(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】洗浄機器及び洗浄水の吐出方法
(51)【国際特許分類】
D06F 37/12 20060101AFI20220727BHJP
D06F 37/26 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
D06F37/12 H
D06F37/12 Z
D06F37/12 A
D06F37/12 J
D06F37/26
(21)【出願番号】P 2020536550
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2018113973
(87)【国際公開番号】W WO2019128470
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】201711476395.2
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】呉迪
(72)【発明者】
【氏名】▲ハォ▼興慧
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106868774(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0036776(US,A1)
【文献】特開2013-141508(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105714514(CN,A)
【文献】特開平06-182088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/12
D06F 37/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄時に内部に水が蓄えられ、槽壁の上部に吐水口が設けられ
、集水部に対し回転可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽の前記槽壁に設けられて前記吐水口と連通する吐水案内部材
と、
前記洗浄槽の下部に装着されて前記洗浄槽から排出された水を収集する集水部と、を含み、
前記洗浄槽内の水が上部の前記吐水口から振り出されて前記吐水案内部材の内部に進入すると、
前記吐水案内部材は下方に水を案内して排出し
、
前記集水部は、底壁及び側壁を含む槽体構造をなしており、前記底壁が槽底であり、前記側壁が周壁であり、
前記集水部はダンパーを介して前記洗浄機器の筐体に接続され、
前記槽底に環状の凹溝が設けられており、前記吐水案内部材の下端が前記凹溝内まで延伸しており、前記凹溝の最も低い箇所に排水口が設けられていることを特徴とする洗浄機器。
【請求項2】
更に、止水部を含み、前記止水部は前記吐水口の上方に設けられて水の上昇を堰き止めることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機器。
【請求項3】
前記止水部は、バランスリングの下縁により構成されるか、或いは、前記洗浄槽の上部の開口の径が内側に縮小するよう変化した構造により構成されるか、或いは、前記洗浄槽の内壁に装着された環状の突出リブにより構成されることを特徴とする請求項2に記載の洗浄機器。
【請求項4】
前記吐水案内部材には上から下に向かう導水室が設けられており、上部が前記吐水口と連通しており、前記導水室の径方向の幅は上から下に向かって徐々に拡大していることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機器。
【請求項5】
前記吐水案内部材には上から下に向かう導水室が設けられており、上部が前記吐水口と連通しており、前記導水室における前記洗浄槽から離間する側の側壁は、上から下に向かって徐々に前記洗浄槽から離間する方向へ傾斜して設けられて
いることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項6】
前記吐水案内部材は外側ハウジングを含み、前記外側ハウジングは、前記吐水口に対応する位置において前記洗浄槽の前記槽壁の外側に装着されており、前記洗浄槽の前記槽壁との間に一定の隙間を有することで下方に水を案内する導水室を形成しており、前記洗浄槽の前記槽壁の前記吐水口は前記導水室の給水口を構成しており、前記導水室の下部には排水口が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項7】
前記吐水案内部材はハウジングを含み、前記ハウジングは前記洗浄槽の前記槽壁の外側に装着され、前記ハウジング内には下方へ水を案内する導水室が設けられており、前記ハウジングのうち前記洗浄槽と隣接する側には前記吐水口に対応して給水口が設けられており、前記導水室は、前記給水口を通じて前記吐水口と連通しており、且つ下部に排水口が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項8】
前記洗浄槽は内外2層の前記槽壁を有し、2層の前記槽壁は上端が密封されており、且つ下端に開口を有しており、内層の前記槽壁の上部には吐水口が備わっており、2層の前記槽壁の隙間が前記吐水案内部材の導水室を構成していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項9】
前記吐水案内部材は、前記洗浄槽の前記槽壁を折り曲げプレスすることで製造した中空の導水室を含み、前記導水室における前記洗浄槽に対応する側の上部には給水口が設けられており、下部には排水口が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項10】
前記吐水口の向きは、前記洗浄槽の径方向に沿って設けられることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項11】
前記洗浄槽の前記吐水口の下方の前記槽壁及び/又は槽底には開閉可能な吐水機構が設けられており、前記吐水機構は洗浄過程において封止状態となることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項12】
前記洗浄槽の前記吐水口の下方の前記槽壁と槽底はいずれも密封状に設けられることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項13】
前記洗浄槽の前記槽壁の内表面は、下から上に向かって徐々に前記洗浄槽の中心軸から離間する方向に傾斜して設けられ
ていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機器。
【請求項14】
前記吐水案内部材の上部は前記吐水口と直接連通しており、下部は前記洗浄槽の底が位置する水平面よりも低くまで延伸しており
、前記吐水案内部材の下部の排水口からの排水方向は、下向きとするか、或いは、前記洗浄槽の中心軸から離間する方向に斜め下向きとすることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機器。
【請求項15】
前記吐水案内部材の内部には、前記吐水口から径方向に振り出される水の方向を転換して下方へと案内する方向転換導水構造が設けられており
、前記方向転換導水構造は、前記吐水口に対応して設けられる下方傾斜面又は円弧状面を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の洗浄機器。
【請求項16】
前記側壁は、前記洗浄槽が回転して排水する際に前記集水槽内に進入した水が溢れ出さないとの最低高さを満た
すことを特徴とする請求項
1に記載の洗浄機器。
【請求項17】
前記吐水案内部材は少なくとも2つとし、各々が独立して前記洗浄槽の周方向に沿って前記槽壁上に均一に分布していることを特徴とする請求項1に記載の洗浄機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄の分野に属し、具体的には、洗浄機器及び洗浄水の吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来の全自動パルセータ洗濯機は、内槽、外槽、ダンパー及び動力システムから構成される。洗濯時及び脱水時には、内槽が外槽に対し回転することで衣類と洗浄水の間に作用が生じ、衣類を洗浄又は脱水するとの目的が達せられる。外槽は内槽の外部に装着されて内槽を支持する。また、外槽は貯水槽となる。内槽の側壁には排水孔が均一に配置されており、内槽と外槽を連通させている。洗濯過程では衣類が内槽内に投入され、2つの槽の水位が同様の高さとなるが、外槽は衣類と接触しない。従来の洗濯機の外槽は内槽よりも体積が大きいため、内槽と外槽の間に洗浄水が大量に残留し、これらの槽の間の洗浄液を十分に活用することができない。これにより、洗濯時の水の使用量が増加するとともに、洗浄時の洗浄液の濃度が低下するほか、洗濯機全体の体積も過度に大きくなってしまう。また、使用から一定の期間が経過すると、外槽の内壁と内槽の外壁に汚れが付着し、ひいてはカビが発生する結果、洗濯物が汚染される。且つ、槽壁はクリーニングすることが難しい。
【0003】
こうした状況に対し、改良を行っているメーカーもある。水資源の節約のために、多くの洗濯機が孔の無い内槽を採用し、内槽と外槽を分離することで、外槽に水を存在させることなく内槽のみに貯水するようにしている。また、内槽の側壁における上端寄りに排水孔を開設している。この場合、洗濯機の脱水時に、水は遠心力の働きで内槽の内壁へと振り出され、内槽の内壁に沿って上方へ移動したあと、内槽上端の排水孔から排出される。これにより、洗濯機の節水効果が向上するとともに、洗剤の使用量も節約される。
【0004】
しかし、上記の方案には次のような課題がある。即ち、洗濯機は脱水時に高速回転するため、衣類中の水は内槽側壁の排水孔から振り出されると、そのまま外槽の側壁に衝突し、容易に四方へと飛散する。これにより、外槽の内壁には長期にわたって水が存在するため、やはり細菌が繁殖しやすく、環境への配慮には弱い。
【0005】
特許文献1は、一槽式の節水型洗濯機を開示している。当該洗濯機は、洗浄槽の槽口に集水装置が設けられ、集水装置の集水口が洗浄槽に沿って槽口を取り囲んでいる。集水装置のうち槽口部分に位置する集水室は、洗浄槽の外壁に沿って上から下に対称に配置される複数の排水管に接続されている。脱水時には、高速回転により遠心分離された水流を集水装置が収集し、下方に案内して排出する。当該構造では外槽を省略しているが、洗濯機の脱水時に洗浄水はまず集水装置に進入する。ところが、集水装置は環状構造をなしており、内部に貯まった洗浄水の下方への排水速度が異なるため、洗浄槽の高速回転時の平衡が損なわれる。また、洗浄水は集水装置に進入したあと、洗浄槽の下部から中心に集結して排出されるため、排水には不利である。このことから、遠心力の働きで集水室に集中した水を排出しにくく、洗浄水が洗浄槽の上端に集中する結果、洗浄槽の上部の重量が増大して、更に平衡が損なわれる。特に、洗浄槽に残留した水が多い場合には、大部分の洗浄水が集水室内に集中して排出されなくなるため、洗浄槽と外槽の全体の重心が高くなり、極めて大きな震動及び騒音が発生する。また、脱水モータの動作負荷も増大し、モータが破損しやすくなる。
【0006】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願第99230455.5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の瑕疵を解消し、洗浄槽の容積を相対的に拡大可能であり、且つ、脱水時に洗浄槽上方への洗浄水の集中を回避して吐水効率を向上可能な洗浄機器を提供することを解決しようとする技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想について以下に述べる。
【0010】
洗浄機器であって、洗浄時に内部に水が蓄えられ、槽壁の上部に吐水口が設けられた回転可能な洗浄槽と、洗浄槽の槽壁に設けられて吐水口と連通する吐水案内部材であって、洗浄槽内の水が上部の吐水口から振り出されて吐水案内部材の内部に進入すると、下方に水を案内して排出する吐水案内部材、を含む。
【0011】
更に、前記洗浄機器は止水部を含む。止水部は、吐水口の上方に設けられて水の上昇を堰き止める。
【0012】
更に、前記止水部は、バランスリングの下縁により構成されるか、或いは、洗浄槽上部の開口の径が内側に縮小するよう変化した構造により構成されるか、或いは、洗浄槽の内壁に装着された環状の突出リブにより構成される。
【0013】
上記の構造によれば、吐水口から外部への洗浄水の排出速度が上昇する。また、止水部が洗浄水の方向を転換して吐水口から排出するよう案内するとの役割を発揮する。
【0014】
更に、前記吐水案内部材には上から下に向かう導水室が設けられており、上部が吐水口と連通している。前記導水室の径方向の幅は上から下に向かって徐々に拡大している。
【0015】
更に、前記吐水案内部材には上から下に向かう導水室が設けられており、上部が吐水口と連通している。前記導水室における洗浄槽から離間する側の側壁は、上から下に向かって徐々に洗浄槽から離間する方向へ傾斜して設けられており、好ましくは、傾斜設置の角度を0~10°とし、より好ましくは、傾斜設置の角度を1~3°とする。上記の構造は、洗浄水の下方への排出速度にとって有利である。これによれば、遠心力の働きを受けて、洗浄水が導水室内で下方に流動することなく、ひいては逆方向に上方へ向かって吐水口付近に集中するとの事態が防止される。
【0016】
更に、前記吐水案内部材は外側ハウジングを含む。外側ハウジングは、吐水口に対応する位置において洗浄槽の槽壁の外側に装着されており、洗浄槽の槽壁との間に一定の隙間を有することで、下方に水を案内する導水室を形成している。洗浄槽の槽壁の吐水口は導水室の給水口を構成しており、導水室の下部には排水口が設けられている。
【0017】
或いは、前記吐水案内部材はハウジングを含む。ハウジングは洗浄槽の槽壁の外側に装着され、ハウジング内には下方へ水を案内する導水室が設けられている。ハウジングのうち洗浄槽と隣接する側には、吐水口に対応して給水口が設けられている。導水室は、給水口を通じて吐水口と連通しており、且つ下部に排水口が設けられている。
【0018】
また、或いは、前記洗浄槽は内外2層の槽壁を有している。2層の槽壁は上端が密封されており、下端に開口を有している。内層槽壁の上部には前記吐水口が備わっており、2層の槽壁の隙間が吐水案内部材の導水室を構成している。
【0019】
或いは、更に、前記吐水案内部材は、洗浄槽の槽壁を折り曲げプレスすることで製造した中空の導水室を含む。導水室における洗浄槽に対応する側の上部には給水口が設けられており、下部には排水口が設けられている。
【0020】
更に、前記吐水口の向きは、洗浄槽の径方向に沿って設けられる。当該構造は洗浄水の排出に有利であり、上方に向かって排出するような洗浄槽の内部構造と比較して、洗浄水の振り出し速度を更に上昇させられる。
【0021】
更に、前記洗浄槽の吐水口下方の槽壁及び/又は槽底には、開閉可能な吐水機構が設けられている。当該吐水機構は洗浄過程において封止状態となる。当該構造によれば、まず洗浄槽内の一部の水を排出してから、残りの洗濯物中の水を洗浄槽の回転時の遠心力を利用して吐水口から導出可能なため、排水及び脱水の速度が加速する。
【0022】
更に、前記洗浄槽の吐水口下方の槽壁と槽底はいずれも密封状に設けられる。
【0023】
更に、前記洗浄槽の槽壁の内表面は、下から上に向かって徐々に洗浄槽の中心軸から離間する方向に傾斜して設けられ、好ましくは、傾斜設置の角度を0~15°とし、より好ましくは、傾斜設置の角度を1~10°とする。当該構造によれば、洗浄槽内の水が槽壁に沿って上昇する際の速度が上がる。
【0024】
更に、前記吐水案内部材の上部は吐水口と直接連通しており、下部は洗浄槽の底が位置する水平面よりも低くまで延伸している。好ましくは、吐水案内部材下部の排水口からの排水方向は、下向きとするか、或いは、洗浄槽の中心軸から離間する方向に斜め下向きとする。
【0025】
上記の構造は、吐水案内部材の下部からの洗浄水の排出に有利である。これによれば、洗浄水が吐水案内部材内に集中することで洗浄槽の重心が高くなり、大きな震動や騒音が発生したり、洗浄槽を回転駆動させる際の出力負荷が増大したりとの事態を回避可能となる。
【0026】
更に、前記吐水案内部材の内部には、吐水口から径方向に振り出される水の方向を転換して下方へと案内する方向転換導水構造が設けられている。好ましくは、方向転換導水構造は、吐水口に対応して設けられる下方傾斜面又は円弧状面を少なくとも1つ有する。
【0027】
上記の構造は、洗浄水を安定的に方向転換させるとの役割を発揮可能であり、洗浄水が吐水案内部材内で跳ね返り、飛散するとの事態を防止する。これにより、吐水案内部材による下方への導水速度への影響が回避される。
【0028】
更に、洗浄槽の下部に装着されて洗浄槽から排出された水を収集する集水部を含む。洗浄槽は集水部に対し回転可能に設けられる。集水部は底壁及び集水槽を含み、吐水案内部材の下端は当該集水槽内まで延伸している。更に、集水部には、集水槽内の水を排出する排水機構が設けられている。
【0029】
更に、前記集水部は、底壁の上方に設けられて全周を取り囲む側壁を含み、底壁と側壁が集水槽を密封状に形成している。
【0030】
更に、前記側壁は、洗浄槽が回転して排水する際に集水槽内に進入した水が溢れ出さないとの最低高さを満たす。好ましくは、側壁の上端は洗浄槽の下から1/3の高さを超えず、より好ましくは、側壁の上端は洗浄槽の下から1/5の高さを超えない。
【0031】
上記の構造によれば、洗浄槽の高速回転時に上部が偏心することで発生する槽との衝突が回避されるため、洗浄槽の容積を相対的に増大させられる。
【0032】
更に、前記集水部は槽体構造をなしており、底壁が槽底であり、側壁が周壁であり、且つダンパーを介して洗浄機器の筐体に接続される。好ましくは、槽底に環状の凹溝が設けられている。吐水案内部材の下端は当該凹溝内まで延伸しており、凹溝の最も低い箇所に排水口が設けられている。
【0033】
上記の構造によれば、洗浄水を案内する際の飛散が防止されるため、集水部からの洗浄水の迅速な排出に有利である。
【0034】
或いは、前記集水槽は底壁に設けられる環状の凹溝である。
【0035】
更に、前記吐水案内部材は少なくとも2つとし、各々が独立して洗浄槽の周方向に沿って槽壁上に均一に分布している。
【0036】
本発明は、更に、吐水効率を向上させる洗浄水の吐出方法を提供する。洗浄槽の回転過程において、内部の洗浄水は洗浄槽の内壁に沿って上昇し、上部の吐水口から洗浄槽の外部に到達すると、洗浄槽上の吐水案内部材によって下方に案内されて排出される。
【0037】
本発明の洗浄機器には、パルセータ洗濯機、ドラム洗濯機、洗濯乾燥一体機、食器機等の遠心力によって洗浄水を排出する必要のあるその他の機器が含まれる。
【発明の効果】
【0038】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0039】
本発明の洗浄機器では洗浄槽をそのまま貯水槽としている。そのため、洗浄水の利用率を向上可能となり、洗浄水の使用量が減少するため、洗浄液の使用量が相対的に減少する。且つ、外槽で洗浄槽の上半分を取り囲む構造が省略されるため、洗浄槽の体積をより大きくすることが可能である。これに伴い、洗濯物の量を増加させることもでき、洗浄機器の容量を拡大するとの目的が達せられる。また、吐水案内部材は洗浄槽の内部と直接連通しており、洗浄槽の内部の水を下方へと直接案内する。これにより吐水効率が向上するため、洗浄水が洗浄槽の上端に集中することで洗浄槽の回転時の平衡に支障をきたすとの事態を回避可能である。よって、洗浄槽の回転がいっそう安定的となり、且つ、運転時の騒音が更に低下する。また、使用寿命もより長くなる。
【0040】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0041】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の洗浄機器の構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の洗浄機器の吐水原理を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明における吐水案内部材の装着構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明における吐水案内部材の装着構造を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明における吐水案内部材の装着構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明における吐水案内部材の装着構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
なお、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0044】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0045】
本発明の記載において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0046】
本発明の記載において、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0047】
図1に示すように、本発明の洗浄機器は、筐体1、回転可能な洗浄槽2、吐水案内部材5及び洗浄槽2を回転駆動させる動力装置3を含む。洗浄槽2の内部には水と洗濯物が投入される。また、槽壁の上部には吐水口8が設けられている。洗浄槽の吐水口8の下部は、洗浄過程では封止されて孔無し状態となる。或いは、前記洗浄槽の吐水口8下方の槽壁と槽底はいずれも密封状に設けられる。吐水案内部材5は洗浄槽2の槽壁に設けられ、吐水口8と連通している。洗浄槽2内の水が上部の吐水口8から振り出されて吐水案内部材5の内部に進入すると、吐水案内部材5が水を下方に案内して排出する。
【0048】
更に、前記洗浄機器は、吐水口8の上方に設けられる止水部を含む。これにより、水が上昇し続けるのを堰き止めて、吐水口から水を流出可能としている。前記止水部は、洗浄槽上部の開口内に装着されるバランスリング7の下縁により構成される(
図1参照)。或いは、止水部は、洗浄槽上部の開口の径が内側に縮小するよう変化した構造により構成されるか(
図2参照)、或いは、洗浄槽の内壁に装着された環状の突出リブにより構成される(図示しない)。
【実施例1】
【0049】
図2及び
図5に示すように、本実施例の前記吐水案内部材5には上から下に向かう導水室51が設けられており、上部が吐水口8と連通している。前記導水室51の径方向の幅は、上から下に向かって徐々に拡大している。
【実施例2】
【0050】
図2に示すように、本実施例の前記吐水案内部材5には上から下に向かう導水室51が設けられており、上部が吐水口8と連通している。前記導水室51における洗浄槽2から離間する側の側壁は、上から下に向かって徐々に洗浄槽2から離間する方向へ傾斜して設けられており、傾斜角度eが3°である。上記の構造は、洗浄水の下方への排出速度にとって有利である。これによれば、洗浄槽の遠心力の働きを受けて、洗浄水が導水室内で下方に流動することなく、ひいては逆方向に上方へ向かって吐水口付近に集中するとの事態を防止可能である。
【実施例3】
【0051】
図3に示すように、本実施例の前記吐水口8の向きは、洗浄槽2の径方向に沿って設けられている。当該構造は洗浄水の排出に有利であり、洗浄槽の回転による遠心力の働きを利用する。吐水口8の向きを径方向とすることで、上方に向かって排出するような洗浄槽の吐水構造と比較して、洗浄水の振り出し速度を更に上昇させられる。
【実施例4】
【0052】
図6に示すように、本実施例の前記吐水案内部材5は外側ハウジング52を含む。外側ハウジング52は、吐水口8に対応する位置において洗浄槽の槽壁21の外側に装着されており、洗浄槽の槽壁21との間に一定の隙間を有することで、下方に水を案内する導水室51を形成している。洗浄槽の槽壁21の吐水口8は導水室51の給水口を構成している。また、導水室51の下部には排水口53が設けられている。
【実施例5】
【0053】
図7に示すように、本実施例の前記吐水案内部材5はハウジング54を含む。ハウジング54は洗浄槽の槽壁21の外側に装着されており、ハウジング54内には、下方へ水を案内する導水室51が設けられている。ハウジング54のうち洗浄槽2と隣接する側には、吐水口に対応して給水口55が設けられている。導水室51は、給水口55を通じて吐水口8と連通しており、且つ下部に排水口53が設けられている。
【実施例6】
【0054】
図8に示すように、本実施例の前記洗浄槽2は、内層槽壁22及び外層槽壁23を含む。2層の槽壁は上端が密封されており、下端に開口24を有している。内層槽壁22の上部には前記吐水口8が備わっており、2層の槽壁の隙間が吐水案内部材の導水室51を構成している。
【実施例7】
【0055】
本実施例の前記吐水案内部材は、洗浄槽の槽壁を折り曲げプレスすることで製造した中空の導水室を含む。
図7の導水室51の構造を参照すると、導水室における洗浄槽に対応する側の上部に給水口が設けられており、下部に排水口が設けられている。
【実施例8】
【0056】
図1に示すように、本実施例の前記吐水案内部材5の上部は吐水口8と直接連通しており、下部は洗浄槽の底が位置する水平面よりも低くまで延伸している。好ましくは、吐水案内部材5下部の排水口53からの排水方向は、下向きとするか、或いは、洗浄槽2の中心軸から離間する方向に斜め下向きとする(
図2参照)。当該構造は、吐水案内部材の下部からの洗浄水の排出に有利である。これによれば、洗浄水が吐水案内部材内に集中することで洗浄槽の重心が高くなり、大きな震動や騒音が発生したり、洗浄槽を回転駆動させる際の出力負荷が増大したりとの事態を回避可能となる。
【実施例9】
【0057】
本実施例の前記吐水案内部材5の内部には、吐水口8から径方向に振り出される水の方向を転換して下方へと案内する方向転換導水構造(図示しない)が設けられている。好ましくは、方向転換導水構造は、吐水口に対応して設けられる下方傾斜面又は円弧状面を少なくとも1つ有する。
【0058】
上記の構造は、洗浄水を安定的に方向転換させるとの役割を発揮可能であり、洗浄水が吐水案内部材内で跳ね返り、飛散するとの事態を防止する。これにより、吐水案内部材による下方への導水速度への影響が回避される。
【実施例10】
【0059】
図1、
図4及び
図8に示すように、本発明の洗浄機器は、洗浄槽2の下部に装着されて洗浄槽2から排出された水を収集する集水部4を更に含む。洗浄槽2は集水部4に対し回転可能に設けられ、集水部4は洗浄槽2を支持する。且つ、集水部4はダンパーを介して動作可能に筐体1に接続される。洗浄又は脱水時に洗浄槽2と集水部4には震動が発生するが、当該震動はダンパーによって吸収される。集水部4は底壁41及び集水槽42を含み、吐水案内部材5の下端が当該集水槽42内まで延伸している。更に、集水部4には、集水槽42内の水を排出する排水機構6が設けられている。
【実施例11】
【0060】
図1に示すように、本実施例の前記底壁41には側壁43が設けられている。前記側壁43は洗浄槽2の底部を取り囲むように洗浄槽2に向かって延伸し、集水槽42を規定している。集水槽42は洗浄水の収集に用いられる。また、集水槽42の底部には排水機構6が設けられている。前記洗浄槽2の外側には少なくとも2つの吐水案内部材5が設けられており、吐水案内部材5は、それぞれ独立して洗浄槽2の周方向に沿って槽壁上に均一に分布している。前記吐水案内部材5は縦向きに設置されており、下端が洗浄槽2の槽壁に沿って洗浄槽2の底部まで下向きに延伸している。且つ、当該端には排水口53が設けられており、前記排水口53が集水槽42内に位置している。排水口53から流出した水は集水槽42内に落下して、排水機構6から筐体1の外部へと排出される。
【実施例12】
【0061】
本実施例の前記側壁43は、洗浄槽2が回転して排水する際に集水槽42内に進入した水が溢れ出さないとの最低高さを満たす。好ましくは、側壁43の上端は洗浄槽2の下から1/3の高さを超えず、より好ましくは、側壁43の上端は洗浄槽の下から1/5の高さを超えない。
【0062】
上記の構造によれば、洗浄槽の高速回転時に上部が偏心することで発生する槽との衝突が回避されるため、洗浄槽の容積を相対的に増大させられる。
【実施例13】
【0063】
図4及び
図8に示すように、本実施例の前記集水部4は槽体構造をなしており、底壁41が槽底、側壁43が周壁となっている。また、前記集水部4はダンパー9を介して洗浄機器の筐体1に接続されている。好ましくは、槽底に環状の凹溝(図示しない)が設けられており、吐水案内部材の下端が当該凹溝内まで延伸している。また、凹溝の最も低い箇所に排水口が設けられている。上記の構造によれば、洗浄水を案内する際の飛散が防止されるため、集水部からの洗浄水の迅速な排出に有利である。
【実施例14】
【0064】
図2及び
図5に示すように、本実施例では、洗浄槽内の水が槽壁に沿って上昇する際の速度を上げられるよう、洗浄槽の槽壁21の内表面を下から上に向かって徐々に洗浄槽2の中心軸から離間する方向に傾斜させて設けている。好ましくは、傾斜設置の角度を3~10°とし、より好ましくは、傾斜設置の角度を5°とする。
【実施例15】
【0065】
図1に示すように、本実施例における前記洗浄槽の吐水口下方の槽壁及び/又は槽底には、開閉可能な吐水機構が設けられている。当該吐水機構は、洗浄過程において封止状態となる。当該構造によれば、まず洗浄槽内の一部の水を排出してから、残りの洗濯物中の水を洗浄槽の回転時の遠心力を利用して吐水口から導出可能なため、排水及び脱水の速度が加速する。
【0066】
具体的には、前記洗浄槽2の底部に内排水口が設けられている。当該内排水口は集水槽42内に位置している。また、集水部4には、当該内排水口の開放/閉止を制御するバルブプラグ11が装着されている。洗浄段階ではバルブプラグ11が閉止状態となり、脱水段階ではバルブプラグ11が開放状態となる。バルブプラグ11が開放されると、洗浄槽2内の洗浄水が内排水口から排出されて集水槽42内に流れ込み、排水機構6によって洗浄機器の外部へと排出される。
【0067】
更に、前記底壁41にはロック機構10が設けられている。前記ロック機構10は洗浄槽2の底部に位置し、洗浄槽2と係合することで洗浄槽2の回転を規制する。前記ロック機構10は、洗浄槽2をロックすることで洗浄槽2の回転を防止可能である。洗浄段階において、ロック機構10は洗浄槽2が回転不可能となるようロックする。また、脱水段階において、ロック機構10は洗浄槽2が回転可能となるようロックを解除する。
【実施例16】
【0068】
本発明の洗浄機器には、パルセータ洗濯機、ドラム洗濯機、洗濯乾燥一体機、食器機等の遠心力によって洗浄水を排出する必要のあるその他の機器が含まれる。なお、ドラム洗濯機の洗浄槽は水平又は斜めに設置されるため、吐水口が位置する上部とは、槽底に対する相対的な位置である。
【0069】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に限定するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられるあらゆる簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
【符号の説明】
【0070】
1 筐体
2 洗浄槽
21 槽壁
22 内層槽壁
23 外層槽壁
24 開口
3 動力装置
4 集水部
41 底壁
42 集水槽
43 側壁
5 吐水案内部材
51 導水室
52 外側ハウジング
53 排水口
54 ハウジング
55 給水口
6 排水機構
7 バランスリング
8 吐水口
9 ダンパー
10 ロック機構
11 バルブプラグ