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特許7112586モジュール式制御キャビネットの組立システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】モジュール式制御キャビネットの組立システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021506055
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019059978
(87)【国際公開番号】W WO2019202023
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】18168441.6
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520409556
【氏名又は名称】リタール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイクセル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミヘルス トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ザックライ ユーディット
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-060389(JP,A)
【文献】特開2002-207509(JP,A)
【文献】特開2015-125527(JP,A)
【文献】特開2016-213159(JP,A)
【文献】特開平05-111835(JP,A)
【文献】特開2010-211726(JP,A)
【文献】特開平04-041139(JP,A)
【文献】特開2019-074904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチキャビネットハウジング(6)においてモジュール式スイッチキャビネット機器の完成を支援するためのコンピュータによって実行される方法であって、前記スイッチキャビネットハウジング(6)は、複数の電気及び/又は電子設置モジュール(5~5’’’)及び追加の任意選択構成要素のための固定手段を備え、
前記方法が、
(a)コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記スイッチキャビネット機器の用途に特有の構成のための計画された設計(2)を受け取るステップと、
(b)前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記計画された設計(2)を分析し、互いに依存し、組立作業員(M)又はロボットデバイス(R)により実行される個々の組立ステップ(A、B、C、D)に分解し、効率的な組立ステップシーケンスを決定するステップと、
組立作業員(M)が前記組立ステップシーケンスのうちの組立ステップ(A、B、D)を実行するよう指定されている場合(I)に以下のステップが実施され、
(c)前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記組立作業員(M)の組立現場において設置されたディスプレイユニット(11~11’’)に、画像及び/又はテキスト情報の形態の、前記決定された組立ステップシーケンスの手作業の組立ステップ(A)の組み立て指示を表示させるステップと、
(d)前記組立現場にて前記組立作業員(M)向けに設置された入力ユニット(12~12’’)を介した完了した前記組立ステップ(A)を確認する入力に応じて、前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記表示された画像及び/又はテキスト情報に従って前記組立作業員(M)によって実施された前記手作業の組立ステップ(A)の完了をログに記録して、次に計画されている組立ステップ(B)を呼び出すステップと、
を含み、
場合(I)によるステップ(c)~(d)に加えて、ロボット支援により実行される少なくとも1つの自動組立ステップ(C)が、前記コンピュータ援用支援ユニット(1)による前記分析の結果として場合(II)において定義され、
(c’)前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記自動組立ステップ(C)を、前記スイッチキャビネット機器の組み立てのための機械可読組立指示の形態でロボットデバイス(R)に送出するステップと、その後、
(d’)前記ロボットデバイス(R)が、前記機械可読組立指示に従って前記自動組立ステップ(C)を実施するステップと、
(e’)前記自動組立ステップ(C)の完了後、前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、前記自動組立ステップ(C)の完了を確認して、その完了をログに記録して、次に計画されている組立ステップ(D)を呼び出すステップと、
を更に含む、方法。
【請求項2】
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、自動実行に必要とされる前記ロボットデバイス(R)が利用可能でない場合に、計画された自動組立ステップ(C)を手作業組立ステップ(C)に変換するために、前記組立ステップ(A、B、C、D)を実施するために利用可能な組立作業員(M)及び/又はロボットデバイス(R)の生産リソースの調整に基づいて、前記効率的な組立ステップシーケンスを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、最も短い実施可能な組立時間及び/又は必要とされる組立リソース(組立作業員/ロボット)の組立に基づいて、組立ステップシーケンスの異なる変形形態の間から選択を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
手作業の又は自動化された組立ステップ完了したことの確認()又は(e’)の後で、
(f)装着された前記設置モジュール(5~5’’’)の設置公差がセンサによってチェックされ、
(g)前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記設置公差を公差情報として前記次の組立ステップに伝え、その結果、
(h)前記次の組立ステップが開始される前に、指定された公差範囲内の偏差の許容性の評価が実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の方法により、複数の電気及び/又は電子設置モジュール及び追加の任意選択構成要素のための固定手段を備えたスイッチキャビネットハウジング(6)においてモジュール式スイッチキャビネット機器の完成のため電気及び/又は電子設置モジュール(5~5’’’)を装着するためのシステムであって、
計画された設計(2)への分析と、互いに依存し、組立作業員(M)又はロボットデバイス(R)によって実施される個々の組立ステップ(A、B、C、D)への分解によって、生産効率のよい組立ステップシーケンスを決定するためのコンピュータ援用支援ユニット(1)と、
前記決定された組立ステップシーケンスの手作業の組立ステップ(A、B、D)を視覚化するために、少なくとも1人の前記組立作業員(M)に対して組立現場において設置された、画像及び/又はテキスト情報の表示のための少なくとも1つのディスプレイユニット(11~11’)と、
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記完了を記録し、次の予定された組立ステップを呼び出すようにするために、前記組立作業員(M)により前記組立ステップ(A、B、D)が完了したことの確認を少なくとも入力するための少なくとも1つの入力ユニット(12~12’)と、
を備える、システム。
【請求項6】
分析アルゴリズム(10)が前記コンピュータ援用支援ユニット(1)において実装され、前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記分析アルゴリズム(10)に基づいて、計画された前記設置モジュール(5~5’’’)のデジタル3次元レイアウト(3)及び部品表情報(4)を少なくとも含む前記計画された設計(2)を分析して、互いに依存する個々の組立ステップ(A、B、C、D)に分解し、
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)が、前記分析アルゴリズム(10)に基づいて、少なくとも1つの知識データベース(W)にアクセスすることにより、前記設置モジュール(5~5’’’)を、組立ステップ(A、B、C、D)及び定義されたシーケンスの関連する組立指示に割り当てる、ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、組立ステップライブラリのデータオブジェクトが格納され、個々の組立ステップ(A、B、C、D)についての画像及び/又はテキスト情報が格納される視覚化データベース(V)にアクセスする、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、所定の設置公差を考慮した公称仕様により、センサによって検出される装着された設置モジュール(5~5’’’)の実際の設置位置をチェックするため公差評価デバイス(T)と相互作用する、ことを特徴とする請求項5~7の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータ援用支援ユニット(1)は、稼働上利用可能な、組立作業員(M)及び/又はロボットデバイス(R)の生産リソースに関する生産制御システム(9)からの情報を処理して、現在の生産能力利用度に適合する組立ステップシーケンス(A、B、C、D)を決定する、ことを特徴とする請求項5~8の何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1~4の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電気及び/又は電子組み込みモジュール及び追加の任意選択構成要素のための固定手段を備えた、スイッチキャビネットハウジングにおけるモジュール式スイッチキャビネット機器の完成のための電気及び/又は電子組み込みモジュールの組立システム及び方法に関する。更に、本発明はまた、そのプロセスを具現化するコンピュータプログラム製品、並びに、その組立を実施するためにコンピュータプログラム製品によって生成される特別なデータフォーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、スイッチキャビネット技術に関する。スイッチキャビネットは、家庭領域で使用されることもあるが、主として、電気及び/又は電子構成要素の保護ハウジング用の産業用途で使用される。本明細書で対象とするタイプのこのようなスイッチキャビネットは、電気及び電子構成要素を収容しており、これらは通常、好ましくは、自動化された製造プラント、プロセス工学プラント、工作機械等を制御するために、標準化された組み込みモジュールの形態で設計される。したがって、制御キャビネットにおける組み込みモジュールは、フィールドデバイスとして機械内に直接配置されることのない制御構成要素である。組み込みモジュールの例としては、電源と、制御される機械及びシステムとの接続を確立するプログラマブルロジックである。スイッチキャビネットへのスイッチキャビネット備品の装備は、用途に特有の設計に従って実施される。
【0003】
最近では、エンクロージャー機器の概念設計及び構成に関するこのような設計は、例えば、本発明の範囲内にあるいわゆる計画された設計のEPLAN Pro Panel(登録商標)によって生成されるソフトウェアベースのものである。このような計画された設計は、詳細には、レイアウトの形態の3次元マウンティングレイアウト、電気及び電子設置モジュールの仮想配線、及び必要に応じて、他の構成要素、並びに供給及び配分される電力に合わせて調整されるフレキシブル電力配分システムのための銅バス等の構成を含む。電気又は電子設置モジュールは、例えば、スイッチキャビネットの内側のトップハットレールによって装着することができる。スイッチキャビネットを完成させるために、ファン、フィルタ、換気装置、熱交換器、空調ユニット、屋内照明システム、ケーブル差し込み口、及び同様のものなどの任意選択構成要素もまた、設計することができる。更に、計画された設計のデータ技術情報の範囲はまた、特有のケーブル差し込み口方向、締結具に必要なスクリュー締結トルク、必要な追加の保護キャップ等など、構造境界条件に関する追加の情報を含むことができる。
【0004】
最近のスイッチギヤ及び制御システム構成において、計画された設計は、その用途でサポートされている計画ソフトウェアを作成する顧客によって生成することができる。この構成ステップはまた、顧客の仕様に従ってスイッチギヤキャビネットの製造者によって実行することができる。計画支援として、オブジェクトライブラリが付加された支援システムが利用可能であり、これを用いてスイッチギヤキャビネット構成を幾何学的寸法及び有効な標準基準を考慮して作成することができる。次いで、結果として得られる計画された設計は、スイッチギヤ及び制御キャビネット製造者に送られ、この製造業者が、保護サービスの範囲内で熟練者の視点から計画された設計をチェックし、次いで、製造業者の電気作業所においてスイッチギヤキャビネットに完了を指示する。スイッチギヤ及び制御システム施工業者の電気作業所において、1又は2人以上の組立作業員は、専門知識及び職業上の経験を利用してスイッチギヤの組み立てを引き受ける。通常、スイッチキャビネットは、予組立及び予備試験を済ませた製品の形態で電気作業場を離れ、顧客の現場で設置、接続及び試運転が行われる。
【0005】
特に、組立プロセスの間、通常は部品表と共に全体のレイアウトとして組立作業員が利用可能な設計の実施においてエラーが生じる可能性がある。構成の実施において、エラーのリスク及び組立時間を最小限にするために、組立作業員の十分な知識及び経験が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に時間的効率のよい組立ステップシーケンスを考慮に入れて、用途毎に個々に構成されるスイッチギヤキャビネット機器の技術的に支援されたエラーのない組み立てを実現できるように、モジュール式スイッチギヤキャビネット機器の組み立てプロセス並びにシステムを更に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のモジュール式制御キャビネット機器の組立システムによって解決される。このシステムで実施される方法に関しては、請求項6を参照されたく、請求項11によるコンピュータプログラム製品にて具現化することができる。それぞれの参照される従属請求項は、本発明の有利な更なる発展を反映している。
【0008】
本発明は、汎用タイプのモジュール式スイッチギヤキャビネット機器において、コンピュータ援用支援ユニットが、計画された設計を分析して、該計画された設計を互いに基づいて個々の組立ステップに分解することによって生産効率のよい組立ステップシーケンスを決定することを教示するシステム工学を含む。支援ユニットは、個々の組立ステップが組立作業員によって又はロボットによって最も良好に実行されるかを決定する。この決定は、まず、好ましくは組立作業員及びロボット機器のリソースに基づいた様々な可能な組立の選択肢を決定することと、これらから最も効率的な組立の選択肢を選択することを含む。効率基準として、主として全組立プロセスの計算上の組立時間が使用され、これが最小限になるべきである。コンピュータ援用支援ユニットによって決定される生産効率のよい組立ステップシーケンスの実施において、画像及び/又はテキスト情報のための少なくとも1つのディスプレイユニットが少なくとも1人の組立作業員のために組立現場において設置され、このディスプレイユニットを介して、決定された組立ステップシーケンスの個々の組立ステップが視覚化される。これは、好ましくはエラーのない構成の実装を支援する手段を提供する。更に、入力ユニットは、組立作業員により完了した設置ステップの確認のために設置場所に設置され、これにより支援ユニットは、完了をログに記録して、次に計画されている設置ステップを呼び出すことができるようになる。ディスプレイユニットはまた、例えば、入力感知ディスプレイを備えたタブレットコンピュータとして入力ユニットと組み合わせることができる。
【0009】
組立ステップのうちの少なくとも1つが自動組立ステップとして実行することが適切であることを、支援ユニットによる計画された設計の分析が示した場合、コンピュータ援用支援ユニットによる分析の結果として別の組立ステップはまた、組立作業員の代わりにロボットデバイスによって実行することができる。
【0010】
本発明にとって不可欠であるこの分析活動を実施するために、分析アルゴリズムがコンピュータ援用支援ユニットに実装され、該分析アルゴリズムは、接続構成によりスイッチキャビネットに配置された設置モジュールの3次元レイアウト並びに計画された設置モジュールの部品表を少なくとも含む計画された構成を、互いに依存する個々の組立ステップに分解し、分析アルゴリズムは、知識データベースにアクセスすることによって、組み立てられる設置モジュールを組立ステップに並びに定義されたシーケンスにおいて関連する組立指示に割り当てる。例えば、電源設置モジュールが計画された設計において識別され、これを最初に設置する必要があると知識データベースが示した場合には、電源設置モジュールが設置ステップAに割り当てられる。更に、知識データベースは、電源設置モジュールが設置者によって手作業で設置する必要があるとの設置指示を提供する。レイアウトによれば、電源設置モジュールは、スイッチキャビネットの上部左隅に装着する必要がある。
【0011】
この情報を含むデータセットを用いて、各組立ステップを一意的に記述することができる。データレコードは、組立ステップの識別子、組立対象の名称、組立対象がどのように組立られるか(組立指示)及びロボットデバイス又は組立作業員の何れがこの組立ステップを実施するかに関するテキスト又は画像形態の情報からなる。このデータレコードはまた、好ましくはロボットデバイスが組立ステップを実行し、ロボットデバイスが利用可能でない場合に代わりに組立作業員が実施することを示す優先順位を含むことができる。従って、データフォーマットは、割り当てに関する特定の情報を含む。
1.いつ?(組立ステップA、B、C、D)
2.何を?(装着対象x、y)
3.どのように?(組立指示スキーム)
4.だれが?(ロボット/組立作業員R/M)
【0012】
この特別なデータフォーマットは、テキスト又は画像情報の形態で表示される組立指示を有することができる組立作業員にとって、及び組立指示がこの場合最小で機械可読に格納されるロボット機器の制御に関しての両方で普遍的な利便性を有するという利点がある。同時に、このデータフォーマットは、集中的データコンテンツに限定され、コンピュータによって迅速に処理され、リレーショナルデータベースモデルに統合することができる。
【0013】
組立指示が、組立ステップの手作業による実行のため組立作業員に送出される場合、本発明を更に改善する手段により、コンピュータ援用支援ユニットが、組立ステップライブラリのデータレコードが格納され且つ設置モジュールの個々の組立ステップについての画像/テキスト情報が検索可能に格納される視覚化データベースにアクセスすることが提案される。支援ユニットは、分析結果に応じて適切な組立指示を設置者に送出するために、視覚化データベースの個々のデータレコードにアクセスする。
【0014】
本発明のステップを改善する別の手段によれば、コンピュータ援用支援ユニットは、指定された設置公差を考慮した目標仕様で装着された設置モジュール及び全ての構成要素のセンサにより登録された実際の設置位置を試験する評価デバイスと相互作用することが提案される。また、制御キャビネットの自動配線を実施する場合には、実際の設置位置は、計画された設計によって指定される目標設置位置から狭い設置公差内でしか逸脱していないことが特に重要である。例えば、後続の組立ステップとして配線が実施される場合、このような公差チェックにより、自動化組立ステップが正しく実施されることが確実にされる。このような公差チェックの結果は、一般に、先の組立ステップの結果を公差補償して考慮できるように、隣接する作業ステップ間で伝えられることができる。
【0015】
別の本発明の改善手段によれば、コンピュータ援用支援ユニットは、稼働上利用可能な、組立作業員及び/又はロボット機器の製造リソースを考慮するために、製造プラントの製造制御システムに接続されることが提案される。これに基づいて、コンピュータ援用支援システムは、現在の生産作業負荷に適合された組立ステップシーケンスを決定することができる。生産制御システムから得られた情報が、例えば、配線ロボット機器が故障により動作しないこと、又は計画期間に他の組立タスクで既に完全に埋まっていることを示す場合には、コンピュータ援用支援システムは、代わりに組立作業員によって配線の組立ステップの手作業による実行がなされることを決定することができる。このような背景の下で、コンピュータ援用支援システムは、生産計画を考慮に入れて、当初は自動化組立ステップとして計画した組立ステップを手作業による組立ステップに変換し、これに関して、組立指示は、ロボットデバイス用の制御コマンドの形態ではなく、組立作業員を支援するための画像/テキスト情報の形態で送出することができる。
【0016】
本発明による汎用のモジュール式スイッチキャビネット機器の組立のための方法は、好ましくは、プログラムコードが本方法を実施する役割を果たすコンピュータプログラム製品として設計される。入力情報として機能する計画された構成の分析は、中央の位置で行うことができ、他方、組立作業員又は組立ステップの自動実行のためのロボット機器の制御の個別の組立ステップの視覚化は、組立現場にて分散的に実行される。組立作業員による、又はロボットデバイスによる完了した組立ステップの意図された確認のために、組立現場と中央の支援ユニットとの間の通信は、双方向に行われ、これにより個々のプロセスステップが、この分散システム内で実行される。
【0017】
本発明を改善する更なる手段は、図を用いて本発明を実施する方法の実施例に関する記載と共に以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】モジュール式制御キャビネット機器の組み立てシステムの概略ブロック図である。
図2】本システムで実施される組立手順の個々のステップのフローチャートである。
図3a】組立ステップAを開始するためのコンピュータ援用支援ユニットによって出力される例示的なデータセットの図である。
図3b】組立ステップDを開始するためのコンピュータ援用支援ユニットによって出力される例示的なデータセットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1によれば、モジュール式制御キャビネット機器の組立システムは、生産効率のよい組立ステップシーケンスの決定のためのコンピュータ援用支援ユニット1を含む。これは、ファイル形式で支援ユニット1に入力される計画された設計2に基づいて行われる。計画された設計2は、3次元レイアウト3と、全ての設置モジュール5~5’’’及び他の構成要素の部品表4(これらは、固定手段7上、例えば、トップハットレール上のスイッチキャビネットハウジング6に装着される)とに関する情報を収容する。
【0020】
生産効率のよい組立ステップシーケンスを決定するために、コンピュータ援用支援ユニット1は、計画された構成2を、互いに依存し、組立作業員M又はロボットデバイスRの何れかによって実施される個々の組立ステップに分解しする。このために、分析アルゴリズムが、分析部10の範囲内でコンピュータ援用支援ユニット1に実装され、分析アルゴリズムは、計画された構成2に従って、定義されたシーケンスで装着される設置モジュール5~5’’’を組立ステップA~D並びにそれぞれの組み立て指示に割り当てる。この分析は、接続された知識データベースWにアクセスして実施される。知識データベースWには、必要なプロセス知識、例えば、組立内容、組立シーケンス、組立の専門知識に関する情報が格納される。
【0021】
更に、コンピュータ援用支援ユニット1は、組立ステップライブラリのデータレコードが格納された可視化データベースVを含む。これらのデータセットは、個々の組立ステップA~Dについての画像及び/又はテキスト情報を含み、組立作業員Mが組立現場にて利用可能となり、組立作業員が現場で指示される組立ステップを実行するのを支援する。
【0022】
更に、コンピュータ援用支援ユニット1は、評価装置8を備えており、該評価装置は、指定された設置公差を考慮した目標仕様でカメラユニット13を介してセンサによって記録される、装着された設置モジュール5~5’’’の実際の設置位置の検査と相互作用する。
【0023】
加えて、コンピュータ援用支援ユニット1はまた、効率的な組立ステップシーケンスを決定するために、組立作業員M及び/又はロボットデバイスRに対する稼働上利用可能な生産リソースに関する情報を、ERP/PPSの形態の上位レベル生産制御システム9から受け取る。この情報を背景にして、コンピュータ援用支援ユニット1は、プラントの現在の生産能力利用度に適合された組立ステップシーケンスA~Dを決定する。
【0024】
組立ステップA、B及びDが組立作業員Mによって手作業で実施されるべきであるとコンピュータ援用支援ユニット1が決定した場合、画像及び/又はテキスト情報の形態の対応する作業指示が、組立現場に設置されたディスプレイユニット11上に表示される。後続のディスプレイユニット11′及び11′′は、コンピュータ援用支援ユニット1によって決定された組立ステップシーケンスの他の手作業組立ステップC及びDを視覚化するために設けられる。更に、入力ユニット12~12′′もまた、組立作業員が手作業で設置するために設置場所に設置され、これにより、組立作業員は完了した設置ステップを少なくとも確認するはずであり、コンピュータ援用支援ユニット1が、例えば、この情報の結果として設置ステップAの完了をログに記録して、次に計画されている設置ステップBを呼び出すことができるようになる。これは、作業所において同じ組立現場又は隣接する組立現場において実施することができる。
【0025】
システムによって実施される組立手続きの基本的シーケンスについて、図2を用いて以下で説明する。
【0026】
最初のステップ(a)の一部として、EPLAN Pro Panel(登録商標)などのソフトウェアを使用して作成された計画された設計は、分析のためにコンピュータ援用支援ユニットに利用可能になる。計画された設計は、少なくとも、3次元レイアウトに関するデータと、装着されるエンクロージャーのエンクロージャー機器に関する関連部品表情報を含む。従って、計画された設計のファイルは、制御キャビネットの用途に特有の構成を記述している。
【0027】
ステップ(b)では、計画された構成のデータが、入れ子式に構築される個別の組立ステップA、B、C、Dに分割するための分析アルゴリズムを使用することによって処理される。分析アルゴリズムは、知識データベースに頼る分解の関連において、組立作業員又はロボットデバイスがそれぞれの組立ステップを実行するべきであるかどうかを判断して、対応する割り当てを行う。
【0028】
分析により、計画された構成の分解に起因する組立ステップAを手作業で実行する必要があることが示された場合、ステップ(c)の後に、組立作業員に対する決定された組立ステップシーケンスの手作業組立ステップAが作業スペースに設置されたディスプレイユニット上に視覚化される。ディスプレイユニットは、コンピュータ援用支援ユニットにより視覚化データベースから取得されていた組立指示として画像及び/又はテキスト情報を含む。
【0029】
次に、ステップ(d)において、組立作業員は、表示された手作業取付ステップAを実行し、ここでは、例えば、プログラマブルロジックコントローラ用のデバイスアダプタが、制御キャビネットのトップハットレールに組み込みモジュールとして取り付けられる。
【0030】
組立作業員が組立ステップAを完了した場合、組立作業員は、1つのステップ(e)において、組立現場にて設置された入力ユニットを介して専門的に実行された組み立てを確認し、この実行例では、入力ユニットは、バイナリ確認情報だけでなく、実行された組み立ての過程での特別な状況に関するコメントも入力できるようにキーボードとして設計されており、該コメントは、コンピュータ援用支援ユニットにフィードバックされる。この情報は、コンピュータ援用支援ユニットにフィードバックされる。このような取り付けの難しさは、ハウジングの左上隅に配置される電気設置モジュールが、幾何学的寸法が大きい可能性があることに起因して、スイッチキャビネットの後壁に取り付けられた取付プレートのトップハットレールに取り付けることが困難であることによって発生する可能性がある。このこと及び同様の情報により、コンピュータ援用支援ユニットの知識データベースは、情報技術の観点から充実させることができ、その結果、将来の組立ステップの計画を改善することができる。上記の取り付けが困難であることに関するフィードバック情報が適切であると評価された場合、スイッチキャビネットのこの危険な設置位置の同一又は類似の設置モジュールが設けられることは将来的に除外される可能性がある。この点で、このフィードバックはまた、冒頭で述べたソフトウェア支援の計画ツールを使用した将来のCAD設計にも影響を与える。
【0031】
設置が完了し、確認され、必要に応じてコメントが付けられると、装着されたインストレーションモジュールの設置公差が、次のステップ(f)においてセンサにより技術的にチェックされる。これは、例えば、装着された組み込みモジュールの実際の設置位置を記録する画像取得システムのカメラユニットを使用して行うことができる。
【0032】
次のステップ(d)では、公差情報は、目標/実際の比較後の次の組立ステップの際にコンピュータ援用支援ユニットによって考慮され、必要に応じて伝えられる。こうすることで、後続の組立ステップ、特に自動組立ステップは、実際の設置位置に起因してロボットデバイスによってこのステップを全て実行できるかどうか、又は最初に手直しする必要があるかどうかに関する情報を受け取ることができる。
【0033】
指定された公差範囲内の逸脱の許容性のこの評価は、組立ステップシーケンスのステップ(h)において実行される。次いで、次の組立ステップBが呼び出される。
【0034】
組立ステップA、B、C、Dの1つが、ステップ(b)において自動組立ステップCとして定義されている場合、この自動組立ステップCは、ステップ(c′)において支援ユニットによって、スイッチキャビネット機器を装備するための機械可読命令形態でロボットデバイスに出力される。このようなロボットデバイスは、例えば、電気及び電子設置モジュール用の配線ロボットとすることができる。これらの組み込みモジュールの組み立てに関して、計画された構成、特に既知のレイアウトによって電気接続ピンの位置が分かる。これらのピンは、計画された構成にも属する配線図に従って、キャビネット内で自動的に配線することができる。
【0035】
これは、次のステップ(d′)において行われ、ここでは、ロボットデバイスが、ロボット制御に従って自動組立ステップCを実行する。ロボット制御ユニットの制御コマンドは、支援ユニットの機械可読組み立て命令から取得される。
【0036】
自動組立ステップCの完了後、それはステップ(e′)において確認され、コンピュータ援用支援ユニットは、自動組立ステップCの完了をログに記録し、次に予定された組立ステップDを呼び出すことができる。
【0037】
しかしながら、この前に、ステップ(f)~(h)に従って設置公差試験が実施される。
【0038】
図3aには、コンピュータプログラム製品の例示的な出力データセットが示されており、これは、コンピュータ援用支援ユニットによって実行された分析の結果として、計画された設計を個々の組立ステップA、B、C、Dに分解する。組立ステップシーケンスを説明するために、出力データセットのデータフォーマットは、組立対象の名称「設置モジュールxy」が割り当てられた、例示的な組立ステップ「A」についての少なくとも1つのキー識別子、及び、-手作業で実行される組立ステップの場合に-この目的のために画像及び/又はテキスト情報の形式で使用される組立指示「スキーム」、及びこの組立ステップが特定の組立位置での手作業組立「M」に割り当てられていることを示す識別子を含む。
【0039】
図3bによれば、ロボットデバイスによって自動的に実行される組立ステップの出力データセットは、組立ステップ「C」のキー識別、組立対象「設置モジュールys」の名称、及び機械可読情報の形式の関連する組立指示「コード」、及び特定のロボットデバイスによる自動組立Rへの割り当てられていることを示す識別からなる。
【0040】
本発明は、上記の好ましい設計例に限定されない。例えば、手作業及び自動組立ステップの他のシーケンスも実行することができる。組立ステップの純粋に手作業シーケンス又は組立ステップの純粋に自動化シーケンスでさえも、本発明による解決策の原理に従って実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 コンピュータ援用支援ユニット
2 計画された設計
3 3次元レイアウト
4 部品表
5 設置モジュール
6 スイッチキャビネットハウジング
7 ファスナー
8 評価装置
9 生産制御システム
10 分析部
11 ディスプレイユニット
12 入力ユニット
13 カメラユニット
図1
図2
図3a
図3b