(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】プログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/795 20140101AFI20220727BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20220727BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20220727BHJP
A63F 13/798 20140101ALI20220727BHJP
【FI】
A63F13/795
A63F13/53
A63F13/79
A63F13/798
(21)【出願番号】P 2021164285
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2022-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 英斗
(72)【発明者】
【氏名】中井 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】礒邉 恭平
(72)【発明者】
【氏名】西村 悠紀
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-40830(JP,A)
【文献】特開2015-196091(JP,A)
【文献】[ポケマス]マルチプレイのやり方と解放条件 | みんなで遊ぶでできること[ポケモンマスターズ],GameWith - 国内最大級のゲームアプリ情報・攻略サイト[online],2021年04月23日,https://gamewith.jp/pokemonmasters/article/show/164555,[2022年06月13日検索]
【文献】[FF14]ドマ式麻雀の開放方法・ルール・遊び方のご紹介,コニーのタルト[online],2020年05月30日,https://connietarte.com/2019/01/09/doman-mahjong/,[2022年06月13日検索]
【文献】[スマブラSP]オンライン対戦の仕様を紹介![スマブラスイッチ],Game8[online],2018年12月10日,https://game8.jp/smashbros-special/232167,[2022年06月13日検索]
【文献】モンスターハンター ストーリーズ,週刊ファミ通,カドカワ株式会社,2016年10月06日,第31巻 第42号 ,p. 92
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤに対戦ゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、
前記プレイヤに係るプレイヤ情報を取得する取得処理と、
前記対戦ゲームについて相手プレイヤを選択する選択処理と、
前記プレイヤと前記選択処理により選択された前記相手プレイヤとを参加させた前記対戦ゲームのプレイ体験を提供する提供処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記選択処理は、前記取得処理における前記プレイヤ情報の取得の有無に応じて、前記相手プレイヤの選択方法を異ならせるプログラム。
【請求項2】
前記選択処理は、
前記取得処理において前記プレイヤ情報の取得がなかった場合に、第1種別の相手プレイヤから前記相手プレイヤを選択し、
前記取得処理において前記プレイヤ情報の取得があった場合に、前記第1種別の相手プレイヤとは異なる第2種別の相手プレイヤから前記相手プレイヤを選択する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記対戦ゲームに関する情報を提示させる提示処理を、前記コンピュータにさらに実行させ、
前記提示処理は、前記取得処理の実行中に、前記プレイヤ情報の取得がなされない場合に前記相手プレイヤが前記第1種別の相手プレイヤになる旨の通知を提示する請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1種別の相手プレイヤは、固定に設けられたプレイヤであり、
前記第2種別の相手プレイヤは、前記対戦ゲームのプレイ体験の提供に応じて変動するプレイヤである請求項2または3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1種別の相手プレイヤは、仮想プレイヤであり、
前記第2種別の相手プレイヤは、実プレイヤである請求項2乃至4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記プレイヤ情報は、前記対戦ゲームに係るランク情報を含み、
前記選択処理は、前記第2種別の相手プレイヤのうちから、前記ランク情報に応じて前記相手プレイヤを選択する請求項2乃至5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、前記プレイヤ情報の取得があった場合に、前記対戦ゲームのプレイ体験の提供に応じて当該プレイヤ情報を変更する処理を、前記コンピュータにさらに実行させる請求項2乃至6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プログラムは、前記対戦ゲームについて、第1種別の対戦ゲームのプレイ体験を提供する第1ゲームモードと、前記第1種別の対戦ゲームとは異なる第2種別の対戦ゲームのプレイ体験を提供する第2ゲームモードのいずれかの選択を受け付ける処理を、前記コンピュータにさらに実行させ、
前記選択処理は、前記プレイヤ情報の取得がなく、かつ、前記第1ゲームモードの選択を受け付けた場合に、前記第1種別の相手プレイヤから前記相手プレイヤを選択する請求項2乃至7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記選択処理は、前記プレイヤ情報の取得がなく、かつ、前記第2ゲームモードの選択を受け付けた場合に、前記第2種別の相手プレイヤから前記相手プレイヤを選択する請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
プレイヤに対戦ゲームのプレイ体験を提供するゲーム装置であって、
前記プレイヤに係るプレイヤ情報を取得する取得手段と、
前記対戦ゲームについて相手プレイヤを選択する選択手段と、
前記プレイヤと前記選択手段により選択された前記相手プレイヤとを参加させた前記対戦ゲームのプレイ体験を提供する提供手段と、
を備え、
前記選択手段は、前記取得手段による前記プレイヤ情報の取得の有無に応じて、前記相手プレイヤの選択方法を異ならせるゲーム装置。
【請求項11】
プレイヤに対戦ゲームのプレイ体験を提供するゲーム装置と、前記ゲーム装置と通信可能に構成されたサーバとを含むゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
前記プレイヤに係るプレイヤ情報を取得する取得手段と、
前記対戦ゲームについて相手プレイヤを選択する選択手段と、
前記プレイヤと前記選択手段により選択された前記相手プレイヤとを参加させた前記対戦ゲームのプレイ体験を提供する提供手段と、
を備え、
前記選択手段は、
前記取得手段による前記プレイヤ情報の取得の有無に応じて、前記相手プレイヤの選択方法を異ならせ、
少なくとも前記取得手段による前記プレイヤ情報の取得があったことを条件として、前記サーバを介して接続された他の前記ゲーム装置のプレイヤを前記相手プレイヤとして選択するゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、ゲーム装置及びゲームシステムに関し、特に対戦形式のプレイ体験を提供する電子ゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
異なるコンピュータを使用してプレイしているユーザ同士をマッチングさせたマルチプレイゲームを提供する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゲームのマッチングに関しては、プレイヤ間のプレイスキルやゲーム進行度の差が顕著である場合、公平性が担保されず、プレイヤの関心を低減させ得る。
【0005】
本発明は、公平性を担保した対戦ゲームを実現するプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムは、プレイヤに対戦ゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、プレイヤに係るプレイヤ情報を取得する取得処理と、対戦ゲームについて相手プレイヤを選択する選択処理と、プレイヤと選択処理により選択された相手プレイヤとを参加させた対戦ゲームのプレイ体験を提供する提供処理と、を実行させるプログラムであって、選択処理は、取得処理におけるプレイヤ情報の取得の有無に応じて、相手プレイヤの選択方法を異ならせる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、公平性を担保した対戦ゲームを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係るゲームシステムの構成を例示した図
【
図2】本発明の実施形態及び変形例に係るゲーム装置100の機能構成を示したブロック図
【
図3】本発明の実施形態1に係るサーバ200の機能構成を示したブロック図
【
図4】本発明の実施形態1に係るゲーム装置100において実行される提供処理を例示したフローチャート
【
図5】本発明の実施形態1に係るサーバ200において実行されるマッチング処理を例示したフローチャート
【
図6】本発明の実施形態及び変形例に係る各プレイヤについて管理されるプレイヤ管理情報のデータ構造を例示した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下に説明する一実施形態は、ゲーム装置の一例としての、対戦ゲームのプレイ体験を提供可能なゲーム装置に、本発明を適用した例を説明する。しかし、本発明は、対戦ゲームのプレイ体験を提供することが可能な任意の機器に適用可能である。
【0011】
《ゲームシステムの構成》
図1は、本実施形態に係るゲームシステムのシステム構成を示した図である。図示されるように、ゲームシステムは、ネットワーク300を介することで、サーバ200と1以上のゲーム装置100の各々とが通信可能に構成される。
【0012】
本実施形態では、このようなシステム構成により、サーバ200及びネットワーク300を介して、複数のゲーム装置100を利用するプレイヤ間での対戦ゲームが実現可能に構成されるものとする。また、ゲーム装置100においてプレイ体験が提供されるゲームは、プレイヤ間の対戦ゲームに限られるものではなく、1人用に構成されたゲームを含むものであってよい。
【0013】
また詳細は後述するが、サーバ200は、ゲーム装置100の利用に際してプレイヤが識別された場合、即ち、いずれのプレイヤであるかが識別された状態で対戦ゲームのプレイ体験が提供された場合に、各プレイヤについて管理する情報を更新する。
【0014】
〈ゲーム装置の構成〉
図2は、本発明の実施形態に係るゲーム装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0015】
制御部101は、例えばCPUであり、ゲーム装置100が有する各機能ブロックの動作を制御する。具体的には制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各機能ブロックに係る動作プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより各機能ブロックの動作を実現する。
【0016】
記録媒体102は、例えば不揮発性メモリやHDD等の、恒久的にデータを保持可能な記録装置である。記録媒体102は、ゲーム装置100が有する各機能ブロックに係る動作プログラムに加え、各機能ブロックの動作において必要となるパラメータの情報や、ゲーム装置100が実行するゲームに使用される各種のグラフィックスデータ等を記録する。メモリ103は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。メモリ103は、各機能ブロックに係る動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各機能ブロックの動作において出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0017】
支払検出部104は、ゲーム装置100において代価の支払いがなされたことを検出する。代価の支払いは、例えばゲーム装置100が有する不図示の投入口に所定の金額の硬貨や相当するコインが投入されたこと、あるいは所定の電子マネーに係るチップとの通信に基づく決済処理の完了等を検出することにより判断されるものであってよい。本実施形態のゲーム装置100は、サービス提供開始に係る代価の支払いに基づいて、ゲームのプレイ体験の提供を含むサービスの提供を開始するものとして説明する。
【0018】
取得部105は、本実施形態のゲーム装置100が備える、物品からの情報取得に係るインタフェースである。具体的には取得部105は、物品に付された情報を取得可能に構成されたリーダを具備している。本実施形態のゲーム装置100では、プレイヤの対戦ゲームの進行状況を保存し、次回利用時に保存した進行状況からの再開を実現できるよう構成されている。このため、取得部105が備えるリーダは、少なくともプレイヤを一意に特定可能な識別情報(プレイヤID:プレイヤに係るプレイヤ情報)を有する物品(プレイヤカード)からの情報取得が可能であるものとして説明する。しかしながら、プレイヤを識別する手法は、これに限られるものではなく、プレイヤカード以外の物品から情報を取得するものであってもよいし、例えば他の装置を介したプレイヤの認識処理に代えられるものであってもよい。
【0019】
また本実施形態で詳細は延べないが、取得部105は、プレイヤカード以外の物品からの情報取得が可能に構成されるものであってもよい。物品は、例えばゲーム装置100の利用に際して供給される物品であってもよいし、他の販路においてプレイヤが取得した物品であってもよい。
【0020】
提示制御部106は、ゲーム装置100におけるプレイヤへの提示部110を介した各種情報提示の制御を司る。情報提示を実現する提示部110は、本実施形態では、画像(ゲーム画面、メニュー画面等)表示を行う、例えば液晶ディスプレイ等の視覚的情報提示が可能な表示装置であるものとして説明する。しかしながら、情報提示の手段はこれに限られるものではなく、代替あるいは追加が可能であることは言うまでもない。提示部110は、例えば聴覚的情報提示を行うスピーカ等を含むものであってもよい。
【0021】
提示部110が表示装置である態様において、提示制御部106は、例えばGPU等の描画装置を含み、提示部110に表示させる画面を生成する所定の描画処理を行う。具体的には提示制御部106は、ゲーム装置100の起動中(サービス提供中やスタンバイ状態中)において、制御部101により行われた処理や命令に基づいて必要な描画用オブジェクト(グラフィックスデータ)に対して必要な演算処理を実行し、画面の描画を行う。生成した画面は、提示部110に出力され、所定の表示領域中に表示されることでプレイヤに提示される。
【0022】
操作入力部107は、例えば決定入力用の操作部材や各種センサ等の、ゲーム装置100が有するユーザインタフェースである。操作入力部107は、操作部材に対する操作入力がなされたことを検出すると、該操作入力に対応する制御信号を制御部101に出力する。なお、操作入力部107は、例えば提示部110の表示画面上になされたタッチ入力を検出するタッチ入力検出センサ等を含むものであってもよい。
【0023】
通信部1108、ゲーム装置100が有する外部装置との通信インタフェースである。通信部108は、インターネット等の通信網や機器間を接続するケーブルであってもよいネットワーク300(有線・無線を問わない)を介して外部装置と接続し、データの送受信を可能とすることができる。通信部108は、例えば送信対象として入力された情報を所定の形式のデータに変換し、ネットワーク300を介してサーバ200等の外部装置に送信する。また通信部108は、例えばネットワーク300を介して外部装置から情報を受信すると、該情報を復号し、メモリ103に格納する。
【0024】
〈サーバの構成〉
次に、本実施形態に係るサーバ200の機能構成について、
図3のブロック図を用いて説明する。なお、サーバ200の機能構成の説明において、ゲーム装置100が有する構成と同様の機能を実現する構成については、ゲーム装置100の構成と峻別するために、「サーバ」との接頭語を付して示すものとする。
【0025】
サーバ制御部201は、例えばCPUであり、サーバ200が有する各機能ブロックの動作を制御する。具体的にはサーバ制御部201は、例えばサーバ記録媒体202に記録されている各機能ブロックに係る動作プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより各機能ブロックの動作を制御する。
【0026】
サーバ記録媒体202は、例えば不揮発性メモリやHDD等の、恒久的にデータを保持可能な記録装置である。サーバ記録媒体202は、サーバ200が有する各機能ブロックに係る動作プログラムに加え、各機能ブロックの動作において必要となるパラメータ等の情報を記録する。サーバメモリ203は、例えば揮発性メモリ等の一時的なデータ記憶に使用される記憶装置である。サーバメモリ203は、各機能ブロックに係る動作プログラムの展開領域としてだけでなく、各機能ブロックの動作において出力されたデータ等を一時的に記憶する格納領域としても用いられる。
【0027】
プレイヤ管理DB204は、本実施形態のゲームシステムのゲーム装置100においてプレイ体験が提供されるゲームについて、各利用者(プレイヤ)についての種々の情報(プレイヤ管理情報)を管理するデータベースである。プレイヤ管理情報は、ゲーム装置100においてプレイヤカードからの情報取得が行われて対戦ゲームのプレイ体験の提供がなされる場合に参照され、提供された当該プレイ体験に応じて順次変更され得る。
【0028】
プレイヤ管理情報は、例えば
図6に示されるように、プレイヤを一意に特定するプレイヤID601に関連付けて、該プレイヤについての表示名、生年月日、アバター構成等のプレイヤ個別設定を含む設定情報602、対戦ゲームにおけるプレイヤの技量やゲームの進行段階を示すランク情報603、及び対戦ゲームのプレイ履歴やゲーム装置100の利用履歴等を示す履歴情報604を含むものであってよい。1人のプレイヤに係るプレイヤ管理情報は、当該プレイヤによるプレイヤカードを使用した初回のゲーム装置100の利用時に登録されるものであってよい。なお、設定情報602に含まれる情報は、当該利用時にゲーム装置100において入力されればよい。
【0029】
マッチング処理部205は、本実施形態のゲームシステムにおいてプレイ体験が提供されるプレイヤ間の対戦ゲーム(対人対戦)について、マッチングの処理を行う。本実施形態のゲームシステムでは、対戦ゲームはサーバ200を介して接続された2台のゲーム装置100間で実行可能に構成される。マッチングの処理により、同時期にマッチング要求を送信したゲーム装置100を利用している2人のプレイヤが、対戦ゲームに参加するプレイヤとして決定される。
【0030】
管理部206は、サーバ200を介して実現される対戦ゲームの各々について、セッションを設け、管理する。即ち、管理部206は、マッチング処理部205により1つの対戦ゲームに係るマッチング結果が確定すると、当該対戦ゲームに係るセッションを設ける。セッションは、該当のプレイヤが利用するゲーム装置100(2台)が接続可能に構成され、接続中、ゲーム装置100間での対戦ゲームに係る情報通信を可能ならしめる。また管理部206は、セッションに係る対戦ゲームが完了すると、当該セッションの終了に係る処理を行う。
【0031】
サーバ通信部207は、サーバ200が有する外部装置との通信インタフェースである。サーバ通信部207は、インターネット等の通信網や機器間を接続するケーブルであってもよいネットワーク300(有線・無線を問わない)を介して外部装置と接続し、データの送受信を可能とすることができる。サーバ通信部207は、例えば送信対象として入力された情報を所定の形式のデータに変換し、ネットワーク300を介してゲーム装置100等の外部装置に送信する。またサーバ通信部207は、例えばネットワーク300を介して外部装置から情報を受信すると、該情報を復号し、サーバメモリ203に格納する。
【0032】
《相手プレイヤの決定方法》
以下、プレイヤに対して対戦ゲームのプレイ体験を提供する際の、当該対戦ゲームに係る相手プレイヤの決定方法について概要を説明する。
【0033】
上述したようにプレイヤ間の公平性を担保した対戦ゲームを実現するためには、プレイスキル、レート、ゲーム進行度といった点で(以下、総括して「力量」として言及)、プレイヤ間の差が顕著にならないように相手プレイヤを決定する必要がある。このため、本実施形態のゲームシステムでは、対戦ゲームに際してプレイヤカードから読み取られた情報に基づいてプレイヤに対応するプレイヤ管理情報を特定した後、当該プレイヤ管理情報に基づいて同程度の力量を示すプレイヤ同士をマッチングする処理が、サーバ200において行われる。
【0034】
より詳しくは、1台のゲーム装置100において対戦ゲームのプレイ体験の提供要求がなされた場合に、相手プレイヤを選択すべくマッチング要求がサーバ200に送信され、マッチング処理部205が当該マッチング要求に基づいてマッチングの処理を行う。マッチングの処理では、例えばマッチング要求の送信元のゲーム装置100を利用しているプレイヤの情報がマッチング待機リストに順次登録され、同リストに登録されている他のプレイヤのうちから力量差が閾値を超えないプレイヤが、相手プレイヤとして決定される。本実施形態のゲームシステムでは、プレイヤ間の力量差は、基本的にはランク情報に基づいて導出されるものとし、例えば、1人のプレイヤに対し、同一ランクのプレイヤや±1のランクのプレイヤが相手プレイヤとして決定される。
【0035】
一方で、このような力量差を考慮したマッチングは、プレイヤ管理情報を参照して行うものであるため、プレイヤ管理情報が登録されていないプレイヤの場合はマッチングの処理が適切に実行されないことになる。また仮に、マッチング待機時間の時間切れによって、リスト中の任意のプレイヤを相手プレイヤとして選択すると、プレイヤ間の力量差が大きすぎるマッチングも実現され得、両プレイヤにとって好適ではないプレイ体験が提供されることになる。
【0036】
しかしながら、これに対してプレイヤ管理情報の登録を義務付ける、即ち、対戦ゲームのプレイ前にプレイヤカードを読み取らせて設定情報602に必要な各種情報の入力を要件づけることは、プレイヤに煩雑な操作を強いることになり得る。換言すれば、このようなマッチング仕様とすることで、初心者のプレイヤやお試しで対戦ゲームをプレイしたいようなプレイヤを、ゲーム装置100の利用から遠ざけることになり得る。
【0037】
従って、本実施形態のゲーム装置100では、プレイヤ管理情報の登録を要件とせずに、即ち、プレイヤカードからの情報取得を行わずとも、対戦ゲームのプレイをプレイヤに可能ならしめる一方で、このようなプレイヤについての対戦ゲームの相手プレイヤの選択方法を異ならせることで、好適なプレイ体験の提供を実現する。つまり、本実施形態のゲームシステムでは、ゲーム装置100の利用に際してプレイヤカードからの情報取得がなされたか否かに応じて、プレイ体験が提供される対戦ゲームの相手プレイヤの選択方法を異ならせる制御がなされる。
【0038】
具体的には、ゲーム装置100においてプレイヤカードからプレイヤを一意に特定するプレイヤIDが取得された場合には、本発明に係る第2種別の相手プレイヤとしての、他のゲーム装置100を利用しているプレイヤのうちから、相手プレイヤの選択がなされる。即ち、プレイヤが識別されて対戦ゲームのプレイ体験が提供される場合には、他のゲーム装置100を用いて対戦ゲームをプレイする人間である実プレイヤが、相手プレイヤとして選択される。本実施形態のゲームシステムでは、プレイヤの識別時における相手プレイヤの選択は、サーバ200におけるマッチングの処理を経て行われる。当該マッチングの処理で決定される相手プレイヤは、上述したようにプレイヤ間の力量差が小さくなるよう、ランク情報を参照して行われる。つまり、プレイヤが識別された場合に相手プレイヤとなり得る実プレイヤは、当該プレイヤについて管理されるプレイヤ管理情報に含まれるランク情報603と、マッチング要求を行ったタイミングにおける他のゲーム装置100の利用態様に応じて、都度変動する。
【0039】
対して、ゲーム装置100においてプレイヤカードからプレイヤを一意に特定するプレイヤIDが取得されない場合には、本発明に係る第1種別の相手プレイヤとしての、固定に設けられたプレイヤから相手プレイヤの選択がなされる。即ち、プレイヤが識別されずに対戦ゲームのプレイ体験が提供される場合には、都度変動する実プレイヤを相手プレイヤとするのではなく、所定の思考プログラムの実行等により実現される仮想プレイヤ(NPC:Non Player Character)のいずれかが、例えば抽選処理により相手プレイヤとして選択される。ここで、プレイヤを次回のゲーム装置100の利用に好適に誘引すべく、基本的にはプレイヤが有利に対戦ゲームを進行させやすいように強さの設定がなされているものであってよい。また仮想プレイヤは複数(固定数)設けられるものであってよく、これらのうちからいずれかが選択されるものであってよい。従って、本実施形態のゲームシステムでは、プレイヤが識別されない場合における相手プレイヤの選択は、サーバ200を介して行われる必要はなく、ゲーム装置100において相手プレイヤの選択が完結するものであってよい。つまり、プレイヤが識別されない場合に相手プレイヤとなり得る仮想プレイヤは、プレイヤがどのような条件であっても固定の種類のプレイヤのうちから選択される。
【0040】
《提供処理》
このような構成をもつ本実施形態のゲーム装置100の利用時に実行される提供処理について、
図4のフローチャートを用いて具体的な処理を説明する。該フローチャートに対応する処理は、ゲーム装置100の制御部101が、例えば記録媒体102に記録されている対応する処理プログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより実現することができる。なお、本提供処理は、例えばゲーム装置100において、利用開始に係る代価の支払いが検出された際に開始されるものとして説明する。
【0041】
S401で、提示制御部106は制御部101の制御の下、プレイヤカードからの情報取得を受け付ける旨の通知を提示部110に提示する。当該通知は、プレイヤカードからの情報取得が行われる場合の効果、及びプレイヤカードからの情報取得が行われない場合の効果の少なくともいずれかの通知を含むものであってよい。例えば、前者の効果の通知は、他の実プレイヤを相手とした対戦ゲームを実行可能であること、対戦ゲームのプレイによりランク上昇があり得ることの通知を含むものであってよい。また例えば、後者の効果の通知は、対戦ゲームの相手プレイヤが仮想プレイヤになる旨の通知を含むものであってよい。
【0042】
S402で、制御部101は、プレイヤカードからの情報取得がなされたか否かを判断する。本ステップの判断は、取得部105がプレイヤカードからプレイヤIDを取得したか否かにより行われる。このとき、プレイヤIDの有効性を確認すべく、制御部101はプレイヤIDに基づいてサーバ200に該当するプレイヤ管理情報が管理されているか否かの問い合わせを行ってもよい。また、当該問い合わせの際にプレイヤに係るプレイヤ管理情報を受信し、今回のゲーム装置100の利用においてプレイヤの情報として情報提示に用いてもよい。制御部101は、プレイヤカードからの情報取得がなされたと判断した場合は処理をS403に移し、情報取得がなされていないと判断した場合は処理をS405に移す。
【0043】
S403で、制御部101は、プレイ体験を提供する対戦ゲームの相手プレイヤを選択すべく、取得されたプレイヤIDを含めたマッチング要求を構成し、通信部108を介してサーバ200に送信させる。
【0044】
〈マッチング処理〉
ここで、各ゲーム装置100から送信されたマッチング要求に基づいて、サーバ200のマッチング処理部205が相手プレイヤを決定すべく行うマッチング処理について、
図5をさらに参照してその例を説明する。
【0045】
S501で、マッチング処理部205はサーバ制御部201の制御の下、受信したマッチング要求に対応するプレイヤ管理情報をプレイヤ管理DB204から取得し、例えばサーバメモリ203に構成されているマッチング待機リストに登録する。具体的にはマッチング処理部205は、受信したマッチング要求に含まれるプレイヤIDに基づいて、当該プレイヤIDが関連付けられたプレイヤ管理情報をプレイヤ管理DB204から取得し、マッチング待機リストに登録する。
【0046】
S502で、マッチング処理部205はサーバ制御部201の制御の下、マッチング待機リストについて定められたマッチング処理実行タイミングに至るまで待機する。マッチング処理実行タイミングは、例えばサーバ200の起動中、所定の時間間隔で予め定められているものであってよく、当該タイミングに至った場合にマッチング処理部205は処理をS503に移す。
【0047】
S503で、マッチング処理部205はサーバ制御部201の制御の下、マッチング待機リストに登録された全てのプレイヤ管理情報のランク情報603を参照し、ランク差が閾値以下となるよう、対戦ゲームをプレイさせるプレイヤのペアを決定する。なお、
図5に示すマッチング処理では、発明の理解を容易にすべく、マッチング待機リストにプレイヤ管理情報が含まれる全プレイヤについて相手プレイヤが決定されるものとして説明する。しかしながら、マッチング処理の特性上、全プレイヤについて相手プレイヤが1回で決定されるものではなく、1人のプレイヤについて本ステップの処理が複数回行われ得ることは理解されよう。その場合、マッチングが完了したプレイヤに係るプレイヤ管理情報をマッチング待機リストから削除した後、再度、当該マッチング待機リストについてS501~S503の処理を繰り返せばよい。
【0048】
S504で、マッチング処理部205はサーバ制御部201の制御の下、S503のマッチング結果の情報を、マッチング要求に対する応答として、サーバ通信部207を介して該当のゲーム装置100に返送する。より詳しくは、マッチング処理部205は、S503において決定されたプレイヤのペアのそれぞれについて、一方のプレイヤが利用するゲーム装置100に、他方のプレイヤに係るプレイヤ管理情報を相手プレイヤの情報として送信する。このとき、当該ペアに係る対戦ゲームの実現に用いられるセッションへの接続に必要な情報(接続情報)も送信する。
【0049】
このようにして相手プレイヤのプレイヤ管理情報と接続情報とを受信すると、制御部101は相手プレイヤが選択されたものとして、処理をS404に移す。
【0050】
S404で、制御部101は、S403において受信した接続情報に基づいてセッションに接続し、対戦ゲームのプレイ体験の提供を開始する。当該対戦ゲームは、ゲーム装置100を利用するプレイヤと、サーバ200からプレイヤ管理情報を受信した、他のゲーム装置100を利用する相手プレイヤとの間で実行される。そして制御部101は、対戦ゲームの終了条件が満たされると、所定の終了演出を提示させるように提示制御部106を制御し、本提供処理を完了する。このとき、サーバ200の管理部206は、セッションに係る対戦ゲームの終了条件が満たされたことに応じて、当該対戦ゲームプレイ内容に基づいて、プレイヤ管理DB204に管理されている参加したプレイヤに係るプレイヤ管理情報のランク情報603及び履歴情報604を更新(変更)する。
【0051】
一方、S402においてプレイヤカードからの情報取得がなされていないと判断した場合、制御部101はS405で、プレイヤカードからの情報取得の受け付けを終了するか否かを判断する。本ステップの判断は、プレイヤによる受け付け終了に係る操作入力がなされたか否か、あるいはプレイヤカードからの情報取得を受け付ける期間が終了したか否かに基づいて行われるものであってよい。制御部101は、プレイヤカードからの情報取得の受け付けを終了すると判断した場合は処理をS406に移し、受け付けを終了しないと判断した場合は処理をS401に戻す。
【0052】
S406で、制御部101は、プレイ体験を提供する対戦ゲームの相手プレイヤを、仮想プレイヤのうちから選択する。
【0053】
S407で、制御部101は、対戦ゲームのプレイ体験の提供を開始する。当該対戦ゲームは、ゲーム装置100を利用するプレイヤと、S406において選択した相手プレイヤ(仮想プレイヤ)との間で実行される。そして制御部101は、対戦ゲームの終了条件が満たされると、所定の終了演出を提示させるように提示制御部106を制御し、本提供処理を完了する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のゲームシステムでは、プレイヤ情報の取得有無に応じて相手プレイヤの選択方法を異ならせ、公平性を担保した対戦ゲームを実現することができる。
【0055】
[実施形態2]
上述した実施形態では、プレイヤ情報が取得された場合に実行される対戦ゲームの相手プレイヤが、サーバ200におけるマッチング処理を介して選択される態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば1つの設置店舗において、当該店舗のLANを介して複数のゲーム装置100が接続されて対戦可能に構成される態様では、プレイヤ情報が取得された場合の相手プレイヤの選択は、サーバ200等の外部の装置ではなく、いずれかのゲーム装置100において行われるものであってもよい。この場合、1つのゲーム装置において対戦ゲームの開始要求がなされた場合に、当該ゲーム装置100がホストとなるか否かを他のゲーム装置100の利用状況に応じて決定し、ホストとなる場合に、他のゲーム装置100からマッチング要求を受信して、サーバ200と同様のマッチング処理を行えばよい。
【0056】
なお、このような態様では、プレイヤ管理情報をサーバ200のプレイヤ管理DB204で管理するのではなく、各プレイヤカードに格納可能にしてもよい。即ち、プレイヤカードが保持する情報は、プレイヤを一意に特定可能なプレイヤIDに限らず、設定情報、ランク情報及び履歴情報を含み、プレイヤカードの読み取り時に取得可能であってもよい。この場合、プレイ体験が提供された対戦ゲームのプレイ内容に基づいて、各制御部101がプレイヤカードに保持される情報を変更すればよい。
【0057】
[変形例]
上述した実施形態では、プレイヤ情報の取得がなされなかった場合には対戦ゲームの相手プレイヤを仮想プレイヤとする態様について説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、既にプレイヤ管理情報の登録済みであるプレイヤがプレイヤカードを持参し忘れたような場合、仮想プレイヤとの対戦ゲームを所望しない可能性があり、プレイヤ情報の取得がなければ対人対戦のプレイ体験を提供しないとする態様では、収益の機会を逃し得る。換言すれば、プレイヤカードからの情報取得がなかったとしても、プレイヤが、例えばお試しでの対戦ゲームのプレイを所望しているのか、対人対戦のゲームプレイを所望しているのかが判別できず、好適なプレイ体験を提供できない可能性があった。
【0058】
このような態様を考慮すべく、例えばプレイヤ情報の取得がない場合には、仮想プレイヤとの対戦ゲームのプレイ体験を提供する「ゲストプレイモード」と、ランクの変動や力量差の調整はなされないが実プレイヤとの対戦ゲームのプレイ体験を提供する「通常プレイモード」のいずれかの選択を受け付ける構成としてもよい。即ち、プレイヤ情報の取得がなく、かつ、ゲストプレイモードが選択された場合には、仮想プレイヤから相手プレイヤを選択し、プレイヤ情報の取得がなく、かつ、通常プレイモードが選択された場合には、実プレイヤから相手プレイヤを選択するように制御されてもよい。
【0059】
なお、これらのモードの選択は、プレイヤ情報の取得がなされない場合に限って受け付けられるものであってよい。また、通常プレイモードの選択時の相手プレイヤの選択は、プレイヤ間の公平性を担保すべく、同様にプレイヤ情報の取得がなされていないプレイヤを優先し、次いで所定のランク以上(力量が高い)のプレイヤから選択するよう制御されればよい。
【0060】
[その他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
100:ゲーム装置、101:制御部、102:記録媒体、103:メモリ、104:支払検出部、105:取得部、106:提示制御部、107:操作入力部、108:通信部、110:提示部、200:サーバ、201:サーバ制御部、202:サーバ記録媒体、203:サーバメモリ、204:プレイヤ管理DB、205:マッチング処理部、206:管理部、207:サーバ通信部、300:ネットワーク、
【要約】
【課題】公平性を担保した対戦ゲームを実現する。
【解決手段】プログラムは、プレイヤに対戦ゲームのプレイ体験を提供するコンピュータに、プレイヤに係るプレイヤ情報を取得する取得処理と、対戦ゲームについて相手プレイヤを選択する選択処理と、プレイヤと選択処理により選択された相手プレイヤとを参加させた対戦ゲームのプレイ体験を提供する提供処理と、を実行させるプログラムであって、選択処理は、取得処理におけるプレイヤ情報の取得の有無に応じて、相手プレイヤの選択方法を異ならせる。
【選択図】
図4