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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】計器用変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/26 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
H01F38/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022520823
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 JP2022000369
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/017182
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】岩本 真一
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-046018(JP,U)
【文献】特開平11-252726(JP,A)
【文献】特開2002-064026(JP,A)
【文献】特開平03-109705(JP,A)
【文献】特開2013-099129(JP,A)
【文献】特開2003-169410(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174612(WO,A1)
【文献】特開2010-101671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変圧器であって、
変成される一次電圧が印加される一次巻線と、
電気計器又は測定装置に二次電圧を供給する二次巻線と、を備え、
前記一次巻線及び前記二次巻線は、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを封入した容器に収納され、
前記一次巻線は、該一次巻線における層間を電気的に絶縁するための絶縁紙を介して巻線が積層され、
前記絶縁紙は、沿面の一部が曲げられており、
前記絶縁紙における沿面距離は、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、絶縁ガスとしてSFガスを封入するときの旧絶縁紙における沿面距離よりも長く、
前記絶縁紙における沿面の突出長さは、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、前記旧絶縁紙における沿面の突出長さと同じ長さである、計器用変圧器。
【請求項2】
鉄心を備え、
前記二次巻線は、前記鉄心の周りに巻回され、
前記一次巻線は、前記二次巻線の周りに前記二次巻線と同軸に巻回される、請求項1に記載の計器用変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器用変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
計器用変圧器は、一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変成器である。計器用変圧器には、密封構造により、油入形計器用変圧器とガス絶縁形計器用変圧器とに分類される。ガス絶縁形計器用変圧器は、内部に絶縁ガスを封入し、単独で密封可能な構造の計器用変圧器である。ガス絶縁形計器用変圧器に封入される絶縁ガスは、SFガスが一般的である。
【0003】
特許文献1は、絶縁ガスが封入された密閉容器に収納される接地形計器用変圧器の巻線構造に関する。特許文献1には、層間絶縁紙の両端部に凸部を形成したことで、巻線のズレや落線が防止されて巻線作業が容易となる、と記載されている。
【0004】
SFガスは、電気機器に必要な絶縁、消弧、不燃、無害等、多くの長所を有する反面、大気寿命が長く、評価年数を100年とした場合の地球温暖化係数比較でCOの23900倍と非常に大きな温室効果を示す。そのため、電気機器における脱SFガス化が求められている。
【0005】
特許文献2は、ガス絶縁開閉装置内に装着するモールド変流器に関する。特許文献2には、鉄心全体を固体絶縁物で被覆したことで、従来存在した2箇所の三重点のうち、絶縁性ガスと固体絶縁物と鉄心より成る三重点の電界を考慮する必要がなくなる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-64026号公報
【文献】特開2013-99129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、計器用変圧器における絶縁ガスとして、SFガスを使用することが開示されている。計器用変圧器において、絶縁ガスは、計器用変圧器を構成する高電圧側の部品と、計器用変圧器を構成する低電圧側の部品とを絶縁するために封入される。高電圧側の部品は、例えば、高圧シールド、導体等である。低電圧側の部品は、例えば、二次コイル、鉄心等である。
【0008】
一方、特許文献2には、モールド変流器における絶縁ガスとして、絶縁性の低いガスを使用することが開示されている。モールド変流器において、絶縁ガスは、モールド変流器を構成する高電圧側の部品と、モールド変流器を構成しない低電圧側の部品とを絶縁するために封入される。高電圧側の部品は、例えば、導体等である。低電圧側の部品は、例えば、導体の境界部、容器等である。なお、モールド変流器を構成する高電圧側の部品と、モールド変流器を構成する低電圧側の部品とは、モールド樹脂により絶縁される。
【0009】
このように、絶縁ガスは、計器用変圧器とモールド変流器とにおいて、使用目的が大きく異なる。したがって、計器用変圧器の開発者は、SFガスに代わる絶縁ガスを検討するにあたり、モールド変流器のための絶縁ガスとして知られているからといって、直ちに同じガスを計器用変圧器に流用できない。
【0010】
次に、特許文献1には、計器用変圧器における絶縁物として、絶縁紙を使用することが開示されている。絶縁紙は、一次巻線の巻線間に生じる電位差を絶縁するための絶縁物である。
【0011】
一方、特許文献2には、モールド変流器における絶縁物として、モールドを使用することが開示されている。モールドは、モールド変流器を構成する高圧側の部品と、モールド変流器を構成する低圧側の部品とを絶縁するための絶縁物である。また、特許文献2には、絶縁性の低いガスを使用する場合、絶縁物における沿面の沿面距離を長くするために、絶縁物を大きくする必要がある、という技術思想が開示されている。しかし、この技術思想は、その前段までの説明によれば、モールド変流器におけるモールドを対象としている。そもそも、モールド変流器は、一次巻線において電位差が生じることはなく、層間絶縁という概念がない機器である。
【0012】
このように、絶縁物は、計器用変圧器とモールド変流器とにおいて、使用目的が大きく異なる。したがって、計器用変圧器の開発者は、SFガスに代わる絶縁ガスを検討するにあたり、モールド変流器においてモールドを大きくすればよいという技術思想が知られているからといって、直ちに絶縁紙に流用できない。
【0013】
また、計器用変圧器は、需要家における受電設備のスペース生産性向上に伴い、より一層の電源信頼性向上と省スペース化が求められている。しかし、計器用変圧器においてSFガスよりも絶縁性の低い絶縁ガスを使用する場合、絶縁紙における沿面の沿面距離は、絶縁ガスとしてSFガスを使用する場合よりも長くする必要がある。その場合、計器用変圧器は、電源信頼性を維持するために大型化が避けられず、SFガスを使用する計器用変圧器における各種の部品を流用できない。ひいては、SFガスを使用する計器用変圧器の製造設備を流用できない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の態様においては、一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変圧器が提供される。計器用変圧器は、変成される一次電圧が印加される一次巻線を備える。計器用変圧器は、電気計器又は測定装置に二次電圧を供給する二次巻線を備える。一次巻線及び二次巻線は、SF6ガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを封入した容器に収納される。一次巻線は、該一次巻線における層間を電気的に絶縁するための絶縁紙を介して巻線が積層される。絶縁紙は、沿面の一部が曲げられている。絶縁紙における沿面距離は、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、絶縁ガスとしてSF6ガスを封入するときの旧絶縁紙における沿面距離よりも長い。絶縁紙における沿面の突出長さは、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、旧絶縁紙における沿面の突出長さと同じ長さである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかる計器用変圧器100の構成例を示す図である。
図2】一次巻線160の構成例を示す図である。
図3】絶縁紙IP1の構成例を示す図である。
図4】絶縁紙IP1における沿面C1の構成例を示す図である。
図5】絶縁ガスとしてSFガスを使用するときの沿面距離と、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するときの沿面距離との比較を示す図である。
図6】絶縁紙IP1における沿面C1の他の構成例を示す図である。
図7】絶縁紙IP1における沿面C1の他の構成例を示す図である。
図8】絶縁紙IP1における沿面C1の他の構成例を示す図である。
図9】計器用変圧器100の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる計器用変圧器100の構成例を示す図である。計器用変圧器100は、一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変成器である。この実施の形態における計器用変圧器100は、単相計器用変圧器である。計器用変圧器100は、容器110、蓋120、絶縁スペーサ130、高圧導体140、鉄心150、一次巻線160及び二次巻線170を備える。鉄心150、一次巻線160及び二次巻線170は、容器110に収納される。
【0019】
容器110には、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスが封入される。例えば、容器110には、フルオロニトリル及び二酸化炭素の混合ガスが封入される。また、例えば、容器110には、フルオロニトリル、二酸化炭素及び酸素の混合ガスが封入される。また、例えば、容器110には、フルオロケトン及び二酸化炭素の混合ガスが封入される。また、例えば、容器110には、フルオロケトン、二酸化炭素及び酸素の混合ガスが封入される。また、例えば、容器110には、乾燥空気が封入される。また、例えば、容器110には、二酸化炭素が封入される。また、例えば、容器110には、二酸化炭素及び酸素の混合ガスが封入される。
【0020】
容器110は、鉄心150、一次巻線160及び二次巻線170を収納する部材である。容器110は、上部に開口部111を備える。また、容器110は、容器110を蓋120と結合する際に用いるフランジ112を備える。
【0021】
蓋120は、容器110の開口部111を塞ぐ部材である。蓋120は、容器110の開口部111を塞ぐように設けられる。蓋120は、高圧導体140を挿入するための開口部121を備える。また、蓋120は、蓋120を容器110と結合する際に用いるフランジ122を備える。
【0022】
絶縁スペーサ130は、容器110と蓋120との間の電気の伝導を断つ絶縁体である。絶縁スペーサ130は、容器110と蓋120とを結合する際に、容器110のフランジ112と蓋120のフランジ122との間に挿入される。
【0023】
高圧導体140は、電線路Cにおける高圧の一次電圧を一次巻線160に印加するための導体である。高圧導体140は、蓋120の開口部121に挿入される。高圧導体140の一端141は、容器110と蓋120とを結合した際に、容器110の外側において、電線路Cに接続される。高圧導体140の他の一端142は、容器110と蓋120とを結合した際に、容器110の内側において、図2に示す高圧シールドSに当接可能な位置に配置される。
【0024】
一次巻線160は、変成される一次電圧が印加される巻線である。二次巻線170は、電気計器又は測定装置に二次電圧を供給する巻線である。二次巻線170は、図示しない円筒状のボビンの外周に巻かれる。ボビンの中空部には、鉄心150が挿通される。二次巻線170の一端は、電気計器又は測定装置を接続可能な端子T1に接続される。二次巻線170の他の一端は、電気計器又は測定装置を接続可能な端子T2に接続される。一次巻線160は、二次巻線170の外周に巻かれる。一次巻線160と二次巻線170との間には、図示しない絶縁紙が設けられる。一次巻線160は、図2に示す高圧シールドSによって密封される。一次巻線160の一端は、高圧シールドSに接続される。一次巻線160の他の一端は、接地される。
【0025】
図2は、一次巻線160の構成例を示す図である。一次巻線160は、絶縁紙IP1を介して巻線161が積層される。
【0026】
図3及び図4は、絶縁紙IP1の構成例を示す図である。この実施の形態における絶縁紙IP1は、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見た長さが“L”である。一次巻線160の軸芯が延びる方向は、円筒状のボビンが延びる方向である。絶縁紙IP1は、一次巻線160において積層される巻線161の層間に介在したときに、最も外側に巻かれる巻線161Aよりも外側の部分が沿面C1となる。
【0027】
前述のとおり、容器110には、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスが封入される。しかし、SFガスよりも地球温暖化係数が低いガスは、SFガスよりも絶縁耐力が低い傾向にある。したがって、SFガスよりも地球温暖化係数が低いガスを使用する場合、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離は、絶縁ガスとしてSFガスを使用するときの沿面距離よりも長くする必要がある。
【0028】
図5は、SFガスを使用するときの従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2と、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するときの絶縁紙IP1における沿面C1とを示す図である。
【0029】
図5は、絶縁ガスとしてSF6ガスを使用するときの沿面距離と、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するときの沿面距離との比較を示す図である。図5(A)は、絶縁ガスとしてSFガスを使用するときの従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2を示す図である。図5(B)は、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するときの絶縁紙IP1における沿面C1を示す図である。
【0030】
図5に示す沿面距離の比較は、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提とする。例えば、図5に示す沿面距離の比較は、絶縁紙の素材が同じ素材であることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、一次巻線における巻線の素材が同じ素材であることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、一次巻線における巻線の巻き数が同じ巻き数であることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、一次巻線における巻線の太さが同じ太さであることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、計器用変圧器の電源信頼性を示す値が同じ値であることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、計器用変圧器の定格電圧が同じ電圧であることを前提とする。また、例えば、図5に示す沿面距離の比較は、計器用変圧器を設置するために必要なスペースが同じ広さであることを前提とする。
【0031】
絶縁ガスとしてSFガスを使用する場合、図5(A)に示すように、従来の旧絶縁紙IP2は、沿面距離L2を有する沿面C2が必要であると仮定する。これに対し、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用する場合、図5(B)に示すように、絶縁紙IP1は、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い沿面距離L1を有する沿面C1が必要となる。
【0032】
図3及び図4の説明に戻り、この実施の形態における絶縁紙IP1には、沿面C1の一部が屈曲された1つの屈曲部Eが形成されている。屈曲部Eは、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見て、長さ“W”の幅と高さ“H”の高さとを有する山形の形状を有する。
【0033】
この実施の形態における屈曲部Eは、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見て、最も外側に巻かれる巻線161Aに近い位置に形成されている。したがって、この実施の形態における屈曲部Eは、巻線161を巻くときに、最も外側に巻かれる巻線161Aを巻くときの位置を示すガイドとしても機能し、巻線161の正確な位置決めにも貢献する。
【0034】
絶縁紙IP1における沿面C1は、屈曲部Eを有する。屈曲部Eは、絶縁紙IP1における沿面C1の一部を折り曲げた部分である。絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、屈曲部Eが形成されることにより、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1よりも短い。ここで、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見た、軸芯が延びる方向における沿面C1の長さである。また、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離は、絶縁紙IP1によって隔離された一方の層における巻線161Aから他方の層における巻線161Aまで、絶縁紙IP1の表面を沿った最小距離である。絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するときに、互いに絶縁すべき層間における電気的絶縁を達成できる長さである。したがって、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い。
【0035】
絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、例えば、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さL2/2と同じ長さである。例えば、所定の条件は、絶縁紙の素材が同じ素材であることである。また、例えば、所定の条件は、一次巻線における巻線の素材が同じ素材であることである。また、例えば、所定の条件は、一次巻線における巻線の巻き数が同じ巻き数であることである。また、例えば、所定の条件は、一次巻線における巻線の太さが同じ太さであることである。また、例えば、所定の条件は、計器用変圧器の電源信頼性を示す値が同じ値であることである。また、例えば、所定の条件は、計器用変圧器の定格電圧が同じ電圧であることである。また、例えば、所定の条件は、計器用変圧器を設置するために必要なスペースが同じ広さであることである。
【0036】
以上、説明したとおり、計器用変圧器100は、一次電圧をこれに比例する二次電圧に変成する計器用変成器である。計器用変圧器100は、変成される一次電圧が印加される一次巻線160を備える。また、計器用変圧器100は、電気計器又は測定装置に二次電圧を供給する二次巻線170を備える。一次巻線160及び二次巻線170は、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを封入した容器110に収納される。一次巻線160は、絶縁紙IP1を介して巻線161が積層される。絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離は、絶縁ガスとしてSFガスを封入するときの旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離よりも長い。絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離よりも短い。
【0037】
また、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、絶縁ガスとしてSFガスを封入するときの絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さと同じ長さである。
【0038】
また、絶縁紙IP1は、沿面C1の一部が曲げられている。
【0039】
これらの形態によれば、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するタイプの計器用変圧器において、SFガスを使用するタイプの計器用変圧器における絶縁紙以外の部品を流用できる。ひいては、SFガスを使用するタイプの計器用変圧器の製造設備を、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを使用するタイプの計器用変圧器に流用できる。
【0040】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0041】
絶縁紙IP1における沿面C1に形成される屈曲部Eの位置は、上記実施の形態における位置に限られない。屈曲部Eは、沿面C1の一部に形成されていれば、沿面C1におけるいずれの位置に形成されてもよい。例えば、図6(A)に示すように、屈曲部Eは、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見て、沿面C1の中ほどに形成されてよい。また、例えば、図6(B)に示すように、屈曲部Eは、一次巻線160の軸芯が延びる方向に対して直交する方向から見て、沿面C1の端部に形成されてよい。
【0042】
絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、屈曲部Eの位置にかかわらず、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1よりも短い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、屈曲部Eの位置にかかわらず、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、屈曲部Eの位置にかかわらず、例えば、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さL2/2と同じ長さである。
【0043】
また、絶縁紙IP1における沿面C1に形成される屈曲部Eの数は、上記実施の形態における数に限られない。例えば、図6(C)に示すように、絶縁紙IP1における沿面C1には、複数の屈曲部Eが形成されてよい。
【0044】
絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、屈曲部Eの数にかかわらず、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1よりも短い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、屈曲部Eの数にかかわらず、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、屈曲部Eの数にかかわらず、例えば、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さL2/2と同じ長さである。
【0045】
また、絶縁紙IP1における沿面C1に形成される屈曲部Eの形状は、上記実施の形態における形状に限られない。例えば、図7(A)に示すように、屈曲部Eは、絶縁紙IP1の端部が屈曲された形状であってよい。例えば、図7(B)に示すように、屈曲部Eは、絶縁紙IP1の端部が複数回屈曲された形状であってよい。
【0046】
絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、屈曲部Eの形状にかかわらず、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1よりも短い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、屈曲部Eの形状にかかわらず、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、屈曲部Eの形状にかかわらず、例えば、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さL2/2と同じ長さである。
【0047】
また、絶縁紙IP1における沿面C1の一部を曲げる形態は、上記実施の形態における沿面C1の一部を屈曲する形態に限られない。例えば、図7(B)に示すように、絶縁紙IP1には、沿面C1の端部が湾曲された湾曲部FL1が形成されてよい。また、例えば、図7(C)に示すように、絶縁紙IP1には、沿面C1の端部が渦巻きのように巻かれた渦巻部Wが形成されてよい。また、例えば、図8(A)に示すように、絶縁紙IP1には、沿面C1の一部が湾曲された湾曲部FL2が形成されてよい。また、例えば、図8(B)に示すように、絶縁紙IP1には、沿面C1の一部が沿面C1の湾曲していない部分に対して鉛直に立ち上がるように湾曲された湾曲部FL3が形成されてよい。
【0048】
絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さL3は、沿面C1を曲げる形態にかかわらず、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1よりも短い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の沿面距離L1は、沿面C1を曲げる形態にかかわらず、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の沿面距離L2よりも長い。また、絶縁紙IP1における沿面C1の突出長さは、沿面C1を曲げる形態にかかわらず、例えば、従来の旧絶縁紙IP2における沿面C2の突出長さL2/2と同じ長さである。
【0049】
また、計器用変圧器100は、上記実施の形態における単相計器用変圧器に限られない。例えば、計器用変圧器100は、図9に示すような三相計器用変圧器であってよい。
【符号の説明】
【0050】
100・・・計器用変圧器、110・・・容器、111・・・開口部、112・・・フランジ、120・・・蓋、121・・・開口部121、122・・・フランジ、130・・・絶縁スペーサ、140・・・高圧導体、141・・・一端、142・・・他の一端、150・・・鉄心、160・・・一次巻線、161・・・巻線、161A・・・最も外側に巻かれる巻線、170・・・二次巻線、C1・・・沿面、E・・・屈曲部、F・・・支点、FL1・・・湾曲部、FL2・・・湾曲部、FL3・・・湾曲部、IP1・・・絶縁紙、L1・・・沿面距離、L2・・・沿面距離、L3・・・突出長さ、P1・・・位置、P2・・・位置、S・・・高圧シールド、T1・・・端子、T2・・・端子、W・・・渦巻部
【要約】
一次巻線及び二次巻線は、SFガスよりも地球温暖化係数が低い絶縁ガスを封入した容器に収納されてよい。一次巻線は、絶縁紙を介して巻線が積層されてよい。絶縁紙における沿面の沿面距離は、絶縁ガスの種類以外の計器用変圧器に関する所定の条件が同じ条件であることを前提として、絶縁ガスとしてSFガスを封入するときの旧絶縁紙における沿面の沿面距離よりも長くてよい。絶縁紙における沿面の突出長さは、絶縁紙における沿面の沿面距離よりも短くてよい。
図1
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図9