IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アッドアップの特許一覧

<>
  • 特許-ダブルスキン付加製造機 図1
  • 特許-ダブルスキン付加製造機 図2
  • 特許-ダブルスキン付加製造機 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】ダブルスキン付加製造機
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/20 20210101AFI20220727BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220727BHJP
   B22F 10/322 20210101ALI20220727BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220727BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220727BHJP
   B29C 64/25 20170101ALI20220727BHJP
   B29C 64/371 20170101ALI20220727BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220727BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220727BHJP
   B23K 26/12 20140101ALI20220727BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20220727BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20220727BHJP
   B23K 26/142 20140101ALI20220727BHJP
   B23K 26/16 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B22F12/20
B22F10/28
B22F10/322
B33Y30/00
B29C64/153
B29C64/25
B29C64/371
B33Y40/00
B28B1/30
B23K26/12
B23K26/21 Z
B23K26/34
B23K26/142
B23K26/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019524354
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2017078469
(87)【国際公開番号】W WO2018087088
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】1660922
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】サルトーリ ジャン-フランソワ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-196856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B33Y 30/00
B29C 64/153
B29C 64/25
B29C 64/371
B33Y 40/00
B28B 1/30
B23K 26/12
B23K 26/21
B23K 26/34
B23K 26/142
B23K 26/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で少なくとも1つの熱又はエネルギー供給源(14)を使用して作業面(16)上の付加製造粉体を溶融する製造チャンバ(12)を備えている付加製造機(10)であって、
前記製造チャンバは、少なくとも1つの作業平面(20)、前壁(22)、後壁(24)、左側側壁(26)、右側側壁(28)、及び上壁(30)によって形成され、前記壁の少なくとも1つは前記付加製造粉体を溶融するのに使用される前記エネルギー又は熱供給源(14)を支持し、
前記エネルギー又は熱供給源(14)を支持する前記チャンバの前記壁の各々の前でかつ前記エネルギー又は熱供給源(14)を支持する前記壁の各々から非ゼロの距離(D1,D2,D3)で前記製造チャンバ(12)の内部に配置される内側スキン(32)を備え、前記内側スキン(32)と、前記内側スキンがその前に配置される前記チャンバの前記壁の各々との間で、ガス流(F)のための循環容積(V)を形成し、
前記付加製造機(10)は、前記循環容積(V)に接続されたガス流(F)を発生する装置(52)を備え、
前記エネルギー又は熱供給源(14)は、前記チャンバ(12)の前記後壁(24)、前壁(22)、及び上壁(30)によって支持され、前記内側スキン(32)は、前記後壁から非ゼロの距離(D24)、前記前壁から非ゼロの距離(D22)、及び前記上壁から非ゼロの距離(D30)で、前記左側側壁(26)と前記右側側壁(28)との間に広がるトンネルの形式をとり、
前記製造チャンバ(12)の前記上壁(30)が前記エネルギー又は熱供給源(14)を支持し、前記内側スキン(32)は、前記エネルギー又は熱供給源の前に設けられた上方開口部(54)を備え、
隔壁(76)が、上方開口部(54)を前記製造チャンバの前記上壁(30)に接続する、
ことを特徴とする付加製造機(10)。
【請求項2】
前記付加製造機は、前記作業面(16)上に粉体を分散させる分散装置(38)及び前記作業面を横切って前記分散装置を移動させるための移動装置(40)を備え、前記移動装置は、前記ガス流(F)の前記循環容積(V)内の前記内側スキン(32)の後方に配置されている、
請求項1に記載の付加製造機(10)。
【請求項3】
前記製造チャンバ(12)の前記前壁(22)がドア(46)で閉鎖される主開口部(44)を備え、前記内側スキン(32)は、前記製造チャンバの前記前壁の開口部(44)に対向して設けられた前部開口部(56)を備えており、
隔壁(72)が、製造チャンバの前記前壁の(22)の前記主開口部(44)を、前記前方内壁(62)の前記前部開口部(56)に接続し、この隔壁(72)は、これら開口部(44、56)の全周に設けられた種々の穴(74)を備える、
請求項1又は2に記載の付加製造機(10)。
【請求項4】
前記内側スキン(32)は、トンネルを形成するように連結された後方内壁(58)、上方内壁(60)、及び前方内壁(62)を備え、前記後方内壁(58)は、前記製造チャンバの前記後壁(24)の前で前記製造チャンバ(12)の内部に配置され、前記上方内壁(60)は、前記製造チャンバの前記上壁(30)の前で、従ってその真下で前記製造チャンバの内部に配置され、前記前方内壁(62)は、前記製造チャンバの前記前壁(22)前で前記製造チャンバの内部に配置されている、
請求項ないしのいずれか1項に記載の付加製造機(10)。
【請求項5】
前記発生装置(52)から流入する前記ガス流(F)は、前記製造チャンバ(12)の前記後壁(24)と前記内側スキンの前記後方内壁(58)との間に導入される、
請求項に記載の付加製造機(10)。
【請求項6】
前記内側スキンの前記前方内壁(62)は開口しており、前記循環容積(V)は、前記製造チャンバの前記後壁(24)と前記内側スキンの前記後方内壁(58)との間、次に、前記製造チャンバの前記上壁(30)と前記内側スキンの前記上方内壁(60)との間、次に前記製造チャンバの前記前壁(22)と前記内側スキンの前記前方内壁(62)との間に広がり、最後に前記内側スキン(32)を通って前記作業面(16)の上に開口する、
請求項に記載の付加製造機(10)。
【請求項7】
前記ガス流(F)用の吸気ダクト(82)が、前記内側スキン(32)を通って前記作業面(16)の上に開口する前に、前記製造チャンバの前記後壁(24)及び前記内側スキンの前記後方内壁(58)を貫通する、
請求項ないしのいずれか1項に記載の付加製造機(10)。
【請求項8】
前記吸気ダクト(82)は、前記ガス流(F)を発生させる前記装置(52)に接続する、
請求項に記載の付加製造機(10)。
【請求項9】
前記ガス流(F)を発生させる前記装置(52)は、前記吸気ダクト(82)によって吸い込まれた前記ガスを冷却するための熱交換器(88)を備える、
請求項に記載の付加製造機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザビーム、電子ビーム、又はダイオードなどのエネルギー又は熱供給源を用いて粉体の粒子を溶融させることによる粉体ベースの付加製造の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、より良い品質の構成部品を製造可能にすることを意図している。
【背景技術】
【0003】
構成部品を製造するために溶融を利用すると製造部品内に残留応力がもたらされ、これは製造部品内の欠陥につながり、製造部品の特定部分の破損につながる場合もある。
【0004】
製造部品に欠陥があると、これらは廃棄され製造業者の損失を示す。さらに、新規な構成部品は、これらの構成部品を発注したクライアントのニーズを満たすように製作する必要がある。
【0005】
他方で、製造部品の一部が残留応力の影響下で破損した場合、もはや、これを製造し続けることができない。特に、一般に崩壊するのは付加製造プレートにしっかり固定された構成部品のベース部なので、構成部品はもはや機械の製造基準フレームに固定保持されない。
【0006】
さらに、粉体ベッドを堆積することによる付加製造との関連において、付加製造プレートにもはやしっかり固定されていない欠陥のある構成部品が移動して、作業領域上に粉体を分散配置するための装置であるスクラッパー又はローラーに損傷を与える可能性がある。
【0007】
著しい残留応力は、付加製造プレートにしっかり固定された構成部品のベース部と製造される構成部品の横断面との間に大きな温度勾配が存在する場合に生じるので、付加製造プレートにしっかり固定された構成部品のベース部と製造される構成部品の横断面との間の温度勾配を低減するために、加熱用の又は他の装置によって加熱される製造プレートを用いることは公知の手法である。
【0008】
加熱用の又は加熱されるプレートの使用は残留応力の発生を抑制することを可能にするが、それでもなお問題がある。
【0009】
特に、プレートの熱は、製造部品に伝達されるが、これを取り囲む未固結粉体にも伝達される。従って、かなりの熱量が付加製造機の製造チャンバ内部の作業面から放射される。
【0010】
さらに、この放射熱は、付加製造機の製造チャンバを取り囲む全ての部品を加熱する。特に、この放射熱は、粉体の粒子を溶融するのに使用されるエネルギー供給源又は熱供給源、並びにこの1又は複数の供給源を粉体ベッド上に案内及び移動させるのに使用される手段を支持する機械フレームの部品を加熱する可能性がある。加熱により、これらの機械フレームの部品が変形し、エネルギー又は熱供給源の変位が生じて、製造精度、結果的に製造部品の品質が低下する。
【0011】
さらに、このようなフレームの変形は、シールの問題、従って粉体又は不活性ガスの危険な漏出を引き起こす可能性もある。特に、付加製造粉体は、有毒な化合物又は金属を含有する可能性がある。加えて、付加製造機の製造チャンバは、特定の付加製造粉体の酸化を防ぐために及びこれらの酸化性の粉体の一部の酸化に関連する爆発の危険性を回避するために不活性ガスで満たされるので、漏出時、不活性ガスが機械の周りで膨張し、機械が設置されている作業場に居るオペレータが酸欠になる場合がある。
【0012】
最後に、作業領域からの熱放射は、付加製造チャンバ内部の温度上昇も引き起こし、これにより、粉体の結晶化がもたらされる可能性があり、これは粉体ベッドの品質、結果的に製造された構成部品の品質を害する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、粉体の粒子を溶融するのに使用されるエネルギー又は熱供給源、並びにこの1又は複数の供給源を粉体ベッド上に案内及び移動させるのに使用される手段を支持する機械フレームの部品を、特に作業面が加熱用の又は他の装置によって加熱されるプレート上に配置される場合に、作業面からの熱放射から保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明の主題は付加製造機であり、この付加製造機は、内部で少なくとも1つの熱又はエネルギー供給源を使用して作業面上の付加製造粉体を溶融する製造チャンバを備え、製造チャンバは、少なくとも1つの作業平面、前壁、後壁、左側側壁、右側側壁、及び上壁によって形成され、これらの壁の少なくとも1つは付加製造粉体を溶融するために使用されるエネルギー又は熱供給源を支持する。
【0015】
本発明によれば、付加製造機は、エネルギー又は熱供給源を支持する各壁の前でかつエネルギー又は熱供給源を支持する各壁から非ゼロの距離で製造チャンバの内部に配置される内側スキンを備え、内側スキンと、該内側スキンがその前に配置されるチャンバの各壁との間で、ガス流のための循環容積を形成し、付加製造機は、循環容積に接続する、ガス流を発生するための装置を備える。
【0016】
内側スキン及びこの内側スキンを冷却するガス流により、エネルギー又は熱供給源を支持する各壁は、作業面から放射される熱の影響をあまり受けず、従って変形する可能性が低い。従って、構成部品は、正確に製造することができ、さらに製造チャンバのシール問題に起因する何らかの粉体の漏出が回避される。
【0017】
好都合には、内側スキンと製造チャンバの各壁との間を循環することで、空気流は、製造チャンバ内の温度を調節して作業面の粉体の結晶化を防ぐことも可能にする。
【0018】
本発明のさらなる特徴部及び利点は、以下の説明から明らかになるはずである。非限定的な例として与えられるこの説明は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による付加製造機の概略図である。
図2】本発明による付加製造機の断面図である。
図3】本発明による付加製造機の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、好ましくは粉体ベッドの堆積による付加製造法を用いる付加製造機10に関する。特に、このような製造法に関して、大量の未結合粉体が製造部品を取り囲むので、製造プレートが加熱されるか又はこれが加熱用の場合にこの粉体から大量の熱が放射される。
【0021】
本発明による付加製造機は、金属タイプ、又は例えばセラミックベースの非金属タイプの付加製造粉体を利用することができる。
【0022】
付加製造法を実施するために、付加製造機10は、その内部で少なくとも1つの熱又はエネルギー供給源14が作業面16の付加製造粉体を溶融するために使用される製造チャンバ12を備える。この熱又はエネルギー供給源14は、レーザビーム、電子ビーム、及び/又はダイオードとすることができる。好ましくは、製造チャンバ12は、製造サイクル時にシール様態で密閉され、粉体の粒子の酸化を防ぐために窒素、アルゴンなどの不活性ガスで満たされている。
【0023】
この製造チャンバ12は、骨組み18で支持され、少なくとも1つの作業平面20、前壁22、後壁24、左側側壁26、右側側壁28、及び上壁30で形成される。好ましくは、これらの壁は、シール様態で接合される。保守管理又は清掃作業のために製造チャンバ12の内部へのアクセスを可能にするために、左側側壁26及び右側側壁28は、シール様態で密閉することができるドアの形をとることができる。同時に、例えば製造部品を回収するためにオペレータが製造チャンバ12の内部を観察してアクセスするのを可能にするために、前壁22は、ドア46で閉じられた好ましくは透明な開口部44を備え、この前壁22は、グローブボックス48を備える。
【0024】
製造法が粉体ベッドの堆積を含む場合、作業面16は、その上に複数の粉体層が分散されるプレート34の形をとる。このために、付加製造機10は、付加製造機10の骨組み18にしっかり固定されて作業平面20に通じている製造スリーブ35の内部でプレート34を上昇及び降下させるためのシリンダ等のアクチュエータ42を備える。さらに、付加製造機10はまた、例えばスライドを有する少なくとも1つの粉体供給装置36と、例えばローラー又はスクラッパーを有する粉体分散装置38と、プレート34で形成された作業面16上でこの分散装置38を移動させる例えばプーリー及びベルトを有する移動装置とを備える。好ましくは、粉体供給装置36は、プレート34のそれぞれの側に、結果的に作業面16のそれぞれの側に付加製造機の長さL10に沿って設けられている。
【0025】
製造部品内での残留応力の発生を制限するために、プレート34は、例えば500°Cに加熱される。そのために、プレート34は、電気抵抗器、加熱ロッド、又はインダクタなどの熱発生装置を含むか、又は付加製造機10は、熱を発生して例えば熱伝導で付加製造プレートに伝達する加熱装置50を備え、加熱装置50は製造プレート34に隣接して、例えばこのプレートの下に固定される。
【0026】
付加製造粉体を溶融するために使用されるエネルギー又は熱供給源を支持する製造チャンバ12の壁の少なくとも1つを、作業面16からの熱放射から保護するために、本発明による付加製造機は、内側スキン32を備える。
【0027】
より詳細には、この内側スキン32は、エネルギー又は熱供給源14を支持するこのチャンバの各壁の前、かつエネルギー又は熱供給源を支持するこのチャンバの各壁から非ゼロの距離で製造チャンバ12の内部に配置される。従って、この内側スキン32は、この内側スキン32が前方に配置される各壁との間にガス流のための循環容積(循環空間)Vを形成するのを可能にする。
【0028】
この循環容積Vと関連して、付加製造機10は、循環容積Vに接続されガス流Fを発生させる装置52を備える。このガス流Fは、循環容積Vに導入されてこの容積Vを通過することで、内側スキン32を冷却することができる。
【0029】
好ましくは、ガス流Fを発生させるのに使用されるガスは、アルゴン又は窒素などの製造チャンバ12を不活性状態にするのに使用されるガスと同じである。
【0030】
また、作業面16からの熱放射から保護されるように、粉体分散装置38を動かすための装置41は、その一部がガス流Fの循環容積Vの中で内側スキン32の後方に配置される。
【0031】
製造チャンバ12の左側側壁26及び右側側壁28は、ドアの形をとることができ、エネルギー又は熱供給源14は、好ましくは後壁24、前壁22、及び上壁30で支持される。また、この3つの壁を放射熱から保護するために、内側スキン32は、後壁から非ゼロの距離D24、前壁から非ゼロの距離D22、及び上壁から非ゼロの距離D30で、左側側壁26と右側側壁28との間に広がるトンネルの形をとる。
【0032】
より詳細には、図2及び図3に示す付加製造機10において、製造チャンバ12の上壁30は、エネルギー又は熱供給源14、及び作業面16を横切ってエネルギー又は熱ビームを動かすために使用される手段を保持する。従って、内側スキン32は、エネルギー又は熱供給源14の前に設けられた上方開口部54を備える。この上方開口部54によって、粉体の粒子を溶融するために使用されるエネルギー及び/又は熱ビームの経路がもたらされる。
【0033】
同様に、チャンバ12の前壁22がドア46で閉じられる主開口部44を備えるので、内側スキン32は、製造チャンバの前壁の主開口部44に対向して設けられた前部開口部56を備える。
【0034】
好ましい実施形態において、内側スキン32は、後方内壁58、上方内壁60、及び前方内壁62を備え、これらは連結してトンネルを形成し、後方内壁58は、製造チャンバの後壁24の前で製造チャンバ12中に配置され、上方内壁60は、製造チャンバの上壁30の前で、従ってその真下で製造チャンバ内に配置され、前方内壁62は、製造チャンバの前壁22の前で製造チャンバ内に配置される。
【0035】
この好ましい実施形態において、前方内壁62は、製造チャンバの前壁の主開口部44に対向して設けられた前部開口部56を備え、上方内壁60は、エネルギー及び/又は熱ビームの経路用の上方開口部54を備える。
【0036】
さらにこの好ましい実施形態において、粉体分散装置38を動かすための装置40は、分散装置38を平行移動で駆動及び案内するための前方装置64及び後方装置66を備え、前方駆動及び案内装置64は、内側スキンの前方内壁62と製造チャンバの前壁22との間に置かれたハウジング68内に配置され、後方駆動及び案内装置66は、内側スキンの後方内壁58と製造チャンバの後壁24との間に置かれたハウジング70内に配置される。作業平面20と一致して置かれた作業面16を横切って動く分散装置38に関して、ハウジング68及び70は、製造チャンバ12の下部に、結果的にチャンバ及び内側スキンの壁の下部に置かれる。本発明によれば、このハウジング68及び70は、ガス流Fの循環容積Vに属している。
【0037】
製造チャンバの前壁に主開口部44が存在し、内側スキンの前方内壁62に前部開口部56が存在するので、隔壁72は、製造チャンバの前壁の主開口部44を、前方内壁62の前部開口部56に接続する。従って、循環容積Vは、製造チャンバの前壁と内側スキンの前方内壁62との間のこの隔壁72の周囲に広がる。ガス流Fが製造チャンバ12に流入できるように、この隔壁72は、これらの開口部44、56の至る所に設けられた種々の穴74を備える。
【0038】
内側スキンの上方内壁60に上方開口部54が存在するので、隔壁76は、上方開口部54を製造チャンバの上壁30に接続する。従って、循環容積Vは、製造チャンバの上壁30と内側スキンの上方内壁60との間でこの隔壁76の周囲に広がる。
【0039】
製造チャンバの前壁に主開口部44が存在し、内側スキンの前方内壁62に前部開口部56が存在するので、製造チャンバ12の上壁30がエネルギー又は熱供給源14を保持しかつ内側スキン32がエネルギー又は熱供給源14の前に設けられた上方開口部54を備えると仮定すると、本発明は、好ましくは、発生装置52から流入するガス流Fが製造チャンバ12の後壁24と内側スキンの後方内壁58との間に導入されるようにする。このために、ガス流Fを発生させる装置52に接続された導入ダクト78が、製造チャンバ12の後壁24に開口している。
【0040】
好ましくは、種々の電気ケーブルを収容することが意図された電気区画80が、製造チャンバ12の後壁24と内側スキンの後方内壁58の間で、後方駆動及び案内装置66を保持するハウジング70の上方に設けられており、ダクト78は、製造チャンバ12の後壁24の上部に開口している。
【0041】
内側スキンの前方内壁62が開いているので、循環容積Vは、製造チャンバの後壁24と内側スキンの後方内壁58との間、次に製造チャンバの上壁30と内側スキンの上方内壁60との間、次に製造チャンバの前壁22と内側スキンの前方内壁62との間に広がり、最後に内側スキン32を通って、特に隔壁72に設けられた穴を通って作業面16の上に開口する。
【0042】
このように規定されると、循環容積Vによって、ガス流Fは、製造チャンバの後壁24と内側スキンの後方内壁58との間、次に製造チャンバの上壁30と内側スキンの上方内壁60との間、次に製造チャンバの前壁22と内側スキンの前方内壁62との間を循環し、最後に内側スキン32の内部で作業面16の上方に到達する。
【0043】
内側スキンの内壁で形成される循環容積Vによって、ガス流Fは、熱又はエネルギー供給源14を支持するチャンバの3つの壁を熱から効果的に保護することができる。
【0044】
作業面16の上を循環し、かつこの作業面16から放射される熱Cによって加熱されたガス流Fを排気するために、ガス流Fのための吸気ダクト82は、内側スキン32を通って作業面16の上に開口する前に、製造チャンバの後壁24及び内側スキンの後方内壁58を貫通する。より詳細には、ガス流Fを良好に吸い込むために、吸気ダクト82は、付加製造機10の長さL10に沿って広がる開口84の形で内側スキンの後方内壁58に開口する。
【0045】
好ましくは、吸気ダクト82は、電気区画を貫通する。
【0046】
閉じた冷却回路とするために、吸気ダクト82は、ガス流Fを発生させる装置52に接続する。
【0047】
吸気ダクト82と導入ダクト78との間で、好ましくは、発生装置52は、粉体の溶融が付加製造機10の適切な作動に害を及ぼす多数の粒子を発生するという理由での濾過装置86と、濾過ガスを冷却するための熱交換器88と、製造チャンバ12の各壁と内側スキンの各内壁との間に導入される冷却ガス流Fを発生するベンチレータ90と、回路を閉鎖するためのバルブ92とを備える。
【0048】
好ましくは、循環容積Vが適切に満たされることを保証するために、ガス流Fは乱流である。このために、ガス流Fは、5から15m/sの速度及び100から300m3/hの流量で循環容積Vの中に導入され、ガス流Fの速度及び流量は、製造チャンバ12の容積に依存してその数値の間で変わる。
【0049】
冷却ガス流Fの回路と並列に、発生装置52は、製造時の溶融によってもたらされた煙霧を排気することを意図した第2のガス流F’の回路を備えることもできる。このために、ダクト94が、発生装置52のベンチレータ90にバルブ96を介して接続される。このダクト94は、チャンバ12の前壁22の下部及び内側スキン32の前方内壁62の下部を貫通し、作業面16の上及び内側スキン32の内部に低角度で開口する。
【0050】
閉じた煙霧排気回路とするために、他のダクト98が、発生装置52の濾過装置86に接続される。この他のダクト98は、チャンバ12の後壁24の下部及び内側スキン32の後方内壁58の下部を貫通し、作業面16の上及び内側スキン32の内部に低角度で開口する。
【0051】
好ましくは、煙霧を排気するためのガス流F’は層状である。このために、ガス流F’は、1~5m/sの速度、及び20~100m3/hの流量で循環容積Vの中に導入され、ガス流F’の速度及び流量は、製造チャンバ12の容積に依存してその数値の間で変わる。
図1
図2
図3