(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】成形品の取出装置
(51)【国際特許分類】
B29C 33/44 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B29C33/44
(21)【出願番号】P 2019539543
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2018031800
(87)【国際公開番号】W WO2019044846
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2017165923
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 晃次
(72)【発明者】
【氏名】上原 義彦
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-062955(JP,A)
【文献】特開2002-361723(JP,A)
【文献】特開昭58-142823(JP,A)
【文献】米国特許第04834643(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 49/00-49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型で軽量である成形品を成形機から取り出す成形品の取出装置であって、
前記成形機の取出部から前記成形品を受け取る第一の取出部材と、
前記第一の取出部材から前記成形品を受け取る第二の取出部材と、
前記第一の取出部材を水平方向に移動させる第一の駆動機構と、
前記第二の取出部材を鉛直方向に移動させる第二の駆動機構と、
を備え、
前記第一の取出部材及び前記第二の取出部材は、
前記成形品を収容する収容部と、
水平方向にスライドすることで前記収容部を開閉させるシャッター板と、
を備え、
前記収容部を閉じた状態で前記成形品を前記収容部に収容し、
前記収容部を開くことで前記成形品を前記収容部から落下させる、
成形品の取出装置。
【請求項2】
前記シャッター板は前記成形品を受け取る面に緩衝材を備える、
請求項1に記載に成形品の取出装置。
【請求項3】
前記第一の取出部材を鉛直方向に移動させる第三の駆動機構を備え、
前記第三の駆動機構は、 前記第一の取出部材が前記成形機の取出部から前記成形品を受け取る際に、前記第一の取出部材を前記成形機に近づけるように、前記第一の取出部材を鉛直方向の上方向に移動させる、
請求項1
または請求項2に記載の成形品の取出装置。
【請求項4】
前記第一の取出部材を鉛直方向に移動させる第三の駆動機構を備え、
前記第三の駆動機構は、前記第一の取出部材が前記第二の取出部材に前記成形品を受け渡す際に、前記第一の取出部材を前記第二の取出部材に近づけるように、前記第一の取出部材を鉛直方向の下方向に移動させる、
請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の成形品の取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂製容器の射出延伸ブロー成形(ISBM)機は、プリフォームからブローによって成形された成形品(容器)の取出部を備える。取出部から取出された成形品は、検査、梱包、充填等のための後工程に搬送される。特許文献1には、製品取出部を備え、当該製品取出部が製品搬送手段を備える、射出延伸ブロー成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年樹脂製容器の成形機(射出延伸ブロー成形機(ISBM)等)の生産性が一段と向上してきており、成形サイクル時間がより短縮され、更に、1サイクルあたりの成形品の可能取り数も増加傾向にある。成形機から成形品を取り出す手段としては、無整列状態で成形品を取り出す取出シューターを用いる方法が挙げられるが、当該方法では後工程に成形品を搬送する際に、成形品を整列させる必要があり作業者の手間が大きくなる。また、取出シューターでは成形品が傷つきやすく、外観を重要とする成形品を扱う際には課題がある。
【0005】
容器を整列させて取り出すためには、取出シューターの代わりに取出装置を使用する。しかしながら、高速で大量の成形品を成形可能な成形機から容器を整列させて取り出そうとすると、取り出し動作を高速かつ正確に実行する必要がある。
【0006】
本発明は、成形機から短い時間で多くの成形品を取り出すことができる成形品の取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の成形品の取出装置は、
小型で軽量である成形品を成形機から取り出す成形品の取出装置であって、
前記成形機の取出部から前記成形品を受け取る第一の取出部材と、
前記第一の取出部材から前記成形品を受け取る第二の取出部材と、
前記第一の取出部材を水平方向に移動させる第一の駆動機構と、
前記第二の取出部材を鉛直方向に移動させる第二の駆動機構と、
を備え、
前記第一の取出部材及び前記第二の取出部材は、
前記成形品を収容する収容部と、
水平方向にスライドすることで前記収容部を開閉させるシャッター板と、を備え、
前記収容部を閉じた状態で前記成形品を前記収容部に収容し、
前記収容部を開くことで前記成形品を前記収容部から落下させる。
【0008】
上記構成によれば、第一の取出部材及び第二の取出部材により成形品の取り出し動作を分割したことで、成形機から短い時間で多くの成形品を取り出すことができる。
【0009】
本発明の成形品の取出装置において、
前記シャッター板は前記成形品を受け取る面に緩衝材を備えると好ましい。
【0010】
上記構成によれば、緩衝材によりシャッター板と成形品との弾性反発を低減させることができ、収容部内に成形品を正常姿勢で収容することができる。
【0011】
本発明の成形品の取出装置において、
前記第一の取出部材及び第二の取出部材はアルミニウム鋼材により構成されると好ましい。
【0012】
上記構成によれば、アルミニウム鋼材により取出部材が構成されることで、取出部材を軽量化することができ、高速動作における取出部材の振動を防止することができる。
【0013】
本発明の成形品の取出装置において、
前記第一の取出部材を鉛直方向に移動させる第三の駆動機構を備え、
前記第三の駆動機構は、
前記第一の取出部材が前記成形機の取出部から前記成形品を受け取る際に、前記第一の取出部材を前記成形機に近づけるように、前記第一の取出部材を鉛直方向の上方向に移動させる、と好ましい。
【0014】
本発明の成形品の取出装置において、
前記第一の取出部材を鉛直方向に移動させる第三の駆動機構を備え、
前記第三の駆動機構は、
前記第一の取出部材が前記第二の取出部材に前記成形品を受け渡す際に、前記第一の取出部材を前記第二の取出部材に近づけるように、前記第一の取出部材を鉛直方向の下方向に移動させる、と好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形機から短い時間で多くの成形品を取り出すことができる成形品の取出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施形態に係る成形品の取出装置の正面概略図である。
【
図3】実施形態に係る成形品の取出装置の平面概略図である。
【
図4】実施形態に係る成形品の取出装置の側面概略図である。
【
図5】実施形態に係る第一の取出部材の概略図であり、(a)は平面概略図、(b)は(a)のA-A断面概略図である。
【
図6】実施形態に係る成形品の取出装置の正面概略図である。
【
図7】第一の取出部材から第二の取出部材に成形品を移動させる様子を表す模式図であり、(a)は第一の取出部材に成形品が収容されている状態を表し、(b)は成形品が第一の取出部材から第二の取出部材に移動した状態を表す。
【
図8】
図5(a)のB-B断面概略図(シャッター板および緩衝材を示す図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。尚、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。まず、
図1を参照して、成形品10を製造するための成形機20について説明する。
図1は成形機20のブロック図である。
【0018】
図1に示すように、成形機20は、プリフォームを製造するための射出成形部21と、製造されたプリフォームの温度を調整するための温調部22とを備えている。射出成形部21には、原材料である樹脂材料を供給する射出装置25が接続されている。また、成形機20は、プリフォームをブローして成形品10を製造するためのブロー成形部(ブロー装置の一例)23と、製造された成形品10を取り出すための取出部24とを備えている。
【0019】
射出成形部21と温調部22とブロー成形部23と取出部24とは、搬送手段26を中心として所定角度(本実施形態では90度)ずつ回転した位置に設けられている。搬送手段26は回転板等で構成されており、回転板に取付けられているネック型27によりネック部11が支持された状態の成形品10が、回転板の回転に伴って各部に搬送されるように構成されている。
【0020】
射出成形部21は、図示を省略する射出キャビティ型、射出コア型、ネック型等を備えている。これらの型が型締めされることで形成されるプリフォーム形状の空間内に、射出装置25から樹脂材料を流し込むことにより、有底のプリフォームが製造されるように構成されている。
【0021】
温調部22は、射出成形部21で製造されたプリフォームの温度を、延伸ブローするための適した温度に加熱して調整するように構成されている。また、温調部22の構成は、温調ポット式、赤外線ヒーター式、RED式、電磁波加熱式の何れの様式でも良い。
【0022】
ブロー成形部23は、温調部22で温度調整されたプリフォームに対して、割型からなる金型によって最終ブローを行い、樹脂製の容器を製造するように構成されている。
【0023】
取出部24は、ブロー成形部23で製造された成形品10のネック部11をネック型27から開放して成形品10を取り出すように構成されている。
【0024】
本実施形態の成形機20は、例えば6.4~6.5秒の速い速度で1成形工程を完了して成形品10を製造する。この1成形工程とは、例えば、ブロー成形部23から成形品10を取出部24に搬送して、成形品10のネック部11をネック型27から解放し、ネック型27を射出成形部21へ移動する直前までの工程を指し、その時間は凡そ回転板が間欠回転する間隔に相当する。製造される成形品10は容量が例えば150mL以下であり、重量が例えば6g以下である小型で軽量の樹脂製容器である。
【0025】
続いて
図2~
図4を参照して、成形機20の取出部24から成形品10を取り出す成形品10の取出装置30について説明する。
図2は取出装置30の正面概略図、
図3は取出装置30の平面概略図、
図4は取出装置30の側面概略図である。なお、図面のX方向は左右方向を、Y方向は前後方向を、Z方向は上下(鉛直)方向を表している。また、以降の左右前後上下の方向は
図2における方向を基準に規定している。
【0026】
取出装置30は、第一の取出部材40aと、第一の取出部材40aより下方に設けられた第二の取出部材40bと、左右方向に延びる移動部材31と、上下方向に延びる第一の支持部材32と、台座33と、鉛直方向に延びる第二の支持部材34と、第一の駆動機構50と、第二の駆動機構60と、第三の駆動機構70とを備えている。
【0027】
第一の取出部材40aは、移動部材31と連結されている。また、移動部材31は、第一の支持部材32と連結されている。第一の支持部材32は台座33に固定されている。第一の支持部材32及び移動部材31により、第一の取出部材40aは、成形機20の取出部24まで左右方向に移動可能な高さに支持されている。
【0028】
第一の駆動機構50は、第一の取出部材40aを左右方向に移動させる。第一の駆動機構50は、第一の電動モータ51と、第一のボールナットと、第一のボールねじ軸と、により構成される。第一の電動モータ51は、移動部材31の端部に設けられたサーボモータである。第一のボールナットは、移動部材31の内部に収容されると共に第一の支持部材32に固定されている。第一のボールねじ軸は移動部材31の内部に収容されている。第一のボールねじ軸は、第一のボールナット52に螺合して第一の電動モータ51によって回転される。第一のボールねじ軸の端部にはプーリーが備えられ、プーリーには第一の電動モータ51の出力プーリーとの間でベルトが掛け回されている。
【0029】
第三の駆動機構70は、第一の取出部材40aを上下方向に移動させる。第三の駆動機構70は、第二の電動モータ71と、第二のボールナットと、第二のボールねじ軸と、により構成される。第二の電動モータ71は、第一の支持部材32の下方端部に設けられたサーボモータである。第二のボールナットは第一の支持部材32に昇降可能に固定されている。第二のボールねじ軸は第一の支持部材32の内部に収容されている。第二のボールねじ軸は、第二のボールナット72に螺合して第二の電動モータ71に連接されて回転する。
【0030】
第二の取出部材40bは、第二の取出部材40bを上下方向に移動させる第二の駆動機構60と連結されている。第二の駆動機構60は、エアシリンダーまたは電動モータである。第二の駆動機構60は、第二の支持部材34に設けられている。第二の支持部材34は台座33に固定されている。第二の支持部材34は第二の取出部材40bを案内するガイドレール35を備えている。
【0031】
ここで、
図5を参照して、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bについて説明する。
図5は第一の取出部材40aの概略図であり、(a)は平面概略図、(b)は(a)のA-A断面概略図である。なお、第二の取出部材40bは、第一の取出部材40aと構成が同一であるため、詳細な図は省略し、
図5には相当する符号のみを記載している。
【0032】
第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bは、成形品10を収容する収容部41a,41bと、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bの底部に設けられたシャッター板42a,42bと、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bの側部に設けられた第四の駆動機構43a,43bと、を備える。また、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bはアルミニウム鋼材により形成されている。収容部41a,41bは左右方向に複数列(例えば3列)、前後方向にも複数列(例えば12列(個)、合計36個)設けられている。収容部41a,41bは、成形品10の幅に対して、左右方向及び前後方向に1mm~10mm程度大きい幅で形成されている。つまり、前後方向に延びる収容部41a,41bが1つの収容部グループ体を形成し、それが隙間を空けて左右方向に複数(例えば3つ)、外側に設けた板状部材や外枠部材により連結された構造になっている。なお、隙間部分には必要に応じて補強部材が設けられる。なお、成形品10を成形機20から高速かつ大量に取り出すという課題を考慮すると、収容部41a,41bは少なくともX方向に3列以上設けられている構成が望ましい。
【0033】
シャッター板42a,42bは、第四の駆動機構43a,43bに連結されている。第四の駆動機構43a,43bはエアシリンダーまたは電動モータであり、左右方向にシャッター板42a,42bをスライドさせて収容部41a,41bの底部を開閉させる。収容部41a,41bの底部が開いている時にシャッター板42a,42bを収納できるように、左右方向の収容部41a,41bの列の間には収納部45a,45bが設けられている。収納部45a,45bは前述の隙間に該当する部位になる。シャッター板42a,42bは、その上面(成形機20から成形品10を受け取る面)に緩衝材44a,44bを備えている。緩衝材44a,44bは、第一の樹脂材料の上に第二の樹脂材料を備える積層体である。第一の樹脂材料は緩衝性が高い樹脂材料であり、第二の樹脂材料は耐久性が高い樹脂材料である。なお、緩衝材44a,44bの表面(成形品10の底部との接触面)は滑り性が高い樹脂材料で形成されており、さらに、
図8に示すようにエンボス加工が施されているのが望ましい。
図8は
図5(a)のB-B断面概略図(シャッター板および緩衝材を示す図)である。これにより、シャッター板42a,42bをスライドさせたとき、成形品10の底部と緩衝材44a,44bの摩擦力が軽減されるため、成形品10を正常姿勢でより確実に下流工程側に受け渡すことができる。
【0034】
次に、取出装置30を用いた成形品10の取り出し方法について説明する。
まず、
図2に示すように、第一の駆動機構50により第一の取出部材40aを左方向に移動させて、成形機20の取出部24に配置させる。そして、第三の駆動機構70により第一の取出部材40aを上方向に移動させて、成形機20のネック型27に近づける。第一の取出部材40aがネック型27に近づいたところで、成形品10のネック部11をネック型27から開放して成形品10を落下させて収容部41aに収容させる。この時、第一の取出部材40aのシャッター板42aにより、第一の取出部材40aの収容部41aの底部は閉じた状態にしておく。
【0035】
続いて、成形品10を収容した第一の取出部材40aを、第三の駆動機構70により下方向に移動させてネック型27から遠ざける。そして、
図6に示すように、第一の取出部材40aを、第二の取出部材40bの上部に配置されるように第一の駆動機構50により右方向に移動させる。そして、第一の取出部材40aを、第二の取出部材40bに近づくように、第三の駆動機構70により下方向に移動させる。この時、第二の取出部材40bを第二の駆動機構60により上方向に移動させて上方に配置しておく。
【0036】
続いて、
図7を参照して、第一の取出部材40aから第二の取出部材40bへの成形品10の受け渡しを説明する。
図7は第一の取出部材から第二の取出部材に成形品を移動させる様子を表す模式図であり、(a)は第一の取出部材に成形品が収容されている状態を表し、(b)は成形品が第一の取出部材から第二の取出部材に移動した状態を表す。
図7に示すように、第一の取出部材40aと第二の取出部材40bが最も近づいたところで(
図7(a))、第一の取出部材40aのシャッター板42aを水平方向にスライドさせて、第一の取出部材40aの収容部41aの底部を開いて成形品10を落下させて、第二の取出部材40bの収容部41bに収容する(
図7(b))。この時、第二の取出部材40bのシャッター板42bにより、第二の取出部材40bの収容部41bの底部を閉じた状態にしておく。第二の取出部材40bへ成形品10を収容した後、第一の取出部材40aの収容部41aの底部を閉じる。
【0037】
第一の取出部材40aから第二の取出部材40bに成形品10を移動させた後、
図2に示すように、第二の取出部材40bを、取出装置30とは別に配置されている搬送装置80に近づくように、第二の駆動機構により下方向に移動させる。本実施形態において搬送装置80はベルトコンベアーである(
図2~
図4参照)。第二の取出部材40bと搬送装置80とが最も近づいたところで、第二の取出部材40bのシャッター板42bを水平方向にスライドさせて、第二の取出部材40bの収容部41bの底部を開いて成形品10を落下させて、搬送装置80に成形品10を着地させる。着地後、第二の駆動機構60により第二の取出部材40bを上方向に移動させ、再び第一の取出部材40aに近づける。この途中で第二の取出部材40bの収容部41bの底部を閉じる。第二の取出部材40bが上昇して成形品10が解放されると、搬送装置80により成形品10が搬送され、検品や梱包等の次工程へ送られ、成形品10の取り出しは完了する。
【0038】
第二の取出部材40bを搬送装置80に近づけ、成形品10を搬送装置80に着地させて再び上方向に移動させている間に、第一の取出部材40aを、第一の駆動機構50により左方向に移動させて、
図2に示すように成形機20の取出部24に配置させて、成形品10を収容部41aに収容して、
図6に示すように、再び第二の取出部材40bに近づくように右方向に移動させる。以上の方法により、成形品10の取り出しは連続的に行われる。
【0039】
なお、搬送装置80は複数列の成形品10を一列に整列させて次工程に運ぶのが望ましい。これを実施するため、搬送装置80を、複数列の搬送コンベア80a、傾斜ガイド80b、平行ガイド80c、バキューム機構80d、とから構成させている(
図3、
図4)。搬送コンベア80aは、取出装置30の第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bのそれぞれの収容部41a,41bの列数と同じ数からなり、列毎に独立して稼働可能に設定される。傾斜ガイド80bは、取出装置30から成形品10が着地する搬送装置80の上流位置から次工程により近づいた下流位置に亘り、外方の搬送コンベア80aから中央の搬送コンベア80aに傾斜させて延設される。傾斜ガイド80bの数は少なくとも2本であればよく、取出装置30の第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bのそれぞれの収容部41a,41bの列数から1を引いた数としてもよい。平行ガイド80cは中央の搬送コンベア80aに対し略平行に延設され、少なくとも2本であればよい。傾斜ガイド80bは、搬送コンベア80aの上面に対してZ方向で離接した状態で設置・固定される。また、傾斜ガイド80bと平行ガイド80cの形状は平板状でも棒状であっても良い。なお、
図3、4では、傾斜ガイド80bと平行ガイド80cを、各々を2本に設定した例を示している。バキューム機構80dは成形品10が搬送時に倒れないようにするための機構であり、搬送コンベア80aの表面に形成された多数の開口部を介し成形品10の底部をエアの吸引により保持する。
【0040】
ここで、
図3を参照して搬送装置80により成形品10を一列化させる動作について説明する。まず、取出装置30から複数列の成形品10が搬送コンベア80aの表面に着地した際に、バキューム機構80dにより成形品10を保持する。次いで、中央の搬送コンベア80aを稼働させて中央の列の成形品10を一定距離(一定時間)、平行ガイド80cの間に入るように向けて搬送させる。その後、外方の一方の列の搬送コンベア80aを稼働させ、その表面に保持された成形品10を一定距離(一定時間)搬送させる。このとき、外方の列の成形品10は傾斜ガイド80bに当接しつつ中央の搬送コンベア80aの方向に向けて搬送され、平行ガイド80cの間に入るように進む。最後に、外方の他方の列の搬送コンベア80aを稼働させ、傾斜ガイド80bに当てながら平行ガイド80cの間に向けて搬送させる。なお、バキューム機構80dは常時稼働させても良いし、成形品10の着地から一定時間のみ稼働させても良い。このように、複数列の搬送コンベア80aを段階的に(タイミングをずらして)稼働させ、かつ、傾斜ガイド80bに沿って外方の列の成形品10を中央の列に合流させることで、少なくとも3列に並んだ成形品10を容易に1列に整列させることができる。
【0041】
ところで、成形機の成形能力が、小型で軽量である成形品を大量にかつ高速に成形できるように向上してきているところ、成形品の取出装置においてもこの成形機の成形能力に対応させて、成形品を整列させて取り出せることが要求される。また、成形機の取出部は、成形の都合上、後工程の検品や梱包が実施される高さと比べて高い位置に配置されるため、成形品を下げる動作が必要である。
【0042】
本実施形態の取出装置30によれば、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bに取出部材を分割したことで、第二の取出部材40bが第一の取出部材40aから成形品10を受け取ってから、成形品10を搬送装置80に受け渡すまでの間に、第一の取出部材40aが成形機20へ戻って成形品10を受け取ることができる。このように、片方の取出部材が成形品10の受け渡し動作をしている間に、もう片方の取出部材が受け取り動作をすることができるため、短い時間でより多くの成形品10を取り出すことができる。
【0043】
さらに、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bの動作が単純化されていることにより、取出装置30の動作の信頼性が高められている。
【0044】
また、成形機20の取出部24から成形品10を第一の取出部材40aに落下させる際、また第一の取出部材40aから第二の取出部材40bに成形品10を落下させる際、成形品10が跳ねて位置ズレしてしまうおそれがある。特に高速で動作する取出装置30においては、短時間の成形品10の位置ズレであっても、第一の取出部材40aが受け取り動作から受け渡し動作に移行する際に成形品10とネック型27が接触してしまうおそれや、第一の取出し部材40aが受け渡し動作から受け取り動作に移行する際に、第二の取出し部材40bの収容部41bに落下した成形品10と第一の取出し部材40aとが接触してしまうおそれがある。また、小型で軽量である成形品10は跳ねやすく、成形品10のネック部11が成形品10の胴部よりも重くなっているため重心が上方に存在しバランスを崩しやすい。実施形態の取出装置30では、シャッター板42a,42bが成形品10を受け取る面に緩衝材44a,44bを備えることにより、小型で軽量である成形品10が跳ねたり位置ズレしたりすることを効果的に防止でき、高速で成形品10を取り出すことができる。
【0045】
また、大量の成形品を1サイクルで成形可能な成形機に用いる取出装置では取出部材が大きくなるため、取出部材を鉄鋼材等で構成したり、掘り込み式の樹脂材を収容部に設けたりすると重くなり、高速動作において急停止する際に大きい慣性が働き、取出部材が振動してしまう。この振動により、取り出し動作が円滑に行えないおそれがある。これに対し、本実施形態の取出装置30では、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bがアルミニウム鋼材により構成され、また隙間を多く形成させていることにより、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bが軽量となり急停止する際に働く慣性が小さくなるため、急停止時の振動を効果的に防止でき、高速で大量の成形品10を取り出すことができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
例えば、上記の実施形態では、第一の取出部材40a及び第二の取出部材40bの収容部41a,41bを特定の数で説明したが、特に取出装置30の応用可能な取り数を限定するものではない。成形機20の製造能力に応じて、収容部41a,41bの数は適宜変更可能である。また、上記の実施形態では、特定の速度で1成形工程を完了する成形機20を説明したが、特に取出装置30の応用可能な成形機の成形速度を限定するものではない。
【0048】
また、上記の実施形態では、成形品の容量と重量について説明したが、当該記載に本願発明を限定する意図はなく、小型で軽量である成形品としては、例えば、容量としては50mL~300mL、重量としては3.0g~15.0gのものが挙げられる。
【0049】
また、上記の実施形態では、第一の駆動機構50、第二の駆動機構60、及び第四の駆動機構43a,43bについて特定の態様で説明したが、それぞれ、第一の取出部材40aを水平方向に移動可能であり、第二の取出部材40bを鉛直方向に移動可能であり、及びシャッター板42a,42bを水平方向に移動可能である限り、いかなる態様の機構を用いることもできる。
【0050】
また、上記の実施形態では、第三の駆動機構70を備える取出装置30を説明したが、第三の駆動機構70を備えていなくとも、本願発明の効果を得ることは可能である。ただし、第三の駆動機構70を備える場合、成形品10の受け渡しの際に第一の取出部材40aが、ネック型27及び第二の取出部材40bにさらに近づくことができ、成形品10をより短い時間で正確に受け渡すことができ、好ましい。
【0051】
また、上記の実施形態では、緩衝材44a,44bとして第一の樹脂材料の上に第二の樹脂材料を備える積層体を説明したが、特にこれらに限定されるものではなく、緩衝性を備える材料であれば、本願発明の効果を得ることは可能である。ただし、緩衝材44a,44bの表面が耐久性の高い材料であると、シャッター板42a,42bにより生じる摩擦による損傷を効果的に防止することができ、好ましい。
【0052】
なお、本願は、2017年8月30日付で出願された日本国特許出願(特願2017-165923)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0053】
10:成形品、11ネック部、20:成形機、21:射出成形部、22:温調部、23:ブロー成形部、24:取出部、25:射出装置、26:搬送手段、27:ネック型、30:取出装置、31:移動部材、32:第一の支持部材、33:台座、34:第二の支持部材、35:ガイドレール、40a:第一の取出部材、40b:第二の取出部材、41a,41b:収容部、42a,42b:シャッター板、43a,43b:第四の駆動機構、44a,44b:緩衝材、45a,45b:収納部、50:第一の駆動機構、51:第一の電動モータ、60:第二の駆動機構、70:第三の駆動機構、71:第二の電動モータ、80:搬送装置