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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】羽根車及び羽根車を有する放熱ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/28 E
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020023600
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021102956
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】108147421
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】597149629
【氏名又は名称】建準電機工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunonwealth Electric Machine Industry Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【弁理士】
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】洪 銀樹
(72)【発明者】
【氏名】曾 建源
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲啓▼民
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】台湾特許出願公開第200903233(TW,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0112676(US,A1)
【文献】特開2012-180810(JP,A)
【文献】特開平08-326696(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109480(WO,A1)
【文献】特開2012-229689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブと、前記ハブの外周に設けられる複数の羽根と、前記複数の羽根を連接する少なくとも二個の連接環とを含み、前記複数の羽根はそれぞれに相対的な頂部縁及び底部縁を有し、前記少なくとも二個の連接環のうち、少なくとも一個の連接環が、前記複数の羽根の頂部縁と前記複数の羽根の底部縁とを連接しないように前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁の間に位置し、前記少なくとも二個の連接環の厚さは前記羽根の最大厚さより大きい或いは前記羽根の最大厚さに等し、前記ハブは環状壁を有し、前記各羽根はそれぞれに第一端及び第二端を有し、前記第一端は前記環状壁に連接し、少なくとも二個の連接環のうちの一つが前記各羽根の第二端に連接することを特徴とする羽根車。
【請求項2】
前記少なくとも二個の連接環は同じ水平面に位置するように同じ高さを有することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項3】
前記少なくとも二個の連接環は、前記複数の羽根の頂部縁と底部縁との間の中央箇所に位置することを特徴とする請求項2に記載の羽根車。
【請求項4】
前記環状壁は半径方向において外に向かって延伸するように形成する延伸部を有し、前記各羽根の第一端は前記延伸部に連接することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項5】
前記少なくとも二個の連接環は、前記複数の羽根において前記ハブから1/3距離を離れる箇所と前記第二端との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項6】
前記各羽根はそれぞれに第一端及び第二端を有し、前記第一端が前記第二端より前記ハブに近く、前記第二端における羽根の高さは前記第一端における羽根の高さより高いことを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項7】
前記頂部縁及び前記底部縁の間の間隔は前記第一端から前記第二端に次第に広がるように形成することを特徴とする請求項6に記載の羽根車。
【請求項8】
前記各羽根はそれぞれに後段及び前段を有し、前記各羽根の後段がハブに近く、前記各羽根の前段がハブから離れ、前記各羽根においては前記前段と前記後段との間に連接する反曲段を有し、前記少なくとも二個の連接環のうちの一個の連接環が反曲段に連接することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項9】
前記連接環は二つであり、二つの連接環のうち、一つの連接環が複数の羽根の頂部縁と底部縁との間に位置すると共に、頂部縁及び底部縁に連接しておらず、他の連接環が前記複数の羽根の頂部縁の上方或いは下方に連接し、或いは前記複数の羽根の底部縁の上方或いは下方に連接することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項10】
前記ハブは板体の周縁に連接する環状壁を有し、前記ハブの板体は中央孔を有し、前記ハブにおいて前記中央孔に近接する箇所に、ハブの構造強度を向上させるための強化部を有し、前記強化部は複数の突起リブを有し、前記複数の突起リブは中央孔の周縁から環状壁の方向に延伸するように形成することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項11】
前記ハブは板体の周縁に連接する環状壁を有し、前記ハブの板体は中央孔を有し、前記ハブにおいて前記中央孔に近接する箇所に、ハブの構造強度を向上させるための強化部を有し、前記強化部はハブの中央孔の周縁に設けられる環状リブを有することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項12】
前記強化部は複数の突起リブを有し、前記複数の突起リブは環状リブの周縁から環状壁の方向に延伸するように形成することを特徴とする請求項11に記載の羽根車。
【請求項13】
前記連接環は三つであり、三つの連接環のうち、一つの連接環が複数の羽根の頂部縁と底部縁との間に位置すると共に、頂部縁及び底部縁に連接しておらず、他の二つの連接環がそれぞれに前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁に連接することを特徴とする請求項1に記載の羽根車。
【請求項14】
前記一つの連接環がハブに近く、他の二つの連接環がハブから離れていることを特徴とする請求項13に記載の羽根車。
【請求項15】
各羽根の厚さが0.02~0.5mmであることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項16】
各羽根の厚さが0.1mmより小さいことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項17】
前記羽根の数が70~134枚であることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項18】
前記羽根の数が91~134枚であることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項19】
前記羽根車の外径は40mmより大きい或いは40mmに等しいことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項20】
前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環とは高分子ポリマーからなることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項21】
前記高分子ポリマーは液晶ポリマー及び炭素繊維からなる混合物であることを特徴とする請求項20に記載の羽根車。
【請求項22】
前記高分子ポリマーは液晶ポリマー及び鉱物繊維からなる混合物であることを特徴とする請求項20に記載の羽根車。
【請求項23】
前記高分子ポリマーは液晶ポリマー、炭素繊維及び鉱物繊維からなる混合物であることを特徴とする請求項20に記載の羽根車。
【請求項24】
前記複数の羽根の高さは前記ハブの頂面を超えていないことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項25】
前記少なくとも二個の連接環の径方向における幅は前記羽根の最大厚さより大きい或いは前記羽根の最大厚さに等しいことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の羽根車。
【請求項26】
フレームと、軸管を有する台座と、前記軸管の外周に位置するステータと、請求項1~25のいずれか1項に記載の羽根車とを含み、前記羽根車が回転自在に前記軸管に設けられることを特徴とする放熱ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流を発生する装置に関するものであり、特に、羽根車及び羽根車を有する放熱ファンに係るものである。
【背景技術】
【0002】
電子商品の小型化並びに高性能化の発展のニーズに応じ、ファンは電子機器の放熱効果を満たす上でさらに「小型化」を目標としている。そして、ファンは一般的に羽根の小型化により全体的な寸法を減らすことにより目的を達成しているが、その羽根の強度が下がったり、羽根の回転安定性が不足になったりする問題があった。これに対して、各羽根の片側に連接するように連接環を設けることにより、羽根車の羽根の安定性を向上させる従来のファンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾公告第M516103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、連接環を各羽根の片側に連接しても、小型化のために強度が下がった羽根では、依然として優れた安定性を提供することが難しい。それに羽根が空気抵抗の影響で振動を生じまたは変形したことで、比較的に大きい振動及び騒音を生じ易く、ファンの安定性に対して重大な影響を齎す問題があった。これらのことに鑑みて、従来のファンには依然として改善する必要性が残されている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、羽根車が回転する過程の振動を減らすことで、回転安定性を向上させ、騒音を低減させることができる羽根車及び羽根車を有する放熱ファンを提供することを目的とするものである。
【0006】
本発明は、さらに、より高い風量を有することができる羽根車及び羽根車を有する放熱ファンを提供することを目的とするものである。
【0007】
本発明は、さらに、回転効率を向上させることができる羽根車及び羽根車を有する放熱ファンを提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明は、さらに、製造コストを低く抑えることができる羽根車及び羽根車を有する放熱ファンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」等の方向に関する用語は、主に図面上における方向を参照するものであり、また、上記の各方向に関する用語は、本発明の各実施例を説明する或いは理解できるように用いられるものであり、本発明を限定するものではない。
【0010】
本発明の部件における部分或いは構造において、使用された「一」或いは「一個」等の助数詞は、都合のために使用し、本発明の特許請求の範囲について通常の意義を与えるもので、本発明においては一個または少なくとも一個と解釈すべきであり、且つ、明確に別の意味を指していない限り、一つである意味は複数の場合も含まれている。
【0011】
本発明の説明において、「結合」、「合成」、「組み立て」、「前」等の近似用語は、主に、連接しても破壊せずに分離することができ、或いは、連接して分離することが不可能という形体を含み、当業者には、連接しようとする部件部分の材質または組み立ての形により選択することができるものを指す。
【0012】
本発明の羽根車は、ハブと、前記ハブの外周に設けられる複数の羽根と、前記複数の羽根を連接する少なくとも二個の連接環とを含む。前記複数の羽根はそれぞれに相対的な頂部縁及び底部縁を有し、前記少なくとも二個の連接環のうちの少なくとも一個の連接環が、前記複数の羽根の頂部縁と前記複数の羽根の底部縁とが連接しないように前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁の間に位置する。
【0013】
本発明の放熱ファンは、フレームと、軸管を有する台座と、前記軸管の外周に位置するステータと、上記の羽根車とを含み、前記羽根車が回転自在に前記軸管に設けられる。
【0014】
かくの如く構成されることにより、本発明の羽根車及び羽根車を有する放熱ファンは、少なくとも二個の連接環のうちの少なくとも一個の連接環が、前記複数の羽根の頂部縁と前記複数の羽根の底部縁とを連接しないように、前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁の間に位置することにより、二個の連接環が十分な強度を有し、複数の羽根を安定させ、羽根車が回転する過程において各羽根の空気抵抗の影響による振動または変形を減少することができ、複数の羽根の回転安定性を向上させ、騒音を低く抑え、そして優れたファン性能を持つ効果を有する。
【0015】
また、前記少なくとも二個の連接環は同じ水平面に位置するように同じ高さを有する。これによって、各羽根の位置を安定させて前記複数の羽根の安定性を向上させる効果を有する。
【0016】
また、前記少なくとも二個の連接環は、前記複数の羽根の頂部縁と底部縁との間の中央箇所に位置する。これによって、複数の羽根により優れた安定性を提供し、さらに複数の羽根の高速回転による振動を減少することができる効果を有する。
【0017】
また、前記ハブは環状壁を有し、前記各羽根はそれぞれに第一端及び第二端を有し、前記第一端は前記環状壁に連接し、少なくとも二個の連接環のうちの一つが前記各羽根の第二端に連接する。これによって、その構造を簡易化して製造しやすくし、製造コストを低く抑える効果を有する。
【0018】
また、前記環状壁は半径方向において外に向かって延伸するように形成された延伸部を有し、前記各羽根の第一端は前記延伸部に連接する。これによって、前記延伸部と前記ハブの環状壁と共により大きい結合面積を形成することで、前記複数の羽根の結合安定性を向上させる効果を有する。
【0019】
また、前記少なくとも二個の連接環は、前記複数の羽根において前記ハブから1/3距離を離れる箇所と前記第二端との間に位置する。これによって、より優れた安定効果を提供し、さらに前記複数の羽根の安定性を向上させる効果を有する。
【0020】
また、前記各羽根はそれぞれに第一端及び第二端を有し、前記第一端が前記第二端より前記ハブに近く、前記第二端における羽根の高さは前記第一端における羽根の高さより高い。これによって、前記各羽根がより高い風量を有させる効果を有する。
【0021】
また、前記頂部縁及び前記底部縁の間の間隔は前記第一端から前記第二端に次第に広がるように形成する。これによって、前記各羽根がより高い風量を有させる効果を有する。
【0022】
また、前記各羽根はそれぞれに後段及び前段を有し、前記各羽根の後段がハブに近く、前記各羽根の前段がハブから離れ、前記各羽根においては前記前段と前記後段との間に連接する反曲段を有し、前記少なくとも二個の連接環のうちの一個の連接環が反曲段に連接する。これによって、優れた安定性を提供し、さらに前記各羽根の安定性を向上させる効果を有する。
【0023】
また、前記連接環は二つであり、この二つの連接環うちの一つの連接環が複数の羽根の頂部縁と底部縁との間に位置すると共に、頂部縁及び底部縁に連接しておらず、他の連接環が前記複数の羽根の頂部縁の上方或いは下方に連接してもよく、前記複数の羽根の底部縁の上方或いは下方に連接してもよい。これによって、その構成を簡易化して製作しやすくし、製造コストを低く抑える効果を有する。
【0024】
また、前記ハブは板体の周縁に連接する環状壁を有し、前記ハブの板体は中央孔を有し、前記ハブにおいて前記中央孔に近接する箇所に強化部を有することができる。これによって、ハブ全体の強度を向上させる効果を有する。
【0025】
また、前記強化部は複数の突起リブを有し、前記複数の突起リブは中央孔の周縁から環状壁の方向に延伸するように形成する。これによって、ハブ全体の強度をさらに向上させる効果を有する。
【0026】
また、前記強化部はハブの中央孔の周縁に設けられる環状リブを有する。これによって、強化部の環状リブにより中央孔の周縁の構造強度を強化することができ、ハブの強度を向上させる効果を有する。
【0027】
また、前記強化部は複数の突起リブを有し、前記複数の突起リブは環状リブの周縁から環状壁の方向に延伸するように形成する。これによって、ハブ全体の強度を向上させる効果を有する。
【0028】
また、前記連接環は三つであり、この三つの連接環うちの一つの連接環が複数の羽根の頂部縁と底部縁との間に位置すると共に、頂部縁及び底部縁に連接しておらず、他の二つの連接環がそれぞれに前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁に連接する。これによって、他の設置方式を提供する上、三つの連接環により、前記複数の羽根の位置を安定させ、各羽根の空気抵抗の影響による振動または変形を減少する効果を有する。
【0029】
また、前記一つの連接環がハブから近く、他の二つの連接環がハブに離れている。これによって、その構成を簡易化して製作しやすくし、製造コストを低く抑える効果を有する。
【0030】
また、各羽根の厚さが0.02~0.5mmであることによって、ファン全体の小型化を維持すると共に、羽根車が過重になることを避け、ファンの回転効率を向上させる効果を有する。
【0031】
また、各羽根の厚さを0.1mmより小さくすることによって、ファン全体の小型化を維持すると共に、羽根車が過重になることを避け、ファンの回転効率を向上させる効果を有する。
【0032】
また、前記羽根の数を70~134枚にすることによって、小型化された複数の羽根が十分な風量を生じ、気流を駆使する効果を向上させる効果を有する。
【0033】
また、前記羽根の数を91~134枚にすることによって、小型化された複数の羽根が十分な風量を生じ、気流を駆使する効果を向上させる効果を有する。
【0034】
また、前記羽根車の外径を40mmより大きい或いは40mmに等しくすることによって、小型化された複数の羽根が十分な風量を生じ、気流を駆使する効果を向上させる効果を有する。
【0035】
また、前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環とを高分子ポリマーで作成することによって、前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環の強度を向上させる効果を有する。
【0036】
また、前記高分子ポリマーは液晶ポリマー及び炭素繊維からなる混合物であることによって、上記の材料は優れた引っ張り強度や耐熱性を有するため、前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環を形成しやすく、強度を向上させる効果を有する。
【0037】
また、前記高分子ポリマーは液晶ポリマー及び鉱物繊維からなる混合物であることによって、上記の材料は優れた引っ張り強度や耐熱性を有するため、前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環を形成しやすく、強度を向上させる効果を有する。
【0038】
また、前記高分子ポリマーは液晶ポリマー、炭素繊維及び鉱物繊維からなる混合物であることによって、上記の材料は優れた引っ張り強度や耐熱性を有するため、前記複数の羽根と前記少なくとも二個の連接環を形成しやすく、強度を向上させる効果を有する。
【0039】
また、前記複数の羽根の高さは前記ハブの頂面を超えていないことによって、前記羽根車の軸方向において全体的な高さを減少する効果を有する。
【0040】
また、前記連接環の厚さは前記羽根の最大厚さより大きい或いは前記羽根の最大厚さに等しくすることによって、前記連接環が各羽根を安定するための十分な強度を確保することができ、各羽根の安定性を向上させる効果を有する。
【0041】
また、前記連接環の径方向における幅は前記羽根の最大厚さより大きい或いは前記羽根の最大厚さに等しくすることによって、前記連接環が各羽根を安定するための十分な強度を確保することができ、各羽根の安定性を向上させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明の第一実施例の羽根車の立体構造図である。
図2図2は、本発明の第一実施例の羽根車の平面図である。
図3図3は、図2のA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、本発明の第一実施例の羽根車を含むファンの断面図である。
図5a図5aは、本発明の第二実施例の羽根車の断面図である。
図5b図5bは、本発明の第二実施例における他の配置の断面図である。
図6図6は、本発明の第三実施例の羽根車の断面図である。
図7図7は、本発明の第四実施例の羽根車の断面図である。
図8図8は、従来のファンと本発明の羽根車を含むファンとをそれぞれ二つの連接環の異なる配置に対して試験を行った結果である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明による実施の一形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0044】
図1は本発明の第一実施例の羽根車Pを示す図であり、ハブ1と複数の羽根2と少なくとも二個の連接環3とを含む。複数の羽根2はハブ1の外周に設けられ、少なくとも二個の連接環3は複数の羽根2に連接する。本発明の羽根車Pは遠心ファン及び軸流ファンに用いることができ、本発明では遠心ファンを例として説明するが、これに限定されない。
【0045】
ハブ1の中央部は回転軸4を結合することができ、その構成については当業者には容易に理解できるものであるため、ここではその説明を割愛する。ハブ1は環状壁11を有することができる。環状壁11は板体12の周縁に連接し、板体12は中央孔Qを有することができる。環状壁11が複数の羽根2に結合することができる。本実施例において、環状壁11が延伸部111を有しても良く、延伸部111が環状壁11と一体に結合されることもできる。延伸部111が少なくとも二個の連接環3と環状壁11との間に位置されると共に、少なくとも二個の連接環3に連接されず、且つ、延伸部111が環状壁11から径方向において外(即ち、回転軸4を離れる方向)に延伸するように形成することで複数の羽根2に連接する。例を挙げると、延伸部111が環状壁11を被覆するために、延伸部111の材質はプラスチックであっても良く、それにより、複数の羽根2が小型化される前提で、延伸部111とハブ1の環状壁11とが共に比較的に大きな結合面積を形成することができ、複数の羽根2の安定性を向上させ、破断しにくい効果を奏することができる。
【0046】
また、ハブ1は相対的な内側面1a(図4に示すように)と外側面1bとを有し、ハブ1の構造強度を効果的に向上させるように、ハブ1において中央孔Qに近接する箇所に強化部13を有することができる。本実施例では、強化部13がハブ1の内側面1aに位置する場合を例として説明する。詳しく言うと、強化部13はハブ1の中央孔Qの周縁に設けられた環状リブ131を有することができ、強化部13の環状リブ131により中央孔Qの周縁の構造強度を強化することができる。また、強化部13は複数の突起リブ132を有することができ、複数の突起リブ132が放射状に中央孔Qの周縁を囲繞するように位置されるために、複数の突起リブ132は環状リブ131の周縁に連接し、環状リブ131の周縁から環状壁11の方向に延伸するすることができる。それにより、ハブ1の構造強度を効果的に向上させることができる。
【0047】
羽根車Pの軸方向において全体的な高さを減少するために、図2、3に示すように、複数の羽根2の高さはハブ1の頂面を超えていないものである。各羽根2はそれぞれに第一端2a及び第二端2bを有することができ、各第一端2aは環状壁11の延伸部111に連接し、かつ第二端2bにおける羽根高さL1は第一端2aにおける羽根高さL2より高い。また、本発明において複数の羽根2の材質は限定されず、各羽根2は係合、着接、嵌合または一体成型により延伸部111と連接することができればよく、これについて本発明では限定されない。例えば、延伸部111の材質が羽根2の材質と同様の場合、構造強度及び製造効率を向上させるために、射出成型により一体に成型させることを選択することができる。本実施例では延伸部111と複数の羽根2と少なくとも二個の連接環3とが高分子ポリマーで射出成型によりハブ1を被覆して結合する。好ましくは、前記高分子ポリマー材料が液晶ポリマー及び炭素繊維からなる混合物であってもよく、液晶ポリマー及び鉱物繊維からなる混合物であってもよく、液晶ポリマー、ガラスファイバー及び鉱物繊維からなる混合物であってもよく、或いは構造強度を向上させるために、鉄、アルミニウム、銅、又は金属合金などの金属粉末を高分子接着剤に混合して射出成型により延伸部111と複数の羽根2と少なくとも二個の連接環3とを一体成型させることができる。
【0048】
図1、3に示すように、複数の羽根2はそれぞれに相対的な頂部縁21及び底部縁22を有し、頂部縁21及び底部縁22の間の間隔は第一端2aから第二端2bに次第に広がるように形成することで、各羽根2がより大きな風量を生成することができる。また、第二端2bにおける羽根高さL1は1~6mmであっても良く、好ましくは1.7~4.7mmである。また、ファン全体の小型化を維持すると共に、羽根車Pが過重になることを避け、ファンの作動効率を向上させるために、各羽根2の厚さは0.02~0.5mmであり、好ましくは0.1mmより小さい。また、羽根2の数は70~134枚であってもよく、好ましくは羽根2の数が91~134枚であり、且つ、羽根車Pの外径は40mmより大きく、或いは40mmに等してもよく、これによって、小型化された複数の羽根2が十分な風量を生じると共に、複数の羽根2をハブ1の外周に収容するようにする。
【0049】
図3に示すように、好ましくは、連接環3の厚さT1が羽根2の最大厚さT2より大きい、或いは羽根2の最大厚さT2に等しく、且つ連接環3の厚さT1が連接環3と羽根2との連接箇所における羽根2の最大高さHの1/4より小さい、或いは前記羽根2の最大高さHの1/4に等しい。また、連接環3の径方向幅Bは羽根2の最大厚さT2より大きい、或いは羽根2の最大厚さT2に等しく、且つ、羽根2の長さL3の1/6より小さい、或いは羽根2の長さL3の1/6に等しいことが好ましい。これによって、連接環3が各羽根2を安定して保持するのに十分な強度を確保することができ、各羽根2の安定性を向上させる効果を有する。
【0050】
図1、2に示すように、注意すべきことは、複数の羽根2において第一端2a及び第二端2bが同じ径方向位置に位置することができ、即ち、第一端2aと第二端2bとの連接線がハブ1の軸心を通り、各羽根2が放射状になるようにハブ1に連接する。或いは、第一端2aと第二端2bとの連接線がハブ1の軸心を通らず、各羽根2が環状壁11に接するように連接してもよく、本発明では限定されない。本実施例において、各羽根2はそれぞれに後段23及び前段24を有することができ、各羽根2の後段23がハブ1に近く、前記各羽根2の前段24がハブ1から離れている。前段24の延伸する方向が羽根車Pの回転する方向Kと同じで、後段23の延伸する方向が羽根車Pの回転方向Kと相反する。後段23又は前段24は図に示すような円弧状であってもよく、各羽根2においては前段24と後段23との間に連接する反曲段25を有しても良い。
【0051】
図2、3に示すように、少なくとも二個の連接環3は複数の羽根2において第一端2aと第二端2bとの間を任意の箇所で連接すると共に、少なくとも二個の連接環3が延伸部111を連接しておらず、例えば、少なくとも二個の連接環3が羽根2における長さL3の中央位置に設けられ、或いは後段23や前段24に設けられてもよく、好ましくは、本発明では少なくとも二個の連接環3を選択的に複数の羽根2において環状壁11から1/3離れた箇所と第二端2bとの間に設け、或いは少なくとも二個の連接環3の内の一個の連接環3を反曲段25に設けることで、より優れた固定効果を提供し、さらに複数の羽根2の安定性を向上させ、加えて複数の羽根2の高速回転による振動を減少させることができる。
【0052】
詳しく言うと、少なくとも二個の連接環3は相対的な第一表面3aと第二表面3bとを有することができ、第一表面3aが複数の羽根2の頂部縁21に向け、第二表面3bが底部縁22に向けられる。少なくとも二個の連接環3の内、少なくとも一個の連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置し、且つ、頂部縁21と底部縁22との間に位置する連接環3の第一表面3aが複数の羽根2の頂部縁21に連接しておらず、頂部縁21と底部縁22との間に位置する連接環3の第二表面3bが複数の羽根2の頂部縁21に連接していないものである。
【0053】
より詳しくは、連接環3の数が二つである場合を例として説明すると、二つの連接環3のうち、一つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置すると共に、頂部縁21及び底部縁22に連接しておらず、他の連接環3が複数の羽根2において他の箇所に位置することができ、例えば、複数の羽根2の頂部縁21又は底部縁22に位置してもよく、本発明では限定されない。本実施例において、複数の羽根2の安定性を向上させるように二つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置すると共に、頂部縁21及び底部縁22に連接しておらず、好ましくは、図のように二つの連接環3が同じ水平面に位置するように同じ高さを有する。
【0054】
また、本実施例では、二つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間における中央箇所に位置するように、好ましくは、二つの連接環3において第一表面3aから頂部縁21までの距離が第二表面3bから底部縁22までの距離に等しい。よって、優れた固定効果を提供し、さらに前記複数の羽根2の安定性を向上させ、さらに複数の羽根2の高速回転による振動を減少することができる。
【0055】
図3、4に示すように、上記の構成により、上記の実施例の羽根車Pを有するファンにおいて、ファンはフレーム5を有し、フレーム5は台座51を有し、その台座51が軸管52を有し、羽根車Pを回転軸4により軸管52に組み立てることができ、ステータ6が軸管52の外周に位置する。二つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置し、かつ二つの連接環3の第一表面3aが羽根2の頂部縁21に連接しておらず、そして二つの連接環3の第二表面3bが羽根2の底部縁22に連接していないため、二つの連接環3が複数の羽根2の位置を安定させるための十分な強度を有し、羽根車Pが回転する過程において各羽根2の空気抵抗の影響による振動または変形を減少することができ、複数の羽根2の安定性及び回転安定性を向上させる効果を有し、騒音を低く抑えることができる。
【0056】
図5aに示すように、本発明の第二実施例であり、一つの連接環3は複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置し、前記一つの連接環3がハブ1に近く、且つ前記一つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22に連接しておらず、それに対して、他の連接環3がハブ1を離れ、他の連接環3が複数の羽根2の底部縁22に連接すると共に複数の羽根2の第二端2bに位置し、また、図5aに示すように、前記他の連接環3が底部縁22の上方或いは下方に連接してもよい。例えば、前記他の連接環3が突出せずに複数の羽根2の底部縁22に同一平面になるように位置してもよく、又は、前記他の連接環3が完全に複数の羽根2の底部縁22から突出してもよく、或いは、前記他の連接環3が部分的に複数の羽根2の底部縁22から突出してもよく、本実施例では、前記他の連接環3が突出せずに複数の羽根2の底部縁22に同一平面になるように位置し、即ち、前記他の連接環3の第二表面3bが複数の羽根2の底部縁22に連接され、これよって別の設置方式を提供する。
【0057】
又、前記他の連接環3は頂部縁21の上方或いは下方に連接してもよく、例えば、前記他の連接環3が突出せずに複数の羽根2の頂部縁21に同一平面になるように位置され、又は、前記他の連接環3が完全に複数の羽根2の頂部縁21から突出してもよく、或いは、前記他の連接環3が部分的に複数の羽根2の頂部縁21から突出してもよく、図5bに示すように、本実施例では、前記他の連接環3が完全に複数の羽根2の頂部縁21から突出し、即ち、前記他の連接環3の第二表面3bが複数の羽根2の頂部縁21に連接され、前記他の連接環3の第二表面3bが複数の羽根2の頂部縁21と同一平面になるように位置し、これよって、別の設置方式を提供する。
【0058】
図6に示すように、本発明の第三実施例であり、一つの連接環3は複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置し、且つ前記一つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22に連接しておらず、一つの連接環3がハブ1を離れて複数の羽根2の第二端2bに位置し、それに対して、他の連接環3がハブ1に近く、複数の羽根2の頂部縁21に連接し、且つ前記他の連接環3が頂部縁21の上方或いは下方に連接してもよい。例えば、前記他の連接環3が突出せずに複数の羽根2の頂部縁21に同一平面になるように位置し、又は、前記他の連接環3が完全に複数の羽根2の頂部縁21から突出してもよく、或いは、前記他の連接環3が部分的に複数の羽根2の頂部縁21から突出してもよく、本実施例では、前記他の連接環3を突出させずに複数の羽根2の頂部縁21と同一平面になるように位置させ、即ち、前記他の連接環3の第一表面3aが複数の羽根2の頂部縁21に連接され、前記他の連接環3と複数の羽根2と共により大きい結合面積を形成することで、複数の羽根2が空気抵抗の影響により振動することなく、これよって、別の設置方式を提供する。
【0059】
図7に示すように、本発明の羽根車Pの第四実施例であり、連接環3の数が三つである場合を例として説明する。三つの連接環3のうち、一つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置し、前記一つの連接環3がハブ1に近く、且つ前記一つの連接環3が複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22に連接しておらず、それに対して、他の二つの連接環3がハブ1を離れ、且つ、好ましくは、他の二つの連接環3がずれ千鳥状に配置され、他の二つの連接環3がそれぞれに前記複数の羽根2の頂部縁21及び底部縁22に連接し、図7に示すように、二つの連接環3がそれぞれに頂部縁21の上方或いは下方、及び底部縁22の上方或いは下方に連接してもよい。例えば、前記他の二つの連接環3が突出せずに複数の羽根2の頂部縁21または底部縁22と同一平面になるように位置してもよく、又は、前記他の二つの連接環3が完全に複数の羽根2の頂部縁21または底部縁22から突出してもよく、或いは、前記他の二つの連接環3が部分的に複数の羽根2の頂部縁21または底部縁22から突出されてもよく、本実施例では、他の二つの連接環3をそれぞれに完全に複数の羽根2の頂部縁21から突出させ、及び羽根車Pが全体的な軸方向の高さを減少するように複数の羽根2の底部縁22から突出させずに同一平面になるように位置させることができる。よって、別の設置方式を提供する上、三つの連接環3により、複数の羽根2の位置を安定させ、各羽根2の空気抵抗の影響による振動または変形を減少する効果を有する。
【0060】
図8は、大気の環境で従来のファンと本発明羽根車Pを有するファンがそれぞれに二つの連接環3の異なる配置に対して試験を行った結果である。その結果はそれぞれに第一組、第二組及び第三組として表した。第一組は二つの連接環3を前記複数の羽根2の頂部縁21に位置させ(即ち、従来のファンである)、第二組は上記第二実施例のように、ハブ1に近い連接環3を複数の羽根2の頂部縁21と底部縁22との間に位置させ、ハブ1に遠い連接環3を複数の羽根2の頂部縁21に位置させ、第三組は上記第一実施例のように、二つの連接環3を頂部縁21と底部縁22との間に位置させた。同様な騒音環境で羽根車Pが回転するときに生じた風圧風量を測量した。
【0061】
図8によると、羽根車Pは第二組と第三組による配置で回転する場合に第一組による配置より高い風圧風量を有するため、本発明の羽根車Pが羽根を安定させて風量を向上させることができる。
【0062】
綜合すると、本発明の羽根車及び羽根車を有する放熱ファンは、少なくとも二個の連接環のうち、少なくとも一個の連接環が、前記複数の羽根の頂部縁と前記複数の羽根の底部縁とを連接しないように前記複数の羽根の頂部縁及び底部縁の間に位置することにより、二個の連接環が十分な強度を有し、複数の羽根を安定させ、羽根車が回転する過程において各羽根の空気抵抗の影響による振動または変形を減少することができ、複数の羽根の回転安定性を向上させ、騒音を低く抑え、及び優れたファン性能を持つ効果を有する。
【0063】
本発明は、その精神と必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施形態は例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 ハブ
1a 内側面
1b 外側面
11 環状壁
111 延伸部
12 板体
13 強化部
131 環状リブ
132 突起リブ
2 羽根
2a 第一端
2b 第二端
21 頂部縁
22 底部縁
23 後段
24 前段
25 反曲段
3 連接環
3a 第一表面
3b 第二表面
4 回転軸
5 フレーム
51 台座
52 軸管
6 ステータ
B 径方向幅
H 最大高さ
L1 羽根高さ
L2 羽根高さ
L3 長さ
K 回転方向
P 羽根車
Q 中央孔
T1 厚さ
T2 最大厚さ
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8