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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】成形機用洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20220728BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20220728BHJP
   B29C 48/27 20190101ALI20220728BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220728BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20220728BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20220728BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C45/17
B29C48/27
C11D3/37
C11D3/18
C11D3/10
C11D3/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022014691
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2021181705の分割
【原出願日】2021-11-08
(65)【公開番号】P2022085906
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2020197161
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504105737
【氏名又は名称】林化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135758
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】古和 大典
(72)【発明者】
【氏名】岡田 哲朗
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079237(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/011045(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、界面活性剤、無機フィラー(ただし、ホウ酸を除く)、及び、パラフィンからなる群から選択される少なくとも1種の洗浄配合剤とを含有し、
メルトマスフローレイト(190℃、荷重2.16kg)が0.01g/10分超0.8g/10分以下であり、
前記洗浄配合剤の含有量が35質量%以下であり、
前記無機フィラーを1~15質量%含む成形機用洗浄剤。
【請求項2】
前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、クレイ、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、ガラスファイバ、ガラスミルドファイバ、ガラスフレーク、カーボンファイバ、カーボンフレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバ、シリカ、セラミック粒子、セラミックファイバ、及びセラミックバルーンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の成形機用洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の成形加工には、射出成形機や押出成形機が主に使用される。これらの成形機においてはその使用後に、当該樹脂やこれに添加される顔料等の添加剤、成形時に発生する樹脂の劣化物が成形機内に残留する。これらの残留物が存在したまま、次の樹脂の成形加工を行うと残留物が成形品中に混入することになり、成形品の外観を低下させたり、期待される樹脂物性を低下させたりしてしまう。
【0003】
このような先行樹脂の影響を低減するために、次の成形加工に使用する樹脂によって成形機内部の洗浄が行われることがある。しかし、この方法では成形機の洗浄に多量の樹脂が必要となりコストがかかったり、成形機内の汚れを完全には除去できなかったりといった問題があった。
【0004】
そこで、成形機を洗浄するための洗浄剤が種々検討されるようになった。例えば、特許文献1では、メルトマスフローレイトが10~35g/10分である成形機用洗浄剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-069473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような洗浄剤では、樹脂が比較的低粘度なため洗浄の際のせん断力が足らないことがあり、より高い洗浄効果を得るには限界があった。
【0007】
以上から、本発明は、成形処理後に成形機内に残存する樹脂若しくは樹脂組成物といった樹脂材料残存物を良好に除去できる成形機用洗浄剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記のとおりである。
【0009】
[1] 熱可塑性樹脂と、界面活性剤、無機フィラー、及び、パラフィンからなる群から選択される少なくとも1種の洗浄配合剤とを含有し、メルトマスフローレイト(190℃、荷重2.16kg)が0.01g/10分超1.0g/10分以下であり、前記洗浄配合剤の含有量が35質量%以下である成形機用洗浄剤。
[2] 前記界面活性剤を含み、該界面活性剤と前記熱可塑性樹脂との質量比[界面活性剤/熱可塑性樹脂]が0.02~0.1である[1]に記載の成形機用洗浄剤。
[3] 前記界面活性剤を含み、該界面活性剤はノニオン系界面活性剤である[1]又は[2]に記載の成形機用洗浄剤。
[4] 前記熱可塑性樹脂が超高分子量ポリエチレンである[1]~[3]のいずれかに記載の成形機用洗浄剤。
[5] 前記パラフィンを含み、該パラフィンと前記熱可塑性樹脂との質量比[パラフィン/(パラフィン+ポリオレフィン)]が0.4以下である[1]~[4]のいずれかに記載の成形機用洗浄剤。
[6] 前記無機フィラーを含み、該無機フィラーの含有量が1~35質量%である[1]~[5]のいずれかに記載の成形機用洗浄剤。
[7] 前記成形機が押出成形機又は射出成型機である[1]~[6]のいずれかに記載の成形機用洗浄剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、成形処理後に成形機内に残存する樹脂若しくは樹脂組成物といった樹脂材料残存物を良好に除去できる成形機用洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る成形機用洗浄剤は、熱可塑性樹脂と、界面活性剤、無機フィラー、及び、パラフィンからなる群から選択される少なくとも1種の洗浄配合剤とを含有し、メルトマスフローレイト(MFR)が0.01g/10分超1.0g/10分以下である。MFRが0.01g/10分以下では、通常の使用条件(200~400℃)での溶融が困難であり洗浄剤として使用できない。1.0g/10分を超えると洗浄剤が樹脂材料残留物と十分になじまなかったり、高粘性に起因する粘りによる樹脂材料残留物の擦り取り効果が低くなったりして、十分な洗浄効果が得られない。MFRは、0.1~0.8g/10分であることが好ましく、0.1~0.5g/10分であることがより好ましい。
【0012】
成形機用洗浄剤のMFRを0.01~1.0g/10分とするには、例えば、熱可塑性樹脂としてMFRの低い樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン)を用いて、当該樹脂にパラフィンや無機フィラーを配合して所望のMFRに調整すればよい。
【0013】
ここで、洗浄剤のMFRは、ISO1133に準拠し、190℃、荷重2.16kgの条件で測定されるものとする。
具体的には、予め測定温度(190℃)に加熱されたシリンダ(内径9.5mmφ)内に、乾燥した洗浄剤を入れる。洗浄剤が測定温度(190℃)に到達した後、シリンダ内に挿入されるピストンに既定の荷重(2.16kg)を掛けることにより、シリンダ下部に取り付けられたオリフィス(内径2.095mmφ)から洗浄剤を押し出す。そして、10分間に押し出される洗浄剤の質量をMFRとして求める。
【0014】
また、本実施形態に係る成形機用洗浄剤中の洗浄配合剤の含有量は35質量%以下である。洗浄配合剤の含有量が35質量%を超えると、十分な洗浄効果が得られない。洗浄配合剤は、界面活性剤、無機フィラー、及び、パラフィンからなる群から選択される少なくとも1種であるが、2種以上であってもよい。洗浄配合剤を2種以上使用する場合は、これらの含有量のそれぞれが35質量%以下であることが好ましく、これらの含有量の合計が35質量%以下であることがより好ましい。
【0015】
以下、本実施形態に係る成形機用洗浄剤に含有される熱可塑性樹脂、及びその他の成分について説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、成形機用洗浄剤のMFRが0.01g/10分超1.0g/10分以下となる範囲で適宜種々の樹脂を単独若しくは組み合わせて使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等を挙げられ、ポリエチレンが好ましい。
【0016】
ポリエチレンは、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリエチレン、環状ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性ポリエチレン等の変性ポリエチレン樹脂が挙げられる。
【0017】
なかでも、MFRの調整のしやすさや高粘度のせん断でスクリューやシリンダの汚れを効果的に洗浄する観点から、熱可塑性樹脂は超高分子量ポリエチレンを主成分(好ましくは50質量%以上、より80質量%以上)とするものが好ましい。
ここでいう超高分子量ポリエチレンとは、重量平均分子量は100万以上(好ましくは200万~1200万、より好ましくは400万~1000万)のポリエチレンをいい、エチレン単独重合体のみならず、エチレンと、炭素数3~20のα-オレフィン、炭素数3~20の環状オレフィン、式CH=CHR(Rは炭素数6~20のアリール基である)で表される化合物、及び炭素数4~20の直鎖状、分岐状または環状のジエンより成る群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合させたものも含まれる。
【0018】
(界面活性剤)
本実施形態に係る成形機用洗浄剤は、樹脂材料残存物への浸透と洗浄性向上観点から、さらに界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては特に制限されず、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は、1種又は2種以上用いることができる。
【0019】
アニオン系界面活性剤としては、ホスフェ-ト系界面活性剤、スルホネ-ト系界面活性剤、サルフェ-ト系界面活性剤、及び脂肪酸系界面活性剤等が挙げられる。
【0020】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0021】
カチオン系界面活性剤としては、1級アミンの塩酸塩、2級アミンの塩酸塩、3級アミンの塩酸塩、エタノールアミン類の塩酸塩、ポリエチレンポリアミン類の塩酸塩、アミン類の塩酸塩等が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等が挙げられる。
【0023】
上記の中でも、成形機内部での樹脂組成物の送り性(滑り性)と汎用性の観点から、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が好ましく、ノニオン系界面活性剤がより好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましい。
【0024】
界面活性剤と熱可塑性樹脂との質量比[界面活性剤/熱可塑性樹脂]は、0.02~0.1であることが好ましく、0.03~0.08であることがより好ましい。0.02~0.1であることで、洗浄力に有効な粘度と効果を保持することができる。
【0025】
また、成形機用洗浄剤中の界面活性剤の含有量(複数種用いる場合はその合計量)は、当該界面活性剤の効果をより有効に発揮させる観点から、1~35質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがより好ましく、1~15質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
(無機フィラー)
本実施形態に係る洗浄剤は、研磨効果による洗浄性向上、及び粘度調整の観点から、さらに無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、クレイ、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、ガラスファイバ、ガラスミルドファイバ、ガラスフレーク、カーボンファイバ、カーボンフレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバ、シリカ、セラミック粒子、セラミックファイバ、およびセラミックバルーン等が挙げられる。なかでもカオリン、炭酸カルシウムおよびタルクが好ましく、タルクがより好ましい。
【0027】
無機フィラーの体積平均粒径は特に制限されず、樹脂材料残存物の洗浄効果、熱可塑性への配合のしやすさ等の観点から、0.1~50μmであることが好ましく、1~30μmであることがより好ましい。体積平均粒径は、レーザ回折散乱法により測定することができる。
【0028】
無機フィラーと熱可塑性樹脂との質量比[無機フィラー/熱可塑性樹脂]は、0.6以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。0.6以下であることで、洗浄力に有効な粘度と効果を保持することができる。
【0029】
また、成形機用洗浄剤中の無機フィラーの含有量(複数種用いる場合はその合計量)は、当該無機フィラーの効果をより有効に発揮させる観点から、1~35質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがより好ましく、1~15質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
(パラフィン)
本実施形態に係る洗浄剤は、可塑化と剥離性の観点から、さらにパラフィンを含むことが好ましい。パラフィンとしては、流動パラフィンが好ましい。
流動パラフィンは、JIS K2283で規定された測定方法で測定した40℃動粘度が1~200mm/sであることが好ましく、5~100mm/sであることがより好ましい。40℃動粘度が上記の範囲であることで、取扱いが容易となり、樹脂中への流動パラフィン分散性が良好となる。
【0031】
パラフィンと熱可塑性樹脂との質量比[パラフィン/熱可塑性樹脂]は、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。0.4以下であることで、洗浄力に有効な粘度と効果を保持することができる。
なお、パラフィンを含有する場合の[パラフィン/熱可塑性樹脂]の下限は0.01程度であることが好ましい。
【0032】
また、成形機用洗浄剤中のパラフィンの含有量(複数種用いる場合はその合計量)は、当該パラフィンの効果をより有効に発揮させる観点から、1~35質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、10~27質量%であることがさらに好ましい。
【0033】
(任意成分)
本発明の樹脂組成物は必要に応じて、任意成分を含むことができる。例えば、熱安定剤、金属石鹸、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、及び難燃剤等が挙げられる。
【0034】
製造時等の熱安定性を向上させるために添加される熱安定剤としては、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。熱安定性の向上効果を効果的に得る観点から、熱安定剤と熱可塑性樹脂との質量比[熱安定剤/熱可塑性樹脂]は、1以下であることが好ましく、0.01~1であることが好ましく、0.01~0.6であることがより好ましい。
【0035】
また、金属石鹸としては、炭素数12~18の直鎖脂肪族モノカルボン酸の金属塩等が挙げられ、炭素数12~18の直鎖脂肪族モノカルボン酸としては、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノレイン酸等が挙げられる。金属塩としては、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
【0036】
本実施形態に係る洗浄剤は、例えばタンブラーミキサーや高速ミキサーで各材料を混合し、押出機で混練(溶融混練)して得られる。その形状は、粉状、顆粒状、ペレット状、フレーク状、およびこれらの混合形態等いずれでもよい。
【0037】
ここで、溶融混練は例えば、バンバリーミキサー、二本ロール、三本ロール、単軸混練押出機、および二軸混練押出機等を用いて行うことができる。溶融混練は、一段階で実施してもよいし、複数段階で実施してもよい。溶融混練温度は、熱可塑性樹脂が充分に溶融し、かつ、熱可塑性樹脂の熱劣化が問題とならない温度であれば特に限定されない。例えば、溶融混練温度は150~250℃程度が好ましい。
【0038】
溶融混練物は必要に応じて、公知の方法により、粉状、顆粒状、ペレット状、フレーク状とすることができる。
【0039】
(洗浄方法)
本実施形態に係る成形機用洗浄剤を用いた成形機の洗浄方法は、当該洗浄剤を樹脂成形機のシリンダ内に投入し、洗浄剤を加熱して可塑化(溶融)保持し、その後、樹脂成形機のシリンダ内から可塑化した洗浄剤を排出する方法である。
【0040】
適用可能な樹脂成形機としては、例えば、射出成形機及び押出成形機等が挙げられるが、樹脂を加熱溶融させて混練(混合)するシリンダを有するものであれば、これらに特に限定されるものではない。すなわち、本発明の洗浄剤は、公知の樹脂成形機に広く適用可能である。
洗浄剤を加熱する際の樹脂成形機のシリンダ温度は180℃以上とすることが好ましく、200℃以上とすることがさらに好ましい。なお、加熱温度の上限は、特に限定されるものではないが、通常、400℃程度である。
【0041】
本発明の成形機用洗浄剤は、押出成形機及び射出成形機における所定の作業終了時に、当該樹脂そのものや染顔料等の成形材料中に含まれており成形機内に残留する残留樹脂材料を効率よく洗浄し排出することができるため、熱可塑性樹脂用成形機内を洗浄するための洗浄剤組成物として好適に使用することで可能で、当該成形機が押出成形機又は射出成型機であることが好ましい。すなわち、本発明の成形機用洗浄剤は、押出成形機用又は射出成型機用洗浄剤であることが好ましい。特に、押出成形機用洗浄剤であることが好ましい。
【0042】
特に、先行樹脂がPA(ポリアミド)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル(アクリル))、PLA(ポリ乳酸)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、AS(アクリロニトリルスチレン共重合樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(ポリフッ化ビニリデン))、TPU(ポリウレタン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)といった高極性樹脂、及び当該樹脂を主成分(50質量%以上、好ましくは70質量%以上)含む樹脂組成物に対して良好に適用できる。
なお、高極性樹脂とは、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、スルホン基、シアノ基、チオール基、ヒドロキシル基、及びアミド基等の極性基を有する樹脂をいう。
【実施例
【0043】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)7.8質量部、体積平均粒径25μmのタルク粉末(林化成(株)製)2質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.2質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
作製した成形機用洗浄剤は、(株)安田精機製作所製のMELT FLOW INDEX TESTER(型式SAS2000)によりMFRを測定した。結果を下記表1に示す(下記の実施例、比較例についても同様にMFRを測定した)。
【0045】
[実施例2]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)7.8質量部、流動パラフィン(カーネーション、Witco社製、密度0.857g/cm、流動点-12.5℃、平均分子量365)1.5質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.7質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0046】
[実施例3]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)7.0質量部、流動パラフィン(カーネーション、Witco社製、密度0.857g/cm、流動点-12.5℃、平均分子量365)2.5質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.5質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0047】
[実施例4]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)9.8質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.2質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0048】
[実施例5]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)9.9質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.1質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0049】
[実施例6]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)9.3質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)0.7質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0050】
[実施例7]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)9.0質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SYグリスターTS-3S、阪本薬品工業(株)製)1.0質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0051】
[比較例1]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)5.0質量部、体積平均粒径25μmのタルク粉末(林化成(株)製)5.0質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0052】
[比較例2]
MFRが0.16g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)5.0質量部、流動パラフィン(カーネーション、Witco社製、密度0.857g/cm、流動点-12.5℃、平均分子量365)5.0質量部をタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。
【0053】
<洗浄評価>
二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)の温度を250℃に昇温した。昇温後、6ナイロン(アミランCM1017、東レ(株)製)500gにカーボンブラックマスターバッチ1質量%となるように添加したものを混練機に投入した。投入完了後、二軸混練押出機のスクリュー回転を停止し30分間滞留させて混練機内を汚染した。30分後スクリューを再始動し、各例の洗浄剤を2kg投入した。洗浄剤の排出完了後、スクリューを抜き取り、(1)スクリューに残留する6ナイロンの付着量を表面積から目視で判断し、下記の基準により洗浄力を判定し、また、(2)洗浄後の残留物の除去のしやすさ(残量物の易除去性)を下記の基準により判定した。結果を下記表1に示す。
【0054】
-(1)洗浄力判定基準-
A:6ナイロンの残留がまったくない(残留量0~2面積%)
B:6ナイロンの残留がほとんどない(残留量3~5面積%)
C:6ナイロンの残留がわずかにある(残留量6~10面積%)
D:6ナイロンの残留が多い(残留量11面積%以上)
【0055】
-(2)残留物の易除去性の判定基準-
A:ブラシにより容易に除去できる
B:ブラシにより除去できるが、Aよりもかなりの力を要する、及び/又は、Aよりも作業時間を要する
C:ブラシでは十分に除去できず、残留物が存在する箇所がある
【0056】
【表1】
【0057】
[実施例9~14、比較例3,4]
MFRが0.31g/10minである超高分子量ポリエチレンのペレット(重量平均分子量100万以上)、及び各種無機フィラーを下記表2の割合となるようにタンブラーで混合後、二軸混練押出機(JSW TEX30α、(株)日本製鋼所製)を用いて、200℃で溶融混練してペレット状(直径:3mm、高さ:3mm)に成形し、成形機用洗浄剤を作製した。実施例1と同様に洗浄性の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、無機フィラーの詳細を以下に示す。
・タルク粉末(林化成(株)製、体積平均粒径25μm)
・炭酸カルシウム粉末(三共精粉(株)製、体積平均粒径5μm)
・カオリン粉末(IMERYS社製、体積平均粒径1μm)
【0058】
【表2】