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特許7112574業務管理システム、業務管理支援方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】業務管理システム、業務管理支援方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220727BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
G06Q10/06 324
G06Q10/06 328
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021137297
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2021-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年 6月22日 コニカミノルタ株式会社のホームページにて公開「https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/2021/0622-01-01.html」 令和3年 7月 1日 自治体DX支援プラットフォーム製品カタログにて公開 令和3年 7月 1日 ウェブサイト「https://govchois.net/login.faces」にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522226063
【氏名又は名称】株式会社ガバメイツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 光宏
(72)【発明者】
【氏名】塚野 俊樹
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243268(JP,A)
【文献】特開2020-126301(JP,A)
【文献】齋藤 秀平,WEEKLY NEWS,週刊BCN vol.1876 Weekly Business Computer News,日本,株式会社BCN,2021年05月31日,第1876巻,p.5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とを関連付けて記憶するための記憶手段から、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の組織の業務情報と前記第2の組織の業務情報とを並べて表示する表示用データを出力する出力手段と、
を備え、
前記業務は、複数の作業を含み、
前記業務情報は、前記複数の作業の各々の遂行に要した作業時間を含み、
前記出力手段は、前記複数の作業のうち作業時間が最も長い作業を他の作業とは異なる態様で表示する表示用データを出力する、業務管理システム。
【請求項2】
前記出力手段は、選択された組織で行なわれる業務に含まれる各作業の手順を表わすフローチャートを表示し、各前記手順のいずれかに関係する関係先が、当該手順に関連付けて表示される表示用データを出力する、請求項1に記載の業務管理システム。
【請求項3】
前記出力手段は、他の自治体から選択された組織で行なわれる業務に含まれる各作業の手順を表わすフローチャートと、各前記作業の詳細フローとを表示し、前記詳細フローにおいて最も作業時間の作業を強調表示する表示用データを出力する、請求項1に記載の業務管理システム。
【請求項4】
前記業務情報は、業務を構成する作業を示す情報、業務の実施に要するコスト情報、および、業務を構成する1以上の作業の各々に要するコスト情報のいずれかを含む、請求項1~3のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項5】
前記出力手段は、前記複数の組織のいずれかの組織の業務情報、他の組織の業務情報と、前記業務管理システムと通信可能な端末装置に並べて表示させるための表示用データを出力する、請求項1~4のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項6】
前記表示用データは、前記複数の組織の各々で実施される各業務を構成する作業ごとに、当該作業のコスト情報を並べて前記端末装置に表示させるデータを含む、請求項5に記載の業務管理システム。
【請求項7】
前記業務情報は、業務、作業、当該作業の具体的内容を示す作業手順の情報を含み、
前記出力手段は、前記端末装置からの要求に応じて、前記端末装置で指定された作業についての作業手順の情報を出力する、請求項6に記載の業務管理システム。
【請求項8】
前記業務管理システムに入力された条件を満たす業務を検索するための検索手段をさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項9】
前記並べて表示することは、
前記複数の組織のうちの業務情報の閲覧を希望する組織における業務の作業時間と、前記複数の組織のうちの他の組織における同一の業務の作業時間とを比較することと、
前記他の組織における同一の作業時間が、前記閲覧を希望する組織における業務の作業時間よりも短いことに基づいて、前記閲覧を希望する組織の業務情報と、前記他の組織の業務情報とを並べて表示することを含む、請求項1~8のいずれかに記載の業務管理システム。
【請求項10】
コンピューターによって実行される業務管理支援方法であって、
前記コンピューターのプロセッサーが、複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とから、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得するステップと、
前記プロセッサーが、前記取得された前記第1の組織の業務情報と前記第2の組織の業務情報とを並べて表示する表示用データを出力するステップと、
を備え
前記業務は、複数の作業を含み、
前記業務情報は、前記複数の作業の各々の遂行に要した作業時間を含み、
前記業務管理支援方法は、
前記プロセッサーが、前記複数の作業のうち作業時間が最も長い作業を他の作業とは異なる態様で表示す表示用データを出力するステップをさらに備える、業務管理支援方法。
【請求項11】
業務管理の支援をコンピューターに実現させるためのプログラムであって、前記プログラムは前記コンピューターに、
複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とから、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得するステップと、
前記取得された前記第1の組織の業務情報と前記第2の組織の業務情報とを並べて表示する表示データを出力するステップと、
を実行させ
前記業務は、複数の作業を含み、
前記業務情報は、前記複数の作業の各々の遂行に要した作業時間を含み、
前記プログラムは、前記コンピューターに、前記複数の作業のうち作業時間が最も長い作業を他の作業とは異なる態様で表示する表示用データを出力するステップをさらに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報の提示に関し、より特定的には、比較可能に情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
業務の効率化に関し、例えば、特開2019-185272号公報(特許文献1)は、『業務改善の前提となる業務フローチャートを企業の「業務内容」について、「問診票」から、業種および業態に応じた「業務毎」の業務フローチャートと、推定される業務上の問題点とが組み合わされた業務フローチャートを作成する』技術を開示している(段落0006)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-185272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の組織で、同様の業務を行っていることがある。例えば、自治体での業務は、条例や法令に基づいて業務が組まれるので、他の自治体と共通の業務が多いが、それらの業務手順等は、各自治体で管理され、各自治体それぞれで業務の効率化が検討されている。
【0005】
そのため、ある自治体での業務手順は、その自治体で効率化が検討されたものであっても、それで十分とは限らない。他の自治体ではより効率的な手順で行われていることがあるが、それを知ることは困難であった。したがって、業務の効率向上を支援できる技術が必要とされている。
【0006】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的の一つは、業務の効率向上を支援できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従うと業務管理システムが提供される。この業務管理システムは、複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とを関連付けて記憶するための記憶手段から、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得する取得手段と、取得手段により取得された第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを比較可能に出力する出力手段と、を備える。
【0008】
ある局面において、業務情報は、業務を構成する作業を示す情報を含む。
ある局面において、業務情報は、業務の実施に要するコスト情報を含む。
【0009】
ある局面において、業務情報は、業務を構成する1以上の作業の各々に要するコスト情報を含む。
【0010】
ある局面において、出力手段は、複数の組織のいずれかの組織の業務情報を、他の組織の業務情報と比較可能な態様で、業務管理システムと通信可能な端末装置に表示させるための表示用データを出力する。
【0011】
ある局面において、表示用データは、複数の組織の各々で実施される各業務を構成する作業ごとに、当該作業のコスト情報を比較可能な態様で端末装置に表示させるデータを含む。
【0012】
ある局面において、業務情報は、業務、作業、当該作業の具体的内容を示す作業手順の情報を含む。出力手段は、端末装置からの要求に応じて、端末装置で指定された作業についての作業手順の情報を出力する。
【0013】
ある局面において、業務管理システムは、当該業務管理システムに入力された条件を満たす業務を検索するための検索手段をさらに備える。
【0014】
ある局面において、比較可能に出力することは、複数の組織の各々の業務情報の差が予め指定された範囲を超えた組織の業務情報を他の組織の業務情報と比較可能に出力することを含む。
【0015】
他の実施の形態に従うと、業務管理を支援するためにコンピューターによって実行される業務管理支援方法が提供される。この方法は、複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とから、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得するステップと、取得された第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを比較可能に出力するステップと、を備える。
【0016】
さらに他の実施の形態に従うと、業務管理の支援をコンピューターに実現させるためのプログラムが提供される。プログラムはコンピューターに、複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とから、比較対象とすべき、第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを取得するステップと、取得された第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを比較可能に出力するステップと、を実行させる。
【0017】
ある実施の形態に従うと、同様の業務が行なわれている他の自治体における業務情報が比較可能に表示されるため、業務が効率よく行なわれている他の自治体を参考にして業務の効率を向上するための施策がとりやすくなる。
【0018】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ある実施の形態に従う業務管理システム100を使用するネットワークサービス構成の一例を表わす図である。
図2】コンピューターシステム200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
図3】自治体において使用されているシステム111,121その他のコンピューターシステム200における処理の一例を表わすフローチャートである。
図4】ある実施の形態に従う手順書ファイル400の構成の一例を概念的に表わす図である。
図5】手順書を比較するために業務管理システム100のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図6】ログイン時に表示される画面の一例を表わす図である。
図7】業務の手順書を検索する際にモニター8に表示される画面700の一例を表わす図である。
図8】業務の手順書の検索結果としてモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。
図9】特定の業務(乳幼児検診)における基本情報を表示している。
図10】一覧表示された業務の手順書からユーザーによって選択された業務の手順書の詳細を表示する一例を表わす図である。
図11】他の自治体の手順書を検索する時にモニター8に表示される画面1100の一例を表わす図である。
図12図11に示される画面への入力によって検索された結果を表わす図である。
図13】同じ業務(例、児童扶養手当)について、自治体同士を比較した状態を表わす図である。
図14】「児童扶養手当」について1件当たりの作業時間について選択された自治体同士を比較する図である。
図15】当該職員が属する自治体とは別の自治体(A県C市)における児童扶養手当の手続受付に関する基本情報を表わす図である。
図16】児童扶養手当の手続受付に関する作業手順の詳細を表わす図である。
図17】作業時間が最も短い作業が強調表示される一態様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
図1を参照して、業務管理システム100の概要について説明する。図1は、ある実施の形態に従う業務管理システム100を使用するネットワークサービス構成の一例を表わす図である。ある局面において、ネットワークサービスは、インターネット101に接続された業務管理システム100を用いて提供される。インターネット101には、自治体110で使用されているシステム111または自治体120で使用されているシステム121のように各自治体で使用されているコンピューターシステムも接続されている。
【0022】
業務管理システム100は、インターネット101を介して、複数の自治体の各々からの接続を受け付ける。例えば、図1の例示では、二つの自治体110,120がそれぞれ使用するコンピュータからの接続を受け付ける。なお、自治体110を自治体Aと表わすこともある。自治体120を自治体Bと表わすこともある。
【0023】
業務管理システム100は、業務サーバー130と、データベース140と、ファイルサーバー150とを備える。
【0024】
データベース140は、手順書データ141と、ユーザーデータ142と、自治体データ143とを保持している。データベース140は、一例として、関係データベース(Relational Data Base:RDB)の形式であるが、データベースの形式は特に限定されない。
【0025】
手順書データ141は、各自治体においてそれぞれ遂行される業務の作業手順に関するデータを含む。当該データは、各業務および作業手順の識別データと、当該業務が所定の期間(例えば、1年間、上半期、下半期など)に行なわれた件数および作業時間を含む。作業時間は、1件ごとに要した実際の時間の積算値、あるいは、当該自治体において予め規定された標準の作業時間の積算値、のいずれであってもよい。ユーザーデータ142は、業務管理システム100にアクセス可能なユーザーとして登録されたユーザー(例えば、各自治体の職員あるいは各自治体を所轄する官公庁の職員)の識別データと、パスワードとを含む。自治体データ143は、各自治体の識別データと、当該自治体において遂行される業務の識別データと、当該業務を構成する作業手順の識別データとを含む。当該作業手順のデータは、手順書データ141に含まれている。
【0026】
ファイルサーバー150は、手順書原本151と、手順書フォーマット152とを保持している。手順書原本151は、手順書の原本である。例えば、手順書が文書で記述されている場合には、当該文書のデータ(たとえば、PDFファイル)が当該手順書の原本として取り扱われる。他方、手順書がデータ形式で構成されている場合は、当該手順書のデータが原本としてファイルサーバー150に格納される。
【0027】
手順書フォーマットは、各業務について当該業務を構成する作業手順その他のデータの格納を受け付ける形式を規定している。手順書フォーマットは、ある局面において、同様の業務を遂行する複数の自治体間の比較が可能となるように、共通項目を含む。共通項目は、選択式または記入式のいずれであってもよい。
【0028】
業務サーバー130は、UI(User Interface)作成部131と、手順書データ解析部132と、手順書作成部133と、手順書検索部134と、手順書比較部135と、メンテナンス部136とを含む。
【0029】
UI作成部131は、業務管理システム100にアクセスするクライアント装置(たとえば、システム111,121)に画面を表示するためのデータを生成する。たとえば、UI作成部131は、手順書データ141および自治体データ143の各項目を手順書フォーマット152に当てはめて、選択された自治体で行なわれる業務の作業手順を表示するための画面データを生成する。
【0030】
手順書データ解析部132は、各自治体のシステム111,121からアップロードされた手順書のデータを解析し、解析した各データの項目を当該自治体の手順書データ141として格納する。
【0031】
手順書作成部133は、ある局面において、データベース140に蓄積されている手順書データ141を用いて、システム111,121に表示される手順書を作成する。例えば、手順書作成部133は、指定された自治体で遂行されるある業務を構成する1以上の作業手順の前後関係に基づいてフローチャートの形式で各作業手順を並べる。別の局面において、手順書作成部133は、各作業手順にデータを関係付け得る。関係付けられるデータは、例えば、当該自治体とは別の自治体で行なわれる同じ業務を構成する同じ作業手順の年間作業時間または1件当たりの作業時間である。このようなデータが関係づけられると、システム111,121のユーザーである職員は、当該別の自治体のデータのうち関係のあるデータを容易に確認できるので、関係付けられるデータは、業務改善の示唆となり得る。
【0032】
手順書検索部134は、システム111,121において入力された検索条件に合致する手順書を検索する。
【0033】
手順書比較部135は、指定された複数の手順書を対比するデータを生成する。ある局面において、業務管理システム100は、システム111,121に対して、検索条件に合致する2以上の自治体の各々で行なわれる業務の手順書を表示し得る。システム111,121のユーザー(職員112または職員122)は、複数の手順書から詳細を閲覧したい自治体の手順書、たとえば、当該ユーザーの自治体で行なわれる業務に要する作業時間よりも短い作業時間で業務が処理されている他の自治体の手順書を選択できる。手順書比較部135は、ユーザーが対比可能な態様で、選択された自治体の手順書を並んで表示するためのデータを生成し、生成したデータをシステム111,121に送信する。システム111,121がこのデータを受信すると、ユーザーは、複数の自治体の各々で行なわれる同じ業務を対比できる。
【0034】
メンテナンス部136は、業務管理システム100に格納されているデータを管理する。データを管理することは、データの更新、削除または追加のいずれであってもよい。例えば、メンテナンス部136は、データベース140に蓄積されているデータを更新し、あるいは、削除し得る。
【0035】
[コンピューターシステムの構成]
図2を参照して、情報処理装置の一態様であるコンピューターシステム200の構成について説明する。図2は、コンピューターシステム200のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピューターシステム200は、業務管理システム100、自治体110のシステム111,または、自治体120のシステム121として機能する。
【0036】
コンピューターシステム200は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)1と、コンピューターシステム200の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニター8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)9その他の光ディスクが装着される。
【0037】
コンピューターシステム200における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータープログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0038】
図2に示されるコンピューターシステム200を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。記録媒体は、一時的でない、コンピューター読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、コンピューターシステム200の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0039】
なお、記録媒体としては、CD-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリー等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0040】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0041】
<手順書データの登録処理>
図3を参照して、ある自治体における手順書の登録について説明する。図3は、自治体において使用されているシステム111,121その他のコンピューターシステム200における処理の一例を表わすフローチャートである。
【0042】
ステップS310にて、CPU1は、自治体の職員によるログイン入力を受け付ける。職員によって入力されるユーザーIDおよびパスワードは、認証のため、業務管理システム100のユーザーデータ142に含まれるユーザーIDおよびパスワードと照合される。認証処理が成功すると、当該職員はログインできる。そうでない場合は、予め定められた上限回数の範囲内で再入力を促して新たな入力を受け付ける。
【0043】
ステップS320にて、CPU1は、手順書のデータ入力を受け付けて、手順書ファイルを作成する。手順書ファイルの詳細は後述する。ある局面において、手順書は、自治体110において紙媒体として作成されている場合がある。この場合、自治体110の職員112は、手順書に記載の内容をシステム111に入力することになる。CPU1は、手順書ファイルに含まれる項目ごとのデータの入力を受け付ける。この場合は、入力されたデータは、予め規定された手順書ファイルのデータ形式に変換されて手順書ファイルに格納される。
【0044】
他の局面において、自治体毎に手順書をデータ形式で作成している場合がある。この場合、手順書ファイルのデータがシステム111から業務管理システム100にアップロードされてもよい。CPU1は、手順書ファイルのデータ形式が業務管理システム100において規定されたデータ形式であるか否かを確認する。CPU1は、手順書ファイルのデータ形式が業務管理システム100において規定されたデータ形式でないことを検知すると、その旨をモニター8に表示し、所定のデータ形式に適合する手順書ファイルの入力を促すメッセージをモニター8に表示する。CPU1は、手順書ファイルのデータ形式が所定のデータ形式に適合すると判断すると、制御をステップS330に移す。
【0045】
ステップS330にて、CPU1は、入力されたデータから手順書ファイルを作成して、業務管理システム100における一意の番号を付した上で手順書データ141としてデータベース140に登録する。
【0046】
ステップS340にて、CPU1は、他の自治体に公開する設定が入力されたか否かを判断する。この設定は、例えば、所定の入力画面に設けられる公開欄に対して公開を指示する入力がされたか否か(たとえば、チェックマークの入力の有無)に応じて行なわれる。ある局面において、手順書データの入力が完了していない場合、職員は非公開を希望する場合があるので、当該設定は「非公開」に設定され得る。他方、ある自治体の職員が手順書データの入力を完了し、当該手順書データが公開可能という扱いである場合には、その職員は、「非公開」に設定しない。これにより、当該手順書データは公開可能なデータとなり、業務管理システム100による検索の対象になり得る。CPU1は、当該設定が入力されていると判断すると(ステップS340にてYES)、処理を終了する。本実施例では、当該設定の状態を示す公開フラグがデフォルトでON(公開する)に設定されており、「非公開」が設定されない場合(ステップS340にてYES)は、公開フラグはONとなる。そうでない場合には(ステップS340にてNO)、CPU1は、制御をステップS350に切り替える。
【0047】
ステップS350にて、CPU1は、公開フラグをオフにし、当該手順書を非公開とする。これにより、クラウド領域(=業務管理システム100)にアップロードされた手順書のデータは、他の自治体の職員に対しては公開されなくなる。
【0048】
<手順書ファイル>
図4を参照して、手順書ファイルの構成について説明する。図4は、ある実施の形態に従う手順書ファイル400の構成の一例を概念的に表わす図である。
【0049】
手順書ファイル400は、一例として、作成日401、作成者402、団体区分405、自治体名410、業務分類415、業務名420、業務内容430、作業番号440、作業分類445、作業概要450、関係先455、作業手順460、作業時間465、発生件数470を含む。
【0050】
作成日401は、当該手順書ファイル400が作成された日を表わす。作成者402は、手順書ファイル400の作成者を表わす。
【0051】
団体区分405は、当該自治体を分類する。自治体名410は、手順書ファイル400で特定される業務を行なう自治体を表わす。業務分類415は、当該業務を分類する。例えば、業務分類415は、当該業務の属性あるいは種類を表わす。業務内容430は、当該業務の内容を表わす。
【0052】
作業番号440は、当該業務を構成する1以上の作業を特定する。業務によっては一つの作業で完結するものもあれば、複数の作業からなるものもある。作業分類445は、作業番号440で特定される作業を分類する。関係先455は、当該業務が関係する自治体の職員を表わす。関係先455は、例えば、当該業務を担当する部署の上長、当該部署とは別の部署、あるいは、外部の協力者等を含み得る。他の局面において、関係先455は、実際に当該作業に関与した職員の識別番号を含み得る。作業手順460は、当該作業を遂行する場合に行なわれる詳細を表わす。ある局面において、作業手順460は、マニュアルを含み得る。作業時間465は、当該作業を行なうのに要した時間を表わす。発生件数470は、当該作業が発生した件数(当該自治体の職員によって処理された件数)を表わす。
【0053】
図5を参照して、業務管理システム100の制御構造の一例について説明する。図5は、手順書を比較するために業務管理システム100のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。一例として、自治体A(=自治体110)の職員が手順書を比較する場合を説明する。
【0054】
ステップS510にて、業務管理システム100のCPU1は、自治体110の職員が使用するシステム111からのログイン操作を受け付ける。ログインが成功すると、ステップS520の処理が実行される。ログインが失敗すると、予め定められた上限回数までログイン操作を行なうメッセージが表示され、新たな入力を待機する。ログイン情報は、当該ユーザーが属する自治体を識別するための情報を含む。当該自治体を識別するための情報は、ログイン時にユーザーによって入力される情報、または、ログインするユーザーのアカウント情報に登録されている情報のいずれであってもよい。
【0055】
ステップS520にて、CPU1は、手順書を検索する。一例として、ある局面において、CPU1は、手順書ファイルの検索指示がユーザーによって与えられたことを検知すると(図7)、ユーザーデータ142を参照して、ログインしたユーザーが属する自治体を特定し、特定された自治体において行なわれる業務の手順書ファイルを検索する。CPU1は、その検索結果を用いて、例えばスクロール可能なリスト形式で検索結果を表示可能とする画面データを生成する。業務管理システム100が、その画面データを自治体110のシステム111に送信すると、システム111のモニター8は、その画面データを表示するので、自治体の職員は、検索結果を確認することができる。なお、業務管理システムが画面データを生成してシステム111に送信する態様に代えて、検索結果にアクセスするためのデータ(例えば、リンク)が業務管理システム100からシステム111に送信されてもよい。この場合、業務管理システム100は、システム111からのアクセスに基づいて、検索結果を表示するためのデータをシステム111に送信する。システム111のモニター8は、例えばスクロール可能なリスト形式で検索結果を表示する。
【0056】
他の局面において、CPU1は、ユーザーから手順書ファイルの検索条件が入力されたことに基づいて、当該検索条件に基づく検索を実行し、検索条件を満たす手順書ファイルを抽出し、検索結果を表示するための画面データを生成する。業務管理システム100が当該画面データをシステム111に送信すると、システム111のモニター8は、当該画面データに基づき検索結果を表示する。
【0057】
システム111のユーザーである自治体110の職員は、このようにして、自らが担当する業務の手順書を検索し、業務手順を確認して業務を遂行することができ、また、個人として業務の改善を図ることができる。また、より詳細には、ユーザーは、検索条件として、課、室、係その他の部門レベルの検索条件を追加することで、担当業務を絞り込むことができる。
【0058】
ある局面において、自治体110の職員は、年間作業時間が長い手順書を検索し、組織として業務の改善を図るための対象となる業務を特定しやすくなる。一例として、職員は、年間作業時間の最小値に例えば「1,000」(時間)を入力して検索を実施することで、年間作業時間が1,000時間を超えている業務を絞り込むことができる。なお、最小値としての1,000時間は、例示であって、業務の種類および業務を構成する各工程によって、職員は年間作業時間を任意に設定できる。
【0059】
ステップS530にて、CPU1は、手順書の詳細を、自治体110のシステム111のモニター8に表示する。より詳しくは、自治体110の職員が特定の業務を選択して、その業務の詳細(図4参照)を表示する指示をシステム111に与えると、当該指示は、当該業務の識別情報とともに、システム111から業務管理システム100に送られる。業務管理システム100のCPU1は、その指示を受信すると、当該業務の識別情報に基づいて、手順書データ141から当該業務の手順書ファイルを検索し、手順書ファイルを構成するデータから業務の詳細情報(作業番号、作業分類、作業概要、関係先、作業手順、作業時間、発生件数等)を表示するための画面データを生成し、その画面データをシステム111に送信する。システム111は、業務管理システム100から受信した画面データに基づき、当該詳細情報をモニター8に表示する。この手順書は、自身の自治体の業務手順の確認に利用できる。また、当該手順書は、比較元手順書として、他の自治体における同様の業務の手順書との比較に用いられ得る。
【0060】
なお、他の局面において、業務管理システム100が画面データを生成してシステム111に送信する態様に代えて、業務の詳細情報にアクセスするためのデータが、業務管理システム100からシステム111に送信されてもよい。この場合、システム111は、そのデータを用いて業務管理システム100で生成された詳細情報にアクセスして、モニター8にその詳細情報を表示し得る。
【0061】
ステップS540にて、CPU1は、他の自治体の業務の手順書を検索する。検索条件は、職員がこの時参照している手順書に関連付けられている情報、例えば、業務分類、または、業務分類と業務名との組合わせ、等であるが、その他の情報が用いられても良い。より詳しくは、まず、自治体110の職員が、他の自治体について業務の手順書の一覧を表示する指示をシステム111に入力すると、当該指示が業務管理システム100に送信される。業務管理システム100のCPU1は、その指示に基づき、自治体データ143を参照して、公開が許可されている業務の手順書ファイルを検索する。CPU1は、手順書ファイルの検索結果を用いて、例えば一覧形式で表示するための画面データを生成し、生成した画面データをシステム111に送信する。システム111のモニター8は、その画面データに基づいて当該他の自治体の業務の手順書を表示する。
【0062】
なお、他の局面において、業務管理システム100が画面データを生成してシステム111に送信する態様に代えて、検索された手順書にアクセスするためのデータ(たとえば、リンク)が、業務管理システム100からシステム111に送信されてもよい。この場合、システム111は、そのデータを用いて業務管理システム100で生成された手順書にアクセスして、モニター8にその手順書を表示し得る。業務管理システム100が、検索された業務の手順書ファイルのデータを自治体110のシステム111に送信すると、システム111は、公開が許可されている業務の手順書として他の自治体の手順書を、例えば一覧形式としてモニター8に表示する。
【0063】
なお、業務の種類によっては検索される手順書の数が膨大になる場合がある。そこで、ある局面において、業務管理システム100は、ログインしているユーザーの団体区分405を判別し、同じ団体区分405に属する手順書を選択し、選択された手順書を優先的にシステム111に送信し、あるいは、選択された手順書のみをシステム111に送信してもよい。
【0064】
自治体110の職員が担当する業務と同じ業務が他の自治体において行なわれている場合には、当該職員は、システム111から業務管理システム100にアクセスして当該同じ業務の手順書を検索できる。そして、年間作業時間が自治体110における業務の年間作業時間よりも短い自治体における当該同じ業務の手順書が存在する場合には、職員は、その手順書を参考にして、業務の改善を図ることができる。また、職員は、手順書を絞り込むために、検索条件として、業務分類415を追加して手順書を検索できる。
【0065】
他の局面において、職員は、所属する自治体の手順書を検索し、業務改善の水平展開を図ることができる。例えば、職員は、検索条件として自治体名410をシステム111に入力して検索することで、所属する自治体の手順書を絞り込むことができる。
【0066】
ステップS550にて、CPU1は、他の自治体の手順書を選択する。より具体的には、CPU1は、システム111から、手順書の比較指示を受信する。比較指示は、比較対象となる自治体の識別情報を含む。CPU1は、自治体データ143にアクセスして、比較対象として特定される自治体における業務の手順書ファイルを抽出し、手順書ファイルを表示するための画面データを生成する。業務管理システム100が当該画面データをシステム111に送信すると、システム111のモニター8は当該画面データに基づいて手順書を表示する。
【0067】
なお、他の局面において、業務管理システム100が画面データを生成してシステム111に送信する態様に代えて、抽出された手順書ファイルにアクセスするためのデータ(たとえば、リンク)が、業務管理システム100からシステム111に送信されてもよい。この場合、システム111は、そのデータを用いて業務管理システム100によって抽出された手順書ファイルにアクセスして、モニター8にその手順書を表示し得る。
【0068】
ステップS560にて、CPU1は、自治体110のシステム111のモニター8に手順書の比較画面を表示させる。より具体的には、業務管理システム100は、システム111から、選択された2以上の自治体の業務の識別情報と、比較指示とを受信すると、当該2以上の自治体の各業務の手順書ファイルのデータを比較可能な態様で表示するための画面データを生成し、その画面データをシステム111に送信する。システム111のモニター8は、当該画面データに基づいて、各自治体の業務の手順書ファイルを比較可能な態様で表示する。比較可能な態様は、例えば、2以上の自治体の各々について、当該業務の作業手順その他の詳細を並べて表示する態様、あるいは、各項目ごとに、作業時間その他の数値を昇順にあるいは降順に並べて表示する態様等を含み得るが、その他の態様が用いられても良い。
【0069】
なお、他の局面において、業務管理システム100が画面データを生成してシステム111に送信する態様に代えて、比較対象となる各自治体の業務の手順書ファイルにアクセスするためのデータ(たとえば、リンク)が、業務管理システム100からシステム111に送信されてもよい。この場合、システム111は、そのデータを用いて業務管理システム100によって抽出された手順書ファイルにアクセスして、モニター8に、比較可能な態様で各手順書を表示し得る。
【0070】
ある局面において、システム111は、比較元手順書と比較先手順書との比較として、作業分類445ごとの作業時間465と合計時間とをモニター8に表示し得る。他の局面において、システム111は、業務改善ポイントとして、各手順書において作業時間が最も多い作業分類445を強調表示(たとえばハッチングを付す等)し得る。他の局面において、システム111は、作業時間465の差が最大である項目にハッチングを付する機能を有し得る。さらに他の局面において、システム111は、作業時間465に関して、年間の作業時間と1件あたりの作業時間とで表示を切り替えても良い。
【0071】
また、手順書の比較では、作業時間465の他に、以下の項目が比較可能であってもよい。以下の項目は、手順書を業務管理システム100に登録する場合に、各作業毎に関連付けられて登録される。
【0072】
・性質
システム111は、コア業務の割合またはノンコア業務について、当該自治体における割合と、他の自治体における割合とを比較可能に表示する。職員は、コア業務の割合またはノンコア業務の割合を比較できる。なお、コア業務とは、公務員でないとできない業務をいう。ノンコア業務は、公務員の資格を有さなくてもできる業務をいう。
【0073】
・定型業務または非定型業務
システム111は、定型業務の割合または非定型業務の割合について、職員の自治体における当該割合と、他の自治体における当該割合とを比較できる。なお、定型業務とは、業務内容430や作業手順460が決まっている業務をいう。
【0074】
・処理媒体
システム111は、業務が遂行される処理媒体として、紙の割合または電子データの割合について、当該職員の自治体110における割合と、他の自治体における当該割合とを比較可能な態様でモニター8に表示する。
【0075】
・担当
システム111は、正規社員の業務量またはそれ以外の業務量(例えば、非正規社員の業務量や委託される業務量)について、自治体110における当該業務量と、他の自治体における業務量とを比較可能な態様でモニター8に表示する。
【0076】
・印鑑
システム111は、業務において印鑑が使用されるか否かを、自治体110と他の自治体との間で比較可能な態様でモニター8に表示する。
【0077】
ステップS570にて、CPU1は、当該他の自治体における業務の手順書の詳細表示が指示されたか否かを判断する。この判断は、業務管理システム100がシステム111から受信した信号に含まれている指示の種類に基づいて行なわれる。CPU1は、詳細表示が指示されたと判断すると(ステップS570にてYES)、制御をステップS580に切り替える。そうでない場合には(ステップS580にてNO)、CPU1は、処理を終了する。
【0078】
ステップS580にて、CPU1は、当該他の自治体における手順書ファイルに含まれる詳細のデータをシステム111に送信する。システム111は、業務管理システム100から受信したデータに基づいて、当該詳細のデータをモニター8に表示する。
【0079】
なお、本実施の形態では、ステップS570およびステップS580の処理は、業務管理システム100で管理されているデータが自治体110で使用されているシステム111に送信される態様として説明された。この態様に変えて、別の局面において、選択された自治体のデータが業務管理システム100からシステム111に送信されてシステム111に一時的に保持されている場合には、システム111は、業務管理システム100と通信することなく、当該他の自治体における業務の詳細のデータをモニター8に表示し得る。
【0080】
<特徴の概要>
(1)ある局面において、業務管理システム100は、業務サーバー130のハードディスク5に、複数の組織で実施される業務に関する業務情報と、当該業務を実施する組織を示す組織情報とを関連付けて記憶している。業務サーバー130のCPU1は、ハードディスク5から、比較対象とすべき、第1の組織(例えば、A県、A県A市など、都道府県単位あるいは市町村単位)の業務情報と第2の組織(例えば、B県、B県B市など)の業務情報とを取得する。さらに、CPU1は、取得された第1の組織の業務情報と第2の組織の業務情報とを比較可能に出力する。たとえば、CPU1は、A県の業務の作業手順と、B県の業務の作業手順とを並べた状態で表示するデータを、システム111,121に送信する。システム111,121は、そのデータを受信すると、A県の業務の作業手順と、B県の業務の作業手順とを並べた状態で、モニター8に表示する。
【0081】
(2)ある局面において、業務情報は、業務を構成する作業を示す情報を含む。したがって、システム111,121のユーザー(例えば、職員)は、作業単位で他の組織の業務情報を確認できるので、業務の分析など業務改善を推進しやすくなる。
【0082】
(3)ある局面において、業務情報は、業務の実施に要するコスト情報を含む。コスト情報は、金銭的な費用に限らず、所要時間その他の定量的な情報も含む。したがって、システム111,121のユーザーは、定量的な情報を参考に他の組織の業務情報を比較できるので、客観性が担保された業務改善を推進し易くなる。
【0083】
(4)ある局面において、業務情報は、業務を構成する1以上の作業の各々に要するコスト情報を含む。システム111,121のユーザーは、各作業単位で他の組織の作業を比較することで、業務改善を作業単位レベルで推進することができる。
【0084】
(5)ある局面において、業務サーバー130は、通信インターフェイス7を介して、複数の組織のいずれかの組織の業務情報を、他の組織の業務情報と比較可能な態様で、業務管理システムと通信可能な端末装置(たとえば、システム111,121)に表示させるための表示用データを出力する。
【0085】
(6)ある局面において、表示用データは、複数の組織の各々で実施される各業務を構成する作業ごとに、当該作業のコスト情報を比較可能な態様でシステム111,121のモニター8に表示させるデータを含む。
【0086】
(7)ある局面において、業務情報は、業務、作業、当該作業の具体的内容を示す作業手順の情報を含む。業務サーバー130の通信インターフェイス7は、システム111,121その他の端末装置からの要求に応じて、当該端末装置で指定された作業についての作業手順の情報を出力する。
【0087】
(8)ある局面において、業務サーバー130は、当該業務管理システムに入力された条件を満たす業務を検索するための検索エンジンをさらに備える。検索条件は、人口規模、業務の件数等を含む。
【0088】
(9)ある局面において、業務サーバー130は、複数の組織の各々の業務情報の差が予め指定された範囲を超えた組織の業務情報を他の組織の業務情報と比較可能に出力する。例えば、CPU1が、同じ業務の1件当たりの作業時間の差分を比較した結果、比較元の組織の作業時間よりも短い作業時間で同じ業務が行なわれている組織(すなわち、当該組織よりは効率的に業務を遂行していると考えられる組織)が存在する場合は、当該業務の作業時間や作業手順その他の業務情報を並べて表示するためのデータを生成し、そのデータをシステム111,121に送信する。システム111,121のモニターは、そのデータに基づき、各組織の業務情報を対比可能な状態で表示する。当該組織の職員は、当該業務のどの作業において他の組織が効率的に業務を遂行しているかを容易に知ることができる。
【0089】
図6図16を参照して、自治体のシステム111,121に表示される画面の一例について説明する。
【0090】
<ログイン画面>
図6は、ログイン時に表示される画面の一例を表わす図である。図6に示されるように、システム111,121は、自治体業務支援クラウドサービスのアプリケーションの起動を検知すると、ログイン操作を受け付ける画面810をモニター8に表示する。画面810は、領域820~850を含む。領域820は、自治体を選択するための入力を受け付ける。領域830は、ユーザーIDの入力を受け付ける。領域840は、パスワードの入力を受け付ける。領域850は、ログインの指示を受け付ける。
【0091】
<手順書の検索画面>
図7は、業務の手順書を検索する際にモニター8に表示される画面700の一例を表わす図である。画面700は、作成日を指定する領域と、更新日を指定する領域と、年間作業時間を指定する領域と、二つの検索キーの入力を受ける領域と、手順書の種類を選択する領域とを含む。画面700は、職員がステップS520の処理を実行する時に表示される。
【0092】
<手順書の検索結果の一覧表示>
図8は、業務の手順書の検索結果としてモニター8に表示される画面の一例を表わす図である。図8の検索結果は、自治体110の職員112によって指定された一自治体における業務の手順書の検索結果の一覧を例示している。指定された自治体は、例えば、職員112が所属する自治体110(自治体A)、あるいは、他の自治体のうちから指定された自治体(たとえば、自治体B)のいずれであってもよい。
【0093】
業務管理システム100にアクセスできるユーザー(例えば、職員112,122等)は、このようにして、各自治体における業務の手順書のうち公開設定された手順書を参照することができる。
【0094】
<特定の業務の手順書>
図9および図10は、一覧表示された業務の手順書からユーザーによって選択された業務の手順書の詳細を表示する一例を表わす図である。図9は、特定の業務(乳幼児検診)における基本情報を表示している。ユーザーが「手順」と示されたタブ910を押下すると、モニター8は、当該業務を構成する作業手順の詳細の画面(図10)を表示する。
【0095】
図10は、作業手順の手順を示すフローチャートと作業情報とを表わしている。一例として、モニター8は、領域1010に、当該フローチャートを表示する。当該フローチャートは、関係先と、係と、詳細フローを含む。関係先は、当該フローチャートに示される各作業の関係者(例、所属部門の上司、担当係とは別部門の組織など)を含む。係は、当該作業を遂行する担当を表わす。詳細フローは、当該作業を遂行する際に行なわれる詳細な処理を示す。
【0096】
<他の自治体の手順書の検索>
図11は、他の自治体の手順書を検索する時にモニター8に表示される画面1100の一例を表わす図である。各自治体の職員は、画面1100に入力することで所望のカテゴリーで参考となり得る他の自治体の業務の手順書を検索できる。
【0097】
より具体的には、団体区分の領域は、自治体のカテゴリーを示す。カテゴリーは、都道府県レベル、あるいは、市町村レベルといった業務を遂行する自治体の単位に相当する。人口規模は、自治体の人口の規模を示す。人口規模を指定することにより、ある業務の一年間における業務の負荷を把握することができる。
【0098】
職員数は、当該自治体の職員数を表わす。他の局面において、職員数は、正規職員と非正規職員とに分けられても良い。
【0099】
作成日は、手順書が作成された年月日の指定を受け付ける。職員は、作成日を指定することにより極端に古い手順書を検索結果から除外できるので、実勢にあった手順書を検索し易くなる。
【0100】
更新日は、業務手順書が更新された日を表わす。手順書は一度作成された後に適宜更新される場合もあるので、職員は更新日を指定することにより最新の手順書を検索し易くなる。
【0101】
年間作業時間は、当該業務を処理するのに要する一年間の作業時間を表わす。職員は、年間作業時間を指定することにより、例えば人口規模や職員数が同程度の他の自治体について、参考となり得る年間作業時間に該当する自治体を検索することができる。
【0102】
検索キー1および検索キー2の欄は、検索を希望する業務の種類や内容の入力を受け付ける。二つの欄があるため、職員は、適切な検索キーを組み合わせることで、所望の検索結果を得やすくなる。
【0103】
<他の自治体の検索結果画面>
図12は、図11に示される画面への入力によって検索された結果を表わす図である。システム111、121のモニター8は、図11に示される検索条件を領域1210に表示し、検索結果を領域1220に表示する。図12の例示では、モニター8は、検索キーとして入力された「業務分類大」のコード「022」(「子育て福祉」に相当)に基づく検索を表示している。
【0104】
<年間作業時間の比較>
図13は、同じ業務(例、児童扶養手当)について、自治体同士を比較した状態を表わす図である。図13は、年間作業時間について、各自治体の作業毎に作業時間を表示している。ある自治体(たとえば、A県A市)の職員は、他の自治体(たとえば、A県B市、A県C市、B県A市、C県A市)を選択すると、モニター8は、図13に示されるような表を表示するので、当該職員は年間作業時間ベースで他の自治体の実績を知ることができる。その上で、職員がタブ1300,1310,1320,1330,1340のいずれかを選択すると、選択された自治体のさらに詳細の情報を参照することができる。
【0105】
さらに、職員は、ラジオボタン1350を選択することで、現在の年間作業時間ベースの表示を、1件当たり作業時間ベースの表示(たとえば、図14)に切り替えることができる。
【0106】
<1件当たりの作業時間の比較>
図14は、「児童扶養手当」について1件当たりの作業時間について選択された自治体同士を比較する図である。職員は、タブ1400,1410,1420,1430,1440のいずれかを選択すると、選択された自治体のさらに詳細の情報を参照することができる。さらに、職員は、ラジオボタン1450を選択することで、現在の年間作業時間ベースの表示を、1件当たり作業時間ベースの表示(図14)に切り替えることができる。
【0107】
図15は、当該職員が属する自治体とは別の自治体(A県C市)における児童扶養手当の手続受付に関する基本情報を表わす図である。図9に例示される場合と同様に、モニター8は、選択された自治体における業務の基本情報を表示している。職員がタブ1510を選択すると、画面は業務の作業手順を表示する(図16)。
【0108】
<他の自治体の業務の手順書>
図16は、児童扶養手当の手続受付に関する作業手順の詳細を表わす図である。図10に例示される場合と同様に、モニター8は、領域1610に、当該作業手順のフローチャートを表示する。職員は、他の自治体における業務についても同様に、フローチャートを参照することで、他の自治体においてどのような作業が効率よく遂行されているかを確認しやすくなる。
【0109】
なお、他の局面において、業務管理システム100のCPU1は、領域1610に表示されるフローチャートのデータをシステム111、121に提供する場合に、最も短時間で行なわれる作業は、他の作業とは別の表示態様で、例えばマーカーの追加、フォントの変更等により、強調して表示されてもよい。これにより、職員は、他の自治体の情報を参照している場合に、どの作業が効率よく遂行されているかを容易に知ることができる。
【0110】
図17を参照して、他の局面における画面表示について説明する。図17は、作業時間が最も短い作業が強調表示される一態様を例示する図である。他の局面において、他の自治体において行なわれている業務の作業時間が最も短い場合がある。この場合、モニター8は、業務を構成する複数の作業のうち最も短い作業時間に対応する作業(工程)に対応するフローを強調表示し得る。
【0111】
一例として、モニター8は、「検診対象児の割振り」に対応するブロック1710を、他のブロックよりも強調した態様で(たとえば、枠を太くする、カラー表示する、点滅表示させる等)表示してもよい。これにより、ユーザーは、比較画面を表示していない場合であっても、どの作業が効率的に行なわれているかを容易に把握できる。
【0112】
<まとめ>
以上のようにして、本十進の形態に従う業務管理システム100は、各自治体から提供された業務情報のうち他の自治体の職員に対する公開を許可された業務情報を他の自治体に開示する。業務管理システム100は、業務情報を開示する際、選択された2以上の自治体の各々について、同じ業務について当該業務情報を開示する。これにより、他の自治体の職員は、自らが属する自治体で遂行されている業務の作業時間よりも短い作業時間で行なわれている他の自治体を知ることができる。
【0113】
また、職員は、他の自治体における業務情報の詳細(作業フローや1件当たりの作業時間等)を参考にして、自らの職場における業務の効率化を推進し易くなる。
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 CPU、2 マウス、3 キーボード、4 RAM、5 ハードディスク、6 光ディスク駆動装置、7 通信インターフェイス、8 モニター、9 CD-ROM、100 業務管理システム、101 インターネット、110,120 自治体、111,121 システム、112 職員、130 業務サーバー、131 作成部、132 手順書データ解析部、133 手順書作成部、134 手順書検索部、135 手順書比較部、136 メンテナンス部、140 データベース、141 手順書データ、142 ユーザーデータ、143 自治体データ、150 ファイルサーバー、151 手順書原本、152 手順書フォーマット、200 コンピューターシステム、400 手順書ファイル、401 作成日、402 作成者、405 団体区分、410 自治体名、415 業務分類、420 業務名、430 業務内容、440 作業番号、445 作業分類、450 作業概要、455 関係先、460 作業手順、465 作業時間、470 発生件数、700,810,1100 画面、820,830,840,850,1010,1210,1220,1610 領域、910,1300,1310,1320,1330,1340,1400,1410,1420,1430,1440,1510 タブ、1350,1450 ラジオボタン。
【要約】
【課題】異なる組織で遂行されている同様の業務を比較可能に表示する。
【解決手段】業務管理システムを実現するコンピューターのCPUが実行する処理は、ある自治体の職員が使用するシステムからのログイン操作を受け付けるステップ(S510)と、手順書を検索するステップ(S520)と、手順書の詳細を当該自治体のシステムのモニターに表示するステップ(S530)と、他の自治体の業務の手順書を検索するステップ(S540)と、他の自治体の手順書を選択するステップ(S550)と、当該他の自治体の手順書の比較画面を表示するための画面データを生成して自治体のシステムに送信してシステムのモニターに比較画面を表示させるステップ(S560)と、詳細表示が指示されたことに基づいて(ステップS570にてYES)、当該他の自治体の手順書を詳細に表示するステップ(S580)とを含む。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17