(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】接合体
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
B23K20/12 G
(21)【出願番号】P 2018199513
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 拓郎
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-288747(JP,A)
【文献】特開2002-004847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 - 20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦圧接により互いの軸方向に沿う第1の方向に接合される鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部とを備え、
前記鋳鉄製の円管状部は、前記鋼製の円管状部に対して前記第1の方向に対向する第1の対向部と、
前記第1の対向部に連なるとともに前記鋼製の円管状部に対して内周側から隙間を隔てて対向する第2の対向部とを含み、
前記鋼製の円管状部は、摩擦圧接の際に塑性流動化した部分が前記第1の対向部に向けて前記隙間を狭めるように管厚を拡大させる管厚拡大部を含み、
前記管厚拡大部は、前記第1の対向部に接合される第1の接合部と、
前記第1の接合部に連なるとともに前記第2の対向部に接合される第2の接合部とを含
み、
前記鋳鉄製の円管状部は、前記第1の対向部と前記第2の対向部とを繋ぐ湾曲部を含む、接合体。
【請求項2】
摩擦圧接により互いの軸方向に沿う第1の方向に接合される鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部とを備え、
前記鋳鉄製の円管状部は、前記鋼製の円管状部に対して前記第1の方向に対向する第1の対向部と、
前記第1の対向部に連なるとともに前記鋼製の円管状部に対して内周側から隙間を隔てて対向する第2の対向部とを含み、
前記鋼製の円管状部は、摩擦圧接の際に塑性流動化した部分が前記第1の対向部に向けて前記隙間を狭めるように管厚を拡大させる管厚拡大部を含み、
前記管厚拡大部は、前記第1の対向部に接合される第1の接合部と、
前記第1の接合部に連なるとともに前記第2の対向部に接合される第2の接合部とを含
み、
前記第2の対向部は、前記第1の対向部から遠ざかるにつれて前記隙間を広げるように前記第1の方向に対して傾斜した傾斜部を含む、接合体。
【請求項3】
前記第2の対向部は、周方向に連続的に形成されている、請求項1
または2に記載の接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳鉄製部材と鋼製部材とを摩擦圧接により接合した接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、球状黒鉛変形層の形成を防止若しくは抑制して高い接合強度を得ることが記載されている。そのため、特許文献1には、球状黒鉛鋳鉄と鉄鋼材料の摩擦圧接において球状黒鉛鋳鉄の圧接面に鉄基金属材、あるいはニッケル基金属材をインサートしたこと、球状黒鉛鋳鉄と鉄鋼材料の摩擦圧接において球状黒鉛鋳鉄の圧接面を凹形状としたこと、球状黒鉛鋳鉄と鉄鋼材料の摩擦圧接において球状黒鉛鋳鉄の圧接面に鉄基金属材、あるいはニッケル基金属材をインサートすると共に球状黒鉛鋳鉄の圧接面を凹形状としたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部とを摩擦圧接により接合した、接合強度の高い接合体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、摩擦圧接により互いの軸方向に沿う第1の方向に接合される鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部とを備える接合体である。鋳鉄製の円管状部は、鋼製の円管状部に対して第1の方向に対向する第1の対向部と、第1の対向部に連なるとともに鋼製の円管状部に対して内周側から隙間を隔てて対向する第2の対向部とを含む。鋼製の円管状部は、摩擦圧接の際に塑性流動化した部分が第1の対向部に向けて前記隙間を狭めるように管厚を拡大させる管厚拡大部を含む。管厚拡大部は、第1の対向部に接合される第1の接合部と、第1の接合部に連なるとともに第2の対向部に接合される第2の接合部とを含む。
【0006】
本発明の一態様において、鋳鉄製の円管状部は、鋼製の円管状部に対して第1の方向に対向する第1の対向部と、第1の対向部に連なるとともに鋼製の円管状部に対して内周側から隙間を隔てて対向する第2の対向部とを含む。摩擦圧接の際、鋼製の円管状部の塑性流動化した部分は、鋳鉄製の円管状部の第1の対向部に向けて、第2の対向部との隙間を狭めるように管厚を拡大させながら、第2の対向部に近付く。このため、鋼製の円管状部の管厚拡大部を、鋳鉄製の円管状部の第1の対向部だけでなく、第1の対向部に連なる第2の対向部にも接合させることができる。したがって、鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部との接合強度を向上させることができる。
【0007】
鋳鉄製の円管状部は、第1の対向部と第2の対向部とを繋ぐ湾曲部を含むことが好ましい。第1の対向部と第2の対向部とが湾曲部を介して繋がれているため、塑性流動化した部分を第1の対向部から第2の対向部に向けてスムーズに誘導することができる。したがって、第2の接合部の接合領域を拡大させやすい。さらに、第1の接合部と第2の接合部とを湾曲部に沿って繋ぐことができるため、第1の接合部と第2の接合部との繋ぎ目における接合不良を抑制しやすい。
【0008】
第2の対向部は、第1の対向部から遠ざかるにつれて前記隙間を広げるように第1の方向に対して傾斜した傾斜部を含むことが好ましい。第2の対向部が、第1の対向部から遠ざかるにつれて、鋼製の円管状部との隙間を広げるように傾斜した傾斜部を含むため、塑性流動化した部分を傾斜部に沿って這わせやすい。したがって、第2の接合部の接合領域を一層拡大させやすい。さらに、管厚拡大部を傾斜部に沿って接合させることで、第1の方向に対する第2の接合部の傾斜を緩勾配化することができる。このため、第2の接合部が第2の対向部から過剰な反力を受けることを抑制しやすい。したがって、第1の対向部に対して第1の接合部の接合位置がずれたり接合が剥がれたりする事態を抑制しやすい。
【0009】
第2の対向部は、周方向に断続的に形成されていてもよいが、周方向に連続的に形成されていることが好ましい。第2の対向部が周方向に連続的に形成されているため、第2の接合部の接合領域を一層拡大させることができる。したがって、鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部との接合強度を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
鋳鉄製の円管状部と鋼製の円管状部とを摩擦圧接により接合した、接合強度の高い接合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、接合体を含む構造物の例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、接合手順その1を示す模式図である。
【
図4】
図4は、接合手順その2を示す模式図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る接合体の断面図である。
【
図6】
図6は、摩擦圧接前の鋳鉄製の円管状部の正面図である。
【
図7】
図7は、摩擦圧接前の鋳鉄製の円管状部の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する接合体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下に示す実施形態では、「円」あるいは「平行」といった表現を用いるが、厳密に「円」であったり、「平行」であったりすることを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0014】
まず、実施形態に係る接合体10を含む構造物の例について
図1を用いて説明する。
図1は、接合体10を含む構造物1の例を示す模式図である。なお、
図1では、構造物1の一例として道路などに設置される標識を示しているが、これに限らず、接合体10は街灯やポール、フェンスなどにも広く用いることができる。また、接合体10は、建造物の柱や梁などにも広く用いることができる。
【0015】
図1に示すように、構造物1は、接合体10と、接合体10の一端側に固定された指示板300とを備える。指示板300の一例は、交通標識を図案化した表示板である。接合体10は、鋳鉄製部材200と、鋳鉄製部材200に摩擦圧接により接合された鋼製部材100とを含む。鋳鉄製部材200は、鋳鉄製の円管状部(鋳鉄製円管状部)210と、鋳鉄製円管状部210に連続するように一体的に形成された鋳鉄製の基部250とを含む。基部250は、構造物1を地面上や地面中に固定するために用いられる。鋳鉄製部材200は、ダクタイル鋳鉄製であり、形状自由度が高く、鋳造による一体成形が可能である。したがって、様々な形状の構造物1にも幅広く対応することができる。鋼製部材100は、鋳鉄製円管状部210に摩擦圧接により接合された鋼製の円管状部(鋼製円管状部)110を含む。指示板300は、鋼製円管状部110の一端側(鋳鉄製円管状部210とは反対側)に固定されている。なお、
図1では、鋼製部材100が鋼製円管状部110のみを含む場合を示しているが、鋼製部材100が、たとえば、鋼製円管状部110と、鋼製円管状部110に連続する円柱状部等とを含むこととしてもよい。
【0016】
図2は、接合体10の断面図である。なお、
図2は、接合体10の中心線L1を含む平面で接合体10を切断した断面図に相当する。
図2には、鋼製円管状部110および鋳鉄製円管状部210の互いの軸方向に沿う第1の方向D1を示している。
図2に示すように、接合体10は、摩擦圧接により第1の方向D1に接合された鋳鉄製円管状部210および鋼製円管状部110を備える。鋳鉄製円管状部210は、鋼製円管状部110に対して第1の方向D1に対向する第1の対向部221と、第1の対向部221に連なるとともに鋼製円管状部110に対して内周側から隙間Gを隔てて対向する第2の対向部222とを含む。第2の対向部222は、鋼製円管状部110の内周面115に対して隙間Gを隔てて平行に対向するように、第1の対向部221から第1の方向D1にストレートに突出している。鋼製円管状部110は、摩擦圧接の際に塑性流動化した部分が、第1の対向部221に近付くにつれて隙間Gを狭めるように管厚を拡大させた管厚拡大部120を含む。摩擦圧接の際、鋼製円管状部110の塑性流動化した部分は、鋳鉄製円管状部210の第1の対向部221に近付くにつれて、第2の対向部222との隙間Gを狭めるように管厚を拡大させながら、第2の対向部222に近付く。このため、鋼製円管状部110の管厚拡大部120を、鋳鉄製円管状部210の第1の対向部221だけでなく、第1の対向部221に連なる第2の対向部222にも接合させることができる。したがって、鋳鉄製円管状部210と鋼製円管状部110との接合強度(引張強度)を向上させることができる。このように、本実施形態においては、管厚拡大部120が、第1の対向部221に接合された第1の接合部121と、第1の接合部121に連なるとともに第2の対向部222に接合された第2の接合部122とを含む、接合強度の高い接合体10を提供することができる。
【0017】
また、
図2に示したように、鋳鉄製円管状部210は、第1の対向部221と第2の対向部222とを繋ぐ湾曲部223を含む。湾曲部223は、第1の対向部221と第2の対向部222とを段差なく滑らかに繋ぐR形状の部分である。このように、第1の対向部221と第2の対向部222とが湾曲部223を介して繋がれているため、鋼製円管状部110の塑性流動化した部分を第1の対向部221から第2の対向部222に向けてスムーズに誘導することができる。したがって、第2の接合部122の接合領域を拡大させやすい。さらに、第1の接合部121と第2の接合部122とを湾曲部223に沿って繋ぐことができるため、第1の接合部121と第2の接合部122との繋ぎ目における接合不良を抑制しやすい。
【0018】
また、
図2に示したように、鋼製円管状部110の第2の接合部122は、鋳鉄製円管状部210の第2の対向部222に対して、第2の対向部222に対向する方向から接合されている。すなわち、鋼製円管状部110は、鋳鉄製円管状部210に対して、第1の方向D1からだけでなく、第1の方向D1に交差する方向(第2の対向部222に対向する方向)からも接合される。このため、鋳鉄製円管状部210と鋼製円管状部110との接合方向を増やすことができる。したがって、引張強度だけでなく、せん断強度や曲げ強度も向上させた接合体10を提供することができる。
【0019】
次に、接合体10の接合手順について
図3および
図4を用いて説明する。
図3および
図4は、接合手順その1およびその2を示す模式図である。なお、
図3および
図4は、
図2と同様に接合体10の中心線L1を含む平面で切断した断面図である。また、
図3に示した手順、
図4に示した手順を経て
図2に示した接合体10が得られる。
【0020】
図3に示すように、鋳鉄製円管状部210を中心線L1まわりに回転向きRDで回転させるとともに、鋼製円管状部110を移動向きLD(鋳鉄製円管状部210に近付く向き)に移動させる。これにより、鋼製円管状部110は、鋳鉄製円管状部210の第1の対向部221に接し、摩擦圧接が開始される。なお、この段階では、鋼製円管状部110の内周面115は、第2の対向部222に接していない。つまり、第2の対向部222は、鋼製円管状部110に対して内周面115から隙間Gを隔てて平行に対向している。なお、
図3に示した回転向きRDは逆向きとしてもよい。
【0021】
図4に示すように、鋳鉄製円管状部210へ押し付けられる鋼製円管状部110と、回転する鋳鉄製円管状部210との摩擦によって接触部分の温度が上昇する。そして、接触部分の温度は、鋳鉄製円管状部210の融点を超え、鋳鉄製円管状部210の融点を超えた部分は遠心力によって飛散する。
【0022】
一方、鋼製円管状部110の塑性流動化した部分は、鋳鉄製円管状部210の第1の対向部221に向けて第2の対向部222との隙間Gを狭めるように管厚を拡大させながら第2の対向部222に近付いていく。そして、鋼製円管状部110の塑性流動化した部分は、第1の対向部221から湾曲部223を経由して第2の対向部222を這うように変形していき、摩擦圧接完了時には、
図2に示したように、塑性流動化した部分により形成された管厚拡大部120が、第1の対向部221および第2の対向部222に接合される。
【0023】
ここで、一般的に、鋳鉄製円管状部210の融点は、鋼製円管状部110の融点よりも低い。摩擦圧接中の鋳鉄製円管状部210と鋼製円管状部110との接触部分の温度を鋳鉄製円管状部210の融点よりも高く、かつ、鋼製円管状部110の融点よりも低く保持すれば、鋳鉄製円管状部210の融点を超えた部分は、摩擦圧接中に溶融し飛散するので、バリ等の突起が生じにくい。また、鋳鉄製円管状部210に摩擦圧接される鋼製円管状部110は融点を超えない程度に加熱されるので、塑性流動化しつつ管厚を拡大させることで接合前の管厚よりも大きい管厚で鋳鉄製円管状部210の第1の対向部221に接合されるとともに、湾曲部223を経由して第2の対向部222にも接合される。したがって、接合強度の高い接合体10を製造することができる。
【0024】
なお、
図4に示したように、鋼製円管状部110の外周には、突起部(バリ)123が形成されるが、突起部123は、鋳鉄製円管状部210の外径にあわせて削り取るなどして除去することができる。これにより、接合体10の意匠性を高め、突起部123による取扱時のケガを防止するとともに、接合体10の省スペース化および軽量化を図ることができる。
【0025】
次に、接合体10の変形例について
図5を用いて説明する。
図5は、変形例に係る接合体10の断面図である。
図5に示すように、変形例に係る接合体10は、鋳鉄製円管状部210Aが、第1の対向部221から遠ざかるにつれて鋼製円管状部110との隙間Gを広げるように第1の方向D1に対して傾斜した傾斜部222Aを含む点で、
図2に示した接合体10とは異なる。なお、変形例に係る接合体10も、
図3および
図4に示した接合手順を経ることで製造することができる。
【0026】
図5に示したように、鋳鉄製円管状部210Aの傾斜部222Aは、第1の方向D1に対してα(0度<α<90度)だけ傾斜している。すなわち、傾斜部222Aは、第1の対向部221から、第1の方向D1に対してαだけ傾斜する方向に突出している。このように、第2の対向部222は、第1の対向部221から遠ざかるにつれて鋼製円管状部110との隙間Gを広げるように傾斜した傾斜部222Aを含むため、鋼製円管状部110の塑性流動化した部分を傾斜部222Aに沿って這わせやすい。したがって、第2の接合部122の接合領域を一層拡大させやすい。さらに、管厚拡大部120を傾斜部222Aに沿って接合させることで、第1の方向D1に対する第2の接合部122の傾斜を緩勾配化することができる。このため、第2の接合部122が第2の対向部222から過剰な反力を受けることを抑制しやすい。したがって、第1の対向部221に対して第1の接合部121の接合位置がずれたり接合が剥がれたりする事態を抑制しやすい。なお、αの大きさは一定でなくてもよく、第1の対向部221から遠ざかるにつれて徐々に大きくしたり、小さくしたりするようにしてもよい。
【0027】
次に、
図2に示した鋳鉄製円管状部210を軸方向の鋼製円管状部110側からみた形状について
図6を用いて説明する。
図6は、鋼製円管状部110と摩擦圧接する前の状態における鋳鉄製円管状部210のみを抜き出して示す正面図である。
【0028】
図6に示すように、第2の対向部222は、周方向D2に途切れることなく、連続的に形成されている。このため、第2の対向部222は、湾曲部223を介して第1の対向部221に対して周方向D2の全周にわたり繋がっている。このように、第2の対向部222は、周方向D2に連続的に形成されているため、第2の対向部222と鋼製円管状部110(
図2等参照)との接合領域を拡大させることができる。したがって、鋳鉄製円管状部210と鋼製円管状部110との接合強度を向上させることができる。
【0029】
次に、
図6に示した鋳鉄製円管状部210の変形例について
図7を用いて説明する。
図7は、鋳鉄製円管状部210の変形例を示す正面図である。
図7に示すように、変形例に係る鋳鉄製円管状部210Aは、第2の対向部222が周方向D2に部分的に途切れ、断続的に形成されている点で、
図6に示した鋳鉄製円管状部210とは異なる。なお、
図7には、中心線L1に対する角度幅が45度である第2の対向部222を、45度間隔で4個設けた場合を示したが、第2の対向部222の角度幅や、間隔、個数については
図7に示した場合に限られない。
【0030】
なお、上述した実施形態では、接合体10を、
図1に例示した構造物1に適用する場合について説明したが、接合体10は、産業用ロボットのロボットアーム等に適用してもよい。上記したように、鋳鉄製円管状部210の第2の対向部222は、鋼製円管状部110の管厚拡大部120を内周側から覆っているため、摩擦圧接完了後に接合体10の内部にバリ等の突起が突出することを防止することができる。したがって、接合体10の内部にケーブル等を収容した場合であっても、ケーブル等に損傷を与えることを抑制することができる。
【0031】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 構造物、 10 接合体、 100 鋼製部材、 110 鋼製の円管状部(鋼製円管状部)、 115 内周面、 120 管厚拡大部、 121 第1の接合部、 122 第2の接合部、 123 突起部、 200 鋳鉄製部材、 210 鋳鉄製の円管状部(鋳鉄製円管状部)、 221 第1の対向部、 222 第2の対向部、 222A 傾斜部、 223 湾曲部、 250 基部、 300 指示板、 D1 第1の方向、 D2 周方向、 L1 中心線、 G 隙間。