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特許7112390オリゴエステル組成物並びにその製造方法及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】オリゴエステル組成物並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/48 20060101AFI20220727BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220727BHJP
   C09J 167/08 20060101ALI20220727BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220727BHJP
   C08L 67/08 20060101ALI20220727BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220727BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20220727BHJP
   E01F 9/518 20160101ALI20220727BHJP
【FI】
C08G63/48
C09J201/00
C09J167/08
B60C1/00 A
C08L67/08
C08K3/013
C08L9/00
E01F9/518
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019516225
(86)(22)【出願日】2017-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2017053126
(87)【国際公開番号】W WO2018058005
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/398,723
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519098741
【氏名又は名称】クレイトン・ケミカル・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ,ヨス・ハー・エム
(72)【発明者】
【氏名】スカープマン,マルク・セー
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-502459(JP,A)
【文献】特表2003-523444(JP,A)
【文献】特開昭64-28656(JP,A)
【文献】特表2016-535113(JP,A)
【文献】特表2018-514640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63/
C08L67/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン及びその組合せからなるグループから選択される、60重量%~93重量%の1種類以上のロジン;
2~30個の炭素原子と、少なくとも2つのアルコール基と、2~10個の平均ヒドロキシル官能部数とを有する、5重量%~35重量%の1種類以上の多価アルコール;及び
反応混合物の重量に基づき、0.5重量%~10重量%の1種類以上の5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸
を含む反応混合物から誘導されるオリゴエステル組成物であって;
前記脂環式のジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多く、前記脂環式のジカルボン酸において平均回転可能結合数に対する平均炭素原子数の比が1.5より大きく、かつ、
オリゴエステル組成物が、
7mg KOH/g~40mg KOH/gのヒドロキシル価と、
150℃で1,200mPa.s~10,000mPa.sの粘度と、
30℃~100℃のガラス転移温度と、
80℃~150℃の軟化点とを有する、
オリゴエステル組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のオリゴエステル組成物であって、前記オリゴエステル組成物の調製のための前記反応混合物中に存在している全反応体の重量に対して重量%~重量%の脂環式のカルボン酸から誘導され
オリゴエステル組成物。
【請求項3】
脂環式のカルボン酸における平均回転可能結合数に対する平均炭素原子数の比が3より大きい、請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物。
【請求項4】
脂環式のジカルボン酸が、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロオクタン、シクロオクテン又はノルボルネンから誘導され、
脂環式のジカルボン酸が、ショウノウ酸、cis-ノルボルネン-endo-2,3-カルボン酸、cis-ノルボルナン-endo-2,3-カルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸から選択される、請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物。
【請求項5】
00℃で90mPa.s~1,000mPa.sの粘度を有する、請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物。
【請求項6】
800g/mol~1,500g/molの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物。
【請求項7】
多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、ポリグリセロール、ポリグリセロール、ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール又はその組合せを含む、請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物。
【請求項8】
a)1重量%~60重量%の請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物、
ここで、前脂環式のジカルボン酸は、前記オリゴエステル組成物の調製のための前記反応混合物中に、全反応体の重量に対して0.5重量%~10重量%までの量で存在している;及び
b)前記組成物の総重量に対して1重量%~60重量%のポリマー又はポリマーブレンド、
を含む、組成物。
【請求項9】
可塑性の路面標示用組成物であって、
a)5重量%~30重量%の請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物、
ここで、脂環式のジカルボン酸は、5~19個の炭素原子を有し、かつ前記オリゴエステル組成物の調製のための前記反応混合物中に、全反応体の重量に対して0.5重量%~10重量%までの量で存在しており、
前記脂環式のジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い;及び
b)前記熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して20重量%までのポリマー、
を含む、熱可塑性の路面標示用組成物。
【請求項10】
着剤組成物であって
)10重量%~60重量%のポリマー;及び
b)前記接着剤組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物を含み
ここで、脂環式のジカルボン酸は、5~19個の炭素原子を有し、かつ前記オリゴエステル組成物の調製のための前記反応混合物中に、全反応体の重量に対して0.5重量%~10重量%までの量で存在しており、
前記脂環式のジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い、
接着剤組成物。
【請求項11】
a)ゴム高分子、又はスチレンと、イソプレン及びブタジエンからなる群より選択される1種類以上のモノマーから誘導されるコポリマー、
b)フィラー、及び
c)100重量部の前記ゴム高分子に対して5~70部重量部の請求項1又は2に記載のオリゴエステル組成物
を含むタイヤトレッド組成物であって、
脂環式のジカルボン酸が、前記オリゴエステル組成物の調製のための前記反応混合物中に、全反応体の重量に対して0.5重量%~10重量%までの量で存在しており、前記脂環式のジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い、
タイヤトレッド組成物。
【請求項12】
60重量%~93重量%の1種類以上のロジン及び0.5重量%~10重量%の1種類以上の5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を、5重量%~35重量%の1種類以上の多価アルコールと少なくとも150℃の温度で接触させて反応混合物を生成させること、ここで、前記脂環式のジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多く、かつ前記脂環式のジカルボン酸において平均回転可能結合数に対する平均炭素原子数の比が1.5より大きい;並びに
前記反応混合物を、最高温度300℃にて、エステル化触媒の非存在下又は存在下、及び不均化触媒の存在下又は非存在下で、エステル化すること
を含み、
ここで、オリゴエステル組成物が、
7mg KOH/g~40mg KOH/gのヒドロキシル価と、
150℃で1,200mPa.s~10,000mPa.sの粘度と、
30℃~100℃のガラス転移温度と、
80℃~150℃の軟化点とを有する、
オリゴエステル組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月23日に出願された米国特許仮出願第62/398,723号(その全体が本明細書に組み込まれる)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的には化学、より詳しくはオリゴエステルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2011/0034669号には、薄色ロジンエステル樹脂(好ましくはトール系ロジンベースのもの)を製造するための方法が開示されている。この方法は、低着色ロジンエステルの製造において、より低着色又はより暗色のトール油ロジンの使用を可能にするものである。
【0004】
WO2015/048402には、エチレンと重合する1つ以上のエステル基を有する少なくとも1種類の極性モノマーから誘導されるエチレンポリマー(例えば、エチレンと酢酸ビニルから誘導されるコポリマー又はエチレンとアクリル酸n-ブチルから誘導されるコポリマー)とロジンエステルとを含む組成物が開示されている。このロジンエステルは、低ヒドロキシル価(例えば、6若しくは5若しくはそれより小さいヒドロキシル価)、低酸価(例えば、若しくはそれより小さい酸価)、低PAN価(例えば、8若しくはそれより小さいPAN価)又はその組合せを有するものであり得る。
【0005】
米国特許第5,120,781号には、酸修飾された多価アルコールロジンエステルの軟化点が同等の非修飾の多価アルコールロジンエステルのものより高くなるように芳香族二塩基酸で修飾された多価アルコールロジンエステルが開示されている。
【0006】
米国特許第1,820,265号には、典型的にはC20三環式モノ-カルボン酸の異性体混合物の反応によって製造されるロジンエステル構成が開示されている。
【0007】
米国特許第5,504,152号には、ロジンをポリオールでエステル化条件下においてエステル化し、ロジンエステルを製造するための方法が開示されている。また、この明細書には、該ロジンエステルから接着剤を調製するための方法も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2011/0034669号明細書
【文献】国際公開第2015/048402号
【文献】米国特許第5,120,781号明細書
【文献】米国特許第1,820,265号明細書
【文献】米国特許第5,504,152号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当該技術分野において、ユーザー及び/又は方法工程に所望されるいくつかの特性の組合せを有する新規なロジンエステルの継続的な必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書において、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって;該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸を含むオリゴエステル組成物を開示する。
【0011】
さらに、本明細書において、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び脂肪族ジカルボン酸を含む1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって;該脂肪族ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含むオリゴエステル組成物を開示する。
【0012】
また、本明細書において、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び飽和ジカルボン酸を含む1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含み、ジカルボン酸の総量が、全反応体の重量基準でゼロより多く15重量%までであるオリゴエステル組成物も開示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示において使用され得る方法を開示する。
【0014】
ASTM D5974-00(2010に発行)は、“Standard Test Methods for Fatty and Rosin Acids in Tall Oil Fractionation Products by Capillary Gas Chromatography”という表題である。
【0015】
本明細書において、新規な修飾ロジンエステルを含むオリゴエステル組成物を開示する。一態様において、該ロジンエステルは、(i)少なくとも1種類のロジン、(ii)少なくとも1種類の多価アルコール及び(iii)少なくとも1種類の脂環式の多価カルボン酸又は無水物を適切な条件下で接触させることにより調製される。一態様において、本明細書に開示した型のロジンエステルの調製方法は、ロジンエステルの調製時におけるディールス・アルダー反応工程及び/又は親ジエン物質の包含を排除するものである。得られる物質を、本明細書ではロジンエステル組成物と称し;RECと表示する。RECから調製される組成物は、さまざまな用途に利用され得る。
【0016】
一態様において、本明細書に開示した型のRECの調製のための反応混合物は少なくとも1種類のロジンを含んでもよい。ロジンは、コロホニー又はグリークピッチ(Pix greca)とも称され、植物、典型的には針葉樹、例えば、松(例えば、ダイオウマツ(Pinus palustris)及びカリビアマツ(Pinus caribaea))の固形の炭化水素分泌物である。ロジンは、相互に可溶性の有機化合物、例えば、ロジン酸と称する遊離の有機酸並びに非酸性のケン化性及び非ケン化性の物質(中性物質)の複雑な混合物からなる。
【0017】
ロジン酸は、数と位置がさまざまである二重結合を含む縮合している3つの6員炭素環の核を有するC20縮合環型モノカルボン酸である。ロジン酸の非限定的な例としては、限定されないが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、レボピマル酸、サンドラコ(sandaraco)ピマル酸、イソピマル酸及びパルストリン酸が挙げられ得る。いろいろなロジンの型及び供給源の化学組成、例えば、主要化学成分及び微量化学成分に関するより包括的な情報は、Naval Stores,(Eds.:D.F.Zinkel,J.R.Russell),Production,Chemistry,Utilization,Pulp Chemicals Association,New York,1989,Chapter 9,Chemistry of Rosin,pp.261-345(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)をみるとよい。
【0018】
一態様において、ロジンはトール油ベースのロジン(トール油ロジン又はTOR)である。TORは典型的には、クラフト硫酸塩のパルプ製造工程の副産物である粗製トール油を蒸留することにより得られ得る。TORは、結晶化能を有し、一般的に、200百万分率(ppm)~1000ppmのイオウで構成されている。
【0019】
一態様において、ロジンはウッドロジンである。ウッドロジンは、地中の老木の松の切り株の溶媒抽出によって得られる物質をいう。例えば、ウッドロジンは松の木から、切り株を約10年間、地中に残した後に得られ得る。この期間の後、樹皮及び白太は朽ちて剥がれ落ち得、ロジンが豊富な心材が残る。
【0020】
一態様において、ロジンはガムロジンである。ガムロジンは典型的には、立ち木をタッピングして含油樹脂を採取した後、蒸留してテレビン油と樹脂質物質を得ることにより得られる。ガムロジンは特徴的には、主としてアビエチン酸と関連化合物で構成された半透明の黄味がかった色から暗褐色の物質である。
【0021】
一態様において、ロジンは水素化ガムロジンであり得る。水素化は還元反応であり、これは反応体への水素の付加をもたらし得る。アルケン部分、例えばロジン酸部分の環構造内に存在するアルケンの水素化によりオレフィン性結合が還元されて、対応する飽和部分が生成し得る。水素化反応は、触媒、例えば不均一系水素化触媒(例えば、パラジウム触媒、例えばPd担持炭素(Pd/C)、白金触媒、例えばPtO、ニッケル触媒、例えばラネーニッケル(Ra-Ni)、ロジウム触媒又はルテニウム触媒)を用いて行われ得る。水素化の水素源は、水素(H)又は反応条件下で水素を発生させ得る化合物、例えばギ酸、イソプロパノール若しくはヒドラジンによるものであり得る。
【0022】
したがって、水素化は、例えば、ロジンのPAN価を下げるために行われ得る。PAN価は、ロジン中に存在しているアビエタジエン酸の該ロジン又はロジンエステルの総重量に対する重量パーセンテージをいう。用語「PAN価」は、本明細書で用いる場合、ASTM D5974-00(2010)に記載の方法による測定時の、ロジン中のパルストリン酸、アビエチン酸及びネオアビエチン酸部分の重量パーセンテージの和をいう。
【0023】
市販の水素化ロジンの一例はForal(商標) AX-Eであり、これはEastman Chemical Companyによって市販されている。Staybelite(商標) Resin-Eは市販の部分水素化ロジンの一例であり、これもまた、Eastman Chemical Companyによって市販されている。HYDROGALは市販の水素化ロジンの一例であり、これはDRT(Derives Resiniques et Terpeniques)によって市販されている。
【0024】
任意の型のロジン、例えばトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン及びその組合せが、本明細書に記載のRECを調製するために使用され得る。本開示における使用に適した市販のロジンの例としては、限定されないが、Arizona Chemical Company,LLCから市販されているトール油ロジン、例えばSYLVAROS(商標) 85、SYLVAROS(商標) 90、SYLVAROS(商標) R type S及びSYLVAROS(商標) NCYが挙げられる。
【0025】
ロジンは、市販の供給元、天然供給源又はその組合せから得られ得る。別の方法では、ロジンは、RECの調製におけるその使用の前に、1回以上の精製工程(例えば、減圧下での蒸留、抽出及び/又は晶析)に供され得る。一部の態様では、RECは、本明細書に開示した型のロジンの代わりに、又は本明細書に開示した型のロジンに加えて、1種類以上の精製ロジン酸(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、レボピマル酸、サンドラコピマル酸、イソピマル酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸又はその組合せ)を用いて調製される。
【0026】
一態様において、ロジンは、RECの調製のための混合物中に、約55重量%~約95重量%又は約60重量%~約93重量%又は約80重量%~約91重量%の量で存在させ得る。
【0027】
一部の態様では、ロジンは、得られるRECの化学的及び物理的特性を改善するために1回以上の加工処理工程に供され得る。また、化学的に許容される場合、かかる方法を、本明細書に開示した型のRECの調製の前、該調製と併存的に、又は該調製の後に行われ得る。
【0028】
一部の態様では、ロジンは、エステル化後に、具体的な用途のための所望の化学的及び物理的特性を有するロジンエステルを得るために、部分的に二量体化又は重合される。ロジンの重合及び二量体化反応は、特許出願、例えば、米国特許第2,369,125号、米国特許第2,017,866号及び米国特許第2,108,928号など(これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。かかるロジンの重合及び二量体化反応は、プレンステッドの酸、例えば硫酸又はルイス酸、例えばAlClによって触媒され得る。市販の重合ロジンの一例はDymerex(商標)であり、これはEastman Chemical Companyによって市販されている。POLYGRAL及びDERTOPOLは市販の重合ロジンの一例であり、これらはDRT(Derives Resiniques et Terpeniques)によって市販されている。
【0029】
一部の態様では、ロジンは、RECの調製において反応体として使用する前に不均化される。ロジンの不均化は、アビエタジエン酸部分をデヒドロアビエチン酸部分とジヒドロアビエチン酸部分に変換させるものである。不均化方法は、ロジンを、多くの場合、1種類以上の不均化剤の存在下で加熱することを伴うものであり得る。ロジンを不均化するための好適な方法は、例えば、米国特許第3,423,389号、同第4,302,371号及び同第4,657,703号(これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0030】
一部の特定の態様では、不均化ロジン又は部分不均化ロジンが、本明細書に開示した型のRECの調製における反応体として使用され得る。一部の場合では、RECの調製中(例えば、エステル化反応中)に、不均化又はさらなる不均化が実施され得る。例えば、不均化又は部分不均化ロジンをインサイチュで生成させ、その後、ワンポット合成手順で反応させると、本明細書に開示した型のRECが得られ得る。GRESINOX 578 M及びGRESINOX 511は市販の不均化ロジンの一例であり、これらはDRT(Derives Resiniques et Terpeniques)によって市販されている。
【0031】
一態様において、RECの調製のための反応混合物は、少なくとも1種類の多価アルコール(例えば、ポリアルコール又はポリオール)を含んでもよい。一部の態様では、該多価アルコールには、少なくとも2つのアルコール基(また、ヒドロキシ基とも称する);又は少なくとも3つのアルコール基;又は少なくとも4つのアルコール基を有する任意の炭化水素が包含され得る。該多価アルコールは、2~10個又は2~6個又は2~5個の平均ヒドロキシル官能部数を有するものであり得る。一部の態様では、該多価アルコールが、2~30個の炭素原子又は2~16個の炭素原子又は2~10個の炭素原子を含むものである。一態様において、該多価アルコールは約240℃より高い沸点を特徴とする。一態様において、該多価アルコールは、該モノアルコールは約230℃より高い沸点を特徴とするという条件で、多価アルコールの総重量に対して合計20重量%までの1種類以上のモノアルコールを含むものであってもよい。かかるモノアルコールの一例はジエチレングリコールモノヘキシルエーテルである。
【0032】
一部の態様では、該多価アルコールがグリコール、糖、還元糖、グリコールのオリゴマー又はその組合せを含む。他の一部の態様では、該多価アルコールが、脂肪族アルコール又は脂環式アルコールを含む。
【0033】
一態様において、該多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、工業用グレードのペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、ポリグリセロール、工業用グレードのポリグリセロール、ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール又はその組合せを含む。又は、該多価アルコールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、工業用グレードのペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリグリセロール、ポリグリセロール-4、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)又はその組合せを含む。
【0034】
一態様において、該多価アルコールは、RECの調製のための混合物中に、約5重量%~約35重量%又は約6重量%~約25重量%又は約8重量%~約20重量%の量で存在させ得る。
【0035】
一態様において、本明細書に開示した型のRECの調製のための反応混合物は少なくとも1種類の多価カルボン酸を含む。一部の態様では、該多価カルボン酸が脂肪族(例えば、脂環式)である。一部の態様では、該多価カルボン酸がジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸又はその組合せである。テトラカルボン酸の一例はcis,cis,cis,cis-1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸である。
【0036】
本開示における使用に適した脂肪族の多価カルボン酸としては、限定されないが、飽和型、部分不飽和、線状及び分枝状の多価カルボン酸が挙げられる。本開示における使用に適した脂環式の多価カルボン酸は、限定されないが、分子構造内に1~4つの環を含むものであり、単環式(環1つ)、二環式(環2つ)、三環式(環3つ)又は四環式(環3つ)と称する。1つより多くの環が存在している場合、環は、縮合環系、橋状結合型の縮合環系、スピロ環、単独の環又はその組合せとして存在し得る。
【0037】
一態様において、該多価カルボン酸はジカルボン酸、例えばショウノウ酸、cis-ノルボルネン-endo-2,3-カルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸であり、これらは、異なる立体異性体形態で存在していてもよい。本開示は、このような立体異性体のすべて及びその混合物、例えば、光学活性な立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオマーを、RECの調製における使用に適した多価カルボン酸として包含している。かかる立体異性体の例はシス型異性体及びトランス型異性体である。例えば、Eastmanによって市販されている1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(高純度グレード)(CAS番号1076-97-7)はシス型とトランス型の異性体混合物である。
【0038】
一部の態様では、該多価カルボン酸が、ジカルボン酸、飽和ジカルボン酸、部分飽和ジカルボン酸又はその組合せを含む。一部の態様では、該多価カルボン酸が、トリカルボン酸、飽和トリカルボン酸、部分飽和トリカルボン酸又はその組合せを含む。一部の態様では、該多価カルボン酸が、テトラカルボン酸、飽和テトラカルボン酸、部分飽和テトラカルボン酸又はその組合せを含む。
【0039】
一部の態様では、該多価カルボン酸が脂肪族の線状二価カルボン酸を含む。他の態様では、該多価カルボン酸が脂肪族の分枝状二価カルボン酸を含む。
【0040】
一態様において、該多価カルボン酸は脂肪族の線状二価カルボン酸を含む。本開示における使用に適した脂肪族の線状二価カルボン酸の例としては、限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸及びドデカンニ酸が挙げられる。
【0041】
一態様において、該多価カルボン酸は脂環式の飽和型二価カルボン酸である。本開示における使用に適した脂環式の飽和型二価カルボン酸の例としては、限定されないが、ショウノウ酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸及びノルボルナンベースのジカルボン酸が挙げられる。
【0042】
一態様において、該多価カルボン酸は脂環式の不飽和二価カルボン酸である。本開示における使用に適した脂環式の不飽和二価カルボン酸の例としては、限定されないが、ノルボルネンベースのジカルボン酸、例えばcis-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸及びその無水物誘導体cis-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0043】
一態様において、該多価カルボン酸はメルクシン酸(mercusic acid)を含む。ロジンは主にモノカルボン酸からなるが、ロジンはまた、特定のジカルボン酸、例えばメルクシン(ジヒドロアガシン(dihydroagathic))酸(CAS番号41787-69-3)を含有している場合もあり得ることが知られている。例えば、メルクシマツ(Pinus merkusii)はインドネシア及びフィリピン原産の松である。メルクシマツ(Pinus merkusii)に由来するロジンは、かなりの量のメルクシン酸を含んでもよい。パイナス・ラテリ(Pinus latteri)はカンボジア及びベトナム原産の松である。パイナス・ラテリ(Pinus latteri)に由来するロジンは一般に、メルクシン酸を含有している。
【0044】
1つ以上の修飾カルボキシル基を有する多価カルボン酸ベースの反応体を該多価カルボン酸の代わりに使用してもよい。例えば、上記のような部分エステル及び半エステルが多価カルボン酸の代わりに使用され得る。他の例としては、無水物、チオエステル及び塩化カルボニル(塩化アシル又は酸塩化物とも称される)が挙げられ、これらは多価カルボン酸として代用され得る。一般に、このような構造的に関連している反応体は、求核体(例えば、多価アルコールのヒドロキシル基)と求核性アシル置換機構によって反応し得るアシル基を含むものである。
【0045】
又は、無水物を反応体として、対応する多価カルボン酸の代わりに使用してもよい。例えば、無水コハク酸(ジヒドロ-2,5-フランジオンとも称される)がコハク酸の代わりに適用され得る。同様に、酸塩化物が反応体として、対応するカルボン酸の代わりに適用され得るか、又は対応するカルボン酸から誘導されるエステルの代わりに適用され得る。別の例として、メチルアジポイルクロリド(アジピン酸モノメチルエステル塩化物とも称される)が、アジピン酸又はアジピン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸モノメチルエステル、アジピン酸モノエチルエステル又は塩化アジポイルの代わりに使用され得る。
【0046】
一態様において、該多価カルボン酸は剛直性の脂環式のジカルボン酸である。本明細書において、「剛直性の」とは、分子構造の剛直性をいう。1つ以上の環構造の存在により剛直性が高まり得る。回転可能結合数は分子構造内の回転可能結合の総数である。回転可能結合の総数は、分子構造の剛直性の度合を示すために適用され得る。なんら特定の理論に拘束されないが、分子の剛直性は一般に、樹脂、例えば本開示のRECの軟化点及びガラス転移温度(T)との関連性を有すると考えられる。一態様において、多価カルボン(carboxcylic)酸はメルクシン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸又はその組合せである。
【0047】
一態様において、5~19個の炭素原子を有する該脂環式のジカルボン酸は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロオクタン、シクロオクテン、ノルボルネン又はノルボルナン親環系から誘導されるものである。
【0048】
一態様において、5~19個の炭素原子を有する該脂環式のジカルボン酸の平均回転可能結合数は5つより少ない、又は約0~約5つの回転可能結合である。
【0049】
一態様において、該多価カルボン酸(又は代替物、例えば対応する無水物)は、RECの調製のための混合物中に約0.01重量%~約15重量%又は約0.5重量%~約10重量%又は約2重量%~約7重量%の量で存在させ得る。
【0050】
親ジエン物質又は親エン物質で強化されたロジンベースの修飾ロジンエステルが知られており、いくつかの工業用途、例えば路面標示及び接着剤に使用されている。この目的のために適用される親ジエン物質又は親エン物質としては、限定されないが、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸が挙げられる。かかるディールス・アルダー反応又はエン反応で強化されたロジンエステルの製造には、分子量及びカルボキシル基の官能性を高めるために、エステル化反応の前にさらなる反応工程、すなわち、親ジエン物質、例えばマレイン酸(若しくは無水マレイン酸)又はフマル酸とロジンとの反応が必要とされる。また、ロジンエステルを親ジエン物質と反応させて、かかる修飾ロジンエステルを得てもよい。したがって、ロジンエステル化に加えてさらなるディールス・アルダー反応工程を適用すると、ロジンエステル製造方法にさらなる複雑さ、製造コスト及びサイクル時間が付加され得る。また、親ジエン物質又は親エン物質で強化されたロジンベースの修飾ロジンエステルは、製造においてかかるディールス・アルダー反応工程がないロジンエステルと比べて、あまり好都合でない規制状態を有する場合があり得る。一態様において、本明細書に記載のRECは、かかるディールス・アルダー反応工程がない方法論、すなわち、親ジエン物質又は親エン物質の添加がない方法論によって調製され得る。ディールス・アルダー反応、エン反応(アルダー・エン反応としても知られている)、親エン物質及び親ジエン物質に関するより包括的な情報は:M.B.Smith and J.March:Advanced organic chemistry,p.1103-1105及びp.1194-1215,6th ed.,(2007)John Wiley & Sons,New Jersey(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)において知得され得る。
【0051】
一態様において、RECは任意の適切な方法論によって調製され得る。例えば、本明細書に記載のRECは、エステル化法によって調製され得、この場合、RECのカルボン酸含有成分が1種類以上の多価アルコールでエステル化される。この型のエステル化反応は平衡反応である。反応が進行するにつれて形成される水を除去すると反応の平衡が生成物の形成に有利になるようにシフトし、それにより、反応が終了に向かって推進され得る。したがって、一部の態様では、RECを調製するための方法は、1種類以上のロジン、1種類以上のポリカルボン酸を含む混合物を1種類以上の多価アルコールでエステル化してRECを形成することを含んでもよい。このエステル化工程は、該混合物と該1種類以上の多価アルコールをある時間にわたって適切な条件下で反応させてRECを形成することを含んでもよい。任意選択的に、該エステル化工程は、エステル化反応の副産物として形成される水を除去することをさらに含むものであってもよい。任意選択的に、該エステル化工程は、該混合物及び該1種類以上の多価アルコールをエステル化触媒(例えば、カルシウム-ビス(((3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-エチルホスホネート))と接触させることを含むものであってもよい。他の態様では、該エステル化工程は、該混合物と該1種類以上の多価アルコールをエステル化触媒の非存在下で接触させることを含んでもよい。
【0052】
また、RECはエステル交換法によっても調製され得る。例えば、ロジン酸のメチルエステル又は水素化ロジン酸のメチルエステルをポリオールと、ロジン酸又は水素化ロジン酸とポリオールとの対応するエステル化反応ではなくエステル交換反応で反応させ得る。
【0053】
エステル化(又はエステル交換)反応後、未反応のロジン並びに他の揮発性成分は得られたREC生成物から、例えば、スチームスパージング、不活性ガス、例えば窒素ガスによるスパージング、ワイパ式(wiped)薄膜蒸発、ショートパス蒸発及び真空蒸留によって除去され得る。これにより、RECからの過剰のロジン酸(あれば)のストリッピング、それにより酸価の低減がもたらされる。エステル化(又はエステル交換)後、得られるRECに含まれる残留物質、例えば未反応のロジン酸、脱炭酸ロジン酸及び/又は未反応若しくは部分反応ポリアルコールは少量であり得る。上記の揮発性物質除去方法のうちの1つの後の酸価が低いことを特徴とするRECは、低分子量種の重量割合が比較的低いことを特徴とするものであり得る。この特性により該RECが、低移行及び/又は低揮発性有機化合物(VOC)含有量が有益な用途に特に好適となり得る。例は、接着剤及び低フォギング系における食品接触用途である。
【0054】
RECの調製のための反応に、触媒、漂白剤、安定剤及び/又は酸化防止剤をさらに含めてもよい。好適な触媒、漂白剤、安定剤及び酸化防止剤は、例えば、米国特許第2,729,660号、同第3,310,575号、同第3,423,389号、同第3,780,013号、同第4,172,070号、同第4,548,746号、同第4,690,783号、同第4,693,847号、同第4,725,384号、同第4,744,925号、同第4,788,009号、同第5,021,548号及び同第5,049,652号に記載されている。
【0055】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、約80℃~約150℃又は約90℃~約130℃又は約100℃~約120℃の軟化点を特徴とするものである。本明細書における軟化点は、底面に6.35mmの孔を有する円筒状カップ内に試料を吊るし、カップ内の試料に加えて直径8mmのステンレス鋼の球を中央に置き、試料を大気中にて線形速度で加熱した場合、この試料が、19mmの距離を流れ落ちて光ビームを遮るときの温度をいう。軟化点の温度は、ASTM E28-99(2009)によるリングボール法によって測定され得る。
【0056】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、56mg KOH/g未満又は約6mg KOH/g~約45mg KOH/g又は約7mg KOH/g~約40mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。本明細書においてヒドロキシル価は、遊離のヒドロキシル基を含む1グラムの化学物質のアセチル化で取り込まれた酢酸を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数をいう。ヒドロキシル価は、DIN 53240-2に従う方法又はその変形手順によって測定され得る。
【0057】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、150℃で約1,000mPa.s~約100,000mPa.s又は約500mPa.s~約50,000mPa.s又は約1,200mPa.s~約10,000mPa.s又は約1,300mPa.s~約3,000mPa.sの粘度を有する。
【0058】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、175℃で約200mPa.s~約10,000mPa.s又は約270mPa.s~約4,000mPa.s又は約270mPa.s~約1,000mPa.s又は約300mPa.s~約500mPa.sの粘度を有する。
【0059】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、200℃で約70mPa.s~約3000mPa.s又は約90mPa.s~約1,000mPa.s又は約90mPa.s~約200mPa.s又は約98mPa.s~約150mPa.sの粘度を有する。
【0060】
粘度の値は、“Standard Test Methods for Rheological Properties of Non-Newtonian Materials by Rotational Viscometer” という表題であるASTM D2196に記載の方法に従って測定した。スピンドル番号21を適用した。
【0061】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ゲル浸透クロマトグラフィー(chromatograpy)による測定時、約1,000g/mol~約12,000g/mol又は約1,200g/mol~約7,000g/mol又は約1,500g/mol~約2,500g/molの3次モーメント又は3乗平均分子量Mを特徴とするものである。3次モーメント又は3乗平均分子量(M)は、式1:
【0062】
【数1】
(式中、Nは種iの物質の量であり、Mは種iの分子量である)
に従って計算される高次分子量平均である。
【0063】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定時、約1,000g/mol~約4,000g/mol又は約1,100g/mol~約3,000g/mol又は約1,200g/mol~約1,700g/molの重量平均分子量(M)を特徴とするものである。Mは、樹脂(例えば、REC)の分子の重量平均の分布を示し、式2:
【0064】
【数2】
(式中、Nは種iの物質の量であり、Mは種iの分子量である)
に従って計算される。
【0065】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定時、約700g/mol~約2,500g/mol又は約800g/mol~約1,500g/mol又は約900g/mol~約1,300g/molの数平均分子量(M)を特徴とするものである。Mは、樹脂(例えば、REC)の分子の数平均の分布を示し、式3:
【0066】
【数3】
(式中、Nは種iの物質の量であり、Mは種iの分子量である)
に従って計算される。
【0067】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ASTM D5974-00(2010)に従う方法による測定時、約40%未満又は約20%未満又は約15%未満のPAN価を特徴とするものである。
【0068】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ASTM D465-05(2010)に従う方法による測定時、約40mg KOH/g未満又は約20mg KOH/g未満又は約10mg KOH/g未満の酸価を特徴とするものである。本明細書において酸価(“acid number”)は、1グラムの化学物質を中和するのに必要とされる水酸化カリウム(KOH)の質量(単位:ミリグラム)である“acid value”(酸価)(又は「中和価」又は「酸価」又は「酸性度」)をいう。
【0069】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、示差走査熱量測定による測定時、30℃~100℃又は40℃~80℃又は44℃~70℃のガラス転移温度を特徴とするものである。
【0070】
一部の態様では、RECは、多価アルコールと、反応混合物の総重量に対して約0.01~約15重量%の1種類以上のカルボン酸官能性有機化合物(例えば、多価カルボン酸)とを反応させることにより調製され、ここで、該1種類以上のカルボン酸官能性有機化合物は6未満(equal to less than)の平均回転可能結合数を有する。
【0071】
一部の態様では、RECは、ロジンと、多価アルコールと、反応混合物の総重量に対して約0.01重量%~約15重量%の1種類以上の多価カルボン酸とを反応させることにより調製され、ここで、該1種類以上の多価カルボン酸は、1~6つの平均回転可能結合数、例えば、1つ又は2つ又は3つ又は4つ又は5つ又は6つの回転可能結合を有する。本明細書において、1種類より多くの多価カルボン酸が使用される場合、回転可能結合数は、RECの調製に使用される多価カルボン酸ごとに異なっていてもよい。
【0072】
理論によって限定されることを望まないが、本明細書に開示した型の多価カルボン酸の使用により、高い軟化点の値を有するRECがもたらされ得る。回転可能結合数は、結合回りの自由回転を許容する該結合の数である。回転可能結合は、非末端重原子に結合している、環内のものでない任意の単結合と定義される。用語「重」は、本明細書において「非水素」を意味する。回転エネルギー障壁が高いため、アミドC-N結合は計数から除外する。
【0073】
例えば、分子の柔軟性の相対的度合の択一的な測定基準は、多価カルボン酸の炭素原子の数を回転可能結合数で割り算することによって得られ得る。これにより、線状二価カルボン酸のアジピン酸は6/5=1.2及びコハク酸は4/3=1.3の値が得られる。環式の二価カルボン酸の値の方が一般に大きく:例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸は8/2=4及び1,3-シクロペンタンジカルボン酸は7/2=3.5である。
【0074】
多価カルボン酸が脂環式の基を含む一部の態様では、個々の重量割合の寄与により計算したとき、平均回転可能結合数で割り算した該多価カルボン酸の平均炭素原子数は2より大きい。
【0075】
一部の態様では、個々の重量割合の寄与により計算したとき、平均回転可能結合数で割り算した多価カルボン酸すべての平均炭素原子数は、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が脂環式の多価酸である場合、1.5より大きいか、又は2.5より大きいか、又は3より大きい。例えば、40重量%のアジピン酸と60重量%の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ベースの混合物では、1.2x0.4+4x0.6=2.88の平均値が得られる。
【0076】
一部の態様では、本明細書に記載のRECが修飾ロジンエステルを含むものであって、該修飾ロジンエステルが、ロジンエステルを本明細書に記載の型の非芳香族ジカルボン酸と反応させることにより得られるものである。
【0077】
一部の態様では、本明細書に記載のRECが修飾ロジンエステルを含むものであって、該修飾ロジンエステルが、ロジンエステルを本明細書に記載の型の非親ジエン多価カルボン酸、例えば、本明細書に記載の型の飽和型の非親ジエンジカルボン酸と反応させることにより得られるものである。
【0078】
本明細書に開示した型のRECは、さまざまな用途、例えば、舗装道路の標示用配合物(例えば、熱可塑性の路面標示用塗料配合物)における添加剤として、ホットメルト接着剤及び感圧接着剤、接着剤分散体、例えば水性接着剤分散体における粘着付与剤、ゴム及び種々のプラスチック用の改質剤、合成ゴム用の乳化剤、チューインガム用の基材物質、コーティング組成物、インクにおける樹脂、並びに製紙用のサイジング剤として使用され得る。
【0079】
一態様において、本明細書に開示した型のRECは、ホットメルト接着剤などの接着剤を形成するための1種類以上のポリマーとともに使用され得る。接着剤における該ポリマーは任意の適切なポリマーであり得る。該ポリマーは、例えば、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルエステル、そのコポリマー又はそのブレンドであり得る。一部の場合では、該ポリマーが、1種類以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導されるものであり得る(例えば、1種類以上のエチレン性不飽和モノマーは、スチレン、エチレン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリレートモノマー、酢酸ビニル、ビニルエステルモノマー及びその組合せから選択される)。一部の態様では、該ポリマーが、エチレンとアクリル酸n-ブチルのコポリマーを含んでもよい。一部の態様では、該ポリマーが、スチレンとイソプレン及びブタジエンのうちの1種類以上とのコポリマーを含んでもよい。一部の態様では、該ポリマーが、スチレンとイソプレン及びブタジエンのうちの1種類以上とのブロックコポリマーを含んでもよい。一部の態様では、該ポリマーが、スチレンとイソプレン及びブタジエンのうちの1種類以上との水素化ブロックコポリマーを含んでもよく、ここで、イソプレン及びブタジエンのうちの1種類以上が水素化又は部分水素化されている。一部の特定の態様では、1種類以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導される該ポリマーが、酢酸ビニルから誘導されるポリマーを含む。酢酸ビニルから誘導されるポリマーとしては、少なくとも一部において酢酸ビニルモノマーの重合により誘導されるポリマーが挙げられる。例えば、酢酸ビニルから誘導される該ポリマーは、酢酸ビニルのホモポリマー(すなわち、ポリ酢酸ビニル;PVA)であり得る。また、酢酸ビニルから誘導される該ポリマーは、酢酸ビニルと1種類以上のさらなるエチレン性不飽和モノマーのコポリマー(例えば、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル),EVA)であってもよい。
【0080】
ホットメルト接着剤には、1種類以上のさらなる成分、例えば、さらなる粘着付与剤、ワックス、安定剤(例えば、酸化防止剤)、テンプレート剤(templating agent)、顔料及び色素、可塑剤並びにフィラーが含められ得る。ホットメルト接着剤組成物には一般に、1種類以上のワックス、例えばフィッシャー・トロプシュワックス又はパラフィンワックスが含有される。Liuに対するUS8,921,464 B2には、ホットメルト接着剤に適用され得るワックス成分が記載されている。かかるワックスとしては、石油系ワックス、合成ワックス並びに天然ワックス、例えば、植物及び動物由来のワックスが挙げられる。ワックスとしては、限定されないが、パラフィンベースのワックス、マイクロクリスタリンワックス、高密度低分子量ワックス、低純度精製ワックス、高純度精製ワックス(これは、シャープな融点をもたらす)並びに合成フィッシャー・トロプシュワックス、例えば、低融点フィッシャー・トロプシュワックス及び酸化フィッシャー・トロプシュワックスが挙げられる。テンプレート剤は、Liu et alに対するUS8,921,464 B2(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0081】
ホットメルト接着剤としては低温塗布ホットメルト接着剤が挙げられ、これは一般的に、エチレンコポリマー、例えば、エチレンn-ブチルアクリレート(EnBA)コポリマー(高いメルトフロー(MI)インデックス値を有するもの、例えば、750グラム以上/10分のMI値を有するものなど)の混合物を含む。低温塗布ホットメルト接着剤は、約100℃~約150℃の温度で塗布され得るホットメルト接着剤をもたらし得る、EnBAコポリマーを含むブレンド、例えばポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル(EVA)コポリマーとのブレンドを含む。かかる低温塗布ホットメルト接着剤に、並外れた強靭性、良好な耐熱性及び許容範囲の塗布粘度を伴う良好な結合強度を有する他のコポリマー、例えばエチレンエチルヘキシルアクリレート、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート及びその組合せを含めてもよい。
【0082】
一部の態様では、RECが、ゴム高分子(例えば、スチレンとイソプレン及びブタジエンのうちの1種類以上とから誘導されるコポリマー)とフィラーを含むタイヤトレッド組成物の一成分であり得る。本明細書に開示した型のRECはタイヤトレッド組成物中に、100重量部の該ゴム高分子に対して1~80重量部(例えば、2~75重量部、5~70重量部、35~75重量部又は55~75重量部)の量で存在させ得る。
【0083】
一態様において、組成物は、(a)該組成物の総重量に対して1重量%~60重量%のポリマー又はポリマーブレンドと;(b)該組成物の総重量に対して1重量%~60重量%の、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している。
【0084】
熱可塑性の路面標示用組成物は、(a)該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して20重量%までのポリマーと;(b)該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して5重量%~30重量%の、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している。
【0085】
熱可塑性の路面標示用組成物は、(a)該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して20重量%までのポリマーと;(b)該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して5重量%~30重量%の、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0086】
接着剤組成物は、(a)該接着剤組成物の総重量に対して10重量%~60重量%までのポリマーと;(b)該接着剤組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している。
【0087】
接着剤組成物は、(a)該接着剤組成物の総重量に対して10重量%~60重量%までのポリマーと;(b)該接着剤組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0088】
ホットメルト接着剤組成物は、(a)該ホットメルト接着剤組成物の総重量に対して20重量%~50重量%までのポリマーと;(b)10重量%~60重量%の1種類以上の、トール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物(ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い)と;(c)該ホットメルト接着剤組成物の総重量に対して5重量%~35重量%の1種類以上のワックスとを含んでもよい。
【0089】
接着剤組成物を調製するための方法は、1種類以上のポリマーとオリゴエステル組成物とを混合することを含んでもよく、ここで、該オリゴエステル組成物は、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0090】
熱可塑性の路面標示用組成物を調製するための方法は、1種類以上のポリマーとオリゴエステル組成物とを混合することを含んでもよく、ここで、該オリゴエステル組成物は、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0091】
ホットメルト接着剤組成物を調製するための方法は、1種類以上のポリマー、1種類以上のワックス及びオリゴエステル組成物を混合することを含んでもよく、ここで、該オリゴエステル組成物は、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0092】
タイヤトレッド組成物を調製するための方法は、1種類以上のゴム高分子、1種類以上のフィラー及びオリゴエステル組成物を混合することを含んでもよく、ここで、該オリゴエステル組成物は、1種類以上のトール油ベースロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0093】
タイヤトレッド組成物は、(a)ゴム高分子と;(b)フィラーと;(c)100重量部の該ゴム高分子に対して1~80重量部の、1種類以上のロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している。
【0094】
タイヤトレッド組成物は、(a)ゴム高分子と;(b)フィラーと、(c)100重量部の該ゴム高分子に対して5~70部(重量部)の、1種類以上のトール油ロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0095】
タイヤトレッド組成物は、(a)スチレンとイソプレン及びブタジエンからなる群より選択される1種類以上のモノマーから誘導されるコポリマーと;(b)フィラーと;(c)100重量部の該コポリマーに対して5~70重量部の、1種類以上のトール油ロジン;1種類以上の多価アルコール;及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含んでもよく;ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い。
【0096】
一態様において、オリゴエステル組成物の製造方法は、1種類以上のロジン及び1種類以上の多価カルボン酸を1種類以上のアルコールと少なくとも150℃の温度で接触させて反応混合物を生成させること(ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸である);並びに該反応混合物を、最高温度300℃にて、エステル化触媒の非存在下、又は存在下及び不均化触媒の存在下又は非存在下で、エステル化することを含んでもよい。かかる態様では、該オリゴエステル組成物が、t トール油ロジン、ウッドロジン、ガムロジン、水素化ロジン、水素化ガムロジン、不均化ロジン、部分不均化ロジン又はその組合せから誘導されるものである。不均化触媒は反応混合物と、該反応混合物の総重量に対して不均化触媒が0.05重量%より多い量で接触させる。
【実施例
【0097】
以下の実施例を、本開示の本開示内容の具体的な態様として、並びにその実施及び利点を実証するために示す。本実施例は一例として示したものであり、本明細書又は以下の特許請求の範囲を、なんらの様式においても限定することを意図するものでないことを理解されたい。
【0098】
物質はすべて、特に記載のない限り、以下の方法を用いて特性評価した。ヒドロキシル価は、“Determination of Hydroxyl Value-Part 2:Method with Catalyst”という表題であるDIN 53240-2(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の変形法に従って測定した(異なる溶媒テトラヒドロフランを適用した)。オリゴエステル(テトラヒドロフランに溶解)を無水酢酸と、4-ジメチルアミノピリジンの存在下で反応させた。残留無水酢酸を加水分解し、得られた混合物を水酸化カリウムのアルコール性溶液(0.5M)で滴定した。酸価は、“Standard Test Methods for Acid Number of Naval Stores Products Including Tall Oil and Other Related Products”という表題であるASTM D465-05(2010)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って測定した。軟化点は、“Standard Test Methods for Softening Point of Resins Derived from Naval Stores by Ring-and-Ball Apparatus”という表題であるASTM E28-99(2009)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って測定した。PAN価及びデヒドロアビエチン酸含有量は、“Standard Test Methods for Fatty and Rosin Acids in Tall Oil Fractionation Products by Capillary Gas Chromatography”という表題であるASTM D5974-00(2010)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って測定した。具体的には、試料(1.00g)と10mLの2N水酸化カリウム(KOH)(エタノール中)を高圧マイクロ波反応槽に添加した。反応槽を密封し、Perkin Elmer MULTIWAVE(商標) 3000 Microwave Systemのローター内に入れた。試料をマイクロ波中で150℃にて30分間ケン化させた。マイクロ波支援ケン化が終了したら、反応混合物を分液漏斗に移して希塩酸を添加し、pH値を4未満まで下げた。これにより、反応混合物中のロジン石鹸をロジン酸に変換させた。得られたロジン酸をジエチルエーテル抽出によって単離した。ジエチルエーテル溶媒を除去したら、ロジン酸を誘導体化し、ガスクロマトグラフを用いてASTM D5974-00(2010)に従って分析した。すべての物質のガードナー色数の色は、“Standard Test Method for Color of Transparent Liquids(Gardner Color Scale)”という表題であるASTM D1544-04(2010)(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に規定されたGardner Colorスケールに従って測定した。ガードナー色数の色は、無希釈で、Dr Lange LICO(R) 200比色計を用いて測定した。オリゴエステルの分子量分布並びにM、M及びM値の誘導は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した:機器の説明:Viscotek TDA305トリプルディテクターアレイを備えたViscotek GPC-Maxを適用した。カラムセットの説明:PL-gel Guardカラム(3μm,50x7.5mm,カタログ番号PL1110-1320)と3 times PL-gel Mixed E(3μm,300x7.5mm,カタログ番号PL110-6300)を適用した。テトラヒドロフラン(Biosolve AR等級,0.02~0.03%の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)で安定化,カタログ番号20630502)を溶離剤として適用した。適用した流速は1.0ml/分であった。適用した温度は40℃であった。試料調製の説明:約30mgの試料を厳密に量り取り、10.0mlの溶離剤に溶解させ、10.0μlのトルエンを流速マーカーとして添加した。適用したインジェクション容量は100μlであった。較正の説明:約162Da~約51,000Daの範囲の8種類の標準ポリスチレンに対する慣用的な較正を適用した。オリゴエステルのガラス転移温度(Tg)の値は示差走査熱量測定(DSC)によって測定した:機器の説明:ULSP 130 プローブ投げ込み式クーラー(immersion probe cooler)を備えたMettler Toledo DSC 821e。カップの説明:孔のあいた蓋を有する40μl容のアルミニウム製カップ。適用したガス及び流速:N,65ml/分。温度プログラムの説明(基本温度プログラム;加熱速度及び冷却速度は標準としたが、実際の最低温度及び最高温度は必要に応じて加減され得る):(i)第1セグメント:25℃~160℃(20℃/分);(ii)第2セグメント:160℃~-60℃(-10℃/分);及び(iii)第3セグメント:-60℃~160℃(10℃/分)。
【0099】
試料の採取量:およそ10mg。加工処理の説明:ガラス転移温度(Tg)は第3セグメント(すなわち、第2加熱曲線)において測定する。粘度の値は、“Standard Test Methods for Rheological Properties of Non-Newtonian Materials by Rotational Viscometer”という表題であるASTM D2196に記載の方法に従って測定した。スピンドル番号21を適用した。
【0100】
[実施例1]
トール油ロジン(600グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジ(low condenser bridge)と接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(68.027g)とLowinox(商標) TBM-6(0.6g)を添加した。180℃で、アジピン酸(12.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。285℃で、水(1.8g)中50%の酢酸マグネシウム四水和物の溶液を滴下した。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル1は、96.7℃の軟化点、6.5mg KOH/gオリゴエステルの酸価、8.6mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、1885g/molのMz値、1452g/molのMw値、1115g/molのMn値、50.3℃のTg、ガードナー色数6.3の色(無希釈)並びに150℃で1352mPa.s、175℃で262mPa.s及び200℃で86mPa.sの粘度を示すものであった。
【0101】
[実施例2]
トール油ロジン(600グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(69.554g)とLowinox(商標) TBM-6(0.6g)を添加した。180℃で、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(18.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。285℃で、水(1.8グラム)中50%の酢酸マグネシウム四水和物の溶液を滴下した。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル2は、101.2℃の軟化点、8.3mg KOH/gオリゴエステルの酸価、7.4mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、2199g/molのMz値、1595g/molのMw値、1138g/molのMn値、53.3℃のTg、ガードナー色数6.2の色(無希釈)並びに150℃で2218mPa.s、175℃で385mPa.s及び200℃で119mPa.sの粘度を示すものであった。
【0102】
[実施例3]
トール油ロジン(600グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(67.182g)とLowinox(商標) TBM-6(0.6g)を添加した。180℃で、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(12.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。285℃で、水(1.8グラム)中50%の酢酸マグネシウム四水和物の溶液を滴下した。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル3は、99.6℃の軟化点、6.8mg KOH/gオリゴエステルの酸価、8.1mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、1949g/molのM値、1493g/molのM値、1132g/molのM値、51.8℃のT、ガードナー色数6.5の色(無希釈)並びに150℃で1755mPa.s、175℃で317mPa.s及び200℃で99mPa.sの粘度を示すものであった。
【0103】
[実施例4]
トール油ロジン(600グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で195℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(69.554g)、Rosinox(商標)(1.2g)とIrganox(商標) 1425(1.2g)を添加した。180℃で、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(18.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル4は、97.8℃の軟化点、7.1mg KOH/gオリゴエステルの酸価、2216g/molのM値、1622g/molのM値、1179g/molのM値、51.8℃のTg及びガードナー色数4.6の色(無希釈)を示すものであった。
【0104】
[実施例5]
トール油ロジン(600グラム,179mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(68.57g)とLowinox(商標) TBM-6(0.6g)を添加した。180℃で、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(12.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。285℃で、水(1.8グラム)中50%の酢酸マグネシウム四水和物の溶液を滴下した。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル5は、106.6℃の軟化点、4.2mg KOH/gオリゴエステルの酸価、1992g/molのMz値、1519g/molのMw値、1190g/molのMn値及びガードナー色数6.4の色(無希釈)を示すものであった。
【0105】
[実施例6]
トール油ロジン(600グラム,179mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(1L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(70.94g)とLowinox(商標) TBM-6(0.6g)を添加した。180℃で、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(18.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。285℃で、水(1.8グラム)中50%の酢酸マグネシウム四水和物の溶液を滴下した。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。Irganox(商標) 565(0.480gを添加し)、反応混合物を、15分間のアジテーション後に排出させた。得られたオリゴエステル6は、108.3℃の軟化点、4.3mg KOH/gオリゴエステルの酸価、6.2mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、2372g/molのMz値、1710g/molのMw値、1280g/molのMn値及びガードナー色数6.6の色(無希釈)を示すものであった。
【0106】
[実施例7]
トール油ロジン(300グラム,180mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。
【0107】
ペンタエリスリトール(40.49g)、Rosinox(商標)(0.72g)、Irganox(商標) 1425(0.72g)及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(21.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、1時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を200℃まで冷却し、排出させた。得られたオリゴエステル7は、125.9℃の軟化点、1.3mg KOH/gオリゴエステルの酸価、6175g/molのMz値、2987g/molのMw値、1698g/molのMn値、ガードナー色数6.2の色(無希釈)並びに150℃で44300mPa.s、175℃で3554mPa.s及び200℃で645mPa.sの粘度を示すものであった。
【0108】
[実施例8]
トール油ロジン(300グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で195℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。
【0109】
Glycerol(42.44g)、Rosinox(商標)(0.72g)、Irganox(商標) 1425(0.72g)及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(30.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて275℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~320℃までは30℃/時、230℃~275℃までは20℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。275℃で8時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、1時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却し、排出させた。得られたオリゴエステル8は、91.4℃の軟化点、9.6mg KOH/gオリゴエステルの酸価、2468g/molのMz値、1558g/molのMw値、1039g/molのMn値、45.0℃のTg及びガードナー色数3.2の色(無希釈)を示すものであった。
【0110】
[実施例9]
トール油ロジン(300グラム,180mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で195℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。
【0111】
Glycerol(39.584g)、Lowinox(商標) TBM-6(0.6g)、Irganox(商標) 1425(0.6g)及びcis-5-ノルボルネン-endo-2,3-ジカルボン酸(21.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて275℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~275℃までは30℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。275℃で8時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却し、排出させた。
【0112】
得られたオリゴエステル9は、104.7℃の軟化点、9.4mg KOH/gオリゴエステルの酸価、2124g/molのMz値、1350g/molのMw値、1000g/molのMn値及び60.2℃のTgを示すものであった。
【0113】
[実施例10]
トール油ロジン(300グラム,180mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で195℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。トリメチロールプロパン(50.3g)と1,4-シクロヘキサンジメタノール(13.9g)を添加した。180℃で、Lowinox(商標) TBM-6(0.6g)、Irganox(商標) 1425(0.6g)、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸(15.0g)、ショウノウ酸(6.0g)及びcis,cis,cis,cis-1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸(1.5g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて275℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~275℃までは30℃/時。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。275℃で8時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却し、排出させた。得られたオリゴエステル10は、95.1℃の軟化点、7.4mg KOH/gオリゴエステルの酸価、10.4mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、2315g/molのMz値、1448g/molのMw値、985g/molのMn値、48.3℃のTg並びに150℃で1022mPa.s、175℃で217mPa.s及び200℃で74mPa.sの粘度を示すものであった。
【0114】
[実施例11]
トール油ロジン(300グラム,175mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、温度調節器、N供給口及びメカニカルスターラーを備えており、ロー・コンデンサー・ブリッジと接続した四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で195℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(38.101g)、Lowinox(商標) TBM-6(0.6g)及びIrganox(商標) 1425(0.6g)を添加した。180℃で、ショウノウ酸(9.0g)を添加した。反応混合物を180℃まで、続いて285℃まで加熱した(加熱速度:180℃~200℃までは15℃/時;200℃~230℃までは30℃/時、230℃~250℃までは20℃/時;250℃~285℃までは10℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。285℃で5時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を190℃まで冷却した。得られたオリゴエステル11は、101.6℃の軟化点及び4.0mg KOH/gオリゴエステルの酸価を示すものであった。
【0115】
[実施例12]
トール油ロジン(300グラム,174mg KOH/gロジンの酸価を有する)を、四つ口フラスコ(0.5L容)内に仕込み、窒素雰囲気下で190℃まで加熱した。ロジンが完全に溶融した後、得られた溶液を撹拌した。ペンタエリスリトール(40.50g)、Rosinox(商標)(0.6g)、Irganox(商標) 1425(0.6g)、アジピン酸(4.5g)及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(9.0g)を添加した。反応混合物を200℃まで、続いて275℃まで加熱した(加熱速度:200℃~275℃まで30℃/時)。エステル化反応中、形成された水を蒸気として逸出させた。275℃で8時間後、残留ロジン酸及び他の揮発性物質を、2時間の窒素スパージング中にストリッピングによって除去し、続いて、反応混合物を200℃まで冷却し、排出させた。得られたオリゴエステル12は、102.1℃の軟化点、1.6mg KOH/gオリゴエステルの酸価、15.6mg KOH/gオリゴエステルのヒドロキシル価、2541g/molのMz値、1745g/molのMw値、1271g/molのMn値、54.3℃のTg及びガードナー色数4.9の色(無希釈)を示すものであった。
【0116】
さらなる開示
本開示の以下に列記する態様は非限定的な例として示したものである。
【0117】
クレーム1:第1の態様において、オリゴエステル組成物は、1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び脂肪族ジカルボン酸を含む1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるものであり、ここで、該脂肪族ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含む。
【0118】
クレーム2:1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び飽和ジカルボン酸を含む1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含み、ジカルボン酸の総量が、全反応体の重量基準でゼロより多く15重量%までであるオリゴエステル組成物。
【0119】
クレーム3:オリゴエステルが、アルコール、ロジン及び全反応体の重量に対して約0.01重量%~約15重量%の、1種類以上のジカルボン酸を含む多価カルボン酸から誘導されるものであり;ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり;該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多いか、又は該ジカルボン酸のうちの1種類がシュウ酸である、クレーム1~2のいずれかに記載の組成物。
【0120】
クレーム4:オリゴエステルが、アルコール、ロジン及び該オリゴエステルの調製のための混合物中に存在している全反応体の重量に対して約0.01重量%~約15重量%の、1種類以上の飽和ジカルボン酸を含む多価カルボン酸から誘導されるものであり;ここで、該飽和ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり;該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い、クレーム1~3のいずれかに記載の組成物。
【0121】
クレーム5:5~19個の炭素原子を有する該脂環式の多価カルボン酸の平均回転可能結合数が5つより少ない、クレーム1に記載の組成物。
【0122】
クレーム6:多価カルボン酸の平均炭素原子数と多価カルボン酸の平均回転可能結合数の比が1.5より大きい、クレーム1~5のいずれかに記載の組成物。
【0123】
クレーム7:多価カルボン酸が脂環式の多価カルボン酸を含み、脂環式の多価カルボン酸の平均炭素原子数と該脂環式の多価カルボン酸の平均回転可能結合数の比が3より大きい、クレーム1~6のいずれかに記載の組成物。
【0124】
クレーム8:多価カルボン酸の平均炭素原子数と平均回転可能結合数の比が2より大きい、クレーム1~7のいずれかに記載の組成物。
【0125】
クレーム9:多価カルボン酸が脂環式の多価カルボン酸を含み、脂環式の多価カルボン酸の平均炭素原子数と該脂環式の多価カルボン酸の平均回転可能結合数の比が2より大きい、クレーム9に記載の組成物。
【0126】
クレーム10:該1種類以上の多価カルボン酸が、オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対して約1重量%~約10重量%の量で存在している、クレーム1~9のいずれかに記載の組成物。
【0127】
クレーム11:該1種類以上の多価カルボン酸が、オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対して約2重量%~約7重量%の量で存在している、クレーム1~10のいずれかに記載の組成物。
【0128】
クレーム12:多価カルボン酸が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含み、5~19個の炭素原子を有する該脂環式のジカルボン酸が、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、、シクロオクタン、シクロオクテン、ノルボルネン又はノルボルナン親環系から誘導されるものである、クレーム1~11のいずれかに記載の組成物。
【0129】
クレーム13:多価カルボン酸が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含み、5~19個の炭素原子を有する該脂環式のジカルボン酸が、ショウノウ酸、cis-ノルボルネン-endo-2,3-カルボン酸、cis-ノルボルナン-endo-2,3-カルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸から選択される、クレーム1~12のいずれかに記載の組成物。
【0130】
クレーム14:多価カルボン酸が1種類以上の脂肪族の線状二価カルボン酸及び/又は1種類以上の分枝状二価カルボン酸を含む、クレーム1~13のいずれかに記載の組成物。
【0131】
クレーム15:多価カルボン酸が1種類以上の脂肪族の線状二価カルボン酸を含む、クレーム1~14のいずれかに記載の組成物。
【0132】
クレーム16:脂肪族の線状二価カルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸及びドデカンニ酸を含む、クレーム15~16のいずれか一項に記載の組成物。
【0133】
クレーム17:56mg KOH/g未満のヒドロキシル価を有する、クレーム1~16のいずれかに記載の組成物。
【0134】
クレーム18:約6mg KOH/g~約45mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、クレーム1~17のいずれかに記載の組成物。
【0135】
クレーム19:約7mg KOH/g~約40mg KOH/gのヒドロキシル価を有する、クレーム1~18のいずれかに記載の組成物。
【0136】
クレーム20:約40mg KOH/g未満の酸価を有する、クレーム1~19のいずれかに記載の組成物。
【0137】
クレーム21:約20mg KOH/g未満の酸価を有する、クレーム1~20のいずれかに記載の組成物。
【0138】
クレーム22:約10mg KOH/g未満の酸価を有する、クレーム1~21のいずれかに記載の組成物。
【0139】
クレーム23:約80℃~約150℃の軟化点を有する、クレーム1~22のいずれかに記載の組成物。
【0140】
クレーム24:約90℃~約130℃の軟化点を有する、クレーム1~23のいずれかに記載の組成物。
【0141】
クレーム25:約100℃~約120℃の軟化点を有する、クレーム1~24のいずれかに記載の組成物。
【0142】
クレーム26:150℃で約1,000mPa.s~約100,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~25のいずれかに記載の組成物。
【0143】
クレーム27:150℃で約500mPa.s~約50,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~26のいずれかに記載の組成物。
【0144】
クレーム28:150℃で約1,200mPa.s~約10,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~27のいずれかに記載の組成物。
【0145】
クレーム29:175℃で約200mPa.s~約10,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~28のいずれかに記載の組成物。
【0146】
クレーム30:175℃で約270mPa.s~約4,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~29のいずれかに記載の組成物。
【0147】
クレーム31;175℃で約270mPa.s~約1,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~30のいずれかに記載の組成物。
【0148】
クレーム32:200℃で約70mPa.s~約3,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~31のいずれかに記載の組成物。
【0149】
クレーム33:200℃で約90mPa.s~約1,000mPa.sの粘度を有する、クレーム1~32のいずれかに記載の組成物。
【0150】
クレーム34:200℃で約90mPa.s~約200mPa.sの粘度を有する、クレーム1~33のいずれかに記載の組成物。
【0151】
クレーム35:約40%未満のPAN価を有する、クレーム1~34のいずれかに記載の組成物。
【0152】
クレーム36:約20%未満のPAN価を有する、クレーム1~35のいずれかに記載の組成物。
【0153】
クレーム37:約15%未満のPAN価を有する、クレーム1~36のいずれかに記載の組成物。
【0154】
クレーム38:30℃~100℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~37のいずれかに記載の組成物。
【0155】
クレーム39:40℃~80℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~38のいずれかに記載の組成物。
【0156】
クレーム40:44℃~70℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~39のいずれかに記載の組成物。
【0157】
クレーム41:150℃で約1,000mPa.s~約100,000mPa.sの粘度及び30℃~100℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【0158】
クレーム42:175℃で約200mPa.s~約10,000mPa.sの粘度及び30℃~100℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【0159】
クレーム43:200℃で約70mPa.s~約3,000mPa.sの粘度及び30℃~100℃のガラス転移温度を有する、クレーム1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【0160】
クレーム44:約700g/mol~約2,500g/molの数平均分子量(Mn)を有する、クレーム1~43のいずれかに記載の組成物。
【0161】
クレーム45:約800g/mol~約1,500g/molの数平均分子量(Mn)を有する、クレーム1~44のいずれかに記載の組成物。
【0162】
クレーム46:約900g/mol~約1300g/molの数平均分子量(Mn)を有する、クレーム1~45のいずれかに記載の組成物。
【0163】
クレーム47:約1,000g/mol~約4,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、クレーム1~46のいずれかに記載の組成物。
【0164】
クレーム48:約1,100g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、クレーム1~47のいずれかに記載の組成物。
【0165】
クレーム49:約1,200g/mol~約1,700g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、クレーム1~48のいずれかに記載の組成物。
【0166】
クレーム50:約1,000g/mol~約12,000g/molの3乗平均分子量(Mz)を有する、クレーム1~49のいずれかに記載の組成物。
【0167】
クレーム51:約1,200g/mol~約7,000g/molの3乗平均分子量(Mz)を有する、クレーム1~50のいずれかに記載の組成物。
【0168】
クレーム52:約1,500g/mol~約2,500g/molの3乗平均分子量(Mz)を有する、クレーム1~51のいずれかに記載の組成物。
【0169】
クレーム53:多価アルコールが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する任意の炭化水素を含む、クレーム1~52のいずれかに記載の組成物。
【0170】
クレーム54:多価アルコールが2~10個の平均ヒドロキシル官能部数を有する、クレーム1~53のいずれかに記載の組成物。
【0171】
クレーム55:多価アルコールが2~30個の炭素原子を含む、クレーム1~54のいずれかに記載の組成物。
【0172】
クレーム56:多価アルコールが合計20重量%までの1種類以上のモノアルコールを含み、該モノアルコールが約230℃より高い沸点を特徴とするものである、クレーム1~55のいずれかに記載の組成物。
【0173】
クレーム57:多価アルコールが脂肪族アルコール又は脂環式アルコールを含む、クレーム1~56のいずれかに記載の組成物。
【0174】
クレーム58:多価アルコールがグリコール、糖、還元糖、グリコールのオリゴマー又はその組合せを含む、クレーム1~57のいずれかに記載の組成物。
【0175】
クレーム59:多価アルコールがエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、工業用グレードのペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、ポリグリセロール、工業用グレードのポリグリセロール、ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン-4,8-ジメタノール、水素化ビスフェノールA(4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキサノール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール又はその組合せを含む、クレーム1~58のいずれかに記載の組成物。
【0176】
クレーム60:多価アルコールが、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対して約5重量%~約35重量%の量で存在している、クレーム1~59のいずれかに記載の組成物。
【0177】
クレーム61:ロジンがトール油ロジン、ウッドロジン、ガムロジン、水素化ロジン、水素化ガムロジン、不均化ロジン、部分不均化ロジン又はその組合せを含む、クレーム1~60のいずれかに記載の組成物。
【0178】
クレーム62:トール油ロジンから誘導されるものである、クレーム1~61のいずれかに記載の組成物。
【0179】
クレーム63:ロジンが、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対して約55重量%~約95重量%の量で存在している、クレーム1~62のいずれかに記載の組成物。
【0180】
クレーム64:多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、非親ジエン多価カルボン酸である、クレーム1~63のいずれかに記載の組成物。
【0181】
クレーム65:非親ジエン多価カルボン酸が飽和型の非親ジエンジカルボン酸を含む、クレーム65に記載の組成物。
【0182】
クレーム66:組成物の総重量に対して1重量%~60重量%のポリマー又はポリマーブレンドと;組成物の総重量に対して1重量%~60重量%の、1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含む組成物であって、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している組成物。
【0183】
クレーム67:熱可塑性の路面標示用組成物であって、該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して20重量%までのポリマーと;該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して5重量%~30重量%の、1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含み、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している熱可塑性の路面標示用組成物。
【0184】
クレーム68:熱可塑性の路面標示用組成物であって、該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して20重量%までのポリマーと、該熱可塑性の路面標示用組成物の総重量に対して5重量%~30重量%の、1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含み、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い熱可塑性の路面標示用組成物。
【0185】
クレーム69:接着剤組成物であって、該接着剤組成物の総重量に対して10重量%~60重量%までのポリマーと;該接着剤組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の、1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含み、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在している接着剤組成物。
【0186】
クレーム70:接着剤組成物であって、該接着剤組成物の総重量に対して10重量%~60重量%までのポリマーと、該接着剤組成物の総重量に対して5重量%~60重量%の、1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含み、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い接着剤組成物。
【0187】
クレーム71:ホットメルト接着剤組成物であって、該ホットメルト接着剤組成物の総重量に対して20重量%~50重量%までのポリマーと;10重量%~60重量%の、1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物(ここで、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸は、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数は炭素原子の数より多い)と、該ホットメルト接着剤組成物の総重量に対して5重量%~35重量%の1種類以上のワックスとを含むホットメルト接着剤組成物。
【0188】
クレーム72:1種類以上のポリマーとオリゴエステル組成物とを混合することを含む、接着剤組成物を調製するための方法であって、該オリゴエステル組成物が:1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い方法。
【0189】
クレーム73:1種類以上のポリマーとオリゴエステル組成物とを混合することを含む、熱可塑性の路面標示用組成物を調製するための方法であって、該オリゴエステル組成物が:1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い方法。
【0190】
クレーム74:1種類以上のポリマー、1種類以上のワックス及びオリゴエステル組成物を混合することを含む、ホットメルト接着剤組成物を調製するための方法であって、該オリゴエステル組成物が:1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり;該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い方法。
【0191】
クレーム75:1種類以上のゴム高分子、1種類以上のフィラー及びオリゴエステル組成物を混合することを含むタイヤトレッド組成物を調製するための方法であって、該オリゴエステル組成物が:1種類以上のトール油ベースロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるものであり、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多い方法。
【0192】
クレーム76:ゴム高分子と、フィラーと、100重量部の該ゴム高分子に対して1~80重量部の、1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上の多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含むタイヤトレッド組成物であって、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸であり、該1種類以上の多価カルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しているタイヤトレッド組成物。
【0193】
クレーム77:ゴム高分子と、フィラーと、100重量部の該ゴム高分子に対して5~70部(重量部)の、1種類以上のトール油ロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含むタイヤトレッド組成物であって、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多いタイヤトレッド組成物。
【0194】
クレーム78:スチレンとイソプレン及びブタジエンからなる群より選択される1種類以上のモノマーとから誘導されるコポリマーと、フィラーと、100重量部の該コポリマーに対して5~70重量部の、1種類以上のトール油ロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上のジカルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物とを含むタイヤトレッド組成物であって、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸であり、該1種類以上のジカルボン酸が、該オリゴエステル組成物の調製のための混合物中に、全反応体の重量に対してゼロより多く約15重量%までの量で存在しており、該ジカルボン酸の分子式において水素原子の数が炭素原子の数より多いタイヤトレッド組成物。
【0195】
クレーム79:1種類以上のロジン及び1種類以上の多価カルボン酸を1種類以上のアルコールと少なくとも150℃の温度で接触させて反応混合物を生成させること(ここで、該多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸である)、並びに該反応混合物を、最高温度300℃にて、エステル化触媒の非存在下又は存在下、及び不均化触媒の存在下又は非存在下で、エステル化することを含む、オリゴエステル組成物の製造方法。
【0196】
クレーム80:ロジンがトール油ロジン、ウッドロジン、ガムロジン、水素化ロジン、水素化ガムロジン、不均化ロジン、部分不均化ロジン又はその組合せを含む、クレーム80に記載の方法。
【0197】
クレーム81:オリゴエステル組成物が、t トール油ロジン、ウッドロジン、ガムロジン、水素化ロジン、水素化ガムロジン、不均化ロジン、部分不均化ロジン又はその組合せから誘導されるものである、クレーム79に記載の方法。
【0198】
クレーム82:不均化触媒を該反応混合物と、該反応混合物の総重量に対して不均化触媒が0.05重量%より多い量で接触させる、クレーム77~81のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
クレーム83:1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び1種類以上の非親ジエン多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって、該非親ジエン多価カルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式の多価カルボン酸を含むオリゴエステル組成物。
【0200】
クレーム84:1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び脂肪族ジカルボン酸を含む1種類以上の非親ジエン多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって、該脂肪族ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類は、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含むオリゴエステル組成物。
【0201】
クレーム85:1種類以上のロジン、1種類以上の多価アルコール及び飽和ジカルボン酸を含む1種類以上の非親ジエン多価カルボン酸から誘導されるオリゴエステル組成物であって、該ジカルボン酸のうちの少なくとも1種類が、5~19個の炭素原子を有する脂環式のジカルボン酸を含み、ジカルボン酸の総量が、全反応体の重量基準でゼロより多く15wt.%までであるオリゴエステル組成物。