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特許7112460運搬システム、情報処理装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】運搬システム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220727BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B65G61/00 540
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020152685
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047000
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2020-10-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146576(WO,A1)
【文献】特開2018-132794(JP,A)
【文献】特開2018-055692(JP,A)
【文献】特開2018-022309(JP,A)
【文献】特開2019-170008(JP,A)
【文献】特開2018-122650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする運搬システム。
【請求項2】
運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
を備え、
前記環境情報取得部は、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、
前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定する判定部を更に備えることを特徴とする運搬システム。
【請求項3】
前記荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬システム。
【請求項4】
運搬される荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体と、
前記荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする運搬システム。
【請求項5】
前記移動体は、無人で移動可能な無人移動体であることを特徴とする請求項またはに記載の運搬システム。
【請求項6】
前記運搬先の環境をセンシングするセンサを更に備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項7】
前記センサは前記荷物を運搬する移動体に搭載されることを特徴とする請求項に記載の運搬システム。
【請求項8】
前記荷物の受取制限時間を当該荷物の受取人に通知する通知部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項9】
前記受取制限時間が通知された前記受取人から応答メッセージを受信する受信部と、
前記応答メッセージが前記荷物の受取不可を示す場合、前記荷物を運搬先以外に運搬させるための制御を行う制御部と、
を更に備えることを特徴とする請求項に記載の運搬システム。
【請求項10】
前記受取制限時間の通知から所定時間が経過しても応答メッセージの返信が無い場合、前記荷物を運搬先以外に運搬させるための制御を行う制御部を備えることを特徴とする請求項に記載の運搬システム。
【請求項11】
前記決定部は、環境と受取制限時間との関係を荷物の種別ごとに規定するデータまたは関数を用いて、前記荷物の受取制限時間を決定することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項12】
前記決定部は、前記荷物情報により示される種別及び前記環境情報の組み合わせと、受取制限時間との関係を規定するデータまたは関数を用いて、前記荷物の受取制限時間を決定することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項13】
前記センシングは、前記運搬先において前記荷物の受取人が前記荷物を直接受け取れないと判定された場合に行われることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項14】
運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
を備え、
前記環境情報取得部は、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、
前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定する判定部を更に備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
運搬される荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体と、
前記荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、
前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得するステップと、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、
前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行うステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、
を含み、
前記環境情報取得ステップにおいては、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、
前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定するステップを更に含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項19】
1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、
前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得するステップと、
前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、
前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
荷物を運搬先に運搬するシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばEC(Electronic commerce)サイトで購入された商品などの荷物の運搬方法として、当該荷物を運搬先の玄関や保管庫などに置く所謂「置き配」が実施されている。かかる置き配によれば、受取人は非対面で荷物を受け取ることができるため、受取人が在宅である必要がなく、当該荷物の再配達に伴う作業コストを削減することができる。特許文献1では、オートロック設備のある集合住宅に置き配を行う際に、適切にオートロックを開錠して荷物を運搬するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-53047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生鮮食品など鮮度に限りがある荷物が置き配により運搬先に長時間放置された場合、普段よりも早く傷んでしまう可能性がある。そのため、荷物の運搬先の環境に合わせて、荷物ごとに受取時間が制限されることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、運搬先の環境に合わせて、荷物ごとに適切な受取制限時間を設定することが可能な運搬システム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載の発明は、運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを確実に防止することができる。
【0008】
請求項に記載の発明は、運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、を備え、前記環境情報取得部は、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定する判定部を更に備えることを特徴とする。これにより、時間経過に伴う環境の変化に応じて適切に受取制限時間を更新することが可能となる。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の運搬システムにおいて、前記荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体を更に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、運搬される荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体と、前記荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信する送信部と、を備えることを特徴とする。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを確実に防止することができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の運搬システムにおいて、前記移動体は、無人で移動可能な無人移動体であることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記運搬先の環境をセンシングするセンサを更に備えることを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の運搬システムにおいて、前記センサは前記荷物を運搬する移動体に搭載されることを特徴とする。これにより、より効率良く運搬先の環境をセンシングすることができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記荷物の受取制限時間を当該荷物の受取人に通知する通知部を更に備えることを特徴とする。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを極力防止することができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の運搬システムにおいて、前記受取制限時間が通知された前記受取人から応答メッセージを受信する受信部と、前記応答メッセージが前記荷物の受取不可を示す場合、前記荷物を運搬先以外に運搬させるための制御を行う制御部と、を更に備えることを特徴とする。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを確実に防止することができる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の運搬システムにおいて、前記受取制限時間の通知から所定時間が経過しても応答メッセージの返信が無い場合、前記荷物を運搬先
以外に運搬させるための制御を行う制御部を備えることを特徴とする。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを確実に防止することができる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記決定部は、環境と受取制限時間との関係を荷物の種別ごとに規定するデータまたは関数を用いて、前記荷物の受取制限時間を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記決定部は、前記荷物情報により示される種別及び前記環境情報の組み合わせと、受取制限時間との関係を規定するデータまたは関数を用いて、前記荷物の受取制限時間を決定することを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記センシングは、前記運搬先において前記荷物の受取人が前記荷物を直接受け取れないと判定された場合に行われることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。請求項15に記載の発明は、運搬される荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、を備え、前記環境情報取得部は、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定する判定部を更に備えることを特徴とする。請求項16に記載の発明は、運搬される荷物を搬出する搬出部を具備し当該荷物を運搬する移動体と、前記荷物の荷物情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得部と、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定する決定部と、前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項17に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得するステップと、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、前記運搬先に前記荷物が置かれた後、前記受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。請求項18に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、を含み、前記環境情報取得ステップにおいては、前記受取制限時間の決定から所定時間が経過した場合に、前記運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得し、前記運搬先における前記環境情報の変化に基づいて、前記受取制限時間を更新するかを判定するステップを更に含むことを特徴とする。請求項19に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、運搬される荷物の荷物情報を取得するステップと、前記荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得するステップと、前記荷物情報と前記環境情報とに基づいて、前記運搬先の環境における前記荷物の受取制限時間を決定するステップと、前記運搬先において、前記荷物を運搬する移動体とは別の移動体に前記受取制限時間を示す情報を送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、運搬先の環境に合わせて、荷物ごとに適切な受取制限時間を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る運搬システムSの概要構成例を示す図である。
図2】UGV1の概要構成例を示す図である。
図3】UGV1の外観及び内部の概要構造例1を示す図である。
図4】UGV1の外観及び内部の概要構造例2を示す図である。
図5】管理サーバ2の概要構成例を示す図である。
図6】制御部23における機能ブロック例を示す図である。
図7】荷物の種別及び環境情報の組み合わせと、受取制限時間との関係を規定するテーブルの一例を示す図である。
図8】応答メッセージを返信するための表示画面例を示す図である。
図9】UGV1により荷物が運搬先に運搬される際の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0025】
1.運搬システムSの構成及び機能概要
先ず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る運搬システムSの構成及び機能概要について説明する。図1は、本実施形態に係る運搬システムSの概要構成例を示す図である。図1に示すように、運搬システムSは、UGV(Unmanned Ground Vehicle)1、及び管理サーバ2(情報処理装置の一例)等を備えて構成される。UGV1は、無人で自律的に移動可能な自律移動体である。図1の例では、1つのUGV1を示しているが、実際には複数のUGV1が存在し、それぞれのUGV1が荷物を運搬するようになっている。管理サーバ2は、運搬される荷物に関する情報を管理するサーバである。UGV1と管理サーバ2とは、それぞれ、通信ネットワークNWに接続可能になっており、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、図1に示すUGV1は、地上を移動するための複数の車輪を有する無人地上車両を示しているが、UGV1は、車輪を有しないロボット(例えば、2足歩行ロボット)等の移動体であってもよい。
【0026】
このような運搬システムSにおいて、UGV1は積載した荷物を運搬先まで運搬する。ここで、荷物は、物品または貨物ということもできる。荷物は、例えばECサイトで注文された商品(注文品)であってもよい。荷物の運搬先は、例えば、荷物の受取人が居住する住宅、或いは当該受取人が勤務するオフィスなど、荷物が配達される配達場所である。本実施形態では、荷物の受取人が運搬先に不在などの理由で、UGV1から荷物を直接受け取れない場合に、UGV1が運搬先の特定場所(戸外)に荷物を置いてその場を去ること(つまり、置き配)を想定する。荷物が置かれる特定場所(以下、「置き配場所」という)は、例えば、住宅やオフィスの出入口(玄関)前の地面(例えばコンクリート、土、砂利、または芝の地面)等、または住宅やオフィスの出入口付近に設置された保管庫内であってよい。或いは、住宅が集合住宅(例えばマンションやアパート)である場合、置き配場所は、集合住宅の共通のエントランス付近に設置された保管庫(例えば、宅配ボックス)内、または集合住宅の共通のエントランス付近で待機する集合住宅専用UGV(つまり、荷物を運搬するUGV1とは別のUGV)内であってもよい。
【0027】
1-1.UGV1の構成及び機能
次に、図2を参照して、UGV1の構成及び機能について説明する。図2は、UGV1の概要構成例を示す図である。図3及び図4は、UGV1の外観及び内部の概要構造例を示す図である。図2に示すように、UGV1は、駆動部11、測位部12、通信部13、撮像部14、センサ部15、記憶部16、及び制御部17等を備える。なお、図示しないが、UGV1は、UGV1の各部へ電力を供給するバッテリを備える。また、図3及び図4に示すように、UGV1は、車輪101、荷物の収納部102、荷物の搬入機構(図示せず)、及び荷物の搬出機構(搬出部の一例)103(または104)等を備える。
【0028】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部17から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数の車輪101を回転させる。収納部102は、複数の荷物を収納(積載)可能になっており、保冷機能を有する。また、収納部102には、図示しないが、収納された荷物を、制御部17からの制御信号に応じて、収納部102内の指定位置に移動させる移動機構が備えられている。
【0029】
図3に示す搬出機構103は、開閉扉103a,103b、スライダー103c、及びモータ等からなるアクチュエータ(図示せず)を備える。開閉扉103a,103bは、制御部17から出力される制御信号を機械的動作に変換するアクチュエータにより、例えばスライド移動するようになっている。図3の例では、収納部102に収納された荷物Cは、収納部102内の移動機構によりスライダー103cの上部に移動され、図中の矢印に示すように、開閉扉103aがあった部分の開口を通ってスライダー103c上を滑り、開閉扉103bがあった部分の開口を通って置き配場所に搬出される。
【0030】
一方、図4に示す搬出機構104は、開閉扉104a、及びモータ等からなるアクチュエータ(図示せず)を備える。開閉扉104aは、薄板が複数枚重なって伸縮可能に構成され(図4(a)参照)、制御部17から出力される制御信号を機械的動作に変換するアクチュエータにより、UGV1の外側に倒れることで(図4(b)参照)、開閉扉104aの薄板が伸びてスライダーを形成するようになっている。図4の例では、収納部102に収納された荷物Cは、収納部102内の移動機構により開閉扉104aがあった部分に移動され、図中の矢印に示すように、当該部分の開口を通って、開閉扉104aにより形成されるスライダー上を滑って置き配場所に搬出される。なお、図3及び図4に示す搬出機構103(または104)は、一例であり、その他の構成を採用してもよい。また、置き配場所が集合住宅専用のUGVである場合、UGV1から集合住宅専用のUGVへ荷物を受け渡すための受け渡し機構がそれぞれのUGVに備えられる。
【0031】
測位部12は、電波受信機等を備える。測位部12は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUGV1の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UGV1の現在位置は、GNSSの衛星から発信された電波に加えて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)処理により特定されてもよい。また、UGV1の現在位置は、撮像部14により撮像された画像に基づいて補正されてもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部17へ出力される。通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。また、通信部13は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を備えるとよい。
【0032】
撮像部14は、例えばカメラを備える。撮像部14は、UGV1の移動制御に用いられる。撮像部14は、例えばカメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的に撮像する。撮像部14により撮像された画像情報は、制御部17へ出力される。センサ部15は、運搬先の環境をセンシングするセンサを備える。かかるセンサがUGV1に搭載されることにより、より効率良く運搬先の環境をセンシングすることができる。かかるセンサの例として、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、及び降雨センサ等が挙げられるが、センサ部15には、少なくとも温度センサ及び湿度センサが備えられるとよい。センサ部15が運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報は、制御部17へ出力される。環境情報には、例えば、運搬先の置き配場所における温度、湿度、及び降雨量のうち少なくとも何れか1つが含まれる。なお、荷物の運搬先の環境をセンシングするセンサは、当該運搬先(例えば、住宅やオフィスの出入口や、集合住宅の共通のエントランス付近)に設置される場合もある。
【0033】
記憶部16は、不揮発性メモリ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。また、記憶部16は、UGV1を識別する移動体IDを記憶する。制御部17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備え、ROM(または、不揮発性メモリでもよい)に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部17は、荷物の運搬先(例えば、荷物の発送拠点から運搬先)へUGV1を移動させる移動制御を行う。この移動制御においては、測位部12から取得された位置情報、撮像部14から取得された画像情報、及び荷物の運搬先情報等が用いられて、車輪101の回転数の制御、UGV1の位置及び進行方向の制御が行われる。これにより、UGV1は自律的に運搬先まで移動することができる。ここで、荷物の運搬先情報は、例えば荷物の発送拠点(換言すると、荷物の積み込み拠点)でUGV1に設定されてもよいし、管理サーバ2から送信されてもよい。荷物の運搬先情報には、例えば、荷物を識別する荷物ID、及び荷物の運搬先の所在地情報が含まれる。運搬先の所在地情報は、運搬先の住所であってもよいし、運搬先の位置情報(緯度及び経度)であってもよい。
【0034】
また、制御部17は、UGV1が運搬先に到着したとき、センサ部15を起動して運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を取得(環境情報取得部として取得)する。そして、制御部17は、当該取得した環境情報とともに、UGV1の移動体IDを通信部13に管理サーバ2へ送信させる。その後、制御部17は、運搬先の置き配場所において荷物を搬出するための搬出制御を行う。例えば、制御部17は、例えば撮像部14から取得された画像情報に基づいて、UGV1の位置調整を行った上で、収納部102内の移動機構、及び搬出機構103(または104)へ制御信号を出力することで搬出機構103(または104)により荷物を置き配場所に搬出させる。
【0035】
なお、制御部17は、UGV1の現在位置を示す位置情報、及び荷物の積載可否情報を、通信部13に管理サーバ2へ時系列で送信させてもよい。ここで、荷物の積載可否情報は、現時点で荷物を積載することができるか否かを示す。「時系列で送信」とは、時間経過に伴い連続的に複数回送信することを意味する。位置情報及び積載可否情報が送信される時間間隔(つまり、送信間隔)は、一定間隔であってもよいし、不定間隔であってもよい。
【0036】
1-2.管理サーバ2の構成及び機能
次に、図5等を参照して、管理サーバ2の構成及び機能について説明する。図5は、管理サーバ2の概要構成例を示す図である。図5に示すように、管理サーバ2は、通信部21、記憶部22、及び制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部22には、荷物データベース(DB)221等が構築される。荷物データベース221には、荷物の荷物ID、荷物の荷物情報、荷物の運搬先情報、荷物を運搬するUGV1の移動体ID、及び荷物の受取人の情報(例えば、受取人の氏名、及びメールアドレス)等が荷物毎に対応付けられて格納される。
【0037】
ここで、荷物の荷物情報には、荷物の種別が含まれる。荷物の種別の例として、食品、飲料品、衣料品、医療品、日用品、電化製品、書籍等が挙げられる。食品は、冷凍を要する食品(冷凍食品)と、冷凍を要しない商品とに区別されるとよい。また、食品は、冷蔵を要する食品(例えば、野菜、果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品)と、冷蔵を要しない食品(例えば、加工食品など)と区別されるとよい。また、電化製品は、電子部品等の精密部品を含む製品と、精密部品を含まない製品とに区別されるとよい。なお、荷物の荷物情報には、荷物の種別とともに(或いは、種別の代わりに)、所定温度範囲(例えば、15°C以上)に対する耐性有無、所定湿度範囲(例えば、60%以上)に対する耐性有無、浸水に対する耐性有無が含まれてもよい。
【0038】
また、荷物データベース221には、荷物を運搬するUGV1の移動体IDに対応付けられて、UGV1の現在位置を示す位置情報、荷物の積載可否情報、及びUGV1にアクセスするためのアドレス情報等が格納されてもよい。ここで、位置情報及び荷物の積載可否情報は、UGV1から通信部21により受信される度に更新される。
【0039】
制御部23は、CPU,ROM,及びRAM等を備え、ROM(または、不揮発性メモリでもよい)に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。図6は、制御部23における機能ブロック例を示す図である。制御部23は、上記プログラムの実行により、図6に示すように、荷物情報取得部231、環境情報取得部232、受取制限時間決定部233(決定部の一例)、受取制限時間通知部234(通知部の一例)、応答受信部235(受信部の一例)、及び移動体制御部(制御部の一例)236等として機能する。
【0040】
荷物情報取得部231は、UGV1により運搬される荷物の荷物情報を例えば荷物データベース221から取得する。環境情報取得部232は、UGV1により運搬される荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報を例えばUGV1から取得する。なお、運搬先の環境をセンシングするセンサデバイスが当該運搬先に設置され、当該センサにより得られた環境情報が通信ネットワークNWを介して管理サーバ2に送信される場合もある。かかる場合、環境情報取得部232は、運搬先に設置されたセンサから環境情報を取得してもよい。
【0041】
受取制限時間決定部233は、荷物情報取得部231により取得された荷物情報と、環境情報取得部232により取得された環境情報とに基づいて、荷物の運搬先の環境における当該荷物の受取制限時間を決定する。受取制限時間決定部233により決定された受取制限時間は、例えば、荷物の受取人への通知用、或いはタイマ用として設定される。ここで、荷物の受取制限時間とは、荷物が置き配場所に継続して置かれることを制限する時間である。受取制限時間は、荷物が置かれてからの継続時間(例えば、x時間)で表されてもよいし、時刻(例えば、y時z分)で表されてもよい。つまり、当該継続時間または当該時刻を超えて荷物が置かれることが制限される。
【0042】
受取制限時間決定部233は、例えば、荷物の種別及び環境情報の組み合わせと、受取制限時間との関係を規定するデータ(例えば、テーブル)または関数を用いて、荷物の受取制限時間を決定する。図7は、荷物の種別及び環境情報の組み合わせと、受取制限時間との関係を規定するテーブルの一例を示す図である。図7の例では、生鮮食品と温度及び湿度との組み合わせに対して受取制限時間が対応付けられている。図7の例によれば、UGV1により運搬される荷物が生鮮食品であり、且つ、荷物の運搬先の温度が20°Cで湿度が50%である場合、受取制限時間は1時間として決定される。
【0043】
図7とは別の例として、受取制限時間決定部233は、上記取得された荷物情報に示される種別と上記取得された環境情報とを数値化した値を代入することにより受取制限時間を算出する関数を用いて当該受取制限時間を決定してもよい。或いは、受取制限時間決定部233は、上記取得された荷物情報に示される種別と上記取得された環境情報とを数値化した値を入力とし、受取制限時間を出力とする推定モデル(関数群)を用いて、当該受取制限時間を決定してもよい。この場合、受取制限時間に関する正解データと、荷物の種別と環境情報とのデータセットを教師データとして用いて上記推定モデルの機械学習が行われるとよい。このような学習済み推定モデルに、上記取得された荷物情報に示される荷物の種別と上記取得された環境情報とを数値化した値が入力されることで、学習済み推定モデルから、より適切な受取制限時間が得られる。
【0044】
更に別の例として、受取制限時間決定部233は、環境情報と受取制限時間との関係を荷物の種別ごとに規定するデータ(例えば、テーブル)または関数を用いて受取制限時間を決定してもよい。例えば、上記取得された荷物情報に示される種別に対応する「環境情報と受取制限時間との関係を規定するテーブル」から、上記取得された環境情報に対応付けられた受取制限時間を特定することで適切な受取制限時間を決定する。或いは、上記取得された荷物情報に示される種別に対応する「環境情報と受取制限時間との関係を規定する関数」に上記取得された環境情報を数値化した値を代入することにより適切な受取制限時間を決定する。
【0045】
受取制限時間通知部234は、受取制限時間決定部233により決定された受取制限時間を荷物の受取人に通知する。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを極力防止することができる。例えば、受取制限時間通知部234は、上記取得された荷物情報に対応付けられた受取人のメールアドレス宛に上記受取制限時間を含むメッセージを示す電子メールを送信する。これにより、当該電子メールは受取人の端末によりメールサーバから取得され、上記受取制限時間を含むメッセージが当該端末に表示されるか、或いは当該端末から音声出力される。かかるメッセージの例として、「今からx時間内に荷物の受取をお願いします」というメッセージ、または「y時z分までに荷物の受取をお願いします」というメッセージが表示される。かかる受取制限時間を含むメッセージは、メールサーバを経由せずに、管理サーバ2から受取人の端末へ直接的にプッシュ配信されてもよい。
【0046】
また、受取制限時間が通知された受取人は、当該受取制限時間内に運搬先で荷物を受取可能であるか否かを示す応答メッセージを端末から返信してもよい。図8は、応答メッセージを返信するための表示画面例を示す図である。図8に示す表示画面は、受取人の端末に表示されたメッセージ(例えば、メールサーバまたは管理サーバ2から受信されたメッセージ)に設定されたURL(Uniform Resource Locator)が受取人に指定されることで端末に表示される。図8に示す表示画面には、荷物の受取可能を示すボタン51と、荷物の受取不可を示すボタン52とが選択可能に表示されている。当該表示画面において受取可能を示すボタン51が受取人により選択されると、荷物の受取可能を示す応答メッセージが管理サーバ2へ送信される。一方、当該表示画面において受取不可を示すボタン52が受取人により選択されると、荷物の受取不可を示す応答メッセージが管理サーバ2へ送信される。これにより、荷物が受取制限時間経過後も放置されることを確実に防止することができる。
【0047】
応答受信部235は、受取制限時間通知部234により受取制限時間が通知された受取人の端末から応答メッセージを、通信部21を介して受信する。応答受信部235により受信された応答メッセージが荷物の受取可能を示す場合、移動体制御部236は、運搬先の置き配場所において荷物を搬出させるための制御を行う。例えば、移動体制御部236は、当該荷物を搬出させる制御指令を、通信部21にUGV1へ送信させる。これにより、UGV1は、当該荷物を置き配場所に搬出する。一方、応答受信部235により受信された応答メッセージが荷物の受取不可を示す場合、移動体制御部236は、荷物を運搬先以外に運搬させるための制御を行う。例えば、移動体制御部236は、UGV1の帰還場所(例えば、荷物の発送拠点)へ帰還させる制御指令、または、次の運搬先へ移動させる制御指令を、通信部21に送信させる。或いは、移動体制御部236は、荷物の一時保管場所へ移動させる制御指令を、通信部21にUGV1へ送信させてもよい。
【0048】
2.運搬システムSの動作
次に、図9を参照して、本実施形態に係る運搬システムSの動作について説明する。図9は、UGV1により荷物が運搬先に運搬される際の動作の一例を示すシーケンス図である。この動作例においては、荷物の発送拠点で、上述した運搬先情報がUGV1に設定されるものとする。運搬先情報には、運搬先の所在地情報、及び運搬される荷物の荷物IDが含まれる。なお、運搬先情報には、荷物の受取人のメールアドレスが含まれてもよい。
【0049】
図9において、UGV1は、運搬先情報にしたがって発送拠点から荷物の運搬先に向かって運搬を開始(ステップS1)した後、UGV1の位置情報と運搬先の所在地情報とに基づいて、UGV1が荷物の運搬先に到着したか否かを判定する(ステップS2)。この判定は、所定時間間隔で繰り返し行われる。なお、UGV1が荷物の運搬先に接近したか否か(例えば、運搬先までの距離が数mになったか否か)が判定されてもよい。そして、UGV1が荷物の運搬先に到着(または接近)したと判定された場合(ステップS2:YES)、UGV1は、当該荷物の運搬先への到着情報とともに、UGV1の移動体IDを、通信ネットワークNWを介して管理サーバ2へ送信する(ステップS3)。
【0050】
次いで、管理サーバ2は、UGV1からの到着情報及び移動体IDを取得すると、当該移動体IDに対応付けられた受取人のメールアドレス宛に、荷物が到着した旨のメッセージを示す電子メールを送信する(ステップS4)。なお、当該電子メールは、UGV1から受取人のメールアドレス宛に送信されてもよい。或いは、近距離無線信号を受信可能な呼び出しチャイムが運搬先に設置されている場合、UGV1は、荷物が到着した旨のメッセージを示す電子メールを送信する代わりに、当該近距離無線信号を発信してもよい。
【0051】
そして、荷物の受取人の端末により上記電子メールが受信されたこと、または呼び出しチャイムが鳴ったことに応じて、当該荷物の受取人が運搬先の出入口(例えば、住宅やオフィスの玄関)から現れると、UGV1は受取人を検知し(ステップS5:YES)、当該荷物を置き配場所に搬出し(ステップS6)、帰還場所に帰還するか、または次の運搬先へ移動する。一方、上記到着情報の送信から所定時間(例えば、数分)以内に受取人を検知できない場合(ステップS5:NO)、UGV1は、受取人が荷物を直接受け取れないと判定し、センサ部15を起動して運搬先の環境のセンシングを行い(ステップS7)、当該センシングにより得られた環境情報を取得する(ステップS8)。つまり、運搬先の環境のセンシングは、当該運搬先において受取人が荷物を直接受け取れないと判定された場合に行われる。次いで、UGV1は、ステップS8で取得された環境情報とともに、UGV1の移動体IDを、通信ネットワークNWを介して介して管理サーバ2へ送信する(ステップS9)。
【0052】
なお、運搬先の環境をセンシングするセンサデバイスが当該運搬先に設置されている場合、管理サーバ2は、UGV1から到着情報を取得したときに、当該センサデバイスへ運搬先の環境のセンシング指令を送信してもよい。センサデバイスは、管理サーバ2からのセンシング指令に応じて、運搬先の環境のセンシングを行い、当該センシングにより得られた環境情報を管理サーバ2に送信する。この場合、UGV1は、運搬先の環境のセンシングを行わなくてもよい(つまり、ステップS7~S9の処理は不要となる)。
【0053】
次いで、管理サーバ2は、UGV1からの環境情報及び移動体IDを取得すると、当該移動体IDに対応付けられた荷物情報及び受取人のメールアドレスを荷物データベース221から取得する(ステップS10)。なお、管理サーバ2は、上述したように、センサデバイスから環境情報を取得してもよい。次いで、管理サーバ2は、ステップS10で取得された環境情報と荷物情報とに基づいて、UGV1により運搬された荷物の運搬先の環境における当該荷物の受取制限時間を決定する(ステップS11)。次いで、管理サーバ2は、ステップS11で決定された受取制限時間を含むメッセージを電子メールに設定し、当該受取制限時間を含むメッセージを示す電子メールを荷物の受取人のメールアドレス宛に送信する(ステップS12)。
【0054】
次いで、管理サーバ2は、ステップS12で送信された電子メールに応じて、荷物の受取人の端末から応答メッセージを受信したか否かを判定する(ステップS13)。管理サーバ2は、応答メッセージを受信したと判定した場合(ステップS13:YES)、ステップS14へ進む。一方、管理サーバ2は、応答メッセージを受信していないと判定した場合(ステップS13:NO)、ステップS12の電子メールの送信から所定時間(例えば、数分)が経過したか否かを判定する(ステップS15)。電子メールの送信から所定時間が経過したと判定された場合(ステップS15:YES)、すなわち、受取制限時間の通知から所定時間が経過しても応答メッセージの返信が無い場合、受取不可とみなして、ステップS17へ進む。一方、電子メールの送信から所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS15:NO)、ステップS13に戻る。
【0055】
ステップS14では、管理サーバ2は、ステップS13で受信された応答メッセージが荷物の受取可能を示すか否かを判定する。管理サーバ2は、応答メッセージが荷物の受取可能を示すと判定した場合(ステップS14:YES)、ステップS16へ進む。一方、管理サーバ2は、応答メッセージが荷物の受取可能を示さない(つまり、受信不可を示す)と判定した場合(ステップS14:NO)、ステップS17へ進む。
【0056】
ステップS16では、管理サーバ2は、運搬先の置き配場所において荷物を搬出させる制御指令を、通信ネットワークNWを介してUGV1へ送信する。かかる制御指令に応じて、UGV1は、荷物を置き配場所に搬出し(ステップS18)、帰還場所に帰還するか、または次の運搬先へ移動する。一方、ステップS17では、管理サーバ2は、荷物を運搬先以外に運搬させる制御指令を、通信ネットワークNWを介してUGV1へ送信する。かかる制御指令に応じて、UGV1は、荷物を運搬先以外に運搬する(ステップS19)。
【0057】
以上説明したように、上記実施形態によれば、運搬される荷物の荷物情報と、当該荷物の運搬先の環境をセンシングして得られた環境情報とを取得し、当該取得された荷物情報と環境情報とに基づいて、運搬先の環境における荷物の受取制限時間を決定するように構成したので、運搬先の環境に合わせて荷物ごとに適切な受取制限時間を設定することが可能となり、置き配により運搬先に長時間放置されることを防止することができる。
【0058】
(変形例1)
上記実施形態において、管理サーバ2は、運搬先の置き配場所において荷物を搬出させる制御指令をUGV1へ送信したときに、受取制限時間を受取確認用タイマに設定してカウントを開始してもよい。この場合、管理サーバ2は、受取確認用タイマがカウントアップするまでに(つまり、受取制限時間が経過するまでに)、運搬先に置かれた荷物の受取を確認できない場合、荷物データベース221におけるUGV1の位置情報及び積載可否情報を参照して、例えば荷物を積載可能で且つ位置的に運搬先と最も近いUGV1を荷物回収用UGVとして検索する。そして、管理サーバ2は、検索された荷物回収用UGVへ荷物の回収指令を送信する。つまり、管理サーバ2は、運搬先に荷物が置かれた後、受取制限時間が経過しても当該荷物の受取を確認できない場合、当該荷物を回収させるための制御を行うことになる。かかる回収指令に応じて、荷物回収用UGVは、運搬先へ移動して荷物を回収し、例えば荷物の発送拠点へ帰還または次の運搬先へ移動する。これにより、受取人側の理由で受取制限時間が経過するまでに荷物が受け取られない場合であっても、荷物が受取制限時間経過後も長時間放置されることを確実に防止することができる。なお、運搬先に置かれた荷物の受取確認は、例えば、荷物を受け取った受取人の端末から送信された受取メッセージが管理サーバ2により受信されることで行われるとよい。この場合、例えば、受取人の端末の表示画面に荷物の受取確認を示すボタンが表示され、当該ボタンが受取人により選択されると荷物の受取を示す受取メッセージが管理サーバ2へ送信されるように構成される。ただし、管理サーバ2は、これ以外の方法で荷物の受取を確認してもよい。例えば、カメラを含む監視機器が運搬先に設置されている場合、監視機器はカメラにより撮像された映像に基づいて荷物が受け取られたことを検知した場合、当該荷物の受取を示す受取メッセージを管理サーバ2へ送信してもよい。
【0059】
(変形例2)
上記実施形態において、荷物の置き配場所が集合住宅の共通のエントランス付近で待機する集合住宅専用UGVである場合、管理サーバ2は、例えば運搬先の置き配場所において荷物を搬出させる制御指令とともに受取制限時間を示す情報をUGV1へ送信してもよい。この場合、UGV1は、管理サーバ2からの制御指令に応じて、荷物を集合住宅専用UGVへ渡す際に、管理サーバ2から受信した受取制限時間を示す情報を、例えば近距離無線通信により集合住宅専用UGVへ送信する。なお、受取制限時間を示す情報は、管理サーバ2から集合住宅専用UGVへ送信されてもよい。そして、荷物を受け取り且つ受取制限時間を示す情報を受信した集合住宅専用UGVは、当該受取制限時間を受取確認用タイマに設定してカウントを開始し、例えば集合住宅内の待機場所(荷物の受取人の部屋の前でもよい)まで移動して、そこで待機する。その後、集合住宅専用UGVは、受取確認用タイマがカウントアップするまでに、荷物の受取人を検知できない場合(つまり、受取人が現れない場合)、例えば荷物の発送拠点へ移動して回収させる(一方、受取人を検知できた場合には荷物を搬出する)。これにより、受取人側の理由で受取制限時間が経過するまでに荷物が受け取られない場合であっても、荷物が受取制限時間経過後も長時間放置されることを確実に防止することができる。なお、集合住宅専用UGVに保冷機能等が備えられる場合、集合住宅専用UGVは受取制限時間経過後も荷物を保管してもよいので、UGV1(または管理サーバ2)から集合住宅専用UGVへ受取制限時間を示す情報が送信されなくともよく、集合住宅専用UGVは発送拠点へ移動して荷物を回収させなくともよい。
【0060】
(変形例3)
上記実施形態において、管理サーバ2(環境情報取得部232)は、受取制限時間の決定から所定時間(例えば、数十分)が経過した場合に、運搬先を含むエリアの環境情報を再度取得してもよい。この場合、管理サーバ2(判定部)は、運搬先における環境情報の変化に基づいて、当該受取制限時間を更新するかを判定する。これにより、時間経過に伴う環境の変化に応じて適切に受取制限時間を更新することが可能となる。ここで、再度取得される環境情報は、荷物の運搬先に設置されたセンサのセンシングにより得られてもよいし、荷物を運搬先に運搬したUGV1またはUGV1とは別のUGVのセンシングにより得られてもよい。例えば、受取制限時間の決定前に取得された環境情報と、当該受取制限時間の決定後に取得された環境情報との間の変化が閾値以上である場合(つまり、環境の変化が大きい場合)、当該受取制限時間を更新すると判定される。或いは、再度取得される環境情報は、荷物が置かれた運搬先周辺の環境情報(例えば運搬先の市内の気温など)であって所定のサーバから提供されてもよい。例えば、受取制限時間の決定前に取得された環境情報と、当該サーバから取得された環境情報とが比較されることで、所定時間後の運搬先における環境情報が推定される。そして、受取制限時間の決定前に取得された環境情報と、推定された環境情報との間の変化が閾値以上である場合(つまり、環境の変化が大きい場合)、受取制限時間を更新すると判定される。管理サーバ2は、受取制限時間を更新すると判定した場合、既に決定された受取制限時間(例えば、図9のステップS11で決定された受取制限時間)を更新する。これにより、管理サーバ2は、更新された受取制限時間を含むメッセージを電子メールに設定し、当該受取制限時間を含むメッセージを示す電子メールを荷物の受取人のメールアドレス宛に再送信するとよい。また、上記変形例1において、更新された受取制限時間が受取確認用タイマに再設定されてカウントが再開されてるとよい。
【0061】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明における受取制限時間を決定する決定部、受取制限時間を通知する通知部、及び応答メッセージを受信する受信部は、管理サーバ2に備えられる例を示したが、これらの構成部分のうちの一部の構成は管理サーバ2以外の装置(UGV1)等に備えられてもよい。また、上記実施形態においては、無人で自律的に移動可能なUGVを例にとって説明したが、本実施形態は人が運転する車両等の移動体に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 UGV
2 管理サーバ
11 駆動部
12 測位部
13 通信部
14 撮像部
15 センサ部
16 記憶部
17 制御部
101 車輪
102 収納部
103,104 搬出機構
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 荷物情報取得部
232 環境情報取得部
233 受取制限時間決定部
234 受取制限時間通知部
235 応答受信部
236 移動体制御部
NW 通信ネットワーク
S 運搬システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9