(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】電解洗浄システム
(51)【国際特許分類】
C25F 7/00 20060101AFI20220728BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C25F7/00 K
B08B3/08 Z
(21)【出願番号】P 2020093183
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】517259173
【氏名又は名称】モベック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和巨
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-205601(JP,A)
【文献】特開平06-146086(JP,A)
【文献】特開平07-195041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 7/00
B08B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄物を電解洗浄するための電解洗浄装置と、
前記洗浄物に対して電解洗浄装置による電解洗浄の後の工程で処理を行う複数の処理装置を有する後処理工程ユニットと、を備え、
前記電解洗浄装置は、上方に開口し且つ前記洗浄物を出入可能な出入口を有する電解洗浄槽を有し、
前記電解洗浄槽には、上向きに開口した開口領域が形成され、
該開口領域には、上下方向にかごを出し入れする出入領域と、該出入領域に隣接する隣接領域とが含まれ、
前記複数の処理装置には、少なくとも前記洗浄物を水洗いするための水洗装置と前記洗浄物を乾燥させるための乾燥装置とが含まれ、
前記複数の処理装置のそれぞれは、上方に開口し且つ洗浄物を出入可能な出入口を有する処理槽を有し、
前記複数の処理装置のそれぞれの処理槽は、互いに縦並びに配置されるとともに、前記電解洗浄槽に前記洗浄物を出し入れする方向に対して交差する横方向への移動に伴って前記出入口を通じて前記洗浄物を内部に出
し入
れ可能
になる開
位置と、前記出入口に前記洗浄物を通せない
状態になる閉
位置とに
配置変更可能であ
り、
前記閉位置は、上下方向で前記隣接領域に重なる位置に設定され、
前記開位置は、前記出入領域の上方に設定される、
電解洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解洗浄された洗浄物に複数種類の後処理工程を行うための電解洗浄用の後処理工程ユニット、及び電解洗浄システムを含む電解洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の洗浄物に対して電解洗浄と、電解洗浄後の後処理工程とを行う電解洗浄システムが提供されており、例えば、特許文献1に開示されているような、電解洗浄を行う洗浄槽と、該洗浄槽に対して横並びに配置された複数の後処理工程用の槽、より具体的には、電解洗浄後の洗浄物を水洗いする水洗槽と、水洗いした洗浄物を乾燥させる乾燥槽とを備える金型洗浄装置が知られている。
【0003】
かかる金型洗浄装置では、洗浄物を洗浄槽、水洗槽、乾燥槽の順番に移し替えることで、洗浄物の洗浄から乾燥までの一連の処理工程を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の金型洗浄装置においては、複数の後処理工程用の槽が水洗槽に対して横並びに広がるように配置されているため、複数の後処理工程用の槽の占有スペースが広くなってしまうことが問題となっている。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、省スペースな電解洗浄システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電解洗浄用の後処理工程ユニットは、
洗浄物に対して電解洗浄後の後の工程で処理を行う複数の処理装置であって、少なくとも前記洗浄物を水洗いするための水洗装置と前記洗浄物を乾燥させるための乾燥装置とを含む複数の処理装置を備え、
前記複数の処理装置のそれぞれは、上方に開口し且つ前記洗浄物を出入可能な出入口を有する処理槽を有し、
前記複数の処理装置のそれぞれの処理槽は、互いに縦並びに配置されるとともに、横方向への移動に伴って前記出入口を通じて前記洗浄物を内部に出入可能な開状態と、前記出入口に前記洗浄物を通せない閉状態とに切替可能である。
【0008】
上記構成の電解洗浄用の後処理工程ユニットによれば、洗浄物に対して電解洗浄後の後処理の工程で処理を行うための複数の処理装置が縦並びに配置されているため、処理装置の占有スペースが抑えられる。
【0009】
本発明の電解洗浄システムは、
洗浄物を電解洗浄するための電解洗浄装置と、
前記洗浄物に対して電解洗浄装置による電解洗浄の後処理の工程で処理を行う複数の処理装置を有する後処理工程ユニットと、を備え、
前記電解洗浄装置は、上方に開口し且つ前記洗浄物を出入可能な出入口を有する電解洗浄槽を有し、
前記複数の処理装置には、少なくとも前記洗浄物を水洗いするための水洗装置と前記洗浄物を乾燥させるための乾燥装置とが含まれ、
前記複数の処理装置のそれぞれは、上方に開口し且つ洗浄物を出入可能な出入口を有する処理槽を有し、
前記複数の処理装置のそれぞれの処理槽は、互いに縦並びに配置されるとともに、前記電解洗浄槽に前記洗浄物を出し入れする方向に対して交差する横方向への移動に伴って前記出入口を通じて前記洗浄物を内部に出入可能な開状態と、前記出入口に前記洗浄物を通せない閉状態とに切替可能である。
【0010】
上記構成の電解洗浄システムにおいても、洗浄物に対して電解洗浄及び後処理の工程を行うための複数の処理装置が縦並びに配置されているため、複数の処理装置の占有スペースを抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の電解洗浄システムによれば、省スペース化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電解洗浄システムの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る電解洗浄システムの縦断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る電解洗浄システムの各処理装置の処理槽の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る電解洗浄システムの動作説明図であって、洗浄物を電解洗浄している処理の説明図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る電解洗浄システムの動作説明図であって、洗浄物に付着している電解洗浄液を回収する処理の説明図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る電解洗浄システムの動作説明図であって、洗浄物を水洗いしている状態の説明図である。
【
図7】
図7は、電解洗浄システムの動作説明図であって、洗浄物の防錆処理をしている状態の説明図である。
【
図8】
図8は、電解洗浄システムの動作説明図であって、洗浄物を乾燥させている状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる電解洗浄用の後処理工程ユニット(以下、後処理工程ユニットと称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0014】
後処理工程ユニットは、電解洗浄後の洗浄物に対して各種処理を行うように構成されている。本実施形態では、電解洗浄装置と、後処理工程ユニットとを備えた電解洗浄システムを一例に挙げて以下の説明を行うこととする。
【0015】
電解洗浄システム1は、
図1に示すように、洗浄物の電解洗浄を行う電解洗浄装置2と、電解洗浄装置2で電解洗浄した洗浄物に対して該電解洗浄の後処理工程において全行程の処理を行う後処理工程ユニット3と、洗浄物を移送する移送機構4(
図2参照)と、を備えている。
【0016】
電解洗浄装置2は、
図2に示すように、電解洗浄液が貯留される電解洗浄槽20と、洗浄物を載置した状態で電解洗浄槽20内に出し入れするかご21と、少なくとも一つの陰極22と、少なくとも一つの陽極23と、電解洗浄槽20を開閉するためのカバー24と、電解洗浄槽20の前縁部に立設された防壁部25と、を備えている。なお、具体的には図示していないが、電解洗浄装置2は、陽極23に電流を流すための電源と、電解洗浄槽20内に洗浄液を循環させるための循環装置とを備えている。
【0017】
電解洗浄槽20には、上向きに開口した開口領域が形成されており、この開口領域には、上下方向にかご21(洗浄物を載せている場合はかご21と洗浄物)を出し入れする出入領域E1と、該出入領域E1に隣接する隣接領域E2とが含まれている。なお、電解洗浄槽20の隣接領域E2の上方には後処理工程ユニット3の後述する処理装置が配置される。
【0018】
かご21は、洗浄物を載置する載置部210と、載置部210と移送機構4との連結部分となる移送用連結部211と、を有する。
【0019】
陰極22と陽極23とは、洗浄物を電解洗浄する際においては、互いの間に洗浄物を介在させた状態で一方向に並べて配置される。なお、本実施形態の陰極22と陽極23とは、洗浄物を電解洗浄する際に上下方向に並べて配置されるが、例えば、横方向に並べて配置されるようになっていてもよい。
【0020】
また、本実施形態ではかご21が陰極22を兼ねているため、陽極23は、電解洗浄槽20内における陰極22の上方である洗浄位置と、電解洗浄槽20内であり且つ陰極22の上方から外れた位置である退避位置とに配置変更可能となるように構成されている。
【0021】
そのため、陽極23を退避位置に配置すれば、電解洗浄槽20へのかご21(洗浄物を載せたかご21)の出し入れが可能となり、洗浄物を載せたかご21が電解洗浄槽20内に配置されている状態で陽極23を洗浄位置に配置すれば、洗浄物を電解洗浄することが可能となる。
【0022】
カバー24は、電解洗浄槽20の上方に配置されており、上下方向に対して直交する水平方向においてスライド可能に構成されている。また、カバー24は、スライドに伴い、出入領域E1上を覆う閉位置と、隣接領域E2上を覆う開位置(すなわち、出入領域E1上を開放する開位置)とに配置変更可能である。
【0023】
また、本実施形態のカバー24は、電解洗浄槽20の開口に対して平行に配置される天板部240と、天板部240の各横端部(電解洗浄槽20に対してスライドする方向に直交する方向における各横端部)から垂下する一対の横板部241と、を有しており、各横板部241は、電解洗浄槽20の開口縁部上に配置されている。
【0024】
防壁部25の高さと横幅とは、カバー24に合わせて設定されている。より具体的に説明すると、防壁部25の高さは、電解洗浄槽20の開口縁部から天板部240までの高さと同一又は略同一であり、防壁部25の横幅は、一対の横板部241の間の間隔と同一又は略同一である。
【0025】
そのため、カバー24を開位置から閉位置にスライドさせると、天板部240と一対の横板部241とで形成される凹部の前方が防壁部25によって遮られ、これにより、電解洗浄槽20の出入領域E1上がカバー24と防壁部25とによって覆われた状態になる。
【0026】
後処理工程ユニット3は、洗浄物に対して電解洗浄後の後の工程で処理を行う複数の処理装置30であって、上方に開口し且つ洗浄物を出入可能な出入口を有する処理槽300を有する複数の処理装置30と、複数の処理装置30を収容する収容棚31と、各処理装置30の処理槽300に対して移動させるための駆動力を与える駆動系(採番しない)と、を備えている。
【0027】
各工程の処理装置30は、上記の処理槽300と、処理槽300内に収容されている洗浄物に対して処理する工程や洗浄物に対して行う処理の準備を行うための処理機器(採番しない)とを有する。
【0028】
処理槽300は、他の処理装置30の処理槽300に対して水平方向に移動可能であり、かかる移動に伴って、出入口の上方が開放されて洗浄物の出し入れが可能となる開位置と、洗浄物の出し入れが不能となる閉位置とに配置変更可能である。
【0029】
処理槽300は、閉位置に配置されている状態においては閉位置に配置されている別の処理槽300と上下方向で並んだ状態になり、開位置に配置されている状態においては閉位置に配置されている別の処理槽300に対して水平方向に位置ずれした状態になるように構成されている。
【0030】
また、各処理槽300の移動方向は同一の方向に設定されており、さらに、各処理槽300の開位置は電解洗浄槽20の出入領域E1の上方に設定されている。
【0031】
本実施形態では、処理槽300が閉位置から開位置に向かって移動する方向を引出方向、処理槽300が開位置から閉位置に向かって移動する方向を収納方向と称して以下の説明を行うこととする。
【0032】
収容棚31は、各処理槽300を収容する複数の収容部310と、各収容部310ごとに設けられた複数のガイドレール311とを有する。
【0033】
収容部310は、各処理装置30を電解洗浄装置2よりも高い位置で支持している。そのため、収容部310内の処理装置30の下方側には電解洗浄装置2を部分的に収容する(より具体的には、電解洗浄装置2の隣接領域E2が設定されている一方側を収容する)収容スペースが形成されている。
【0034】
また、各処理装置30は、閉位置に配置されている状態においては収容部310内に収容された状態になり、開位置に配置されている状態においては収容部310の外方に進出した状態になる。なお、各処理装置30は、上述のように、開位置に配置されている状態においては電解洗浄槽20の出入領域E1の上方に位置した状態にもなっている。
【0035】
駆動系は、処理槽300を横方向に移動させるように構成されており、例えば、ラックギアと、ピニオンギア、そして、ラックギアを回転させる駆動源を備えていればよい。
【0036】
ここで、複数の処理装置30には、少なくとも洗浄物を水洗いするための水洗装置と洗浄物を乾燥させるための乾燥装置とを含まれていればよいが、本実施形態の複数の処理装置30には、洗浄物に付着している電解洗浄液を回収するための回収装置32と、回収装置32での電解洗浄液の回収後に洗浄物を水洗いする水洗装置33と、水洗装置33による水洗いの後に洗浄物に防錆処理を行う防錆装置34と、防錆装置34による防錆処理の後に洗浄物を乾燥させる乾燥装置35と、が含まれている。
【0037】
図3に示すように、回収装置32の処理槽300(以下、回収槽320と称する)の上端であり且つ移動方向における両端には、移動方向において内側に向かって延出する返し部321が形成されている。
【0038】
回収槽320内には水が貯留されており、洗浄物を所定時間に亘って浸漬することによって、洗浄物に付着している電解洗浄液を水に分散させるように構成されている。なお、回収槽320は、電解洗浄槽20に流体的に接続されていてもよく、この場合は、電解洗浄液を含む水を電解洗浄槽20に供給することが可能となる。また、回収装置32における処理機器とは、例えば、回収槽320内への水の供給と、回収槽320内の水の排出とを行うように構成されたものであればよい。
【0039】
水洗装置33は、処理槽300(以下、水洗槽330と称する)に収容した洗浄物を水洗いするように構成されている。なお、水洗装置33における処理機器とは、例えば、水洗槽330内に水の流れを生じさせるように構成されたものであればよい。
【0040】
防錆装置34の処理槽300(以下、防錆槽340と称する)には、防錆剤が貯留されており、該防錆剤に洗浄物を浸漬することにより、洗浄物の防錆処理が行われるようになっている。
【0041】
防錆槽340においても、上端であり且つ移動方向における両端には、移動方向において内側に向かって延出する返し部341が形成されている。このように、液体を貯留した状態で移動させる貯留式の処理槽300である回収槽320と防錆槽340では、返し部321,341によって移動時に内部の液体のこぼれが防止されるようになっている。
【0042】
なお、防錆装置34における処理機器とは、例えば、防錆槽340内に防錆剤を供給したり、防錆槽340内の防錆剤を排出するように構成されたものであればよい。
【0043】
乾燥装置35は、処理槽300(以下、乾燥槽350と称する)内に洗浄物を収容した状態で、該乾燥槽350内に熱風又は風を送ることにより、洗浄物を乾燥させるように構成されている。本実施形態の乾燥装置35は、処理機器として、乾燥槽350内に熱風又は風を送る送風手段351(例えば、ブロアや、シロッコファン等)を備えている(
図2参照)。
【0044】
本実施形態の回収槽320、水洗槽330、防錆槽340、乾燥槽350のそれぞれの前壁(320a、330a、340a、350a)には、取っ手(320b、330b、340b、350b)が取り付けられており、人手によっても回収槽320、水洗槽330、防錆槽340、乾燥槽350を移動させて開状態と閉状態とを切り替えることができるようになっている。
【0045】
移送機構4は、例えば、ウインチにより構成されており、陰極22を昇降させるように構成されている。なお、移送機構4は、出入領域E1を通る上下方向に沿って陰極22を昇降させるように構成されている(
図1、
図4参照)。
【0046】
本実施形態に係る電解洗浄システム1の構成は、以上の通りである。続いて、電解洗浄システム1の動作を説明する。
【0047】
電解洗浄システム1では、電解洗浄装置2、回収装置32、水洗装置33、防錆装置34、乾燥装置35による洗浄物への処理が順番に行われる。
【0048】
電解洗浄装置2により洗浄物を電解洗浄するにあたり、かご21は、移送用連結部211に移送機構4が連結され電解洗浄槽20の出入領域E1上に配置される。そして、かご21に洗浄物を載置し、移送機構4でかご21を下降させることにより、かご21とともに洗浄物を電解洗浄槽20内に配置する。続いて、
図4に示すように、陽極23を前後方向前方側に配置してかご21及び洗浄物の上方に配置した状態で、洗浄物の電解洗浄を行う。このとき、カバー24を隣接領域E2から出入領域E1上まで移動させることにより、該出入領域E1をカバー24で覆った状態にしておく。
【0049】
洗浄物の電解洗浄が終われば、陽極23とカバー24とを前後方向後方側に移動させ、移送機構4でかご21を上昇させることにより、かご21とともに洗浄物を電解洗浄槽20内から引き上げ、そのまま回収槽320よりも上方の位置までかご21を上昇させる。
【0050】
続いて、回収槽320を前方に移動させて開状態にした後に、
図5に示すように、かご21を下降させることによってかご21とともに洗浄物を回収槽320内に収容する。このようにすると、かご21と洗浄物とが回収槽320内の水に浸漬されるため、かご21や洗浄物に付着している電解洗浄液が回収槽320内の水に分散する。回収槽320内による電解洗浄液の回収が終われば、再びかご21を上昇させることにより、かご21とともに洗浄物を回収槽320内から引き上げ、そのまま水洗槽330よりも上方の位置までかご21を上昇させる。
【0051】
図6に示すように、水洗槽330を開位置に配置し、かご21を下降させて水洗槽330内に配置し、水洗槽330を閉位置に配置した状態で洗浄物への水洗処理を行う。
【0052】
水洗槽330内による洗浄物の水洗いが終われば、水洗槽330を開位置に配置し、再びかご21を上昇させることにより、かご21とともに洗浄物を水洗槽330内から引き上げ、防錆槽340よりも上方の位置までかご21を上昇させる。
【0053】
そして、
図7に示すように、防錆槽340を開位置に配置し、かご21を下降させて防錆槽340内に配置することによって、かご21と洗浄物とを防錆剤に浸漬し、防錆槽340を閉位置に配置した状態で洗浄物への防錆処理を行う。
【0054】
防錆槽340内での防錆処理が終われば、防錆槽340を開位置に配置し、再びかご21を上昇させることにより、かご21とともに洗浄物を防錆槽340内から引き上げ、乾燥槽350よりも上方の位置までかご21を上昇させる。
【0055】
そして、
図8に示すように、乾燥槽350を開位置に配置し、かご21を下降させて乾燥槽350内に配置し、乾燥槽350を閉位置に配置した状態で洗浄物への乾燥処理を行う。
【0056】
乾燥槽350内での乾燥処理が終われば、乾燥槽350を開位置に配置し、乾燥槽350内からかご21と洗浄物とを取り出す。
【0057】
このようにして、電解洗浄装置2による洗浄物の電解洗浄から、洗浄物の乾燥までの一連の処理が行われるようになっている。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る後処理工程ユニット3、及び該後処理工程ユニット3を備える電解洗浄システム1によれば、複数の処理装置30を縦並びに配置することによって処理装置30の占有スペースを抑えることができ、これにより、省スペース化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。また、かかる後処理工程ユニット3を備えた電解洗浄システム1においても同様に、省スペース化を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0059】
さらに、本実施形態に係る後処理工程ユニット3には、処理装置30よりも下側に電解洗浄装置2を部分的に収容可能な収容スペースが形成されているため、該収容スペース内に電解洗浄装置2を部分的に収容すれば、電解洗浄装置2の配置位置と各処理装置30の配置位置とを上下方向において部分的に重ねることができ、これにより、さらに、省スペース化を図ることができる。
【0060】
なお、本発明に係る電解洗浄用の後処理工程ユニット、及び該後処理工程ユニットを備える電解洗浄システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0061】
上記実施形態において、かご21は陰極22を兼ねていたが、この構成に限定されない。例えば、陰極22は、かご21とは別体であってもよい。この場合、陰極22も陽極23と同様に退避位置と洗浄位置とに配置変更可能となっていればよい。
【0062】
上記実施形態の処理装置30では、下側から順番に、回収装置32、水洗装置33、防錆装置34、乾燥装置35が縦並びになっていたが、この構成に限定されない。例えば、処理装置30では、上側から順番に、回収装置32、水洗装置33、防錆装置34、乾燥装置35が縦並びになっていてもよい。この場合においては、電解洗浄後の洗浄物を回収装置32の回収槽320よりも上方まで吊り上げた後、該洗浄物を降下させながら回収装置32、水洗装置33、防錆装置34、乾燥装置35での処理が行われるようになっていればよい。
【0063】
上記実施形態において、防錆装置34は、防錆槽340に貯留されている防錆剤に洗浄物を浸漬させることによって、防錆処理を行うように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、防錆装置34は、防錆槽340内に収容した洗浄物に対して防錆剤を噴霧するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…電解洗浄システム、2…電解洗浄装置、3…後処理工程ユニット、4…移送機構、20…電解洗浄槽、21…かご、22…陰極、23…陽極、24…カバー、25…防壁部、30…処理装置、31…収容棚、32…回収装置、33…水洗装置、34…防錆装置、35…乾燥装置、210…載置部、211…移送用連結部、240…天板部、241…横板部、300…処理槽、310…収容部、311…ガイドレール、320…回収槽、321…返し部、330…水洗槽、340…防錆槽、341…返し部、350…乾燥槽、351…送風手段、E1…出入領域、E2…隣接領域