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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/00 20060101AFI20220728BHJP
   F21K 9/235 20160101ALI20220728BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220728BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220728BHJP
   F21Y 107/30 20160101ALN20220728BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220728BHJP
【FI】
F21V31/00 100
F21K9/235
F21V23/00 120
F21S2/00 217
F21S2/00 380
F21Y107:30
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018154654
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020030913
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】大野 篤史
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076134(JP,A)
【文献】特表2014-523086(JP,A)
【文献】国際公開第2003/023525(WO,A1)
【文献】特開2016-076402(JP,A)
【文献】特開2016-058266(JP,A)
【文献】登録実用新案第3156168(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 31/00
F21K 9/235
F21V 23/00
F21S 2/00
F21Y 107/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、発光部及びこれに連結される電源部を備え、防水機能を有する照明器具に於いて、
前記電源部の外側ケース内には、電源回路を収納したカップ状容器が配置され、
前記カップ状容器は、開口端に縁部が形成された弾性部材から成り、
前記電源回路は、前記カップ状容器内で充填剤で充填されて固定され、
前記カップ状容器の開口端の縁部は、前記発光部と前記電源部との間に介在配置されて防水パッキンとして機能する、照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記開口端の縁部は、前記カップ状容器の開口面の半径方向外向きに、前記外側ケースの厚み全体又は部分的に覆うように拡がっている、照明器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明器具において、
前記カップ状容器は、側面に形成された電源ケーブル用の挿通孔を有し、
前記挿通孔は、前記カップ状容器の内部空間とは別室の形態で、ランプ軸線方向に延在し、上下端部が開放されている、照明器具。
【請求項4】
請求項3に記載の照明器具において、
前記カップ状容器に形成された電源ケーブル用の挿通孔の位置に対応して、前記外側ケースの内側にリブが形成されており、該カップ状容器と該外側ケースとの相対的な位置決め機能を奏している、照明器具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の照明器具において、
前記カップ状容器は、側面に形成されたネジ穴用パッキンを有し、
前記ネジ穴用パッキンは、前記電源部と前記発光部を連結するネジの周囲を囲み防水機能を奏している、照明器具。
【請求項6】
請求項1に記載の照明器具において、更に、給電部を備え、
前記給電部は、防水パッキンを介在配置して給電ソケットに接続される、照明器具。
【請求項7】
請求項6に記載の照明器具において、
前記発光部は、防水機能を有する樹脂ケースに収納され、
前記給電部と前記電源部は、一体化され、該電源部は防水機能を有する樹脂ケースに収納されている、照明器具。
【請求項8】
請求項7に記載の照明器具において、
前記発光部は、LEDユニットであり、
前記給電部は、Eタイプ口金であり、
前記電源部は、前記電源回路を有して、前記Eタイプ口金からの電源電圧を調整して前記LEDユニットに給電する、LEDランプを構成する、照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、更に具体的には、防水機能を有する照明器具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の構造は、少なくとも発光部及びこれに隣接する電源部を備えている。最近、発光ダイオードを光源とする電球形LEDランプが、広く普及している。電球形LEDランプの構造は、大まかに説明すると、Eタイプ口金が形成された給電部と、LED素子用の電源部と、LED素子を搭載した基板(単数又は複数)を内蔵する発光部とから形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-75257「LED電球」(公開日:2014/04/24)出願人:ローム株式会社
【文献】特開2016-122578号「LEDランプ」(公開日:2016/07/07) 出願人:岩崎電気株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HIDランプ(高輝度放電ランプ)が使用されていた分野では、電力消費量を削減するため、LEDランプへの置き換えが進められている。この場合、Eタイプ口金を利用したLEDランプは、HID照明器具内に入れて使用される。従って、ランプの防水機能は、HID照明器具の防水構造に依存する。HIDランプは口金を除く全周がガラス封止されており、ランプの防水としては、給電ソケット底部に適当な防水手段を設け、且つ給電ソケットと口金部分の間に防水機構を設けることで対応することが可能であった。
【0005】
しかし、LEDランプの場合は各構成部の隙間が外部に露出しており、同様の防水機構では対応できない。そのため、LEDランプを屋外等で使用する場合には、ランプ全体を防水機構内に収納している。或いは、LEDランプを取り付ける給電ソケット底部に適当な防水手段を設け、更にLEDランプの構造自体に防水機能をもたせている。即ち、LEDランプ構造は、給電部、電源部、及び発光部に夫々防水機能をもたせ、更に、LEDランプ構造の各部の連結箇所に、防水パッキンを夫々配置している。
【0006】
なお、出願人は、既に、給電ソケットと給電部の間に配置する新規な防水パッキンを採択したLEDランプの特許出願を行っている(注:この出願は、本願出願時点では出願公開されていない。)。次の段階として、本発明者は、電源部と発光部の間に配置する新規な防水パッキンに関する研究開発を継続して行ってきた。そこで、本発明は、電源部と発光部の間に配置する新規な防水パッキンを採用した照明器具(LEDランプを含む。)に関する。
【0007】
一方、LEDランプは、比較的構造が複雑なため組立作業に労力を要し、且つ多種少量生産の傾向がある。従って、部品点数を減らし組立工数を減らしてコスト低減を図ることが望まれる。
【0008】
従って、本発明は、防水機能を有する新規な照明器具を提供することを目的とする。
更に、本発明は、電源部とこれに隣接する発光部との間に新規な防水パッキンを配置した照明器具を提供することを目的とする。
更に、本発明は、コスト低減を図った照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑みて、本発明に係る照明装置は、一面では、少なくとも、発光部及びこれに連結される電源部を備えた防水機能を有する照明器具であって、前記電源部は、電源回路を収納したカップ状容器を備え、前記カップ状容器は、弾性部材から成り、開口端に縁部が形成され、該開口端の縁部は前記発光部と前記電源部との間に介在配置されて防水パッキンとして機能する。
【0010】
更に、上記照明器具では、前記電源回路は、前記カップ状容器内で充填剤で充填されており、前記カップ状容器は、外側ケース内に配置されていてもよい。
【0011】
更に、上記照明器具では、前記開口端の縁部は、前記カップ状容器の開口面の半径方向外向きに、前記外側ケースの厚み全体又は部分的に覆うように拡がっていてもよい。
【0012】
更に、上記照明器具では、前記カップ状容器は、側面に形成された電源ケーブル用の挿通孔を有し、前記挿通孔は、前記カップ状容器の内部空間とは別室の形態で、ランプ軸線方向に延在し、上下端部が開放されていてもよい。
【0013】
更に、上記照明器具では、前記カップ状容器に形成された電源ケーブル用の挿通孔の位置に対応して、前記外側ケースの内側にリブが形成されており、該カップ状容器と該外側ケースとの相対的な位置決め機能を奏していてもよい。
【0014】
更に、上記照明器具では、前記カップ状容器は、側面に形成されたネジ穴用パッキンを有し、前記ネジ穴用パッキンは、前記電源部と前記発光部を連結するネジの周囲を囲み防水機能を奏していてもよい。
【0015】
更に、上記照明器具では、更に、給電部を備え、該給電部は、防水パッキンを介在配置して給電ソケットに接続されていてもよい。
【0016】
更に、上記照明器具では、前記発光部は、LEDユニットであり、前記電源部は、LED電源であり、前記給電部は、Eタイプ口金であって、LEDランプを構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、防水機能を有する新規な照明器具を提供することができる。
【0018】
更に、本発明によれば、電源部とこれに隣接する発光部との間に新規な防水パッキンを配置した照明器具を提供することができる。
【0019】
更に、本発明によれば、コスト低減を図った照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態に係るLEDランプ及び給電ソケットの側面斜視図である。
図2図2は、図1に示すLEDランプの電源部を説明する図である。
図3図3(A)は、電源部の電源回路を収納したカップ状容器を外側ケースに組み込んだ状態の斜視図であり、図3(B)は、更に、外側ケースをLEDユニットの基台ケースで覆って組み立てた状態の斜視図である。
図4図4は、電源部品を収納するカップ状容器が奏する機能を説明する図である。
図5図5は、第2実施形態を説明する図である。
図6図6は、第2実施形態を説明する図である。
図7図7は、第3実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る照明器具の構造に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一の要素に対しては同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
以下に説明する実施形態では、照明器具として、LEDランプを例にとって説明するが、これに限定されない。第1実施形態は、LEDランプの防水構造に関し、第2及び第3実施形態は、このLEDランプの防水構造を実現する際、LEDユニットの取り付けで提案されたネジ止めに関する。
【0022】
[第1実施形態]
(LEDランプの構造)
一般に、屋外等で使用される照明器具は、少なくとも発光部及びこれに隣接する電源部を備えている。例えば、本実施形態で紹介するLEDランプも同様に、発光部、これに隣接する電源部、更に給電部から形成されている。
【0023】
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係るLEDランプ10の構造を簡単に説明する。LEDランプ10の構造は、既存の電球ソケットに装着可能なEタイプ口金2aが形成された給電部2と、給電部からの電源電圧を調整してLED素子に給電する電源部4と、LED素子を搭載したプリント回路板(図では4枚)6aを内蔵する発光部6とを備えている。LEDランプ10は、給電ソケット50に、給電部2のEタイプ口金2aをネジ込み使用される。
【0024】
元々、Eタイプ口金2aを利用したLEDランプ10の構造は、防水機能を有していない。そこで、屋外等で使用するため防止機能を持たせる場合、LEDランプ10を取り付ける給電ソケット50の底部に適当な防水手段(図示せず。)を設け、給電ソケット50と給電部2との間に防水パッキン14を介在配置し、LEDランプ10の構造に防水機能を付与するように設計される。
【0025】
図1に示すLEDランプ10の防水機能は、給電部2と電源部4を一体化して電源部を防水機能を有する樹脂ケースに収納し、且つ、発光部6も防水機能を有する樹脂ケースに収納している。更に、電源部4と発光部6の間にも、適当な防水パッキンを採用する必要がある。次に、この防水パッキンに関して、詳細に説明する。
【0026】
(カップ状容器)
図2及び図3を参照しながら、この防水パッキンの機能を奏するカップ状容器4fに関して説明する。図2は、図1に示すLEDランプの電源部4を説明する図である。図3(A)は、電源部の電源回路を収納したカップ状容器4fを外側ケース4aに組み込んだ状態の斜視図であり、図3(B)は、更に、外側ケース4aをLEDユニット6の基台ケース6bで覆って組み立てた状態の斜視図である。
【0027】
ここで、基台ケース6bは、剛性を有する任意の絶縁性の材質であってよい。基台ケース6bは、典型的には樹脂製が好ましく、例えば、ガラス繊維強化のPBT(ポリブチレンテレフタレート)のようなFRP、ポリカーボネート、アクリル樹脂等で形成される。
【0028】
第1実施形態では、電源部4は、お椀状の外側ケース4aを、LEDユニット6の基台ケース6bで覆った構造で形成される。両ケースは、外側ケース4aの外周湾曲面にランプ軸線方向に形成された凹部4bに形成されたネジ穴(貫通孔)4cと、このネジ穴に対応して基台ケース6bに形成された有底ネジ穴(ブラインドホール)6c(図示せず。)とを使ってネジ止め嵌合される。図では、ネジ穴4cは、等間隔で3個、即ち、外側ケース4a(カップ状容器4f)の開口面で120°間隔で形成されている。
【0029】
電源回路4dは、カップ状容器4fに収納された後、充填剤で充填されて、電源構成部品の耐候性及び耐振動性が高められている。内部に充填剤で充填された電源回路4dを収納したカップ状容器4fは、外側ケース4a内部に配置され固定される。充填剤は、典型的には、樹脂が用いられる。例えば、充填剤として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が用いられる。
【0030】
(カップ状容器の縁部)
電源回路4dが、充填剤で固化されているため、カップ状容器4fは、耐振動性の観点からも剛性を必要とせず、弾性部材を採用することができる。そのため、カップ状容器4fの形状を工夫することで、電源部4と発光部6の間の防水パッキンを兼用することが可能となった。
【0031】
カップ状容器4fは、開口端に縁部4gが形成されている。この開口端縁部4gは、開口面の半径方向外向きに、外側ケース4aの厚み全体又は部分的に覆うように拡がっている。カップ状容器4fは、、この開口端縁部4gによって、外側ケース4aとLEDユニット6(具体的には、基台ケース6b)との間(嵌合縁)の防水パッキンの機能を奏している。カップ状容器4fとパッキンを一体化することにより、電源回路4dを収納するカップ状容器4fと別個に、外側ケースとLEDユニットの間に防水パッキンを用意して組み込む必要がなくなる。
【0032】
(カップ状容器の電源ケーブル挿通孔)
ここで、電源回路4dから口金2aに至る電源ケーブルの挿通用の孔をカップ状容器4fの底部に形成すると、液状の樹脂を注いだ場合に孔から滴下し、作業性が悪い。そこで、カップ状容器4fの側面に、電源ケーブル用の挿通孔4iを形成している。挿通孔4iは、カップ状容器4fの内部空間とは別室の形態で、ランプ軸線方向に延在し、上下端部が開放されている。なお、ランプ軸線方向に見て、樹脂の表面は、挿通孔4iより低いため、液状樹脂が挿通孔に流入することはない。
【0033】
これに対応して、外側ケース4aの内周面に、半径方向内方に延びるリブ4jが形成されている。リブ4jの半径方向の長さは、挿通孔4iの半径方向の長さに比較して短い。挿通孔4iには樹脂が存在しないので、カップ状容器4fの挿通孔外周面の部分は弾性部材のままである。従って、リブ4jはカップ状容器4fを挿通孔外周面から半径方向内方に押圧して、ランプ軸線方向に沿って少なくとも部分的に分割する。このような挿通孔4i及びリブ4jを設けることにより、次の利点・効果が有る。
【0034】
(1)外側ケース4aとカップ状容器4fの相対的な位置決めが出来る。即ち、ネジ穴4c、6cが等間隔(図2では120°間隔)で設けられているので、相対的に120°位置ズレでもネジ穴が整合してしまうが、これを防止出来る。
(2)挿通孔4iがリブ4jにより分割されているので、電源回路4dから口金2aに至る2本の電源ケーブルを個別に挿通することが出来る。
【0035】
電源回路に接続された電源ケーブル(図示せず。)は、挿通孔4iを通し、外側ケース4a内部を通って、Eタイプ口金2内部に至り、所定の箇所に接続される。電源ケーブル用の挿通孔4iを設けることにより、電源ケーブルに液状樹脂が接触せず、更に電源ケーブルはランプの外部に露出することなく、外側ケース4a内部を通ってEタイプ口金2に直接接続することが出来る。
【0036】
(カップ状容器の機能)
図4は、電源部品を収納するカップ状容器が奏するパッキン機能を説明する図である。(A1)及びその部分拡大図(A2)は、電源部とLEDユニットとの間の嵌合縁の防水パッキン機能を説明する図である。図4(A1)は、図3(B)の側面図に相当し、破線円で囲まれた部分の拡大図が、図4(A2)である。図4(A2)において、グレーに塗られた部分が、電源部4の外側ケース4aとLEDユニット6の基台ケース6bとの間の嵌合縁の防水パッキン機能を奏する、カップ状容器4fの開口端縁部4gである。
【0037】
ここで、外側ケース4aは、剛性を有する任意の絶縁性の材質であってよい。外側ケース4aは、典型的には樹脂製が好ましく、例えば、ガラス繊維強化のPBT(ポリブチレンテレフタレート)のようなFRP、ポリカーボネート、アクリル樹脂等で形成される。
【0038】
カップ状容器4fは、パッキンとして機能するゴム弾性を有する材質であれば、任意の材質であってよい。カップ状容器4fは、例えば、ゴムや樹脂が使用され、代表的には、シリコン樹脂、シリコンゴム、ウレタン、TPE(熱可塑性エラストマー)やTPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)のようなエラストマー等によって形成される。
【0039】
なお、カップ状容器4fが、厚手の堅めのゴムから形成されていたり、或いは、カップ状容器全体が同じ材質で形成されてなく、カップ状容器4fの開口端縁部4gがパッキンとして機能するゴム弾性を有する部材から成り、開口端縁部4g以外のカップ状容器4fの部分が、例えば樹脂等で形成されて所定の剛性を有している場合には一定の耐振動性を有するので電源回路を充填剤で充填する必要は無い。
【0040】
このように、カップ状容器4f(又は少なくとも開口端縁部4g、以下同様)は、ある程度柔らかい弾性材料で形成されているので、狭い空間に押し込まれた場合には空間の形状に変形し、その空間を封止し、これに逆らう反発力を発生する性質を有している。従って、カップ状容器の開口端縁部は、嵌合される部材間に配置されると、両部材に密着係合して封止作用を奏し、外部の水分が浸入することを防ぐ、防水機能を奏する。
【0041】
カップ状容器の開口端縁部には、内周側に、円周上等間隔に配置された3個のネジ穴用パッキン4hが形成されている。このネジ穴用パッキン4hは、外側ケース4aのネジ穴4cから、外側ケースと基台ケースとの間隙を通って電源部内への浸透する水に対する防水パッキンとして機能する。
【0042】
図4(B1)及びその部分拡大図(B2)は、電源部とLEDユニットを連結するネジ穴周囲の防水パッキン機能を説明する図である。図4(B1)は、図3(B)の側面図に相当し、破線円で囲まれた部分の拡大図が、図4(B2)である。図4(B2)において、グレーに塗られた部分が、カップ状容器4fのネジ穴用パッキン4hである。
【0043】
カップ状容器4fは、以上説明したように特定の形状及び素材を採用することで、次の3つの機能を奏する構造部材となっている。
【0044】
(1)電源回路4dの構成部品を収納・固定し、電源の外側ケース4a内に配置する本来の機能(図3(A)参照)
(2)電源部4(具体的には、外側ケース4a)とLEDユニット6(同、基台ケース6b)との間の嵌合縁の防水パッキン機能(図4(A1,A2)参照)
(3)電源部(同、外側ケース)とLEDユニット(同、基台ケース)を連結するネジ穴周囲の防水パッキン機能(図4(B1,B2)参照)
【0045】
[第2実施形態]
図5及び図6は、第2実施形態を説明する図である。第2実施形態は、LEDユニットにおいて、LED素子搭載プリント回路板を覆う樹脂カバー(樹脂)を取付台(ダイカスト部材)に固定するネジ止め方法に関する。
【0046】
図5の上半分に示すように、対象箇所は、各樹脂カバーの上部及び下部の2箇所である。ダイカスト部材にはタッピングネジ用の下孔が形成されている。ネジ止めのポイントは、樹脂(樹脂カバー)に傷を付けないようにして取り付ける点にある。そのため、異なる軸径をもつネジを開発し、相対的に細い軸径から太い軸径に変わる段差の部分で金属板金材を押圧し、樹脂(樹脂カバー)の孔径は、ネジの太い軸径より少し大きくして傷が付かないようにしている。金属板金材は、4個の樹脂カバー(樹脂)の位置決め取り付けに利用されている。
【0047】
パターン(1)は、ダイカスト部材に金属板金材を当て、その上に樹脂を重ねている。金属板金材の下穴は、ネジの太い軸径より小さく、細い軸径より大きい。ネジ止めした段階で、ネジの太い軸径より樹脂の孔が少し大きく、ネジの太い部分の長さより樹脂の板厚が少し薄いのでガタが有り、ネジ止めにより樹脂が損傷することはない。
【0048】
パターン(1)-1は、ネジの軸径を変えるのではなく、ネジの軸に筒状金属スペーサーを通して太い軸径の代わりにしている。
パターン(2)は、金属板金材をバーリング加工し、ダイカスト部材の下穴は、ネジの太い軸径より小さく、細い軸径より大きい。
パターン(3)は、金属板金材のバーリング加工の向きを逆にしている。
パターン(4)は、ダイカスト部材にリブを設けた方法である。
パターン(5)は、ネジの軸径は一定であり、ダイカスト部材の下穴部分を厚くしてネジ止めしている。
【0049】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態を説明する図である。第3実施形態は、LEDユニットにおいて、LED素子搭載プリント回路板を覆う樹脂カバー(樹脂)を取付台(ダイカスト部材)に両端2箇所でネジ止めしている。両端2箇所のネジ止めの場合、一方のネジ止め箇所はスリット構造にして、部材の寸法公差、ネジ穴と取り付け孔のズレ等を吸収している。一般に、スリット構造は、図7(B-3)に示す「ネジ無し状態(一般的なU字スリット)」に示すようにストレートにU字逃げを作っている。
【0050】
第3実施形態では、図7(B-2)に示す「ネジ無し状態」に示すように、U字逃げ部の幅をネジ径以下にしている。このようにすると、他方のネジ止めが外れ、このネジ止めも緩んできたときであっても、樹脂カバー(樹脂)はネジに引っ掛かり、ネジ止め箇所から脱落しない。
【0051】
[本実施形態の特徴、利点、効果等]
次に、本実施形態の特徴、利点、効果等を説明する。
(1)カップ状容器4fを採用して、電源回路の収納容器と、電源部-LEDユニット間のパッキンとを一体化することにより、部品点数を減らし組立工数を減らしてコスト低減を図ることができた。
(2)一般にパッキンは厚みが薄く且つ弾性を有するので柔らかいため、連結する部材間に配置する際に、位置決めに時間を要する。配置の際に少しでもズレたり変形すると、防水機能が損なわれる。本実施形態では、カップ状容器4fの縁部4gをパッキンとして利用することにより、カップ状容器4fを、その外形形状と同じ内周形状をもつ外側ケース4aに差し込み配置するだけでパッキンの位置決めが容易に且つ完全に行える。
(3)カップ状容器4f自体は弾性部材から形成されているが、内部を充填剤で充填するので機械的強度(剛性)が付与され、安定した形状となる。弾性部材である縁部4gは、厚みが薄くても、電源容器と一体のために本来の形状を維持できる。
(4)電源回路4dから口金2aに至る電源ケーブルの挿通孔4iを、カップ状容器4fの内側側面に設けることにより、外側ケース4aの内側側面に形成されたリブ4jを利用して、位置決めが可能になる。リブ4jにより挿通孔4iが二分割されるので、各電源ケーブルの可動範囲は制限され、ケーブルの引き回しを容易にしている。
【0052】
[その他]
以上、本実施形態に係る照明器具をLEDランプを例にとって説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。本発明は、電源部及びこれに連結される発光部を備えた照明器具全般に適用可能である。給電部は、Eタイプ口金に限定されず、例えば、ピンタイプ等の任意のものであってよい。
【0053】
当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0054】
2:給電部、 2a:Eタイプ口金、 4:電源部、 4a:外側ケース、 4b:凹部、 4c:ネジ穴、 4d:電源回路、 4f:カップ状容器、 4g:縁部,開口端縁部,パッキン、 4h:ネジ穴用パッキン、 4i:挿通孔、 4j:リブ、 6:発光部,LEDユニット、 6a:プリント回路板、 6b:基台ケース、 10:LEDランプ、 14:防水パッキン、 50:給電ソケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7