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  • 特許-受動安全性ニードルシールド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】受動安全性ニードルシールド
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 530
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019555439
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028394
(87)【国際公開番号】W WO2018195326
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】62/488,006
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522179943
【氏名又は名称】エンベクタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アジズ ガージス
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-088587(JP,A)
【文献】米国特許第05250031(US,A)
【文献】特開2009-183738(JP,A)
【文献】米国特許第05078697(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0220587(US,A1)
【文献】中国実用新案第201519342(CN,U)
【文献】特表2014-522707(JP,A)
【文献】特表2007-511285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルのための安全シールドであって、
ニードルの近位端に固定されるベース部材と、
ベース部材に蝶着され、ニードルから軸方向に延びる第1アームと、
第1アームに蝶着される第2アームと、
最初の使用後に、筐体ハウジングがニードルの遠位端から近位方向に摺動することを防止するロッキング機構と
を含み、第2アームは、筐体ハウジングにも蝶着され、筐体ハウジングは、ニードルの近位端に対して遠位であるニードルの部分に移動可能に連結されてニードルの長さに沿って摺動可能であり、筐体ハウジングは、患者の皮膚との接触に適合し、患者に対するニードルの挿入中にニードルを支持し、
第1アームおよび第2アームは、筐体ハウジングをニードルの遠位端に向かって付勢し、
ロッキング機構は、ニードルを取り巻き、最初の使用の前にベースに隣接して配置されるスナップホック部材をさらに含み、
スナップホックは、内方および近位端に向かって配向し、ニードルに向かって付勢されている複数の棘部を含み、
最初の使用中、筐体ハウジングがニードルの近位端に摺動する際に、スナップホックは筐体ハウジング中にロックされる
ことを特徴とする安全シールド。
【請求項2】
前記安全シールドは、プラスチックを含むことを特徴とする請求項1に記載の安全シールド。
【請求項3】
第1アームは、筐体ハウジングをニードルの遠位端へと復帰させる付勢力を提供する付勢ハウジングを介して第2アームと連結されていることを特徴とする請求項1に記載の安全シールド。
【請求項4】
最初の使用中スナップホック棘部が遠位方向にニードル端に向かって移動する際に、スナップホック棘部は曲がって、ニードルに対する障害物を形成することを特徴とする請求項1に記載の安全シールド。
【請求項5】
前記安全シールドは、ニードルの周囲に放射状に形成される複数の第1アームおよび第2アームを含むことを特徴とする請求項1に記載の安全シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードル用の安全装置、特に新規なニードルシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
本PCT出願は、参照により全開示内容が本明細書の一部をなすものとする、2017年4月20日に出願された米国特許仮出願第62/488,006号の米国特許法第119条(e)に規定される便益を主張する。
【0003】
安全性は、ニードル、特に医療用途のニードルの製造における重要な考慮事項である。別の考慮事項は、快適レベル、すなわちニードルを用いることに付随する痛みの低減である。不快さを最小限にするために、少量の医薬の投与のためにより小さいゲージのニードルがしばしば用いられる。しかしながら、挿入力がニードルと共軸でない場合に、より小さいゲージのニードルは、使用中に湾曲、座屈および屈曲しやすい。たとえば、図1は、ペン型注射器への取り付けのための小ゲージのペンニードルを例示する。図示されるように、使用中に、細いニードルは湾曲または屈曲する可能性がある。したがって、小ゲージニードルの使用中の湾曲を防止する必要がある。現存する大抵のニードル用の安全製品は、使用者が安全機構を物理的に起動させなければならない能動安全性を必要とする。本明細書に記載されるように、本発明の実施形態は受動性安全機構により機能し、好ましくは使用者による手動の起動が存在しない
【0004】
図2に例示されるように、ニードル204を通してバイアル202からシリンジ200を充填する際、または皮膚208中にニードルを挿入する際のような特定の状況において、ニードル206の向きは重要である。これらの状況において、所望される角度でニードルを挿入する可能性を増大させ、ニードルが湾曲する可能性を減少させるための機構を提供することは有用である。最後に、一部の患者は、彼らの皮膚を貫通するニードルを見ることを望まない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的実施形態は、前述の欠点を克服し、引込機構および筐体ハウジングを提供して、ニードルに対する荷重をそらし、注射の際のニードルを案内し、湾曲および/または座屈を防止することを補助する。さらなる実施形態は、引込機構が注射前の状態に復帰した際にロックすることにより、ニードルが2回以上使用されることを防止する。本発明の実施形態は、ニードルを囲むことにより使用者の皮膚に入るニードルを見たくないという使用者の嗜好にも対処し、使用者は皮膚を貫通するニードルを見ない。
【0006】
付随する図面の参照を伴う以下の実施形態の例の記載から、本発明の設計のさらなる詳細、特徴、利点が得られる
【0007】
図面全体を通して、類似の参照符号は、類似の要素、特徴および構造を表すと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】挿入力により湾曲するペンニードルハブを示す図である。
図2】充填されるシリンジおよび皮膚中に挿入されるペンニードルを示す図である。
図3A】本発明の第1の例示の実施形態にしたがうニードルシールドを示す図である。
図3B】本発明の第1の例示の実施形態にしたがうニードルシールドを示す図である。
図3C】本発明の第1の例示の実施形態にしたがうニードルシールドを示す図である。
図4】慣用のニードルシールドの代替品としての図3のニードルシールドを示す図である。
図5】本発明の第2の例示の実施形態を示す図である。
図6】本発明の第3の例示の実施形態を示す図である。
図7】本発明の第4の例示の実施形態を示す図である。
図8】本発明の伸縮型の例示の実施形態を示す側面図である。
図9図8の実施形態の上面図である。
図10図8の実施形態の断面図である。
図11】本発明のロッキング実施形態と共に用いるためのスナップホックを示す図である。
図12】第1の配置におけるロッキング機構を示す図である。
図13】第2の配置におけるロッキング機構を示す図である
図14】本発明の分割アーム型実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の例示的実施形態を、図3A図3Cに例示する。図3Aは、本発明の例示的実施形態が有用である標準的ペンニードルを示す。図3Bおよび図3Cは、ペンニードル100に付加されて自動引込機構を形成するニードルシールド300を例示する。初期構成において、ニードルシールド300は、ニードルシールド300のベース302において、ペンニードル100の支柱110に連結される。ニードル112の端部は、筐体ハウジング304内に収容される。ベース302および筐体ハウジング304は、ヒンジ付きアーム306によって連結される。ニードルシールド300は、好ましくは、ポリプロピレンなどのような、予荷重プラスチック成形品で形成される。図3Bに示されるように、初期状態において、ニードル端部112は、筐体ハウジング304内に隠されている。ニードルが挿入される際に、筐体ハウジング304は、ニードルが皮膚に浸入するにつれて、ニードルに沿って、ニードル支柱110に向かって下向きに摺動する。ヒンジ付きアーム306は、この摺動移動に適応するために曲がる。次いで、患者がニードルを引き抜く際に、ヒンジ付きアーム306の弾性力が、筐体ハウジング304をニードルの端部へと押し戻す。したがって、有利なことには、ニードル先端は筐体ハウジング304によって隠されたままとなり、ニードルの不慮の突き刺しを防止し、ニードルの侵入を見ることを望まない患者に対して快適さを提供する。ヒンジ付きアーム306と筐体ハウジング304とは一緒になって、筐体ハウジングを貫くより真っ直ぐな線に沿ってニードルを案内することに加えて、ニードルの座屈荷重をそらし、使用中にニードルが湾曲することを防止する。
【0010】
有利なことには、本発明の実施形態は、任意の注射製品と一体化してもよく、注射プロセスの全体を通してニードルの露出を隠して、一方的な患者側の安全性を提供する。
【0011】
ニードルシールド300は、好ましくは、皮膚侵入中に力が印加される際に、予荷重のポテンシャルエネルギーを運動エネルギーへと変換する、予荷重プラスチック成形品から形成される。この変換されたエネルギーは、使用者がひとたびニードルを抜き去ったならば、シールドをその本来の位置へと自動で引き込み、ニードルの不慮の突き刺しを防止することを可能にする。加えて、装置に自動ロッキング機構を組み込んで、シールド300が取り付けられたニードルの再使用を防止してもよい。有利なことには、ひとたび装置が最初の挿入後にその本来の位置に引き込まれたならば、自動ロッキング機構が起動し、再使用および汚染を防止する。
【0012】
図4は、慣用のニードルシールド402を有する慣用のペンニードル400と、ニードルシールド402を置換する本発明の実施形態404を有するペンニードル400とを例示する。
【0013】
本発明のさらなる例示的実施形態を図5図7に例示し、本発明の範囲および真意から逸脱することなしに前述の第1の実施形態に対して種々の変更および修正を行ってもよいことを示す。これらの実施形態のそれぞれは、ペンニードルを用いる使用について例示されるが、当業者であれば、本発明の実施形態を任意のニードルとともに使用してもよいことを容易に理解するであろう。装置500は、ニードル504の近位端に固定される連結部材502を含む。連結部材502は、ペンニードルハブ508の支柱506との連結によって、またはニードル504の近位端に対する直接取り付けによって、あるいは任意の他の好適な手段によって、ニードルに固定されてもよい。第1アーム510は、連結部材502に対してヒンジ式に連結され(蝶着され)、例示されるようにニードルから離れるように軸方向に延びる。第1アーム510は、その他方の端部において、第2アーム512に対してヒンジを形成する。第2アーム512は、その他方の端部において、移動可能部材514に対してヒンジを形成する。移動可能部材514は、ニードルに対して摺動可能に取り付けられる。連結部材502、第1アーム510、第2アーム512および移動可能部材514が、保護シールド500を構成する。シールド500は、伸長位置において付勢されており、注射中に収縮し、そしてニードルが引き抜かれる際に再び伸長する。好ましくは、移動可能部材514は、ニードル挿入中に皮膚と接触してニードルに対する案内を提供して、挿入性能を向上させる。好ましくは、移動可能部材514は、ニードル516の遠位端を被包し、使用前および使用後の不慮の突き刺しからの保護を提供し、所望される際には、ロッキング機構(不図示)を組み込んで装置をロックし、2回目の使用を防止することができる。
【0014】
図6は、ニードルシールド600を例示する。ニードルシールド600は、前述の実施形態500と実質的に同様であるが、第1アーム610と第2アーム612との間に付勢ハウジング602を含み、移動可能部材614が針の長さ方向に沿って摺動する際に付勢ハウジング602内部での第2アーム612の内方および外方への移動を提供する。
【0015】
図7は、ニードルシールド700を例示する。ニードルシールド700は、ニードルの近位端704に固定され、ニードルの遠位端716に摺動可能に連結された、単一の曲線状アーム702を提供する。
【0016】
別のニードルシールドの実施形態800を、図8図10に例示する。有利なことには、この実施形態800は、ニードルを完全に収容する。ニードルシールド800は、伸長位置において付勢またはスプリング圧迫される、一連の入れ子セクション802を含む。ニードルの挿入時に、入れ子部品は折りたたまれてニードルを露出するが、皮膚に対して圧着されたままであり、使用者からニードルが見えないままにする。ニードルの引き抜き時に、入れ子セクション802は再び伸長して、ニードルを包囲する。完全に伸長された状態から完全に折りたたまれた状態(ニードルが挿入された状態)に至る一連の図として、入れ子セクションの側面図を図8に示す。図9は、ニードルシールド800の上面図である。図10は、伸長された初期状態および折りたたまれた状態のニードルシールド800を例示する側方断面図である。最遠位セクション802は、好ましくはスプリングまたは他の付勢手段と連結され、ニードルが引き抜かれるにつれて、入れ子セクション802を伸長させる。
【0017】
さて、本明細書に記載されるニードルシールドと共に使用するためのロッキング機構を、図11図13と関連付けて説明する。図11は、ロッキング機構中で用いるためのスナップホック1100を例示する。スナップホックは、内方および下方向を向き、ロッキング機構と共に使用されるニードルのゲージよりも小さい空間を残す、複数の棘部(barb)1102を含む。図12は、ロッキング機構を含むニードルシールド1200を例示する。例示されるように、初期には、スナップホック1100はニードルの近位端に位置する。ニードルが使用される際に、筐体ハウジング1202がニードルを摺動して下降し、スナップホック1100と係合する。ニードルが完全に挿入された最初の時点、すなわち、筐体ハウジング1202がニードルの近位端に至る全行程を摺動した最初の時点において、スナップホック1100にタブ1104を設けて、スナップホックを筐体ハウジング1202にロックする。ひとたびスナップホック1100が筐体ハウジング1202中へとロックされ、ニードルが引き抜かれたならば、筐体ハウジング1202はニードルの遠位端へと復帰し、それと共にスナップホック1100を引き上げる。スナップホックがニードルの遠位端に到達した際に、棘部1102は自然に内方へと曲がり、それによって、再びニードル挿入が試みられる場合に、ニードルに干渉する。
【0018】
図14は、ニードルシールド1400のさらに別の実施形態を例示する。この実施形態において、第1アーム1402および第2アーム1404は分割されて、2つのアームの対を形成する。
【0019】
前述の実施形態は、限定することのない本発明の実施形態の例示を意図している。当業者であれば、本明細書に記載および例示された本発明の範囲および真意から逸脱することなしに、本明細書に記載された実施形態の種々の変更および修正を行うことができることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14