(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】時計構成要素を製作するための方法および前記方法に従って製造された構成要素
(51)【国際特許分類】
G04B 15/14 20060101AFI20220727BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G04B15/14 A
G04B15/14 B
C25D1/00 381
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020203200
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599040492
【氏名又は名称】ニヴァロックス-ファー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・キュザン
(72)【発明者】
【氏名】アレクス・ガンデルマン
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ミュジー
(72)【発明者】
【氏名】クラール・ゴルフィエ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176090(JP,A)
【文献】特開2006-161138(JP,A)
【文献】特開2006-297717(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3266905(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014010116(DE,A1)
【文献】国際公開第2013/182615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04D 1/00 - 99/00
C25D 1/00 - 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの時計構成要素を製作するための方法であって、
a)基板(1)を提供し、第1の感光性樹脂層(3)を適用するステップと、
b)スタンプ(2)を使用して、前記第1の
感光性樹脂層(3)を形づくるために、前記
感光性樹脂層を維持するように前記基板(1)から所定の距離まで前記スタンプ(2)を押しつけることにより、前記第1の
感光性樹脂層(3)のホットスタンピングを遂行するステップと、
c)前記構成要素の少なくとも1つの水平面を画定するために、前記形づくられた第1の
感光性樹脂層(3)を
UV照射するステップと、
d)前記ステップc)から結果として得られた構造物を覆う第2の感光性樹脂層(6)を適用し、次いで、前記構成要素の第2の水平面を画定するマスクを通して前記第2の
感光性樹脂層(6)を
UV照射し、前記第1の水平面および前記第2の水平面を備える鋳型を形成するために、前記第2の感光性樹脂層(6)の
前記UV照射をしていない非照射領域を溶解するステップと、
e)前記第1の
感光性樹脂層および前記第2の
感光性樹脂層の表面上に導電層(4)を堆積させるステップと、
f)前記構成要素を形成するために、前記導電層(4)から始めて、前記鋳型内で電鋳することにより金属層(7)を堆積させるステップと、
g)前記構成要素の高さを調節するように、機械的方法により前記金属層(7)を機械加工し、前記構成要素を外すステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記ステップb)は真空下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)の間、前記第1の
感光性樹脂層を70℃~150℃の間まで加熱することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スタンプは、前記構成要素の少なくとも前記第1の層を画定するために、浮き彫りの形の刻印を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップe)の間、
すべての露光された前記表面の上で全体的に堆積させることにより前記導電層(4)を実装することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップd)の間、物理蒸着、またはインクもしくは導電性樹脂を用いた印刷により前記導電層(4)を堆積させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記導電層(4)は、Au、Ti、Pt、Ag、Cr、またはPdであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基板(1)はケイ素から作られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スタンプ(2)は、前記基板(1)に押しつけられたとき、前記スタンプ(2)を通して前記第1の
感光性樹脂層(3)を
UV照射するように、透明な材料から作られることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電層(4)は、50nm~500nmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
時計構成要素であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法により得られる時計構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LIGA技術を用いて複雑な多平面金属構造物を製作するための方法に関する。本発明はまた、本方法により得られるそのような金属構造物、詳細には時計構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の定義に対応する方法は、すでに公知である。詳細には、A. B. Frazierらによる、「Metallic Microstructures Fabricated Using Photosensitive Polyimide Electroplating molds(感光性ポリイミド電気めっき鋳型を使用して製作した金属微小構造物)」と題する、Journal of Microelectromechanical systems(vol.2、N deg. 2、1993年6月)(非特許文献1))で公開された論文は、感光性樹脂層のフォトリソグラフィにより製造されたポリイミド鋳型でガルバーニ電気成長により多平面金属構造物を製作するための方法について記述している。方法は、
-基板上に犠牲金属層、およびその後のガルバーニ電気成長ステップ用の下塗り層を作成するステップと、
-感光性ポリイミドの層を広げるステップと、
-得るべき構造物の水平面の輪郭に対応するマスクを通してポリイミドの層にUV放射を照射するステップと、
-ポリイミド鋳型を得るように、非照射部分を溶解することによりポリイミド層を現像するステップと、
-ガルバーニ電気成長により鋳型の高さまで鋳型にニッケルを満たし、実質的に平坦な上部表面を得るステップと、
-真空下での蒸着により上部表面全体の全面にわたってクロムの微細層を堆積させるステップと、
-クロムの層の上に新しい感光性樹脂層を堆積させるステップと、
-得るべき構造物による水平面の輪郭に対応する新しいマスクを通して樹脂層を照射するステップと、
-新しい鋳型を得るように、ポリイミド層を現像するステップと、
-ガルバーニ電気成長により新しい鋳型の高さまで新しい鋳型にニッケルを満たすステップと、
-犠牲層および基板から多層構造物およびポリイミド鋳型を分離するステップと、
-ポリイミド鋳型から多層構造物を分離するステップと
を備える。
【0003】
たった今記述した方法は、原理的には3つ以上の層を有する金属構造物を得るために反復して実装することができることが理解されよう。
【0004】
特許文書の国際公開第2010/020515(A1)号(特許文献1)は、得るべき最終的部分に対応する完全なフォトレジスト鋳型を、鋳型内の部分の金属をガルバーニ電気堆積させるステップの前に製造することにより、複数の層を伴う部分を製作することについて記述している。水平面の突出部が互いに内側に含まれる多平面部分だけを本方法により製造することができる。
【0005】
同様に、フォトレジスト鋳型は、滑らかな垂直側面だけを備える基板内に形成された少なくとも2つの水平面を備える、特許文書の欧州特許出願公開第2405301(A1)号明細書(特許文献2)から公知である。
【0006】
これらの方法は、円筒形の基本幾何形状を伴う部分だけを製作可能にし、ベベルまたは面取りした面などの複雑な幾何形状を備える部品を製作することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2010/020515(A1)号
【文献】欧州特許出願公開第2405301(A1)号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】A. B. Frazierら、「Metallic Microstructures Fabricated Using Photosensitive Polyimide Electroplating molds(感光性ポリイミド電気めっき鋳型を使用して製作した金属微小構造物)」、Journal of Microelectromechanical systems、vol.2、N deg. 2、1993年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、多平面構成要素の場合に、信頼できるガルバーニ電気成長を可能にするために、導電層が水平面ごとに樹脂層に関連づけられるLIGA技術とホット・スタンピング・ステップを組み合わせることにより、多平面金属時計構成要素の製作を可能にする方法を提供することにより、上述の欠点だけではなく他の欠点も克服することを目指す。
【0010】
本発明はまた、LIGA技術を使用して、通常は実行不可能な複雑な幾何形状を有する時計部分の製作を可能にすることを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この趣旨で、本発明は、
a)基板を提供し、第1の感光性樹脂層を適用するステップと、
b)第1の樹脂層を形づくって、時計構成要素の第1の水平面を画定するために、樹脂層を維持するように基板から所定の距離までスタンプを押しつけることにより、スタンプを使用して第1の樹脂層のホットスタンピングを遂行するステップと、
c)構成要素の少なくとも第1の水平面を画定するために、形づくられた第1の樹脂層を照射するステップと、
d)ステップc)から結果として得られる構造物を覆う第2の感光性樹脂層を適用し、次いで、構成要素の第2の水平面を画定するマスクを通して第2の樹脂層を照射し、第1の水平面および第2の水平面を備える鋳型を形成するために、第2の感光性樹脂層の非照射領域を溶解するステップと、
e)第1の樹脂層および第2の樹脂層の表面上に導電層を堆積させるステップと、
f)構成要素を形成するために、導電層から始めて、鋳型内で電鋳することにより金属層を堆積させるステップと、
g)構成要素を外すために、基板、樹脂層、および導電層を連続的に取り除くステップと
を備える、少なくとも1つの時計構成要素を製作するための方法に関する。
【0012】
したがって、この方法は、単一ウエハ上で多平面部分の製造を可能にする。
【0013】
以下は、本発明の他の有利な変形形態による。
-ステップb)を真空下で行う。
-ステップb)の間、第1の樹脂層を70℃~150℃の間まで加熱する。
-スタンプは、構成要素の前記少なくとも第1の水平面を画定する浮き彫りの形の刻印を有する。
-露光表面すべての上で全体的に堆積させることにより導電層を実装する。
-物理蒸着、またはインクもしくは導電性樹脂を用いる印刷により導電層を堆積させる。
-前記導電層は、Au、Ti、Pt、Ag、Cr、もしくはPd、またはこれらの材料の少なくとも2つの積層である。
-基板はケイ素である。
-スタンプは、基板に押しつけられたとき、スタンプを通して第1の樹脂層を照射するように、透明な材料から作られる。
-導電層は、50nm~500nmの間の厚さを有する。
【0014】
最後に、本発明は、たとえばアンクルまたは脱進機歯車などの、本発明による方法により得られる時計構成要素に関する。
【0015】
したがって、本発明の方法には、計時器用構成要素を製造するための特に有利な用途があることが理解される。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、本発明による方法の代表的実施形態についての、以下の詳細な記述からより明確に明らかになり、この例は、添付図面と組み合わせて純粋に例示として示され、限定しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図2】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図3】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図4】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図5】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図6】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図7】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【
図8】時計構成要素の製造を考慮して、本発明のある実施形態による方法ステップを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による方法のステップa)で使用する基板1は、たとえばケイ素基板により形成される。方法の第1のステップa)の間、感光性樹脂層を基板上に堆積させる。本方法で使用する感光性樹脂3は、好ましくはUV放射の作用を受けて重合するように設計された、基準SU-8という名で利用可能な八官能基(octofunctional)エポキシ系ネガ型樹脂である。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、樹脂は乾燥膜の形をとり、したがって、基板1上で積層により適用される。
【0020】
代わりに、感光性樹脂は、UV放射の作用を受けて分解するように設計されたポジ型フォトレジストとすることができる。本発明は、どんな特定のタイプの感光性樹脂にも限定されないことを理解されよう。当業者は、UVフォトリソグラフィに適した公知の樹脂すべてから自分の必要性に適した感光性樹脂を選ぶことを知っている。
【0021】
任意の適合した手段により、遠心コーティング、スピニング加工、またはさらには所望の厚さまで噴霧することにより、基板1上に第1の樹脂層3を堆積させる。典型的には、樹脂の厚さは、10μm~1000μmの間、好ましくは50μm~300μmの間である。所望の厚さおよび使用する堆積技法に応じて、樹脂層3を1つまたは2つのステップで堆積させる。
【0022】
次いで、溶剤を取り除くために(プリ・ベーク・ステップ)、堆積した厚さに応じて、ある継続期間、90℃~120℃の間まで第1の樹脂層3を加熱する。この加熱により、樹脂を乾燥させ、硬化させる。
【0023】
図2に例示する次のステップb)は、時計構成要素の第1の水平面を形づくり、画定するために、第1の樹脂層3のホットスタンピングを遂行するステップからなる。最初に、樹脂を押しつけるスタンプ2を使用して樹脂を押し固めることにより樹脂の成形を可能にするために、樹脂が粘性になる70℃~150℃の間の温度まで樹脂を加熱する。このステップは、樹脂層3を押しつける間に気泡の形成を回避するために、真空下で遂行される。本発明によれば、基板1上で樹脂の層を維持するように、基板1から所定の距離までスタンプ2を押しつける。
【0024】
有利には、スタンプ2は、高さに変動がある可能性のある浮き彫りの形の刻印を有し、したがって、構成要素の少なくとも第1の水平面が画定可能になり、したがって、前記少なくとも第1の水平面は、従来のLIGA法により得ることのできない複雑な3次元幾何形状を有する。
【0025】
また、得るべき完全な幾何形状の構成要素を製造するために、スタンプを用いて2つ以上の層を形成することを考慮することができる。
【0026】
図3に例示する次のステップc)は、形成すべき構成要素の第1の水平面を画定し、したがって、単一の光重合領域3aを形成するために、第1の樹脂層3にUV放射を照射するステップからなる。
【0027】
有利な実施形態によれば、スタンプ2は、ホウケイ酸ガラスなどの透明な材料から作られる。透明な材料から作られるそのようなスタンプ2は、樹脂層と接触して基板1に押しつけられたとき、スタンプ2を通して直接第1の樹脂層3を照射することを可能にし、樹脂層の照射は、高温または周囲温度で遂行することができる。
【0028】
UV放射により誘発される光重合を完了するために、第1の樹脂層3の焼きなましステップ(ポスト・ベーク・ステップ)が必要であることがある。好ましくは90℃~95℃の間でこの焼きなましステップを行う。光重合領域3aは、大多数の溶剤の影響を受けないようになる。対照的に、その後、光重合領域を溶剤により溶解することができる。
【0029】
図4に例示する次のステップd)は、先行するステップc)から得られる構造物を覆う第2の感光性樹脂層6を堆積させるステップからなる。このステップの間、同じ樹脂を使用し、厚さは、ステップa)の間に堆積した厚さよりも大きくすることができる。一般に、厚さは、得ることが望ましい構成要素の幾何形状に応じて変動する。
【0030】
次のステップは、構成要素の第2の水平面を画定するマスクを通して第2の樹脂層6を照射するステップ、および第2の感光性樹脂層6の非照射領域を溶解するステップからなる。このステップの終わりに(
図4)、光重合領域3aおよび6aにより形成された第1の水平面および第2の水平面を備える鋳型を得る。
【0031】
PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)などの適切な溶剤を使用して、非光重合領域の溶解を遂行する。したがって、ステップdの終わりに、構成要素の第1の水平面および第2の水平面を画定する光重合感光性樹脂3a、6aから作られた鋳型を得る。
【0032】
ステップe)は、たとえば物理蒸着(physical vapour deposition、PVD)により導電層4を、換言すればガルバーニ電気手段により金属堆積を開始することができる層を堆積させるステップからなる。典型的には、導電層4は、Au、Ti、Pt、Ag、Cr、もしくはPd、またはこれらの材料の少なくとも2つの積層であり、50nm~500nmの間の厚さを有する。たとえば、導電層4は、金または銅の層で覆われたクロムまたはチタニウムの副層から形成することができる。本発明によれば、側面を含む露光表面すべての上に全体的に堆積させることにより導電層4を実装する。
【0033】
当業者は同様に、導電層4を堆積させるために3D印刷を実装するステップを考慮することができる。
【0034】
図7に例示する次のステップf)は、形成された鋳型内で、電鋳またはガルバーニ電気堆積により、導電層4から始めて、所望の厚さが得られるまで金属の層7を堆積させるステップからなる。薄い厚さを必要とする場合、成長は比較的短時間であり、それにより、中空の構成要素を得ることができるようになる。
【0035】
この文脈での金属はまた、当然のことながら金属合金を含むものとする。典型的には、金属は、ニッケル、銅、金、または銀、および合金として金-銅、ニッケル-コバルト、ニッケル-鉄、ニッケル-リン、またはニッケル-タングステンを備える組から選ばれる。一般に、多層金属構造物は、もっぱら同じ合金または金属から作られる。しかしながら、異なる性質の少なくとも2つの層を有する金属構造物を得るように、ガルバーニ電気堆積ステップの間に金属または合金を変えることもまた可能である。
【0036】
電鋳条件、詳細には、溶液の組成、システムの幾何形状、電圧および電流密度は、電鋳分野の周知の技術によれば、電着させるべき金属および合金ごとに選ばれる。
【0037】
ステップg)は、構成要素の高さを調節するように、および必要な場合には異なる部分を分離するように、機械的方法により金属層7を機械加工するステップからなる(ガルバーニ電気成長は、至る所で始まるので、同じ支持物の上に位置する部分すべては、互いに接続されている)。
【0038】
最後のステップは、当業者になじみの動作である、連続したウェットエッチングまたはドライエッチングのステップを用いて基板、導電層、または樹脂層を取り除くことにより構成要素を外すステップからなる。たとえば、ウェットエッチングを用いて導電層2および基板1を取り除き、それにより、構成要素を損傷することなく、基板1から構成要素を外すことができるようになる。詳細には、水酸化カリウム溶液(potassium hydroxide solution、KOH)を使用して、ケイ素から作られた基板をエッチングすることができる。
【0039】
この第1のシーケンスの終わりに、樹脂の中に捕らえられた構成要素を得る。第2のシーケンスは、O2プラズマエッチングにより、中間金属層のウェットエッチングを用いて散在した、樹脂の第1の層3および第2の層6を取り除くステップからなる。
【0040】
このステップの終わりに、機械加工または美的仕上げを行うために、得られた構成要素を洗浄して、場合によっては工作機械に搭載することができる。この段階で、部分は、直接使用することができる、またはさらにまた、さまざまな装飾的および/もしくは実用的な処置、典型的には物理的堆積または化学的堆積を受けることができる。
【0041】
本発明の方法には、詳細には、ばね、アンクル、輪、アップリケなどのような、計時器用構成要素の製作に特に有利な用途がある。この方法によって、非常に多様な形状の、従来のフォトリソグラフィ動作によって得られる幾何形状よりも複雑な幾何形状を有する構成要素を製造することが可能である。そのような方法はまた、比較的軽く堅牢な、幾何形状に関して良好な信頼性を有する「シェル」に似た構成要素を得ることを可能にする。
【符号の説明】
【0042】
1 基板
2 スタンプ
3 第1の感光性樹脂層
3a 光重合感光性領域
4 導電層
6 第2の感光性樹脂層
6a 光重合感光性領域
7 金属層