(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ボトル缶の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 51/26 20060101AFI20220728BHJP
B21D 22/28 20060101ALI20220728BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B21D51/26 Q
B21D22/28 A
B65D1/02 210
B21D51/26 X
B21D22/28 L
(21)【出願番号】P 2020184600
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2016205968の分割
【原出願日】2016-10-20
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝太朗
(72)【発明者】
【氏名】実末 一
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05713235(US,A)
【文献】米国特許第05572893(US,A)
【文献】米国特許第05297414(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 22/28
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶本体の底部と一体に成形される外周部に、上記底部から上記缶本体の上端開口部に向けて順に缶軸を中心とした円筒状の胴部と、上端側に向かうに従い縮径する肩部と、この肩部からさらに上端側に向かって延びる首部と、キャップ取付部とが形成されたボトル缶の製造方法であって、
金属板から絞り加工により成形されたカップ状素材に再絞りおよびしごき加工と底部成形加工を施して、上記底部と、上記胴部と同外径の円筒部が形成された有底円筒体を成形するDIプレス工程と、
この有底円筒体の上記円筒部の上端側部分を縮径させることにより、上記肩部と、この肩部から上端側に向かうに従いさらに縮径する上記首部とを成形するボトルネック成形工程と、
上記首部の上端部に上記キャップ取付部を成形するキャップ取付部成形工程とを備え、
上記ボトルネック成形工程においては、上記肩部の上端側に形成された円筒状部のうち上記肩部との接続部分を除いた部分を直径d0から直径d2まで
2回に分けて段階的に縮径することによって上記首部を成形する構成とされており、1回の縮径量が0.5mm~1.5mmの範囲内とされ、
前記ボトルネック成形工程
の2回の縮経時に用いられる金型は、缶軸に沿った断面において、缶軸に略平行に延びる円環部と、この前記円環部の上方に位置し、前記円環部よりも径の小さい小径円筒部と、前記円環部と
前記小径円筒部の間に設けられ、上方に向かい内周側に傾斜した直線状の傾斜部と、を有しており、前記傾斜部が缶軸に対してなす角度αが18°~25°であることを特徴とするボトル缶の製造方法。
【請求項2】
上記カップ状素材から成形される上記有底円筒体は、上記円筒部の上端側部分の厚さが0.180mm~0.225mmであることを特徴とする請求項1に記載のボトル缶の製造方法。
【請求項3】
上記カップ状素材に成形される上記金属板は板厚0.230mm~0.300mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボトル缶の製造方法。
【請求項4】
上記金属板は、JIS H 4000におけるA3004またはA3104のアルミニウム合金であって、205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が235N/mm
2~265N/mm
2の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボトル缶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル缶の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなボトル缶の製造方法として、例えば特許文献1には、アルミニウム合金等の金属材料から絞り加工、絞りしごき加工またはインパクト成形によって造られ、かつ缶本体がキャップ取付部としてのねじ部を有する口部、テーパー状の肩部、胴部および底部から構成され、キャップを螺合して高い密封性を保持できるねじ付金属缶において、口部のねじ部下端から、半径方向に拡大するテーパー状の肩部上端周囲に、内側に滑らかに湾曲する凹部を形成するとともに、この凹部の下方の連続して外側に滑らかに湾曲する凸部を形成することが記載されている。さらに、この特許文献1では、凹部から連続する滑らかな凸部の湾曲の程度として、垂直方向すなわち缶軸に対して35°~60°の傾斜角、具体的には45°の傾斜角とするのが好ましいと記載されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、有底筒状に形成されたアルミニウム合金等の金属製の缶体(有底円筒体)の開口部を縮径してなる口金部の上部外周にねじ部が設けられるとともに、このねじ部よりも下方にキャップ本体下部を巻き締めるための膨出部が形成されたボトル缶の製造方法であって、上記開口部を縮径して口金部を形成した後、その口金部の開口端から所定距離分だけ再び拡径して拡径部を形成し、上記ねじ部は、拡径部が形成された後、ねじを形成する部分を縮径して、その縮径された部分にねじ切り加工することによって形成され、上記膨出部は、ねじ部を形成する際に縮径されずに残った拡径部分によって形成されるボトル缶の製造方法が記載されている。この場合に、上記開口部を縮径した口金部における上記膨出部の下方には、肩部から上端側に延びる首部が形成される。
【0004】
ここで、上述のような肩部の成形は、内径が徐々に小さくなる円筒状の複数の金型を、内径が大きいものから順に有底円筒体の円筒部の上端側部分に圧入して順次塑性変形させることにより、この円筒部の上端側部分のうちの下端側部分を上端側に向けて段階的に内周側に向かうように傾斜させるとともに、この傾斜した下端側部分よりも内周側を内径が小さくなる円筒状に徐々に縮径させることによって行われる。
【0005】
さらに、特許文献2に記載された膨出部の成形は、こうして傾斜させられた肩部の内周側に縮径した円筒状の首部が成形された後に、この首部の内径よりも僅かに大きな外径の下端外周部を有する拡径工具を上端側から首部に挿入して拡径させ、次いでこの拡径した部分の上端側にねじ切り加工することにより、上述のようにねじ切り加工によって縮径されずに残された部分として成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-213416号公報
【文献】特許第4908544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、このようなボトル缶を形成する金属材料の省資源化や材料製造の際の省エネルギー化のために缶本体のさらなる薄肉化が強く求められており、例えばアルミニウム合金製のボトル缶の場合には、板厚が0.230mm~0.300mm程度のアルミニウム合金よりなる金属板から絞り加工により成形されたカップ状素材に再絞りおよびしごき加工を施して上述のような有底円筒体を成形し、さらに肩部や首部、膨出部を成形するとともにねじ切り加工を行ってボトル缶の缶本体を製造するようなことも要求されている。
【0008】
しかしながら、このように有底円筒体の薄肉化を図ったボトル缶では有底円筒体の強度は低下することになり、特許文献1に記載されているように凸部の缶軸に対する傾斜角が大きくて首部を成形する際の荷重が大きくなったり、あるいは特許文献2に記載された膨出部を成形する際の荷重が大きくなったりすると、首部の成形の際に有底円筒体に座屈が生じるおそれがある。特に、有底円筒体を成形する際には、肩部や首部、膨出部やキャップ取付部を形成する有底円筒体の円筒部における上端側部分よりも、この円筒部の下端側部分の肉厚を薄くすることがあり、そのような有底円筒体では薄肉とされた胴部の下端側部分での座屈が一層顕著なものとなる。また、膨出部を成形する際の荷重が大きいと膨出部に割れを生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、このような背景の下になされたもので、ボトル缶の缶本体に成形される金属板や有底円筒体の薄肉化を図っても、首部の成形の際に有底円筒体に座屈が生じるのを防ぐことが可能なボトル缶の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、缶本体の底部と一体に成形される外周部に、上記底部から上記缶本体の上端開口部に向けて順に缶軸を中心とした円筒状の胴部と、上端側に向かうに従い縮径する肩部と、この肩部からさらに上端側に向かって延びる首部と、キャップ取付部とが形成されたボトル缶の製造方法であって、金属板から絞り加工により成形されたカップ状素材に再絞りおよびしごき加工と底部成形加工を施して、上記底部と、上記胴部と同外径の円筒部が形成された有底円筒体を成形するDIプレス工程と、この有底円筒体の上記円筒部の上端側部分を縮径させることにより、上記肩部と、この肩部から上端側に向かうに従いさらに縮径する上記首部とを成形するボトルネック成形工程と、上記首部の上端部に上記キャップ取付部を成形するキャップ取付部成形工程とを備え、上記ボトルネック成形工程においては、上記肩部の上端側に形成された円筒状部のうち上記肩部との接続部分を除いた部分を直径d0から直径d2まで2回に分けて段階的に縮径することによって上記首部を成形する構成とされており、1回の縮径量が0.5mm~1.5mmの範囲内とされ、前記ボトルネック成形工程の2回の縮経時に用いられる金型は、缶軸に沿った断面において、缶軸に略平行に延びる円環部と、この前記円環部の上方に位置し、前記円環部よりも径の小さい小径円筒部と、前記円環部と前記小径円筒部の間に設けられ、上方に向かい内周側に傾斜した直線状の傾斜部と、を有しており、前記傾斜部が缶軸に対してなす角度αが18°~25°であることを特徴とする。
【0011】
このようなボトル缶の製造方法においては、首部における縮径が複数回に分けて段階的に行われるので、個々の段階における縮径量を少なくすることができ、缶軸方向の荷重を小さくすることができる。このため、たとえカップ状素材に成形される金属板の板厚が0.230mm~0.300mmと薄く、またこのカップ状素材から成形された有底円筒体における円筒部の上端側部分の厚さも0.180mm~0.225mmと薄くて、さらに円筒部の下端側部分の厚さはこれよりも薄い場合であっても、首部の成形の際の荷重によって有底円筒体に座屈が生じたり、膨出部の成形の際の荷重によって割れが生じたりするのを防ぐことができる。従って、上記構成のボトル缶の製造方法によれば、このような座屈や割れによるボトル缶の製造歩留まりや製造効率等の低下を招くことなく、ボトル缶の缶本体の薄肉化を図ることができ、さらなる省資源化や省エネルギー化を促すことが可能となる。
【0012】
なお、このようなボトル缶の缶本体に有底円筒体を経て成形される上記金属板は、JIS H 4000におけるA3004またはA3104のアルミニウム合金であって、205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が235N/mm2~265N/mm2の範囲であることが望ましい。このベーキング後の耐力が235N/mm2を下回ると、上述のような傾斜角や外径拡縮径量としても首部や膨出部の成形の際に有底円筒体の座屈や割れが生じるおそれがあり、また逆にベーキング後の耐力が265N/mm2を上回っても、成形に必要な荷重が大きくなって荷重制御が困難となるおそれがある。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、首部を成形する際の有底円筒体の座屈を防止することができ、このような座屈によるボトル缶の製造歩留まりや製造効率等の低下を防ぎつつ、ボトル缶の缶本体のさらなる薄肉化を図って、一層の省資源化や省エネルギー化を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態により製造されるボトル缶の一部破断側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態におけるボトルネック成形工程において(a)首部が成形される前の有底円筒体を示す断面図、(b)首部を成形する金型(第1の金型)を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるボトルネック成形工程において(a)第1の段階の縮径を行う第1の金型の断面図、(b)図(a)に示す第1の金型の首部成形部周辺を示す拡大断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態におけるボトルネック成形工程において(a)第2の段階の縮径を行う第2の金型の断面図、(b)図(a)に示す第2の金型の首部成形部周辺を示す拡大断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態のボトルネック成形工程により首部が成形された有底円筒体を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態におけるキャップ取付部成形工程において(a)膨出部が成形される前の有底円筒体を示す断面図、(b)膨出部を成形する拡径工具(第1の拡径工具)を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるキャップ取付部成形工程において(a)第1の段階の拡径を行う第1の拡径工具の断面図、(b)図(a)に示す第1の拡径工具の拡径部周辺を示す拡大断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態におけるキャップ取付部成形工程において(a)第2の段階の拡径を行う第2の拡径工具の断面図、(b)図(a)に示す第2の拡径工具の拡径部周辺を示す拡大断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態のキャップ取付部成形工程により膨出部が成形された有底円筒体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態により製造されるボトル缶の缶本体1を示すものであり、
図2ないし
図10は、このような缶本体1を製造するための本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態によって製造されるボトル缶は、その缶本体1が
図1に示すように、底部2と、この底部2と一体に形成されて底部2の外周縁から上端側(
図1において上側)に延びる外周部3とを備えており、この上端側に向けて縮径する缶軸Cを中心とした概略多段の有底円筒状をなしている。
【0016】
底部2には、缶軸C方向の内側(缶本体1の上端側)に凹む断面略円弧状のドーム部2aが中央に形成されるとともに、このドーム部2aの外周には缶軸C方向の外側(缶本体1の下端側)に突出する上記環状凸部2bが缶軸C回りの周方向に連続して形成されている。また、外周部3には底部2から缶本体1の上端側の開口部4に向けて順に、缶軸Cを中心とした円筒状の胴部5と、上端側に向かうに従い一定の傾斜で漸次縮径する円錐台面状の肩部6と、この肩部6からさらに上端側に向かって延びる筒状の首部7と、下端側に上記膨出部8を備えたやはり筒状で、本実施形態ではねじ切り加工が施されたキャップ取付部9とが形成されている。
【0017】
このようなボトル缶を製造する本発明のボトル缶の製造方法の一実施形態においては、
図2のフローチャートに示すように、まずカッピングプレス機によるカッピングプレス工程においてアルミニウム合金等の金属板を円板状に打ち抜いて絞り加工を施すことにより深さの浅いカップ状素材を製造し、このカップ状素材にDIプレス機によるDIプレス工程において再絞りおよびしごき加工を施して缶軸C方向に延伸することにより、底部2に上記ドーム部2aと環状凸部2bが形成された有底円筒体(DI缶)を成形する。
【0018】
ここで、カッピングプレス工程においてカップ状素材に成形される金属板は、本実施形態ではJIS H 4000におけるA3004またはA3104のアルミニウム合金であって、205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が235N/mm2~265N/mm2の範囲のものが用いられる。また、このカップ状素材から成形される有底円筒体には、外周部に上記缶軸Cを中心とした円筒部が形成され、この円筒部の外径は缶本体1の胴部5の外径と略等しい一定外径である。ただし、この円筒部は、その上端側部分の厚さが0.180mm~0.225mmの範囲である一方、下端側部分の厚さはこの上端側部分よりも極僅かに薄い。
【0019】
このように成形された有底円筒体は、第1の洗浄工程において洗浄、乾燥され、次いで塗装工程において内外面に塗装が施されて焼き付けられる。そして、塗装が施された有底円筒体は、ボトルネッカーによるボトルネック成形工程において円筒部の上記上端側部分の下端側が金型によって縮径されて上記肩部6と首部7が成形され、次いでキャップ取付部成形工程において首部7の上端側が拡径工具によって拡径されて上記膨出部8が形成されるとともに、この膨出部8よりもさらに上端側に上記ねじ切り加工等が施されて上記キャップ取付部9が形成され、
図1に示したようなボトル缶の缶本体1に成形される。
【0020】
こうして成形された缶本体1は、第2の洗浄工程によって洗浄、乾燥された後に、検査工程においてピンホールの有無や外面の異物付着、傷、汚れ、印刷不良等が検査されて飲料工場等に搬送され、飲料等の内容物が充填された後にキャップ取付部9に図示されないキャップが取り付けられて封止され、出荷される。なお、上記各工程の間や各工程中には、有底円筒体の上端縁を切断するトリミングや、必要に応じて底部の環状凸部2bの断面形状を再成形するボトムリフォームが行われる。
【0021】
ここで、ボトルネッカーによるボトルネック成形工程のうち、上記肩部6の成形は、内径が徐々に小さくなる円筒状の複数の上記金型を、内径が大きいものから順に有底円筒体の円筒部の上端側部分に圧入して塑性変形させることにより、この円筒部の上端側部分のうちの下端側部分を上端側に向けて段階的に内周側に向かうように傾斜させるとともに、この傾斜した下端側部分よりも内周側を内径が小さくなる円筒状に徐々に縮径させることによって行われる。
【0022】
図3(a)に示すのは、このように上記ボトルネック成形工程において肩部6の成形が終了した有底円筒体10Aであり、肩部6の内周部上端側には缶軸Cを中心として縮径させられた円筒状部11Aが形成されている。そして、
図3(b)および
図4と
図5とに示すのは、この有底円筒体10Aの円筒状部11Aに首部7を成形する第1、第2の金型21A、21Bであり、本実施形態のボトルネック成形工程においては、これら第1、第2の金型21A、21Bをこの順に有底円筒体10Aの肩部6から上端側の上記円筒状部11Aに挿入することにより、この円筒状部11Aを複数回(2回)に分けて段階的に縮径して首部7を成形する。
【0023】
これら第1、第2の金型21A、21Bは缶軸Cと同軸となるように配置される略円筒状をなしていて、その内周部には下端側から上端側に向けて順にそれぞれ、缶軸Cを中心とする大径円筒部22A、22Bと、内周側に向かうに従い上端側に向かうように傾斜する凹円錐台面状部23A、23Bと、首部成形部24A、24Bと、小径円筒部25A、25Bとが形成されている。
【0024】
大径円筒部22A、22Bは、有底円筒体10Aの円筒部(缶本体1の胴部5)の外周面が嵌合可能な内径を有しており、また凹円錐台面状部23A、23Bは有底円筒体10Aの肩部6よりも缶軸Cに対して大きな傾斜で内周側に向かうに従い上端側に向かうように傾斜している。これら大径円筒部22A、22Bと凹円錐台面状部23A、23Bの形状、寸法は第1、第2の金型21A、21Bで同じである。
【0025】
さらに、首部成形部24A、24Bは下端側から上端側に向けて順に、それぞれ缶軸Cに沿った断面において
図4(b)および
図5(b)に拡大して示すように、凹円錐台面状部23A、23Bの上端に接する凸円弧等をなす第1凸曲部24aと、この第1凸曲部24aの上端に接して缶軸Cに略平行に上端側に延びる直線状をなす円環部24bと、この円環部24bの上端に接して第1凸曲部24aよりも半径の大きな凹円弧等をなす凹曲部24cと、この凹曲部24cの上端に接して上端側に向かうに従い内周側に向かうように缶軸Cに対して傾斜した直線状をなす傾斜部24dと、この傾斜部24dの上端と小径円筒部25A、25Bの下端とに接する凸円弧等をなす第2凸曲部24eとを備えている。
【0026】
ここで、円環部24bの内径(直径)d0と缶軸C方向の長さは、第1、第2の金型21A、21Bで互いに等しくされており、円環部24bの内径d0は肩部6の成形が終了した有底円筒体10Aの上記円筒状部11Aが嵌合可能な大きさとされている。また、凹曲部24cの断面がなす円弧等の半径および缶軸C方向の長さも、第1、第2の金型21A、21Bで互いに等しい。従って、このような第1、第2の金型21A、21Bを、肩部6の成形終了後の有底円筒体10Aの上端側から
図3に白抜き矢線で示すように缶軸Cと同軸に挿入すると、円筒状部11Aは上端側から円環部24bの内周面に摺接しつつ凹曲部24cおよび傾斜部24dに沿って縮径させられる。
【0027】
そして、これら第1、第2の金型21A、21Bにおいては、首部成形部24A、24Bの傾斜部24dの缶軸Cに対する傾斜角αは互いに等しいのに対して、第1の金型21Aにおける首部成形部24Aの傾斜部24dの缶軸C方向の長さが、第2の金型21Bにおける首部成形部24Bの傾斜部24dの缶軸C方向の長さよりも短くなるように形成されている。
【0028】
これにより、第1の金型21Aにおける小径円筒部25Aの内径(直径)d1は、有底円筒体10Aの円筒状部11Aの外径よりも小さく、ただし第2の金型21Bにおける小径円筒部25Bの内径(直径)d2よりは大きくされる。なお、第2凸曲部24eの断面がなす円弧等の半径および缶軸C方向の長さは、第1、第2の金型21A、21Bで互いに等しくされている。
【0029】
従って、第1の金型21Aにおける凹円錐台面状部23Aの上端位置が肩部6の上端位置と缶軸C方向に一致して第1の金型21Aがストロークエンド(下死点)に達したところで、円筒状部11Aの上端側部分は第1の金型21Aの小径円筒部25Aの内径d1と略等しい外径に絞り込まれて一段縮径されるとともに、こうして縮径した円筒状部11Aの下端側部分から肩部6にかけては、第1の金型21Aの首部成形部24Aの断面形状を略転写したような外周面の断面形状を有する上記首部7が形成される。
【0030】
次いで、第1の金型21Aを有底円筒体10Aから引き抜いて第2の金型21Bを挿入すると、同様に第2の金型21Bにおける凹円錐台面状部23Bの上端位置が肩部6の上端位置と缶軸C方向に一致して第2の金型21Bがストロークエンド(下死点)に達したところで、円筒状部11Aの上端側部分は第2の金型21Bの小径円筒部25Bの内径d2と略等しい外径に絞り込まれてもう一段縮径された円筒状部11Bに成形される。
【0031】
さらに、こうして縮径した円筒状部11Bの下端側部分から肩部6にかけては、円環部24bによって肩部6側に短い円筒状部11Aが残されるとともに、この円筒状部11Aの上端側には、第2の金型21Bの首部成形部24Bの断面形状を略転写したような外周面の断面形状を有する上記首部縮径部7aが形成される。これによって、
図3(a)に示した有底円筒体10Aは、
図6に示すような首部7を有する有底円筒体10Bに成形される。
【0032】
なお、このように段階的に縮径させられて成形される首部7の1段当たりの缶軸Cに対する直径方向の縮径量、すなわち
図4に示す第1の金型21Aの円環部24bの内径(直径)d0と小径円筒部25Aの内径(直径)d1との差d0-d1と、この第1の金型21Aの小径円筒部25Aの内径(直径)d1と
図5に示す第2の金型21Bの小径円筒部25Bの内径(直径)d2との差d1-d2は、それぞれ0.5mm~1.5mmの範囲とされるのが望ましい。また、これら第1、第2の金型21A、21Bの首部成形部24A、24Bにおける傾斜部24dが缶軸Cに対してなす傾斜角αは18°~25°の範囲とされるのが望ましい。
【0033】
次に、こうして首部7が成形された
図6および
図7(a)に示す有底円筒体10Bの第2の金型21Bによって縮径された円筒状部11Bには、キャップ取付部成形工程において
図7(b)および
図8と図と9に示すような第1、第2の拡径工具31A、31Bが挿入されて首部7よりも上端側の部分が拡径され、膨出部8が成形される。
【0034】
そして、本実施形態では、このキャップ取付部成形工程においても、
図8に示すような第1の拡径工具31Aと
図9に示すような第2の拡径工具31Bとをこの順に上記円筒状部11Bに挿入することによって、この円筒状部11Bを複数回(2回)に分けて段階的に拡径して膨出部8を成形する。
【0035】
これら第1、第2の拡径工具31A、31Bは、外径が2段の略円筒状をなしていて、やはり缶軸Cと同軸に配置され、下端側の小径部32A、32Bの外径(直径)D0は互いに等しく、ボトルネック成形工程において縮径した円筒状部11Bの内周に嵌合可能な大きさとされるとともに、上端側の大径部33A、33Bの外径D1、D2は小径部32A、32Bの外径D0よりも大きくされている。
【0036】
また、これら小径部32A、32Bと大径部33A、33Bとの間には、缶軸Cに沿った断面において
図8(b)および
図9(b)に拡大して示すように、上端側に向かうに従い外周側に向けて互いに等しい一定の傾斜角βで拡径する拡径部34A、34Bが形成されている。これらの拡径部34A、34Bは、小径部32A、32Bとは断面凹円弧等の凹曲部34aを介して接するとともに、大径部33A、33Bとは凹曲部34aよりも半径の大きな断面凸円弧等の凸曲部34bを介して接する断面直線状に形成されている。
【0037】
そして、本実施形態でも、これらの拡径部34A、34Bの缶軸C方向の長さが、第2の拡径工具31Bにおいて第1の拡径工具31Aよりも長くされており、これにより第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(直径)D2は、第1の拡径工具31Aの大径部33Aの外径(直径)D1よりも大きくされている。なお、凹曲部34aと凸曲部34bの断面がなす円弧の半径と缶軸C方向の長さは、第1、第2の拡径工具31A、31B同士で互いに等しくされている。
【0038】
このような第1、第2の拡径工具31A、31Bのうち、まず第1の拡径工具31Aから
図7に白抜き矢線で示すように缶軸Cと同軸に縮径した円筒状部11Bの内周に小径部32Aを摺接しつつ挿入すると、拡径部34Aから大径部33Aが形成された部分によって円筒状部11Bが上端側から拡径させられる。
【0039】
本実施形態では、こうして挿入された小径部32Aの上端が首部7の首部縮径部7aの上端から缶軸C方向に僅かに上端側に間隔をあけた位置に配設されたところで第1の拡径工具31Aはストロークエンド(下死点)に達する。このとき、首部縮径部7aの上端側には縮径した円筒状部11Bが首部7に残され、そのさらに上端側に連なるように上端側に向かうに従い拡径する膨出部拡径部8aが拡径部34Aによって成形されて、この膨出部拡径部8aよりも上端側は大径部33Aの外径D1と略等しい内径の円筒状に成形される。
【0040】
次に、第1の拡径工具31Aを引き抜いて第2の拡径工具31Bを小径部32Bから円筒状部11Bの内周に挿入すると、拡径部34Bから大径部33Bによって円筒状部11Bの上端側がもう一段拡径させられる。そして、こうして挿入された小径部32Bの上端の位置が、第1の拡径工具31Aのストロークエンドにおける小径部32Aの上端位置と缶軸C方向に等しい位置まで挿入されたところで、第2の拡径工具31Bはストロークエンド(下死点)に達する。
【0041】
従って、第1の拡径工具31Aによって成形された膨出部拡径部8aはさらに上端側に向かうに従い拡径するように延長されるとともに、この膨出部拡径部8aよりも上端側は大径部33Bの外径D2と略等しい内径の円筒状部11Cに成形される。これにより、
図6および
図7(a)に示した有底円筒体10Bは、
図10に示すような有底円筒体10Cに成形される。
【0042】
なお、このように段階的に拡径させられて成形される膨出部8の1段当たりの缶軸Cに対する直径方向の拡径量、すなわち
図8に示す第1の拡径工具31Aの小径部32Aの外径(直径)D0と大径部33Aの外径(直径)D1との差D1-D0と、この第1の拡径工具31Aの大径部33Aの外径(直径)D1と
図9に示す第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(直径)D2との差D2-D1は、それぞれ0.5mm~1.5mmの範囲とされるのが望ましい。また、これら第1、第2の拡径工具31A、31Bの拡径部34A、34Bが缶軸Cに対してなす傾斜角βは15°~35°の範囲とされるのが望ましい。
【0043】
こうして首部7の上端側に膨出部8が形成されるとともに、この膨出部8の上端側に拡径させられた円筒状部11Cが成形された有底円筒体10Cは、この拡径させられた円筒状部11Cの上端側が上述のようにねじ切り加工等が施されることによりキャップ取付部9が形成されて縮径されるとともに、下端側には縮径されずに膨出部8が残される。さらに、このキャップ取付部9の開口部4にはカール部が形成されるなどして、
図1に示したようなボトル缶の缶本体1に成形される。
【0044】
このようなボトル缶の製造方法においては、有底円筒体10A、10Bにおける円筒状部11A、11Bの首部7の縮径や膨出部8の拡径が複数回に分けて段階的に行われるので、個々の段階における縮径量や拡径量は少なくすることができる。このため、特に首部7が上端側に向かうに従い縮径する首部縮径部7aや膨出部8が上端側に向かうに従い拡径する膨出部拡径部8aを有している場合に、有底円筒体10A、10Bに缶軸C方向に作用する荷重を軽減することができる。
【0045】
従って、本実施形態のように、カップ状素材に成形される金属板の板厚が0.230mm~0.300mmと薄く、またこのカップ状素材からDIプレス工程を経て成形された有底円筒体における円筒状部の上端側部分の厚さも0.180mm~0.225mmと薄くて、さらにこの円筒部の下端側部分の厚さはこれよりも薄い場合であっても、首部7の成形の際の荷重によって有底円筒体10A、10Bに座屈が生じるのを防ぐことができる。また、膨出部8を成形する際の荷重によって円筒状部11Cに割れが生じるのも防ぐことができる。このため、上記構成のボトル缶の製造方法によれば、このような座屈や割れによるボトル缶の製造歩留まりや製造効率等の低下を招くことなく、ボトル缶の缶本体1のさらなる薄肉化を図ることができるので、より一層の省資源化や省エネルギー化を促すことが可能となる。
【0046】
なお、このようなボトル缶の缶本体に有底円筒体を経て成形される上記金属板は、JIS H 4000におけるA3004またはA3104のアルミニウム合金であって、205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が235N/mm2~265N/mm2の範囲であることが望ましい。この205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が235N/mm2を下回ると、上述のように縮径や拡径を複数回に分けて段階的に行っても首部7や膨出部8の成形の際に有底円筒体10A、10Bの座屈や割れが生じるおそれがあり、また逆に265N/mm2を上回っても、成形に必要な荷重が大きくなって荷重制御が困難となり、やはり座屈や割れを生じ易くなるおそれがある。
【0047】
また、本実施形態では、首部7の縮径および膨出部8の拡径をそれぞれ2回に分けて段階的に行っているが、3回以上の回数で段階的に行ってもよい。ただし、これら縮径や拡径を行うときの回数が多くなりすぎると製造効率が損なわれるので、段階的に行う場合の回数は3回以下とされるのが望ましい。
【0048】
さらに、各段階の縮径量や拡径量の差が大きすぎると、大きな縮径量または拡径量の成形の際の座屈を確実に防ぐことができなくなるおそれがあるので、これら各段階の縮径量や拡径量は上述した範囲内にあるのが望ましく、互いに等しい縮径量や拡径量であるのがより望ましい。なお、首部7の縮径量や膨出部8の拡径量によっては、縮径と拡径の一方だけを複数回に分けて段階的に行い、他方は1回の縮径や拡径だけで成形するようにしてもよい。
【実施例】
【0049】
次に、本発明の実施例を挙げて、本発明の効果について説明する。本実施例では、JIS H 4000におけるA3104のアルミニウム合金であって、205℃×20分ベーキング後の0.2%耐力が254.8N/mm2、板厚0.300mmの金属板からカッピングプレス工程においてカップ状素材を成形し、さらにDIプレス工程において底部と円筒部とを有する有底円筒体を成形した。
【0050】
次いで、この有底円筒体にボトルネック成形工程において肩部6を形成して
図3(a)に示すような円筒状部11Aを有する有底円筒体10Aを成形した後、この円筒状部11Aに第1、第2の2つの金型21A、21Bによって2回の縮径を行い、
図6に示す有底円筒体10Bのような首部縮径部7aを有する首部7を成形した。
【0051】
なお、これら第1、第2の金型21A、21Bにおいて、首部成形部24A、24Bにおける傾斜部24dの缶軸Cに対する傾斜角αはともに20°であり、第1の金型21Aの円環部24bの内径(直径)d0と小径円筒部25Aの内径(直径)d1との差d0-d1は1.1mm、この第1の金型21Aの小径円筒部25Aの内径(直径)d1との第2の金型21Bの小径円筒部25Bの内径(直径)d2の差d1-d2も同じく1.1mmであって、円筒状部11Aの外径(直径)の総縮径量は2.2mmであった。これを実施例1とする。
【0052】
また、この実施例1に対する比較例として、円環部24bの内径(直径)d0と小径円筒部25Bの内径(直径)d2との差d0-d2が上記総縮径量と等しい2.2mmとなる第2の金型21Bを単一で用いて、1回の縮径により有底円筒体10Aの円筒状部11Aの外径(直径)を2.2mm縮径して首部7を成形した。これを比較例1とする。そして、これら実施例1と比較例1とによる首部7の成形の際の成形荷重を測定するとともに、100個の有底円筒体10Aに首部7を成形したときに座屈が生じた有底円筒体10Aの数を確認した。この結果を、縮径量とともに表1に示す。
【0053】
なお、DIプレス工程において成形された有底円筒体は、円筒部の直径(缶本体1の胴部5の直径)が約66mmであり、この円筒部の上端側部分の厚さは実施例1および比較例1ともに0.200mmであった。また、この有底円筒体にボトルネック成形工程において肩部6が成形された
図3(a)に示した有底円筒体10Aは、底部2の下端から円筒部の上端までの缶軸C方向の高さが137mm、底部2の下端から肩部6の上端までの缶軸C方向の高さが105mm、肩部6の上端側に成形された縮径した円筒状部11Aの外径(直径)は38mmであった。
【0054】
【0055】
この表1の結果より、首部7の成形を1回で行う比較例1では、成形荷重が2100Nと大きく、これに伴い100個の有底円筒体10A中で座屈する有底円筒体10Aが15個と多く、ボトルネッカーによって首部7を成形する際に頻繁に装置の停止を余儀なくされることが分かる。これに対して、首部7の成形を2回に分けて行う実施例1では、1回当たりの成形荷重は比較例1よりも大幅に小さくて有底円筒体10Aへの負荷が小さく、座屈する有底円筒体10Aも0個であったことから、ボトルネッカーによる首部7の成形を円滑かつ効率的に行うことができるとともに、製造歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0056】
次に、こうして首部7が成形された
図6に示すような有底円筒体10Bの円筒状部11Bに、この首部7から上端側の部分を複数回に分けて段階的に拡径することによって膨出部8を成形した。このとき、まず実施例2として、上記実施形態と同様に第1、第2の2つの拡径工具31A、31Bによって2回の拡径を行い、さらに実施例3として、第1ないし第3の3つの拡径工具によって3回の拡径を行い、実施例2と等しい拡径量で拡径する膨出部8を成形した。
【0057】
なお、これら第1、第2の拡径工具31A、31Bおよび第3の拡径工具における拡径部34A、34Bが缶軸Cに対してなす傾斜角βは20°であり、実施例2における第1の拡径工具31Aの小径部32Aの外径(直径)D0と大径部33Aの外径(直径)D1との差D1-D0と、第1の拡径工具31Aの大径部33Aの外径(直径)D1と第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(直径)D2との差D2-D1は、それぞれ1.0mmであって、総拡径量は2.0mmであった。
【0058】
また、実施例3における第1の拡径工具31Aの小径部32Aの外径(直径)D0と大径部33Aの外径(直径)D1との差D1-D0と、第1の拡径工具31Aの大径部33Aの外径(直径)D1と第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(直径)D2との差D2-D1はそれぞれ0.7mmであり、第3の拡径工具の大径部の外径(直径)と第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(直径)D2との差は0.6mmで、総拡径量を2.0mmとした。
【0059】
さらに、これら実施例2、3に対する比較例2として、やはり実施例2、3と等しい総拡径量の膨出部8の成形を、実施例2の第2の拡径工具31Bと同じ単一の拡径工具による1回の拡径によって行い、その際の成形荷重を測定するとともに、100個の有底円筒体10Bに膨出部8を成形したときに割れが生じた有底円筒体10Bの数を確認した。この結果を、個々の拡径工具による拡径量とともに表2に示す。
【0060】
【0061】
従って、この表2の結果からも、膨出部8の成形を1回で行う比較例2では、成形荷重が1800Nと大きく、これに伴い100個の有底円筒体10B中で割れが生じた有底円筒体10Bも13個と多くて、ボトルネッカーによる成形する際に頻繁な停止を余儀なくされる。これに対して、膨出部8の成形を複数回に分けて段階的に行う実施例2、3では、1回当たりの成形荷重は比較例2よりも小さく、特に3回で行う実施例3では成形荷重が大幅に小さく、またいずれも割れが生じた有底円筒体10Bが0個であったことから、ボトルネッカーによる製造効率や製造歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 缶本体
2 底部
3 外周部
4 開口部
5 胴部
6 肩部
7 首部
7a 首部縮径部
8 膨出部
8a 膨出部拡径部
9 キャップ取付部
10A~10C 有底円筒体
11A~11C 円筒状部
21A 第1の金型
21B 第2の金型
24A、24B 首部成形部
24d 傾斜部
31A 第1の拡径工具
31B 第2の拡径工具
34A、34B 拡径部
C 缶軸
α 首部縮径部7aの缶軸Cに対する傾斜角
β 膨出部拡径部8aの缶軸Cに対する傾斜角
d0 円環部24bの内径(縮径前の円筒状部11Aの直径)
d1 第1の金型21Aにおける小径円筒部25Aの内径(第1の金型21Aによって縮径した円筒状部11Aの直径)
d2 第2の金型21Bにおける小径円筒部25Bの内径(第2の金型21Bによって縮径した円筒状部11Aの直径)
D0 第1、第2の拡径工具31A、31Bの小径部32A、32Bの外径(拡径前の円筒状部11Bの内径)
D1 第1の拡径工具31Aの大径部33Aの外径(第1の拡径工具31Aによって拡径した円筒状部11Bの内径)
D2 第2の拡径工具31Bの大径部33Bの外径(第2の拡径工具31Bによって拡径した円筒状部11Bの内径)