(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】高ボール反発性を有する低密度ポリウレタンエラストマーフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/48 20060101AFI20220727BHJP
C08G 18/79 20060101ALI20220727BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220727BHJP
C08G 18/12 20060101ALI20220727BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20220727BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20220727BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20220727BHJP
A43B 17/14 20060101ALI20220727BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220727BHJP
【FI】
C08G18/48 054
C08G18/79
C08G18/00 F
C08G18/12
C08G18/32 003
C08G18/76 057
A43B13/04 A
A43B17/14
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2019546914
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 US2018020626
(87)【国際公開番号】W WO2018160945
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】102017000023941
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】519305878
【氏名又は名称】ダウ イタリア ディヴィジオーネ コンメルチャーレ エス アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】スクッソリン、シルビア
(72)【発明者】
【氏名】ザナッシィ、ルチアーノ
(72)【発明者】
【氏名】サバディーニ、アレッシオ
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-191741(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179799(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101:00
A43B 13/00-13/42
A43B 17/00-17/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DIN53420に従って測定された100~500g/Lの密度およびDIN53505に従って測定された40~55のショアA硬度を有するポリウレタンエラストマーフォームであって、
前記ポリウレタンエラストマーフォームは、60~50重量パーセント(wt%)のポリオール配合物および40~50wt%のイソシアネートプレポリマーを含む混合物を反応させることにより形成され、wt%は、前記混合物の総重量を基準とし;
前記ポリオール配合物は、
1900~2100の重量平均分子量(MWw)および
53~
60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなる、グリコール混合物と;
少なくとも1種の発泡剤と;
少なくとも1種の触媒と;
少なくとも1種の界面活性剤とを含み、
前記ポリオール配合物のwt%値は、前記ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の前記発泡剤、少なくとも1種の前記触媒および少なくとも1種の前記界面活性剤は、一緒になって前記ポリオール配合物のwt%を100wt%とし;
前記イソシアネートプレポリマーは、
少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;
30~45wt%の前記PTMEGとを含み、
前記イソシアネートプレポリマーは、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%の
イソシアネート基(-N=C=O)含有量を有し、前記ポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された少なくとも50%のボール反発性を有する、
ポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項2】
前記ポリオール配合物が、6~8wt%のモノエチレングリコールを含む;または
前記ポリオール配合物が、88~91wt%の前記PTMEGを含む、請求項1に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項3】
前記ポリオール配合物が、7wt%の前記モノエチレングリコールおよび0.7wt%の少なくとも1種の前記発泡剤を含む;または
前記ポリオール配合物が、7.7wt%の前記モノエチレングリコールおよび0.75wt%の少なくとも1種の前記発泡剤を含む、請求項2に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項4】
前記イソシアネートブレンドが、94~99wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび6~1wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む
、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項5】
前記イソシアネートブレンドが、97~98wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび3~2wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む
、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項6】
前記混合物の前記イソシアネートプレポリマーが、26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%の
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されたジオールと;3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとをさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項7】
前記混合物の前記イソシアネートプレポリマーが、2wt%の前記
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されたジオールと;4wt%の前記ウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとを含む、請求項
6に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項8】
前記ポリウレタンエラストマーフォームが、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された55%~65%のボール反発性を有する
、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項9】
前記発泡剤が、水である
、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項10】
前記ポリウレタンエラストマーフォームが、DeMattia機器を使用して、Texonおよびカットにより23℃でDIN53543に従って測定した少なくとも30,000サイクルの屈曲疲労を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項11】
前記イソシアネートプレポリマーが、ジフェニルメタンジイソシアネート
とポリエーテルジオールおよびポリエーテルトリオールとに基づく第2のイソシアネートプレポリマー
をさらに含み、
当該第2のイソシアネートプレポリマーは前記第2のイソシアネートプレポリマーの総重量を基準として17.9wt%から18.9wt%の平均NCO含有量を有する
、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項12】
前記イソシアネートプレポリマーが、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%の
イソシアネート基(-N=C=O)含有量を有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォームから形成された靴底、ミッドソールまたはインソール。
【請求項14】
ポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法であって、
1900~2100の重量平均分子量(MWw)および
53~
60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなるグリコール混合物と;
少なくとも1種の発泡剤と;
少なくとも1種の触媒と;
少なくとも1種の界面活性剤とを含むポリオール配合物を提供することであって、
前記ポリオール配合物のwt%値は、前記ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の前記発泡剤、少なくとも1種の前記触媒および少なくとも1種の前記界面活性剤は、一緒になって前記ポリオール配合物部分のwt%を100wt%とする、ポリオール配合物を提供することと;
65℃の温度で混合物を提供することであって、前記混合物は、
少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;
30~45wt%の前記PTMEGと;
26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%の
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから形成されたジオールとを有する、混合物を提供することと;
前記混合物を85℃の温度に加熱することと;
前記混合物を85℃で2時間混合することと;
2時間混合した後、前記混合物を70℃に冷却することと;
3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを前記混合物と混合し、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%の
イソシアネート基(-N=C=O)含有量を有する前記イソシアネートプレポリマーを形成することと;
60~50wt%の前記ポリオール配合物および40~50wt%の前記イソシアネートプレポリマーを混合して、反応混合物を形成することであって、wt%は、前記混合物の総重量を基準とし;
前記反応混合物を反応させて、ポリウレタンエラストマーフォームを形成することとを含むポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法。
【請求項15】
3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを前記混合物と混合して、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%の
イソシアネート基(-N=C=O)含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成する
、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応混合物を反応させて前記ポリウレタンエラストマーフォームを形成することが、60~85℃の金型温度で行われる、請求項
14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にポリウレタンに関し、より詳細には、靴底に使用するための低密度ポリウレタンエラストマーフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーフォームは、靴底に軽量で耐摩耗性の高い素材を提供する。そのようなポリウレタンエラストマーフォームの用途には、スポーツシューズおよびトレッキングシューズ、ブーツ、ビジネス用およびファッション用の靴底の靴、ならびに高品質の安全靴等、幅広い種類の履物が含まれる。
【0003】
軽量ソールを実現するために、ポリウレタンエラストマーフォームは低密度(例えば、500グラム/リットル以下)を有する必要がある。軽量に加えて、ポリウレタンエラストマーフォームはまた、十分な硬度(例えば、40を超えるショアA硬度)および高い反発特性を有する必要がある。ソールに高反発特性を持たせることは、全体的な靴の快適性と性能の改善に役立ち得るため、有利である。
【0004】
高反発特性有するそのようなポリウレタンエラストマーフォームの形成は、いくつかの手法でアプローチされてきた。例えば、米国特許第9,023,910号および同第6,329,441号では、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)および2種以上の二次的なグリコールを使用して、複数ステッププロセスで高反発特性を有するポリウレタンエラストマーフォームが製造されている。しかしながら、追加のグリコールを含めると、コストが増加し、可能ならば回避すべき複数の処理ステップがもたらされる。そのため、解決すべき問題は、高いボールバウンス値(50%超)を有し、また室温および寒冷条件下(すなわち-15℃もの低温)でも優れた耐屈曲疲労性を示す、低密度半硬質(40を超えるショアA高度)ポリウレタンエラストマーフォームを生成するための、より少ないステップを有するプロセス(例えば「ワンショット」プロセス)を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、低密度(500グラム/リットル以下)を有し、半硬質(ショアA硬度40以上)であり、驚くほど高いボールバウンス値(50%超)を示しながら、(室温(23℃)および寒冷条件(すなわち-15℃もの低温)でも優れた耐屈曲疲労性を提供する、「ワンショットプロセス」で製造されたポリウレタンエラストマーフォームを提供する。驚くべきことに、ポリオールとしてモノエチレングリコール(MEG)と組み合わせてポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)のみを使用すると、上記の特性を示すポリウレタンエラストマーフォームが得られることがわかった。本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、前述のように、ポリウレタンエラストマーフォームの形成に使用されるポリオールがPTMEGおよびMEGのみであるという点で、先行技術のポリウレタンエラストマーフォームとは著しく異なる。
【0006】
本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、DIN53420に従って測定された100~500g/Lの密度、およびDIN53505に従って測定された40~55のショアA硬度を有する。ポリウレタンエラストマーフォームは、60~50重量パーセント(wt%)のポリオール配合物および40~50wt%のイソシアネートプレポリマーを含む混合物を反応させることにより形成され、wt%は、混合物の総重量を基準とする。ポリオール配合物は、1900~2100の重量平均分子量(MWw)および約53~約60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなるグリコール混合物と;少なくとも1種の発泡剤と;少なくとも1種の触媒と;少なくとも1種の界面活性剤とを含み、ポリオール配合物のwt%値は、ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および少なくとも1種の界面活性剤は、一緒になってポリオール配合物のwt%を100wt%とする。イソシアネートプレポリマーは、少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;30~45wt%のPTMEGとを含み、イソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有する。好ましくは、イソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%のイソシアネート含有量を有する。ポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された少なくとも50%のボール反発性を有する。本明細書に記載の混合物は、ポリオール配合物またはイソシアネートプレポリマーのいずれかに他のポリオールを含まない。換言すれば、本開示のポリウレタンエラストマーフォームを形成する混合物には、2種のポリオール(PTMEGおよびMEG)のみが存在する。
【0007】
実施形態では、ポリオール配合物は、6~8wt%のモノエチレングリコールを含む。実施形態では、ポリオール配合物は、88~91wt%のPTMEGを含む。一実施形態において、ポリオール配合物は、7wt%のモノエチレングリコールと、0.7wt%の少なくとも1種の発泡剤とを含む。一実施形態において、発泡剤は水である。
【0008】
実施形態では、イソシアネートブレンドは、94~99wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、6~1wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む。さらなる実施形態において、イソシアネートブレンドは、97~98wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、3~2wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む。混合物のイソシアネートプレポリマーは、26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとをさらに含んでもよい。一実施形態では、混合物のイソシアネートプレポリマーは、2wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと、4wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとを含む。
【0009】
前述のように、ポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された少なくとも50%のボール反発性を有する。さらに、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された55%~65%のボール反発性を有してもよい。
【0010】
本開示はまた、ポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法を提供する。この方法は、1900~2100の重量平均分子量(MWw)および約53~約60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなるグリコール混合物と;少なくとも1種の発泡剤と;少なくとも1種の触媒と;少なくとも1種の界面活性剤とを含むポリオール配合物を提供することを含み、ポリオール配合物のwt%値は、ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および少なくとも1種の界面活性剤は、一緒になってポリオール配合物のwt%を100wt%とする。この方法は、さらに、65℃の温度で混合物を提供することを含み、混合物は、少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;30~45wt%のPTMEGと;26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールとを有する。混合物を85℃の温度に加熱し、混合物を85℃で2時間混合する。85℃で2時間混合した後、混合物を70℃に冷却する。この方法は、さらに、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを混合物と混合し、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成することを含む。60~50wt%のポリオール配合物および40~50wt%のイソシアネートプレポリマーを混合して、反応混合物を形成し、wt%は、混合物の総重量を基準とする。反応混合物を反応させて、ポリウレタンエラストマーフォームを形成する。
【0011】
本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、靴の靴底、ミッドソールまたはインソールを製造するために、「ワンショットプロセス」で使用され得る。靴底は、サンダル型の靴の外側ソール、運動用型の靴のミッドソール、またはあらゆる種類の靴に挿入するためのインソールを形成するために使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、低密度(500グラム/リットル以下)を有し、半硬質(ショアA硬度40以上)であり、驚くほど高いボールバウンス値(50%超)を示しながら、(室温(23℃)および寒冷条件(すなわち-15℃もの低温)でも優れた耐屈曲疲労性を提供する、「ワンショットプロセス」で製造されたポリウレタンエラストマーフォームを提供する。本開示のポリウレタンエラストマーフォームはまた、低い圧縮永久歪みを有する。驚くべきことに、ポリオールとしてモノエチレングリコール(MEG)と組み合わせてポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)のみを使用すると、上記の特性を示すポリウレタンエラストマーフォームが得られることがわかった。本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、前述のように、ポリウレタンエラストマーフォームの形成に使用されるポリオールがPTMEGおよびMEGのみであるという点で、先行技術のポリウレタンエラストマーフォームとは著しく異なる。
【0013】
本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、運動靴または技術的な靴等のカジュアルな用途のための快適な単一密度靴底、ミッドソールおよび/またはインソールの製造に理想的である。さらに、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、ボール反発性および圧縮永久歪みの点でエチレン酢酸ビニル(EVA)よりも優れている。さらに、ポリウレタンエラストマーフォームの形成に使用されるポリオールはPTMEGおよびMEGのみである。ポリウレタンエラストマーフォームを形成するために使用される混合物は、中でもブタン-1,4-ジオール等の他のポリオールを含まない。本開示の「ワンショット」プロセスにおけるPTMEGおよびMEGのみ(他のジオールを含まない)の組み合わせは、驚くべきことに、MEG連鎖延長剤のみで低密度、高弾性および優れた耐屈曲疲労性を有する半硬質エラストマーを生成する。さらに、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、その密度は低いが、良好な加工性を有し、良好に硬化し、良好な表面品質を有し、離型時に最小の収縮を示す。
【0014】
本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、DIN53420に従って測定された100~500グラム/リットル(g/l)の密度を有する。好ましくは、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、DIN53420に従って測定された300g/l~400g/lの密度を有する。ポリウレタンエラストマーフォームのこの密度は、ポリウレタンエラストマーフォーム全体の平均密度を意味する。本開示のポリウレタンエラストマーフォームはまた、DIN53505によって測定された40を超えるショアA硬度を有する。好ましくは、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、DIN53505に従って測定された40~55のショアA硬度を有する。本開示のポリウレタンエラストマーフォームはまた、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された少なくとも50%のボール反発性を有する。本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された50%~65%のボール反発性を有してもよい。好ましくは、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された55%~65%のボール反発性を有する。さらに、本開示のポリウレタンエラストマーフォームは、好ましくは、ASTM D395に従って測定された80%以下の圧縮永久歪みを目標とする。ポリウレタンエラストマーフォームの他の特性には、ISO34-Type A(トラウザー)に従って測定された3.5~5.5N/mmの範囲の引裂き強度;DIN53504に従って測定された3.5~7N/mm2の引張強度;DIN53504に従って測定された350~450%の破断点伸び;ISO4649に従って測定された50~80mg損失の耐摩耗性;およびDeMattia機器を使用して、Texonおよびカットにより23℃でDIN53543に従って測定した少なくとも30,000サイクルの屈曲疲労が含まれる。加湿エージング条件下(70℃、100%RHで1週間)で、ポリウレタンエラストマーフォームは、ISO34-Type A(トラウザー)に従って測定された3.3N/mm(エージングなしでは3.1N/mm)の引裂き強度、DIN53504に従って測定された6.4N/mm2(エージングなしでは6.6N/mm2)の引張強度、およびDIN53504に従って測定された370%(エージングなしでは350%)の破断点伸びを有していた。本開示のポリウレタンエラストマーフォームはまた、-35℃~-50℃の範囲内のTgを有し、Tgを測定するための方法は、以下の実施例セクションに記載されている。
【0015】
本明細書に記載のポリウレタンエラストマーフォームは、60~50重量パーセント(wt%)のポリオール配合物と、40~50wt%のイソシアネートプレポリマーとを含む混合物を反応させることにより形成され、wt%は、混合物の総重量を基準とする。好ましくは、混合物は、56~54wt%のポリオール配合物と、44~46wt%のイソシアネートプレポリマーとを含み、wt%は、混合物の総重量を基準とする。混合物を形成するポリオール配合物およびイソシアネートプレポリマーのwt%は、合計100wt%となり得、wt%は、混合物の総重量を基準とする。
【0016】
ポリオール配合物は、1900~2100の重量平均分子量(MWw)および約53~約60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコール(MEG)からなるグリコール混合物を含み、wt%は、ポリオール配合物の総重量を基準とする。本明細書に記載の85~92wt%のPTMEGおよび6~8wt%のMEGからなるグリコール混合物が好ましい。本明細書に記載の88~91wt%のPTMEGおよび6~8wt%のMEGからなるグリコール混合物がより好ましい。一実施形態において、グリコール混合物は、好ましくは、本明細書に記載の89wt%のPTMEGおよび6~8wt%のMEGからなる。追加の好ましい実施形態において、グリコール混合物は、好ましくは、本明細書に記載の91wt%のPTMEGおよび6wt%のMEGからなる。
【0017】
PTMEGの例は、INVISTAから市販されているTERATHANE(登録商標)PTMEG2000を含む。TERATHANE(登録商標)PTMEG2000は、1900~2100の重量平均分子量、および53.4~59.1のヒドロキシル価(mg KOH/gm)を有する。本開示に適したPTMEGの他の例は、1950~2050の重量平均分子量および54.7~57.5のヒドロキシル価(mg KOH/gm)を有する、BASFから市販されているPolyTHF2000を含む。1900~2100のMWwおよび約53~約60のヒドロキシル価を有する他のPTMEGが市販されており、本開示に適している。MEGの例は、MEGolbal(登録商標)またはGELSENCHEM Chemical Products GmbHから市販されているものを含む。
【0018】
ポリオール配合物は、少なくとも1種の発泡剤と、少なくとも1種の触媒と、少なくとも界面活性剤とをさらに含む。様々な実施形態では、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および少なくとも1種の界面活性剤は、一緒になってポリオール配合物のwt%を100wt%とする。様々な実施形態では、好ましい発泡剤は水である。好ましくは、水は、ポリオール配合物中に0.6~0.8wt%存在し、wt%は、ポリオール配合物の総重量を基準とする。最も好ましくは、0.7wt%の水がポリオール配合物中に存在する。したがって、例えば、ポリオール配合物は、好ましくは89wt%の本明細書に記載のPTMEG、7wt%のMEGおよび唯一の発泡剤としての0.7wt%の水からなるグリコール混合物を含んでもよい。さらなる好ましい実施形態において、ポリオール配合物は、好ましくは91wt%の本明細書に記載のPTMEG、6wt%のMEGおよび唯一の発泡剤としての0.7wt%の水からなるグリコール混合物を含んでもよい。
【0019】
物理的発泡剤もまた、水と組み合わせて使用され得る。そのような物理的発泡剤の例は、これらに限定されないが、Expancel未膨張ミクロスフェア(すなわち031DU40グレード、AkzoNobel)、Ecomate(登録商標)(Foam Supplies Inc.)、ジクロロ(ジフルオロ)メタン、ブロモ(トリフルオロ)メタンおよびクロロ(ジフルオロ)メタンを含む。しかしながら、唯一の発泡剤としての水が好ましい。追加の好ましい発泡剤は、地球温暖化係数(GWP)の低い発泡剤を含む水を含む。
【0020】
本開示に適した触媒は、アミン系触媒、有機金属触媒化合物およびテトラアルキルスタノキシ系触媒を含む。アミン系触媒の例は、トリエチレンジアミン(TEDA)系触媒、トリエタノールアミン(TEA)系触媒、ジイソプロピルエタノールアミン(DIEA)系触媒、ペンタメチルジエチレントリアミン系触媒、テルメチルブタンジアミン系触媒、ジメチルシクロヘキシルアミン系触媒、ビス(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン系触媒、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルおよび1,8-ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデ-7-セン(DBU)系触媒を含む。適切な触媒の他の例は、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチル、N-エチル、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-ヘキサンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-ウレア、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-アザ-ビシクロ(3,3,0)オクタン、および好ましくは1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンおよびアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチルジエタノールアミン、ならびにジメチルエタノールアミンを含む。有機金属触媒化合物の例は、亜鉛塩、例えばオクタン酸亜鉛、有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)およびラウリン酸スズ(II)、ならびに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート、ならびにビスマス、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエートおよびビスマスオクタノエートまたはそれらの混合物を含む。有機金属化合物は、単独で、またはアミン系触媒と組み合わせて使用され得る。触媒は、ポリオール配合物の総重量を基準として0.01wt%~2wt%に相当し得る。
【0021】
市販の触媒の例は、DABCO(登録商標)33LM(Air Products/Evonik)、NIAX(商標)A-1Catalyst(Momentive Performance Materials Inc.)、FOMREZ(商標)UL22(Momentive Performance Materials Inc.)、TEGOAMIN(登録商標)AS MEG(EVONIK Nutrition & Care GmbH)、TOYOCAT(登録商標)MR(東ソー株式会社)、DABCO(登録商標)BDMA(Air Products)およびDABCO(登録商標)XD 102(Air Products/Evonik)を含む。
【0022】
本開示に適した界面活性剤は、ケイ素系界面活性剤を含む。そのような界面活性剤の例は、DABCO(登録商標)DC193(Air Products)およびTEGOSTAB(商標)B2114(EVONIK Nutrition & Care GmbH)およびDABCO(登録商標)DC3043(Air Products)を含む。界面活性剤は、ポリオール配合物の総重量を基準として、0.05wt%~3wt%に相当し得る。
【0023】
イソシアネートプレポリマーは、少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと、30~45wt%のPTMEGとを含み、イソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有する。好ましくは、イソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%のイソシアネート含有量を有する。好ましくは、イソシアネートプレポリマーは、60~65wt%のイソシアネートブレンドと、35~40wt%のPTMEGとを含む。好ましくは、イソシアネートブレンドは、94~99wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、6~1wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを含んでもよい。より好ましくは、イソシアネートブレンドは、97~98wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、3~2wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとを含んでもよい。本明細書に記載のイソシアネートブレンドの適切な例は、商品名ISONATE(商標)M125MDIとしてThe Dow Chemical Companyから入手可能なものを含む。
【0024】
混合物のイソシアネートプレポリマーは、26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとをさらに含んでもよい。一実施形態では、混合物のイソシアネートプレポリマーは、2wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと、4wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとを含み、wt%は、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準とする。エチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールの例は、The Dow Chemical Companyから入手可能なVORANOL(商標)EP1900Polyolを含む。ウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートの例は、ISONATE(商標)PR7020Isocyanateを含む。好ましくは、イソシアネートプレポリマーは、56~61wt%のイソシアネートブレンドと、33~38wt%のPTMEGと、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートと、26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールとを含み、wt%は、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準とする。
【0025】
イソシアネートプレポリマーは、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)とポリエーテルジオールおよびポリエーテルトリオールとに基づく第2のイソシアネートプレポリマーをさらに含んでもよく、これは第2のイソシアネートプレポリマーの総重量を基準として17.9wt%~18.9wt%の平均NCO含有量を有する。第2のイソシアネートプレポリマーの例は、TheDowChemicalCompanyからの市販のプレポリマーであるVORALAST(商標)GE143Isocyanateである。第2のイソシアネートプレポリマーは、そのまま使用されてもよく、または異なる比で本明細書に記載のイソシアネートプレポリマー(例えば、以下の実施例の項の表3に見られる調製法)とブレンドされてもよい。そのような比の例は、第2のイソシアネートプレポリマー:イソシアネートプレポリマーの0:100~100:0の範囲の比が含まれる。比の他の範囲は、1:100~100:1の第2のイソシアネートプレポリマー:イソシアネートプレポリマーを含む。上記のように、第2のイソシアネートプレポリマーと共に使用するイソシアネートプレポリマーの好ましい例は、以下の実施例の項の表3に見出される。第2のイソシアネートプレポリマーと共に使用するイソシアネートプレポリマーの他の例は、前の2つの段落に見出される。
【0026】
本開示のイソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマー総重量を基準として16wt%~21wt%のイソシアネート(-N=C=O)含有量(例えば16wt%~21wt%の含有量)を有する。好ましくは、本開示のイソシアネートプレポリマーは、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18wt%~20wt%のイソシアネート含有量を有する。ポリウレタンエラストマーフォームを形成するために使用される混合物は、少なくとも1種の補助剤をさらに含んでもよい。そのような補助剤は、細胞調節剤、架橋剤(例えば中でもグリセリンおよびジエタノールアミン)、顔料、ガラス繊維等の強化材料、界面活性化合物、ならびに/または安定剤を含み得る。存在する場合、補助剤のそれぞれは、ポリオール配合物またはイソシアネートプレポリマーの1つに加えることができる。
【0027】
本開示はまた、ポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法を提供する。この方法は、本明細書に記載の85~92wt%のPTMEG、および4から10wt%のMEGからなるグリコール混合物と;少なくとも1種の発泡剤と;少なくとも1種の触媒と;少なくとも1種の界面活性剤とを含むポリオール配合物を提供することを含み、ポリオール配合物のwt%値は、ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒および少なくとも1種の界面活性剤は、一緒になってポリオール配合物のwt%を100wt%とする。
【0028】
この方法は、さらに、65℃の温度で混合物を提供することをさらに含み、混合物は、本明細書で議論されるような55~70wt%のイソシアネートブレンドと;30~45wt%のPTMEGと;本明細書で議論されるような1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールとを有する。混合物は85℃の温度に加熱され、85℃で2時間混合される。85℃で2時間混合した後、混合物は70℃に冷却される。この方法は、さらに、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを混合物と混合し、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成することを含む。好ましくは、方法は、3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを混合物と混合して、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%のイソシアネート含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成することを含む。この方法は、60~50wt%のポリオール配合物および40~50wt%のイソシアネートプレポリマーを混合して、反応混合物を形成することをさらに含み、wt%は、混合物の総重量を基準とする。ポリウレタンエラストマーフォームを形成するために、反応混合物を60℃~85℃の金型温度を有する金型内で反応させる。好ましくは、反応混合物は、75~80℃の金型温度を有する金型内で反応して、本開示のポリウレタンエラストマーフォームを形成する。
【0029】
本開示によるポリウレタンエラストマーフォームは、好ましくは、密閉金型、有利には加熱金型で低圧または高圧技術を使用するワンショットプロセスによって製造される。本開示によるポリウレタンエラストマーフォームはまた、公知のように、注湯機または注型機を使用して開放金型で製造することもできる。金型は通常、金属(例えばアルミニウムまたは鋼)である。これらの手順は、例えば、Piechota and Rohr,「Integral」,Carl Hanser Verlag,Munich,Vienna,1975、または「Plastics Handbook」,Volume7,Polyurethane,3rd Edition,1993,Chapter7に記載されている。任意選択で、フォームは、アウターソールまたはミッドソールの一部等の靴底の他の部分をすでに含んでいてもよい。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
DIN53420に従って測定された100~500g/Lの密度およびDIN53505に従って測定された40~55のショアA硬度を有するポリウレタンエラストマーフォームであって、
前記ポリウレタンエラストマーフォームは、60~50重量パーセント(wt%)のポリオール配合物および40~50wt%のイソシアネートプレポリマーを含む混合物を反応させることにより形成され、wt%は、前記混合物の総重量を基準とし;
前記ポリオール配合物は、
1900~2100の重量平均分子量(MWw)および約53~約60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなる、グリコール混合物と;
少なくとも1種の発泡剤と;
少なくとも1種の触媒と;
少なくとも1種の界面活性剤とを含み、
前記ポリオール配合物のwt%値は、前記ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の前記発泡剤、少なくとも1種の前記触媒および少なくとも1種の前記界面活性剤をまとめて、前記ポリオール配合物のwt%を100wt%にし;
前記イソシアネートプレポリマーは、
少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;
30~45wt%の前記PTMEGとを含み、前記イソシアネートプレポリマーは、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有し、前記ポリウレタンエラストマーフォームは、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された少なくとも50%のボール反発性を有する、
ポリウレタンエラストマーフォーム。
項2.
前記ポリオール配合物が、6~8wt%のモノエチレングリコールを含む、項1に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項3.
前記ポリオール配合物が、88~91wt%の前記PTMEGを含む、項1または2に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項4.
前記ポリオール配合物が、7wt%の前記モノエチレングリコールおよび0.7wt%の前記少なくとも1種の発泡剤を含む、項3に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項5.
前記ポリオール配合物が、7.7wt%の前記モノエチレングリコールおよび0.75wt%の前記少なくとも1種の発泡剤を含む、項3に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項6.
前記イソシアネートブレンドが、94~99wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび6~1wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む、項1~5のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項7.
前記イソシアネートブレンドが、97~98wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび3~2wt%の2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む、項1~5のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項8.
前記混合物の前記イソシアネートプレポリマーが、26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと;3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとをさらに含む、項1~7のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項9.
前記混合物の前記イソシアネートプレポリマーが、2wt%の前記エチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールと;4wt%の前記ウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートとを含む、項8に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項10.
前記ポリウレタンエラストマーフォームが、10mm厚の試験プレート上でASTM D3574に従って測定された55%~65%のボール反発性を有する、項1~9のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項11.
前記発泡剤が、水である、項1~10のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項12.
前記ポリウレタンエラストマーフォームが、DeMattia機器を使用して、Texonおよびカットにより23℃でDIN53543に従って測定した少なくとも30,000サイクルの屈曲疲労を有する、項1~11のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項13.
前記イソシアネートプレポリマーが、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルジオールおよびポリエーテルトリオールとに基づく第2のイソシアネートプレポリマーをさらに含み、当該第2のイソシアネートプレポリマーは前記第2のイソシアネートプレポリマーの総重量を基準として17.9wt%から18.9wt%の平均NCO含有量を有する、項1~12のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項14.
前記イソシアネートプレポリマーが、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%のイソシアネート含有量を有する、項1~13のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォーム。
項15.
項1~14のいずれか一項に記載のポリウレタンエラストマーフォームから形成された靴底、ミッドソールまたはインソール。
項16.
ポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法であって、
1900~2100の重量平均分子量(MWw)および約53~約60のヒドロキシル価を有する85~92wt%のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ならびに4~10wt%のモノエチレングリコールからなるグリコール混合物と;
少なくとも1種の発泡剤と;
少なくとも1種の触媒と;
少なくとも1種の界面活性剤とを含むポリオール配合物を提供することであって、
前記ポリオール配合物のwt%値は、前記ポリオール配合物の総重量を基準とし、少なくとも1種の前記発泡剤、少なくとも1種の前記触媒および少なくとも1種の前記界面活性剤は、一緒になって前記ポリオール配合物部分のwt%を100wt%とする、ポリオール配合物を提供することと;
65℃の温度で混合物を提供することであって、前記混合物は、
少なくとも90wt%の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを有する55~70wt%のイソシアネートブレンドと;
30~45wt%の前記PTMEGと;
26~29のヒドロキシル価を有する1~3wt%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドジオールとを有する、混合物を提供することと;
前記混合物を85℃の温度に加熱することと;
前記混合物を85℃で2時間混合することと;
2時間混合した後、前記混合物を70℃に冷却することと;
3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを前記混合物と混合し、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として16~21wt%のイソシアネート含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成することと;
60~50wt%の前記ポリオール配合物および40~50wt%の前記イソシアネートプレポリマーを混合して、反応混合物を形成することであって、wt%は、前記混合物の総重量を基準とし;
前記反応混合物を反応させて、ポリウレタンエラストマーフォームを形成することとを含むポリウレタンエラストマーフォームを形成する方法。
項17.
3~5wt%のウレトンイミン変性メチレンジフェニルジイソシアネートを前記混合物と混合して、前記イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18~20wt%のイソシアネート含有量を有するイソシアネートプレポリマーを形成する、項16に記載の方法。
項18.
前記反応混合物を反応させて前記ポリウレタンエラストマーフォームを形成することが、60~85℃の金型温度で行われる、項16または17に記載の方法。
【実施例】
【0030】
特に断りのない限り、全ての成分は市販業者から購入し、受け取ったままの状態で使用した。全てのパーセンテージは、特に明記しない限り、ポリウレタンエラストマーフォームを形成するために使用される混合物の総重量を基準とする重量パーセンテージ(wt%)である。
【0031】
以下の実施例のポリウレタンエラストマーフォームを調製するために使用される成分を、表1に列挙する。
【表1】
【0032】
物理機械特性(データは試験プレート試験片を参照)は、次の標準またはプロトコルに従って得られた。
●密度:DIN53420
●硬度:DIN53505(10mm厚の試験プレート上)
●引裂き:ISO34-Type A(トラウザー)
●引張り:DIN53504
●伸び:DIN53504
●ボール反発性:ASTM D3574(10mm厚の試験プレート上)
●耐摩耗性:ISO4649
●屈曲疲労:DeMattia機器を使用して、Texonおよびカットにより、室温(23℃)でDIN53543
●圧縮永久歪み:ASTM D395(29%70℃/22時間)
●引張変形における、液体窒素冷却システムを備えたTA Instrument DMA Q800を使用した動的機械熱分析によるTgの測定。元の材料の表面から厚さ1.4~1.7mmの層を除去して試験片を準備し、試料を25×7mmの長方形に切り取る。実験条件は次の通りである:-70℃の等温温度で2分間;2℃/分で-70℃から100℃への温度勾配;周波数1ヘルツ(Hz)、予荷重0.01ニュートン(N);歪み15ミクロン(μm)、力トラック125%;ゲージ距離約20mm;冷却剤:液体窒素。
【0033】
実施例1
表2に示すような所与の重量パーセント(wt%)の成分を室温(23℃)で混合することにより、実施例1のポリオール配合物を調製するが、wt%は、ポリオール配合物の総重量を基準とする。PTMEG2000は、より良好な取扱いおよび他の成分との投入のために、70℃で一晩溶融し、次いで40~50℃に維持する必要がある。
【表2】
【0034】
以下のように表3(下記)に示されるそれぞれのwt%の成分を使用して、イソシアネートプレポリマーを調製する。
【表3】
【0035】
以下のようにイソシアネートプレポリマーを調製する。50℃の温度でISONATE(商標)M125を攪拌反応器タンクに入れる。攪拌しながら、攪拌反応器タンク内のISONATE(商標)M125を65℃の温度に加熱する。PTMEG2000およびEP1900をベースとするポリオールプレミックスを攪拌反応器タンクに添加し、攪拌しながら温度を85℃に上昇させる。プレミックスポリオールの総量を、1時間以内に3回に分けて添加する。混合物を85℃で2時間攪拌しながら消化させる。2時間後、攪拌反応器タンクの内容物を70℃に冷却する。ISONATE(商標)PR7020Isocyanateを攪拌反応器タンクに添加する。イソシアネート含有量を測定して、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として20wt%のイソシアネート含有量を確保する。適切な容器にイソシアネートプレポリマーを移す。
【0036】
実施例1のポリウレタンエラストマーフォームを形成するために、実施例1の配合されたポリオール配合物を撹拌反応器タンク内で40~45℃の温度に加熱し、イソシアネートプレポリマーを低圧Nuova Ama機器のイソシアネートタンク30~35℃の温度に加熱する。低圧Nuova Ama機器のアルミニウム金型(試験プレート金型200×200×10mm)を、75℃の温度に加熱する。82重量部のイソシアネートプレポリマーを100重量部のポリオール配合物と大気圧で混合し、低圧Nuova Ama機器を使用して混合物を加熱されたアルミニウム金型に注ぎ込む。金型を閉じ、反応物を金型に満たし、5分間反応させる。金型を開き、ポリウレタンエラストマーフォームを離型する。ポリウレタンエラストマーフォームの物理的特性を試験する前に、ポリウレタンエラストマーフォームを25℃および相対湿度50%で24時間硬化させる。ポリウレタンエラストマーフォームは、350~400g/lの範囲内の密度、および45~52ショアAの間の最終硬度を有する。
【0037】
実施例2
表4に示すような所与の重量パーセント(wt%)の成分を室温(23℃)混合することにより、実施例2のポリオール配合物を調製するが、wt%は、ポリオール配合物の総重量を基準とする。PTMEG2000は、より良好な取扱いおよび他の成分との投入のために、70℃で一晩溶融し、次いで40~50℃に維持する必要がある。
【表4】
【0038】
実施例1で調製したイソシアネートプレポリマーを使用する。
【0039】
実施例2のポリウレタンエラストマーフォームを形成するために、実施例2のポリオール配合物を撹拌ポリオールタンク内で40~45℃の温度に加熱し、イソシアネートプレポリマーを30~35℃の温度に加熱する。低圧DESMA直接射出成形機の金型(試験プレート金型200×200×10mm)を60~62℃の温度に加熱する。78重量部のイソシアネートプレポリマーを100重量部のポリオール配合物と大気圧で混合し、混合物を加熱された試験プレート金型に注ぎ込む。反応物を金型に満たし、5分間反応させる。ポリウレタンエラストマーフォームを離型し、ポリウレタンエラストマーフォームの物理的特性を試験する前に、ポリウレタンエラストマーフォームを25℃および相対湿度50%で24時間硬化させる。ポリウレタンエラストマーフォームは、330~350g/lの範囲内の密度、および40~42ショアAの間の最終硬度を有する。
【0040】
実施例3
表5に示すような所与の重量パーセント(wt%)の成分を室温(23℃)で混合することにより、実施例3のポリオール配合物を調製するが、wt%は、ポリオール配合物の総重量を基準とする。PTMEG2000は、より良好な取扱いおよび他の成分との投入のために、70℃で一晩溶融し、次いで40~50℃に維持する必要がある。
【表5】
【0041】
以下のように表6(下記)に示されるそれぞれのwt%の成分を使用して、イソシアネートプレポリマーを調製する。
【表6】
【0042】
以下のようにイソシアネートプレポリマーを調製する。50℃の温度でISONATE(商標)M125を攪拌反応器タンクに入れる。攪拌しながら、攪拌反応器タンク内のISONATE(商標)M125を65℃の温度に加熱する。PTMEG2000およびEP1900をベースとするポリオールプレミックスを攪拌反応器タンクに添加し、攪拌しながら温度を85℃に上昇させる。プレミックスポリオールの総量を、1時間以内に3回に分けて添加する。混合物を85℃で2時間攪拌しながら消化させる。2時間後、攪拌反応器タンクの内容物を70℃に冷却する。ISONATE(商標)PR7020Isocyanateを攪拌反応器タンクに添加する。イソシアネート含有量を測定して、イソシアネートプレポリマーの総重量を基準として18.1wt%のイソシアネート含有量を確保する。適切な容器にイソシアネートプレポリマーを移す。
【0043】
実施例3のポリウレタンエラストマーフォームを形成するために、実施例3の配合されたポリオール配合物を撹拌反応器タンク内で40~45℃の温度に加熱し、イソシアネートプレポリマーを低圧Nuova Ama機器のイソシアネートタンク30~35℃の温度に加熱する。低圧Nuova Ama機器のアルミニウム金型(試験プレート金型200×200×10mm)を、少なくとも75℃の温度に加熱する。96重量部のイソシアネートプレポリマーを100重量部のポリオール配合物と大気圧で混合し、低圧Nuova Ama機器を使用して混合物を加熱されたアルミニウム金型に注ぎ込む。金型を閉じ、反応物を金型に満たし、4分間反応させる。金型を開き、ポリウレタンエラストマーフォームを離型する。ポリウレタンエラストマーフォームの物理的特性を試験する前に、ポリウレタンエラストマーフォームを25℃および相対湿度50%で24時間硬化させる。ポリウレタンエラストマーフォームは、350~400g/lの範囲内の密度、および45~52ショアAの間の最終硬度を有する。
【0044】
物理的特性および比較結果
以下の表7は、3つの市販の材料、ポリエーテル系ポリウレタンエラストマーフォームおよび2種の膨張エチレン酢酸ビニル(EVA)系フォーム(これらは全て靴底、ミッドソール、および/またはインソールの製造に典型的に使用される)と比較した、実施例1のポリウレタンエラストマーフォームに属する性能の要約を示している。
【表7】
【0045】
当業者には理解されるように、膨張EVAは、ポリウレタンより製造するのにより高価である。さらに、膨張EVAの寸法安定性は低く、環境条件(例えば温度および湿度)に極めて敏感である。これは、膨張EVAの製造中のスクラップ率が高いことを意味し得る。違いは、EVAフォームではなく本開示のポリウレタンエラストマーフォームを使用する利点を強調するのに役立つ。
【0046】
実施例1、2および3のポリウレタンエラストマーフォームの性能は、以下の表8に示されている。表8はまた、比較例AおよびBのポリウレタンエラストマーフォームの性能も示している。実施例1および2において使用されたイソシアネートプレポリマーを使用して比較例AおよびBを調製するが、比較例AおよびBのそれぞれのポリオール配合物は表8に示される通りである。表8に示されるように、配合されたポリオール配合物を40~45℃の温度に加熱して比較例AおよびBを調製し、低圧Nuova Ama機器のポリオールおよびイソシアネートタンク内でイソシアネートプレポリマーを30~35℃の温度に加熱する。低圧Nuova Ama機器のアルミニウム金型(試験プレート金型200×200×10mm)を、60℃の温度に加熱する。イソシアネートプレポリマーを比較例AおよびBの配合されたポリオール配合物と大気圧で混合し、低圧Nuova Ama機器を使用して混合物を加熱されたアルミニウム金型に注ぎ込む。金型を閉じ、反応物を金型に満たし、5分間反応させる。金型を開き、比較例AおよびBのポリウレタンエラストマーフォームを離型する。
【0047】
表8に示されている実施例1、2および3ならびに比較例AおよびBの特性は、MEGの代わりにブタン-1,4-ジオールの使用がポリウレタンエラストマーフォームの最終性能にマイナスの影響を与えることを示している。
【表8-1】
【表8-2】