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特許7112523保持力を加えるOリングを使用するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】保持力を加えるOリングを使用するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/04 20060101AFI20220727BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
F16B21/04 K
F16B21/04 A
H01J37/08
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020565830
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2019029565
(87)【国際公開番号】W WO2019231596
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】15/991,328
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マクギリカディ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブオノドノ, ジェームズ ピー.
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-012491(JP,A)
【文献】米国特許第09562555(US,B1)
【文献】特開平07-272656(JP,A)
【文献】特開2017-162645(JP,A)
【文献】実開平06-79061(JP,U)
【文献】米国特許第10325752(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/04
H01J 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成要素を第2の構成要素に締結するための締結システムであって、
ヘッド及び本体を有するピン、
フランジと、前記ピンの前記本体が貫通するように寸法形成された中央開口と、を有するラッチ、
底部、内側側壁、及び外側側壁を有する円形凹部を有するOリングホルダであって、前記Oリングホルダは前記第2の構成要素の上方に設けられたOリングホルダ、並びに
前記円形凹部内に配置され、且つ前記ラッチの下面と接触するOリング
を備え
前記フランジは下方に向かって延びて、前記Oリングと前記Oリングホルダの外側側壁の少なくとも一部とを覆う、
締結システム。
【請求項2】
前記ピンが、前記本体に沿って配置された溝を備え、前記ラッチが4分の1回転したときに前記溝内に係止されるように、前記中央開口が寸法形成されている、請求項1に記載の締結システム。
【請求項3】
前記Oリングホルダが、前記円形凹部の前記底部から上方に延在する複数のスポークを備え、前記複数のスポークが、前記Oリングの底部表面に接触する、請求項1に記載の締結システム。
【請求項4】
前記複数のスポークがそれぞれ前記内側側壁及び前記外側側壁に取り付けられる、請求項3に記載の締結システム。
【請求項5】
前記複数のスポークがそれぞれ、前記底部から遠位の自由端を備え、前記複数のスポークのそれぞれの前記自由端が先細りしている、請求項3に記載の締結システム。
【請求項6】
前記複数のスポークがそれぞれ前記底部から遠位の自由端を備え、前記複数のスポークのそれぞれの前記自由端が平坦である、請求項3に記載の締結システム。
【請求項7】
前記複数のスポークがそれぞれ、隣接するスポークから360°/Nの角度で離間され、Nはスポークの数である、請求項3に記載の締結システム。
【請求項8】
第1の構成要素を第2の構成要素に締結するための締結システムであって、
ヘッド及び本体を有するピン、
前記ピンの前記本体が貫通するように寸法形成された中央開口を有するラッチ、
底部、内側側壁、及び外側側壁を有する円形凹部を有するOリングホルダ、並びに
前記円形凹部内に配置され、且つ前記ラッチの下側と前記Oリングホルダとの間に配置されたOリング
を備え、
前記Oリングホルダが、前記円形凹部の前記底部から上方に延在する複数のスポークを備え、前記複数のスポークが、前記Oリングの底部表面に接触する、
締結システム。
【請求項9】
前記ピンが、前記本体に沿って配置された溝を備え、前記ラッチが4分の1回転したときに前記溝内に係止されるように、前記中央開口が寸法形成されている、請求項8に記載の締結システム。
【請求項10】
前記複数のスポークがそれぞれ前記内側側壁及び前記外側側壁に取り付けられる、請求項8に記載の締結システム。
【請求項11】
前記複数のスポークがそれぞれ、前記底部から遠位の自由端を備え、前記複数のスポークのそれぞれの前記自由端が先細りしている、請求項8に記載の締結システム。
【請求項12】
前記複数のスポークがそれぞれ、前記底部から遠位の自由端を備え、前記複数のスポークのそれぞれの前記自由端が平坦である、請求項8に記載の締結システム。
【請求項13】
前記複数のスポークがそれぞれ、隣接するスポークから360°/Nの角度で離間され、Nはスポークの数である、請求項8に記載の締結システム。
【請求項14】
第1の構成要素を第2の構成要素に締結するための締結システムであって、
ヘッド及び本体を有するピン、
前記ピンの前記本体が貫通するように寸法形成された中央開口を有するラッチ、
複数の垂直スロットを有するOリングホルダ、及び
それぞれが対応する垂直スロット内に配置され、且つ前記ラッチの下側に接触する複数のOリング
を備えている締結システム。
【請求項15】
前記ピンが、前記本体に沿って配置された溝を備え、前記ラッチが4分の1回転したときに前記溝内に係止されるように、前記中央開口が寸法形成されている、請求項14に記載の締結システム。
【請求項16】
前記ラッチが前記溝内に係止されているとき、前記複数のOリングがそれぞれ圧縮される、請求項15に記載の締結システム。
【請求項17】
前記複数の垂直スロットがそれぞれ、隣接する垂直スロットから360°/Nの角度で離間され、Nは垂直スロットの数である、請求項14に記載の締結システム。
【請求項18】
イオン源と共に使用するための抽出プレートアセンブリであって、
抽出開孔及び前記抽出開孔に近接する孔を有する抽出プレート、
開口を有するブロッカ、並びに
締結システムであって、
ヘッド及び本体を有し、前記孔及び前記開口を通過するピンと、
フランジと、前記ピンの前記本体が貫通するように寸法形成された中央開口と、を有するラッチと、
Oリングホルダと
前記Oリングホルダ内に配置され、且つ前記ラッチの下面と接触するOリング
を備え
前記フランジは下方に向かって延びて、前記Oリングと前記Oリングホルダの外側側壁の少なくとも一部とを覆う、
締結システム
を備えている抽出プレートアセンブリ。
【請求項19】
前記Oリングホルダが、底部、内側側壁、及び外側側壁を有する円形凹部を備え、前記Oリングが、前記円形凹部内に配置される、請求項18に記載の抽出プレートアセンブリ。
【請求項20】
前記Oリングホルダが、前記円形凹部の前記底部から上方に延在する複数のスポークを備え、前記複数のスポークが、前記Oリングの底部表面に接触する、請求項19に記載の抽出プレートアセンブリ。
【請求項21】
前記Oリングホルダが、複数の垂直スロット、及び複数のOリングを備え、それぞれの前記複数のOリングが、対応する垂直スロット内に配置される、請求項18に記載の抽出プレートアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月29日に出願された米国特許出願第15/991,328号の優先権を主張し、その開示全体が本明細書中での参照により援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、ばね力で2つの構成要素を共に保持するための締結システム、より具体的には、金属ばね又はワッシャを使用せずに2つの構成要素を保持するための締結システムに関する。
【背景技術】
【0003】
イオン源は、所望の種のイオンを含むプラズマを生成するために使用される。次いで、こうしたイオンは、通常、抽出開孔を通して抽出され、ワークピースに向けて方向付けられる。同様に、プラズマを生成するために処理チャンバも使用されるが、ワークピースは処理チャンバ内に配置される。
【0004】
このようなイオン源及び処理チャンバは、通常、互いに締結された複数の構成要素から構成される。しかしながら、このようなイオン源及び処理チャンバが曝される温度により、これらの構成要素が熱膨張する。その結果、ファスナが、ある程度の相対運動を可能にする。これは、通常、所望のばね力を備えたばねを使用することによって達成される。
【0005】
しかしながら、新しいエッチング及び処理方法では、金属構成要素を激しく攻撃する非常に反応性の高い処理ガスが使用される。これらの金属構成要素が処理ガスによって攻撃されると、遊離した材料がイオン源又は処理チャンバの表面をコーティングする。遊離した材料は、汚染物質及び粒子としてワークピースの表面に移動することもある。
【0006】
したがって、ワークピースの汚染を引き起こさない、ばね力で2つの構成要素を保持するための締結システムがあれば有益であろう。金属ばねの使用により汚染が生じ得る任意の用途にこのようなシステムを使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
ばね力を用いて2つの構成要素を取り付けるための締結システムが開示されている。締結システムは、ばね力をもたらすためにOリングを利用し、あらゆる金属構成要素の必要性をなくす。Oリングは、複数のスポークを有するOリングホルダ内に配置され得る。圧縮されると、スポークによってOリングにおいて窪みが生じる。スポークの数、及びそのサイズ及び形状は、締結システムのばね力を決定する。別の実施形態では、垂直に配向されたOリングが利用される。締結システムは、イオン源の様々な構成要素を締結するために使用され得る。
【0008】
一実施形態によれば、第1の構成要素を第2の構成要素に締結するための締結システムが開示される。締結システムは、ヘッド及び本体を有するピン、ピンの本体が貫通するように寸法形成された中央開口を有するラッチ、底部、内側側壁、及び外側側壁を有する円形凹部を有するOリングホルダ、並びに円形凹部内に配置され、且つラッチの下側とOリングホルダとの間に配置されたOリングを備えている。特定の実施形態では、ピンは、本体に沿って配置された溝を備え、中央開口は、ラッチが4分の1回転したときに溝内に係止されるように寸法形成されている。特定の実施形態では、Oリングは、ラッチが溝内に係止されているときに圧縮される。特定の実施形態では、Oリングホルダは、円形凹部の底部から上方に延在する複数のスポークを備え、複数のスポークは、Oリングの底部表面に接触する。幾つかの実施形態では、複数のスポークは、それぞれ内側側壁及び外側側壁に取り付けられる。幾つかの実施形態では、複数のスポークは、それぞれ底部から遠位の自由端を備え、複数のスポークのそれぞれの自由端は先細りしている。他の実施形態では、自由端は平坦である。特定の実施形態では、複数のスポークは、それぞれ隣接するスポークから360°/Nの角度で離間される。Nはスポークの数である。幾つかの実施形態においては、Nは、3と8との間であり得る。
【0009】
別の実施形態によれば、第1の構成要素を第2の構成要素に締結するための締結システムが開示される。締結システムは、ヘッド及び本体を有するピンと、ピンの本体が貫通するように寸法形成された中央開口を有するラッチと、複数の垂直スロットを有するOリングホルダと、対応する垂直スロット内に配置され、且つラッチの下側に接触する複数のOリングとを備えている。特定の実施形態では、複数の垂直スロットは、それぞれ隣接する垂直スロットから360°/Nの角度で離間される。Nは垂直スロットの数である。特定の実施形態においては、Nは、3と8との間である。
【0010】
別の実施形態によれば、イオン源と共に使用するための抽出プレートアセンブリが開示される。抽出プレートアセンブリは、抽出開孔及び抽出開孔に近接する孔を有する抽出プレート、開口を有するブロッカ、並びに締結システムであって、ヘッド及び本体を有し、孔及び開口を通過するピンと、ピンの本体が貫通するように寸法形成された中央開口を有するラッチと、Oリングホルダと、Oリングホルダ内に配置され、且つラッチの下側に対して押圧されるOリングとを備えた締結システムを備えている。特定の実施形態では、Oリングホルダは、ブロッカに対して配置される。特定の実施形態では、Oリングホルダは、底部、内側側壁、及び外側側壁を有する円形凹部を備え、Oリングは、円形凹部内に配置される。特定のさらなる実施形態では、Oリングホルダは、円形凹部の底部から上方に延在する複数のスポークを備え、複数のスポークは、Oリングの底部表面に接触する。特定の実施形態では、Oリングホルダは、複数の垂直スロット、及び複数のOリングを備え、複数のOリングは、それぞれ対応する垂直スロット内に配置される。
【0011】
本開示をより良く理解するために、添付の図面を参照する。これらの図面は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る、締結システムの図である。
図2A図1の締結システムのピン及びラッチの上面図である。
図2B】別の実施形態に係るピンを示す;
図3】一実施形態に係る、図1のOリング及びOリングホルダを示す。
図4A-4F】図1の実施形態で使用するためのOリングホルダの様々な実施形態を示す。
図5】一実施形態に従って組み立てられたピン、Oリングホルダ、及びOリングホルダを示す。
図6】第2の実施形態に係る、締結システムの図である。
図7】ラッチと共に図6の締結システムを示す。
図8図6及び図7の締結システムで使用されるOリングホルダを示す。
図9】Oリングが取り付けられた図8のOリングホルダを示す。
図10】本明細書に記載された締結システムを使用するイオン源を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、特定の実施形態では、イオン源又は処理チャンバは、熱膨張に対応するためにある程度のばね力を含む締結システムを使用して共に保持される。
【0014】
本開示では、いかなる金属構成要素も使用せずにこの目標を達成する幾つかの締結システムが説明される。これは、金属構成要素が苛性ガスに曝され得る任意の環境、又は金属構成要素の劣化を引き起こしたり、又はその作用を損なったりする他の条件において特に有益である。
【0015】
図10は、そのような一実施形態を示す。当該システムは、複数のチャンバ壁301からなるイオン源チャンバ300を含む。特定の実施形態では、これらのチャンバ壁301のうちの1つ又は複数は、誘電材料(例えば、石英)から構成され得る。RFアンテナ310は、第1誘電体壁302の外面に配置され得る。RFアンテナ310は、RF電源320によって給電され得る。RFアンテナ310に送達されたエネルギーは、イオン源チャンバ300内で放射され、ガス供給口330を介して導入された供給ガスをイオン化する。他の実施形態では、ガスは、間接加熱カソード(IHC:indirectly heated cathode)、容量結合プラズマ源、誘導結合プラズマ源、バーナス源(Bernas source)、又は任意の他のプラズマ発生器の使用を通して等、異なる方法でイオン化される。
【0016】
抽出プレート340と呼ばれるあるチャンバ壁は、抽出開孔345を含む。抽出開孔345を通して、イオンはイオン源チャンバ300を出ることができる抽出プレート340は、導電性材料(例えば、チタン、タンタル、又は他の金属)から構成され得る。抽出プレート340は、幅が300ミリメートル超であり得る。さらに、抽出開孔345は、ワークピース399の直径よりも広い場合がある。
【0017】
プラテン360は、抽出開孔345に近接するようにイオン源チャンバ300の外側に配置される。ワークピース399が、プラテン360上に配置される。
【0018】
イオン源チャンバ300内には、ブロッカ350が配置され得る。ブロッカ350は、抽出開孔345の近傍のプラズマシースに影響を与えるように使用される誘電材料であり得る。他の実施形態では、ブロッカ350は、セラミック材料などの誘電材料でコーティングされた金属であってもよい。例えば、特定の実施形態では、イオンが、ワークピース399に対して垂直でない抽出角度で抽出開孔345から出るように、ブロッカ350が配置される。特定の実施形態では、イオンは、図10に示されるように、2つの異なる抽出角度で抽出され得る。この実施形態では、第1のビームレット390及び第2のビームレット391が、ワークピース399の方へ向けられる。他の実施形態では、イオンは単一の抽出角度で抽出される。抽出開孔345に対するイオン源チャンバ300内のブロッカ350の配置は、イオンがイオン源チャンバ300から出てワークピース399に衝突する角度を規定する。本明細書に記載されたいずれかの締結システムを使用して、ブロッカ350を抽出プレート340に取り付けることができる。
【0019】
図1は、一実施形態に係る締結システム100を示す。この締結システム100は、第1の構成要素10及び第2の構成要素20を共に保持するために使用される。例えば、第1の構成要素10は、図10の抽出プレート340であってもよく、一方、第2の構成要素20は、ブロッカ350であってもよい。
【0020】
締結システム100は、第1の構成要素10及び第2の構成要素20の孔又は開口を貫通するピン110を備えている。ピン110は、エッチングに対して耐性のある高性能材料(HPM:high performance material )のアルミナや石英から作製され得る。当然ながら、他の適切な材料も使用してよい。ピン110は、本体112よりも大きいヘッド111を有し得る。それにより、ヘッド111は、第1の構成要素10の孔又は開口を通過できない。特定の実施形態では、第1の構成要素10は、ヘッド111が第1の構成要素10の凹部内に載置されるように、座ぐりされ得る。特定の実施形態では、ピン110のヘッド111は、0.5から1.0インチの直径を有する円形であり得る。ピン110の本体112の少なくとも一部は、楕円形状であってもよく、その長軸に沿って0.4から0.6インチの長さを有し、その短軸に沿って0.2から0.4インチの長さを有する。当然ながら、これらの寸法は例示的に過ぎない。他の寸法も使用することができる。
【0021】
上述したように、幾つかの実施形態では、ピン110の本体112の少なくとも一部は、図2Aに最もよく示されるように、楕円又は長円状の断面を有し得る。さらに、図1に示すように、ラッチ120の取り付けを可能にするために、本体112に溝113が配置され得る。特定の実施形態では、ピン110の本体112全体が長円状の断面を有し得る。他の実施形態では、ピン110の本体112は、ヘッド111から溝113にかけて円形断面を有してもよく、図2Bに示されるように、溝113以降の部分が長円状断面であってもよい。図2Aに示されるように、ラッチ120は、楕円状又は楕円状の開口121を有する円形であり得る。ラッチ120は、HPM、アルミナ、石英、又は任意の他の適切な材料から作製されてもよい。開口121は、本体112の断面よりもわずかに大きくなるよう寸法形成され得る。このようにして、ラッチ120がピン110の上に配置され、開口121と本体112とが同様に位置合わせされ得る。次いで、ラッチ120は、ピン110上に下降させられ得る。ラッチ120が溝113のレベルに達すると、ラッチ120が今や溝113によって保持されるように、ラッチ120を4分の1回転(すなわち、90°)回転させてもよい。
【0022】
別の実施形態では、ラッチ120は、Cクリップ形状を有する場合があり、連続的な円形Oリングの代わりにOリングの一部のみを使用する。Cクリップは、傾斜面のような先細り面を有し、それにより、最初にCクリップを容易に滑り込ませ、次にCクリップが完全に挿入されたら、ばね力を加えることを可能にする。
【0023】
図示されていないが、特定の実施形態では、ピン110の本体112は、円形の断面を有し得る。本実施形態では、ピン110は、楕円状又は長円状の断面を有するヘッドを有し得る。一旦ラッチ120がピン110のヘッドを通過すると、4分の1回転して、所定の位置に固定され得る。
【0024】
特定の実施形態では、ラッチ120は、その外縁から下方に延びるフランジ122を有する。フランジ122は、後述するように、Oリング140及びOリングホルダ130の一部を覆い得る。
【0025】
Oリングホルダ130は、第2の構成要素20上に配置されてもよく、ラッチ120の下方に載置される。Oリングホルダ130は、HPM、アルミナ、石英、又は任意の他の適切な材料から作製されてもよい。図1及び図3に示すように、Oリングホルダ130は、内径及び外径を有する環状リングであってもよい。ピン110がOリングホルダ130の中心の孔を通過することを可能にするように、内径は、ピン110の本体112の長軸と少なくとも同じ大きさであってもよい。特定の実施形態では、内径は、0.4から0.6インチであり得る。他の実施形態では、Oリングホルダ130は、環状リングではない場合がある。むしろ、Oリングホルダ130は、円形の外縁を有し得るが、内縁はピン110の本体112と同じ形状を有し得る。すべての実施形態において、ピン110の本体112は、Oリングホルダ130の中心の孔を通過することが可能である。Oリングホルダ130は、Oリング140が配置される円形凹部131も有し得る。
【0026】
Oリングホルダ130には、Oリング140が配置されている。ピン110がOリング140の中央の孔を通過するように、Oリング140は配向されている。言い換えると、Oリング140は、ピン110に対して水平に配向されている。幾つかの実施形態では、Oリング140の内径は、0.6から0.8インチの間であってもよいが、外径は、0.8から1.2インチの間である。Oリング140の幅は、0.1から0.2インチの間であってもよい。当然ながら、他の寸法が使用されてもよい。特定の実施形態では、Oリング140は、パーフルオロエラストマー(perfluoroelastomer)から構成され得る。Oリング140は、Oリングホルダ130の底面及びラッチ120の上面と物理的に接触している。特定の実施形態では、Oリング140は、Oリングホルダ130とラッチ120との間で圧縮される。Oリング140は、任意の適切な材料(例えば、合成ゴム、フルオロエラストマー、又は他の種類のエラストマー)から構成されてもよい。Oリング140は、窪みに対する特定の抵抗を有しており、これは通常デュロメータによって測定される。値が高いほど、柔軟性が低いことを示す。
【0027】
図1に示すように、ラッチ120の直径は、Oリング140及びOリングホルダ130の直径よりも大きくてもよく、それにより、フランジ122が、Oリング140及びOリングホルダ130の少なくとも一部を覆い得る。特定の実施形態では、フランジ122は、第2の構成要素20の上面までずっと延在し得る。他の実施形態では、フランジ122と第2の構成要素20の上面との間に間隙が存在してもよい。
【0028】
円形凹部131は、様々な異なる断面を有し得る。例えば、図1は、円形凹部131の断面が2つの垂直側壁132及び底部133を有しているように示しており、底部133は水平であってもよい。対照的に、図3は、2つの内側に傾斜した側壁134、及び水平であり得る底部133を有する断面を示す。側壁及び底部の構成は、Oリング140のばね力に影響を与え得る。言い換えれば、図1では、Oリングの底面全体が底部133に直接配置されているので、Oリング140に対する任意の圧縮が上向きの力をもたらす。対照的に、図3に示す構成では、内側に傾斜した側壁134がOリング140を支持している。したがって、Oリング140の圧縮は、Oリング140を変形させ、Oリング140を底部133に向けて凹部131内に深く押し込み得る。これにより、この構成ではOリング140のばね力がより低くなる結果となる。これをさらに言い換えると、Oリング140が底部133に向かって変形することができる程度が、Oリング140のばね力を決定し得る。
【0029】
これを念頭に置くと、複数の異なるOリングホルダを設計することができる。図4Aから4Fは、6つの異なる実施形態を示す。各Oリングホルダ130が、水平であり得る底部133と、垂直側壁132を含み得る内側側壁及び外側側壁とを備えている。当然ながら、内側に傾斜した側壁134を代替的に使用してもよい。各Oリングホルダ130は、水平な底部133から上方に延びる少なくとも1つのスポーク135をさらに備えている。スポーク135は、Oリングホルダ130の底部133から上方への突出部である。各スポーク135は、内側側壁から外側側壁まで延在し、これら2つの側壁に取り付けられるか、又はこれら2つの側壁に成形されてもよい。スポーク135は、垂直な側壁132の上部から延在しない場合がある。水平な底部133からスポーク135の自由端の上面までの距離は、スポーク135の高さであると言ってもよい。スポークの幅とは、径方向に垂直な方向におけるスポーク135の寸法のことを言う。スポーク135は、図4Eから図4Fに示すように、先細りした自由端を有してもよく、又は図4B及び図4Dに示すように、平坦な自由端を有してもよい。先細りした自由端は、スポーク135が、その自由端よりも底部133の近くでより幅が広いことを示す。これは、自由端が鋭い端部又は緩やかな端部で終端し得る実施形態を含む。平坦な自由端は、スポーク135の自由端の厚さが、底部133の近くの厚さと同じであることを示す。さらに、スポーク135の幅が変動し得る。例えば、図4Bのスポークは、図4Cのスポークよりも薄い。さらに、スポークの数も変動し得る。例えば、図4Eは、2つのスポークを示し、図4Bから4Dは3つのスポークを示し、図4A及び4Fは4つのスポークを示す。当然ながら、任意の数のスポークを使用してもよい。Oリング140をOリングホルダ130上に平らに載置することを可能にするために、スポーク135を等間隔に離間してもよい。したがって、隣接するスポーク間の角度を360°/Nと定義してよい。ここで、Nはスポークの数である。特定の実施形態では、スポークの数は、3から8の間であり得る。
【0030】
作動中、ピン110は、第1コンポーネント10及び第2コンポーネント20の開口又は孔を貫通するように配置される。Oリングホルダ130が、ピン110の上に滑り込む。次に、Oリング140は、Oリングホルダ130上に配置され、具体的には、Oリングホルダ130のスポーク135上に載置される。これは、図5で確認することができる。次に、ラッチ120が、ピン110の上に置かれ、4分の1回転により溝113に固定される。Oリング140は、ラッチ120及びスポーク135の両方と物理的に接触しており、デフォルト状態ではわずかに圧縮され得る。特定の実施形態では、ばね力のデフォルト量は、3から9ポンドであり得るが、他の値が用いられてもよい。締結システム100が熱に曝されると、熱膨張が、第1の構成要素10及び/又は第2の構成要素20の膨張を引き起こし得る。ラッチ120とピンのヘッド111との間の距離が固定されるので、この膨張はOリング140の圧縮が受けとめる。特に、Oリング140がスポーク135内に押し込まれ、その結果、Oリング140には各スポーク135によって窪みが生じる。スポーク135の数、高さ、及び形状は、窪みを形成するために使われる力の量を決定する。先細りした自由端を有するスポーク135がより少ないOリングホルダ130は、より多くのスポークを有するOリングホルダ又は先細りしていないスポーク135を有するOリングホルダよりも結果的にばね力が低くなる。
【0031】
スポーク135の数、各スポーク135の幅及び高さ、並びにスポークが先細りの自由端を有するかどうかの決定は、Oリング140がもたらすように意図された所望のばね力に基づく、設計上の選択である。スポークの数、スポークの幅、及びスポークの深さは、ばね力に大きく影響を与え得る。
【0032】
図4Aから図4Fは、Oリングホルダ130上に配置されたスポーク135を示しているが、他の実施形態も可能である。例えば、代替的な実施形態では、スポークは、ラッチ120の下側に配置されてもよい。ラッチ120上のスポークとOリングホルダ130上のスポーク135を位置合わせさせて、Oリング140がその上面と下面において同一点に接触するようにすることができる。例えば、それぞれが3つのスポークを有すると仮定しよう。そうすると、組み立ての際には、Oリングホルダ130のスポーク135は、0°、120°及び240°の任意の角度で配置され得る。次いで、ラッチ120のスポークを0°、120°及び240°の角度に配置することもできる。
【0033】
別の実施形態では、締結システム100を組み立てるとき、Oリングホルダ130のスポーク135は、ラッチ120のスポークと位置合わせされていない。ある特定の実施形態では、ラッチ120のスポークは、Oリングホルダ130のスポーク135間に配置されるよう構成され得る。組み立ての際には、Oリングホルダ130のスポーク135は、0°、120°及び240°の任意の角度で配置され得る。次いで、ラッチ120のスポークを60°、180°及び300°の角度に配置することもできる。
【0034】
さらに別の実施形態では、Oリングホルダ130は、円形凹部131を有してもよいが、スポーク135がなくてもよい。かえって、スポークがラッチ120の下側にのみ配置されてもよい。特定の実施形態では、ラッチ120の下側がスポーク及び円形凹部を含む場合、Oリングホルダ130は利用されない場合がある。
【0035】
Oリング140は水平に配向されてもよいが、他の実施形態も可能である。図6から図9は、Oリングが垂直に配向されている締結システム200の別の実施形態を示す。Oリングを構成するために使用される材料を圧縮させる又は窪ませる能力に頼るのではなく、この実施形態では、ばね力を達成するためにOリングの円形形状を変形させる能力に頼る。
【0036】
前述の実施形態と同様に、この締結システム200は、ピン110及びラッチ120を利用して、第1の構成要素10を第2の構成要素20に固定する。
【0037】
図8及び図9で最も良く示すように、Oリングホルダ230は、内径及び外径を有する環状リングであってもよい。ピン110の本体112がOリングホルダ230の中心孔を通過することを可能にするように、内径は、ピン110の本体112の長軸と少なくとも同じ大きさであってもよい。他の実施形態では、Oリングホルダ230は、環状リングではない場合がある。むしろ、Oリングホルダ230は、円形の外縁を有し得るが、内縁はピン110の本体112と同じ形状を有し得る。すべての実施形態において、ピン110の本体112は、Oリングホルダ230の中心の孔を通過することが可能である。Oリングホルダ230は、HPM、アルミナ、石英、又は任意の他の適切な材料から作製されてもよい。前述の実施形態とは異なり、Oリングホルダ230は、図6及び図8に最もよく示されるように、複数の垂直スロット231を備えている。垂直スロット231の数は、変動してもよく、1より大きい任意の数であってもよい。垂直スロット231は、Oリングホルダ230の周囲に等間隔に配置され得る。例えば、図8及び図9は、4つの垂直スロット231を示しており、各垂直スロット231の中間点は、隣接する垂直スロットの中間点から90°離間している。概して、各垂直スロット231の中間点は、2つの隣接する垂直スロット231の中間点から360°/Nだけ離間している。ここで、Nは垂直スロット231の数である。特定の実施形態では、Nは、3と8との間である。
【0038】
図6及び図9は、複数のOリング240を示しており、それぞれ対応する垂直スロット231内に配置されている。Oリング240は、外径、内径、及び幅を有する。特定の実施形態では、外径は、0.2インチと0.3インチとの間であってもよく、内径は、0.05インチと0.150インチとの間であってもよく、幅は、0.05インチと0.1インチとの間であってもよい。当然ながら、他の寸法が使用されてもよい。垂直スロット231は、それぞれ、深さ、長さ、及び幅を有する。特定の実施形態では、深さは、0.1インチと0.3インチとの間であってもよく、長さは、0.1インチと0.3インチとの間であってもよく、幅は、0.05インチと0.1インチとの間であってもよい。当然ながら、他の寸法が使用されてもよい。垂直スロット231は、Oリングホルダ230を完全に貫通して延在しない場合があることに留意されたい。垂直スロット231の幅は、Oリング240の幅と等しいか、又はそれよりわずかに大きくてもよい。垂直スロット231の長さは、Oリング240の外形と等しいか、又はそれよりわずかに大きくてもよい。最後に、垂直スロット231の深さは、Oリング240の外径よりもわずかに小さく、その結果、Oリング240は、垂直スロット231内に配置されたとき、図9に示すように、垂直スロット231の上部から突出する。特定の実施形態では、垂直スロット231が狭ければ狭いほど、Oリング240の圧縮がより制限され、より高いばね力を引き起こす。逆に、Oリング240に対して垂直スロット231が広ければ広いほど、ばね力は小さくなる。
【0039】
図7に見られるように、ラッチ120がピン110に取り付けられていると、ラッチ120の下側がOリング240に接触し、ばね力が生じる。ばね力の量は、Oリング240の幅、Oリング240がOリングホルダ230の上方に延在する距離、Oリング表面が圧縮される領域、及びOリング240を構成するために使用される材料に関連する。上述のように、熱膨張によって生じる寸法の変化は、Oリング240内のばね力によって受けとめられ得る。さらに、ラッチ120のフランジ122は、Oリング240及びOリングホルダ230の一部又は全てを覆うように下方に延在し得る。
【0040】
したがって、図10を参照すると、抽出プレートアセンブリは、本明細書に記載された締結システムを使用して構築され得る。抽出プレートアセンブリは、抽出プレート340、ブロッカ350、及び締結システムを備えている。締結システムは、ピン110、ラッチ120、少なくとも1つのOリング、及びOリングホルダを含む。抽出プレート340は、抽出開孔、及び締結システムからのピンを収容する少なくとも1つの孔を有する。同様に、ブロッカ350は、締結システムからのピンを収容するための少なくとも1つの開口を有し得る。幾つかの実施形態では、Oリングホルダは、図3から図5のOリングホルダ130であってもよく、1つのOリングが使用され得る。他の実施形態では、Oリングホルダは、図6から図9のOリングホルダ230であってもよく、これらのOリングホルダは複数のOリング240を利用する。
【0041】
本明細書に記載されたシステム及び方法は、多くの利点を有する。まずは、金属部品を使わないということである。これにより、イオン源又は処理チャンバ内に導入される汚染物資の量が減り、さらにワークピース上に溜まる汚染物質が減る。さらに、第1の実施形態では、スポークの新規の使用法により、締結システムのばね力を特定の用途に合わせて調整することが可能になる。言い換えると、スポークの数やこれらのスポークのサイズ及び形状を選択することにより、締結システムのばね力をカスタマイズすることができる。同様に、第2の実施形態では、Oリングの数及び垂直スロットの寸法によってばね力を調整することができる。
【0042】
さらに、本明細書に記載された締結システムは、金属ばねの使用が推奨されないか又は不可能である任意の環境において用途を見いだす。
【0043】
本開示の範囲は、本明細書に記載した具体的な実施形態に限定されるものではない。実際、本明細書に記載された実施形態に加えて、本開示の他の様々な実施形態及び本開示の変形例が、上述の説明及び添付図面から当業者には明らかであろう。したがって、このような他の実施形態及び変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本明細書では、本開示が、特定の目的の特定の環境における特定の実装形態に関連して説明されたが、当業者であれば、本開示の有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識するであろう。したがって、本願の特許請求の範囲は、本明細書に記載された本開示の範囲及び精神を最大限広く見て解釈するべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8
図9
図10