向の両側に配置される。磁気センサ48は、磁石34に対して、当該垂直二等分線L4に平行であって磁気センサ44とは反対側に並んで配置される。したがって、1つの磁石34に対して、磁気センサ44と磁気センサ48とが垂直二等分線L4に平行な方向の両側に配置される。また、磁気センサ47と磁気センサ48とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置される。
【0039】
図7は、磁気センサ及び処理部の一例を示すブロック図である。図7では、磁気センサ41、42、43、44の各出力値をグラフで示している。磁気センサ41、42についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石31の変位を示し、横軸の左方向が磁石32の変位を示す。また、磁気センサ43、44についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石33の変位を示し、横軸の左方向が磁石34の変位を示す。
【0040】
図7に示すように、磁気センサ41は、磁石31が変位しない場合、つまり、磁石31が基準位置で保持される場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号41aとして出力する。なお、磁気センサ41は、磁石31が変位しない場合には、磁石32の変位に関わらず、基準電圧値の電圧信号を出力信号41aとして出力する。基準電圧値は、例えば0Vとすることができる。磁石31が基準位置に対して変位する場合、磁気センサ41は、磁石31の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号41bとして出力する。出力信号41bは、磁石31の変位が大きくなるに従って電圧値が基準電圧値から大きくなっていき、磁石31の変位が最大になった場合に電圧値が最大となる。出力信号41bは、磁石31の変位が小さくなるに従って電圧値が基準電圧値に向けて小さくなっていき、磁石31が基準位置に戻ると電圧値が基準電圧値に戻る。
【0041】
また、磁気センサ42は、磁石32が変位しない場合、つまり、磁石32が基準位置で保持される場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号42bとして出力する。なお、磁気センサ42は、磁石32が変位しない場合には、磁石31の変位に関わらず、基準電圧値の電圧信号を出力信号42bとして出力する。基準電圧値は、例えば0Vとすることができる。磁石32が基準位置に対して変位する場合、磁気センサ42は、磁石32の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号42aとして出力する。出力信号42aは、磁石32の変位が大きくなるに従って電圧値が基準電圧値から大きくなっていき、磁石32の変位が最大になった場合に電圧値が最大となる。出力信号42aは、磁石32の変位が小さくなるに従って電圧値が基準電圧値に向けて小さくなっていき、磁石32が基準位置に戻ると電圧値が基準電圧値に戻る。
【0042】
同様に、磁気センサ43は、磁石33が変位しない場合、つまり、磁石33が基準位置で保持される場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号43aとして出力する。なお、磁気センサ43は、磁石33が変位しない場合には、磁石34の変位に関わらず、基準電圧値の電圧信号を出力信号43aとして出力する。基準電圧値は、例えば0Vとすることができる。磁石33が基準位置に対して変位する場合、磁気センサ43は、磁石33の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号43bとして出力する。出力信号43bは、磁石33の変位が大きくなるに従って電圧値が基準電圧値から大きくなっていき、磁石33の変位が最大になった場合に電圧値が最大となる。出力信号43bは、磁石33の変位が小さくなるに従って電圧値が基準電圧値に向けて小さくなっていき、磁石33が基準位置に戻ると電圧値が基準電圧値に戻る。
【0043】
また、磁気センサ44は、磁石34が変位しない場合、つまり、磁石34が基準位置で保持される場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号44bとして出力する。なお、磁気センサ44は、磁石34が変位しない場合には、磁石33の変位に関わらず、基準電圧値の電圧信号を出力信号44bとして出力する。基準電圧値は、例えば0Vとすることができる。磁石34が基準位置に対して変位する場合、磁気センサ44は、磁石34の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号44aとして出力する。出力信号44aは、磁石34の変位が大きくなるに従って電圧値が基準電圧値から大きくなっていき、磁石34の変位が最大になった場合に電圧値が最大となる。出力信号44aは、磁石34の変位が小さくなるに従って電圧値が基準電圧値に向けて小さくなっていき、磁石34が基準位置に戻ると電圧値が基準電圧値に戻る。
【0044】
回路基板50は、処理部51、52を有する。処理部51は、磁気センサ41、42の出力信号に基づいて、検出信号を生成して出力する。処理部51は、演算部53を有する。演算部53は、磁気センサ41、42の出力信号が入力される。演算部53は、磁気センサ41の出力信号から磁気センサ42の出力信号を減算し、当該減算値を増幅して出力する。図8は、演算部53の一例を示す回路図である。図8に示すように、演算部53としては、例えば抵抗R1、R2、R3、Rfと、オペアンプOAと、を有する減算回路を用いることができる。演算部53に対して、磁気センサ41の出力信号V1と、磁気センサ42の出力信号V2とが入力されることにより、これらの差分が増幅された検出信号Voutが出力される。
【0045】
処理部52は、磁気センサ43、44の検出結果に基づいて、検出信号を生成して出力する。処理部52は、演算部54を有する。演算部54は、磁気センサ43、44の出力信号が入力される。演算部54は、磁気センサ43の出力信号から磁気センサ44の出力信号を減算し、当該減算値を増幅して出力する。演算部54としては、図8に示す減算回路と同様の回路を用いることができる。
【0046】
また、回路基板50は、磁気センサ45、46の出力信号に基づいて検出信号を生成して出力する処理部55と、磁気センサ47、48の出力信号に基づいて検出信号を生成して出力する処理部56とを有する。処理部55は、演算部57を有する。演算部57は、磁気センサ45の出力信号から磁気センサ46の出力信号を減算し、当該減算値を増幅して出力する。また、処理部56は、演算部58を有する。演算部58は、磁気センサ47の出力信号から磁気センサ48の出力信号を減算し、当該減算値を増幅して出力する。演算部57、58としては、図8に示す減算回路と同様の回路を用いることができる。
【0047】
図9は、操作レバー100においてレバー部1を傾動させた状態の一例を示す断面図である。図9に示すように、例えばレバー部1を中立位置に対して第1方向D1に傾けた場合、ディスク7の第1方向D1側の部分がストローク検出装置3側に傾き、第2方向D2側の部分がレバー部1側に傾く。ディスク7の傾きにより、操作軸AX3に対して第1方向D1側に配置されたロッド21がディスク7によって押されて回路基板50側に移動する。また、ディスク7の第2方向D2側の部分がレバー部1側に傾くことにより、ディスク7と、操作軸AX3に対して第2方向D2側に配置されたピストン25の先端とが離れて隙間が生じる。この場合、ロッド22は、当該ロッド22を下方に押す力が作用しないため、基準位置に配置された状態を維持する。また、ディスク7の第3方向D3側及び第4方向D4側については傾きが変化しない。このように、レバー部1を第1方向D1に傾けた場合、ロッド21のみが押し下げられる。
【0048】
また、例えば、レバー部1を中立位置に対して第2方向D2に傾けた場合、ディスク7の第2方向D2側の部分がストローク検出装置3側に傾き、第1方向D1側の部分がレバー部1側に傾く。ディスク7の傾きにより、操作軸AX3に対して第2方向D2側に配置されたロッド22がディスク7によって押されて回路基板50側に移動する。また、ディスク7の第1方向D1側の部分がレバー部1側に傾くことにより、ディスク7と、操作軸AX3に対して第1方向D1側に配置されたピストン25の先端とが離れて隙間が生じる。この場合、ロッド21は、当該ロッド21を下方に押す力が採用しないため、基準位置に配置された状態を維持する。また、ディスク7の第3方向D3側及び第4方向D4側については傾きが変化しない。このように、レバー部1を第2方向D2に傾けた場合、ロッド22のみが押し下げられる。
【0049】
同様に、レバー部1を第3方向D3に傾けた場合、ロッド23のみが押し下げられる。また、レバー部1を第4方向D4に傾けた場合、ロッド24のみが押し下げられる。また、レバー部1を第1方向D1と第4方向D4との間の方向に傾けた場合、ロッド21及びロッド24が押し下げられる。また、レバー部1を第2方向D2と第3方向D3との間の方向に傾けた場合、ロッド22及びロッド23が押し下げられる。また、レバー部1を第1方向D1と第3方向D3との間の方向に傾けた場合、ロッド21及びロッド23が押し下げられる。また、レバー部1を第2方向D2と第3方向D4との間の方向に傾けた場合、ロッド22及びロッド24が押し下げられる。
【0050】
したがって、例えば、レバー部1を中立位置に対して第1方向D1に傾けた場合、ロッド21のみが押し下げられ、ロッド21と一体で磁石31が移動する。磁石31の移動により、磁気センサ41は、磁界の変化を検出し、磁界の変化に応じた出力信号41bを出力する(図7参照)。また、磁石32の移動は無く、磁気センサ42は基準電圧値である出力信号42bを出力する(図7参照)。
【0051】
この場合、磁気センサ41の出力信号41bと磁気センサ42の出力信号42bとが、それぞれ演算部53に入力される。演算部53は、出力信号41bから出力信号42bを減算し、当該減算値を増幅して出力する。処理部51は、演算部53から出力された信号を検出信号S1として出力する(図7参照)。検出信号S1は、磁石31の変位、つまりレバー部1の第1方向D1への傾きが大きいほど、出力値が大きくなる。また、検出信号S1は、レバー部1の第1方向D1への傾きが小さいほど、出力値が小さくなる。
【0052】
また、ディスク7の第3方向D3側及び第4方向D4側については傾きが変化しない。このため、操作軸AX3に対して第3方向D3側に配置されたロッド23と、操作軸AX3に対して第4方向D4側に配置されたロッド24とについては、ディスク7によって押されることなく、基準位置に配置された状態を維持する。したがって、磁石33、34の移動は無い。
【0053】
一方、本実施形態の構成において、磁気センサ43、44は、磁石31、32、33、34で生じる磁界の一部を検出することがある。例えば、磁石31が回路基板50側に移動する場合、磁気センサ43、44は、磁石31で生じる磁界の一部を検出することがある。
【0054】
図10は、磁気センサ43、44が磁石31で生じる磁界の一部を検出する場合の処理内容の一例を示すブロック図である。図10では、図7と同様に、磁気センサ41、42、43、44の各出力値をグラフで示している。磁気センサ41、42についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石31の変位を示し、横軸の左方向が磁石32の変位を示す。また、磁気センサ43、44についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石33の変位を示し、横軸の左方向が磁石34の変位を示す。
【0055】
図10に示すように、磁気センサ43、44は、磁石31で生じる磁界の一部を検出した場合、当該磁界に対応する電圧が加算された出力信号を出力する。つまり、磁気センサ43は、出力信号43a、43bにそれぞれ電圧Vaが加算された出力信号43c、43dを出力する。磁気センサ44は、出力信号44a、44bにそれぞれ電圧Vbが加算された出力信号44c、44dを出力する。
【0056】
本実施形態の構成では、磁気センサ43と磁気センサ44とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石31からの距離が互いに等しい。したがって、磁石31で生じる磁界の強さは、理論上、磁気センサ43が配置される位置と、磁気センサ44が配置される位置とで等しくなる。このため、磁気センサ43、44は、磁石31で生じる等しい強さの磁界を検出する。よって、電圧Vaと電圧Vbとが等しい値となるため、出力信号43c、43dと、出力信号44c、44dとが、それぞれ等しい値の電圧信号となる。
【0057】
磁気センサ43の出力信号43c、43dと磁気センサ44の出力信号44c、44dとは、演算部54に入力される。演算部54は、出力信号43c、43dから出力信号44c、44dを減算し、当該減算値を増幅して出力する。上記のように出力信号43c、43dと出力信号44c、44dとがそれぞれ等しい値の電圧信号であるため、演算部54で減算された出力結果において、電圧Vaと電圧Vbとがキャンセルされる。
【0058】
上記のように、演算部54は、磁気センサ43、44から出力される出力信号43c、43d、出力信号44c、44dのうち、磁石31で生じた磁界の一部に対応する電圧Va、電圧Vbを、演算により打ち消して検出信号S2を出力する。このため、磁石31で生じた磁界の一部を磁気センサ43、44が検出する場合であっても、処理部52は、磁気センサ43、44の出力信号のうち当該磁界の一部に対応する電圧Va及び電圧Vbを出力しない。
【0059】
また、例えばレバー部1を中立位置に対して第2方向D2に傾けた場合、ロッド22のみが押し下げられ、ロッド22と一体で磁石32が移動する。磁石32の移動により、磁気センサ42は、磁界の変化を検出し、磁界の変化に応じた出力信号42aを出力する(図7参照)。また、磁石31の移動は無く、磁気センサ41は基準電圧値である出力信号41aを出力する(図7参照)。
【0060】
磁気センサ41の出力信号41aと磁気センサ42の出力信号42aとは、演算部53に入力される。演算部53は、出力信号41aから出力信号42aを減算し、当該減算値を増幅して出力する。処理部51は、演算部53から出力された信号を検出信号S2として出力する(図7参照)。検出信号S2は、負の値となる。検出信号S2は、磁石32の変位、つまりレバー部1の第2方向D2への傾きが大きいほど、出力値が小さくなる(絶対値は大きくなる)。また、検出信号S2は、レバー部1の第2方向D2への傾きが小さいほど、出力値が大きくなる(絶対値は小さくなる)。
【0061】
また、ディスク7の第3方向D3側及び第4方向D4側については傾きが変化しないため、磁石33、34の移動は無い。一方、磁石32が回路基板50側に移動する場合、磁気センサ43、44は、磁石32で生じる磁界の一部を検出することがある。磁気センサ43、44は、磁石32で生じる磁界の一部を検出した場合、当該磁界に対応する電圧が加算された出力信号を出力する。
【0062】
磁気センサ43と磁気センサ44とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石32からの距離についても互いに等しい。このため、例えばレバー部1を第2方向D2に傾けて磁石32を移動させる場合についても、磁石31が移動する場合と同様に、演算部54は、磁気センサ43、44から出力される出力信号のうち、磁石32で生じた磁界の一部に対応する電圧同士を打ち消す。このため、磁石32で生じた磁界の一部を磁気センサ43、44が検出する場合であっても、処理部52は、磁気センサ43、44の出力信号のうち当該磁界の一部に対応する電圧を出力しない。
【0063】
また、例えばレバー部1を中立位置に対して第3方向D3に傾けた場合、ロッド23のみがディスク7によって押されて回路基板50側に移動し、ロッド23と一体で磁石33が移動する。磁石33の移動により、磁気センサ43は、磁界の変化を検出し、磁界の変化に応じた出力信号43bを出力する(図7参照)。また、ディスク7の第4方向D4側の部分がレバー部1側に傾く場合、ロッド24は、基準位置に配置された状態を維持する。したがって、磁石34の移動は無く、磁気センサ44は基準電圧値である出力信号44bを出力する(図7参照)。
【0064】
また、例えばレバー部1を中立位置に対して第4方向D4に傾けた場合、ロッド24のみがディスク7によって押されて回路基板50側に移動し、ロッド24と一体で磁石34が移動する。磁石34の移動により、磁気センサ44は、磁界の変化を検出し、磁界の変化に応じた出力信号44aを出力する(図7参照)。また、ディスク7の第3方向D3側の部分がレバー部1側に傾く場合、ロッド23は、基準位置に配置された状態を維持する。したがって、磁石33の移動は無く、磁気センサ43は基準電圧値である出力信号43aを出力する(図7参照)。
【0065】
磁気センサ43の出力信号43a、43bと磁気センサ44の出力信号44a、44bとは、演算部54に入力される。演算部54は、出力信号43a、43bから出力信号44a、44bを減算し、当該減算値を増幅して出力する。処理部52は、演算部54から出力された信号を検出信号S3、S4として出力する(図7参照)。検出信号S3は、磁石33の変位、つまりレバー部1の第3方向D3への傾きが大きいほど、出力値が大きくなる。また、検出信号S3は、レバー部1の第3方向D3への傾きが小さいほど、出力値が小さくなる。また、検出信号S4は、負の値となる。検出信号S4は、磁石34の変位、つまりレバー部1の第4方向D4への傾きが大きいほど、出力値が小さくなる(絶対値は大きくなる)。また、検出信号S4は、レバー部1の第4方向D4への傾きが小さいほど、出力値が大きくなる(絶対値は小さくなる)。
【0066】
また、磁気センサ41と磁気センサ42とは、当該垂直二等分線L2に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石33、34からの距離が互いに等しい。このため、レバー部1を第3方向D3、第4方向D4に傾けて磁石33、34を移動させる場合については、上記同様に、演算部53は、磁気センサ41、42から出力される出力信号のうち、磁石33、34で生じた磁界の一部に対応する電圧同士を演算により打ち消す。
【0067】
また、磁気センサ45と磁気センサ46とは、当該垂直二等分線L2に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石33、34からの距離が互いに等しい。このため、磁石33、34が移動する場合については、上記同様に、演算部57は、磁気センサ45、46から出力される出力信号のうち、磁石33、34で生じた磁界の一部に対応する電圧同士を演算により打ち消す。
【0068】
また、磁気センサ47と磁気センサ48とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石31、32からの距離が互いに等しい。このため、磁石31、32が移動する場合については、上記同様に、演算部58は、磁気センサ47、48から出力される出力信号のうち、磁石31、32で生じた磁界の一部に対応する電圧同士を打ち消す。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る操作レバー100は、操作軸AX3に対して点対称位置に配される一対のロッド20と、各ロッド20に配される磁石30と、操作軸AX3に垂直な平面上にあり一のロッド20と他のロッド20の中心を結ぶ線分L1、L3に垂直な二等分線L2、L4について線対称の位置に配される一対の磁気センサ40とを備える。
【0070】
操作レバー100は、一対の磁気センサ40が、当該垂直二等分線L2、L4について線対称となる位置に配置されるため、一対のロッド20に配される各磁石30からの距離が互いに等しい。したがって、各磁石30で生じる磁界の強さは、一方の磁気センサ40が配置される位置と、他方の磁気センサ40が配置される位置とで等しくなる。このため、一方の磁気センサ40は、各磁石30で生じる磁界について、等しい強さの磁界を検出し、等しい値の電圧信号を出力することができる。このため、操作レバー100は、例えば一方の磁気センサ40の出力信号と、他方の磁気センサ40の出力信号とに基づいて検出信号を生成することで、一対の磁気センサ40の出力信号のうち、本来の検出対象である磁石30の磁界に対応する成分を出力し、かつ、本来の検出対象ではない磁石30の磁界に対応する成分を打ち消すことができる。これにより、操作レバー100は、磁石30に個別に磁気シールド等を設けることなく、誤検出を低減することができる。また、操作レバー100は、磁気シールド等を設けるスペースを省略することができるため、大型化を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態に係る操作レバー100は、一対のロッド20と、磁石30と、一対の磁気センサ40と、磁気センサ40の出力信号に基づいて、各磁石30の相対位置の変化についての検出信号を出力する回路基板50とを備える。
【0072】
これにより、操作レバー100は、回路基板50の演算で一方の磁気センサ40の出力信号と、他方の磁気センサ40の出力信号とに基づいて検出信号を生成することで、一対の磁気センサ40の出力信号のうち、本来の検出対象である磁石30の磁界に対応する成分を出力し、かつ、本来の検出対象ではない磁石30の磁界に対応する成分を打ち消すことができる。
【0073】
また、操作レバー100において、処理部51は、磁石31を検出する磁気センサ41の検出結果から、磁石32を検出する磁気センサ42の検出結果を減算した算出結果に基づいて検出信号を生成する。また、処理部52は、磁石33を検出する磁気センサ43の検出結果から、磁石34を検出する磁気センサ44の検出結果を減算した算出結果に基づいて検出信号を生成する。これにより、複雑な信号処理を用いることなく、確実に誤検出を低減することができる。
【0074】
また、操作レバー100において、磁気センサ41、42は、検出対象となる磁石31、32に対して垂直二等分線L2に平行な方向に並んで配置される。また、磁気センサ43、44は、検出対象となる磁石33、34に対して垂直二等分線L4に平行な方向に並んで配置される。これにより、磁気センサ41、42、43、44は、検出対象となる磁石31、32、33、34の磁界を高精度に検出することができる。
【0075】
また、操作レバー100において、磁気センサ40は、1つの磁石30に対して2つ設けられる。例えば、1つの磁石31に対して、2つの磁気センサ41、45が設けられる。また、1つの磁石32に対して、2つの磁気センサ42、46が設けられる。また、1つの磁石33に対して、2つの磁気センサ43、47が設けられる。また、1つの磁石34に対して、2つの磁気センサ44、48が設けられる。これにより、磁気センサ40の冗長性を確保することができる。例えば、2つの磁気センサ40のうち一方の磁気センサ41、42、43、44を通常時に用いることとし、他方の磁気センサ45、46、47、48をバックアップとして用いることができる。
【0076】
また、この場合、1つの磁石31に対して設けられる2つの磁気センサ41、45は、検出対象となる磁石31に対して垂直二等分線L2に平行な方向の両側に配置される。1つの磁石32に対して設けられる2つの磁気センサ42、46は、検出対象となる磁石32に対して垂直二等分線L2に平行な方向の両側に配置される。1つの磁石33に対して設けられる2つの磁気センサ43、47は、検出対象となる磁石33に対して垂直二等分線L4に平行な方向の両側に配置される。1つの磁石34に対して設けられる2つの磁気センサ44、48は、検出対象となる磁石34に対して垂直二等分線L4に平行な方向の両側に配置される。これにより、8つの磁気センサ40をコンパクトに配置することができる。
【0077】
また、この場合、2つの磁気センサ41、45は、検出対象となる1つの磁石31からそれぞれ等しい距離を空けて配置される。2つの磁気センサ42、46は、検出対象となる1つの磁石32からそれぞれ等しい距離を空けて配置される。2つの磁気センサ43、47は、検出対象となる1つの磁石33からそれぞれ等しい距離を空けて配置される。2つの磁気センサ44、48は、検出対象となる1つの磁石34からそれぞれ等しい距離を空けて配置される。これにより、磁気センサ41、42、43、44と、磁気センサ45、46、47、48との間で、出力信号の大きさをほぼ等しい値とすることができる。これにより、信号処理を複雑化することなく、磁気センサ40の冗長性を確保することができる。
【0078】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態を説明する。上記第1実施形態では、処理部51、52において、一方の磁気センサ40の出力信号から他方の磁気センサ40の出力信号を減算した算出結果に基づいて検出信号を出力する構成を例に挙げて説明したが、本実施形態では、一方の磁気センサ40の出力信号と他方の磁気センサ40の出力信号とを加算した算出結果に基づいて検出信号を出力する構成である。
【0079】
図11は、第2実施形態に係る操作レバーの磁気センサ及び処理部の一例を示すブロック図である。図11では、磁気センサ141、142、143、144の各出力値をグラフで示している。磁気センサ141、142についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石31の変位を示し、横軸の左方向が磁石32の変位を示す。また、磁気センサ143、144についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石33の変位を示し、横軸の左方向が磁石34の変位を示す。第2実施形態では、磁気センサの構成と、処理部における演算内容とが第1実施形態に係るストローク検出装置3とは異なっている。以下、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0080】
図11に示すように、ストローク検出装置103の磁気センサ141、145は、磁石31の磁界を検出する。磁気センサ142、146は、磁石32の磁界を検出する。磁気センサ143、147は、磁石33の磁界を検出する。磁気センサ144、148は、磁石34の磁界を検出する。以下、磁気センサ141、142、143、144を例に挙げて説明するが、磁気センサ145、146、147、148についても同様の説明が可能である。
【0081】
図11に示すように、磁気センサ141と、磁気センサ142とは、等しい磁界を検出した場合に、基準電圧値に対して互いに正負が逆転した出力信号を出力するように形成される。例えば、磁気センサ141は、磁石31が変位しない場合、つまり、磁石31が基準位置で保持される場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号141aとして出力する。なお、磁気センサ141は、磁石31が変位しない場合には、磁石32の変位に関わらず、基準電圧値の電圧信号を出力信号141aとして出力する。磁気センサ141は、磁石31が基準位置に対して変位する場合、磁石31の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号141bとして出力する。
【0082】
また、磁気センサ142は、磁石32が変位しない場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号142bとして出力する。また、磁気センサ142は、磁石32が基準位置に対して変位する場合、磁石32の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号142aとして出力する。
【0083】
処理部151は、演算部153を有する。演算部153は、磁気センサ141の出力信号と、磁気センサ142の出力信号とを加算し、加算値を増幅して出力する。図12は、演算部153の一例を示す回路図である。図12に示すように、演算部153としては、例えば抵抗R1、R2、Rfa、と、オペアンプOA1と、を有する加算回路と、抵抗R3、Rfbと、オペアンプOA2とを有する反転回路とを用いることができる。演算部153に対して、磁気センサ141の出力信号V1と、磁気センサ142の出力信号V2とが入力されることにより、これらの加算値が増幅された検出信号Voutが出力される。
【0084】
また、磁気センサ143と、磁気センサ144とは、等しい磁界を検出した場合に、基準電圧値に対して互いに正負が逆転した出力信号を出力するように形成される。例えば、磁気センサ143は、磁石33が変位しない場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号143aとして出力する。磁気センサ143は、磁石33が基準位置に対して変位する場合、磁石33の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号143bとして出力する。
【0085】
磁気センサ144は、磁石34が変位しない場合、基準電圧値の電圧信号を出力信号144bとして出力する。磁気センサ144は、磁石34が基準位置に対して変位する場合、磁石34の変位の大きさに応じた値の電圧信号を出力信号144aとして出力する。
【0086】
処理部152は、演算部154を有する。演算部154は、磁気センサ143の出力信号と、磁気センサ144の出力信号とを加算し、加算値を増幅して出力する。演算部154としては、図12に示す加算回路と同様の回路を用いることができる。
【0087】
上記構成において、例えばレバー部1を第1方向D1に傾けた場合、磁気センサ141、142は、それぞれ出力信号141b、142bを出力する(図11参照)。この場合、磁気センサ141の出力信号141bと磁気センサ142の出力信号142bとが、演算部153に入力される。演算部153は、出力信号141bと出力信号142bを加算し、当該加算値を増幅して出力する。処理部151は、演算部153から出力された信号を検出信号S11として出力する。
【0088】
また、例えばレバー部1を第2方向D2に傾けた場合、磁気センサ141、142は、それぞれ出力信号141a、142aを出力する(図11参照)。この場合、磁気センサ141の出力信号141aと磁気センサ142の出力信号142aとが、演算部153に入力される。演算部153は、出力信号141aと出力信号142aを加算し、当該加算値を増幅して出力する。処理部151は、演算部153から出力された信号を検出信号S12として出力する。
【0089】
レバー部1を第1方向D1又は第2方向D2に傾けた場合、ディスク7の第3方向D3側及び第4方向D4側については傾きが変化しない。したがって、磁石33、34の移動は無い。一方、磁気センサ143、144は、磁石31、32で生じる磁界の一部を検出することがある。
【0090】
図13は、磁気センサ143、144が磁石31で生じる磁界の一部を検出する場合の処理内容の一例を示すブロック図である。図13では、図11と同様に、磁気センサ141、142、143、144の各出力値をグラフで示している。磁気センサ141、142についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石31の変位を示し、横軸の左方向が磁石32の変位を示す。また、磁気センサ143、144についてのグラフでは、縦軸が出力値を示し、横軸の右方向が磁石33の変位を示し、横軸の左方向が磁石34の変位を示す。
【0091】
図13に示すように、磁気センサ143は、出力信号143a、143bにそれぞれ電圧Vcが加算された出力信号143c、143dを出力する。磁気センサ144は、出力信号144a、144bにそれぞれ電圧Vdが減算された出力信号144c、144dを出力する。
【0092】
磁気センサ143と磁気センサ144とは、当該垂直二等分線L4に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石31からの距離が互いに等しい。したがって、第1実施形態と同様、磁気センサ143、144は、磁石31で生じる等しい強さの磁界を検出する。よって、電圧Vcと電圧Vdとが等しい値となるため、出力信号143c、143dと、出力信号144c、144dとが、それぞれ横軸の正方向及び負方向を一致させた場合に、基準電圧値に対して正負が反転した電圧信号となる。
【0093】
磁気センサ143の出力信号143c、143dと、磁気センサ144の出力信号144c、144dとは、演算部154に入力される。演算部154は、出力信号143c、143dと、出力信号144c、144dとを加算し、当該加算値を増幅して出力する。上記のように出力信号143c、143d、出力信号144c、144dは、それぞれ基準電圧値に対して正負が反転した電圧信号であるため、演算部154で加算された出力結果において、電圧Vcと電圧Vdとキャンセルされる。
【0094】
上記のように、演算部154は、磁気センサ143、144から出力される出力信号143c、143d、出力信号144c、144dのうち、磁石31で生じた磁界の一部に対応する電圧Vc、電圧Vdを、演算により打ち消して検出信号S12を出力する。このため、磁石31で生じた磁界の一部を磁気センサ143、144が検出する場合であっても、処理部152は、磁気センサ143、144の出力信号のうち当該磁界の一部に対応する電圧Vc、電圧Vdを出力しない。
【0095】
また、例えばレバー部1を第3方向D3に傾けた場合、磁気センサ143、144は、それぞれ出力信号143b、144bを出力する(図11参照)。この場合、磁気センサ143の出力信号143bと磁気センサ144の出力信号144bとが、演算部153に入力される。演算部153は、出力信号143bと出力信号144bを加算し、当該加算値を増幅して出力する。処理部151は、演算部153から出力された信号を検出信号S11として出力する。
【0096】
また、例えばレバー部1を第4方向D4に傾けた場合、磁気センサ143、144は、それぞれ出力信号143a、144aを出力する(図11参照)。この場合、磁気センサ143の出力信号143aと磁気センサ144の出力信号144aとが、演算部153に入力される。演算部153は、出力信号143aと出力信号144aを加算し、当該加算値を増幅して出力する。処理部151は、演算部153から出力された信号を検出信号S12として出力する。
【0097】
レバー部1を第3方向D3又は第4方向D4に傾けた場合、第1実施形態と同様に、磁気センサ141、142は、磁石33、34で生じる磁界の一部を検出することがある。本実施形態では、磁気センサ141と磁気センサ142とは、垂直二等分線L2に対して線対称となる位置に配置されるため、磁石33、34からの距離が互いに等しい。このため、第1実施形態と同様に、演算部53は、磁気センサ141、142から出力される出力信号のうち、磁石33、34で生じた磁界の一部に対応する電圧同士を演算により打ち消す。
【0098】
このように、本実施形態に係るストローク検出装置103は、磁石31を検出する磁気センサ141と、磁石32を検出する磁気センサ142とが、等しい磁界を検出した場合に、基準電圧値に対して互いに正負が逆転した出力信号を出力するように形成される。また、処理部151は、磁気センサ141の出力信号と、磁気センサ142の出力信号とを加算した算出結果に基づいて検出信号を出力する。また、磁石33を検出する磁気センサ143と、磁石34を検出する磁気センサ144とについても同様に、等しい磁界を検出した場合に、基準電圧値に対して互いに正負が逆転した出力信号を出力するように形成される。また、処理部152は、磁気センサ143の出力信号と、磁気センサ144の出力信号とを加算した算出結果に基づいて検出信号を出力する。これにより、複雑な信号処理を用いることなく、確実に誤検出を低減することができる。また、一様な磁気外乱に対しても、同様に誤検出を低減することができる。
【0099】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、1つの磁石30に対して2つの磁気センサ40を配置した構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。図14は、操作軸AX3の軸線方向から見た場合の磁石30と磁気センサ40との位置関係の変形例を模式的に示す図である。例えば、図14に示すように、1つの磁石30に対して1つの磁気センサ40を配置した構成であってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、操作軸AX3と4つの磁石30との距離が等しい構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。図15は、操作軸AX3の軸線方向から見た場合の磁石30と磁気センサ40との位置関係の変形例を模式的に示す図である。例えば、図15に示すように、4つの磁石30と操作軸AX3との距離が異なる構成であってもよい。この場合、操作軸AX3に直交する方向に対向する2つの磁石30同士については、操作軸AX3との距離が等しくすることができる。なお、演算部はアナログ回路として記載したが、CPUを用いたコントローラで演算してもよい。また、各磁気センサの出力は、アナログ電圧として記載したが、PWM等でもよい。この場合、CPUを用いたコントローラで演算すればよい。
【0101】
また、上記実施形態では、レバー部1を中立位置からそれぞれ第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3及び第4方向D4に傾けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、レバー部1を中立位置から、第1方向D1と第3方向D3との間の方向、第1方向D1と第4方向D4との間の方向、第2方向D2と第3方向D3との間の方向、第2方向D2と第4方向D4との間の方向のそれぞれに傾ける場合についても同様に、各検出センサ40は、本来の検出対象である磁石30の磁界に対応する成分を出力し、かつ、本来の検出対象とは異なる磁石30の磁界に対応する打ち消すことができる。
【符号の説明】
【0102】
D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…第4方向、L1,L3…線分、L2,L4…垂直二等分線、R1,R2,R11,R3,R12,R13,Rf…抵抗、S1,S2,S3,S4,S11,S12,Vout…検出信号、V1,V2,41a,41b,42a,42b,43a,43b,43c,43d,44a,44b,44c,44d,141a,141b,142a,142b,143a,143b,143c,143d,144a,144b,144c,144d…出力信号、OA…オペアンプ、AX1,AX2,AX3…中心軸、1…レバー部、2…伝達装置、3,103…ストローク検出装置、4…連結軸、5…支持軸、6…ユニバーサルジョイント、6a…第1軸部材、6b…回動部材、6c…第2軸部材、7…ディスク、7a…対向面、8…連結部材、9…ブーツ、10…装置本体、11…筐体、12…プレート、20,21,22,23,24…ロッド、20a…フランジ部、20b…磁石保持部、25…ピストン、25a…筒部、25b…突出部、25c…端部、25d…凹部、26…バネ部材、27…バネ受部材、30,31,32,33,34…磁石、35…磁気ガイド、40,41,42,43,44,45,46,47,48,141,142,143,144,145,146,147,148…磁気センサ、50…回路基板、50a,50b,50c,50d…貫通孔、51,52,55,56,151,152…処理部、53,54,57,58,153,154…演算部、100…操作レバー。
図1
図2
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図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15