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特許7112402中空物品の成形方法及び成形装置並びに樹脂製の容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】中空物品の成形方法及び成形装置並びに樹脂製の容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/70 20060101AFI20220727BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20220727BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B29C49/70
B29C33/44
B29C49/42
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019532882
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2018028244
(87)【国際公開番号】W WO2019022231
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2017145872
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 暢之
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097780(JP,A)
【文献】特表2008-510662(JP,A)
【文献】特表2011-518735(JP,A)
【文献】米国特許第02026304(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00-17/32
B23G 1/00-11/00
B29C 33/00-33/76
B29C 45/00-45/84
B29C 49/00-49/80
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が開口するネック部と、このネック部に繋がる胴部と、を有し、前記ネック部の内面に内ネジ部が形成された中空物品の成形方法であって、
前記内ネジ部を含む前記ネック部の内面が内方ネック型により保持された状態に前記中空物品を成形後、
エジェクトロッドを前記中空物品内に挿入して前記中空物品の内面に係合させ、当該エジェクトロッドと共に前記中空物品を回転させることで、前記中空物品を前記内方ネック型から離型させる
ことを特徴とする中空物品の成形方法。
【請求項2】
請求項1に記載の中空物品の成形方法であって、
前記中空物品が、前記ネック部よりも小さい内径で形成されて前記ネック部と前記胴部と接続する小径部を有し、
前記小径部を非円形である開口形状に形成し、
前記小径部の開口形状と略同一の断面形状を有する前記エジェクトロッドを前記小径部に挿入することで、当該エジェクトロッドを前記中空物品に係合させる
ことを特徴とする中空物品の成形方法。
【請求項3】
請求項2に記載の中空物品の成形方法であって、
前記小径部を多角形状又は内側に突出する凸部を備えた円形状である開口形状に形成する
ことを特徴とする中空物品の成形方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の中空物品の成形方法であって、
前記エジェクトロッドによって前記中空物品を回転させる際、当該エジェクトロッドの先端面を前記中空物品に当接させて当該中空物品を押圧する
ことを特徴とする中空物品の成形方法。
【請求項5】
一端側が開口するネック部と、このネック部に繋がる胴部と、を有し、前記ネック部の内面に内ネジ部が形成された中空物品の成形装置であって、
前記内ネジ部を含む前記ネック部の内面を内方ネック型により保持された状態に前記中空物品を成形する成形部と、
前記中空物品を前記内方ネック型から離型する取出部と、を備え、
前記取出部は、
前記中空物品内に回転可能に挿入され、回転時に前記中空物品の内面に係合する係合部を有するエジェクトロッドを備えている
ことを特徴とする中空物品の成形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の中空物品の成形装置であって、
前記係合部は、前記エジェクトロッドを一方側に回転させた際に前記中空物品の内面に係合するように構成されている
ことを特徴とする中空物品の成形装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の中空物品の成形装置であって、
前記エジェクトロッドは、先端面が前記中空物品に当接し当該エジェクトロッドの軸方向で移動可能なエジェクトピースと、該エジェクトピースを前記エジェクトロッドの先端側に付勢する付勢部材と、を有する
ことを特徴とする中空物品の成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の中空物品の成形装置であって、
前記エジェクトピースが前記係合部を備えている
ことを特徴とする中空物品の成形装置。
【請求項9】
一端側が開口し内面に内ネジ部が形成されたネック部と、
このネック部に繋がる胴部と、
前記ネック部よりも小さい内径で形成されて前記ネック部と前記胴部と接続する小径部と、を有し、
前記小径部の開口形状が、非円形である
ことを特徴とする樹脂製の容器
【請求項10】
請求項9に記載の中空物品であって、
前記小径部の開口形状が、多角形状又は内側に突出する凸部を備えた形状である
ことを特徴とする樹脂製の容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネック部の内面(内側)にネジ部(内ネジ部)を備える中空物品の成形方法及び成形装置並びに中空物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、飲料等を収容する容器の多くは、ネック部の外面(外側)にネジ部(外ネジ部)を有し、この外ネジ部を有するネック部の外側に装着されるキャップによって塞がれるようになっている。また容器としては、外ネジ部を有するものだけでなく、ネック部の内面(内側)にネジ部(内ネジ部)を有し、ネック部内に装着されるキャップによって塞がれるようになっているものもある。
【0003】
また、容器だけでなく、内部に空間を有する各種中空物品には、ネック部の内側に内ネジ部が形成されているものがある。この内ネジ部は、いわゆるアンダーカットとなるため、内ネジ部を備える中空物品を成形する際、内ネジ部を形成する金型からネック部を離型させるのが難しいという問題がある。
【0004】
容器等の中空物品は、例えば、射出成形によりプリフォームを形成した後、このプリフォームをブロー成形することによって形成される。この場合、ネック部の内ネジ部は、プリフォームを射出成形する際に形成される。そして、ネック部は、プリフォームの射出成形後(ブロー成形前)に内ネジ部を形成した金型から離型される場合もあるが、ブロー成形により中空物品を形成後に、内ネジ部を形成した金型から離型されることもある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の発明では、ネック部の外面を形成する外方ネック型と、内ネジ部を含むネック部の内面を形成する内方ネック型とを備える内外二重式構造のネック型を採用する。そして、プリフォームを射出成形する際に、内ネジ部を有するネック部を形成し、内方ネック型でネック部の内面を保持した状態でプリフォームをブロー成形して中空物品である容器を形成する。その後、容器の胴部にローラーを当接させて容器を回転させることで、つまり容器自体を回転させることで、内方ネック型からネック部を離型させている。
【0006】
このような方法を採用して内方コア型からネック部を離型させることで、内ネジ部の変形を抑制しつつ容器等の中空物品を内方ネック型から良好に離型させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特公平5-35057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような方法で中空物品を回転させる場合、ローラーが当接する中空物品の剛性が低いと、中空物品が変形してしまう虞があり、またこの変形に伴いネック部を内方ネック型から適切に離型させることができない虞がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内ネジ部を有する中空物品を成形する際、内ネジ部を形成するネック型から中空物品を良好に離型することができる中空物品の成形方法及び成形装置並びに中空物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の一つの態様は、一端側が開口するネック部と、このネック部に繋がる胴部と、を有し、前記ネック部の内面に内ネジ部が形成された中空物品の成形方法であって、前記内ネジ部を含む前記ネック部の内面が内方ネック型により保持された状態に前記中空物品を成形後、エジェクトロッドを前記中空物品内に挿入して前記中空物品の内面に係合させ、当該エジェクトロッドと共に前記中空物品を回転させることで、前記中空物品を前記内方ネック型から離型させることを特徴とする中空物品の成形方法にある。
【0011】
ここで、前記中空物品が、前記ネック部よりも小さい内径で形成されて前記ネック部と前記胴部と接続する小径部を有する場合、前記小径部を非円形である開口形状に形成し、前記小径部の開口形状と略同一の断面形状を有する前記エジェクトロッドを前記小径部に挿入することで、当該エジェクトロッドを前記中空物品に係合させることが好ましい。
【0012】
さらに、前記小径部を多角形状又は内側に突出する凸部を備えた円形状である開口形状に形成することが好ましい。
【0013】
また前記エジェクトロッドによって前記中空物品を回転させる際、当該エジェクトロッドの先端面を前記中空物品に当接させて当該中空物品を押圧することが好ましい。
【0014】
また本発明の他の態様は、一端側が開口するネック部と、このネック部に繋がる胴部と、を有し、前記ネック部の内面に内ネジ部が形成された中空物品の成形装置であって、前記内ネジ部を含む前記ネック部の内面を内方ネック型により保持された状態に前記中空物品を成形する成形部と、前記中空物品を前記内方ネック型から離型する取出部と、を備え、前記取出部は、前記中空物品内に回転可能に挿入され、回転時に前記中空物品の内面に係合する係合部を有するエジェクトロッドを備えていることを特徴とする中空物品の成形装置にある。
【0015】
ここで、前記係合部は、前記エジェクトロッドを一方側に回転させた際に前記中空物品の内面に係合するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また前記エジェクトロッドは、先端面が前記中空物品に当接し当該エジェクトロッドの軸方向で移動可能なエジェクトピースと、該エジェクトピースを前記エジェクトロッドの先端側に付勢する付勢部材と、を有することが好ましい。
【0017】
さらに前記エジェクトピースが前記係合部を備えていることが好ましい。
【0018】
また本発明の他の態様は、一端側が開口し内面に内ネジ部が形成されたネック部と、このネック部に繋がる胴部と、前記ネック部よりも小さい内径で形成されて前記ネック部と前記胴部と接続する小径部と、を有し、前記小径部の開口形状が、非円形であることを特徴とする中空物品にある。
【0019】
より具体的には、前記ネック部の開口形状が、多角形状又は内側に突出する凸部を備えた円形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
かかる本発明によれば、内ネジ部が形成されたネック部を有する中空物品を成形する際に、中空物品を金型から良好に離型することができる。特に、内ネジ部を含むネック部の内面を形成する内方ネック型から、中空物品のネック部を良好に離型することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る中空物品である容器の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る容器をブロー成形するためのプリフォームを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る射出ブロー成形装置の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る射出成形金型の一例を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るブロー成形金型の一例を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るエジェクトロッドの構成を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係るエジェクトロッドの断面図であり、図6のA-A′線に対応する断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る取出部における容器の取出し方法を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態に係る容器の変形例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る係合部の変形例を説明する図である。
図11】本発明の一実施形態に係る中空物品である容器の他の例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る射出成形金型の他の例を示す断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る取出部における容器の取出し方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本発明は、ネック部の内面(内側)にネジ部(内ネジ部)を備える中空物品の成形方法及び成形装置並びに中空物品にある。ここで中空物品とは、内部に空間を有する物品をいい、例えば、飲料等を収容する容器の他、容器を塞ぐキャップや、容器をブロー成形するためのプリフォーム等も含むものとする。そして本実施形態における中空物品とは、例えば、液体等を収容するための容器である。
【0024】
図1は本発明に係る中空物品である容器の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は縦断面図である。図2は、容器をブロー成形するためのプリフォームの縦断面図である。
【0025】
図1に示す中空物品である容器10は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料で形成され、液体等を収容可能に中空に形成されている。この容器10は、一端側(上端側)が開口する筒状のネック部11と、ネック部11に繋がる筒状の胴部12と、胴部12から連続する底部13と、を備えている。また容器10は、ネック部11の底面(内径方向に延在する縮径部)11aに接続されてネック部11よりも内径が小さい小径部14を備えている。胴部12は、小径部14よりも大きい内径で形成され、本実施形態では、ネック部11よりも大きい内径で形成されている。なお胴部12の内径の大きさは特に限定されず、ネック部11よりも小さい内径で形成されていてもよい。
【0026】
またネック部11の内面11bには、雌ねじである内ネジ部16が形成されている。すなわちネック部11の内面11bには、内ネジ部16を構成するねじ山(突部)17が、ネック部11の内側に突出して螺旋状に設けられている。このネック部11には、図示は省略するが、雄ねじである外ネジ部を備える装着部材が装着されることで、容器10が塞がれるようになっている。
【0027】
またネック部11の底面11aには、突起部18が形成されている。突起部18は、ネック部11の底面11aから開口側(図中上方)に向かって突出し、ネック部11の周方向に亘って連続して設けられている。
【0028】
突起部18は、装着部材(図示なし)がネック部11に装着された際、この装着部材に当接し、容器10との隙間を塞ぐシール材として機能する。また突起部18は、ネック部11の底面11aから、直線状ではなく曲線状(例えば、波形)に突出して設けられている。突起部18の形状は、特に限定されるものではなく、シール材としての機能を発揮できる形状であればよい。
【0029】
ここで、容器10の小径部14は、外径がネック部11よりも小さく形成され、またその開口形状(小径部14の内径の横断面形状)が非円形(円形以外の形状)、例えば、多角形状となるように形成されている。本実施形態では、小径部14は、開口形状が八角形となるように形成されている。
【0030】
このような形状の容器10は、以下に説明するように、まず射出成形によりプリフォームを形成し、このプリフォームをブロー成形することによって形成される。その際、小径部14を上記のような開口形状に形成しておくことで、容器10を成形する際に、容器10を金型から良好に離型させることができる。
【0031】
図2に示すように、容器10をブロー成形するためのプリフォーム20は、一端(上端)側が開口するネック部21と、ネック部21に連続する胴部22と、胴部22に連続する底部23とで構成されている。
【0032】
なおプリフォーム20のネック部21は、最終製品である容器10のネック部11と共通する部分であり、同一形状を有する。すなわち容器10のネック部11は、実質的に射出成形によって形成されている。本実施形態では、プリフォーム20のネック部21(11)の底面21a(11a)には、突起部24(18)が形成され、内面21b(11b)には、内ネジ部25(16)が形成されている。
【0033】
また容器10の小径部14も、実質的に射出成形によって形成されている。すなわちプリフォーム20において小径部14に相当する部分である胴部22とネック部21との接続部20aは、小径部14と同一形状、本実施形態では、開口形状が八角形に形成されている。
【0034】
次に、中空物品である容器10を成形する成形装置である射出ブロー成形装置について説明する。図3は、本実施形態に射出ブロー成形装置の概略構成の一例を示すブロック図であり、図4は、射出成形金型の概略構成を示す断面図であり、図5は、ブロー成形金型の概略構成を示す断面図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態に係る射出ブロー成形装置30は、いわゆる1ステージ方式(ホットパリソン方式)の射出ブロー成形装置であり、射出成形部50と、温調部60と、ブロー成形部70と、取出部80と、を備えている。
【0036】
射出成形部50は、図4に示すように、射出装置100が接続される射出成形金型51を備え、この射出成形金型51を用いて上述した所定形状のプリフォーム20を射出成形する。
【0037】
射出成形金型51は、ネック型52と、射出キャビティ型53と、射出コア型54とを備えている。これらネック型52と、射出キャビティ型53と、射出コア型54とで射出空間55が形成されている。この射出空間55内に、射出キャビティ型53の底部中央に設けられたゲート56を介して原材料である樹脂材料を充填することで、所定形状のプリフォーム20が形成される。なお射出装置100を含む樹脂材料を射出するための構成は既存の構成であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施形態に係るネック型52は、プリフォーム20のネック部21の内面を形成する内方ネック型で構成されている。詳しくは、ネック型52は、内ネジ部25を含むネック部21の内面21bと底面21aの一部(外周部)を形成する(図2参照)。
【0039】
射出キャビティ型53は、プリフォーム20の胴部22及び底部23の外面を形成する。また射出キャビティ型53は、ネック型52の外側を囲むように設けられておりネック部21の外面を形成する。つまり射出キャビティ型53によって、プリフォーム20の胴部22及び底部23の外面と共に、ネック部21の外面が賦形されるようになっている。
【0040】
射出コア型54は、プリフォーム20の内面を形成する。具体的には、射出コア型54は、ネック型52の内側に配置され、プリフォーム20の胴部22の内面と共に、ネック部21の底面21aの一部(中央部:内周部)を形成する。また射出コア型54とネック型52との境界部分には、射出空間55の一部を構成し、上述した突起部24を形成するための空間部59が形成されている。
【0041】
ここで、上述したように容器10の小径部14は、開口形状が八角形に形成されており、小径部14に相当するプリフォーム20の接続部20aも開口形状が八角形に形成されている。なおプリフォーム20の胴部22は、本実施形態では開口形状が円形に形成されている。
【0042】
射出成形部50では、このような射出成形金型51を用いてプリフォーム20を射出成形する。その後、射出キャビティ型53及び射出コア型54をプリフォーム20から引き離す。つまりプリフォーム20を射出キャビティ型53及び射出コア型54から離型させる。そしてプリフォーム20のネック部21がネック型52によって保持された状態とする。プリフォーム20は、この状態で射出成形部50から温調部60に搬送される。
【0043】
温調部60では、プリフォーム20の胴部22の温度をブロー成形に適した所定温度に調整する。そして、所定温度に調整されたプリフォーム20は、ここでもネック型52で保持された状態で、温調部60からブロー成形部70に搬送される。
【0044】
ブロー成形部70は、例えば、図5に示すブロー成形金型71を備えている。ブロー成形金型71は、射出成形金型51と共通するネック型52に保持されたプリフォーム20をブロー成形するための金型であり、ブローキャビティ型72と、底型73と、ブローコア型74と、を備えている。
【0045】
ブローキャビティ型72は、一対の割型からなり、プリフォーム20の胴部22が収容される空間であるブローキャビティ75を備えている。底型73は、ブローキャビティ75の底部を形成する。つまり底型73は、プリフォーム20の底部23に対応して設けられ、容器10の底部13を形成する。
【0046】
また本実施形態に係るブローキャビティ型72は、プリフォーム20のネック部21が収容される凹部76を備え、凹部76内に収容されたネック部21の外面が、ブローキャビティ型72によって支持されるようになっている。すなわちブローキャビティ型72は、ネック部21の外側を囲んで設けられており、ネック型52がブローキャビティ型72に当接して位置決めされた状態において、ネック部21の外面がブローキャビティ型72によって支持されるようになっている。
【0047】
なお、ネック型52がブローキャビティ型72に当接して位置決めされた状態において、プリフォーム20のネック部21の外面とブローキャビティ型72との間には、微少な隙間が形成されていてもよい。
【0048】
ブローコア型74は、プリフォーム20内にブローエアを供給するための供給孔77を備え、ネック型52の内側に配置されている。このブローコア型74がプリフォーム20のネック部21内に挿入されることで、ネック型52とブローコア型74とによってネック部21が塞がれるようになっている。なお本実施形態では、ブローコア型74は、プリフォーム20のネック部21及び接続部20aに挿入されるように形成されている。
【0049】
また図示は省略するが、一対の割型からなるブローキャビティ型72には、温調媒体又は冷却媒体が供給される供給路が形成されており、ブローキャビティ75内に配置されたプリフォーム20が延伸処理されてブローキャビティ型72の内壁面に接触した際に、所定温度に調整(例えば、冷却)されるようになっている。
【0050】
ブロー成形部70では、このようなブロー成形金型71内に配置されているプリフォーム20の内部に、ブローコア型74の供給孔77を介して高圧エア(ブローエア)を供給することで、プリフォーム20の胴部22を縦軸方向及び横軸方向に延伸させる。これにより容器10の胴部12が形成される。すなわち最終製品である所定形状の容器10が成形される(図1参照)。なお、必要に応じて、ブローコア型74の供給孔77に延伸ロッド(図示なし)を挿通させ、縦軸方向に駆動させても構わない。
【0051】
ブロー成形部70では、その後、ブロー成形された容器10をブローキャビティ型72及びブローコア型74から離型させる。次いで、ネック型52によって容器10のネック部11の内面が保持された状態で、容器10をブロー成形部70から取出部80に搬送する。
【0052】
取出部80では、中空物品である容器10をネック型52から離型させて射出ブロー成形装置30の外部に取り出す。具体的には、取出部80は、図6に示すように、エジェクトロッド81を備えている。エジェクトロッド81は、図示は省略するが昇降装置によって昇降可能となっており、ネック型52の上方から下降して容器10内に挿入されるように構成されている。
【0053】
本実施形態では、エジェクトロッド81は、棒状のロッド部材82を備えると共に、このロッド部材82に装着されるエジェクトピース83と、付勢部材84と、を備えている。ロッド部材82の先端側には、他の部分よりも小さい直径の装着部85が形成されており、エジェクトピース83及び付勢部材84は、この装着部85に装着されている。
【0054】
エジェクトピース83は、容器10の内面に係合する係合部86と、ネック部11の底面11aに当接する当接部87と、を備えている。係合部86は、小径部14内に遊嵌される程度に、容器10の小径部14の開口形状と略同一の断面形状(例えば、八角形)に形成されている。当接部87は、小径部14の外径よりも大きい直径で形成され、その先端面87aがネック部11の底面11aに当接するように構成されている。なお、容器10を離型する際に大きな力が必要となる場合等には、係合部86を小径部14に当接(係合)する程度の大きさに形成するようにしてもよい。
【0055】
またエジェクトピース83は、ロッド部材82に対して回転することなく軸方向で移動自在に装着されている。本実施形態では、図7に示すように、ロッド部材82の装着部85の断面形状が多角形(例えば、四角形)に形成されている。エジェクトピース83には、この装着部85が挿入される貫通孔88が、装着部85に合わせた多角形(例えば、四角形)の開口形状に形成されている。これによりエジェクトピース83のロッド部材82に対する回転が規制されている。
【0056】
またロッド部材82の先端部近傍には、固定ピン89が、装着部85の外側に若干突出した状態で取付けられており、エジェクトピース83はこの固定ピン89によって下方への移動が規制されている。
【0057】
付勢部材84は、例えば、コイルばね等で構成され、装着部85のエジェクトピース83よりも上方側に装着されており、エジェクトピース83をエジェクトロッド81の先端(下方)側に付勢する(押圧する)。上述したようにエジェクトピース83は、当接部87の先端面87aがネック部11の底面11aに当接する。その際、この付勢部材84の付勢力がエジェクトピース83を介して容器10に伝達される。すなわち、エジェクトピース83が容器10内に挿入されると、付勢部材84の付勢力によって容器10が下方に付勢されるようになっている。
【0058】
このようなエジェクトロッド81を備える取出部80における容器10の取出し方法を、図8を参照して説明する。
【0059】
ネック型52によって容器10のネック部11が保持された状態で、ブロー成形部70から取出部80に搬送されると、図8(a)に示すように、エジェクトロッド81を下降させて容器10内に挿入させる。詳しくは、エジェクトロッド81を下降させてエジェクトピース83の係合部86を容器10の小径部14内に遊嵌または小径部14の内面に当接(係合)させる。
【0060】
その際、当接部87の先端面87aがネック部11の底面11aに当接した時点で、エジェクトピース83の下降は停止するが、ロッド部材82の下降は継続させ、図8(b)に示すように、ロッド部材82の先端部が所定位置に達した時点でロッド部材82の下降を停止させる。すなわちエジェクトピース83及び容器10に対する付勢部材84の付勢力が所望の大きさとなる位置でロッド部材82の下降を停止する。
【0061】
エジェクトピース83がネック部11の底面11aに当接した状態でロッド部材82をさらに下降させると、エジェクトピース83は相対的にロッド部材82の上方側に移動することになる。この移動に伴ってコイルばねである付勢部材84が収縮する。結果として、エジェクトピース83及び容器10に対する付勢力が増加する。
【0062】
そして、このように容器10が付勢部材84によって付勢された状態で、エジェクトロッド81を回転させる。このとき、エジェクトピース83の係合部86が小径部14の内周面に係合して容器10も一緒に回転する。つまり容器10は、ネック部11の内ネジ部16に沿って回転する。これにより、容器10はネック型52から下方側に移動し、最終的にネック型52から離型される。
【0063】
このような方法で容器10をネック型52から離型させることで、内ネジ部16の変形を抑制しつつ容器10をネック型52から良好に離型することができる。すなわち、アンダーカットとなる内ネジ部16を備える容器10を成形する際に、内ネジ部16の変形を抑えつつ容器10をネック型(内方ネック型)52から良好に離型させることができる。
【0064】
特に本実施形態では、容器10を下方に付勢しながら回転させるようにしているため、容器10をネック型52からより良好に離型させることができる。勿論、容器10を下方に付勢しない状態で回転させても、容器10をネック型52から離型させることはできる。
【0065】
なおエジェクトロッド81は、図示は省略するが、例えば、モータとエジェクトロッドとの間に複数のプーリーを介して無端ベルトを掛け渡し、モータを駆動源として回転するように構成されていることが好ましい。
【0066】
容器10をネック型52から離型させるためには、エジェクトロッド81を数回程度回転させる必要があるが、無端ベルトを用いることで、比較的容易に回転させることができる。また複数個の容器10を一度に成形する場合には、複数本のエジェクトロッド81を無端ベルトによって同時に回転させることもできる。
【0067】
勿論、エジェクトロッド81を回転させるための方法は、特に限定されず、例えば、ラックとピニオン等を用いた動力伝達機構によりエジェクトロッド81を回転させてもよい。ただし、エジェクトロッド81を複数回、回転させるには、例えば、ラックが長くなる等、装置が大型化してしまう虞がある。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能なものである。
【0069】
上述の実施形態では、容器10のネック部11は、開口形状が八角形となるように形成したが、小径部14の開口形状は、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、小径部14の内周面に、内側に突出する凸部19を設けるようにしてもよい。すなわち小径部14は、凸部19を有する円形状に形成されていてもよい。本実施形態では、小径部14の内面に90度間隔で4つの凸部19が設けられている。また各凸部19は、小径部14の深さ方向に亘って連続して設けられている。なお、小径部14は、上端付近(底面11aの近傍)のみの開口形状(小径部14の内径の横断面形状)が多角形状に形成されていてもよい。また各凸部19は、小径部14の上端付近(底面11aの近傍)のみに設けられていてもよい。
【0070】
一方、このような小径部14に遊嵌又は係合するエジェクトピース83の係合部86は、上述の実施形態と同様に、小径部14の開口形状と略同一の断面形状に形成されていてもよい。さらに、例えば、図10に示すように、係合部86Aは、エジェクトロッド81を一方側に回転させた際に、凸部19に係合するように構成されていてもよい。
【0071】
具体的には、この係合部86Aは、その外周部に各凸部19に係合する複数の爪部86aを備えている。これらの爪部86aは、エジェクトピース83の径方向に対して所定角度で傾斜して設けられている。これにより、エジェクトロッド81が一方側へ回転したときにだけ、係合部86の爪部86aが小径部14の凸部19に噛み合う。したがって、容器10はエジェクトロッド81と共に回転する。
【0072】
なおエジェクトロッド81が他方側へ回転したときには、係合部86の爪部86aは凸部19に当接するものの、凸部19に係合されることなく乗り越える。したがって、容器10はエジェクトロッド81と共に回転することなく、エジェクトロッド81のみが回転することになる。
【0073】
このような構成とすることで、エジェクトロッド81によって容器10をより適切に回転させてネック型52から離型させることができる。
【0074】
また例えば、上述の実施形態では、容器10をネック型52から離型させる際、エジェクトピース83の当接部87を容器10のネック部11に当接させて容器10を下方に付勢するようにしたが、エジェクトピース83が当接する位置は特に限定されるものではない。例えば、小径部14の下端付近に内側に突出する突出部を設けておき、この突出部にエジェクトピース83(係合部86)の先端面が当接するようにしてもよい。
【0075】
また上述の実施形態では、容器10の小径部14が、ネック部11よりも小さい外径で形成された構成を例示したが、ネック部11の外径の大きさは特に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、容器10Aの小径部14は、ネック部11と略同一の外径で形成されていてもよい。図示は省略するが、この場合、プリフォーム20の接続部20aも、ネック部21と略同一の外径で形成される。
【0076】
なお小径部14の長さ(図中縦方向の長さ)も、エジェクトロッド81が係合可能であれば、特に限定されるものではない。例えば、図11に示す容器10Aは、図1に示した容器10よりも、小径部14の長さが短くなっている。
【0077】
また上述の実施形態では、射出成形金型51が、内方ネック型であるネック型52を備える構成を例示したが、射出成形金型51の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、射出成形金型51Aは、外方ネック型57と、内方ネック型58とで構成されるネック型52Aと、プリフォーム20の胴部22を形成する射出キャビティ型53Aとを備える構成であってもよい。つまり射出キャビティ型53の代わりに、ネック型52Aを構成する外方ネック型57によってネック部21の外面を賦形するようにしてもよい。
【0078】
また、この場合、射出成形部50で形成されたプリフォーム20は、ネック型52Aを構成する外方ネック型57及び内方ネック型58によってネック部21が保持された状態で、温調部60及びブロー成形部70に搬送される。さらに、ブロー成形部70でブロー成形された容器10も、外方ネック型57及び内方ネック型58によってネック部11が保持された状態で取出部80まで搬送される。
【0079】
取出部80では、図13に示すように、外方ネック型57及び内方ネック型58によってネック部11が保持された状態で、上述したようにエジェクトロッド81を回転させる。これにより、容器10は内方ネック型58から下方側に移動し、最終的に内方ネック型58から離型される。また、この回転動作に伴い、容器10は外方ネック型57からも同時に離型される。
【0080】
なお、外方ネック型57は、複数の割型(例えば、一対の割型)等で構成されていてもよい。この場合、容器10の内方ネック型58からの離型とは異なるタイミング、例えば、取出部80でエジェクトロッド81を回転させる前に、容器10を外方ネック型57から離型させるようにしてもよい。すなわちエジェクトロッド81を回転させる前に一対の割型からなる外方ネック型57を型開きさせ、内方ネック型58よりも先に外方ネック型57から容器10のネック部11を離型させるようにしてもよい。
【0081】
また例えば、上述の実施形態では、射出ブロー成形装置として、一つの容器を成形する構成を例示したが、勿論、射出ブロー成形装置は、一度に複数の容器を成形する構成であってもよい。また上述の実施形態では、射出ブロー成形装置が温調部を備える構成を例示したが、射出ブロー成形装置は、必要に応じて温調部を備えていればよく、必ずしも備えていなくてもよい。
【0082】
また上述の実施形態では、取出部にて容器をネック型から離型するようにしたが、勿論、ブロー成形部にて容器をネック型から離型するようにしてもよい。すなわちブロー成形部が取出部を兼ねていてもよい。
【0083】
また上述の実施形態では、中空物品の一例として容器を例示したが、本発明は、各種の中空物品及びその成形に適用することができる。例えば、中空物品は最終製品である容器をブロー成形するためのプリフォームであってもよい。すなわち本発明は、プリフォームを射出成形金型から離型する際にも適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 容器
11 ネック部
12 胴部
13 底部
14 小径部
16 内ネジ部
18 突起部
19 凸部
20 プリフォーム
21 ネック部
22 胴部
23 底部
24 突起部
25 内ネジ部
30 射出ブロー成形装置
50 射出成形部
51 射出成形金型
52 ネック型
53 射出キャビティ型
54 射出コア型
55 射出空間
56 ゲート
57 外方ネック型
58 内方ネック型
59 空間部
60 温調部
70 ブロー成形部
71 ブロー成形金型
72 ブローキャビティ型
73 底型
74 ブローコア型
75 ブローキャビティ
76 凹部
77 供給孔
80 取出部
81 エジェクトロッド
82 ロッド部材
83 エジェクトピース
84 付勢部材
85 装着部
86 係合部
87 当接部
88 貫通孔
89 固定ピン
100 射出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13