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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】給水制御装置及び水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
E03C1/05
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018130989
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020007821
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】金子 義行
(72)【発明者】
【氏名】和田 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】金城 政信
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-005774(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0268208(US,A1)
【文献】特表2002-541361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を挿入して操作するフットスイッチと、
前記フットスイッチからの信号に基づき給水を制御する制御部と、
前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて給水を制御し、
給水が第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第1位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第2状態へ変化させ、
給水が前記第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第2位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第3状態へ変化させる給水制御装置。
【請求項2】
足を挿入して操作するフットスイッチと、
前記フットスイッチからの信号に基づき給水を制御する制御部と、
前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて給水を制御し、
前記制御部は、前記フットスイッチに沿って複数の操作領域を設定するよう構成され、足が挿入された前記操作領域に応じて給水を制御する給水制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、異なる水流を供給するよう給水を制御する請求項記載の給水制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、原水、湯、及び浄水のいずれかを供給するよう給水を制御する請求項又はに記載の給水制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、吐水と止水の切り替え、流量の調整、及び水温の調整のいずれかを行うよう給水を制御する請求項のいずれか1つに記載の給水制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、隣り合う前記操作領域同士の境界の位置を変更可能に構成された請求項のいずれか1つに記載の給水制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際に、前記検出手段により検出された足の位置を基準に前記境界の位置を変更する請求項記載の給水制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記吐水を開始する操作が行われた際に、前記検出手段により検出された足の位置から所定距離以上離れた位置に前記境界を設定する請求項記載の給水制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、吐水開始後に止水されると、前記境界の位置をリセットする請求項記載の給水制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が第1時間経過すると、前記境界の位置を変更する請求項記載の給水制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数の操作領域の一部を止水させるための領域として設定し、
前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が前記第1時間経過すると、止水させるための前記操作領域の範囲を広げる請求項10記載の給水制御装置。
【請求項12】
【請求項12】
前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が前記第1時間より長い第2時間経過すると、前記操作領域の全てを止水させるための領域として設定する請求項10又は11記載の給水制御装置。

【請求項13】
前記制御部は、水平方向において2つの前記操作領域を設定するように構成され、
前記制御部は、止水された状態では、それぞれの前記操作領域の範囲を所定の広さに設定し、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われると、前記検出手段により検出された足の位置から所定距離以上離れた位置に前記境界を設定する請求項記載の給水制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、水平方向において3つ以上の前記操作領域を設定するように構成され、
前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記検出手段により検出された足の位置に、中央の前記操作領域が位置するよう前記境界の位置を設定する請求項記載の給水制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域を、吐水及び止水を切り替える操作を行うための領域として設定する請求項14記載の給水制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域に隣り合う左右の前記操作領域を、それぞれ、流量を減少及び増大させるための領域として設定する請求項14記載の給水制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域に隣り合う左右の前記操作領域を、それぞれ、温度を下降及び上昇させるための領域として設定する請求項14記載の給水制御装置。
【請求項18】
水を吐水する吐水部と、
前記吐水部への給水を操作可能であり、足を挿入して操作するフットスイッチと、
給水源と前記吐水部とをつなぐ流路と、
前記流路に設けられ、前記流路を開閉する開閉弁と、
前記フットスイッチからの信号に基づき前記開閉弁を動作させる制御部と、
前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて前記開閉弁を動作させ、給水を制御し、
給水が第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第1位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第2状態へ変化させ、
給水が前記第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第2位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第3状態へ変化させる水栓装置。
【請求項19】
水を吐水する吐水部と、
前記吐水部への給水を操作可能であり、足を挿入して操作するフットスイッチと、
給水源と前記吐水部とをつなぐ流路と、
前記流路に設けられ、前記流路を開閉する開閉弁と、
前記フットスイッチからの信号に基づき前記開閉弁を動作させる制御部と、
前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて前記開閉弁を動作させ、給水を制御し、
前記制御部は、前記フットスイッチに沿って複数の操作領域を設定するよう構成され、足が挿入された前記操作領域に応じて給水を制御する水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、給水制御装置及び水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足元に設けられたフットスイッチにより給水を遠隔操作できる給水制御装置、及びそれを備えた水栓装置がある。使用者は、フットスイッチを足で操作することで、流し台や洗面台等の水栓の吐水及び止水を切り替えることができる。この給水制御装置によれば、両手が塞がっている時や両手が汚れている時でも、足でフットスイッチを操作することで水栓の開閉ができるため、使い勝手のよい水栓装置を実現できる。
【0003】
また、フットスイッチの操作により、複数の機能を実現できる装置もある。例えば、特許文献1に開示された技術によれば、特定の位置に設けられたフットスイッチの回転及び踏み込みにより、吐水及び止水の切り替えに加えて、流量を変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-52416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、台所や洗面所などの水まわり機器では、水栓を使って様々な作業が行われる。使用者の立ち位置も、作業に伴って変化する。すなわち、使用者が水栓を使用する際の使用者の位置とフットスイッチとの位置関係が様々に変化する。特許文献1に開示されたように、フットスイッチの回転と踏み込みで給水を制御する場合、足先の複雑な操作が要求されるうえ、使用者の立ち位置によってはそれらの操作が困難となる。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、より簡単な操作で給水を制御できる給水制御装置及び水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、足を挿入して操作するフットスイッチと、前記フットスイッチからの信号に基づき給水を制御する制御部と、前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、を備え、前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて給水を制御する給水制御装置である。
【0008】
この給水制御装置によれば、フットスイッチが操作された際、検出手段により検出された足の位置に応じて、給水が制御される。従って、使用者は、給水を制御するにあたって、フットスイッチを足先で複雑に操作する必要が無い。使用者は、主たる作業に集中しながら、フットスイッチを操作する位置を変えるだけで簡単に給水を制御できる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、給水が第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第1位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第2状態へ変化させ、給水が前記第1状態にあるときに、前記フットスイッチが操作され、前記検出手段により足が水平方向の第2位置に挿入されたことが検出されると、前記制御部は、給水を前記第1状態から第3状態へ変化させる給水制御装置である。
【0010】
この給水制御装置によれば、使用者は、給水が第1状態にあるときに、第1位置と第2位置のいずれかでフットスイッチを操作することで、給水の状態を第2状態と第3状態のいずれかに変化させることができる。使用者は、より簡単に所望の給水の状態を実現できる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記フットスイッチに沿って複数の操作領域を設定するよう構成され、足が挿入された前記操作領域に応じて給水を制御する給水制御装置である。
【0012】
足先は手先ほど器用では無い。このため、例えば、足が挿入された位置に応じて線形的に、すなわち、足が挿入された位置に対して水温や流量を細かく対応させるよう給水が制御されると、給水が使用者の意図しない状態に設定される場合がある。この給水制御装置によれば、制御部により、ある程度の幅を持った操作領域が設定される。従って、足先の操作により、使用者の意図した給水が行われ易くなる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、異なる水流を供給するよう給水を制御する給水制御装置である。
【0014】
この給水制御装置によれば、足を挿入する操作領域を変えることで水流を選択できるため、使い勝手が良い。
【0015】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、原水、湯、及び浄水のいずれかを供給するよう給水を制御する給水制御装置である。
【0016】
この給水制御装置によれば、足を挿入する操作領域を変えることで、原水、湯、又は浄水を選択できるため、使い勝手が良い。
【0017】
第6の発明は、第3~第5のいずれか1つの発明において、前記制御部は、足が挿入された前記操作領域に応じて、吐水と止水の切り替え、流量の調整、及び水温の調整のいずれかを行うよう給水を制御する給水制御装置である。
【0018】
この給水制御装置によれば、足を挿入する操作領域を変えることで、吐水と止水の切り替え、流量の調整、又は水温の調整を行えるため、使い勝手が良い。
【0019】
第7の発明は、第3~第6のいずれか1つの発明において、前記制御部は、隣り合う前記操作領域同士の境界の位置を変更可能に構成された給水制御装置である。
【0020】
フットスイッチに対して立ち位置が変われば足の挿入位置も変わる。この給水制御装置によれば、検出領域の境界が変更可能であることで、使い勝手が向上する。
【0021】
第8の発明は、第7の発明において、前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際に、前記検出手段により検出された足の位置を基準に前記境界の位置を変更する給水制御装置である。
【0022】
使用者の立ち位置や姿勢等は、作業に応じて変化する。これに合わせて、使用者がフットスイッチを操作する位置も変化する。この給水制御装置によれば、使用者が吐水を開始するためにフットスイッチを操作した際の足の位置に応じて操作領域の範囲が変更されることで、使用者の立ち位置に拘わらず、使用者が給水を操作し易くなる。
【0023】
第9の発明は、第8の発明において、前記制御部は、前記吐水を開始する操作が行われた際に、前記検出手段により検出された足の位置から所定距離以上離れた位置に前記境界を設定する給水制御装置である。
【0024】
使用者の立ち位置や姿勢などにより、使用者がいつもと同じ位置でフットスイッチを操作したつもりでも、実際には異なる位置でフットスイッチが操作される場合がある。操作領域同士の境界が吐水を開始する操作が行われた際の足の挿入位置の近くに設定されると、上述した足の位置の変化により、使用者の意図しない操作が行われる可能性がある。この給水制御装置によれば、吐水を開始する操作が行われた足の位置から所定距離以上離れた位置に操作領域同士の境界が設定されるため、使用者の意図しない動作が行われる可能性を低減できる。
【0025】
第10の発明は、第8の発明において、前記制御部は、吐水開始後に止水されると、前記境界の位置をリセットする給水制御装置である。
【0026】
吐水開始の操作の際の足の位置を基準に操作領域同士の境界の位置が設定され、それが止水後も保持されると、次に使用者が使用する際に、使用者の意図しない給水が行われる可能性がある。この給水制御装置によれば、止水時に境界の位置がリセットされる。このため、次に使用者が使用する際に、意図しない給水が行われることを抑制できる。
【0027】
第11の発明は、第8の発明において、前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が第1時間経過すると、前記境界の位置を変更する給水制御装置である。
【0028】
この給水制御装置によれば、時間の経過に応じて操作領域同士の境界が変更されるため、使い勝手が良い。
【0029】
第12の発明は、第11の発明において、前記制御部は、前記複数の操作領域の一部を止水させるための領域として設定し、前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が前記第1時間経過すると、止水させるための前記操作領域の範囲を広げる給水制御装置である。
【0030】
この給水制御装置によれば、吐水状態がある程度続くと止水領域を拡大することで、使用者は、止水の操作領域を注意深く狙って足で操作しなくても、容易に止水できるようになる。このため、より早く、より簡単に止水でき、使い勝手が良い。
【0031】
第13の発明は、第12の発明において、前記制御部は、吐水されたまま前記フットスイッチが操作されない状態が前記第1時間より長い第2時間経過すると、前記操作領域の全てを止水させるための領域として設定する。
【0032】
この給水制御装置によれば、吐水状態が第1時間よりも更に長く続くと、フットスイッチのどこを蹴っても止水できるようになり、使い勝手と安全性(吐水しっぱなし防止)を向上させることができる。
【0033】
第14の発明は、第7の発明において、前記制御部は、水平方向において2つの前記操作領域を設定するように構成され、前記制御部は、止水された状態では、それぞれの前記操作領域の範囲を所定の広さに設定し、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われると、前記検出手段により検出された足の位置から所定距離以上離れた位置に前記境界を設定する給水制御装置である。
【0034】
この給水制御装置によれば、2つの操作領域が設定される比較的簡単な操作の水栓において、その境界位置を、吐水開始の操作位置に応じて適切に調整することで、2つの給水の状態のいずれかをより確実に選択できるようになり、使い勝手が良い。
【0035】
第15の発明は、第7の発明において、前記制御部は、水平方向において3つ以上の前記操作領域を設定するように構成され、前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記検出手段により検出された足の位置に、中央の前記操作領域が位置するよう前記境界の位置を設定する給水制御装置である。
【0036】
この給水制御装置によれば、3つの操作領域が設定されるため、フットスイッチの操作位置を変えることで、3つの給水の状態のいずれかを選択でき、多機能の制御が可能となり、使い勝手が良い。また、吐水開始の操作の際に足が挿入された位置に中央の操作領域が設定されることで、3つの領域を足先で把握することが容易となり、端の操作領域も足先で操作し易くなり、使い勝手が向上する。
【0037】
第16の発明は、第15の発明において、前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域を、吐水及び止水を切り替える操作を行うための領域として設定する給水制御装置である。
【0038】
この給水制御装置によれば、中央の操作領域が、最も使用する頻度が高い、吐水及び止水を切り替えるための領域に設定される。これにより、使用者は、吐水又は止水させたいときに、足先を左右方向に動かす必要性がなく、使い勝手がよい。
【0039】
第17の発明は、第15の発明において、前記制御部は、前記フットスイッチにより吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域に隣り合う左右の前記操作領域を、それぞれ、流量を減少及び増大させるための領域として設定する給水制御装置である。
【0040】
この給水制御装置によれば、左右の操作領域が流量を変更するための領域に設定される。使用者は、これらの操作領域においてフットスイッチを操作するだけで流量を調整でき、使い勝手が良い。
【0041】
第18の発明は、第15の発明において、前記制御部は、吐水を開始する操作が行われた際、前記中央の操作領域に隣り合う左右の前記操作領域を、それぞれ、温度を下降及び上昇させるための領域として設定する給水制御装置である。
【0042】
この給水制御装置によれば、左右の操作領域が水温を変更するための領域に設定される。使用者は、これらの操作領域においてフットスイッチを操作するだけで水温を調整でき、使い勝手が良い。
【0043】
第19の発明は、水を吐出する吐水部と、前記吐水部への給水を操作可能であり、足を挿入して操作するフットスイッチと、給水源と前記吐水部とをつなぐ流路と、前記流路に設けられ、前記流路を開閉する開閉弁と、前記フットスイッチからの信号に基づき前記開閉弁を動作させる制御部と、前記フットスイッチに挿入された足の水平方向における位置を検出する検出手段と、を備え、前記制御部は、前記フットスイッチが操作されると、前記検出手段により検出された足の位置に応じて前記開閉弁を動作させ、給水を制御する水栓装置である。
【0044】
この水栓装置によれば、フットスイッチが操作された際、検出手段により検出された足の位置に応じて、給水が制御される。従って、使用者は、給水を制御するにあたって、フットスイッチを足先で複雑に操作する必要が無い。使用者は、主たる作業に集中しながら、フットスイッチを操作する位置を変えるだけで簡単に給水を制御できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明の態様によれば、より簡単な操作で給水を制御できる給水制御装置及び水栓装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施形態に係る水栓装置を有する水まわり機器を表す斜視図である。
図2】フットスイッチを表す斜視図である。
図3】フットスイッチを表す側面図である。
図4】検出手段の特性を例示するグラフである。
図5】実施形態に係る水栓装置の構成を表す模式図である。
図6】実施形態に係る水栓装置の構成の一部を表す模式図である。
図7】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図8】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図9】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図10】制御部による操作領域の設定例を表す表である。
図11】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図12】実施形態に係る水栓装置の動作を表すフローチャートである。
図13】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図14】制御部による操作領域の設定例を表す表である。
図15】実施形態に係る水栓装置の操作部を例示する図である。
図16】実施形態に係る水栓装置の構成の一部を表す模式図である。
図17】実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図18】実施形態に係る水栓装置の動作を表すフローチャートである。
図19】実施形態に係る水栓装置の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る水栓装置を有する水まわり機器を表す斜視図である。
図1に表した水まわり機器100は、実施形態に係る水栓装置1を備える。水栓装置1は、フットスイッチ10及び吐水部20を備える。
【0048】
本願明細書においては、水まわり機器100に対して、水まわり機器100の使用者が立つ方向を「前方」とし、その反対の方向を「後方」とする。「前方」及び「後方」に対して垂直であり水平な方向を、それぞれ「左側方」及び「右側方」とする。また、使用者からみて上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」とする。
【0049】
吐水部20は、不図示の給水源と接続され、給水された水を吐水可能に構成されている。水栓装置1は、吐水部20から湯を吐水可能に構成されていても良い。フットスイッチ10は、水まわり機器100の使用者の足元に設けられている。フットスイッチ10は、吐水部20へ給水させる給水操作を足で行うために設けられたユニットである。使用者は、フットスイッチ10を操作することで、吐水部20の吐水及び止水を切り替えることができる。更には、後述するように、その部材の構成や制御方法によって、吐水の流量や水温の調整も操作することも可能である。水まわり機器100の水栓装置1以外の構成は、任意である。図1に表した例では、水まわり機器100は、吐水部20から吐水された水を受けるためのシンク90、物を載置するためのカウンタ91、物を収納するためのキャビネット92などをさらに備えている。
【0050】
図2は、フットスイッチを表す斜視図である。
図3は、フットスイッチを表す側面図である。
図2に表したように、フットスイッチ10は、左右方向に延びる固定部材11及び蹴り込み板12を有する。固定部材11は、前方が開けた凹状の部材であり、水まわり機器100に固定される。蹴り込み板12は、固定部材11の内側に設けられ、固定部材11に対して前後方向に移動可能に構成されている。
【0051】
図3に表したように、フットスイッチ10は、弾性部材13及びスイッチSW1をさらに有する。弾性部材13は、固定部材11の奥面11aと蹴り込み板12の背面12aとの間に設けられている。使用者は、固定部材11の内側に足先を挿入し、蹴り込み板12を蹴り込む(後方へ押す)ことで、フットスイッチ10を操作する。蹴り込み板12が蹴り込まれると、固定部材11の奥面11a及び蹴り込み板12の背面12aに設けられたスイッチSW1が接触し、フットスイッチ10の操作が検出される。蹴り込み板12が蹴り込まれていない状態では、弾性部材13の弾性力により、スイッチSW1同士が離間している。
【0052】
水栓装置1は、検出手段30をさらに有する。検出手段30は、フットスイッチ10が操作されると、フットスイッチ10を操作した足の水平方向(左右方向)における位置を検出する。検出手段30は、例えば図2に表したように、フットスイッチ10に沿って配列された複数の検出素子31~39を有する。検出素子31~39は、固定部材11の上側に取り付けられている。それぞれの検出素子は、投光部p及び受光部rを有する。投光部pは、下方に向けて光を照射する。投光部pから照射された光は、固定部材11の内側の下面11bで反射され、受光部rに入射する。下面11bは、例えば、反射率を高めるために鏡面加工されている。
【0053】
図4は、検出手段の特性を例示するグラフである。
図4において、横軸は、左右方向における位置を表す。縦軸は、各検出素子で検出された受光量(反射光の強度)を表す。足がフットスイッチ10に挿入されていると、投光部pから照射された光は、足によって遮られ、下面11bに入射しない。受光部rには、足によって反射された光が入射するが、その受光量は、下面11bで光が反射されたときよりも小さい。従って、図4に表したように、足が挿入された位置に設けられた検出素子では、検出される受光量が小さくなる。
【0054】
例えば、各検出素子の受光部rで検出された受光量が、所定の閾値thと比較される。そして、受光量が閾値thを下回った検出素子の位置に、足があると判断される。図4に表した例では、検出素子34が設けられた位置に、足が挿入されたと判断される。或いは、検出素子34の受光量が閾値thを僅かに越えるレベルであっても、検出素子33と35の受光量の大きさと、その並び方から、「検出素子34の位置が最小である」と評価し、検出素子34が設けられた位置に足が挿入されたと判断してもよい。この判断は、後述する制御部50により実行される。又は、検出手段30により判断が実行され、その結果が制御部50に送信されても良い。
【0055】
なお、使用者が足で操作できれば、上述したフットスイッチ10の具体的な構成は適宜変更可能である。図2及び図3に表した例では、使用者が蹴り込み板12を後方に押し込むことで、フットスイッチ10が操作される。この構成に代えて、蹴り込み板12が、斜め下方又は鉛直下方に踏み込まれるよう構成されたフットペダルであっても良い。
【0056】
同様に、フットスイッチ10を操作する足の水平方向における位置を検出できれば、検出手段30の具体的な構成も適宜変更可能である。例えば、投光部p及び受光部rを有する検出素子に代えて、人体を検出する静電容量センサの小型のものが複数個あって、検出素子31~39の位置に設けられても良い。或いは、図2及び図3の蹴り込み板12が複数個に分割されていて、分割された蹴り込み板のそれぞれに対して、複数の弾性部材と複数のスイッチがセットで設置され、蹴り込み板のどの位置が蹴られたかを複数のスイッチの状態で判断する方法もある。
【0057】
図5は、実施形態に係る水栓装置の水路および電気的な制御部分の構成を表す模式図である。
図5に表したように、実施形態に係る水栓装置1は、流路41、開閉弁42、及び制御部50をさらに備える。流路41は、給水源43と吐水部20とをつないでいる。給水源43は、例えば、上水道又は貯水タンクである。開閉弁42は、流路41に設けられている。開閉弁42が開くと、吐水部20へ水が供給され、開閉弁42が閉じると、吐水部20への水の供給が停止される。
【0058】
図5に表した例では、水栓装置1は、流路44、開閉弁45、及び混合部47をさらに備える。流路44は、給湯源46と吐水部20とをつないでいる。給湯源46は、例えば、給湯機又は貯湯タンクである。流路41と流路44は、混合部47で合流し、吐水部20へ流れる。開閉弁45は、給湯源46と混合部47との間に設けられている。開閉弁45が開くと、吐水部20へ湯が供給され、開閉弁45が閉じると、吐水部20への湯の供給が停止される。
【0059】
制御部50は、フットスイッチ10、検出手段30、開閉弁42、及び開閉弁45と電気的に接続されている。開閉弁42及び45は、例えば電磁弁である。制御部50は、フットスイッチ10及び検出手段30から送信された信号に基づき、開閉弁42及び開閉弁45を動作させ、吐水部20への給水を制御する。
【0060】
なお、図5に表した水路構成は一例であり、本実施形態に係る水栓装置1の水路構成は、これに限定されない。水栓装置1の水路構成については、制御部50による開閉弁の駆動により給水の状態を制御できれば、適宜変更可能である。
【0061】
図6は、実施形態に係る水栓装置の構成の一部を表す模式図である。特に、図5の水栓装置の構成の、水路を除く、電気的な制御部分の詳細を表す図である。
より具体的には、制御部50は、図6に表したように、フットスイッチ10のスイッチSW1及び検出手段30の検出素子31~39と電気的に接続されている。制御部50は、スイッチSW1の入力を検出すると、検出素子31~39のそれぞれの投光部pから光を照射させる。各受光部rは、その反射光を検出する。例えば、制御部50は、各受光部rで検出された受光量の大きさとその並び方に基づき、フットスイッチ10を操作した足の水平方向における位置を検出する。制御部50は、足が検出された位置に応じて給水を制御する。
【0062】
具体的な一例として、制御部50は、開閉弁42及び45を動作させ、給水の状態を、以下の状態1~状態3のいずれかに制御する。状態1では、開閉弁42及び45が閉じられ、吐水部20への給水が停止されている。状態2では、開閉弁42が開かれ、開閉弁45が閉じられ、水のみが吐水部20へ供給される。状態3では、開閉弁42が閉じられ、開閉弁45が開かれ、湯が吐水部20へ供給される。例えば、これらの給水の状態の切り替えが、足の検出位置に応じて実行される。
【0063】
開閉弁42及び45は、流量調整機能を有していても良い。開閉弁42及び45が流量調整機能を有する場合、制御部50は、以下のように給水の状態をより細かく制御しても良い。例えば、制御部50は、給水が状態3にあるときに、水の流量を増大させ、湯の流量を減少させる。これにより、吐水部20から吐水される水の量を保ったまま水の温度が下降する。又は、制御部50は、水の流量を減少させ、湯の流量を増大させることで、吐水される水の量を保ったまま水の温度を上昇させる。制御部50は、水及び湯の流量を増大させることで、水温を保ったまま水量を増大させても良い。又は、制御部50は、水及び湯の流量を減少させることで、水温を保ったまま水量を減少させても良い。
【0064】
実施形態に係る水栓装置1によれば、以下のような給水の制御が可能である。
給水が第1状態にあるときに、フットスイッチ10が操作され、検出手段30により水平方向において足が第1位置に挿入されたことが検出される。このとき、制御部50は、給水を、第1状態から第2状態へ変化させる。第2状態は、第1状態とは異なる状態である。
また、給水が第1状態にあるときに、フットスイッチ10が操作され、検出手段30により水平方向において足が第2位置に挿入されたことが検出される。第2位置は、第1位置とは異なる位置である。このとき、制御部50は、給水を、第1状態から第3状態へ変化させる。第3状態は、第1状態及び第2状態とは異なる状態である。
例えば、第1状態、第2状態、及び第3状態は、それぞれ、上述した状態のいずれかである。第1位置は、検出素子31~39のいずれかが設けられた位置であり、第2位置は、検出素子31~39の別のいずれかが設けられた位置である。
【0065】
実施形態に係る水栓装置1によれば、上述したように、フットスイッチ10が操作された際、検出手段30により検出された足の位置に応じて、給水が制御される。従って、使用者は、給水を制御するにあたって、フットスイッチ10を足先で複雑に操作する必要が無い。使用者は、主たる作業に集中しながら、フットスイッチ10を操作する位置を変えるだけで簡単に給水を制御できる。
【0066】
また、同様に、水栓装置1における給水を制御する、フットスイッチ10、検出手段30、及び制御部50を備えた給水制御装置によれば、使用者が主たる作業に集中しながら簡単に給水を制御できるようになる。この給水制御装置を水栓装置1及び水まわり機器100に用いることで、水栓装置1及び水まわり機器100の使い勝手を向上できる。
【0067】
図7図9は、実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
図7(a)は、固定部材11内側の下面11bにおける、検出素子31~39のそれぞれによる検出範囲を模式的に表している。制御部50は、例えば、検出素子31~39が設けられた領域に、複数の操作領域を設定する。図7(b)に表した例では、制御部50は、フットスイッチ10に沿って操作領域Lと操作領域Rを設定している。
【0068】
検出素子31~34のいずれかが足を検出すると、制御部50は、操作領域Lにおいてフットスイッチ10が操作されたと判断する。また、検出素子35~39のいずれかが足を検出すると、制御部50は、操作領域Rにおいてフットスイッチ10が操作されたと判断する。例えば、操作領域Lでフットスイッチ10が操作されると、制御部50は、湯の吐水及び止水を切り替える。操作領域Rでフットスイッチ10が操作されると、制御部50は、水の吐水及び止水を切り替える。
【0069】
具体的な動作の一例を説明する。
吐水部20の止水中に操作領域Rへ足が挿入されたこと検出されると、制御部50は、吐水部20から水を吐水させる。吐水部20が水を吐水中に操作領域Rへ足が挿入されたことが検出されると、制御部50は、吐水部20を止水させる。吐水部20の止水中に操作領域Lへ足が挿入されたこと検出されると、制御部50は、吐水部20から湯を吐水させる。吐水部20が湯を吐水中に操作領域Lへ足が挿入されたことが検出されると、制御部50は、吐水部20を止水させる。
吐水部20が水を吐水中に操作領域Lへ足が挿入されたことが検出されると、制御部50は、吐水部20を一旦止水させ、続いて吐水部20から湯を吐水させる。吐水部20が湯を吐水中に操作領域Rへ足が挿入されたことが検出されると、制御部50は、吐水部20を一旦止水させ、続いて吐水部20から水を吐水させる。
【0070】
さらに、制御部50は、隣り合う操作領域同士の境界の位置を変更可能に構成されていても良い。例えば、初期状態では、操作領域L及び操作領域Rが、図8(a)に表したように所定の広さに設定されているとする。吐水部20が止水中のときは、操作領域L及びRはリセットされ、初期状態に設定される。ここで、矢印で示す位置に足が挿入され、フットスイッチ10が操作されたとする。挿入された足は、検出素子34により検出される。この場合、制御部50は、図8(b)に表したように、操作領域LとRの境界の位置を、足が検出された位置から離れた位置に変更する。例えば、制御部50は、当該境界を、隣り合う検出素子同士の距離d以上離れた位置に設定する。
【0071】
以下で、別の例を説明する。
図8(c)の矢印で示した位置に足が挿入され、フットスイッチ10が操作されたとする。挿入された足は、検出素子35により検出される。この場合、制御部50は、図8(d)に表したように、操作領域LとRの境界の位置を、検出素子33と34との間に変更する。
図9(a)の矢印で示した位置に足が挿入され、検出素子31により足が検出されると、制御部50は、図9(b)に表したように、当該境界の位置を検出素子33と34との間の位置に変更する。すなわち、図8(a)~図8(d)に表した例では、足が挿入された位置から離れるように、境界の位置が変更された。これに対して、図9(a)及び図9(b)に表した例では、足が挿入された位置に近づくように、境界の位置が変更される。
図9(c)の矢印で示した位置に足が挿入され、検出素子39により足が検出されると、制御部50は、図9(d)に表したように、当該境界の位置を検出素子36と37との間の位置に変更する。
【0072】
図10は、制御部による操作領域の設定例を表す表である。
図10において、左側の列は、フットスイッチ10の操作位置を表す。図10では、操作位置として、フットスイッチ10が操作された際に挿入された足を検出した検出素子の符号を表している。図10の中央及び右側の列は、操作領域L及びRとして設定される範囲を表している。例えば、検出素子31で挿入された足が検出されると、検出素子31~33による検出範囲が操作領域Lとして設定され、検出素子34~39による検出範囲が操作領域Rとして設定される。
【0073】
使用者の立ち位置や姿勢等は、作業に応じて変化する。これに合わせて、使用者が水栓装置1を使う際に、フットスイッチ10を操作する位置も変化する。使用者がフットスイッチ10を操作した位置に応じて操作領域の範囲が変更されることで、使用者の立ち位置に拘わらず、使用者が給水を操作し易くなる。
【0074】
具体的には、制御部50は、図8(a)~図8(d)に表したように、フットスイッチ10による吐水開始の操作時に、足の位置から所定距離以上離れた位置に操作領域同士の境界を設定する。
例えば、使用者がフットスイッチ10の中央付近を操作し、検出素子34により足が検出されたとする。この操作を受けて、制御部50は、吐水部20から湯を吐水させる。次に使用者が止水させたいときは同じ位置でフットスイッチ10を操作すれば良い。しかし、使用者の立ち位置や姿勢などにより、使用者が同じ位置でフットスイッチ10を操作したつもりでも、実際には異なる位置でフットスイッチ10が操作される場合がある。例えば、使用者が止水させようとしてフットスイッチ10を操作したが、検出素子34に隣接する検出素子35の位置でフットスイッチ10を操作する場合もありえる。このとき、吐水開始時に足の位置に拘わらず操作領域の境界が設定されると、水が吐水され、使用者の意図しない動作が実行されてしまう。
足の位置から所定距離以上離れた位置に境界が設定されることで、このような意図しない動作が行われることを抑制でき、水栓装置1の使い勝手を向上させることができる。
【0075】
また、制御部50は、図9(a)~図9(d)に表したように、フットスイッチ10による吐水開始の操作時に、足の位置から所定距離以上離れた位置に操作領域同士の境界が有る場合、その境界をより近くの位置に変更する。
例えば図7(b)のように操作領域が設定されていた場合に、使用者がフットスイッチ10の端部を操作し、検出素子39により足が検出されるとする。この操作を受けて、制御部50は、吐水部20から水を吐水させる。次に使用者が湯を吐水させたいとき、制御部50により境界の位置が変更されないと、使用者は、検出素子39から離れた検出素子34まで少なくとも足を伸ばしてフットスイッチ10を操作する必要がある。このような動作は、使用者が行っている作業によっては困難である。また、足が十分に伸ばせずに、使用者が意図しない操作を行ってしまう可能性もある。
足の位置からある程度近い位置に境界が設定されることで、使用者が無理にフットスイッチ10を操作する必要が無く、且つ意図しない動作が行われることを抑制できる。
以上をまとめると、使用者はフットスイッチ10を「左右」という感覚で蹴り分けて異なる操作を実行するが、左右の区別を絶対位置でなく(最初に操作位置を基準とした)相対位置で操作できる。このため、使用者の立ち位置の自由度が増え、左右の蹴りわけも容易となり、使い勝手が向上する。
【0076】
制御部50は、吐水開始後の時間の経過に応じて、操作領域の境界の位置を変更しても良い。例えば、フットスイッチ10が操作されて吐水が開始されてから第1時間が経過すると、制御部50は、足が挿入された操作領域の範囲を広げるように当該境界の位置を変更する。換言すると、制御部50は、止水させるための操作領域の範囲を広げる。第1時間は、例えば30秒に設定される。
【0077】
図11は、実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
例えば図11(a)に表したように、まず止水状態において操作領域Lで足が検出され、吐水部20から湯が吐水される。これと同時に操作領域LとRの境界が、図11(b)に表したように変更される。その後第1時間が経過すると、制御部50は、図11(c)に表したように、湯を止水するための操作領域Lの範囲を広げるよう操作領域LとRの境界の位置を変更する。
【0078】
吐水が開始されてから第2時間が経過すると、制御部50は、図11(d)に表したように、止水させるための操作領域の範囲をさらに広げても良い。図11(d)の例では、操作領域Lの範囲を全体に広げ、操作領域Rを無くしている。第2時間は、第1時間よりも長い時間である。第2時間は、例えば3分に設定される。その後、全範囲に設定された操作領域Lでフットスイッチ10が操作されると湯が止められる。このとき、制御部50は、図11(e)に表したように、操作領域LとRの境界の位置を初期状態にリセットする。
【0079】
一般的に、使用者は、ある時間連続して水又は湯を使用すると、その後は止水させることが多い。その際、使用者は、吐水を開始した時に操作した位置と同じ位置を蹴り込んで止水しようとする。しかし、吐水を開始した後に時間が経過すると、使用者の立ち位置が変わったり、蹴り込んだ位置の記憶が曖昧になったりして、位置のずれが生じる。このずれは時間経過と共に大きくなっていく可能性が高い。そこで、制御部50は、吐水開始後に第1時間が経過すると、止水させるための操作領域の範囲を広げる。これにより、使用者が止水する際に、止水が行われる範囲が広くなり、使用者が止水し易くなる。また、吐水開始後に第2時間が経過したとき、制御部50が止水させるための操作領域の範囲をさらに広げることで、使用者がより止水し易くなる。
【0080】
なお、使用者により止水された際には、図11(e)に表したように、操作領域の設定はリセットされることが望ましい。止水後も操作領域の設定が維持され続けると、次に使用者がフットスイッチ10を操作する際、使用者がどの部分がどの操作領域か分からずに困惑する可能性がある。
【0081】
又は、制御部50は、吐水開始後に、フットスイッチ10が操作されないまま第3時間が経過すると、湯または水を止水する自動止水機能を有することが望ましい。これにより、湯水の「出っ放し」を防止することができる。この自動止水においても、フットスイッチ10が操作されて止水された場合と同じ理由で、操作領域LとRの境界の位置は初期状態にリセットする。これは図11(d)から図11(e)への変化となる。この場合、第3時間は、例えば10分に設定される。
【0082】
図12は、実施形態に係る水栓装置の動作を表すフローチャートである。
ここでは、図7に表したように、制御部50により2つの操作領域LとRが設定される場合について説明する。
【0083】
まず、判断D1では、スイッチSW1の入力があるか判断される。スイッチSW1の入力があると、定義済み処理PP1が実行される。定義済み処理PP1では、検出手段30により、フットスイッチ10を操作した足の位置が検出される。次に、判断D2で、水及び湯の両方が止水されているか判断される。
【0084】
止水されている場合、定義済み処理PP2で、複数の操作領域、すなわちLとRのいずれの操作領域において足が検出されたか判定される。なお、定義済み処理PP2で判定される際には、それぞれの操作領域の範囲は初期状態に設定されている。続いて、定義済み処理PP3が実行される。定義済み処理PP3では、足が検出された位置に応じて、図10に表したルールに則り、操作領域同士の境界の位置を変更する。
【0085】
判断D2で止水されていないと判断された場合、定義済み処理PP4が実行される。定義済み処理PP4では、LとRのいずれの操作領域で足が検出されたか判定される。なお、判定は、定義済み処理PP3等により変更された後の境界の位置に基づいて行われる。
【0086】
定義済み処理PP3又は定義済み処理PP4の後には、判断D3が実行される。判断D3では、操作領域LとRのどちらで足が検出されたか判断される。
【0087】
操作領域Rの操作だった場合、処理P1が実行される。処理P1では、湯を吐水させる要求がリセットされる。例えば、湯が吐水部20から吐水されている場合、湯の吐水要求がセットされた状態である。処理P1により、この吐水要求がリセットされる。すなわち、湯が吐水されている場合は、無条件に湯を止水する前処理(湯の吐水要求のリセット)を行う。次に、判断D4において、水の吐水要求があるか判断される。要求が有る場合、これは、この時点で水が吐水されていることを意味し、処理P2において、水の吐水要求をリセットする。更に、定義済み処理PP5において、操作領域の範囲を初期化する。判断D4において要求が無い場合、これは、この時点で水が吐水されていないことを意味し、処理P3において、水の吐水要求をセットする。こうして、水が吐水されていれば止水へ、水が止水されていれば吐水へと、水の吐水と止水が反転し、止水する場合は、操作領域の範囲の初期化を行う。
【0088】
判断D3において操作領域Lの操作と判断されると、処理P4が実行される。以降は、前述の操作領域Rが操作された場合と湯水を逆にした処理となる。処理P4では、水の吐水要求がリセットされる。例えば、水が吐水部20から吐水されている場合、水の吐水要求がセットされた状態である。処理P4により、この吐水要求がリセットされる。次に、判断D5において、湯の吐水要求があるか判断される。要求が有る場合、処理P5において、湯の吐水要求がリセットされる。更に、定義済み処理PP6において、操作領域の範囲が初期化される。要求が無い場合、処理P6において、湯の吐水要求がセットされる。
【0089】
判断D6では、水側の開閉弁42の開閉状態及び湯側の開閉弁45の開閉状態が、それぞれ、水の吐水要求及び湯の吐水要求と一致しているか判断される。一致している場合、判断D1が再度実行される。一致していない場合、定義済み処理PP7において、一致させるように、水側の開閉弁42及び湯側の開閉弁45を駆動させる。
【0090】
判断D1で、スイッチSW1の入力が無かった場合、判断D7が実行される。判断D7では、吐水部20が吐水中か判断される。吐水部20が止水されている場合、判断D1が再度実行される。すなわち、スイッチSW1がオンしたかを待つループとなる。吐水部20が吐水中の場合、判断D8において、吐水が開始されてから第1時間T1が経過したか判断される。第1時間T1は、例えば30秒に設定される。
【0091】
第1時間T1が経過していない場合、判断D1が再度実行される。第1時間T1が経過している場合、定義済み処理PP8が実行される。定義済み処理PP8では、制御部50は、足が挿入された操作領域(止水させるための操作領域)の範囲を広げるように、操作領域同士の境界の位置を変更する。この事例は、図11(b)から図11(c)への変更である。すなわち、操作領域Lが操作されて湯の吐水を開始した場合、そのまま第1時間T1が経過すると、湯を止水する操作領域であるLの領域を1枠(距離d)広げて図11(c)の状態とし、湯を止水しやすくする。なお、この枠を広げる処理は、第1時間T1が経過した時点で1回だけ行う。定義済み処理PP8を実行するたびに1枠ずつ増やすのではない。
【0092】
定義済み処理PP8の後は、判断D9において、吐水が開始されてから第2時間T2が経過したか判断される。第2時間T2は、例えば3分に設定される。第2時間T2が経過していない場合、判断D1が再度実行される。第2時間T2が経過している場合、定義済み処理PP9が実行される。定義済み処理PP9では、制御部50は、足が挿入された操作領域の範囲を全体に広げ、別の操作領域を無くす。この事例は、図11(c)から図11(d)への変更であり、これにより、フットスイッチのどこを蹴っても湯の止水が可能となる。
【0093】
定義済み処理PP9の後は、判断D10において、吐水が開始されてから第3時間T3が経過したか判断される。第3時間T3は、例えば10分に設定される。第3時間T3が経過していない場合、判断D1が再度実行される。第3時間T3が経過している場合、処理P7が実行される。処理P7では、水及び湯の吐水要求がリセットされる。すなわち、吐水から第3時間T3が経過すると、湯水の「止め忘れ」と判断して、強制的に止水する制御を行う。これにより、操作ミスや動物(猫など)により誤って吐水開始しても、「湯水の出しっ放し」を防止できる。更に、定義済み処理PP10において、操作領域の範囲を初期化する。これは、図11(d)から図11(e)への変化である。その後は、上述した、判断D6及び定義済み処理PP7が実行される。すなわち、吐水開始から第3時間T3が経過すると、水又は湯が自動的に止水される。
【0094】
以上では、制御部50により、2つの操作領域が設定される場合を説明した。この例に限定されず、制御部50は、3つ以上の操作領域を設定しても良い。
【0095】
図13は、実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
吐水部20が止水された状態では、図13(a)に表したように、全ての領域が操作領域Cとして設定されている。操作領域Cは、吐水及び止水を切り替えるための操作領域である。すなわち、フットスイッチ10をいずれの位置で操作しても、吐水部20からの吐水が開始される。
【0096】
フットスイッチ10が操作された際、図13(a)の矢印に示した位置で足が検出されて吐水が開始されたとする。制御部50は、この位置を基準として、図13(b)に表したように、操作領域L、C、及びRの3つの操作領域を設定する。
【0097】
例えば、操作領域Lは、流量を減少させるための操作領域として設定され、操作領域Rは、流量を増大させるための操作領域として設定される。又は、操作領域Lは、温度を下降させるための操作領域として設定され、操作領域Rは、温度を上昇させるための操作領域として設定されても良い。
【0098】
操作領域LとCの境界は、吐水開始時に足が挿入された位置から、所定距離(例えば距離d)以上離れた位置に設定される。同様に、操作領域CとRの境界は、足が挿入された位置から、所定距離以上離れた位置に設定される。
【0099】
または、初期状態において、水流を選択するための操作領域L、C、及びRが設定されても良い。例えば、操作領域Lは、湯の吐水及び止水を切り替えるための領域として設定される。操作領域Cは、原水の吐水及び止水を切り替えるための領域として設定される。操作領域Rは、浄水の吐水及び止水を切り替えるための領域として設定される。使用者は、吐水部20から吐水させる際に、吐水させたい水流に対応する操作領域でフットスイッチ10を操作する。これにより、所望の水流が吐水部20から吐水される。また、この場合、吐水開始時に足が挿入された位置に応じて、操作領域LとCの境界の位置、及び操作領域CとRの境界の位置が、変更される。
【0100】
図13(b)のように操作領域が設定された後、フットスイッチ10が操作されずに第1時間が経過すると、制御部50は、図13(c)に表したように、止水させるための操作領域Cの範囲を拡大させる。また、フットスイッチ10が操作されずに第2時間が経過すると、制御部50は、図13(d)に表したように、止水させるための操作領域Cの範囲をさらに拡大させる。図13(d)の例では、操作領域Cが全体に設定され、操作領域L及びRが無くなっている。第2時間は、第1時間よりも長く設定される。また、止水されると、操作領域の設定は、リセットされ、図13(a)に表した状態に戻る。
【0101】
図14は、制御部による操作領域の設定例を表す表である。
図14において、左側の列は、フットスイッチ10により吐水が開始された際の足の操作位置を表す。図14では、操作位置として、フットスイッチ10が操作された際に挿入された足を検出した検出素子の符号を表している。その他の列は、操作領域L、C、及びRとして設定される範囲を表している。例えば、検出素子35で挿入された足が検出されると、操作領域Cは検出素子35を中心に検出素子34~36の範囲に設定される。操作領域Cの外側において、操作領域Lが検出素子31~33の範囲に、操作領域Rが検出素子37~39の範囲に設定される。別な例として、検出素子31で挿入された足が検出されると、操作領域Lは設定されず、検出素子31~33による検出範囲が操作領域Cとして設定され、検出素子34~39による検出範囲が操作領域Rとして設定される。
【0102】
制御部50により3つ以上の操作領域が設定されることで、使用者は、フットスイッチ10を用いてより多くの操作を実現できる。このため、水栓装置1の使い勝手が向上する。また、吐水開始時に足が挿入された位置に中央の操作領域が設定されることで、端の操作領域も足先で操作し易くなり、使い勝手が向上する。
【0103】
水栓装置1は、給水を制御するための別の手段をさらに備えていても良い。
図15(a)及び図15(b)は、それぞれ、実施形態に係る水栓装置の操作部を例示する平面図及び斜視図である。
水栓装置1は、図15(a)及び図15(b)に表した操作部60をさらに備えていても良い。操作部60は、スイッチSW2~SW6を有する。スイッチSW2は、吐水部20の吐水及び止水を切り替えるためのスイッチである。スイッチSW3は、吐水される水量を増大させるためのスイッチである。スイッチSW4は、吐水される水量を減少させるためのスイッチである。スイッチSW5は、吐水される水の温度を上昇させるためのスイッチである。スイッチSW6は、吐水される水の温度を下降させるためのスイッチである。操作部60は、水まわり機器100の任意の場所に取り付けられる。使用者は、操作部60を手の指などで操作することで、給水を制御できる。
【0104】
図16は、実施形態に係る水栓装置の構成の一部を表す模式図である。
図16に表したように、操作部60のスイッチSW2~SW6は、制御部50と電気的に接続されている。制御部50は、フットスイッチ10、検出手段30、及び操作部60から入力された信号に基づき、開閉弁42及び45を動作させ、給水を制御する。但し、ここで開閉弁42及び45は、流量の調整機能を有するものとする。例えば、開閉弁42及び45は公知のモーターバルブであり、弁に組み込まれたモーターの回転角度によって弁の開度を調整可能に構成されており、制御部50が、このモーターを駆動することで開閉弁42及び45の開度を調整する。
【0105】
図17は、実施形態に係る水栓装置の制御部による動作を説明する模式図である。
吐水部20が止水された状態では、図17(a)に表したように、全ての領域が操作領域Cとして設定されている。操作部60のスイッチSW2が操作されると、制御部50は、操作領域の設定を図17(b)に表した状態へ変更する。すなわち、中央に操作領域Cが設定され、操作領域L及びRが左右に対称に設定される。その後、第1時間が経過すると、図17(c)に表したように、操作領域Cの範囲が左右へ均等に広がる。第2時間が経過すると、図17(d)に表したように、操作領域Cが全体に広がる。
【0106】
操作部60が設けられることで、使用者は、操作部60を用いてより多くの操作を実現できる。このため、水栓装置1の使い勝手が向上する。
【0107】
図18及び図19は、実施形態に係る水栓装置の動作を表すフローチャートである。
図18及び図19は、実施形態に係る水栓装置が操作部60を備えている場合の動作を表している。まず、判断D21では、スイッチSW2の入力があるか判断される。スイッチSW2の入力が無い場合、判断D22において、スイッチSW3の入力があるか判断される。
【0108】
スイッチSW3の入力があると、処理P21において流量の設定値が増大される。スイッチSW3の入力が無い場合、判断D23において、スイッチSW4の入力があるか判断される。
【0109】
スイッチSW4の入力があると、処理P22において流量の設定値が減少される。スイッチSW4の入力が無い場合、判断D24において、スイッチSW5の入力があるか判断される。
【0110】
スイッチSW5の入力があると、処理P23において水温の設定値が上昇される。スイッチSW5の入力が無い場合、判断D25において、スイッチSW6の入力があるか判断される。
【0111】
スイッチSW6の入力があると、処理P24において水温の設定値が下降される。処理P21~P24のいずれかの後は、定義済み処理PP21が実行される。定義済み処理PP21では、設定された流量及び水温に基づいて、吐水部20へ供給される湯と水のそれぞれの流量を調整するため、開閉弁42及び45の目標開度を算出する。具体的には、開閉弁42及び45がモーターバルブであるため、弁に内蔵されたモーターへの駆動量を算出する。
【0112】
判断D25においてスイッチSW6の入力が無いと、判断D26においてスイッチSW1の入力があるか判断される。スイッチSW1の入力があると、これはフットスイッチ10が操作された場合であり、定義済み処理PP22が実行される。定義済み処理PP22では、検出手段30により、フットスイッチ10を操作した足の位置が検出される。次に、判断D27で、吐水部20が吐水中か判断される。
【0113】
止水されている場合、図13(a)のように、この時点では、操作領域の全てが領域Cに割り当てられている。次に、定義済み処理PP23では、足が検出された位置に応じて、操作領域の範囲を設定する。この操作領域の判定は、図14に示す表のルールに従って実行される。例えば、検出素子34の位置が操作された場合、図13(b)の状態に変化する。定義済み処理PP23の後は、処理P25において、吐水要求がセットされる。
【0114】
判断D27で止水されていない(吐水中)と判断された場合、定義済み処理PP24が実行される。定義済み処理PP24では、どの操作領域で足が検出されたか判定される。但し、操作領域の設定は、定義済み処理PP23、或いは後述の定義済み処理PP26、PP27で設定されたものである。
【0115】
判断D28では、定義済み処理PP24で判定された操作領域が、L、C、及びRのいずれであるか判断される。操作領域Lが流量を減少させ、操作領域Rが流量を増大させるように設定されている場合、操作領域Rと判断されると、処理P21が実行される。操作領域Lと判断されると、処理P22が実行される。操作領域Cと判断されると、処理P26において、吐水要求がリセットされる。
なお、操作領域Lが水温を低下させ、操作領域Rが水温を上昇させるように設定してもよい。この場合、操作領域Rと判断されると処理P23が、操作領域Lと判断されると処理P24が実行される。但し、操作領域Cと判断されると、処理P26において、吐水要求がリセットされる点は同じである。
処理P26の後、定義済み処理PP25において、操作領域の初期化を行う。これにより、図13(d)の状態となる。
【0116】
判断D26において、スイッチSW1の入力が無いと判断されると、判断D29が実行される。判断D29では、吐水部20が吐水中か判断される。吐水部20が止水されている場合、判断D21の実行に戻る(ループする)。吐水部20が吐水中の場合、判断D30において、吐水が開始されてから第1時間T1が経過したか判断される。第1時間T1は、例えば30秒に設定される。
【0117】
第1時間T1が経過していない場合、判断D21の実行に戻る。第1時間T1が経過している場合、定義済み処理PP26が実行される。定義済み処理PP26では、制御部50は、止水させるための操作領域Cの範囲を広げるように、操作領域同士の境界の位置を変更する。その一例であるが、図13の(b)の状態から(c)の状態に変化する処理が行われる。つまり、吐水開始から30秒経過するまでは図13(b)の状態であり、吐水から30秒経過後は(c)の状態となる。操作領域Cは止水を行う領域のため、吐水開始から所定の時間を経過すると、操作領域LおよびRの操作も可能なまま、より止水をしやすい状態となる。吐水開始から時間を経過するほどに、止水する操作が行われる可能性が高まるため、時間経過と共に、より止水しやすいように操作領域を変更することで、使い勝手が向上する。
【0118】
定義済み処理PP26の後は、判断D31において、吐水が開始されてから第2時間T2が経過したか判断される。第2時間T2は、例えば3分に設定される。第2時間T2が経過していない場合、判断D21の実行に戻る。第2時間T2が経過している場合、定義済み処理PP27が実行される。定義済み処理PP27では、制御部50は、操作領域の設定を初期化し、全体を操作領域Cとする。つまり、吐水開始から第2時間T2が経過すると、全領域を止水操作の領域とすることで、フットスイッチ10のどこを蹴り込んでも止水することができる。これも、吐水開始から時間経過するほどに、止水する操作が行われる可能性が高まることに対する処置である。
【0119】
定義済み処理PP27の後は、判断D32において、吐水が開始されてから第3時間T3が経過したか判断される。第3時間T3は、例えば10分に設定される。第3時間T3が経過していない場合、判断D21の実行に戻る。第3時間T3が経過している場合、処理P26が実行される。処理P26では止水の処理となり、湯水の出っ放しを防止する。
【0120】
判断D21において、スイッチSW2の入力があると判断されると、処理P27が実行される。処理P27では、設定されている吐水要求を反転させる。すなわち、吐水要求がセットされている場合は、吐水要求をリセットする。吐水要求がリセットされている場合は、吐水要求をセットする。判断D33では、吐水要求があるか(セットされているか)判断される。吐水要求が無い場合、定義済み処理PP29において図17(b)に表したように複数の操作領域が設定される。
【0121】
定義済み処理PP21、定義済み処理PP25、処理P25、及び定義済み処理PP29のいずれかの後、又は判断D33で吐水要求が無いと判断された場合、判断D34が実行される。判断D34では、吐水要求が有るか判断される。吐水要求が有る場合、定義済み処理PP30において、設定されている開閉弁42及び45の開き度合いを、目標の開き度合いとする。吐水要求が無い場合、定義済み処理PP31において、開閉弁42及び45の開き度合い0を、目標の開き度合いとする。すなわち、開閉弁42及び45が閉じられた状態を、目標とする。
【0122】
定義済み処理PP30又はPP31の後は、判断D35において、開閉弁42及び45の開き度合いが、目標の開き度合いと一致しているか判断される。一致していない場合、定義済み処理PP32において、一致するよう開閉弁42及び45が駆動される。一致している場合、再度判断D21が実行される。以上の動作の「開き度合い」とは、具体的には開閉弁42及び45に内蔵されたモーターの駆動量として、制御部50により算出、比較され、駆動される。
【0123】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、給水制御装置、水栓装置1、水まわり機器100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0124】
1 水栓装置、 10 フットスイッチ、 11 固定部材、 11a 奥面、 11b 下面、 12 フットスイッチ、 12 蹴り込み板、 12a 背面、 13 弾性部材、 20 吐水部、 30 検出手段、 31~39 検出素子、 41 流路、 42 開閉弁、 43 給水源、 44 流路、 45 開閉弁、 46 給湯源、 47 混合部、
50 制御部、 60 操作部、 90 シンク、 91 カウンタ、 92 キャビネット、 100 水まわり機器、 C 操作領域、 D1~D10 判断、 D21~D35 判断、 L 操作領域、 P1~P7、P21~P27 処理、 PP1~PP10、PP21~PP32 定義済み処理、 R 操作領域、 SW1~SW6 スイッチ、 d 距離、 p 投光部、 r 受光部、 th 閾値
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