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特許7112416DASにおけるアグリゲート・キャリアのルーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】DASにおけるアグリゲート・キャリアのルーティング
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20220727BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220727BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20220727BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W72/04 111
H04W16/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019545955
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054414
(87)【国際公開番号】W WO2018154001
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】1750193-3
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519194423
【氏名又は名称】メイベン ワイヤレス スウェーデン アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル ルイス
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526844(JP,A)
【文献】特開2013-187909(JP,A)
【文献】国際公開第2015/191530(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0128761(US,A1)
【文献】特開2005-026994(JP,A)
【文献】特表2012-505606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)への、DASの少なくとも1つのデジタルマスタユニットによって受信されたアグリゲート・キャリア(301)ルーティングのデジタル分散アンテナシステム(DAS)(300)によって実行される方法であって、
前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)によってサービスされるカバレッジエリア内に位置する無線通信デバイスに送信される受信アグリゲート・キャリアを識別するステップ(S101)と、
前記無線通信デバイスへの送信のために、デジタル遠隔ユニット(304)へ、前記DAS(300)を通して、同じルーティングパス(309)を介して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングするステップ(S102)と
を含む方法。
【請求項2】
DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)への、DASの少なくとも1つのデジタルマスタユニットによって受信されたアグリゲート・キャリア(301)ルーティングのデジタル分散アンテナシステム(DAS)(300)によって実行される方法であって、
前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)がサービスを提供するカバレッジエリアに位置する無線通信デバイスに送信される受信されたアグリゲート・キャリアを識別するステップ(S101)と、
前記識別されたアグリゲート・キャリアがルーティングされる異なるルーティングパスのそれぞれの処理遅延を決定するステップ(S101a)と、
第1のルーティングパスを介してルーティングされる第1のアグリゲート・キャリア(312)と、第2のルーティングパスを介してルーティングされる第2のアグリゲート・キャリア(313)との間の時間差を減らすために、前記第1のルーティングパス(312)を介してルーティングされた第1のアグリゲート・キャリアへのさらなる遅延を引き起こすように、前記ルーティングパスのうちの少なくとも第2のルーティングパス(313)よりも処理遅延が小さい前記ルーティングパスのうちの少なくとも第1のルーティングパス(312)に配置された遅延要素を制御するステップ(S101b)と、
前記無線通信デバイスへの送信のために、前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)へ、DAS(300)を通して、前記異なるルーティングパス(309)を介して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングするステップ(S102b、S102c)と、
を含む方法。
【請求項3】
前記第1のルーティングパスにおける前記遅延要素によって引き起こされる前記さらなる遅延は、前記第1のルーティングパスの合計処理遅延が、前記第2のルーティングパス(313)の処理遅延に等しくなるように制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ルーティングパスの前記処理遅延は、前記DAS(200)によってアクセス可能なデータベースから、予め格納された遅延値を取得することによって決定される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
異なるルーティングパス介して前記DAS(300)を通過して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングする前記ステップ(S102)は、さらに、前記第1のアグリゲート・キャリアと前記第2のアグリゲート・キャリアとの間の時間差を検出するステップ(S101b’)を含み、
前記制御するステップ(S101b)は、さらに、前記第1のルーティングパスを介してルーティングされる前記第1のアグリゲート・キャリア(312)と、前記第2のルーティングパスを介してルーティングされる前記第2のアグリゲート・キャリア(313)との時間差を減らすために、前記第1のルーティングパス(312)を介してルーティングされた前記第1のアグリゲート・キャリアへのさらなる遅延を引き起こすように、前記ルーティングパスのうちの前記第1のルーティングパス(312)に配置された前記遅延要素を制御するステップ(S101b)を含む、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記さらなる遅延が、リングバッファ内の前記第1のアグリゲート・キャリアのサンプルをバッファリングすることによって引き起こされる、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記さらなる遅延は、分数遅延フィルタを通して前記第1のアグリゲート・キャリアのサンプルを通過させることによって引き起こされる、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニット(301)で受信されたアグリゲート・キャリアを、前記DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)への、ルーティングするように構成された、デジタル分散アンテナシステム(DAS)(300)であって、
前記DAS(300)は、該DASに、前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)によってサービスされるカバレッジエリア内に位置する無線通信デバイスに送信される前記受信されたアグリゲート・キャリアを識別させ、
前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)に、前記無線通信デバイスへの送信のために、前記DASを通して、同じルーティングパス(309)を介して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングさせるように構成された少なくとも1つの処理ユニット(360)を含む、DAS(300)。
【請求項9】
DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニット(301)で受信された、アグリゲート・キャリアを、前記DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)への、ルーティングするように構成された、デジタル分散アンテナシステム(DAS)(300)であって、
前記DAS(300)は、該DASに、前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)によってサービスされるカバレッジエリア内に位置する無線通信デバイスに送信される前記受信アグリゲート・キャリアを識別させ、
前記識別されたアグリゲート・キャリアがルーティングされる異なるルーティングパスの各々の処理遅延を決定させ、
第1のルーティングパスを介してルーティングされる第1のアグリゲート・キャリア(312)と、第2のルーティングパスを介してルーティングされる第2のアグリゲート・キャリア(313)との間の時間差を減らすために、前記第1のルーティングパス(312)を介してルーティングされた第1のアグリゲート・キャリアへのさらなる遅延を引き起こすように、前記ルーティングパスのうちの少なくとも第2ルーティングパス(313)よりも小さい処理遅延を有する前記ルーティングパスのうちの少なくとも第1ルーティングパス(312)に配置された遅延要素を制御させ、
前記無線通信デバイスへの送信のために、前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニット(304)へ、DAS(300)を通して、前記異なるルーティングパス(309)を介して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングさせる
ように構成された少なくとも1つの処理ユニット(360)を含む、DAS(300)。
【請求項10】
前記第1のルーティングパスにおける前記遅延要素により引き起こされた前記さらなる遅延は、前記第1のルーティングパスの合計処理遅延が、前記第2のルーティングパス(313)の処理遅延に等しくなるように制御される、請求項9に記載のDAS(300)。
【請求項11】
前記処理ユニット(360)は、前記DASに、異なるルーティングパスを介して前記DAS(300)を通して前記識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングするとき、
前記第1のアグリゲート・キャリアと前記第2のアグリゲート・キャリアとの間の時間差を検出させるように構成され、
前記制御するステップは、さらに、前記第1のルーティングパスを介してルーティングされる前記第1のアグリゲート・キャリア(312)と、前記第2のルーティングパスを介してルーティングされる前記第2のアグリゲート・キャリア(313)との時間差を減らすために、前記第1のルーティングパス(312)を介してルーティングされた前記第1のアグリゲート・キャリアをさらに遅延させるように、前記ルーティングパスのうちの前記第1のルーティングパス(312)に配置された遅延要素を制御するステップを含む、
請求項9または10に記載のDAS(300)。
【請求項12】
コンピュータ実行可能命令が、前記DASに含まれた処理ユニット(360)の上で実行されるときに、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を、DAS(300)に実行させるためのコンピュータ実行可能命令を備えるコンピュータ・プログラム(361)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル分散アンテナシステム(DAS)およびアグリゲート・キャリアのルーティングのデジタルDASによって実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散アンテナシステム(DAS)は、一般的な移動無線ネットワークから直接サービスを提供することができないエリア(例えば、地下鉄システムおけるトンネル、または、建物複合体)において、無線カバレッジを提供するための技術であり、単一DASが多くの無線基地局で使用することができるので、複数の無線サービスのプロバイダが、カバレッジを提供する必要があるアプリケーションに特に有利である。
【0003】
典型的なデジタルDASは、図1に示されており、ヘッドエンドから構成されている。ここで、無線基地局(複数のRBS)10-13の数からダウンリンク信号を受信するデジタルマスタユニット(DMU)14、15を参照し、それらを、1つ以上のルーティングユニット(RUT)18を介して、複数のリモートノード19、20に光ファイバー16、17上での搬送のために変換する。ここでは、それらを、デジタルリモートユニット(DRU)と呼び、光信号を無線信号に変換するカバレッジエリアに位置し、スマートフォンやタブレットなどワイヤレス通信デバイス21、22との送受信のためのDRU19、20によって駆動されるアンテナでブロードキャストできる。各DRU19、20は、その接続されたアンテナからのアップリンク信号を受信し、DMU14、15に戻る、および、RBS10-13に進む、光ファイバ16、17を介した送信のためにそれらを変換する。
【0004】
現代のアクティブDASは、図1に示されるように、常にではないが、通常、光ファイバ接続を介して、デジタルサンプルの形式で無線信号を搬送する。デジタルデータ伝送は、どの信号がどのDRUに送られるかをより細かく制御できる無線信号の柔軟なルーティングと配信を可能にする。
【0005】
基地局信号は、異なるキャリア周波数割り当てに対応するデジタルデータのフィルタリングされたストリームに変換され、アップリンク信号は、同様に、周波数の割当てにしたがってフィルタリングされ、基地局に送り返される。基地局インタフェースは、(例えば、RFダウンリンクおよびアップリンク信号を有する)アナログまたは、(ダウンリンクとアップリンク信号がデジタル形式でエンコードされている)デジタルであることができる。リモートノードは、周波数帯域の有限数(例えば、4バンド)をサポートする。バンドが、もっとカバレッジエリアに必要とされる場合、いくつかのリモートノードを、それらが、サービスエリア内に並列に送信するように、接続することができる。デジタルDASを用いて、両方に信号をルーティングするためにデイジーチェーン構成でリモートノードのペアを接続することは簡単である。
【0006】
DASシステムの主な目的は、モバイルデバイスのためのカバレッジを提供するだけでなく、カバレッジエリア内の基地局と移動端末との間に高品質のリンクを提供することによって、高いデータ容量を可能にすることである。ロングタームエボリューション(LTE)標準のリリース10は、利用可能な最大データレートを高めるために、「キャリア・アグリゲーション」の概念を導入した。キャリア・アグリゲーションは、移動端末が、ダウンリンクで複数の基地局のキャリア信号からデータを受信し、必要に応じて、複数の基地局のアップリンク周波数割り当てにおいてデータを送信することを可能にする。各キャリアは、それに割り当てられた最大で20MHzの帯域幅を有する。キャリア・アグリゲーションを用いて、いくつかのキャリアを、100メガヘルツまでの最大帯域幅、および、対応するより高いデータレート・を与えるために並列に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2014/036770号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/329933号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/127101号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/094425号明細書
【0008】
〔特許文献1〕米国特許出願公開第2014/036770号明細書
米国特許出願公開第2014/036770号明細書は、デジタル・アクセス・ユニット(DAU)で、第1の周波数帯域内に存在する信号を受信するステップと、DAUにおいて信号を処理するステップとを含む、ワイヤレス・ユーザ・デバイスと通信する方法を開示している。この方法は、また、DAUから処理された信号を送信するステップと、DRUにおいて送信信号を受信するステップとを含む。この方法は、さらに、この信号を、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域に変換するステップを含む。
〔特許文献2〕米国特許出願公開第2016/329933号明細書
米国特許出願公開第2016/329933号明細書は、分散アンテナ・システムに配置された基地局ルータを開示している。基地局ルータには、バックプレーンとコントローラが含まれる。バックプレーンは、カバレッジゾーンに対するセクタの可用性を管理できる。各セクタは、カバレッジゾーンにおけるモバイル・デバイスに放射される通信チャネルを含むことができ、また、通信容量の量を表すことができる。コントローラは、バックプレーンに、少なくとも1つのセクタの可用性を再配分させることによりトラフィック・インジケータに応答できる。
〔特許文献3〕米国特許出願公開第2016/127101号明細書
米国特許出願公開第2016/127101号明細書は、分散アンテナ・システムを自動的に構成するシステムと方法が提供されることを開示している。分散アンテナ・システムの構成サブシステムは、分散アンテナ・システムにおけるユニットの入力を介して1つ以上の基地局から受信されるダウンリンク信号の信号パラメーターを識別できる。構成サブシステムは、自動的に識別された信号パラメーターに基づいて、分散アンテナシステムのための構成プランを自動的に決定できる。この構成プランは、分散アンテナ・システムのリモート・アンテナ・ユニットへのルーティングのためにダウンリンク信号のサブセットを結合する方法を特定する。
〔特許文献4〕米国特許出願公開第2013/094425号明細書
米国特許出願公開第2013/094425号明細書は、共通セクター識別(ID)を使用した同時放送用に複数の基地局のそれぞれにわたって、ダウンリンク・パケットを送信するように基地局コントローラに指示する基地局コントローラへ、メッセージを送信するように適合された基地局サイマルキャスト・コントローラ・モジュールを開示している。1つ以上の同時放送制御命令は、複数の基地局に送信され、複数の基地局からのセクタIDとの同時放送を容易にすることができる。
【0009】
ただし、キャリア・アグリゲーションは、現在の技術水準のDAS構造においては問題である。現在のDAS構造が、たとえば、実際にアグリゲート・キャリア・ペアのアグリゲート・キャリアが、互いに強く関係しており、そしてこのため、独立したキャリアとして扱うことはできないが、しかし、最終的に、DASによって提供された意図したカバレッジエリアにおいて送信されるために、DASを介して慎重に搬送しなければならないことを考慮していないからである。
【発明の概要】
【0010】
本明細書の実施例の目的は、当該技術分野におけるこの問題を解決する、あるいは少なくとも軽減して、DASを通して、アグリゲートキャリをルーティングするための改良された方法を使用するDASを提供することにある。
【0011】
この目的は、DASの少なくとも1つのデジタル遠隔ユニットへのDASの少なくとも1つのデジタルマスタユニットによって受信されたアグリゲート・キャリアをルーティングするデジタル分散アンテナシステム(DAS)によって実行される方法により、本発明の第1の態様において達成される。この方法は、少なくとも1つのデジタルリモートユニットによりサービスされるカバレッジエリアにある無線通信機器に送信される受信したアグリゲート・キャリアを識別するステップと、無線通信デバイスへの送信のために、前記キャリアが前記少なくとも1つのデジタル遠隔ユニットにトランスポートされるように、DASを介して識別されたアグリゲート・キャリアをルーティングするステップとを含む。
【0012】
この目的は、本発明の第2の態様において、DASの少なくとも1つのデジタルリモートユニットへの、DASの少なくとも1つのデジタルマスターユニットにより受信されたアグリゲート・キャリアをルーティングし、このDASは、少なくとも1つのデジタルリモートユニットがサービスを提供するカバレッジエリアにおいて、配置された無線通信デバイスに送信される、DASが受信したアグリゲート・キャリアを識別するように構成された少なくとも1つの処理ユニットを備えており、そして、無線通信デバイスへ搬送するために、このキャリアが、少なくとも1つのデジタルリモートユニットに搬送されるように、識別されたアグリゲート・キャリアをDAS経由でルーティングするように構成されたデジタルDASにより、達成される。
【0013】
したがって、DMUは、DASのDRUの1つによってサービスカバレッジエリア内に位置する無線通信デバイス(WCD)に提出する受信アグリゲート・キャリアを識別する。
【0014】
アグリゲート・キャリアを識別するために、DMUは、オペレーターネットワークにおいて、たとえば、無線リソース管理データベースと通信できる。オペレーターネットワークは、DMUで受信した第1のキャリアと第2のキャリアが実際に、アグリゲート・キャリア・ペアを形成することをDMUに通知する。
【0015】
DASデータベースに予め格納された設定情報は、当該基地局のキャリアが相互に識別することを可能にする。したがって、DASは、キャリアがアグリゲートされているかについてDASデータベースから情報を取得する。
【0016】
次に、受信した第1キャリアと第2キャリアをアグリゲート・キャリアであるとして識別したとき、DMUは、アグリゲート・キャリアをどのDRUに搬送するかを決定し、2つのキャリアをグループ化して、アグリゲート・キャリアを、DASトランスポートネットワークを介して、目的のDRUへ搬送する。
【0017】
したがって、DMUは、有利なことに、コンポーネント・キャリアをルーティングする。これは、アグリゲート・キャリアが意図するDRUへのアグリゲート・キャリア・ペアとして、個別の基地局を介して受信される場合もある。
【0018】
1つの実施形態では、DASを介して識別されたアグリゲート・キャリアのルーティングが、その識別されたアグリゲート・キャリアを異なるルーティングパスを介してルーティングすることを含む場合、この方法は、異なるルーティングパスのそれぞれの処理遅延を決定することを含む。その後、ルーティングパスのうちの少なくとも第1のルーティングパスに配置された遅延要素(ルーティングパスのうちの少なくとも第2ルーティングパスよりも処理遅延が小さい)は、第1のルーティングパスを介してルーティングされる第1のアグリゲート・キャリアと、第2のルーティングキャリアを介してルーティングされた第2のアグリゲート・キャリアとの間の時間差を減らすために、第1のルーティングパスを介してルーティングされた第1のアグリゲート・キャリアにさらに遅延を引き起こすように制御される。
【0019】
アグリゲート・キャリアの基地局送信間のタイミング調整の要件は、厳密であり、WCDは、アグリゲート・キャリア間で最大30μ秒の伝搬遅延差に対処する必要がある。コンポーネント・キャリア間の基地局の時間調整エラーは、帯域間および隣接しない帯域内アグリゲートの場合、260ns未満に維持され、帯域内連続アグリゲーションでは130ns未満に維持されるという要件がある。
【0020】
この実施形態では、アグリゲート・キャリアのルーティング時にDASによって引き起こされる処理遅延は、最終的に、コンポーネント・キャリア間の時間差が、アグリゲート・キャリアがDRUアンテナを介して意図したWCDに送信されたときに存在するように補償される。
【0021】
ある実施形態では、DASを介して、各ルーティングパスの遅延は、DASのインストールの前または中に測定され、続いて、DASを介して適切なルーティングパスを選択するためのDASによってアクセス可能なデータベースに入力される。このアプローチでは、キャリアがDRUアンテナを介して意図したWCDに送信される前に、アグリゲート・キャリア間の時間差が解消されるように、遅延要素を制御するために、DASは、ルーティングパスの遅延についてデータベースを参照すると便利である。
【0022】
さらに別の実施形態において、遅延要素は、さらに、任意の時間差を減少させるため、遅延させるアグリゲート・キャリアのサンプルをバッファリングするように構成されたリングバッファの手段によって、または、分数遅延フィルタを介して1つ以上のアグリゲート・キャリアのサンプルを通過させることによって、実現される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、詳細な説明に記載される。
【0024】
一般的には、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、明示的に本明細書に定義されない限り、技術分野における通常の意味にしたがって、解釈されるべきである。「要素、装置、部品、手段、ステップなど」へのすべての参照は、特に明記しない限り、要素、装置、成分、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを参照するものとして、オープンに解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願発明は、次に、添付図面を参照しながら、一例として、記載される。
図1図1は、典型的なデジタルDASを示す図である。
図2図2a-cは、キャリア・アグリゲーションの種類を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態において、どのように、アグリゲート・キャリアが、DASに接続することができるかを例示する。
図4図4は、デジタルインターフェースは、各BBUから直接DASに接続されている例を示している。
図5図5は、本発明の実施形態に係るDASを介してアグリゲートしたキャリアをルーティングする方法のフローチャートを示す図である。
図6図6は、本発明のさらなる実施形態によるDASを示す図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態によるDASを介してアグリゲートしたキャリアをルーティングする方法のフローチャートを示す図である。
図8図8は、本発明のさらに別の実施形態によるDASを示す図である。
図9図9は、本発明のさらに別の実施形態によるDASを介してアグリゲートしたキャリアをルーティングする方法のフローチャートを示す図である。
図10図10は、本発明のさらに別の実施形態によるDASを介してアグリゲートしたキャリアをルーティングする方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を、本発明の特定の実施形態が示されている添付図面を参照して詳細に説明する。本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化することができるものであり、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。この開示が徹底的かつ完全となり、当業者に完全に本発明の範囲を伝えるように、むしろ、これらの実施形態は例として提供される。同様の数字は、本願説明を通して同様の要素を指す。
【0027】
図1は、典型的なデジタルDASを示し、先に、背景技術のセクションに記載されている。
【0028】
キャリア・アグリゲーションは、キャリアは、同じ、または、異なる周波数帯域にあるかどうかに応じて、イントラバンドまたはインターバンドとして示されている。図2は、一般的にコンポーネント・キャリアと呼ばれる2つのアグリゲート・キャリアと異なるシナリオのいくつかの簡単な例を示している。
【0029】
図2aは、連続した帯域内キャリア・アグリゲーションを示している、この2つのキャリアは、同じ周波数帯域内の隣接する周波数範囲にある。搬送の観点から、2つのキャリアは、1つの大きなキャリアとして効果的に扱うことができるので、これは最も単純なケースである。DASシステムでは、単一の広いフィルタは、単一のデータストリームとして送信され得る信号を捕捉するために使用することができる。
【0030】
図2bは、非連続イントラバンドキャリア・アグリゲーションを示す。キャリアが同じ周波数帯域内に位置しているが、キャリアとの間に隙間がある。モバイルオペレータが、その間に他の携帯オペレータの割り当てを有する帯域にわたって拡散される周波数割り当てを有する場合、このシナリオは、頻繁に発生する。
【0031】
図2cは、バンド間キャリア・アグリゲーションを示す。この場合、2つのキャリアは完全に異なる周波数帯域である。
【0032】
実際には、2つ以上のキャリアが、イントラバンドおよびインターバンドアグリゲーションの任意の組み合わせを用いて、アグリゲートすることができる。また、基地局が、アンテナ毎に同一の周波数範囲を使用して、複数のアンテナで、送信し受信する場合には、各キャリアは、MIMO(マルチ入力、マルチ出力)を使用することができる。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態において、アグリゲート・キャリアをDAS300に接続することができる方法のいくつかの例を示している。RBS-DASインタフェースがアナログRF信号を使用する場合、キャリア信号は、RBS無線ユニット(RU)から受信される。基地局ベンダーは、アグリゲート・キャリアの実装方法に大きな自由度を持っている。
【0034】
例えば、それらは、第1のRBS330の単一のベースバンドユニット(BBU)320から生成することができる。これは、そのBBUに接続されたいくつかの異なるRU321、322の上で異なるキャリアを、そして、DASトランスポートネットワーク303を介してキャリアをルーティングするDAS300の第1のDMU301へ、そして、この特定の例示的な実施形態では、5つのDRU304-308の手段により、1つ以上のDRUに送信する。それぞれが、それぞれのDRUが提供するカバレッジエリアに位置する1つ以上の無線通信デバイスにサービスを提供する。
【0035】
さらに、第2のRBS331の単一のBBU323は、アグリゲート・キャリアを生成する。これは、DRU304-308の1つ以上にさらにルーティングするために、異なるRU324、325を介してDAS300の複数のDMU301、302に送信される。
【0036】
代替的に、第3のRBS332の単一のRU327は、1つのBBU326からDAS300へいくつかのキャリアを送信する場合がある。複数のBBUが、オペレーターのネットワークを介して接続され、そして、1つのBBUが1セットのキャリアを送信し、もう1つのBBUが別のセットのキャリアを送信するように、互いに調整することも可能である。
【0037】
DAS300は、アナログRFインターフェイス328を介して、デジタル信号に受信された無線信号を変換し、そして、次に、DRUに接続されたDASアンテナを介して送信するように、DRU304-308でRF信号に変換されるキャリアごとに個別のデジタルデータストリームを生成するために、ダウンリンク方向における異なるキャリアをフィルタで除外する。
【0038】
インストールの観点からは、DASの接続点が柔軟である(すなわち、任意の基地局の接続は、任意のDMU301、DAS300、302にすることができる)ことが望ましい。協働基地局でも、物理的に同じ場所に位置していなくてもよいことに留意する。
【0039】
図4は、第1のRBS430および第2のRBS431のそれぞれのBBU420、421から、DMU301、302を介してDAS300へ、デジタルインターフェイスが直接接続されている例を示している。各BBU420、421は、1つ以上のDMUへの1つ以上のデジタル接続を有する。デジタル信号は、各キャリアのサンプリングされたベースバンドデータを搬送し、DAS300が、RF信号はダウンリンクで送信され、アップリンクで受信されるDRU304-308とのやり取りの内部ルーティングに適した形式に変換する。
【0040】
この場合、図3の異なるRU接続オプションは適用されないが、それはまだ、アグリゲート・キャリアは、いくつかの基地局をわたって生成される、および/または、DAS300に、異なるデジタル接続の上で送信される場合であり得る。
【0041】
LTE標準に、キャリア・アグリゲーションを追加することは、デジタルDASにおいて問題を引き起こす。デジタルDASの主な利点の1つは、変化するニーズに応じて、信号を異なる宛先にルーティングすることが可能であることである。つまり、DMU301、302で受信した信号は、実際には、デジタルDAS300内の任意のDRU304-308にルーティングすることができる。
【0042】
この可能性は、再構成を実行するサービスエンジニアが、アグリゲート・キャリアが、使用されており、そして、アグリゲート・キャリアのうちの1つが唯一の再ルートのものであるという事実を観察するのに失敗することがあり得るというリスクをもたらす。基地局は、それぞれのカバレッジエリアでサービスする無線通信デバイスが、そのアグリゲート・キャリアのすべてを受け取ることができ、そして、キャリアの1つが欠落している場合、そのキャリアとのアグリゲーションはできなくなることを予想する。LTE規格では、すでに、異なるアグリゲート・キャリアは、すべての端末で受信できないことがあるケースが予想されている。したがって、壊滅的な障害はない、しかし、ネットワーク容量は、カバレッジエリアにまったく存在しないキャリアに対する無線通信機器からの測定レポートの生成において、無駄に消費され、そして、モバイル・オペレータは、期待されるパフォーマンスを顧客に提供できなくなる。
【0043】
当該技術分野におけるこの問題は、図5のフローチャートを参照して説明した本発明の実施形態によって克服される。図3のシステムを、さらに参照する。
【0044】
たとえば、RU322をわたり第1のBBU320を介して、第1のキャリアがDAS300の第1のDMU301に送信され、一方、RU324をわたり第2のBBU322を介して、第2のキャリアはDAS300の第1のDMU301に送信されるように、オペレーターのネットワークが構成される。どの第1キャリアと第2キャリアが、アグリゲート・キャリア・ペアを形成するかが、例として、図2aに示されている。各アグリゲート・キャリアは一般にコンポーネント・キャリア(CC)と呼ばれている。
【0045】
アグリゲート・キャリアをDAS300にルーティングする方法の実施形態では、第1のDMU301は、ステップS101で、たとえば、DRU304などDAS300のDRU304-308の1つがサービスを提供するカバレッジエリアに位置するワイヤレス通信デバイス(WCD)に提出される受信したアグリゲート・キャリアを識別する。
【0046】
アグリゲート・キャリアを識別するために、第1のDMU301は、例えば、オペレータネットワークの無線リソース管理データベースと通信することができる。これは、第1のDMU301に、第1のDMU301で受信した第1のキャリアと第2のキャリアが、実際、アグリゲート・キャリア・ペアを形成することを通知する。どのBBU/RUがDASのどのDMUに接続されているかに関する情報は、システムインストーラーにより、DASの管理にグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を使用して入力可能であり、そして内部データベースに格納される。この格納された情報は、当該基地局のキャリアが互いにオペレータ無線リソース管理データベースおよびDAS RFルーティングパラメータ(周波数範囲、入力ポートおよび宛先DRU)間で識別することを可能にする。あるいは、アグリゲート・キャリアを手動でインストール時DAS管理GUIでそれらをマーキングし、キャリアがDAS内部データベース内にアグリゲートされた情報を格納する手段によって同定することができる。
【0047】
次に、キャリアをアグリゲートして、受信した第1および第2のキャリアを識別した際に、第1のDMU301は、グループ、アグリゲート・キャリアが搬送されるべきDRUこれに2つのキャリアを決定し、2つのキャリアをグループ化し、DASトランスポートネットワーク303を介して、アグリゲート・キャリアを意図したDRUに搬送する。
【0048】
したがって、第1のDMU301は、ステップS102において、個別のBBU320、321を介して受信したキャリアコンポーネントを、この特定の例示的な実施形態では、DRU304である、アグリゲート・キャリアが意図するとするDRUへのアグリゲート・キャリア・ペアとして、有利にルーティングする。
【0049】
より深刻な構造的な問題は、アグリゲート・キャリアの基地局の送信間のタイミング調整に関する要件によって引き起こされる。WCDは、アグリゲート・キャリア間で最大30μ秒の伝搬遅延差に対処する必要があり、そして、コンポーネント・キャリア間の基地局のタイムアライメントエラーは、インターバンドおよび非隣接イントラバンド・アグリゲーションの場合、260ns未満、イントラバンドアグリゲーションでは130ns未満に維持されるという要件がある。
【0050】
DASの明示的なテスト仕様は現在、存在しないが、アナログRFインターフェースを備えたDASを、基地局の一部としてではなく、信号パスの一部として見ることができると主張する考え方が存在する。しかし、デジタル接続のDASは、基地局の一部として見られることと同じ基準に保持することが可能である。DASを通じて送られる信号は、一般的には、それらが、異なるルート全体に供給される場合、異なる遅延を経験する。アナログインターフェイスを備えたDASの場合、このような遅延変動は、WCDのパス遅延差のバジェットに食い込む。DAS用のデジタルインタフェースで、このような遅延差は、システム全体としては、型式承認の要件を満たしていないことを意味する。
【0051】
当該技術分野におけるこの問題は、図6および図8の異なるDAS300ルーティングおよび図7および図9のフローチャートを参照して説明した本発明の実施形態によって克服される。
【0052】
図6は、(前に図1を参照して説明したように)ルーティングユニット309はDASトランスポートネットワーク303に組み込まれており、ルーティングユニット309を介して各コンポーネント・キャリアがDRU304にルーティングされることに加えて、前述のDAS300を示している。
【0053】
デジタルDASにおいて、DRUにDMUから(およびその逆)の信号をルーティングするための多くのルーティングオプションがある。簡単にするために、ルーティングユニット309は、各ルーティングパスが、データのシリアル化、データのフィルタリングとスケジューリングなどの機能を提供する第1のルーティングパス310と第2のルーティングパス311とを有することが示されている。典型的には、各ルーティングパス310、311は、それぞれのルートを介して処理されている信号に対してそれ自身の個々の遅延を引き起こす。DMU301、302、およびDRUは、通常、内部で多数の可能なルートを提供することにさらに留意する。
【0054】
再び図6を参照すると、本発明の一実施形態におけるDAS300を示している。DAS300によって実行される方法のステップは、実際には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブなどマイクロプロセッサに関連付けられた格納媒体362にダウンロードされたコンピュータプログラム361を実行するように構成された1つ以上のマイクロプロセッサの形で具体化された処理ユニット360によって実行される。処理ユニット360は、DAS300に、コンピュータ実行可能命令を含む適切なコンピュータプログラム361が、格納媒体362にダウンロードされ、そして処理ユニット360によって実行されるとき、実施形態による方法を実行させるように構成される。格納媒体362は、また、コンピュータプログラム361を含むコンピュータプログラム製品でありえる。代替的に、コンピュータプログラム361は、デジタル多用途ディスク(DVD)やメモリースティックなど適切なコンピュータープログラム製品を使用して、格納媒体362に転送されることができる。さらなる代替手段として、コンピュータプログラム361は、ネットワークを介して格納媒体362にダウンロードされることができる。あるいは、処理ユニット360は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)などの形態で実施されることができる。
【0055】
典型的には、DMU301、302、および、DASトランスポートネットワーク303のそれぞれは、DRU304-308と同様に、適切な操作を実行するために、これらまたは類似のコンポーネントを構成する。
【0056】
図7のフローチャートで示された実施形態では、ステップS101で、第1のDMU301によってアグリゲート・キャリアが識別された後、第1のDMU101は、ステップS102aで、ルーティングユニット309の同じルーティングパスを介して、2つのアグリゲートされたキャリーをDRU304にまとめてルーティングする。すなわち、第1のキャリアと第2のキャリアの両方が、第1のルーティングパス310または第2のルーティングパス311のいずれかを介して、ルーティングされる。
【0057】
有利には、これにより、第1のDMU301でのアグリゲート・キャリアの到着から、DRU304へ2つのアグリゲート・キャリアに同じ処理遅延が発生する。ここで、アグリゲート・キャリアは、1つ以上のDASアンテナを介して、アグリゲート・キャリアが意図したWCDに送信される。したがって、DASはアグリゲート・キャリア間の時間差を引き起こさない。
【0058】
図8は、別の実施形態ではDAS300を示している。この実施形態では、アグリゲート・キャリア・ペアがDAS300で受信され、ペアの第1のコンポーネント・キャリアは、第1のDMU301によって受信され、一方、ペアの第2のコンポーネント・キャリアは第2のDMU302によって受信されることを前提としている。さらに、アグリゲート・キャリア・ペアは、アグリゲート・キャリア・ペアの送信先のWCDをサービスする第1のDRU304に対するもの意図することを前提としている。
【0059】
さらに、図9のフローチャートを参照する。
【0060】
次に、上で論じたように、2つのコンポーネント・キャリアが、WCDに同時に最適に到着する必要がある、または、少なくとも、規定の最大許容時間差を超える時間差はない。ただし、DAS300を通る第1のルーティングパス312は、1つの処理遅延Δtを受け、一方、第2のルーティングパス313は別の処理遅延Δtの影響を受け、これにより、合計時間差Δt=Δt-Δtが生じることは非常によくあるケースであり得る。
【0061】
一実施形態では、DAS300のインストール前またはインストール中に、DAS300を通る各ルーティングパスの遅延が測定され、そして、DAS300を介した適切なルーティングパスの選択にために、DMU301、302からアクセス可能であるデータベースに入力される。
【0062】
遅延要素を使用してルーティングパスを配置することにより、その遅延を制御し、たとえば、DMU301、302によって調整することができ、DAS300が、DAS300が、第1のDRU304から送信されるコンポーネント・キャリア間の時間差を引き起こさないように、固有のルーティングパス処理遅延に適応することが可能である。
【0063】
したがって、アグリゲート・キャリアがステップS101で特定された後に、両方とも第1のDRU304向けであるため、第1のルーティングパス312および第2のルーティングパス323の処理遅延は、S101aで決定される。第1のルーティングパス312の処理遅延Δtは、第2のルーティングパス313の遅延Δtよりも小さい、Δt=μ+Δtを仮定する。
【0064】
したがって、DAS300は、遅延要素が、第1のコンポーネント・キャリアをμだけ遅延させるように、前記遅延要素(例えば、リングバッファー)の遅延を調整することにより、ステップS101bで第1のルーティングパス312に人為的な遅延μを生じさせることがある。結果として、DAS300によってアグリゲート・キャリアに生じる時間差Δtは、有利には、ゼロになる。
【0065】
この実施形態では、したがって、ステップS102bで第1のキャリアが第1のルーティングパス312を介してルーティングされると、たとえば、遅延要素としてFIFOリングバッファを使用することにより、第1のコンポーネント・キャリアは意図的に遅延μ(またはμに近い)にさらされる。一方、第2のキャリアは、ステップS102cで第2のルーティングパス313を介してルーティングされる。
【0066】
例えば、第1のコンポーネント・キャリアが、第1のDMU301によって、第1のDRU305を介してWCDへ送信され、一方、第2のコンポーネント・キャリアが、第2のDMU302によって、第2のDRU305を介して上記のWCDに送信されたならば、(別の遅延値がルーティングパスに適用される可能性が高い場合でも、第2のDMU302から第2のDRU305まで延びるけれども)同じ遅延問題が発生したであろうことに留意する。
【0067】
同様に、例えば、第1のコンポーネント・キャリアは、第1のDMU301によって、第1のDRU305を介してWCDへ送信され、一方、第2のコンポーネント・キャリアも第1のDMU302によって、前述のWCDに、ただし第2のDRU305を介して送信されたならば、(別の遅延値がルーティングパスに適用される可能性が高い場合でも第1のDMU301から第2のDRU305まで延びるけれども)同じ遅延問題が発生したであろう。
【0068】
したがって、1つのコンポーネント・キャリアが1つのルーティングパスを介してルーティングされ、別のコンポーネント・キャリアが、異なる遅延を持つ別のルーティングパスを介してルーティングされるとすぐに、この遅延の問題は、潜在的に発生する。
【0069】
第1のルーティングパス312と第2のルーティングパス313とが、同じ処理遅延があり(すなわち、Δt=Δt)、ならば、第2のコンポーネント・キャリアにさらに遅延μを発生させるために、第2のパスの遅延要素をアクティブにする必要はないことにさらに留意する。
【0070】
さらに別の実施形態では、図10のフローチャートと図8のDASルーティングを参照して説明する。第1のDMU301と第2のDMU302に到着すると、他方に関して、第1と第2のコンポーネント・キャリアのいずれかが既に遅延している場合であり得る。特に、これらのコンポーネント・キャリアが、異なるBBUを介してオペレータコアネットワークから送信される場合である。たとえば、2つのアグリゲート・キャリア間の時間差はΔtになる。
【0071】
したがって、ステップS101で、第1のDMU301によってアグリゲート・キャリアが識別された後、第1のDMU301は、ステップS101b’において、第2のコンポーネント・キャリアは、第1のコンポーネント・キャリアに対してσだけ遅延することを決定する。
【0072】
この実施形態では、第1のコンポーネント・キャリアは、2者間の時間差を、DAS300に到着する時に運ぶ前に、および、第2のルーティングパス313のより長い処理遅延のために、両方を補償するために、ステップS101bにおいて、意図的にσおよびμだけ遅延する。たとえば、FIFOリングバッファ内のコンポーネント・キャリアデータサンプルを遅延させる。
【0073】
その後、アグリゲート・キャリアは、ステップS102bおよびS102cに示すように、それぞれ第1および第2のルーティングパスを介してルーティングされる。
【0074】
2つのコンポーネント・キャリアがさらに、DRU304がサービスを提供するカバレッジエリアに送信するために、DRU304に到着したとき、それぞれが、第1のルーティングパス312および第2のルーティングパス313を通過した後第1のコンポーネント・キャリアと第2のコンポーネント・キャリアの時間差は、除去される。
【0075】
アグリゲート・キャリアが実質的に同時に送信される場合、DASアンテナとWCDの間で発生する可能性のあるパス遅延の差を補正するために、30μsのほぼ完全なバジェットがWCDで利用可能になる。
【0076】
時差が完全に解消されるように、第2のコンポーネント・キャリアに関して第1のコンポーネント・キャリアを遅延させることが、DAS300の構造により不可能な場合でも、第1と第2のコンポーネント・キャリアの時間差が、2つのコンポーネント・キャリアが第1のDRU304によって送信される前に許容レベルまで減少するように、第1のコンポーネント・キャリアに遅延を引き起こす可能性があることに留意する。
【0077】
1つ以上のアグリゲート・キャリアを遅延させることは、DAS300内の多数の機能エンティティおよびノードを介して、そして、前に説明した図で簡潔にするために示しているように、2つの可能なルーティングパスの1つではない、DAS300を経由するルーティングパスを慎重に選択することで実施できることにさらに留意する。
【0078】
本発明によるDAS300などDASのプロバイダーの場合、DAS300のさまざまなノードとリンクを経由する信号に対して、フライト時間を測定して指定することができる。
【0079】
したがって、ルーティング遅延が正確にわかるように、デジタルDASを設計できる。例えば、DASデジタルリンクが、CPRI(Common Public Radio Interface)標準に基づいている場合、遅延を16.276nsに特性化させるために、標準要件に沿って規定されている。
【0080】
有利なことに、本発明の実施形態では、図8を参照して説明したように、DAS300は、特定のWCDを意図したすべてのコンポーネント・キャリアが、そのWCDのカバレッジを提供する1つ以上のDRUに到着すると整列されるように、「リーディング」コンポーネント・キャリアに人為的に遅延を追加する。
【0081】
一実施形態では、この処理遅延が、着信データストリームのバッファリングに使用されるいわゆるリングバッファを使用して、引き起こされる。リングバッファは、各アグリゲート・キャリアのサンプルを、1サンプル周期の分解能で遅延を調整できる(たとえば、これは、複素ベースバンド信号として表される場合20MHzを超えるレートでサンプリングする必要があるため20MHz帯域幅キャリアに対して、<50nsの最悪の場合の解像度を与える)変数「読み取り書き込みオフセット」で格納するために、デジタルDAS300で使用できる。したがって、リングバッファーの要素、すなわち、各アグリゲート・キャリアのサンプル、は、50nsごとに1つの要素の最大速度でシフトアウトされる。
【0082】
別の実施形態では、処理遅延は、サンプル期間の任意の部分である遅延調整を提供するために、Farrowフィルターや多相フィルターなど、いわゆる分数遅延フィルターを使用して発生する。
【0083】
本発明は、主に、いくつかの実施形態を参照して上述されてきた。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記で開示したもの以外の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内において、同様に可能である。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10